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【発明の名称】 プライマー組成物
【発明者】 【氏名】宮田 明弘

【氏名】石川 和憲

【要約】 【課題】非孔質な基体に対するウレタン系シーラントの接着性を高めたプライマー組成物であり、特に自動車のガラス固定用シーラントの使用に際し、ガラス又はシリコンハードコートされた樹脂ガラス等の表面に塗布して優れた接着性を有する塗膜を与えるプライマー組成物の提供。

【解決手段】(A)2〜30重量%のフィルム形成樹脂、(B)2〜80重量%の1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物、及び(C)5重量%以上の揮発性溶媒からなるプライマー組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)2〜30重量%のフィルム形成樹脂、(B)2〜80重量%の1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物、及び(C)5重量%以上の揮発性溶媒からなるプライマー組成物。
【請求項2】前記フィルム形成樹脂(A)がアクリル樹脂及びエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物。
【請求項3】前記反応生成物(B)において、前記アミノシランの有するアミノ基を前記ポリシロキサンの有するエポキシ基に対し、モル比にして0.1〜1.0の割合で反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載のプライマー組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非孔質な基体に対するウレタン系シーラントの接着性を高めたプライマー組成物に関するものであり、特に自動車のガラス固定用シーラントの使用に際して、ガラス又はシリコンハードコートされた樹脂ガラス等の表面に塗布して優れた接着性を有する塗膜を与えるプライマー組成物に関する。
【0002】
【従来技術】通常、自動車の窓ガラスの接着には、低温、高温、高湿度等の様々な条件下において、優れた初期接着性、高い接着強度及び接着耐久性が要求される。さらに、窓ガラスの接着後には、自動車の窓ガラス廻りが外気に直接触れ、太陽光線の直射を受けるので、耐候性(光に対する耐候性、すなわち耐光性を含む)に優れることが極めて重要である。ガラスなどの非孔質の基質を接着するのに有用なシーラントとしては、ウレタン系シーラントが代表的である。しかしながら、ウレタン系シーラントを用いてガラス基質を金属に接着する場合(自動車製造において窓ガラスを組込む場合など)に、接着した基質の重ね剪断強さは、所望の安全目標あるいは構造目標には及ばないことがある。従って、ほとんどの車体組立作業において、フロントガラスやリアウィンドウを接着する場合には、シーラントの塗布に先立って、プライマーを塗布することが一般的に行われている。
【0003】このようなプライマーには、従来よりポリエステルポリウレタンやアクリル樹脂のようなバインダー成分(フィルム形成樹脂成分)に、シランカップリング剤、ポリイソシアネート、カーボンブラック等を配合したものが使用されている。バインダー成分にポリエステルポリウレタンのようなウレタン樹脂を主成分として用いる場合では、品質レベルは非常に高いが、耐候性とコストが見合わないといった問題があった。特に、プライマーを塗布した後に一定時間が経過すると、大気中の水分でウレタン樹脂中のイソシアネート基が反応し、プライマー表面の活性が損われるため、十分な接着性を得るには再度塗布し直すなど、作業性が悪く問題であった。また、従来のアクリル樹脂系のガラスプライマーでは、シリコンハードコートされた樹脂ガラスに対して、十分な接着性が得られないなどの問題もあった。
