トップ :: C 化学 冶金 :: C10 石油,ガスまたはコ−クス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭




【発明の名称】 石炭ガス化方法
【発明者】 【氏名】片山 優久雄

【要約】 【課題】本発明は、著しく高い効率を有し、かつ炭酸ガスの放出量が著しく少ない石炭ガス化方法を提供するものである。

【解決手段】石炭をガス化する方法において、水の電気分解により得られた酸素と、ガス化により発生する高温ガスと熱交換して得られた300〜600℃の水蒸気とを用いて、1〜100kg/cm2の圧力下で石炭をガス化し、次いで、該ガス化により得られたガスに上記の水の電気分解により得られた水素を混合する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸素と水蒸気とを用いて石炭をガス化する方法において、水の電気分解により得られた酸素と、石炭のガス化により発生する高温ガスと熱交換して得られた300〜600℃の水蒸気とを用いて、1000〜2500℃の温度及び1〜100kg/cm2の圧力下で石炭をガス化する方法。
【請求項2】 ガス化により得られたガスに上記の水の電気分解により得られた水素を混合して混合ガスを得るところの請求項1記載の方法。
【請求項3】 水蒸気を用いて石炭をガス化する方法において、水の電気分解により得られた酸素と水素とを燃焼させて得られた2000〜2700℃の水蒸気を用いて、1000〜2500℃の温度及び1〜100kg/cm2の圧力下で石炭をガス化する方法。
【請求項4】 水の電気分解が、風力、水力又は太陽エネルギーから作られる電力を用いて行われるところの請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】 24時間当りの水の電気分解により、石炭をガス化するために必要な酸素量又は酸素と水素の量の少なくとも24時間分が製造されるところの請求項4記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭ガス化方法に関し、更に詳しくは、風力、水力又は太陽エネルギーから作られる電力を有効に利用することが可能な石炭ガス化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の石炭ガス化方法としては、部分燃焼ガス化と水素添加ガス化が知られている。石炭からクリーンなガスを製造するために、これらのガス化方法では転換効率は前者の場合で70%程度、最新の後者の場合でさえも精々75%程度である。
【0003】ここで、前者の酸素を用いる部分燃焼ガス化プロセスの熱バランスの一例を以下に示す。
【0004】
【表1】

【0005】上記のように、従来の部分燃焼ガス化方式では、石炭の持つ熱量7330Kcal/kgのエネルギーの約70%がクリーンなガスとして利用可能となる。従来、石炭を部分燃焼ガス化させる場合に、原料石炭の一部を燃焼させ電力又は水蒸気を発生させ、この電力又は水蒸気を用いて空気分離を行い酸素の製造を行っていた。このために石炭のガス化によって得られるクリーンなガスへの転換効率は精々70%程度であり、また、炭酸ガス削減効果はマイナスとなる。これが、石炭のガス化によって製造されるガス化ガスの利用が敬遠される原因となっている。更に、石炭は石油や天然ガスと比べて燃焼による単位熱量当りの炭酸ガス放出量が多いため、温暖化防止の立場からその使用が制限されつつあるのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、著しく高い効率を有し、かつ炭酸ガスの放出量が著しく少なく、更には極めてクリーンなガスが得られる石炭ガス化方法を提供するものである。
【0007】
