| 【発明の名称】 |
核酸の塩基配列の変異検出方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤分 秀司
【氏名】山口 智子
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| 【要約】 |
【課題】高価な装置を用いることなく、かつハイスループットで核酸の塩基配列の変異を検出する。
【解決手段】二重鎖核酸を含む溶液を加熱して解離させて一重鎖にし、冷却して再接合させる。二重鎖核酸がへテロ体の場合はホモ二重鎖及びヘテロ二重鎖が形成され、二重鎖核酸がホモ体の場合はホモ二重鎖のみが形成される。その溶液の温度を上昇させながら紫外線吸収を測定して熱融解曲線を取得する。その熱融解曲線は、加熱及び冷却後の二重鎖がホモ二重鎖のみである場合は1つ又は接近した2つのTm温度をもち、ホモ二重鎖とヘテロ二重鎖を含む場合は離れた2つのTm温度又はさらにそれぞれに接近した1つずつのTm温度をもつ。得られた熱融解曲線を吸光度で1次微分して変曲点、すなわちTm温度を求める。そのTm温度自体又はその数に基づいてヘテロ二重鎖の存在を検出し、引いては二重鎖核酸の塩基配列の変異を検出する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 核酸の塩基配列の変異を検出する方法において、試料としての二重鎖核酸を含む溶液を加熱して二重鎖核酸を解離させ、冷却して再接合させてホモ型二重鎖又はホモ型二重鎖及びヘテロ型二重鎖を形成させた後、その溶液の温度を上昇させながらその溶液の紫外線吸収を測定して熱融解曲線を取得し、その熱融解曲線に基づいて前記二重鎖核酸の塩基配列の変異の有無を判断することを特徴とする変異検出方法。 【請求項2】 前記熱融解曲線に基づく塩基配列の変異の有無の判断は、前記熱融解曲線の変曲点の個数に基づいて行なう請求項1に記載の変異検出方法。 【請求項3】 前記二重鎖核酸を含む溶液を加熱して冷却する前に、前記二重鎖核酸の検査部位に対して標準の塩基配列をもつ標準二重鎖核酸を前記溶液に混合する工程を含む請求項1又は2に記載の変異検出方法。 【請求項4】 前記二重鎖核酸もしくは前記標準二重鎖核酸又はその両方がPCR産物である請求項1から3のいずれかに記載の変異検出方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、核酸(DNA、RNA)の塩基配列の変異を検出する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】多くの癌や遺伝子病はDNAの塩基配列の変異が原因になっていることが明らかにされている。その塩基配列の変異の大多数は一塩基置換である。核酸の塩基配列の変異を検出する技術分野では多くの方法が提案されている。以下にそのうちのいくつかを例示する。 【0003】■DNAシーケンシング:分析対象物の塩基配列を直接分析し決定する。 ■DNAチップ:ガラス表面上に多数のオリゴヌクレオチドを固定化し、そのオリゴヌクレオチドにDNA断片などの分析対象物を選択的にハイブリダイゼーションさせた後、そのハイブリダイゼーションに基づく信号、多くの場合は蛍光信号を検出し、比較することにより分析対象物の配列を推定する。 【0004】■SSCP(Single Strand Conformation Polymorphism)法:試料としての二重鎖DNAを一重鎖DNAに解離させた後、一重鎖DNAは塩基配列の違いで独自の高次構造をもつことを利用して、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて一重鎖DNAの高次構造の違いに基づく移動度の違いにより一重鎖DNAの高次構造の違いを検出し、1塩基置換の有無を推定する。 【0005】■DGGE(Denaturing Gradient Gel Electrophoresis)法:変性剤の濃度勾配を形成したポリアクリルアミドゲル中でPCR(PolymeraseChain Reaction)産物を試料として電気泳動を行ない、二重鎖DNAから一重鎖DNAへの解離を泳動速度で比較して、試料の1塩基置換の有無を検出する。 【0006】■DHPLC (Denaturing High Performance Li1quid Chromatography)法:試料二重鎖DNAとその検査部位に対して標準の塩基配列をもつ標準二重鎖DANを混合し、熱変性させて一重鎖に解離させ、その後冷却することにより二重鎖に再接合させる。