| 【発明の名称】 |
糖転移酵素活性測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】柳谷 周作
【氏名】猪原 泉
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| 【要約】 |
【課題】糖転移酵素活性測定用基質を簡便に製造する方法および該基質を用いることによる優れた糖転移酵素活性の測定方法を提供する。
【解決手段】式(1)で表される糖転移酵素活性測定用基質、該基質、糖ヌクレオチド及び緩衝液を含んでなる糖転移酵素活性測定用試薬、該基質を糖受容体として、糖ヌクレオチドを糖供与体として反応を行った後、反応生成物を高速液体クロマトグラフィーにより検出する糖転移酵素活性の測定方法、および卵黄の水溶性画分から得られる化合物を糖分解酵素処理、特異性の高いプロテアーゼ処理を行い、得られた化合物を蛍光標識することによる該基質の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(1)で表されることを特徴とする糖転移酵素活性測定用基質。 【化1】
【請求項2】 請求項1記載の糖転移酵素活性測定用基質、糖ヌクレオチド及び緩衝液を含んでなることを特徴とする糖転移酵素活性測定用試薬。 【請求項3】 請求項1記載の糖転移酵素活性測定用基質を糖受容体とし、かつ糖ヌクレオチドを糖供与体として反応を行った後、高速液体クロマトグラフィーにより反応産物を検出することを特徴とする糖転移酵素活性測定方法。 【請求項4】 下記の工程(A)〜(D)より成る請求項1記載の糖転移酵素活性測定用基質の製造方法。(A)式(2)で表される糖鎖ペプチドの非還元末端糖を除去し、式(3)で表される化合物を得る工程【化2】
【化3】
(B)(A)で得られた式(3)で表される化合物のペプチド部分をプロテアーゼにより消化し、式(4)で表される化合物を得る工程【化4】
(C)式(4)で表される該化合物を4-fluoro-7-nitrobenzofurazan(NBD−F)或いは4-chloro-7-nitrobenzofurazan(NBD−Cl)により蛍光標識し式(1)で表される化合物を得る工程(D)式(1)で表される化合物を精製する工程【請求項5】 (A)において除去される非還元末端糖がシアル酸である請求項4記載の製造方法。 【請求項6】 シアリダーゼ消化によりシアル酸を除去する請求項5記載の製造方法。 【請求項7】 (A)において除去される非還元末端糖がシアル酸及びガラクトースである請求項4記載の製造方法。 【請求項8】 シアリダーゼ消化によりシアル酸を除去した後、ガラクトシダーゼ消化によりガラクトースを除去する請求項7記載の製造方法。 【請求項9】 (C)のプロテアーゼ消化の工程において用いるプロテアーゼがメタロエンドペプチダーゼ及び/又はズブチリシンである請求項4記載の製造方法。 【請求項10】 (C)のプロテアーゼ消化の工程を、メタロエンドペプチダーゼによる消化後にズブチリシンにより消化を行う請求項9記載の製造方法【請求項11】 (D)の精製する工程を、NBD標識後に水溶性の有機溶媒を添加し、式(1)で表される化合物を沈殿物として回収することにより行う請求項4記載の製造方法【請求項12】 有機溶媒がアセトニトリル、エタノール及びイソプロピルアルコールよりなる群から選択される少なくとも1種を含む溶媒である請求項9記載の製造方法。 【請求項13】 工程(D)の後、さらに液体高速クロマトグラフィーにより精製を行う請求項4〜12のいずれかに記載の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、種々の疾病の診断用途及び糖鎖工学研究用途として有用な糖転移酵素活性測定基質及び該基質の簡便な製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】生体内で重要な役割を果たしている糖鎖は生体内では糖転移酵素の作用により形成される。糖転移酵素は糖受容体となる糖鎖に糖ヌクレオチドを糖供与体として糖を転移、連結していく酵素である。近年の研究により、これら糖転移酵素活性の変化が癌や肝疾患を始めとする種々の疾患と関連することが明らかとなっており、糖転移酵素の診断薬用途への応用も期待されている。 【0003】さて、糖鎖工学の基礎研究或いは診断薬用途への応用のためには糖転移酵素酵素の活性測定が必要となるが、その活性測定方法としては放射性同位元素で標識した単糖をもつ糖ヌクレオチドを糖供与体として反応した後、取り込まれた放射性の単糖の量を測定する方法と、蛍光標識した糖鎖を糖受容体として反応した後反応産物を高速液体クロマトグラフィーにより検出、定量する方法が知られている。 【0004】前者の方法は古くから用いられているが、放射性同位元素取扱い施設などの特殊な施設が必要なため実用性に乏しく、しかも反応後未反応の放射活性のある糖ヌクレオチドと反応産物を分離した後に単糖の転移量を測定しなければならいため操作が煩雑で精度の点でも問題があった。後者の方法では、反応後直ちに高速液体クロマトグラフィーに供するだけで簡便に精度良く活性測定が可能となり、非常に優れた方法である。