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【発明の名称】 摩擦材料部材
【発明者】 【氏名】中沢 士郎

【氏名】望月 智

【氏名】大下 知之

【要約】 【課題】従来の摩擦材料部材は、低温域から高温域において発生する実用条件、例えば相対すべり速度が低い場合、単位面積当たりの吸収エネルギーが小さい場合、熱容量が大きく、摩擦界面の温度が低い場合などにおいて、摩耗量(比摩耗量)の増大あるいは摩擦係数の急激な低下も生じてくるという課題がある。

【解決手段】金属、合金、金属化合物、金属間化合物および樹脂の中の少なくとも1種をマトリックスとし、潤滑物質、硬質物質、摩擦調整物質、pH調整物質、補強物質の中の少なくとも1種をフィラーとして含有する摩擦材料組成物に、銀含有物質と、ニッケル含有物質および/またはアルミニウム含有物質とが含有されており、銀含有物質が銀、銀合金および銀含有化合物の中の少なくとも1種でなり、ニッケル含有物質がニッケルおよび/またはニッケル合金でなり、アルミニウム含有物質がアルミニウムおよび/またはアルミニウム合金でなる摩擦材料部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】金属、合金、金属化合物、金属間化合物および樹脂の中の少なくとも1種をマトリックスとし、潤滑物質、硬質物質、摩擦調整物質、pH調整物質、補強物質の中の少なくとも1種をフィラーとして含有する摩擦材料組成物に、銀含有物質と、ニッケル含有物質および/またはアルミニウム含有物質とが含有されており、銀含有物質が銀、銀合金および銀含有化合物の中の少なくとも1種でなり、ニッケル含有物質がニッケルおよび/またはニッケル合金でなり、アルミニウム含有物質がアルミニウムおよび/またはアルミニウム合金でなる摩擦材料部材。
【請求項2】上記銀含有物質は、該摩擦材料組成物全体に対し、銀に換算して20重量%以下含有している請求項1に記載の摩擦材料部材。
【請求項3】上記ニッケル含有物質は、該摩擦材料組成物全体に対し、ニッケルに換算して63重量%以下含有している請求項1に記載の摩擦材料部材。
【請求項4】上記アルミニウム含有物質は、該摩擦材料組成物全体に対し、アルミニウムに換算して15重量%以下含有している請求項1に記載の摩擦材料部材。
【請求項5】上記摩擦材料組成物は、上記銀含有物質と、ニッケル含有物質と、アルミニウム含有物質とを含有している請求項1に記載の摩擦材料部材。
【請求項6】上記銀含有物質が銀からなり、上記アルミニウム含有物質がアルミニウムからなり、上記ニッケル含有物質がニッケルからなり、該銀と該アルミニウムと該ニッケルとを含むAgーNiーAl合金を形成している請求項5に記載の摩擦材料部材。
【請求項7】上記Ag−Ni−Al合金は、該合金全体に対し、銀が0.05〜25重量%と、ニッケルが67〜89重量%と、アルミニウムが8〜15重量%とからなる請求項6に記載の摩擦材料部材。
【請求項8】上記Ag−Ni−Al合金は、上記摩擦材料組成物全体に対し、0.5〜70重量%含有している請求項6または7に記載の摩擦材料部材。
【請求項9】上記Ag−Ni−Al合金は、平均粒子径が50〜300μmからなる請求項6〜8のいずれか1項に記載の摩擦材料部材。
【請求項10】上記Ag−Ni−Al合金は、25℃におけるビッカース硬さが100〜300HVからなる請求項6〜9のいずれか1項に記載の摩擦材料部材。
【請求項11】上記マトリックスは、銅、ニッケル、コバルト、鉄、錫、亜鉛およびこれらを含む合金の中の少なくとも1種を含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の摩擦材料部材。
【請求項12】上記マトリックスは、上記摩擦材料組成物全体に対し、20〜95重量%からなる請求項1〜11のいずれか1項に記載の摩擦材料部材。