【発明を解決するための手段】本発明者は、上記の問題点を解決するために種々の検討を重ねた。その結果、従来は、石炭を部分燃焼ガス化させる場合に、原料石炭の一部を燃焼させ電力又は水蒸気を発生させ、この電力又は水蒸気を用いて空気分離を行い酸素の製造を行っていたために、石炭のガス化によって得られるクリーンなガスへの転換効率が低くなること、加えて、炭酸ガスの放出量も著しく多くなることに着目した。そして、かかる酸素製造に代えて水の電気分解を使用して酸素を製造し、かつ第一の実施態様においては、水の電気分解によって併産された水素をガス化により得られたガスに混合すれば、著しくガス化効率を高め得ること、かつ炭酸ガスの放出量も著しく少なくし得ること、加えて、ガス化により得られたガスの熱量を著しく高め得ることを見出した。また、第二の実施態様においては、水の電気分解により得られた酸素と水素から高温の水蒸気を製造し、これを利用して石炭をガス化すれば、同じくクリーンかつ高い熱量のガスを著しく高い効率で、炭酸ガスの放出量も著しく少なくて製造し得ることを見出した。とりわけ、水の電気分解に自然エネルギー、例えば、風力、水力又は太陽エネルギーから作られる電力を有効に活用すれば、著しく経済性を高めることができる。これら自然エネルギーの中で太陽と風力のエネルギーは、時々刻々変動するために、これから得られる熱を直接石炭のガス化エネルギーに利用することが不可能であった。しかし、本発明では、これを一旦電力に変換し、得られた電力を用いて水を電気分解して酸素と水素を製造し、この酸素又は酸素と水素を用いて石炭をガス化するため、これらの自然エネルギーを有効に用いることができる。そして、太陽や風力によって製造される電力から生産される酸素量や水素量は、ガス化炉を24時間運転するのに必要な量を1日の稼働時間内に製造・貯蔵することが好ましい。これにより、プラントの利用効率をより高く維持することができて、更に経済性を高めることができる。
【0008】即ち、本発明の第一の実施態様は、(1)酸素と水蒸気とを用いて石炭をガス化する方法において、水の電気分解により得られた酸素と、石炭のガス化により発生する高温ガスと熱交換して得られた300〜600℃の水蒸気とを用いて、1000〜2500℃の温度及び1〜100kg/cm2の圧力下で石炭をガス化する方法である。好ましい態様として、(2)ガス化により得られたガスに上記の水の電気分解により得られた水素を混合して混合ガスを得るところの上記(1)記載の方法、(3)酸素量が、ガス化に使用される石炭に含まれる炭素のモル数の半分から、該石炭に含まれる酸素のモル数を差引いて求められる必要酸素モル量の1.1〜0.3倍であるところの上記(1)又は(2)記載の方法、(4)酸素量が、ガス化に使用される石炭に含まれる炭素のモル数の半分から、該石炭に含まれる酸素のモル数を差引いて求められる必要酸素モル量の1.0〜0.5倍であるところの上記(1)又は(2)記載の方法、(5)水蒸気量が、ガス化に使用される石炭重量の0.1〜1.5倍であるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の方法、(6)水蒸気量が、ガス化に使用される石炭重量の0.15〜0.6であるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の方法、(7)水蒸気の温度が、1000〜1500℃である上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の方法、(8)石炭ガス化温度が、1300〜2000℃である上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の方法、(9)石炭ガス化温度が、1500〜2000℃である上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の方法、(10)石炭ガス化圧力が、15〜80kg/cm2である上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の方法、(11)水の電気分解が、風力、水力又は太陽エネルギーから作られる電力を用いて行われるところの上記(1)〜(10)のいずれか一つに記載の方法、(12)水の電気分解が、風力又は太陽エネルギーから作られる電力を用いて行われるところの上記(1)〜(10)のいずれか一つに記載の方法、(13)24時間当りの水の電気分解により、石炭をガス化するために必要な酸素量の少なくとも24時間分が製造されるところの上記(11)又は(12)に記載の方法、(14)水の電気分解を太陽エネルギーを使用して行う場合に、ガス化により発生する高温ガスと熱交換して得られた300〜600℃の水蒸気を、太陽熱を集光して1000〜1500℃に昇温して用いる上記(1)〜(13)のいずれか一つに記載の方法、(15)二酸化炭素、窒素若しくは水素による気流輸送方式、又は水スラリー方式により微粉炭をガス化炉に供給するところの上記(1)〜(14)のいずれか一つに記載の方法を挙げることができる。