一般的に、糖転移酵素の活性測定に使用される基質は糖鎖の還元末端の糖鎖を2−アミノピリジンにより標識したものが用いられ、該糖鎖の調製及び標識反応は容易なものである。しかしながら、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼや植物由来のα−1,3−フコシルトランスフェラーゼは糖鎖の非還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースを転移するため2−アミノピリジンで標識された非還元末端のN−アセチルグルコサミンには反応することはできず、調製の容易な2-アミノピリジン標識糖鎖を基質とすることは不可能である。 【0005】そこで、非還元末端にアミノ酸の一種であるアスパラギン(以下、Asnと示す)が付いたままの糖鎖ペプチドを調製し、このAsnのN末端或いはC末端を蛍光標識したものを該酵素の活性測定基質として使用する方法が知られている。一つは4-(2-pyridylamino)butylamine(PABA)で糖鎖ペプチドのC末端側を標識した糖鎖ペプチドを糖受容体として用いる方法で、これまでのところ最も信頼されている方法である(J. Biochem, 120, p385-392, 1996年)。しかしながら、合成の煩雑なPABAは市販されておらず、しかもPABAによる標識のためには糖ペプチドにおけるAsnのN末端の保護、脱保護等の煩雑な操作が必要であり、簡便に製造を行うことは事実上困難であった。 【0006】蛍光標識糖鎖のもう一つの形態はdansyl cholrideで糖鎖ペプチドのN-末端側を標識した糖鎖ペプチドを用いた方法が知られている(Glycoconjugate Journal, 15, p89-91, 1998年)。しかしながら、この方法においては、蛍光標識された糖鎖の安定性に問題があった。また、PABA蛍光基質、dansyl蛍光基質いずれの場合も、糖ペプチドの調製には真核生物由来の糖蛋白質をプロテアーゼで徹底的に加水分解し、ペプチド部分を均一或いはAsnのみにする必要があるが、高分子量の糖ペプチドからペプチド部分の均一或いはAsnのみになった糖鎖ペプチドを高収率で再現性良く調製するのは困難であった。以上の事からガラクトシルトランスフェラーゼ等の非還元末端に作用する糖転移酵素の活性測定やN−結合型糖鎖の根本のN−アセチルガラクトサミンに作用する糖転移酵素のどちらにも使用できる蛍光標識糖転移酵素活性測定基質を大量且つ安定に供給することは事実上困難であった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上記のように、非還元末端に作用する糖転移酵素の活性測定やN−結合型糖鎖の根本のN−アセチルガラクトサミンに作用する糖転移酵素のどちらにも使用できる蛍光標識糖転移酵素活性測定基質を大量且つ安定に供給することは事実上困難であった。本発明は、製造の煩雑な非還元末端に作用する糖転移酵素の活性測定やN−結合型糖鎖の根本のN−アセチルガラクトサミンに作用する糖転移酵素のどちらにも使用できる蛍光標識糖転移酵素活性測定基質を簡便に製造する方法および該基質を用いることによる糖転移酵素活性の測定方法を提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、以下のようなことを見出した。まず、卵黄の水溶性画分から式(2)で表される化合物が容易に得られる(Biochimica et Biophysica Acta, 1335, p23-32, 1997年)ことが知られているが、該式(2)で表される化合物を糖分解酵素により式(3)で表される化合物を得た後、特異性の高いプロテアーゼで効率的にペプチドの消化を行い、式(4)で表される化合物の調製を行う。さらに、入手が容易で標識反応が簡便で安定性及び検出感度の高いNBD−F(4-fluoro-7-nitrobenzofurazan)或いはNBD−Cl(4-chloro-7-nitrobenzofurazan)を用いて式(4)で表される化合物を蛍光標識し、式(1)で表される糖転移酵素活性測定用基質を調製する。式(1)で表される化合物を糖受容体として、糖ヌクレオチドを糖供与体として反応を行った後、反応生成物を高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCとも示す)により検出し、該酵素の酵素活性測定を行う。 【0009】本発明者らは、上記のような知見に基づき本発明を完成させるに至ったものである。すなわち、本発明は以下のような構成からなる。 (1)式(1)で表されることを特徴とする糖転移酵素活性測定用基質。 【化5】
(2)(1)の糖転移酵素活性測定用基質、糖ヌクレオチド及び緩衝液を含んでなることを特徴とする糖転移酵素活性測定用試薬。 (3)(1)の糖転移酵素活性測定用基質を糖受容体とし、かつ糖ヌクレオチドを糖供与体として反応を行った後、高速液体クロマトグラフィーにより反応産物を検出することを特徴とする糖転移酵素活性測定方法。 (4)下記の工程(A)〜(D)より成る(1)の糖転移酵素活性測定用基質の製造方法。 (A)式(2)で表される糖鎖ペプチドの非還元末端糖を除去し、式(3)で表される化合物を得る工程【0010】 【化6】
【0011】 【化7】