【0004】このような問題の改善策として、特表平8−511054号公報では、ポリアクリル酸樹脂等のフィルム形成樹脂成分に、二段階工程で得られる、エポキシシランと1分子内に2以上のアミノ基をもつアミノシランとの反応生成物を添加するプライマー組成物が開示されている。上記反応生成物は、エポキシ基に対してアミノ基を等量又は過剰に反応させて得られる生成物であり、1分子内に複数の反応性官能基を有する構造をとる。そのため、ガラス等の表面にも接着性がよく、ウレタン系シーラントとの接着性を向上させるために、非孔質な基体の表面に使用するプライマーとして有用である。しかしながら、上記プライマー組成物では、エポキシシランとアミノシランの反応生成物中に未反応のアミノ基が存在すること、さらに二段階目の反応で加えたエポキシシランが一部しか反応しないため、シラン化合物1分子当たりのシラン数が少ないことが予想され、低温下での接着性(低温接着性)や、ウィンドウォッシャー液を使用する際の接着界面の剥離強度(耐ウィンドウォッシャー液接着性)が不十分であった。そのため、これらの特性も付与できる、より優れたプライマー組成物が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ガラス又はシリコンハードコートされた樹脂ガラス等の非孔質な基体に対するウレタン系シーラントの接着性を改善するためのプライマー組成物を提供することであり、さらに詳しくは、塗布後の接着保持性に優れ、かつ、様々な環境条件下で優れた接着性及び硬化性を有するプライマー組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題に鑑み鋭意研究を行ったところ、フィルム形成樹脂に、1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物と、揮発性溶剤とを含めた組成物が、接着保持性に優れ、また異なる条件下でも優れた接着性が得られることから上記プライマーとして好適であることを見出し本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、(A)2〜30重量%のフィルム形成樹脂、(B)2〜80重量%の1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物、及び(C)5重量%以上の揮発性溶媒からなるプライマー組成物を提供する。前記フィルム形成樹脂(A)はアクリル樹脂及びエポキシ樹脂であることが好ましい。また、前記反応生成物(B)において、前記アミノシランの有するアミノ基を前記ポリシロキサンの有するエポキシ基に対し、モル比にして0.1〜1.0の割合で反応させることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のプライマー組成物について詳細に説明する。
(A)フィルム形成樹脂本発明に使用できるフィルム形成樹脂は特に限定されず、公知のアクリル系、塩化ビニル系、フッ素系などのフィルム形成樹脂を含むことができる。アクリル系のフィルム形成樹脂としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸エステルと硬化機能をもつ官能性モノマーを共重合させた樹脂等が挙げられる。塩化ビニル系のフィルム形成樹脂としては、例えば、塩ビ溶液系、塩ビゾル系、塩ビラミネート系のフィルム形成樹脂が使用できる。フッ素系のフィルム形成樹脂としては、例えば、二フッ化ポリエチレンを用いるPVdFタイプと、フルオロオレフィンとアルキルビニルエーテルとの交互共重合体を用いるフルオロオレフィンアルキルビニルエーテル共重合タイプのフィルム形成樹脂が挙げられる。
【0009】本発明に使用できるフィルム形成樹脂は、本発明の特性が損われない範囲でウレタン系のフィルム形成樹脂を用いてもよいが、ウレタン系の樹脂以外のフィルム形成樹脂を用いるのが好ましい。本発明では、これらの中でもアクリル系のフィルム形成樹脂(以下、アクリル樹脂という)を含むことが好ましい。本発明に用いるアクリル樹脂としては特に限定されず、公知のアクリル樹脂を使用できるが、炭素数1〜2のアルキル基を有するメタクリレートと炭素数4〜10のアルキル基を有するメタクリレートとの共重合体であることが好ましく、特に炭素数1〜2のアルキル基を有するメタクリレートと炭素数4〜10のアルキル基を有するメタクリレートとの重量比が9:1〜3:7の共重合体からなることが好ましい。上記アクリル樹脂は、さらに、側鎖に、アルコキシシリル基を有する基と、水酸基及び少なくとも1つの芳香環を有する基とをもつ反応性アクリル樹脂であると接着性が特に優れるため好ましい。
【0010】炭素数1〜2のアルキル基を有するメタクリレートとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルがあるが、特に、メタクリル酸メチルが好ましい。一方、炭素数4〜10のアルキル基を有するメタクリレートは、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルが挙げられるが、特に、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルが安価であるので好ましい。
