| 【発明の名称】 |
板厚25mm以上の引張強さ400N/mm2級厚鋼板の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡部 義之
【氏名】寺田 好男
【氏名】長井 嘉秀
【氏名】開田 将史
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| 【要約】 |
【課題】厚鋼板製造ミルにおいて、薄手用低成分で、板厚25mm以下の厚手400N/mm2級厚鋼板を生産性を損なうことなく製造する方法を提供する。
【解決手段】鋼片または鋳片を再加熱後、圧延温度規制のない普通圧延を行い、その後放冷して製造する引張強さ400N/mm2級の厚鋼板の製造方法において、板厚25mm未満の鋼板と同等の成分の鋼片または鋳片を用いて、前記圧延温度規制のない普通圧延を終了後、温度待ちすることなく加速冷却装置に直送して、直ちに加速冷却を開始し、その加速冷却が少なくともフェライト変態温度域の一部を含み、加速冷却停止温度または復熱がある場合には復熱温度が500℃より高いこと。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋼片または鋳片を再加熱後、圧延温度規制のない普通圧延を行い、その後放冷して製造する引張強さ400N/mm2級の厚鋼板の製造方法において、板厚25mm未満の鋼板と同等の成分の鋼片または鋳片を用いて、前記圧延温度規制のない普通圧延を終了後、温度待ちすることなく加速冷却装置に直送して、直ちに加速冷却を開始し、その加速冷却が少なくともフェライト変態温度域の一部を含み、加速冷却停止温度または復熱がある場合には復熱温度が500℃より高いことを特徴とする板厚25mm以上の引張強さ400N/mm2級厚鋼板の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鉄鋼業における厚板ミルの製造技術に関するもので、特に生産性を阻害しない加熱・圧延温度規制のない普通圧延前提で、圧延後も温度待ちなく比較的高温停止型の加速冷却を組み合わせることで、高い生産性を保ちながら、普通圧延後放冷して製造される板厚25mm未満の鋼板と同等の成分で、板厚25mm以上の引張強さ400N/mm2級の厚鋼板を製造する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、引張強さ400N/mm2級の厚鋼板は、制御圧延のような加熱温度や圧延温度規制のない普通圧延ままで製造される。加熱・圧延温度規制のない普通圧延は、スケジュール・フリーであることや生産性が高いというメリットがある反面、同じ加熱温度であれば、厚手材ほど圧下比が小さくなるために相対的に圧延温度が高くなり、圧延組織が粗大となる。また、厚手材はさらに圧延後の放冷時の冷速も遅くなり、圧延組織の粗大化とも相俟って、最終変態組織が粗大となり、強度は低下し、靭性は劣化する傾向にある。特に、強度が低下することは致命的で、例えば、JIS規格の一般構造用圧延鋼材SS400、溶接構造用圧延鋼材SM400などの引張強さ400N/mm2級の規格強度を確保するため、板厚に応じて成分体系を変え、板厚が厚くなるほど合金元素を添加するなど成分が高くすることを余儀なくされていた。 【0003】このように同じ強度グレードで、規格でありながら、板厚に応じて複数の成分系を持つ必要があり、比較的大きな規模の製鋼(精錬)設備においては、1バッチ当たり数100トン前後での処理となるため、注文量がそれに満たない場合、鋼片または鋳片などの形として余材と呼ばれる在庫を大量に抱えることになる。過去、成長経済下においては、このような在庫も着実に消化される一方、むしろ生産性が重視され、板厚に応じた複数の成分系を持つことの問題点はあまり省みられることはなかった。しかし、近年の社会情勢、とりわけ経済情勢においては、在庫問題が喫緊の課題となってきた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したように、生産性を阻害しない加熱・圧延温度規制のない普通圧延前提で、圧延後も温度待ちなく比較的高温停止型の水冷を組み合わせることで、高い生産性を保ちながら、板厚25mm未満用の鋼成分、すなわち板厚25mm以上を普通圧延ままで製造するよりも低い鋼成分でもって、板厚25mm以上で引張強さが400N/mm2級の厚鋼板を製造する方法を提供するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、薄手材用の比較的低い鋼成分で、加速冷却設備を有効に使うことで厚手材をも生産性を損なうことなく製造しようとするもので、普通圧延後、必然的に遅くなる冷速を水冷することで薄手材と同等以上の冷速を確保しようというものである。圧延温度の変化に伴う圧延組織の差異も変態挙動にも影響を及ぼすが、主として変態域の冷速が同等であれば最終変態組織はほぼ同等となり、結果として機械的性質も概ね同等となることから、本発明に至ったものである。 【0006】すなわち、本発明の要旨とするところは下記の通りである。 【0007】(1) 鋼片または鋳片を再加熱後、圧延温度規制のない普通圧延を行い、その後放冷して製造する引張強さ400N/mm2級の厚鋼板の製造方法において、板厚25mm未満の鋼板と同等の成分の鋼片または鋳片を用いて、前記圧延温度規制のない普通圧延を終了後、温度待ちすることなく加速冷却装置に直送して、直ちに加速冷却を開始し、その加速冷却が少なくともフェライト変態温度域の一部を含み、加速冷却停止温度または復熱がある場合には復熱温度が500℃より高いことを特徴とする板厚25mm以上の引張強さ400N/mm2級厚鋼板の製造方法。 【0008】本発明によれば、薄手から厚手まで単一成分での製造が可能となり、製造サイドとしては歩留まり向上や在庫圧縮、また利用サイドでは厚手材が従来材に比して低成分となるため溶接性が改善され、作業性の向上とともに溶接鋼構造物の安全性向上につながる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。 