【請求項13】上記フィラーは、黒鉛、カーボン、コークスの中の少なくとも1種の潤滑物質を含有している請求項1〜12のいずれか1項に記載の摩擦材料部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主成分の樹脂中に無機物質を含有した有機質摩擦材料組成物、または金属や合金などの無機物質を主成分とする無機質摩擦材料組成物(メタリック系摩擦材料組成物)により形成され、クラッチ材料やブレーキ材料として使用される摩擦材料部材に関し、特に無機質摩擦材料部材として最適な摩擦材料部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、摩擦材料部材は、潤滑物質、硬質物質、摩擦調整物質、pH調整物質、補強物質とされている金属、合金、セラミックスなどのフィラーをフェノールなどの樹脂で結合した有機質摩擦材料部材と、同じく潤滑物質、硬質物質、摩擦調整物質、pH調整物質、補強物質などのフィラーを金属や合金で結合した無機質摩擦材料部材とに大別される。このうち、無機質摩擦材料部材は、金属、合金などのマトリックス形成粉末を主成分とし、これに、特定組成範囲の潤滑物質、硬質物質、摩擦調整物質、pH調整物質、補強物質などのフィラーを添加配合し、この配合物質から圧粉成形体を形成し、この圧粉成形体を焼結することにより得られるものである。
【0003】これらの摩擦材料部材のうち、有機質摩擦材料部材に関する代表的なものとして、特開平7ー197966号公報および特公平7ー23738号公報が提案されている。また、無機質摩擦材料部材に関し、摩擦材料部材中に、銀が含有されているものとして提案されている代表的なものに、特開平8ー284990号公報および特開平8ー291834号公報がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これら従来の摩擦材料部材のうち、特開平7ー197966号公報および特公平7ー23738号公報には、フェノール樹脂に摩擦調整物質、潤滑物質、充填物質などを添加した有機質摩擦材料について開示されている。また、無機質摩擦材料部材であって、銀が含有されている特開平8ー284990号公報および特開平8ー291834号公報には、金属、合金、金属間化合物の中の少なくとも1種のマトリックスと、その他フィラーとからなる摩擦材料に、粗粒粒子が含有されており、この粗粒粒子として、銀が選択可能であることが開示されている。
【0005】これらのうち、特開平7ー197966号公報および特公平7ー23738号公報に開示の有機質摩擦材料部材は、高温における摩擦係数の低下(熱フェード現象),水分の介在による摩擦係数の低下(水フェード現象)が大きく、摩耗が大きいという課題がある。また、特開平8ー284990号公報および特開平8ー291834号公報に開示の摩擦材料は、銀を選択して含有することについては開示されてはいるが、銀を必須とし、かつ銀と他の物質と組み合わせて含有させた場合の相乗効果としては開示されていなく、従来の無機質摩擦材料部材と同様に、比較的低エネルギー、低温度域から高温域での使用条件において、耐摩耗性(比摩耗量)に満足できないという課題がある。このときの使用条件としては、摩擦材料部材と相手材との関係において、例えば相対すべり速度が低い場合、単位面積当たりの吸収エネルギーが小さい場合、熱容量が大きく、摩擦界面の温度が低い場合などである。また、逆に高エネルギー、高温度域での使用条件において、従来の摩擦材料部材は、比摩耗量の増大あるいは摩擦係数の急激な低下も生じてくるという課題がある。
【0006】本発明は、上述のような課題を解決したもので、具体的には、従来の有機質摩擦材料部材または無機質摩擦材料部材からなる摩擦材料部材中に銀と、ニッケルおよび/またはアルミニウムとを含有させたものであり、特に無機質摩擦材料中に最適量の銀が含有されることにより、耐摩耗性に優れ、高負荷条件で優れた摩擦特性を有し、耐酸化性,耐熱性,強度および耐フェ−ド性を高め、相手材の損傷を抑制し、かつ鳴きを抑制させた摩擦材料部材の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、長年に亘って、摩擦材料部材、特に無機質摩擦材料部材の改良を行ってきたところ、摩擦材料部材中に適量の銀を含有させること、この銀をニッケルおよび/またはアルミニウムとを組み合わせて同時に含有させること、そうすると高負荷使用条件における耐摩耗性が顕著に向上するという知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】すなわち、本発明の摩擦材料部材は、金属、合金、金属化合物、金属間化合物および樹脂の中の少なくとも1種をマトリックスとし、潤滑物質、硬質物質、摩擦調整物質、pH調整物質、補強物質の中の少なくとも1種をフィラーとして含有する摩擦材料組成物に、銀含有物質と、ニッケル含有物質および/またはアルミニウム含有物質とが含有されており、銀含有物質が銀、銀合金および銀含有化合物の中の少なくとも1種でなり、ニッケル含有物質がニッケルおよび/またはニッケル合金でなり、アルミニウム含有物質がアルミニウムおよび/またはアルミニウム合金でなるものである。