【0011】本発明ではメタクリレートを上記の2種とすることが好ましい。アルキル基の炭素数が長いモノマーを併用することにより、アクリル樹脂の被着体に対する密着性が向上し、接着性に寄与するからである。また、上記炭素数の長いモノマーのみでは、アクリル樹脂の流動性が低下し、被着体に対する密着性が逆に悪くなるため好ましくない。被着体、特にガラス又はシリコンハードコートされた被着体に対する密着性が良好であり、早いフィルム形成性能とするためには、炭素数1〜2のアルキル基を有するメタクリレート対炭素数4〜10のメタクリレートの重量比は9:1〜3:7とし、特に好ましくは、7:3〜4:6とする。
【0012】側鎖にアルコキシシリル基を有する基を導入するには、例えば、ビニル基、メタクリロキシ基等の重合性官能基を有するアルコキシシシラン化合物を共重合させればよい。ビニル基を有するアルコキシシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシランが挙げられる。メタクリロキシ基を有するアルコキシシラン化合物としては、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
【0013】同様にして、側鎖に水酸基及び少なくとも1つの芳香環を有する基を導入するには、例えば、水酸基及び少なくとも1つの芳香環を有し、ビニル基又はメタクリロキシ基などの重合性官能基を有する化合物を共重合させることにより得られる。水酸基及び少なくとも1つの芳香環を有し、ビニル基又はメタクリロキシ基などの重合性官能基を有する化合物としては、アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピルが挙げられ、市販のものでは例えば、東亞合成(株)製のアロニックスM5700(商品名)がある。
【0014】本発明のアクリル樹脂は、上記アルコキシシリル基を有する基が上記主鎖の重合度に対して0.1〜10%含まれているのが好ましく、上記水酸基及び少なくとも1つの芳香環を有する基が合計で上記主鎖の重合度に対して0.1〜30%含まれているのが好ましい。上記範囲とするには、例えば、上記2種のメタクリレートの合計量に対し、上記アルコキシシリル基と重合性官能基を有する化合物を0.1〜10重量%、また、上記水酸基及び少なくとも1つの芳香環を有する基と重合性官能基を有する化合物を0.1〜30%反応させて得られる。
【0015】本発明のアクリル樹脂の製造方法の一例としては、メチルエチルケトン又は酢酸エチルなどの溶媒に、炭素数1〜2のアルキル基を有するメタクリレート、炭素数4〜10のアルキル基を有するメタクリレート、アルコキシシリル基と重合性官能基を有する化合物、及び上記水酸基及び少なくとも1つの芳香環を有する基と重合性官能基を有する化合物、あるいはさらに本発明の目的を損なわない範囲でその他のビニル単量体やラジカル重合性のビニル単量体も加え、過酸化物又はアゾ化合物等を重合開始剤として、50〜90℃、好ましくは60〜80℃の温度範囲で、6〜48時間、好ましくは12〜36時間反応させてラジカル重合させる方法が挙げられる。さらに、重合をコントロールするために、マクロモレキュウルズ(Macromolecules)、Vol.31、p542及びp545、1998年に記載の添加剤を加えて重合してもよい。フィルム形成樹脂(A)に上記アクリル樹脂を含むことにより、得られる塗膜が耐候性、低温接着性に優れ、また、ウレタン樹脂を使用する場合と比較して大気中の水分との反応性が制御されるため湿度の高い環境下でも塗布後の接着性が保持できる。
【0016】また、本発明のフィルム形成樹脂(A)は、上記アクリル樹脂に加えてエポキシ樹脂を併用することが好ましい。耐熱性、耐薬品性及び密着性が付与できるためである。本発明で用いるエポキシ樹脂は、公知のエポキシ樹脂であればいずれを使用してもよいが、好ましくは、エポキシ当量(EPW)1000〜2000g/eqであるビスフェノールA型のエポキシ樹脂であるとよい。エポキシ当量が上記範囲内であると接着性が特に優れるからである。具体的には、東都化成社製のYD−907(EPW:1300〜1700)、YD−017(EPW:1750〜2100)、ダウケミカル社製のDER667(EPW:1600〜2000)などが挙げられる。
