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【発明の名称】 エポキシ樹脂系塗料組成物及びこれを用いた塗装工法
【発明者】 【氏名】庄司 美穂

【氏名】高野 亮

【氏名】伊東 均

【要約】 【課題】無機建材や旧塗膜面などの脆弱、劣化面の補強に有用な、浸透性、造膜性、上塗り適性に優れた塗膜を形成できるエポキシ樹脂系塗料組成物及びこれを用いた塗装工法を提供する。

【解決手段】(A)粘度が25℃で2,000mPa・s以上であるエポキシ樹脂で、かつ下記有機溶剤(D)に可溶であるエポキシ樹脂、(B)粘度が25℃で2,000mPa・s未満であるエポキシ樹脂で、かつ下記有機溶剤(D)に可溶である液状エポキシ樹脂、(C)アミン系硬化剤、及び(D)有機溶剤を含有する塗料であって、該有機溶剤(D)が脂肪族炭化水素系溶剤及び沸点148℃以上の高沸点芳香族炭化水素系溶剤から選ばれる炭化水素系溶剤を、該有機溶剤(D)中に80重量%以上含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)粘度が25℃で2,000mPa・s以上であるエポキシ樹脂で、かつ下記有機溶剤(D)に可溶であるエポキシ樹脂、(B)粘度が25℃で2,000mPa・s未満であるエポキシ樹脂で、かつ下記有機溶剤(D)に可溶である液状エポキシ樹脂、(C)アミン系硬化剤、及び(D)有機溶剤を含有する塗料であって、該有機溶剤(D)が脂肪族炭化水素系溶剤及び沸点148℃以上高沸点芳香族炭化水素系溶剤から選ばれる炭化水素系溶剤を、該有機溶剤(D)中に80重量%以上含有するものであることを特徴とするエポキシ樹脂系塗料組成物。
【請求項2】エポキシ樹脂(A)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を、アルキルフェノール又は/及び脂肪酸によって変性してなる変性エポキシ樹脂である請求項1記載のエポキシ樹脂系塗料組成物。
【請求項3】液状エポキシ樹脂(B)が、下記式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を、nは0〜2を表す)で示される化合物を主成分とするものである請求項1記載のエポキシ樹脂系塗料組成物。
【請求項4】エポキシ樹脂(A)及び液状エポキシ樹脂(B)の使用比が、固形分比で(A)/(B)=90/10〜30/70である請求項1記載のエポキシ樹脂系塗料組成物。
【請求項5】被塗面に、(A)粘度が25℃で2,000mPa・s以上であるエポキシ樹脂で、かつ下記有機溶剤(D)に可溶であるエポキシ樹脂、(B)粘度が25℃で2,000mPa・s未満であるエポキシ樹脂で、かつ下記有機溶剤(D)に可溶である液状エポキシ樹脂、(C)アミン系硬化剤、及び(D)有機溶剤を含有する塗料であって、該有機溶剤(D)が脂肪族炭化水素系溶剤及び沸点148℃以上高沸点芳香族炭化水素系溶剤から選ばれる炭化水素系溶剤を、該有機溶剤(D)中に80重量%以上含有するものであることを特徴とするエポキシ樹脂系塗料組成物を塗装し、さらに上塗り塗料を塗装することを特徴とする塗装工法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機建材や旧塗膜面などの脆弱、劣化面の補強に有用な、浸透性、造膜性、上塗り適性に優れた塗膜を形成できるエポキシ樹脂系塗料組成物及びこれを用いた塗装工法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、建築物の内外壁面や屋根瓦等の塗装において、コンクリート、モルタル、スレート板、サイディングボード等のセメント系の無機建材は表面層が脆弱なため、その補強を目的として、また表面仕上げ用塗材の塗膜等に対する接着力、密着力を確保するためにも、該建材表面にプライマーを塗布することが行われている。また劣化した旧塗膜が残る面の改修塗装の際にも、プライマーの塗布が行われている。
【0003】このようなプライマーには、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤を主成分とした有機溶剤型のプライマーが多く使用されているが、該プライマーには、ケトン系溶剤など揮発性が高く引火しやすい強溶剤が多く使用されており、吸引によって人体に悪影響を及ぼす等、安全面、衛生面で問題があった。さらに、かかる強溶剤を多く含有するプライマーは、旧塗膜の上に塗装した場合に、旧塗膜が溶剤に侵され、リフティング等の不具合が発生するという問題もあった。