【0009】
【発明の実施態様】本発明の摩擦材料部材における銀含有物質は、単一の銀からなる場合、銀と他の金属元素とからなる銀合金、具体的には、例えばAg−Si合金,Ag−Pb合金,Ag−Mg合金,Ag−Mn合金,Ag−Mo合金,Ag−Ni合金,Ag−Cu合金、Ag−Co合金,Ag−Cr合金,Ag−Al合金,Ag−Ce合金,Ag−Sn合金,Ag−Ti合金,Ag−Zn合金,Ag−Zr合金およびこれら2種以上含む相互合金の中の1種以上からなる場合、銀含有化合物、具体的には、例えばAg2S(輝銀鉱),AgCl(角銀鉱)などとして含有されている場合を代表例として挙げることができる。
【0010】この銀含有物質と同時に含有されるニッケル含有物質および/またはアルミニウム含有物質のうち、ニッケル含有物質は、単一のニッケルからなる場合、ニッケルと他の金属元素とからなるニッケル合金、具体的には、例えばNi−Co合金,Ni−Cr合金,Ni−Cu合金,Ni−Fe合金,Ni−Al合金,Ni−Sn合金,Ni−Zn合金,Ni−Si合金,Ni−Ag合金およびこれら2種以上を含む相互合金の中の少なくとも1種からなる場合を代表例として挙げることができる。また、アルミニウム含有物質は、単一アルミニウムからなる場合、アルミニウムと他の金属元素とからなるアルミニウム合金、具体的には、Al−Si合金,Al−Cr合金,Al−Ti合金,Al−Fe合金,Al−Co合金,Al−Ni合金,Al−Sn合金,Al−Zn合金,Al−Ag合金およびこれら2種以上を含む相互合金の中の少なくとも1種からなる場合を代表例として挙げることができる。
【0011】この摩擦材料部材を構成する物質のうち、銀の含有量は、実質的な効果としては摩擦材料部材全体に対し、銀に換算して20重量%以下であるが、、高価な物質であることから、銀含有物質としてもでき得るかぎり少量で、かつ効果を低下させない程度に含有していることが好ましく、この意味から摩擦材料組成物全体に対し、銀に換算して5重量%以下含有されていることが好ましく、特に銀に換算して0.005〜3重量%の銀含有物質が含有されていることが好ましいことである。
【0012】この銀含有物質は、少量で、かつその効果を最大限に発揮させるために、銀とニッケルおよび/またはアルミニウムとを一緒に含有させておくことであり、特に銀とニッケルとアルミニウムとの合金(以下、「Ag−Ni−Al合金」と記載する)として含有されていることが好ましいことである。
【0013】銀とニッケルおよび/またはとアルミニウムとのそれぞれの含有量は、銀含有物質を銀に換算して20重量%以下と、ニッケル含有物質をニッケルに換算して63重量%以下と、アルミニウム含有物質をアルミニウムに換算して15重量%以下にすることが好ましいことである。特に、Ag−Ni−Al合金として含有させる場合には、Ag−Ni−Al合金全体に対し、銀が0.05〜25重量%と、ニッケルが67〜89重量%と、アルミニウムが8〜15重量%とからなる比率でなる場合には、前述した低温域から高温域までの摩擦材料特性が優れて、耐摩耗性および耐久性の優れた摩擦材料部材が得られることから好ましいことである。
【0014】そして、このAg−Ni−Al合金は、摩擦材料組成物全体に対し、0.5〜70重量%含有している場合には、低負荷から高負荷までの広領域において耐摩耗性を初めとする摩擦材料部材の特性を高めて、耐久性が向上することから好ましいことである。また、このAg−Ni−Al合金は、平均粒子径が50〜300μmでなる場合には、耐久性の効果が顕著で、かつステイックスリップの抑制および相手材の損傷抑制の効果としても働くことから好ましいことである。さらに、このAg−Ni−Al合金は、25℃におけるビッカース硬さが100〜300HVからなり、500℃における硬さが25℃における硬さ以上となる場合にはその効果が顕著であることから好ましいことである。
