| 【発明の名称】 |
転炉吹錬用突条付きラバールノズル |
| 【発明者】 |
【氏名】吉野 博之
【氏名】今野 雅之
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| 【要約】 |
【課題】酸素噴流とCO雰囲気ガスとの混合性を高めて、二次燃焼を促進し、溶鋼への着熱効率を高めるラバールノズルを提供する。
【解決手段】転炉吹錬用上吹きランスの先端部に装着され、酸素ガスを炉内に噴出するラバールノズル11において、ガス流出方向に沿って延びる複数の突条16がノズル周方向に間隔をおいてノズル内壁面15に設けられている。突条16で生成した捩れ方向の小渦により酸素噴流とCO雰囲気ガスとの混合が高まり、二次燃焼が促進され、燃焼効率および溶鋼への着熱効率が向上する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 転炉吹錬用上吹きランスの先端部に装着され、酸素ガスを炉内に噴出するラバールノズルにおいて、ガス流出方向に沿って延びる複数の突条がノズル周方向に間隔をおいてノズル内壁面に設けられていることを特徴とする転炉吹錬用突条付きラバールノズル。 【請求項2】 ラバールノズルのスロート口から吹出し口に向かって、前記突条の高さが連続的に高くなっていることを特徴とする請求項1記載の転炉吹錬用突条付きラバールノズル。 【請求項3】 ラバールノズルの流路に開口するガス吹出し孔が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の転炉吹錬用突条付きラバールノズル。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、上吹き転炉における吹錬用ランスの先端に装着されるラバールノズルに関する。 【0002】 【従来の技術】転炉などの精錬装置内での二次燃焼を促進する方法として、例えば脱炭用酸素噴流を吹き出す主孔に対して、二次燃焼促進用の噴流を吹き出す副孔を設けた方法が開示されている(特公平3−77247号公報、特開平7−138631号公報)。この方法では、燃焼が転炉上部に局在化・高温化する問題がある。すなわち、ランスの存在する転炉上部周辺の酸素濃度や混合強度が上がり、その周囲での燃焼は促進するが、炉の内部や溶鋼への熱の供給には、ほとんど貢献しない。したがって、この方法では上部の炉材が熱劣化して、炉寿命の低下をきたすだけである。また、特開平4−259318号公報では、炉壁側に形成されるCOガス上昇流に対して、副孔O2ガスの吹出し口を炉壁下部方向にして、比較的炉底付近での混合・燃焼を促進して、着熱効率を向上させる方法が提示されている。ところが、燃焼の大部分が炉壁周辺で起こること自体が、炉壁耐火物損傷の原因となり、望ましい二次燃焼促進方法とは考えられない。 【0003】ラバールノズル形状を変えて、二次燃焼率を向上させる方法として、例えば、特公平5−59961号公報の方法がある。この方法は、ランスの出口形状を変形度で定義し、その変形度が大きな場合(1.4以上)に、二次燃焼促進効果があるとしている。この定義により提案された最適形状は、非常に極端なものであり、製作上も難しく、現実的ではない。また、非常に大きな凹凸であるので、大きなスケール渦の混合は促進できるが、燃焼を促進できるだけの小渦を生成する(小渦によって混合する)には不向きである。 【0004】また、パルスを与えたり(特開昭61−143506号公報の引用文献)、流量を周期的に変化させる方法も開示されている(特開昭61−143506号公報、特開昭57−94511号公報など)。これらの方法は、効果の有無はともかく、転炉という極めて高温の反応容器の上部や内部に、複雑な駆動機構や、パルス発信機構を備える必要があり、現実的に実施困難である。 【0005】超音速流の流れ場に凹凸を与えて、混合性を向上させる手段は、文献(J.P.Drummondら、雑誌名AIAAPaper89−2794、(1989))に見られる。この手段は、二次元平面流れ(二次元噴流)のRamp構造を示したものであり、軸対称噴流のような壁面の閉じた口径から吹き出す場合については述べられていない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸素噴流とCO雰囲気ガスとの混合性を高めて、二次燃焼を促進し、溶鋼への着熱効率を高めるラバールノズルを提供することを課題としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、転炉吹錬用上吹きランスの先端部に装着し、酸素ガスを噴出するラバールノズルにおいて、ガス流出方向に沿って延びる複数の突条をラバールノズルの内壁面に設けたことを特徴としている。 【0008】二次燃焼を促進するためには、酸素噴流とその周囲に存在するCOガスとの混合を良くすることが不可欠である(拡散火炎燃焼)。