| 【発明の名称】 |
高温地盤用の地盤注入材 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 真木雄
【氏名】名越 崇
【氏名】三輪 求
【氏名】栢原 健二
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| 【要約】 |
【課題】粘性が低く、高地熱条件下でも十分な浸透保持時間が確保され、固結後の強度も良好な地盤注入材を提供する。
【解決手段】スラグとアルミン酸アルカリ金属塩を有効成分とする高温地盤用の注入材において、前記スラグが5000cm2/g以上の比表面積を有し、前記アルミン酸アルカリ金属塩におけるMe2O(但し、Meはアルカリ金属を表す)とAl2O3とのモル比(Me2O/Al2O3)が0.5以上2.8未満である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スラグとアルミン酸アルカリ金属塩を有効成分とする高温地盤用の注入材において、前記スラグが5000cm2/g以上の比表面積を有し、前記アルミン酸アルカリ金属塩におけるMe2O(但し、Meはアルカリ金属を表す)とAl2O3とのモル比(Me2O/Al2O3)が0.5以上2.8未満であることを特徴とする高温地盤用の地盤注入材。 【請求項2】 前記スラグ中のSiO2と前記アルミン酸アルカリ金属塩中のAl2O3とのモル比(SiO2/Al2O3)が1〜12である請求項1記載の高温地盤用の地盤注入材。 【請求項3】 前記SiO2/Al2O3モル比〔S/A〕と、前記Me2O/Al2O3モル比〔M/A〕とが、次式、〔S/A〕≧6.13×〔M/A〕−7.24 (1) で表される関係を満足する請求項1または2記載の高温地盤用の地盤注入材。 【請求項4】 前記SiO2/Al2O3モル比〔S/A〕と、前記Me2O/Al2O3モル比〔M/A〕とが、次式、〔S/A〕≧6.13×〔M/A〕−5.39 (2) で表される関係を満足する請求項1または2記載の高温地盤用の地盤注入材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はスラグとアルミン酸アルカリ金属塩を有効成分とする地盤注入材に関し、特には、温泉地や地熱発電所付近等の高温地盤(地中の温度としては約50℃程度にもなる)の固結に適した地盤注入材に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の溶液型、懸濁型注入材は常温で使用されることを前提としている。その為、地熱を有する等の高温地盤においては硬化が早まり、浸透保持時間が極端に短縮され、薬液注入材としての機能を発揮できなくなる。 【0003】このような高温地盤に対する対策として、硬化剤を減少、或いはセメント等固結成分を減少させることが挙げられ、これによりある程度は浸透保持時間を延長できる。しかし、これらの方法では固結後の強度が十分ではなく、実用に供しなくなってしまうという問題がある。 【0004】一方、特許第2525331号公報では、スラグやセメントの微粉体と、Me2O(但し、Meはアルカリ金属を表す)とAl2O3とのモル比(Me2O/Al2O3)が2.8以上のアルミン酸アルカリ金属塩とを組み合わせて、常温における浸透保持時間と固結強度との両立を図った技術が開示されている。 【0005】ここで、スラグは、セメントのような自己水和性ではなくアルカリ成分と混合されたときに水和を発現する潜在水硬性という性質を持っている。そのため、特許第2525331号公報記載の技術ではアルカリのモル比を上げることでスラグの硬化を可能にし、硬化のタイミングも加えるアルカリ成分量である程度コントロール可能にしている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許第2525331号公報記載の配合系では高い地熱を有するような高温地盤には十分に対応することができなかった。即ち、アルミン酸アルカリ金属塩の使用量を減少させていくと、浸透保持時間の延長は図れるものの、実強度発現がかなり遅くなってしまうという問題があった。 【0007】そこで本発明の目的は、粘性が低く、高地熱条件下でも十分な浸透保持時間が確保され、固結後の強度も良好な地盤注入材を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、使用するアルミン酸アルカリ金属塩のモル比(Me2O/Al2O3)を従来のものよりも低くしてアルカリを減少させると共に、供給されるアルミン酸の量を増加させることにより、高温時でも浸透保持時間の確保と強度発現の両立が図れることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0009】即ち、本発明は、スラグとアルミン酸アルカリ金属塩を有効成分とする高温地盤用の注入材において、前記スラグが5000cm2/g以上の比表面積を有し、前記アルミン酸アルカリ金属塩におけるMe2O(但し、Meはアルカリ金属を表す)とAl2O3とのモル比(Me2O/Al2O3)が0.5以上2.8未満であることを特徴とする高温地盤用の地盤注入材である。 