(B)(A)で得られた式(3)で表される化合物のペプチド部分をプロテアーゼにより消化し、式(4)で表される化合物を得る工程【0012】 【化8】
(C)式(4)で表される該化合物を4-fluoro-7-nitrobenzofurazan(NBD−F)或いは4-chloro-7-nitrobenzofurazan(NBD−Cl)により蛍光標識し式(1)で表される化合物を得る工程(D)式(1)で表される化合物を精製する工程(5)(A)において除去される非還元末端糖がシアル酸である(4)の製造方法。 (6)シアリダーゼ消化によりシアル酸を除去する(5)の製造方法。 (7)(A)において除去される非還元末端糖がシアル酸及びガラクトースである(4)の製造方法。 (8)シアリダーゼ消化によりシアル酸を除去した後、ガラクトシダーゼ消化によりガラクトースを除去する(7)の製造方法。 (9)(C)のプロテアーゼ消化の工程において用いるプロテアーゼがメタロエンドペプチダーゼ及び/又はズブチリシンである(4)の製造方法。 (10)(C)のプロテアーゼ消化の工程を、メタロエンドペプチダーゼによる消化後にズブチリシンにより消化を行う(9)の製造方法(11)(D)の精製する工程を、NBD標識後に水溶性の有機溶媒を添加し、式(1)で表される化合物を沈殿物として回収することにより行う(4)の製造方法(12)有機溶媒がアセトニトリル、エタノール及びイソプロピルアルコールよりなる群から選択される少なくとも1種を含む溶媒である(9)の製造方法。 (13)工程(D)の後、さらに液体高速クロマトグラフィーにより精製を行う(4)〜(12)のいずれかに記載の製造方法。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明の糖転移酵素活性測定は、式(1)で表される糖転移酵素活性測定基質を糖受容体とし、かつ糖ヌクレオチドを糖供与体として反応を行った後、高速液体クロマトグラフィーにより反応産物を検出することを特徴とする方法である。糖転移酵素活性測定基質の濃度としては測定対象となる糖転移酵素の該基質に対するKm値の2倍程度が望ましい。好ましくは1〜5倍、さらに好ましくは2〜5倍であるが、特に限定されるものではなく、さらに低濃度のものでも十分に該酵素活性を検出することが可能である。糖供与体の濃度としては測定対象となる糖転移酵素の糖ヌクレオチドに対するKm値の2倍程度が望ましい。好ましくは1〜5倍、さらに好ましくは2〜5倍であるが、特に限定されるものではなく、さらに低濃度のものでも十分に該酵素活性を検出することが可能である。 【0014】また、活性測定系に含まれる緩衝液としては、測定対象となる糖転移酵素の至適条件が望ましい。好ましくはpH7.5程度、より好ましくはpH6.0〜7.5程度であるMES緩衝液 、HEPES緩衝液、Tris緩衝液、カコジル酸緩衝液などが例示されるが、その他の緩衝液でも何ら問題はない。 【0015】さらに、本発明の糖転移酵素活性測定基質の製造方法は、下記の工程(A)〜(D)から成ることを特徴とする。 (A)式(2)で表される糖鎖ペプチドの非還元末端糖を除去し、式(3)で表される化合物を得る工程(B)(A)で得られた式(3)で表される化合物のペプチド部分をプロテアーゼにより消化し、式(4)で表される化合物を得る工程(C)式(4)で表される該化合物を4-fluoro-7-nitrobenzofurazan(NBD−F)或いは4-chloro-7-nitrobenzofurazan(NBD−Cl)により蛍光標識し式(1)で表される化合物を得る工程(D)式(1)で表される化合物を精製する工程【0016】上記製造方法において、工程(A)でシアル酸のみを除去した場合、式(5)で表される糖鎖構造の糖ペプチドとなり、工程(B)〜(D)によりα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ、α−1,3−フコシルトランスフェラーゼ(ルイスX合成酵素)活性測定基質として使用可能な式(6)で表される糖転移酵素活性測定基質が得られる。また、該基質はβ−ガラクトシダーゼ活性測定基質としても使用できる。 【0017】 【化9】
【0018】 【化10】
【0019】本法において、脱シアリル化反応はシアリダーゼによるものが好ましいが弱酸性下における化学的な脱シアリル化反応等のその他の方法により行っても問題はない。該シアリダーゼの種類、起源等は特に限定されない。 【0020】また、工程(A)において式(5)で表される化合物からさらにガラクトースを除去した場合、式(7)で表される糖鎖構造の糖ペプチドとなり、工程(B)〜(D)により、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、種々のN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ、α−1,3−フコシルトランスフェラーゼ(植物等の根本に作用するタイプの酵素)等の活性測定基質として使用可能な式(8)で表される糖転移酵素活性測定基質が得られる。また、該基質はN−アセチルグルコサミニダーゼの活性測定基質としても使用可能である。本工程において、脱ガラクトシル化反応はβ−ガラクトシダーゼによるものが好ましいが、その他の方法により行っても問題はない。該β−ガラクトシダーゼの種類、起源等は特に限定されない。 【0021】 【化11】