そのためには、噴流の外縁に存在する剪断混合層において、小渦の生成を促すことが必要である。通常の超音速噴流の場合、この剪断方向の渦しか形成されないが、突条を与えることで、捩れ方向の渦(主流方向を軸中心とする渦)をも生成することができる。これらの複雑な渦構造は、周囲のCOガスを巻き込む割合を高めることができるので、燃焼効率を向上させることができる。一方で、この突条が、あまり大きすぎると、捩れ渦の大きさも大きくなり、混合性は高まっても、燃焼性に寄与する小渦の生成量は小さくなることが分った。したがって、前述の変形度を指標にしたノズル開口形状では、大きな混合は促進されるが、酸素噴流外縁または内部での燃焼には、ほとんど寄与しない。 【0009】さらに、平面二次元ノズル(二次元噴流)の場合と異なり、円孔のような閉じた形状のノズルから噴出する場合、噴流断面の流速分布が、重要な作用をもたらすことも見出した。すなわち、噴流はノズル中心軸での流速が速いので、噴流外側から中心軸内部方向に力が働き、噴流周囲で生成した剪断小渦や捩れ小渦が中心軸方向に引き込まれ、相互に干渉することになる。この相互干渉は、渦崩壊・分子レベルの混合を促すことができて、小渦の燃焼が促進するのである。さらに、この場合、同様の引き込み作用により、燃焼した熱量そのものも、積極的に噴流周囲から中心軸方向に導かれる。したがって、酸素噴流の主流に同伴されて、溶鋼に導かれる熱量の割合が増加して、効率的に溶鋼に二次燃焼熱を供給させることができる(着熱効率の向上)。このことは、二次燃焼の発生領域が、炉中央部の酸素噴流周辺部、すなわち炉の中央部に局在化できることを示しており、周囲にある炉耐火物への熱損傷も小さく抑えることができる。 【0010】このラバールノズルによると、脱炭用の溶鋼へ吹き付ける主孔からの酸素噴流の燃焼性を高めることができるので、燃焼用の副孔といった付加的な酸素供給口を備える必要がない。 【0011】本発明のラバールノズルにおいて、ラバールノズルのスロート口から吹出し口に向かって、前記突条の高さを連続的に高くすることも有効である。この突条は小渦の混合性向上には有効であるが、超音速噴流の強度特性(衝突圧力)を低下させる傾向にある。すなわち、ラバールノズル内の突条が衝撃波の発生源となって、噴流強度を低下させる。これに対して、ラバールノズルのスロート口から吹き出し口に向かって、突条の高さを連続的に高くするようにすると、ラバールノズル内での膨張をスムーズにすることができて、噴流強度の低下を防ぐことができ、かつラバールノズルの混合性も高めることができる。 【0012】本発明のラバールノズルにおいて、ラバールノズルの流路に開口するガス吹出し孔を設けることも有効である。ガス吹き出し口を設けることで主流噴流のラバールノズル内での膨張強度が変化し、酸素噴流の外縁に沿って吹き出しガスによる擾乱を与えることができるので、剪断小渦や捩れ小渦を更に活性化し、周囲ガスとの混合が促進される。この活性化した小渦は、分子レベルでの混合も大きくなり、燃焼効率の更なる向上をもたらす。 【0013】 【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施の形態を示しており、ラバールノズル11を備えた吹錬用ランス10の先端部の縦断面図である。図2は、上記ラバールノズル11の斜視図である。 【0014】これら図面に示すように、ラバールノズル11は流路がスロート口(入口)12から吹出し口(出口)13に向かって広がっている。スロート口12から吹出し口13までガス流出方向に沿って延びる突条16が、ノズル内壁面15に設けられている。突条16はノズル周方向に等間隔をおき、吹出し口13を囲んでいる。突条16の数および寸法は、前記剪断小渦および捩れ小渦が効果的に生成するように理論的または実験により決める。突条16の数はノズル径によって異なるが、4〜15本程度である。図1および図2の例では、6本の突条16が設けられている。突条16の幅も突条16の数によって異なり、3〜15mm 程度である。突条16の高さはノズル径によって異なるが、1〜5mm程度である。 【0015】図3は、他の実施の形態を示している。このラバールノズル21では突条26が4本であり、隣り合う突条26の間隔が、スロート口22から吹出し口23に向かうに従い広くなっている。また、突条26の側面27はノズル内壁面25に向かって広がっている。 【0016】図4は、更に他の実施の形態を示している。このラバールノズル31では突条36が4本であり、隣り合う突条36の間隔が、スロート口32から吹出し口33に至るまでほぼ一定になっている。また、突条36の側面37はノズル内壁面35に対し直角である。 【0017】図5は、また他の実施の形態を示している。このラバールノズル41では突条46が4本であり、隣り合う突条46の間隔が、スロート口42から吹出し口43に向かうに従い広くなっている。突条46の側面47は、ノズル内壁面45に向かって広がっている。