【0017】(B)1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物本発明のプライマー組成物は、1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物(以下、シラン化合物(B)ともいう)を含む。本発明はこの成分(B)の縮合物を含むので、シリコンハードコート、白ガラス(一般的なフロートガラス)に対するウレタン系接着剤の接着性を高めることができる。本発明の1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンは、シロキサン結合(Si−O−Si)を骨格とし、側鎖にエポキシ基を含む官能基を有する化合物である。上記エポキシ基を含む官能基としては、例えば、γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が挙げられる。特に、γ−グリシドキシプロピル基であると容易に入手できるので好ましい。本発明の1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンとしては、好ましくは下記式で表される化合物が挙げられる。
【0018】
【化1】

【0019】ただし、式(1)において、R1 及びR2 は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。好ましくは、R1 及びR2 はメチル基又はエチル基である。また、R3 及びR4 は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。好ましくは、R3 及びR4 はメトキシ基又はエトキシ基である。シラン化合物(B)に含まれる加水分解性アルコキシ基が多いほど得られる接着性が高くなるからである。また、式(1)において、m、nは0以上の整数であり、m+n≧2である。特にm+n=2であると、反応物の粘度が低く、作業性がよいため好ましい。
【0020】上記式(1)で表される化合物は、例えば以下のようにして合成できる。反応容器に、分子内にエポキシ基を含み、その末端にトリアルコキシシリル基又はジアルコキシシリル基を有する化合物、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン又はこれらの混合物等(以下、エポキシシランともいう)と水とをモル比にして2:1の割合で混合し、常温で8〜20時間縮合反応させて得られる。この場合、式(1)のm+nの値は、エポキシシランと水との比を変えることにより制御できる。
【0021】次に、本発明に用いられるアミノシランについて説明する。上記化合物と反応させるアミノシランとしては、1分子中にアミノ基を1つ又は2つ有するアミノシランが好ましく、特に好ましくはアミノ基を1つ有するアミノシランである。本発明のシラン化合物(B)の1分子中に含むことができるエポキシ基と加水分解性アルコキシ基の数が多くなるためである。また、上記アミノ基は1級又は2級のアミノ基が好ましい。本発明のシラン化合物(B)は上記ポリシロキサンに含まれるエポキシ基とアミノシランの有するアミノ基とが反応することにより得られる。本発明においてこれらの反応比(アミノ基/エポキシ基)は、モル比にして0.1〜1.0であり、好ましくは0.3〜1.0、特に好ましくは0.5〜1.0である。この範囲であると、得られるシラン化合物(B)に含まれる加水分解性アルコキシシランのバランスがよく所望の接着性が得られる。一方、1.0以上であると未反応の1級あるいは2級アミンが残存するため、耐ウィンドウォッシャー液接着性が低下する。0.1未満では付与できるアルコキシシランが少ないため、低温接着性が十分でない。
【0022】本発明に用いられるアミノシランとしては、具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミン、ビストリエトキシシリルプロピルアミン、ビスメトキシジメトキシシリルプロピルアミン、ビスエトキシジエトキシシリルプロピルアミン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、上記理由により、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミンが好ましい。これらは1種でも2種以上を組合せて用いてもよい。
【0023】本発明のシラン化合物(B)の製造方法としては、例えば上述の方法で得られた式(1)で表される化合物と、上記アミノシランとを混合し、40〜50℃で16〜48時間反応させて得られる。このとき、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の揮発性溶媒の存在下で反応させることもでき、揮発性溶媒の添加量は0〜50重量%の範囲内であることが好ましい。