【0010】また、前記高温地盤用の地盤注入材において、前記スラグ中のSiO2と前記アルミン酸アルカリ金属塩中のAl2O3とのモル比(SiO2/Al2O3)が1〜12である高温地盤用の地盤注入材である。 【0011】さらに、前記高温地盤用の地盤注入材において、前記SiO2/Al2O3モル比〔S/A〕と、前記Me2O/Al2O3モル比〔M/A〕とが、次式、〔S/A〕≧6.13×〔M/A〕−7.24 (1) で表される関係を満足する高温地盤用の地盤注入材である。 【0012】さらにまた、前記高温地盤用の地盤注入材において、前記SiO2/Al2O3モル比〔S/A〕と、前記Me2O/Al2O3モル比〔M/A〕とが、次式、〔S/A〕≧6.13×〔M/A〕−5.39 (2) で表される関係を満足する高温地盤用の地盤注入材である。 【0013】通常温度域の地盤では、上記特許第2525331号公報に開示されているアルミン酸アルカリ金属塩のモル比(Me2O/Al2O3)2.8以上でも十分な硬化と浸透可能時間の保持との両立が可能であるが、温泉地や地熱発電所付近等の地熱を有する高温地盤(地中の温度としては約50℃程度)の高温度域では浸透可能時間を保持しようとしてアルミン酸アルカリ金属塩の使用量を少なくしていくと実強度の発現も同様に遅れてきてしまう。これは、高炉水砕スラグから凝結に必要な金属塩が過飽和量溶出可能となるまでスラグ表面の珪酸ゲル膜が破壊されないためと考えられる。これに対し本発明では、使用するアルミン酸アルカリ金属塩のモル比(Me2O/Al2O3)を2.8よりも低くし、供給するアルカリ成分を少なくすることによって高温時の浸透可能時間を確保すると同時に、アルミン酸成分の供給量を多くすることで強度発現をも確保したものであり、このようにすることで高温地盤用の地盤注入材として優れた効果を奏し得るということは本発明者らによって初めて見出されたことである。本発明においては、珪酸ゲル膜を破壊するアルカリが少なくて溶出してくるカルシウム塩等の量が少なくなっても、アルミニウムイオンが多く供給されることによりアルミン酸カルシウム等が形成され、硬化阻害を是正していると考えられる。この結果、本発明の地盤注入材は、例えば、40℃以上の地盤において好適に使用することができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき説明する。本発明に使用するスラグは特に限定されるものではなく、どのようなスラグでも使用することができるが、工業化適性の面から製鉄過程で生じるスラグを水冷・破砕することにより得られる高炉水砕スラグが好ましい。 【0015】かかる高炉水砕スラグは表面が非晶質のガラス状である。そのため水に接しても表面は珪酸ゲルの膜となるだけでセメントのような成分の溶出はない。そこで高炉水砕スラグを通常水ではなくアルカリ成分を含む水の存在下におくと、形成されたゲル膜はアルカリ成分により破壊され、スラグ内部よりシリカ、カルシウム等の水和に必要なイオンが溶出し、硬化に至る。これを高炉水砕スラグの潜在水硬性という。従って、高炉水砕スラグの水和硬化にはアルカリ成分が必須となるが、地盤注入材として性能を発揮するためには、硬化することはもとより浸透可能時間の保持が必要となる。よって、高炉水砕スラグを用いて高温時の浸透可能時間を確保するには、本発明の条件を満たすことが必要となる。 【0016】また、本発明に使用するスラグは、スラグ粒を比表面積5000cm2/g以上、好ましくは比表面積8000cm2/g以上まで微粉砕したものとする。比表面積が5000cm2/g未満であるとスラグ粒子が大き過ぎるため、地盤注入材の浸透性が悪化する。 【0017】スラグ粒の比表面積に上限は特にないが、必要以上に比表面積が大きすぎるとかえってスラグ粒子が凝集することがあり、また硬化も早まる傾向にあるので、好ましくは比表面積は12000cm2/g以下とする。 【0018】本発明に使用するアルミン酸アルカリ金属塩は、工業化適性の点でナトリウム塩およびカリウム塩が好ましく、特に好ましくはナトリウム塩である。 【0019】本発明においてアルミン酸アルカリ金属塩は、Me2O(但し、Meはアルカリ金属を表す)とAl2O3とのモル比(Me2O/Al2O3)が0.5以上2.8未満であるものを使用する。このモル比が0.5未満であると、硬化しないか、又は硬化しても強度が不十分であり、逆にモル比が2.8以上となると高温地盤注入時における流動性保持時間が短か過ぎるものとなる。 【0020】本発明の地盤注入材は、従来の地盤注入材と同様に、スラグとアルミン酸アルカリ金属塩の有効成分を水に溶解乃至分散させるなどして流動化させ、調製され使用に供される。