トップ :: C 化学 冶金 :: C11 動物性または植物性油,脂肪,脂肪性物質またはろう;それに由来する脂肪酸;洗浄剤;ろうそく

【発明の名称】 体脂肪燃焼促進剤
【発明者】 【氏名】小池 真
【氏名】細谷 直樹
【氏名】石橋 稔
【氏名】安増 毅
【課題】構成アシル基中のω3系不飽和アシル基含量が15重量%以上であるジグリセリド及び/又はモノグリセリドを5重量%以上含有する油脂を有効成分とする体脂肪燃焼促進剤。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 構成アシル基中のω3系不飽和アシル基含量が15重量%以上であるジグリセリド及び/又はモノグリセリドを5重量%以上含有する油脂を有効成分とする体脂肪燃焼促進剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は体脂肪や内臓脂肪、肝臓脂肪の低下効果に優れ、かつ安全な体脂肪燃焼促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、体脂肪の分布と種々の成人病との関係について研究が進み、特に腹腔内脂肪や肝臓脂肪等の内臓脂肪の蓄積は、肥満だけでなく、糖尿病、高脂血症、肝疾患、高血圧症などと高い相関関係があることが示されている。従って体脂肪を低下させることは、これらの疾患を予防及び治療するうえで重要である。
【0003】当該体脂肪を低下させるには、運動及び食事が重要であるが、管理に困難を伴うことが多い。一方、薬物療法により体脂肪を低下させようとする試みもあるが、用いる薬物の安全性が問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は安全でかつ体脂肪低下効果の高い体脂肪燃焼促進剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは油脂中のジグリセリド及びモノグリセリドの含量とそれらの構成アシル基中のω3系不飽和アシル基含量に着目して検討したところ、これらを、特定量含む油脂に優れた体脂肪燃焼促進作用があることを見出した。
【0006】すなわち、本発明は、構成脂肪酸中のω3系不飽和アシル基含量が15重量%以上であるジグリセリド及び/又はモノグリセリドを5重量%以上含有する油脂を有効成分とする体脂肪燃焼促進剤を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の体脂肪燃焼促進剤に用いられる油脂は、ジグリセリド及び/又はモノグリセリドを5重量%(以下、単に%で示す)以上含有するものであり、好ましくは15%以上、更に好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上含有するものである。ジグリセリド及び/又はモノグリセリド含量が5%未満では充分な体脂肪低下効果を得ることができない。
【0008】本発明に用いられる油脂に含まれるジグリセリド及び/又はモノグリセリドの構成アシル基中のω3系不飽和アシル基含量は、体脂肪低下効果の点から15%以上が必要であり、好ましくは20%以上、特に好ましくは25%以上である。ここで上記ω3系不飽和アシル基とは炭素−炭素不飽和結合の位置をω位から特定し、ω位から3番目の炭素原子に最初の不飽和結合が位置するアシル基であって、かつ炭素−炭素不飽和結合を2以上有するものをいう。炭素−炭素不飽和結合を3〜6有するものが好ましい。炭素数20以上のω3系不飽和アシル基としては、エイコサペンタエノイル基、ドコサペンタエノイル基、ドコサヘキサエノイル基が好ましい。また、炭素数20未満のω3系不飽和アシル基としては、α−リノレイル基(all cis-9,12,15−オクタデカトリエノイル基)が好ましい。炭素数20以上のものは体脂肪低下効果が高いが、特に肝臓脂肪低下、肝機能改善効果に優れている。またω3脂肪酸に基づく抗腫瘍、抗アレルギー効果等が期待できる。炭素数20未満のものも体脂肪低下効果を有するが、特に酸化安定性がよく、風味良好なので、これらが求められる用途に適している。
【0009】また、本発明で用いられる油脂中には、上記ジグリセリド及びモノグリセリド以外に、トリグリセリドを好ましくは0.1〜95%、より好ましくは0.1〜85%、更に好ましくは0.1〜60%、特に好ましくは0.1〜50%含有する。このジグリセリド及び/又はモノグリセリドを構成するアシル基の炭素数に特に制限はないが、8〜24、特に16〜22が好ましい。不飽和アシル基の量は、全アシル基の55%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。本発明で用いられる油脂中に含まれるトリグリセリドを構成するアシル基の組成も上記ジグリセリド及びモノグリセリドのアシル基組成と同様であることが好ましい。