【0022】 【化12】
【0023】(B)のペプチド鎖部分の消化の工程は、リジン残基のN末端側を特異的に切断するメタロエンドペプチダーゼ及び/又はバリン残基やアラニン残基のC末端側を特異的に切断するズブチリシン消化を行うことが好ましい。特に、メタロエンドペプチダーゼによる消化の後にズブチリシンにより消化を行うのが好ましいが、その他の方法によるものでも何ら問題はない。 【0024】(D)の精製する工程は、NBD標識後に水溶性の有機溶媒を添加し、式(1)で表される化合物を沈殿物として回収する事により行う。該有機溶媒としては特に限定されないが、例えばアセトニトリル、エタノール、イソプロピルアルコールなどが好ましい。これらは単独でも複数を組み合わせてもよい。さらにその後で、HPLCにより精製することがより好ましい。この場合の用いるカラムとしては、逆相系ODSカラム、順相系Amideカラムなどが挙げられる。 【0025】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。 【0026】実施例1 糖転移酵素活性測定基質の製造■糖鎖ペプチドの脱シアリル化卵黄200gから得られた式(2)で表される化合物を0.4M 酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解した後、シアリダーゼ(ナカライテスク製;242-29SP)5Uを添加、37℃にて24時間反応を行い、脱シアリル化を行った。脱シアリル化後、ロータリーエバポレーターにて濃縮、Sephadex G50ゲル濾過カラムにて精製を行った。糖鎖画分を集めロータリーエバポレーターにて乾固し、式(5)で表される化合物を得た。 【0027】■糖鎖ペプチドの脱ガラクトシル化■で得られた式(5)で表される化合物を0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に溶解した後、β−ガラクトシダーゼ(東洋紡績製;GAH-201)6mgを添加、37℃にて24時間反応を行い、脱ガラクトシル化を行った。脱ガラクトシル化後、ロータリーエバポレーターにて濃縮し、Sephadex G50ゲル濾過カラムにて精製を行った。糖鎖画分を集めロータリーエバポレーターにて乾固し、式(7)で表される化合物を得た。 【0028】■メタロエンドペプチダーゼ消化上記のようにして得られた式(7)で表される化合物を0.1M トリエチルアミン−塩酸緩衝液(pH10)に溶解、メタロエンドペプチダーゼ(生化学工業製;100965)4Uを添加、37℃にて24時間反応を行った。反応後、反応液をフェノール/クロロホルム処理により除タンパク質した後、ロータリーエバポレーターにより乾固し、式(9)で表される化合物とした。 【0029】 【化13】
【0030】■ズブチリシン消化上記のようにして得られた式(9)で表される化合物を0.4M 重炭酸アンモニウム緩衝液(pH8.0)に溶解、ズブチリシン(ロシュ・ダイアグノスティックス製;165905)35mgを添加、37℃にて72時間反応を行った。反応後、反応液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bio Gel P2カラム(バイオラッド製)にて精製を行った。得られた糖鎖画分をローターリーエバポレーターにより乾固し、式(10)で表される化合物とした。 【0031】 【化14】
【0032】■NBD標識反応上記のようにして得られた式(10)で表される化合物を0.1M ホウ酸−NaOH緩衝液(pH8.0)140μlに溶解し、これに20mM NBD−F(アセトニトリル中に溶解したもの)30μlを添加、60℃で5分間保温することによりNBD標識反応を行った。反応後直ちに反応液を氷中にて冷却し、0.1M HCl 20μlを添加した後、乾固し式(8)で表される化合物とした。 【0033】■標識反応後の精製■において得られた式(8)で表される化合物をMilliQ水10μlに溶解、アセトニトリル200μlを添加、−20℃にて30分間保温した後、遠心分離に供し(15,000 rpm、15分)、沈殿として式(8)で表される化合物を得た。未反応のNBD−F、NBD−OH、NBD−NH2等はアセトニトリル相に移行し除去された。沈殿をアセトニトリルにより洗浄した後、乾燥させ粗精製糖転移酵素活性測定基質とした。 【0034】■HPLCによる精製■で得られた粗精製糖転移酵素活性測定基質をさらにHPLCにて精製を行い、精製糖転移酵素活性測定基質とした。この場合のカラムとしては、逆相系ODSカラム、順相系Amideカラムなどが挙げられる。 【0035】■精製糖転移酵素活性測定基質の定量濃度が既知であるアスパラギンをNBD標識したものを標準液として検量線を作成し、精製糖転移酵素活性測定基質の定量を行った(図1及び表1)。さらに、精製糖転移酵素活性測定基質を酸加水分解した後、Dionexシステム(日本ダイオネックス製)に供する事により単糖分析を行い定量を行った結果、Asn−NBDスタンダード法とほぼ同等の値が得られた(表1)。 【0036】 【表1】