また、本発明の第二の実施態様は、(16)水蒸気を用いて石炭をガス化する方法において、水の電気分解により得られた酸素と水素とを燃焼させて得られた2000〜2700℃の水蒸気を用いて、1000〜2500℃の温度及び1〜100kg/cm2の圧力下で石炭をガス化する方法である。好ましい態様として、(17)酸素量が、ガス化に使用される石炭に含まれる炭素のモル数の半分から、該石炭に含まれる酸素のモル数を差引いて求められる必要酸素モル量の1〜1.5倍であるところの上記(16)記載の方法、(18)酸素量が、ガス化に使用される石炭に含まれる炭素のモル数の半分から、該石炭に含まれる酸素のモル数を差引いて求められる必要酸素モル量の1.1〜1.3倍であるところの上記(16)記載の方法、(19)水素量が、ガス化に使用される石炭に含まれる炭素のモル数の半分から、該石炭に含まれる酸素のモル数を差引いて求められる必要酸素モル量の2〜3倍であるところの上記(17)又は(18)記載の方法、(20)水素量が、ガス化に使用される石炭に含まれる炭素のモル数の半分から、該石炭に含まれる酸素のモル数を差引いて求められる必要酸素モル量の2.0〜2.6倍であるところの上記(17)又は(18)記載の方法、(21)水蒸気の温度が、2000〜2700℃である上記(17)〜(20)のいずれか一つに記載の方法、(22)石炭ガス化温度が、1300〜2000℃である上記(17)〜(21)のいずれか一つに記載の方法、(23)石炭ガス化圧力が、15〜80kg/cm2である上記(17)〜(22)のいずれか一つに記載の方法、(24)水の電気分解が、風力、水力又は太陽エネルギーから作られる電力を用いて行われるところの上記(17)〜(23)のいずれか一つに記載の方法、(25)水の電気分解が、風力又は太陽エネルギーから作られる電力を用いて行われるところの上記(17)〜(23)のいずれか一つに記載の方法、(26)24時間当りの水の電気分解により、石炭をガス化するために必要な酸素と水素の量の少なくとも24時間分が製造されるところの上記(24)又は(25)に記載の方法、(27)二酸化炭素、窒素若しくは水素による気流輸送方式、又は水スラリー方式により微粉炭をガス化炉に供給するところの上記(18)〜(26)のいずれか一つに記載の方法を挙げることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第一及び第二の実施態様についてのプロセスフローの一例を示す図である。図1に示したプロセスフローは、水の電気分解に太陽エネルギーを使用したものである。
【0010】本発明の第一及び第二の実施態様を、図1に基づいて詳細に説明する。太陽1からの熱又は光を、集熱コレクター又は発電セル2で受け、電力を発生させて直流電力を電線3及び4で電気分解槽5に送る。電気分解槽5では、水が電気分解され、水1モルからは0.5モルの酸素と1モルの水素が製造される。製造された酸素は、ライン6で酸素用ガスホルダー8に送られ貯蔵され、同様に水素は、ライン7にて水素用ガスホルダー9に送られて貯蔵される。
【0011】微粉炭は、微粉炭供給ライン12を通って、下記所定の温度及び圧力に保たれたガス化炉14に導かれる。微粉炭は好ましくは、二酸化炭素、窒素若しくは水素による気流輸送方式、又は水スラリー方式によりガス化炉に供給される。ここで、微粉炭の粒度は、好ましくは100〜200メッシュである。