【0024】このようにして得られるシラン化合物(B)は、分子内に含まれるアルコキシシランとのバランスがよく強力な接着性を付与できる。また、シラン化合物(B)が上記の構造、すなわちシロキサン結合を主鎖とし、側鎖に平行に伸びる反応性官能基をもつ構造を有することにより、組成物が硬化した後に得られる網目構造が適度な架橋密度を有しているため、非孔質な基体に対して強力な接着性が得られる。
【0025】(C)揮発性溶媒本発明のプライマー組成物は、プライマー組成物の総重量に対し5重量%以上の有機溶剤を含む。上記フィルム形成樹脂(A)に本発明のアクリル樹脂を含む場合は該アクリル樹脂を合成する際に、又は(B)成分を合成する際に揮発性溶剤を使用する。このような場合には、含まれている揮発性溶剤を除去する必要はなく、各成分は揮発性溶剤を含んだ状態で配合でき、その状態でさらに揮発性溶剤を添加することにより上記の配合割合とすればよい。本発明に使用する揮発性溶剤としては、上記(A)又は(B)成分に対して不活性であり、適度な揮発性を有するものが好ましく、既に各成分に含まれている揮発性溶剤との相溶性がよいものを選択する。例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、アセトン、n−ヘキサン、メチレンクロリド、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等が挙げられ、特に、メチルエチルケトン、酢酸エチルが好ましい。これらの揮発性溶剤は1種でも2種以上を併用してもよい。なお、これらの揮発性溶剤を使用する際には、十分に乾燥又は脱水してから配合するのが好ましい。
【0026】また、本発明のプライマー組成物は、カーボンブラックを含むことができる。カーボンブラックは紫外線や可視光線を遮蔽もしくは吸収するため、カーボンブラックを配合することにより耐候性が付与できる。本発明に用いるカーボンブラックとしては、特に限定はなく、米国材料試験協会規格における、N110、N220、N330、N550、N770等あるいはこれらの混合物が使用可能である。上記カーボンブラックの配合量は前記フィルム形成樹脂(A)に対して50〜300重量%が好ましく、100〜200重量%が特に好ましい。この範囲であると、フィルム形成樹脂(A)との相溶性もよく、組成物におけるカーボンブラックの分散性が確保できる。
【0027】また、本発明のプライマー組成物は、上記(A)又は(B)成分中に含まれるエポキシ基の開環反応を促進するため潜在性硬化剤を含むことができる。本発明に用いられる潜在性硬化剤は、ビスオキサゾリジン化合物等が挙げられる。
【0028】さらに、本発明のプライマー組成物は、上記成分に加え貯蔵安定性をさらに向上させるために安定剤を併用してもよい。安定剤としては、特に限定はなく公知の安定剤を使用でき、なかでも、マロン酸ジエチルのような活性メチレン化合物やメチルアルコール、エチルアルコールのようなモノアルコールが好ましい。また、貯蔵安定性を一層向上させる目的で吸水剤を使用してもよい。吸水剤としては、合成あるいは天然のゼオライト等が挙げられるが、本発明の目的を損なわない範囲において、公知の吸水剤を任意に用いることができる。吸水剤としては、吸水能力の観点から、合成あるいは天然のゼオライト等、ゼオライト系の吸水剤が好ましく、なかでも、細孔径3〜10Å程度のものが好ましく用いられる。また、市販されているゼオライトの好ましい具体例としては、バイエル社製のバイリットLパウダー、ユニオン・カーバイド社製のモレキュラーシーブ、東ソー社製のゼオラム等を挙げることができる。なお、吸水剤は、本発明プライマーに溶解するものでもしないものでも良く、溶解しないものの場合は、プライマー組成物に共存させればよい。