試料二重鎖DNAが標準の塩基配列をもつとき、対応する塩基の全てに水素結合が形成されているホモ二重鎖(homoduplex)のみが形成される。試料二重鎖DNAの検査部位に1塩基置換が存在するとき、ホモ二重鎖と、対応する塩基間の一部分に水素結合が形成されていないミスマッチ部位をもつヘテロ二重鎖(heteroduplex)が形成される。ヘテロ二重鎖はホモ二重鎖に比べて水素結合の数が少ないので、ヘテロ二重鎖の融解温度(二重鎖/一重鎖の存在割合が50%になる温度(Tm温度))がホモ二重鎖の融解温度に比べて低くなることを利用して、高速液体クロマトグラフを用いてヘテロ二重鎖の存在を検出し、1塩基置換の有無を検出する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術には次のような欠点がある。 ■DNAシーケンシングは最も確実な方法ではあるが、一連の操作にかかるコストが高価であるという欠点がある。また、スループットを上げようとすると大規模な自動化ラインが必要となるという欠点もある。 ■DNAチップはDNAチップ自体が非常に高価であり、また、チップ上に固定化する多数のオリゴヌクレオチドを分析対象物ごとに変える必要があるのでコストがかかるという欠点がある。 【0008】■SSCP法及び■DGGE法では、試料ごとに電気泳動の分析条件を検討する必要があり、さらに■DGGE法では泳動ゲルの組成も試料ごとに検討する必要がある。また、これらの方法ではゲル電気泳動法を使用するため、スループットの向上が困難であるという欠点もある。 ■DHPLC法では、高価な液体クロマトグラフを必要とするという欠点がある。 【0009】そこで本発明は、高価な装置を必要とせず、かつハイスループット分析を行なうことのできる核酸の塩基配列の変異検出方法を提供することを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は核酸の塩基配列の変異を検出する方法であって、試料としての二重鎖核酸を含む溶液を加熱して二重鎖核酸を解離させ、冷却して再接合させてホモ型二重鎖又はホモ型二重鎖及びヘテロ型二重鎖を形成させた後、その溶液の温度を上昇させながらその溶液の紫外線吸収を測定して熱融解曲線を取得し、その熱融解曲線に基づいて二重鎖核酸の塩基配列の変異の有無を判断する。本明細書において、二重鎖核酸はDNA/DNA二重鎖(二重鎖DNA)、RNA/DNA二重鎖及びRNA/RNA二重鎖ならびにこれらの断片を含む。 【0011】 【作用】試料としての二重鎖核酸を含む溶液を加熱して二重鎖核酸を解離させて一重鎖にし、冷却して再接合させて検査部位にホモ二重鎖又はホモ二重鎖及びヘテロ二重鎖を形成させる。試料としての二重鎖核酸の量が微量である場合は、後述する紫外線吸収測定による熱融解曲線の取得が十分できる程度に例えばPCR増幅により二重鎖核酸を増幅することが好ましい。そして必要ならば増幅物を精製する。 【0012】加熱及び冷却処理により、試料としての二重鎖核酸(鋳型DNA)がヘテロ体の場合はホモ二重鎖及びヘテロ二重鎖が形成される。PCR増幅を行なった場合の一例を以下に示す。ここで、ヘテロ体とは、検査部位の塩基配列の一部に相互に異なる部位をもつ複数種の二重鎖核酸が存在するものをいい、その対語としてのホモ体とは、検査部位の塩基配列が同じである二重鎖核酸のみが存在するものをいう。
【0013】加熱及び冷却処理により、二重鎖核酸がホモ体である場合はホモ二重鎖のみが形成される。そこで、検査部位の塩基配列に変異が存在する場合にヘテロ二重鎖を形成させるために、加熱及び冷却処理の前に、二重鎖核酸の検査部位に対して標準の塩基配列をもつ標準PCR産物(標準二重鎖核酸)を試料としての二重鎖核酸を含む溶液に加えておくことが好ましい。これにより、二重鎖核酸の塩基配列が正常であり、その塩基配列が標準PCR産物と同じであればホモ二重鎖のみが形成され、二重鎖核酸の塩基配列に変異、例えば一塩基置換が存在し、その塩基配列が標準PCR産物とは異なるのであればホモ二重鎖及びヘテロ二重鎖が形成される。 【0014】ホモ二重鎖又はホモ二重鎖及びヘテロ二重鎖を含む溶液の温度を上昇させながらその溶液の紫外線吸収を測定して熱融解曲線を取得する。核酸は二重鎖の状態と一重鎖の状態では紫外領域での光吸収量が異なり、一重鎖の状態は二重鎖の状態に比べて紫外領域での光吸収量が多くなることが知られている。