【0012】第一の実施態様においては、上記のガス化炉14に、酸素用ガスホルダー8から酸素吹き込みライン10を経て酸素が吹き込まれる。吹き込まれる酸素量は、投入された石炭に含まれる炭素のモル数の半分から、石炭中に含まれる酸素のモル数を差し引いて求められる必要酸素モル量の好ましくは1.1〜0.3倍、より好ましくは1.0〜0.5倍である。また、水蒸気ライン13からは水蒸気が吹き込まれる。夜間は、ガス化により発生する高温ガスと熱交換して得られた300〜600℃の廃熱ボイラー回収水蒸気が石炭投入重量の好ましくは0.1〜1.5倍、より好ましくは0.15〜0.6倍で吹き込まれる。一方、昼間は、太陽光を集光して、これを例えば、遠赤外線を発生させるセラミックチューブに当て、このチューブ中に上記300〜600℃の廃熱ボイラー回収水蒸気を通して、好ましくは1000〜1500℃に加熱して高温水蒸気とし、該高温水蒸気を石炭投入重量の好ましくは0.1〜1.5倍、より好ましくは0.15〜0.6倍で吹き込む。このように、高温水蒸気を吹込んでガス化反応温度を好ましくは1500〜2000℃にすると、石炭の水蒸気改質反応が促進されため好ましい。太陽エネルギー以外の風力又は水力エネルギーを使用する場合には、昼夜間とも、ガス化により発生する高温ガスと熱交換して得られた300〜600℃の廃熱ボイラー回収水蒸気が上記の量で吹き込まれる。上記の酸素及び水蒸気のガス化炉への吹込みにより、1000〜2500℃、好ましくは1300〜2000℃の温度及び1〜100kg/cm2、好ましくは15〜80kg/cm2の圧力下で石炭が部分燃焼ガス化及び水蒸気改質ガス化される。
【0013】第二の実施態様においては、上記のガス化炉14に、酸素用ガスホルダー8から酸素吹き込みライン10を経て酸素が吹き込まれる。吹き込まれる酸素量は、投入された石炭に含まれる炭素のモル数の半分から、石炭中に含まれる酸素のモル数を差し引いて求められる必要酸素モル量の好ましくは1〜1.5倍、より好ましくは1.0〜1.3倍である。また、水素が、投入された石炭に含まれる炭素のモル数の半分から、石炭中に含まれる酸素のモル数を差し引いて求められる必要酸素モル量の好ましくは2〜3倍、より好ましくは2.0〜2.6倍の水素が水素用ガスホルダー9から水素吹き込みライン11を経てガス化炉14に吹き込まれる。上記の酸素及び水素のガス化炉への吹込みにより、1000〜2500℃、好ましくは1300〜2000℃の温度及び1〜100kg/cm2、好ましくは15〜80kg/cm2の圧力下で石炭が水蒸気改質ガス化される。
【0014】ガス化炉におけるガス化ガスの温度が1500℃を超える場合には、ガス化炉内壁面に設置された蒸気冷却設備による冷却では賄いきれないため、ガス化炉14の上部で好ましくは300℃程度の水蒸気又はガス化ガスを吹き込むことによって、好ましくは1200℃程度まで冷却し炉壁の保護を行う。燃焼による高温で融けた大部分の石炭灰は、抜き出しライン15からスラグとして排出される。好ましくは1200℃程度まで冷却されたガス化ガスは、ライン16を通って廃熱回収ボイラ17に送られる。廃熱回収ボイラ17において、低温水蒸気ライン18からの水蒸気によってガス温度は、好ましくは250℃程度まで冷却される。廃熱回収ボイラ17で熱交換された高温・高圧水蒸気は、高温水蒸気ライン19から回収されて、第一の実施態様においては石炭のガス化用に使用される。廃熱回収ボイラーとしては、従来公知のものを使用することができる。
【0015】好ましくは250℃程度まで冷却されたガス化ガスは、ライン20によって好ましくは水洗浄塔21に送られ水シャワー22によってアンモニアと僅かに残る塵芥が除去され、ライン23で排出される。水洗浄され約40℃に冷却されたガス化ガスは、好ましくは硫化水素除去のためにライン24を通り、酸性ガス吸収塔25に送られる。硫化水素等の酸性ガスはライン26によって抜き出される。精製されたガス化ガスは好ましくは、ライン28からの水素と混合され、ブロワー29によってライン27を通って製品ガス30として利用される。
【0016】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】各実施例は、下記の表2及び表3に示した組成を持つ石炭1t/日に各ガスを所定量及び所定温度で吹き込んで本発明の方法を使用して、石炭をガス化した際の物質収支及び熱収支をコンピューターシミュレーションにより算出した結果に基づいて記載したものである。各実施例において使用した石炭の元素組成は下記の表2の通りである。