【0029】本発明のプライマー組成物には耐候性、作業性をさらに向上させるため、前記成分に加えて他の成分を配合してもよい。例えば、ランプブラック、チタンホワイト、ベンガラ、チタンイエロー、亜鉛華、鉛丹、コバルトブルー、鉄黒、アルミ粉等のような無機顔料;ネオザボンブラック RE、ネオブラック RE、オラゾールブラック CN、オラゾールブラック Ba(いずれもチバ・ガイギー社製)、スピロンブルー2BH(保土ヶ谷化学社製)などの有機染顔料;サイアソルブ(Cyasorb UV24Light Absorber、アメリカン・サイアナミド社製)、ウビヌル(Uvinul D-49 、D-50、N-35、N-539 、ジェネラル・アニリン社製)などの紫外線吸収剤等を配合すると、紫外線や可視光線を遮蔽、若しくは吸収し、耐光性の向上に有効である。さらに、ガラス粉末、クレー、粉末シリカゲル、極微粉状ケイ酸、モレキュラーシーブス(これは吸水能をも有する)などの充填剤、増粘剤、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、塩化パラフィンなどのプライマー皮膜に柔軟性を与え、接着強度を向上させる可塑剤を配合してもよい。
【0030】上記の成分の配合量は、プライマー組成物の総重量に対し、(A)フィルム形成樹脂を2〜30重量%、(B)1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物を2〜80重量%、(C)揮発性溶媒を5重量%以上の割合で配合する。好ましくは、(A)フィルム形成樹脂を2〜20重量%、(B)1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物を5〜30重量%、(C)揮発性溶媒を50〜80重量%の割合で配合する。フィルム形成樹脂(A)が2重量%未満であると、硬化性が悪く塗膜が形成されず、30重量%を超えると粘性が高すぎて均一な塗膜が得るのが難しく好ましくない。また、シラン化合物(B)が2重量%未満であると所望の接着性が得られず、80重量%を超えると貯蔵安定性が悪化する。
【0031】本発明のプライマー組成物の製造方法としては特に限定はなく、例えば、反応容器中で、上記フィルム形成樹脂(A)、シラン化合物(B)、及びカーボンブラック、その他の添加剤を適宜揮発性溶剤(C)に溶解させ、ボールミル等の混合装置を用いて十分に混練し、均一に分散させて調製できる。
【0032】以上のようにして得られる組成物は、ガラス又はシリコンハードコートされた樹脂ガラス等の非孔質な基体に対し、塗布後の接着保持性に優れ、かつ、様々な環境条件下で優れた接着性及び硬化性を有するため、四季を通じて使用できる。このような特性をもつ組成物は、特に自動車のガラス固定用ウレタン系シーラントの使用に際して、上記の非孔質な基体の表面に塗布して接着性を高めるプライマー組成物に好適である。
【0033】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<シラン化合物(B)の合成>合成例1:1分子中にエポキシ基を2個以上有するポリシロキサンの合成反応容器にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A187、日本ユニカー社製)と水を2:1(モル比)の割合で混合し、常温で撹拌しながら12時間縮合反応を行い、下記式(2)で示される1分子中に平均2個のエポキシ基を有する化合物(ポリシロキサン(2))を合成した。
【0034】
【化2】

【0035】続いて、表1に記載の組成でシラン化合物S01〜S05を合成した。
合成例2:シラン化合物S01の合成上述のようにして得られたポリシロキサン(2)と、分子内に1級アミノ基を1つ有するアミノシラン1(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)とをエポキシ基/アミノ基=2/1(モル比)の割合で混合し、40℃で16時間反応させて、シラン化合物S01を得た。得られたシラン化合物S01はメチルエチルケトン(MEK)を加えて濃度33.0重量%とした後、以下のプライマー組成物に用いた。
【0036】合成例3:シラン化合物S02の合成アミノシラン1に代えて、分子内に2級アミノ基を1つ有するアミノシラン2(N,N−ビストリメトキシシリルプロピルアミン)を用いたこと以外はシラン化合物S01と同様にして合成した。シラン化合物S02の濃度は33.0重量%とした。
【0037】合成例4:シラン化合物S03の合成ポリシロキサン(2)と、分子内に1級アミノ基を1つ有するアミノシラン2とをエポキシ基/アミノ基=2/2(モル比)の割合で混合し、40℃で30時間反応させてシラン化合物S03を得た。得られたシラン化合物S03はMEKを加えて濃度33.0重量%とした。
【0038】合成例5:シラン化合物S04の合成γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとアミノシラン1とをエポキシ基/アミノ基=1/1(モル比)で混合し、40℃で24時間反応させてシラン化合物S04を得た。得られたシラン化合物S04はMEKを加えて濃度33.0重量%とした。