さらに、スロート口42から吹出し口43に向かって、突条46の高さが連続的に高くなっている。このように高くすることにより、ラバールノズル41内での酸素ガスの膨張をスムーズにすることができて、噴流強度の低下を防ぐことができ、かつラバールノズル41の混合性も高めることができる。 【0018】図6は、更に他の実施の形態を示している。このラバールノズル51では突条56が4本であり、隣り合う突条56の間隔が、スロート口52から吹出し口53に至るまでほぼ一定になっている。突条26の側面27はノズル内壁面55に対し直角である。さらに、スロート口52から吹出し口53に向かって、突条56の高さが連続的に高くなっている。 【0019】ここで、図3〜図6に示した実施の形態の違いによる作用・効果の差異について説明する。二次燃焼の向上を優先する場合は、図3または図4に示す実施の形態が適している。すなわち、これら実施の形態では突条の高さの寄与が大きいので、主流の膨張作用と干渉して、弱い衝撃波が生成する。このような衝撃波は、小渦の生成を促進するので、二次燃焼率の向上をもたらす。また、図3の実施の形態は、図4の実施の形態に比べてラバールノズルでの膨張を阻害する効果が大きいので、生成する衝撃波の強度が高くなり、二次燃焼率は向上する。一方、脱炭反応の促進を優先する場合は、図5および図6に示す実施の形態が適している。両者の場合、図3および図4の実施の形態に比べて噴流の衝突圧力を高く取れるので、二次燃焼率は多少低下する一方で、脱炭能力は高くなる。また、図5および図6に示す実施の形態の作用・効果の差異は、図3および図4に示す実施の形態の関係と同様である。 【0020】図7は、突条66を備えたラバールノズル61にガス吹出し孔71を設けた例を示している。ガス吹出し孔71は、隣り合う突条66の間の溝部68に酸素ガス流路に向かって開口している。ガス吹出し孔の直径71は例えば0.5〜2mmであり、孔数は5〜10である。ガス供給管73からガス吹出し孔71に吹出しガスが供給される。ガス吹出し孔71から吹き出すガスは酸素を用いることが望ましいが、不活性ガスや空気であってもよい。例えば、アルゴン、二酸化炭素、空気、窒素ガスなどを用いることができる。このガス吹出し孔71から吹き出されたガスの作用は、次のとおりである。 【0021】一般に、ラバールノズル61はランス二次圧容器75の圧力が比較的高圧で適正膨張できるように設計されている。したがって、ランス二次圧が高い場合、最大のノズル効率で操業可能である。ランス二次圧力がある程度低くなると、過膨張となり、スロート口62と吹出し口63との間(テーパー部)の圧力が転炉内圧力よりも低くなる。この結果、ラバールノズル61のテーパー部で衝撃波が生じやすく、ノズル効率が大きく下がる。 【0022】ガス吹出し孔61から少量のガスを吹く出すと、上記衝撃波の発生と防ぐことができる。テーパー部に沿って流れてきた境界層ガスが、ガス吹出し孔71から吹き出されたガスにより押し出されてノズル内壁面から剥離する。このことは、主流ガスの膨張を防ぎ、実質的にラバールノズル61の面積比を小さくしたことになる。この結果、ガス主流は適正膨張し、ノズル効率の低下が防がれる。 【0023】 【実施例】270トン転炉において、本発明のラバールノズル(図1および図2)および従来のラバールノズルをそれぞれ5本備えたランスにより比較実験を行った。両ラバールノズルのスロート口と吹出し口の面積比は、等しくしてある。二次燃焼焼量を比較する指標として、転炉上部から回収される炉の出口でのCO2濃度を用いた。実験の結果、本発明のラバールノズルは二次燃焼率が従来のものに比べて10%〜12%から15%〜18%に向上することがわかった。 【0024】 【発明の効果】本発明では、ラバールノズルの内壁面に形成した突条で、捩れ方向の小渦を生成する。この小渦の生成により酸素噴流とCO雰囲気ガスとの混合が高まり、良好な二次燃焼が得られ、燃焼効率および溶鋼への着熱効率が向上する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月4日(2000.4.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068423 【弁理士】 【氏名又は名称】矢葺 知之 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−288508(P2001−288508A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月19日(2001.10.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−101988(P2000−101988) |
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