【0010】本発明における鋼成分は、基本的に何ら制約を受けるものではない。なぜなら、いかなる成分であっても、厚手材の圧延後の変態域を加速冷却し、特に強度向上を図ることが本発明のポイントだからである。強度以外の特性上の理由や、合金元素の価格変動、製鋼上の理由などにより、コストも勘案した最適成分は一義的に決まるものではなく、種々のローカルコンディションによっても変わってくるが、変態域を加速冷却することで強度向上を図ること自体は、成分に依存するものではない。 【0011】鋼片または鋳片の再加熱温度は、本来規制するものではないが、圧延の容易さ(圧延変形抵抗)や圧延温度の確保などの観点から1000℃以上であれば本発明を実施する上で特に問題とはならない。上限も特に規定するものではなく、むしろ加熱コストや加熱炉制約などローカルコンディションで決まるケースが多く、概ね1300℃以下である。 【0012】圧延は、基本的に生産性を阻害する制御圧延のような温度待ちはしない。即ち、温度待ちとは意図的な温度待ちを意味する。一般には、圧延温度が低いほど強度、靭性上有利であるが、本発明のような引張強さ400N/mm2級鋼においては、生産性が最重要視されるケースが多く、意図的な温度待ちなく圧延した場合、通常オーステナイト単相域で圧延を終了する。なお、板厚によっては、意図的な温度待ちのない普通圧延であっても、表層ではフェライト変態を開始するオーステナイト+フェライトの二相域に入ることがあるが、本発明のような25mm以上の板厚では加熱温度が極端に低くない限り、概ねフェライト変態開始前に圧延終了可能である。 【0013】圧延後の冷却は、意図的な温度待ちなく加速冷却装置に直送する。これは普通圧延と同等以上の生産性を確保するためで、圧延後は設備レイアウトに応じた通常の搬送時間以外は、トラブルがない限り特に意図的な温度待ちはしない。トラブルなどにより、加速冷却開始時にフェライト変態を開始してしまっていてもフェライト変態が終了していなければ、本発明法は有効である。すなわち、フェライト変態の少なくとも一部が加速冷却すればよい。加速冷却時の冷速は、鋼成分やそもそも普通圧延ままでどの程度の強度が確保可能であるかや、引張強さ400N/mm2級と言う中でもどの程度の強度を狙うかによっても変わるため、一義的に定まるものでない。ただし、目安としては、板厚25mmの放冷(空冷)時の冷速と同等以上とすることが必要である。因みに、実測によれば、板厚25mmの放冷(空冷)時の1/2板厚位置の冷速は、800℃から500℃の平均冷速で0.4〜0.5℃/秒である。 【0014】加速冷却は、材質的にも常温近くまで行う必要はない。むしろ、鋼板の不均質冷却による形状や残留応力などを考慮すると、加速冷却停止温度または復熱がある場合には復熱温度は、500℃より高くすべきである。加速冷却停止温度または復熱温度が低すぎると、形状や残留応力の問題のほか、ベイナイト、マルテンサイトなどの低温変態生相が多量に生成し、強度が出過ぎたり、靭性が極端に劣化するためである。望ましくは、フェライト変態域のみ加速冷却を行うことであるが、板厚方向での温度差や、工業上表面温度でモニター、管理されることを考慮し、500℃より高い温度範囲に限定した。加速冷却停止後は、放冷(空冷)されることは言うまでもない。なお、フェライト変態開始温度は、Ar3点として、成分の関数としていくつか提案されており、工業生産上はそれらに基づいて決定することができ、概ね750℃以下である。 【0015】 【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。 【0016】本発明の効果を例示するため、転炉溶製した鋼成分を表1に、製造条件および機械的性質を比較例とともに表2に示す。なお、圧延後の加速冷却は、板厚に応じて加速冷却装置内の水量密度を変えることで、板厚1/2位置の冷却開始から冷却停止までの平均冷速が約5℃/秒以上となるように調整した。 【0017】 【表1】
【0018】 【表2】
【0019】各成分とも、板厚25mm未満の鋼板に対して普通圧延まま(圧延後放冷)で、400N/mm2級の強度を有するよう成分設計されたもので、JIS規格のSS400、SM400などとして全く問題ない強度を有している。これに対して、板厚25mm以上の普通圧延ままでは、強度、靭性ともに板厚25mm未満の比較例に対して劣っており、特に強度は、JIS規格のSS400、SM400を満足していない。 【0020】一方、本発明例では、板厚25mm以上の比較例に対して、加速冷却を施したことで、板厚25mm未満の普通圧延ままとほぼ同等の強度、靭性が得られ、JIS規格のSS400、SM400をも満足している。 【0021】 【発明の効果】本発明により、生産性を阻害するような加熱・圧延温度規制の特にない普通圧延前提で、圧延後も温度待ちなく比較的高温停止型の水冷を組み合わせることで、高い生産性を保ちながら、本来板厚25mm未満の薄手を対象とした低い成分で、板厚25mm以上で引張強さ400N/mm2級の厚鋼板を製造することが可能になった。結果として、薄手から厚手まで単一成分での製造が可能となり、製造サイドとしては歩留まり向上や在庫圧縮が可能となり、また利用サイドでは厚手材が従来材に比して低成分となるため溶接性が改善され、作業性の向上とともに溶接鋼構造物の安全性向上につながった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105441 【弁理士】 【氏名又は名称】田中 久喬
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| 【公開番号】 |
特開2001−288511(P2001−288511A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月19日(2001.10.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−99462(P2000−99462) |
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