【0037】実施例2 α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性測定■α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素液の調製ヒト由来α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子をもつpMF-P101ベクターにより形質転換されたエシェリヒア・コリ(Escherichia coli )JM109(東洋紡績製)から精製調製したα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを酵素溶液として用いた。 【0038】(2)α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ反応下記表2に記載の反応液に酵素溶液5μlを添加、混合した後37℃にて10分間保温した。10分間の保温の後、1分間の煮沸により反応を停止した。煮沸後、MilliQ水80μlを添加混合し、遠心分離により変性したタンパク質を除去した。 【0039】 【表2】
【0040】(3)HPLCによる分析上記反応液20μlをHPLCにアプライし、反応生成物の分析及び定量を行った。HPLCの条件は下記表3に記載の通りである。 【0041】 【表3】
【0042】HPLC分析の結果、未反応基質は約3分の位置に、反応生成物は約4.5分の位置に現れた(図2)。また、糖供与体GDP(グアノシン二リン酸)−フコース非存在下では反応生成物のピークは検出されなかった(図3)。さらに、酵素量及び反応時間に応じて反応生成物の量が増大した(図4)。本基質を用いて、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼに対するKm値を測定した結果、従来のPABA蛍光標識したα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性測定基質を用いた場合(25.0μM;J. Biol.Chem. 271, 27810-27817)とほぼ同等の値を示したことから(図5)本発明の式1で表される化合物はα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの活性測定基質として十分に使用できることが確認された。 【0043】実施例3 β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼの活性測定(1)β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ反応下記表4に記載の反応液にβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ酵素溶液(東洋紡績製)5μlを添加、混合した後37℃にて10分間保温した。10分間の保温の後、1分間の煮沸により反応を停止した。煮沸後、MilliQ水80μlを添加混合し、遠心分離により変性したタンパク質を除去した。 【0044】 【表4】
【0045】(3)HPLCによる分析上記反応液20μlをHPLCにアプライし、反応生成物の分析及び定量を行った。HPLCの条件は下記表5に記載の通りである。 【0046】 【表5】
【0047】HPLC分析の結果、未反応基質は約17分の位置に、反応生成物は約20分の位置に現れた(図6)。また、糖供与体UDP(ウリジン二リン酸)−ガラクトース非存在下では反応生成物のピークは検出されなかった(図7)。さらに、酵素量及び反応時間に応じて反応生成物の量が増大した(図8)。本活性測定基質を用いて測定した活性値は市販品に記載の値とほぼ一致したことから本活性測定基質を用いてβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼの活性測定が可能であることが確認された。 【0048】 【発明の効果】上述したように、本発明により、製造が困難であった非還元末端に作用する糖転移酵素の活性測定やN−結合型糖鎖の根本のN−アセチルガラクトサミンに作用する糖転移酵素のどちらにも使用できる蛍光標識糖転移酵素活性測定基質が簡便に製造できるようになった。また、本発明糖転移酵素活性測定基質を用いて迅速に種々の酵素活性が検出できるようになった。今後さらに、糖鎖工学の基礎研究分野や診断用途への貢献できるようになるものと考えられる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月21日(2000.3.21) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−258596(P2001−258596A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月25日(2001.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2000−78457(P2000−78457) |
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