【0039】合成例6:シラン化合物S05の合成γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとアミノシラン3(3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン)とを1.15:1(モル比)の割合で撹拌しながら反応容器中54.4℃で16時間加熱した。続いて、上記の比が最終的に2:1の割合となるようにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加え、乾燥させたMEKで濃度50重量%に希釈後、54.4℃でさらに24時間反応させた。得られたシラン化合物S05はMEKを追加して、濃度33.0重量%とした。
【0040】合成例7:シラン化合物S06の合成上記ポリシロキサン(2)と、アミノシラン1とをエポキシ基/アミノ基=2/3(モル比)の割合で混合し、40℃で40時間反応させてシラン化合物S06を得た。得られたシラン化合物S06はMEKを加えて濃度33.0重量%とした。
【0041】
【表1】

【0042】2.プライマー組成物の調製(実施例1〜4)表2に記載の組成で各成分を配合し、ボールミルで12時間混練してプライマー組成物を調製した。
【0043】(比較例1)シラン化合物S01〜S03に代えてS04を用いたこと以外は実施例と同様にして調製した。
(比較例2)シラン化合物S01〜S03に代えてS05を用いたこと以外は実施例と同様にして調製した。
【0044】(比較例3)シラン化合物S01〜S03に代えてS06を用いたこと以外は、実施例と同様にして調製した。
【0045】3.接着試験実施例、比較例で得られた組成物を、塗布面積12cm×2.5cmとしてシリコンハードコートされた有機ガラス(表中、SiH/Cと記す)又は表面処理を施していない白ガラス(フロートガラス)に塗布し、その上にウレタンシーラント(横浜ゴム社製WS−95)を圧着させて試験片とした。
【0046】試験例1:常温接着性作製した試験片を、20℃、湿度(RH)65%にて3日間又は7日間保存した後ナイフカット試験を行い、接着界面の状態を観察した。接着性は、組成物が凝集破壊した面積の塗布面積に対する割合(%)で評価した。CF100は、塗布面積全てで組成物が凝集破壊し、組成物と被着体表面の界面での剥離がなかったことを示す。
【0047】試験例2:耐ウィンドウォッシャー液接着性(耐水性)
作製した試験片を、20℃、湿度(RH)65%にて3日間保存し、続いて、ウィンドウォッシャー液に水を加えて50重量%希釈液(表中、W/Wと記す)とし、これに20℃で、168時間浸漬した後に試験例1と同様に接着性を評価した。
【0048】試験例3:低温接着性作製した試験片を、5℃、湿度(RH)50%にて3日間保存した後に試験例1と同様に接着性を評価した。試験例1〜3の評価結果を表2に示す。
【0049】
【表2】

【0050】表2に示すように、比較例1では接着性が著しく悪い。また、比較例2では常温接着性は良好だが、耐ウィンドウォッシャー液接着性、低温接着性が低下する。さらに、比較例3では耐ウィンドウォッシャー液接着性が十分でないことがわかる。それと比較して、本発明の実施例1〜4の組成物は、温度条件を変えても優れた接着性を示しており、自動車用窓ガラス等に要求される耐ウィンドウォッシャー液接着性にも優れていることがわかる。
【0051】
【発明の効果】このような特性を有する本発明のプライマー組成物は、ガラス又はシリコンハードコートされた樹脂ガラス等の非孔質な基体と金属とをウレタン系シーラントを用いて接着するに際し、上記基体の表面に塗布して、接着性を高めるプライマー組成物として好適であり、特に自動車の車体と窓ガラスとの接着用のプライマー組成物として有用である。
【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【出願日】 平成12年5月18日(2000.5.18)
【代理人】 【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔 (外1名)
【公開番号】 特開2001−323214(P2001−323214A)
【公開日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願番号】 特願2000−146312(P2000−146312)