【0015】本発明の摩擦材料におけるマトリックスは、従来の摩擦材料として含有されているマトリックスであればよく、特に制限されるものではなく、具体的には、例えばCu,Ni,Fe,Co,Sn,Ti,Mg,Mn,Si,W,Mo,Zn,Alに代表される金属、これらを含む合金、NiSi2,TiSi2,TiAl3,NiAl3,CuAl2,Ni3Al,Co3Al,Zr3Al,Fe3Al,FeAl3に代表される金属間化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂に代表される熱硬化性樹脂からなる場合を挙げることができる。これらのマトリックスのうち、銅、ニッケル、コバルト、鉄、錫、亜鉛およびこれらを含む合金の中の少なくとも1種を主成分としたマトリックスでなる場合にはその効果が高いことから好ましいことである。このマトリックスは、摩擦材料部材全体に対し、20〜95重量%含有していることが好ましいことである。
【0016】このマトリックスの他の構成成分としてのフィラ−は、従来からのフィラーを使用することができるものであり、特に制限を受けるものではなく、具体的には、例えば硫酸バリウム,タルク,珪藻土,蛇紋石,コ−クス,MgO,Fe23,TiO2に代表される摩擦調整物質、SiO2,AlN,Al23,Si34,SiC,B4C,ムライト,周期律表の4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物,酸化物,珪化物およびこれらの相互固溶体に代表される硬質物質、黒鉛,MoS2,WS2,BaF2,CaF2,hBN,PbO,フッ化黒鉛に代表される潤滑物質、パルプ繊維,レ−ヨン繊維,カ−ボン繊維,シリカ−アルミナ繊維,チタン酸カリウム繊維,炭化珪素繊維,ボロン繊維,に例示される各種の繊維または各種のウイスカ−に代表される補強物質、炭酸カルシウム,酸化カルシウム,酸化バリウムに代表されるpH調整物質の中から選ばれた少なくとも1種からなるものを挙げることができる。
【0017】上述したこれらのフィラーは、潤滑物質、硬質物質、摩擦調整物質、pH調整物質、補強物質として例示したものであるが、これらは、例えば潤滑物質が摩擦調整物質としての作用効果を発揮する場合、硬質物質が補強物質としての作用効果を発揮する場合、またはこれらが逆の作用効果として働くとして含有される場合でも勿論問題はないことである。
【0018】
【作用】本発明の摩擦材料部材は、銀含有物質が含有されていること、特に銀含有物質とニッケル含有物質とアルミニウム含有物質とが併用されて含有されていることにより、低エネルギー、低温度域の使用条件において用いられた場合には、潤滑効果を高めるとともに、フィラーなどの他物質による摩擦力の改善および耐摩耗性の改善による効果とが相乗作用となって、摩擦材料部材自体の摩耗量の改善および耐久性を高めるものである。また、これらの銀含有物質とニッケル含有物質とアルミニウム含有物質とがAg−Ni−Al合金となって摩擦材料組成物中に含有している場合には、常温(低温)よりも使用温度域で高硬度になることから、このもののみで潤滑効果,摩擦力および耐摩耗性の改善という相乗作用が発揮されること、さらに低温域から高温域にいたるまでこの効果が発揮されるものであり、特にこのAg−Ni−Al合金が粗粒子からなる場合には、そのシナジー作用が顕著に発揮されることになる。
【0019】
【実施試験1】市販されているCu粉末,Sn粉末,グラファイト粉末を用いて、重量で64%Cu−6%Snー15%グラファイトー15%(Ag−Ni−Al)粉末に秤量および混合した。こうして得た混合粉末を粉末プレス機により200MPaで加圧成形し、加圧成形体とした。この加圧成形体を1.5MPa荷重で800℃ー60分間焼結して本発明の摩擦材料部材である実施例1〜10を得た。また、同様に、重量で74.9%Cu−7.1%Snー17.5%グラファイトー0.5%(Ag−Ni−Al)粉末に秤量し、その他は実施例1〜10とほぼ同様に処理し、本発明の摩擦材料部材である実施例11を得た。さらに、同様に、重量で22.7%Cu−2.1%Snー5.2%グラファイトー70%(Ag−Ni−Al)粉末に秤量し、その他は実施例1〜10とほぼ同様に処理し、本発明の摩擦材料部材である実施例12を得た。このときに用いた(Ag−Ni−Al)粉末は、市販されているNi粉末,Al粉末,Ag粉末を所定の割合に配合し、これを非酸化性雰囲気中で溶解した後、ガスアトマイザーにより作製したものである。