【0017】
【表2】

該石炭の灰分及び発熱量(HHV)は下記の表3の通りである。
【0018】
【表3】
灰分 8.90 重量%発熱量(HHV) 7330 kcal/kg・coal【0019】
【実施例1】図1に示した装置を使用して、上記組成を持つ石炭のガス化を実施した。水の電気分解に際して、太陽エネルギーを使用した。該実施例は第一の実施態様に基づくものである。
【0020】太陽1からの熱又は光をコレクター若しくは発電セル2で受け、電力を3000kW/日で発生させて、直流電力を電線3及び4で電解槽5に送る。電解槽5では、797kg/日の水が電気分解され、750kg/日(23.44モル/日)の酸素と47kg/日(46.88モル/日)の水素が製造される。製造された酸素は、酸素ライン6で酸素用ガスホルダー8に送られ貯蔵される。同様に水素は、水素ライン7にて水素用ガスホルダー9に送られ貯蔵される。
【0021】1000kg/日の微粉炭が、ライン12を通って約1335℃の温度にあるガス化炉14に導かれる。同時に、酸素用ガスホルダー8より酸素吹き込みライン10を通り750kg/日の酸素が吹き込まれる。また、水蒸気ライン13から500℃の水蒸気が500kg/日で吹き込まれ、約1335℃で石炭が部分燃焼ガス化及び水蒸気改質ガス化される。ガス化炉14で燃焼により高温で融けた大部分の石炭灰は、抜き出しライン15から96kg/日がスラグとして排出される。
【0022】2154kg/日の1200℃程度まで冷却されたガス化ガスはライン16を通って廃熱回収ボイラ17に送られる。廃熱回収ボイラ17において、低温水蒸気ライン18より送られた水蒸気によってガス温度は、250℃程度まで冷却される。廃熱回収ボイラ17で熱交換された500℃の高温・高圧水蒸気は、高温ライン19で回収され、内500kg/日は、ガス化炉に吹き込まれる。
【0023】250℃まで冷却されたガス化ガスは、ライン20によって水洗浄塔21に送られ水シャワー22によって30g/日のアンモニアと僅かに残る塵芥が除去され、排水ライン23で排出される。水洗浄され約40℃のガス化ガスは硫化水素除去のためにライン24を通り、酸性ガス吸収塔25に送られる。10.4kg/日の硫化水素とその他の酸性ガスはライン26によって抜き出される。精製されたガス化ガスは、ライン28からの水素47kg/日と混合され、ブロワー29によってライン27を通って製品ガス30となる。該ガスの組成を表4に示した。
【0024】
【表4】

【0025】ガス精製や石炭の粉砕等に用いられるエネルギーの大半は、廃熱回収ボイラからの高温・高圧水蒸気で賄えるが、不足分820Mcal/日は、製品ガス若しくは水素の燃焼によって賄われる。このため製品ガス総発熱量は、投入石炭総発熱量の121% [((製品ガス29の熱量 − 不足分820Mcal/日)×100/(投入石炭エネルギー量7330Mcal/日))=(9693Mcal/日−820Mcal/日)×100/7330Mcal/日] となり、太陽エネルギーを取り込むことによって石炭からの二酸化炭素排出量が石油並みのクリーンなエネルギーが製造されることとなる(ここで、製品ガスの二酸化炭素排出量は約288g/1000kcalであり、石油の二酸化炭素排出量は約285g/1000kcalである)。
【0026】
【実施例2】図1に示した装置を使用して、上記組成を持つ石炭のガス化を実施した。水の電気分解に際して、太陽エネルギーを使用した。該実施例は第二の実施態様に基づくものである。
【0027】太陽1からの熱又は光をコレクター若しくは発電セル2で受け、電力を3700kW/日で発生させて、直流電気を電線3及び4で電解槽5に送る。電解槽5では、1045kg/日の水が電気分解され、928kg/日(29モル/日)の酸素と117kg/日(58モル/日)の水素が製造される。製造された酸素は、酸素ライン6で酸素用ガスホルダー8に送られ貯蔵される。同様に水素は、水素ライン7にて水素用ガスホルダー9に送られ貯蔵される。