【0010】以下、本発明に用いる油脂の特に好ましい組成を示す。ジグリセリド及び/又はモノグリセリドは粘度低下及び酸化安定性の観点から、ω3系不飽和アシル基含量が15%以上、更に20〜70%、特に25〜65%であるのが好ましく、またモノエンアシル基含量が10〜85%、更に12〜45%、特に14〜35%であるのが好ましい。ここでモノエンアシル基は、炭素−炭素二重結合を1個有するアシル基であり、ヘキサデカモノエノイル基、オクタデカモノエノイル基、エイコサデカモノエノイル基、ドコサデカモノエノイル基が好ましい。
【0011】ジグリセリド及びモノグリセリドの構成アシル基中は、更にω6系不飽和アシル基を含有するものであることが好ましい。ここでω6系不飽和アシル基とは、炭素−炭素不飽和結合の位置をω位から特定し、ω位から6番目の炭素原子に最初の不飽和結合が位置するアシル基であって、かつ炭素−炭素不飽和結合を2以上有するものをいう。炭素−炭素不飽和結合数は3〜6が好ましい。ω6系不飽和アシル基を含有すれば、その拮抗作用により、ω3系不飽和アシル基を過剰に摂取した際に生じる溶血、出血等の副作用の発現を抑制し、ω3系不飽和アシル基が有する生理活性の発現を容易にすることができる。ω6系不飽和アシル基としては、リノレイル基(cis,cis-9,12−オクタデカジエノイル基)、γ−リノレノイル基(All cis-6,9,12−オクタデカトリエノイル基、アラキドイル基(All cis-5,8,11,14−エイコサテトラエノイル基)等が挙げられるがリノレイル基が好ましい。ω6系不飽和アシル基の、ジグリセリド及び/又はモノグリセリド構成アシル基中の含有量は、上記効果をより顕著とする点から、0.5〜75%が好ましく、0.5〜50%がより好ましく、1〜25%が特に好ましい。
【0012】本発明に用いられる油脂には、酸化安定性を向上させるために、グリセリド重合物を含有していてもよい。グリセリド重合物は、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドといったグリセリドが、分子間で重合したもので(例えば、化学と生物21巻179頁1983年)、グリセリドの重合度、脂肪酸エステルの位置等に特に制限はない。グリセリド重合物の油脂中の含有量は、油脂組成物の酸化安定性の向上及び風味の観点から、0.1〜10%が好ましく、0.2〜5%がより好ましく、0.3〜4%が特に好ましい。かかるグリセリド重合物は、グリセリド合成時、反応温度条件等を適宜調整することにより、その量を調整できる。グリセリド重合物はゲル濾過クロマトグラフィーカラムを接続したHPLC法により定量できる。また、油脂中の遊離脂肪酸含有量は5%以下が好ましい。
【0013】本発明に用いられる油脂は、例えば魚油、ナタネ油等のω3系不飽和アシル基等を構成アシル基として含有する油脂とグリセリンとのエステル交換反応等により得られたトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド等を分画し、次いでこれらを適宜混合することによって製造することができる。
【0014】かくして得られた油脂は、優れた体脂肪燃焼促進効果を有し、体脂肪低下、内臓脂肪低下、血中中性脂肪消費、肝臓脂肪低下、肝機能改善等の優れた生理活性を示し、また安全性が高い。従って、本発明の体脂肪燃焼促進剤は医薬及び食品として用いることができる。本発明で用いるDGとMGは用途により使いわけることができる。DG/(DG+MG)重量比が0.5以上の場合は油溶性が求められる用途、0.5未満の場合には水溶性が求めらる用途に適している。
【0015】本発明体脂肪燃焼促進剤を医薬として用いる場合、投与形態としては経口、経腸及び静脈内投与等が挙げられるが、経口投与用医薬が好ましい。具体的には散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等が挙げられる。これらの経口投与剤は、上記油脂の他、経口投与剤の形態に応じて一般に用いられる、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等を添加し、常法に従って製造することができる。前記の油脂の経口投与用医薬製剤への配合量は、一般に0.1〜100%、特に1〜80%が好ましい。また、投与量は、前記油脂として、1日当たり0.1〜50gを、1〜数回に分けて投与することが好ましい。