【0004】本発明の目的は、浸透補強性かつ造膜性に優れ、さらに乾燥性、上塗り適性、付着性に優れた塗膜を形成できるエポキシ樹脂系塗料組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を解決するため鋭意研究の結果、脂肪族炭化水素系溶剤及び沸点148℃以上の高沸点芳香族炭化水素系溶剤で良好に希釈できる2種のエポキシ樹脂とアミン系硬化剤とを含有する塗料組成物によって上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(A)粘度が25℃で2,000mPa・s以上であるエポキシ樹脂で、かつ下記有機溶剤(D)に可溶であるエポキシ樹脂、(B)粘度が25℃で2,000mPa・s未満であるエポキシ樹脂で、かつ下記有機溶剤(D)に可溶である液状エポキシ樹脂、(C)アミン系硬化剤、及び(D)有機溶剤を含有する塗料であって、該有機溶剤(D)が脂肪族炭化水素系溶剤及び沸点148℃以上の高沸点芳香族炭化水素系溶剤から選ばれる炭化水素系溶剤を、該有機溶剤(D)中に80重量%以上含有するものであることを特徴とするエポキシ樹脂系塗料組成物、及びこれを被塗面に塗装し、さらに上塗り塗料を塗装する塗装工法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においてエポキシ樹脂(A)は、粘度が25℃で2,000mPa・s以上、好ましくは2300mPa・s以上であり、常温で固体状であってもよく、1分子中にエポキシ基を1個以上、好ましくは平均2個以上、更に好ましくは平均2〜5個有する樹脂であって、数平均分子量が約500〜3,000、好ましくは約750〜2,000の範囲内にあり、エポキシ当量が約100〜2,000、好ましくは約200〜1500の範囲内にあることが望ましく、後述の有機溶剤(D)に溶解可能なエポキシ樹脂である。
【0008】上記エポキシ樹脂(A)としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、その他のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種以上のエポキシ樹脂を、アルキルフェノール又は/及び脂肪酸によって変性されてなる変性エポキシ樹脂、あるいはアルキルフェノール又はアルキルフェノールノボラック型樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させてなるエポキシ基導入アルキルフェノール又はアルキルフェノールノボラック型樹脂などを挙げることができる。
【0009】上記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、例えば、多価アルコール、多価フェノールなどとエピクロルヒドリン又はアルキレンオキシドとを反応させて得ることができるグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂である。上記多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトールなどを挙げることができる。また、上記多価フェノールの例としては、2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2―ビス(2―ヒドロキシフェニル)プロパン、2―(2―ヒドロキシフェニル)2―(4―ヒドロキシフェニル)プロパン、ハロゲン化ビスフェノールA、ビス(4―ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、トリス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、テトラヒドロキシフェニルエタン、1,2,3―トリス(2,3―エポキシプロポキシ)プロパン、ノボラック型多価フェノール、クレゾール型多価フェノールなどを挙げることができる。
【0010】前記グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えばフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルなどを挙げることができる。
【0011】前記その他のグリシジル型エポキシ樹脂としては、例えばテトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレートなどを挙げることができる。
【0012】前記脂環族エポキシ樹脂としては、例えば(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エポリードGT300(ダイセル化学工業(株)製、商品名、3官能脂環式エポキシ樹脂)、エポリードGT400(ダイセル化学工業(株)製、商品名、4官能脂環式エポキシ樹脂)、EHPE(ダイセル化学工業(株)製、商品名、多官能脂環式エポキシ樹脂)などを挙げることができる。
【0013】上記変性前のエポキシ樹脂は、平均でエポキシ当量が約250以下であることが好適である。