【0020】比較として、重量で64%Cu−6%Snー15%グラファイトー15%(Ni−Al)粉末に秤量し、その他は実施例1〜10と同様に作製したものを比較品1とした。また、重量で64%Cu−6%Snー15%グラファイトー15%Al粉末に秤量し、その他は実施例1〜10と同様に作製したものを比較品2とした。さらに、重量で64%Cu−6%Snー15%グラファイトー15%Ag粉末に秤量し、その他は実施例1〜10と同様に作製したものを比較品3とした。
【0021】こうして得た本発明品である実施例1〜12と比較品1〜3について、摩擦試験1および2を行った。摩擦試験1の条件は、0.5MPa荷重、3m/secすべり速度、摩擦相手板の初期温度を25℃、最高温度を100℃に調整した。摩擦試験2の条件は、0.5MPa荷重、20m/secすべり速度、摩擦相手板を350℃に調整した。この摩擦試験1および2における摩擦相手板は、実施例2、3、8、9、10、11、12および比較品1〜3が25℃での硬さ270HVの鋳鉄、実施例1、8が同190HVの鋼材、実施例5が同120HVの鋼材、実施例4、6、7が同310HVの工具鋼をそれぞれ用いた。このときの摩擦相手板の調整は、冷却水、冷風、ヒーターにより温度調整を行った。このときの摩擦試験1および2の評価は、摩擦相手板と各摩擦材料部材とを5分間すべらせときの摩耗量を求めた。
【0022】実施例1〜12と比較品1〜3の各組成成分のうち、(Ag−Ni−Al)全体に対するAgとNiとAlの各含有量を表1に示した。また、実施例1〜12で使用した(Ag−Ni−Al)粉末と比較品1で使用した(Ni−Al)粉末の25℃および500℃におけるビッカース硬さとその平均粒径を求めて、その結果を表1に併記した。さらに、実施例1〜12と比較品1〜3の各組成成分のうち、摩擦材料部材全体に対するAgとNiとAlの各含有量を表2に示した。そして、これら実施例1〜12と比較品1〜3の各摩擦材料部材を使用して、上述の摩擦試験1および2による比摩耗量として、表2に併記した。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【実施試験2】実施試験1における実施例2の組成成分のうち、(Ag−Ni−Al)に換えて、(3%Ag−97%Ni)、(3%Ag−97%Al)、(3%Ag−84.2%Fe−12.8%Al)、(3%Ag−84.2%Ni−12.8%Ti)をそれぞれ添加し、その他は実施例2と同様に処理して本発明品である実施例13、14、15および16の摩擦材料部材を得た。また、従来の有機質摩擦材料組成成分としてのシリコンゴムとフェノール樹脂とポリアミド繊維と珪藻に、実施例2で使用した(Ag−Ni−Al)粉を15重量%を添加して実施例17を得た。これらの実施例13〜17について、実施例2と同様に摩擦試験1および2を行った結果、ほぼ実施例2と同様な傾向を示した。
【0026】
【発明の効果】本発明の摩擦材料部材は、従来の摩擦材料である比較品に比べて、低負荷から高負荷に至るまで比摩耗量が低く、欠け損傷が少なく、鳴きの状態が抑制され、耐摩耗性が顕著に優れており、摩擦時に相手材料を摩耗損傷させることも少なく、耐久性が高く、長寿命であるという優れた効果がある。したがって、本発明の摩擦材料部材は、自動車、電動自転車,航空機、汽車、その他の各種産業機械におけるブレーキ、クラッチなどの制動装置用摩擦材料部材として、例えばブレーキライニング、デイスクパッド、クラッチフェーシング、制輪子などの各種用途に実用できる可能性が高く、工業上有用な材料である。
【出願人】 【識別番号】000221144
【氏名又は名称】東芝タンガロイ株式会社
【出願日】 平成11年6月25日(1999.6.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−11431(P2001−11431A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−180174