【0016】食品としては、例えば体脂肪燃焼促進機能を発揮して健康増進を図る健康食品、機能性食品、特定保健用食品等が挙げられる。具体的には、かかる油脂を配合した錠剤、顆粒剤、フレンチドレッシング等のドレッシング類、マヨネーズ類、クリーム類、チョコレートやポテトチップス等の菓子類、飲料等が挙げられる。かかる食品は、上記油脂の他に、食品の種類に応じて一般に用いられる食品原料を添加し、常法にしたがって製造することができる。上記の油脂の食品への配合量は、食品の種類によっても異なるが、一般に0.1〜100%、特に1〜80%が好ましい。また天ぷらやフライ等の揚げ物用油、あるいは炒め物用油等の食品素材として用いることができる。
【0017】
【実施例】製造例1魚油(花王(株)製)200重量部とグリセリン(和光純薬工業(株)製)8重量部とを混合し、アルカリ触媒(ナトリウムメトキサイドCH3ONa)0.6重量部を混合し、減圧下(0.133kPa)100℃で4時間エステル交換反応を行った。得られた反応生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画し、次いでトリグリセリド56.1重量部、ジグリセリド42.9重量部、モノグリセリド1.0重量部を混合して油脂1を製造した。
【0018】製造例2DHA高含有油(マルハ(株)製「DHA−45」)200重量部とグリセリン10重量部を混合し、製造例1と同様にしてエステル交換反応、各成分の分画を行った。次いでトリグリセリド10.3重量部、ジグリセリド87.4重量部、モノグリセリド1.9重量部及びグリセリド重合物0.4重量部を混合して油脂2を製造した。
【0019】製造例3亜麻仁油(「スキャンオイル」、輸入元:日本商事(株))180重量部とグリセリン12重量部を混合し、製造例1と同様にしてエステル交換反応、各成分分画を行った。次いで、トリグリセリド36.8重量部、ジグリセリド61.3重量部、モノグリセリド0.5重量部、遊離脂肪酸0.8重量部、グリセリド重合物0.6重量部を混合して油脂3を製造した。
【0020】製造例4エゴマ油(太田油脂(株)製)180重量部とグリセリン15重量部を混合し、製造例1と同様にしてエステル交換反応、各成分の分画を行った。次いでトリグリセリド13.3重量部、ジグリセリド24.1重量部、モノグリセリド58.3重量部、遊離脂肪酸3.1重量部及びグリセリド重合物1.2重量部を混合して油脂4を製造した。
【0021】製造例5エゴマ油140重量部、オリーブ油(和光純薬工業(株)製)70重量部及びグリセリン20重量部を混合し、製造例1と同様にしてエステル交換反応、各成分の分画を行った。次いでモノグリセリド100%画分を油脂5とした。
【0022】比較例1、2ナタネ油(日清製油(株)製)及び魚油を、それぞれ油脂6(比較例1)及び油脂7(比較例2)とした。
【0023】比較例3製造例2で得られた各分画成分のうち、トリグリセリド96.2重量部及びジグリセリド3.8重量部を混合して油脂8を製造した。
【0024】比較例4ナタネ油200重量部とグリセリン10重量部を混合し、製造例1と同様にしてエステル交換反応、各成分の分画を行った。次いでトリグリセリド21.7重量部、ジグリセリド76.5重量部、モノグリセリド1.3重量部及び遊離脂肪酸0.5重量部を混合して油脂9を製造した。
【0025】比較例5オリーブ油200重量部とグリセリン20重量部を混合し、製造例1と同様にしてエステル交換反応、各成分の分画を行った。次いでトリグリセリド0.1重量部、ジグリセリド0.2重量部、モノグリセリド99.2重量部、遊離脂肪酸0.5重量部を混合して油脂10を製造した。
【0026】製造例1〜5及び比較例3、4及び5で得られた各油脂由来のジグリセリド画分の主要脂肪酸組成を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】試験例110週齢のWistar系雄性ラットを各群8匹ずつ11群に分け、表2記載の組成の食餌を2週間与えた。その後ラットを18時間絶食させた後、エーテル麻酔下で、血液の生化学試験を行うために腹部大動脈より採血を行った。同時に肝臓、腎臓周囲脂肪組織を摘出して重量を測定した後、その0.5gを10mLクロロフォルム−メタノール混液(2:1)中にて、ガラスホモジナイザーを用いて破砕し、ガラス繊維濾紙(GA100 47mm)で吸引濾過した。