【0028】1000kg/日の微粉炭は、ライン12を通って約1220℃の温度にあるガス化炉14に導かれる。同時に、酸素用ガスホルダー8より酸素吹き込みライン10を通り928kg/日の酸素が吹き込まれ、かつ、水素用ガスホルダー9より水素吹き込みライン11を通り、水素が117kg/日吹き込まれて、該酸素と水素が燃焼して高温水蒸気となり、それにより、約1220℃で石炭が水蒸気改質ガス化される。ガス化炉14で燃焼により高温で融けた大部分の石炭灰は、抜き出しライン15から96kg/日がスラグとして排出される。
【0029】1973kg/日の1200℃程度まで冷却されたガス化ガスはライン16を通って廃熱回収ボイラ17に送られる。廃熱回収ボイラ17において、低温水蒸気ライン18より送られた水蒸気によってガス温度は、250℃程度まで冷却される。廃熱回収ボイラ17で熱交換された500℃の高温・高圧水蒸気は、高温ライン19で回収される。
【0030】以下、実施例1と同じに処理されて、製品ガス30が得られる。該ガスの組成を表5に示した。
【0031】
【表5】

【0032】ガス精製や石炭の粉砕等に用いられるエネルギーの大半は、廃熱回収ボイラからの高温・高圧水蒸気で賄えるが、不足分830Mcal/日は、製品ガス若しくは水素の燃焼によって賄われる。このため製品ガス総発熱量は、投入石炭総発熱量の122% [((製品ガス29の熱量 − 不足分830Mcal/日)×100/(投入石炭エネルギー量7330Mcal/日))=(9801Mcal/日−830Mcal/日)×100/7330Mcal/日] となり、太陽エネルギーを取り込むことによって石炭から二酸化炭素排出量が石油並みのクリーンなエネルギーが製造されることとなる(ここで、製品ガスの二酸化炭素排出量は約285g/1000kcalであり、石油の二酸化炭素排出量は約285g/1000kcalである)。
【0033】実施例1及び2について、基本データとしてガス化炉入り口の物質とその熱量をベースにコンピューターシミュレーションにより算出した物質収支及び装置における燃料消費を表6に示した。
【0034】
【表6】

【0035】このように、本発明によれば、化石燃料の中で温暖化ガスである二酸化炭素放出量が石油と比べて1.3倍も多い石炭を、太陽、風力や水力エネルギーを利用する発電からの電力を用いて、水を電気分解し、生産される酸素と水素を用いてガス化することによって、石油並みに約285〜288g/1000kcalと二酸化炭素排出量が少ない、1Nm3当たり3000Kcal以上の熱量を持つクリーンなガスが得られる。このクリーンなガスの総発熱量は投入石炭のエネルギー量の121%にもなり、従来の酸素吹き部分燃焼ガス化と比べて、石炭1kg当たり約4600kcalの自然エネルギーが取り込まれた結果となり、地球環境にやさしい石炭の転換方法であると言える。このガス化ガスは、水素の含有量が55%以上もあるため、メタノール製造用原料にもなり、メタノール化によって産炭地から消費地への輸送が容易となる。
【0036】
【発明の効果】本発明は、著しく高い効率を有し、かつ炭酸ガスの放出量が著しく少なく、更には極めてクリーンなガスが得られる石炭ガス化方法を提供するものである。好ましくは、風力、水力又は太陽エネルギー、とりわけ、時々刻々と変動する風力又は太陽エネルギーを用いて、これを電力に変換し、得られた電力を用いて水を電気分解して酸素と水素を製造する。そして、この酸素又は酸素と水素を用いて石炭をガス化し一酸化炭素と水素を得る。これにより、石炭を石油並みの二酸化炭素排出量を持つクリーンなガスに高い効率で変換することができるのである。
【0037】
【出願人】 【識別番号】500052428
【氏名又は名称】片山 優久雄
【識別番号】500056932
【氏名又は名称】財団法人 エネルギー総合工学研究所
【出願日】 平成12年5月9日(2000.5.9)
【代理人】 【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
【公開番号】 特開2001−316681(P2001−316681A)
【公開日】 平成13年11月16日(2001.11.16)
【出願番号】 特願2000−136268(P2000−136268)