【0014】上記変性剤として使用できるアルキルフェノールとしては、炭素原子数約2〜18のアルキル基を有するフェノールが好ましく、具体例としては、パラt―ブチルフェノール、パラオクチルフェノール、ノニルフェノールなどを挙げることができる。また上記変性剤として使用できる脂肪酸としては、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸が好適であり、具体例として、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、キリ油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、オイチシカ油脂肪酸、魚油脂肪酸、ハイジエン脂肪酸、トール油脂肪酸及び脱水ひまし油脂肪酸などを挙げることができる。上記変性剤であるアルキルフェノール及び脂肪酸はそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0015】上記変性エポキシ樹脂は、前記変性前のエポキシ樹脂と変性剤であるアルキルフェノール及び/又は脂肪酸を、必要に応じて触媒の存在下で100〜200℃に加熱することにより得ることができる。変性前のエポキシ樹脂と変性剤との反応は、エポキシ樹脂中のエポキシ基の当量と、アルキルフェノール中の水酸基と脂肪酸のカルボキシル基との合計当量の当量比が、前者:後者の比で、1:0.2〜0.6の範囲内となるように配合して反応させることが好適である。
【0016】上記エポキシ樹脂(A)としては、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂を、アルキルフェノール又は/及び脂肪酸によって変性してなる変性エポキシ樹脂が、得られる塗膜の造膜性、強靭性などの点から好適である。
【0017】本発明において液状エポキシ樹脂(B)は、粘度が25℃で2000mPa・s未満、好ましくは1800mPa・s以下であり、1分子当たり平均してエポキシ基を1個以上、好ましくは2個以上有する樹脂であって、数平均分子量が約350〜2,000、好ましくは約500〜1,000の範囲内にあり、エポキシ当量が約80〜1,000、好ましくは約200〜800の範囲内にあることが望ましく、後述の有機溶剤(D)に溶解可能なエポキシ樹脂である。
【0018】上記液状エポキシ樹脂(B)の代表例としては、例えば、アルキルジフェノールとエピクロルヒドリンから誘導されるエポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラックとエピクロルヒドリンから誘導されるエポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂などを挙げることができる。中でもアルキルジフェノールとエピクロルヒドリンから誘導されるエポキシ樹脂が好適であり、例えば下記式(1)
【0019】
【化2】

(式中、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、nは0〜2の整数、好ましくは1を表す)で示される化合物を主成分とするエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0020】上記式におけるRで表されるアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n―プロピル、n―ブチル、イソブチル、t―ブチル、n―ヘキシル、n―オクチル、2―エチルヘキシルなどを挙げることができ、中でもt―ブチルが好適である。
【0021】液状エポキシ樹脂(B)の市販品としては、例えば、エピクロンEXA―7120、同EXA―6200(以上、いずれも大日本インキ化学工業(株)社製)などのアルキルジフェノール型エポキシ樹脂;エピクロンEXA―6188(大日本インキ化学工業(株)社製)などのアルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピコート806、同806L、同1750(以上、いずれも油化シェルエポキシ(株)製、商品名)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂;エピコートYL6663(油化シェルエポキシ(株)製、商品名)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピコートYL6753(油化シェルエポキシ(株)製、商品名)などの水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
【0022】本発明において、上記エポキシ樹脂(A)と液状エポキシ樹脂(B)の混合比は、特に制限はないが、固形分比で(A)/(B)=90/10〜30/70の範囲内、好ましくは90/10〜50/50の範囲内であることが好適である。該混合比より樹脂(A)が多くなると、浸透性が低下し基材の補強が不十分となり、一方該混合比より樹脂(B)が多くなると造膜性は低下し、ブリード阻止性、上塗り適性が劣ることになるので好ましくない。
【0023】本発明においてアミン系硬化剤(C)は、上記エポキシ樹脂(A)と液状エポキシ樹脂(B)の硬化剤であり、従来公知のものが特に制限なく使用できる。該アミン系硬化剤としては、まずポリアミン化合物が挙げられる。