濾液に生理食塩水を加えて穏やかに混和した後、遠心分離(3000rpm×10分を行い分層させ、下層を取り出して窒素気流下で乾固した。得られた固形物を、適当量のn−ヘキサンで再溶解し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、再度窒素気流下で溶媒を除去し乾固した。この固形物を、5mLの2−プロパノールに溶解し脂質定量の試験液とした。体脂肪率は小動物用体脂肪測定装置(EM−SCAN SA−2 セントラル科学貿易)で測定した。血中及び肝臓、腎臓周囲脂肪組織のトリグリセリドは、トリグリセライド テストワコー(和光純薬製)にて測定した。肝臓の総コレステロールはコレステロールEテストワコー(和光純薬製)にて測定した。また、血中のGOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)活性、GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)活性は、血清を分離後、Karmen法(J. Clin, Invest. 34 巻 131頁 1955 年)にて、それぞれアスパラギン酸、アラニンを基質として測定を行った。得られた結果を表3に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】表3の結果より、コーン油10%に一定のω3不飽和アシル基含量を有するジグリセリド及び/又はモノグリセリドを5%以上含む油脂を3%添加した食餌摂取群では、優れた体脂肪低下効果が得られ、腎周囲トリグリセリド量、肝臓トリグリセリド量、肝臓総コレステロール量、血清トランスアミナーゼ値(GOT,GPT)、及び血中中性脂肪量(TG)も低下させることがわかる。
【0032】試験例232〜37歳の健常男性3名(A,B,C)に、食生活を変えることなく、ソフトカプセルに充填した油脂2を1日1g6週間摂取させ、BMI〔Body MassIndex :体重kg/(身長m×身長m)〕、体脂肪率、ウエストサイズを測定した。結果を表4に示す。
【0033】
【表4】

【0034】表4の結果より、本発明の体脂肪燃焼促進剤を摂取すると、食生活を変えることなく、体脂肪率が減少し、それに伴いBMI、ウエストサイズが低下することがわかる。
【0035】実施例1【0036】
【表5】

【0037】上白糖、食塩、油脂1又は油脂5、サラダ油、ショートニングをボールに入れ、ホバートミキサーにて攪拌した。これに全卵を徐々に加え、ホバートミキサーで攪拌した。予め混合しておいた薄力粉と強力粉を3回に分けて加え、ホバートミキサーで攪拌した。調製した生地を25gずつ小分けし、金属製型枠に詰めた。オーブン焼成(160℃、50分)後、型枠から外し、放冷してショートブレッド製造した。
【0038】実施例2下記組成のソフトカプセル皮(オバール型、重さ150mg)に油脂2又は油脂4を300mg常法により充填し、ソフトカプセルを作製した。
【0039】
【表6】

【0040】実施例3【0041】
【表7】

【0042】卵黄レシチンにグリセリン、精製水(2.5部)を混合し、更に、油脂3を少量ずつ攪拌しながら加えた。これに精製水(83.8部)を少量ずつ攪拌しながら加えた。ウルトラホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて9000rpm で30分間乳化し、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)で、240W30分間超音波乳化(10℃)し、pHを7.4に調製(0.1N水酸化ナトリウム水溶液)した。次いでメンブランフィルター濾過(孔径3μm、1.2μm、0.45μm)し、窒素雰囲気下で分注後、オートクレーブ滅菌(121℃20分間)して静脈用注射剤を調製した。
【0043】
【発明の効果】本発明の体脂肪燃焼促進剤を用いれば、食生活を変えることなく、無理なく少量で、安全に効率よく体脂肪が顕著に低下し、内臓脂肪、血中中性脂肪が著しく減少し、更に肝臓脂肪も低下し、肝機能も改善される。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成11年8月26日(1999.8.26)
【代理人】 【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸 (外4名)
【公開番号】 特開2001−64672(P2001−64672A)
【公開日】 平成13年3月13日(2001.3.13)
【出願番号】 特願平11−239970