本発明に使用するアルミン酸アルカリ金属塩は、上記モル比の水溶液として調製に供してもよいし、粉体のアルミン酸アルカリ金属塩を水に溶解して調製に供してもよいが、作業性及び作業環境の適正化の点から水溶液として調製に供することが好ましい。 【0021】スラグとアルミン酸アルカリ金属塩との割合は、適切な浸透保持時間(概ね5分以上、好ましくは10分以上)の得られる割合とすればよく、かかる適切な浸透保持時間という点からは、好ましくはスラグ中のSiO2とアルミン酸アルカリ金属塩中のAl2O3とのモル比SiO2/Al2O3〔S/A〕と、アルミン酸アルカリ金属塩におけるMe2OとAl2O3とのモル比Me2O/Al2O3〔M/A〕とが、次式、〔S/A〕≧6.13×〔M/A〕−7.24 (1) で表される関係を満足するようにし、より好ましくは次式、〔S/A〕≧6.13×〔M/A〕−5.39 (2) で表される関係を満足するようにする。 【0022】また、スラグ中のSiO2とアルミン酸アルカリ金属塩中のAl2O3とのモル比(SiO2/Al2O3)は、地盤注入材として適切な凝結終了時間(概ね1時間〜20時間程度)の得られる割合とすればよく、かかる適切な凝結終了時間という点からは、好ましくはSiO2/Al2O3=1〜12(モル比)とする。 【0023】 【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0024】実施例1〜17比表面積10000cm2/gの高炉水砕スラグ(SiO2含量36.6重量%)100g(0.61モル)に、アルミン酸アルカリ金属塩として種々のモル比のアルミン酸ソーダ(粉末或いは水溶液)を下記の表1に記載の各割合となる量で使用して、高温時における可使時間と硬化時間を試験した。試験は、スラグ、アルミン酸ソーダ、水(全量が400ミリリットルとなる量)を混練し、常温で2時間放置し、その後、50℃の状況下に置き、粘度0.1Pa・sとなるまでの時間を測定することにより行い、この時間を「流動性保持時間」とした。その後、さらに50℃の状況下に放置し、凝結が終了するまでの時間を測定し、この時間を「凝結終了時間」とした。 【0025】また、上記と同様にして、得られた混練物を常温で2時間放置した後、50℃の状況下に24時間放置し、しかる後圧縮強度を測定した。通常、注入後24時間の圧縮強度が1MPa以上であれば良好であるといえる。結果を下記の表1に示す。 【0026】 【表1】
*1 スラグ中のSiO2とアルミン酸ソーダ中のAl2O3のモル比*2 アルミン酸ソーダにおけるNa2OとAl2O3のモル比*3 A:式(2)を満足するB:式(1)を満足するが式(2)を満足しないC:式(1)を満足しない【0027】また、各実施例における地盤注入材の〔S/A〕と〔M/A〕との関係から流動性保持時間を表すと図1に示すグラフのようになる。このグラフからわかるように、上記(1)式、特には上記(2)式の関係を満足する実施例はいずれも十分な流動性保持時間が確保されている。 【0028】さらに、比較例として普通ポルトランドセメント100gを水(全量が400ミリリットルとなる量)で懸濁させた配合についても同様に試験したが、普通ポルトランドセメントは50℃の雰囲気下に置かれると5分弱で増粘が開始され、地盤注入材に適するとは言いがたいものであった。 【0029】 【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の地盤注入材においては、粘性が低く、高地熱条件下でも十分な浸透保持時間が確保され、固結後の強度も良好である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000387 【氏名又は名称】旭電化工業株式会社 【識別番号】000162652 【氏名又は名称】強化土エンジニヤリング株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月11日(2000.5.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096714 【弁理士】 【氏名又は名称】本多 一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−323264(P2001−323264A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月22日(2001.11.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−138923(P2000−138923) |
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