例えば、ある二重鎖PCR産物をゆっくり加熱しながら波長260nmでの光吸収量をモニターすると、熱融解曲線と呼ばれるその二重鎖PCR産物の大きさ及び塩基配列に依存する特徴的なシグモイド型の曲線が得られる(「遺伝子とバイオテクノロジー」,杉本直己著,丸善株式会社,10〜12ページ,平成11年8月25日初版発行参照)。これは二重鎖の状態であったPCR産物が外部から加えられる熱エネルギーにより塩基対間の水素結合が破壊され、徐々に一重鎖の状態になるためである。 【0015】熱融解曲線の変曲点はTm温度(融解温度)に対応する。Tm温度は二重鎖核酸の大きさ及び塩基配列に依存する。ここで、ヘテロ二重鎖には対応する塩基間の一部分に水素結合が形成されていないミスマッチ部位が存在し、ホモ二重鎖に比べて水素結合の数が少ないので、ヘテロ二重鎖のTm温度はホモ二重鎖のTm温度に比べて低いことが予想される。現在、核酸の大きさや塩基配列から理論的にTm温度を予測することは可能であり、例えばMELT94(インターネット上(http://web.mit.edu/biology/dna)に開示されている)などのプログラムを利用できる。 【0016】得られた熱融解曲線から塩基配列の変異が存在するか否かを判断する。加熱及び冷却後の二重鎖がホモ二重鎖のみである場合、その熱融解曲線は1つ又は2つのTm温度をもつ。ここで、ホモ二重鎖が2種類あれば、理論的には2つのTm温度をもつが、それらのTm温度が接近している場合は、実験上、2つのTm温度を見出せないことがある。 【0017】一方、加熱及び冷却後の二重鎖がホモ二重鎖とヘテロ二重鎖を含む場合、2つ以上のTm温度をもつ熱融解曲線が得られる。理論的には、2種類のホモ二重鎖と2種類のヘテロ二重鎖が存在するので、その熱融解曲線は4つのTm温度をもつが、ホモ二重鎖に起因する2つのTm温度が接近していたり、ヘテロ二重鎖に起因する2つのTm温度が接近していたりすることにより、実験上、3つ以上のTm温度を見出せないことがある。 【0018】加熱及び冷却処理後の二重鎖にヘテロ二重鎖が存在したか否かの判断は、得られた熱融解曲線とホモ二重鎖の既知の熱融解曲線を比較することで区別することができる。その区別を容易にするために、熱融解曲線を吸光度で1次微分して変曲点、すなわちTm温度を求め、そのTm温度自体又はその数に基づいてヘテロ二重鎖の存在を判断することが好ましい。このように、本発明は高価な装置を必要とせず、さらに、電気泳動に比べて短時間で核酸の塩基配列の変異を検出することができる。 【0019】本発明によりヘテロ二重鎖の存在が検出された二重鎖核酸については、塩基配列の変異の部位を確定するために、シーケンシングを行なうことが好ましい。塩基配列の変異の部位を確定するにはシーケンシングを行なう必要があるが、全てのサンプルについてシーケンシングを行なっていたのでは多大な分析時間を要する。そこで、本発明によりシーケンシングを行なうべきサンプルを選択するようにすれば、分析時間を短縮でき、コスト面で安価になり、さらにスループットを向上させることができる。 【0020】 【発明の効果】本発明にかかる核酸の塩基配列の変異検出方法では、試料としての二重鎖核酸を含む溶液を加熱して二重鎖核酸を解離させ、冷却して再接合させてホモ型二重鎖又はホモ型二重鎖及びヘテロ型二重鎖を形成させた後、その溶液の温度を上昇させながらその溶液の紫外線吸収を測定して熱融解曲線を取得し、その熱融解曲線に基づいて塩基配列の変異の有無を検出するようにしたので、高価な装置を必要とせず、かつハイスループットで核酸の塩基配列の変異を検出することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成12年4月25日(2000.4.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085464 【弁理士】 【氏名又は名称】野口 繁雄
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| 【公開番号】 |
特開2001−299393(P2001−299393A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月30日(2001.10.30) |
| 【出願番号】 |
特願2000−124771(P2000−124771) |
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