【0024】上記ポリアミン化合物は、1分子中に第1級炭素原子に結合する第1級アミノ基を2個以上有する化合物であって、脂肪族系、脂環族及び芳香族系のいずれであってもよい。該ポリアミン化合物は、一般に、約2000以下、好ましくは約30〜約1000の範囲内の第1級アミノ基当量を有することが有利であり、また、一般に約5000以下、好ましくは約60〜3000の範囲内の数平均分子量を有することが好適である。
【0025】上記ポリアミン化合物としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミンなどの脂肪族ポリアミン類;メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン類;1,3―ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族ポリアミン類等が挙げられる。
【0026】さらにアミン系硬化剤(C)としては、上記ポリアミン化合物のアミノ基がジアルキルケトンによってブロック化されてなるケチミン化合物も挙げることができる。該ケチミン化合物を用いることにより、本発明組成物を一液型組成物とすることが可能となる。この場合には、上記ポリアミン化合物の中でも、分子中に第2級アミノ基を有しない、即ち活性水素原子を有するアミノ基として、カルボニル化合物でブロック化されうる第1級アミノ基のみを有するポリアミン化合物を用いることが、樹脂(A)及び(B)と混合後の貯蔵安定性が良いことから特に好適である。分子中に第2級アミノ基を有するケチミン化合物を使用する場合には、第2級アミノ基をエポキシ化合物と反応させて第2級アミノ基を消費させたアダクト化合物として使用することが望ましい。
【0027】上記ポリアミン化合物の第1級アミノ基をブロック化するのに用いられるジアルキルケトンの好適なものとしては、硬化性と貯蔵安定性の両者のバランスの点から、例えば、下記式(2)
【0028】
【化3】

(式中、R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜6のアルキル基、R3及びR4は同一又は異なって水素原子、メチル又はエチル基を表す)で示される化合物を挙げることができる。
【0029】上記式において、R1、R2で表される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、n―プロピル、イソプロピル、n―ブチル、イソブチル、n―ヘキシルなどを挙げることができ、中でも、炭素原子数1〜3のアルキル基が好適である。
【0030】上記式で表されるケトンとしては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルt―ブチルケトン、メチルsec―ブチルケトン、メチルヘキシルケトンなどを挙げることができ、なかでも、メチルイソプロピルケトンが好適である。
【0031】前記ポリアミン化合物と上記ジアルキルケトンとの反応は、それ自体公知の方法によって行うことができ、その際、ポリアミン化合物中に存在する実質的にすべての第1級アミノ基が、ジアルキルケトンと反応するような量的割合及び反応条件で反応(脱水反応)させることが望ましい。
【0032】上記アミン系硬化剤(C)としては、粘度が25℃で500mPa・s以下であることが被塗面の補強効果の点から望ましい。
【0033】本発明において上記アミン系硬化剤(C)の配合割合は、前記エポキシ化合物(A)及び液状エポキシ化合物(B)中のエポキシ基1当量に対して、アミン系硬化剤(C)中の活性水素が0.5〜3.0当量、好ましくは0.8〜1.5当量になるような割合で用いることが塗膜の硬化性、非粘着性、防食性の観点から望ましい。
【0034】本発明において有機溶剤(D)は、塗料組成物の各成分の均一溶解又は分散化、粘度調整などの目的で使用されるものであり、また塗料組成物を旧塗膜の上に塗り重ねたとき、旧塗膜のリフティングを起こさないことが必要であり、脂肪族炭化水素系溶剤及び沸点148℃以上の高沸点芳香族炭化水素系溶剤から選ばれる炭化水素系溶剤を、該有機溶剤(D)中、80%重量%以上含有するものである。
【0035】上記脂肪族炭化水素系溶剤及び高沸点芳香族炭化水素系溶剤の具体例としては、例えば、VM&Pナフサ、ミネラルスピリット、ソルベント灯油、芳香族ナフサ、ソルベントナフサ、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200[「ソルベッソ」はエッソ石油社の登録商標]、スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500[「スワゾール」はコスモ石油社の登録商標]などの比較的溶解力の小さい脂肪族系又は芳香族系炭化水素類;n―ブタン、n―ヘキサン、n―ヘプタン、n―オクタン、イソノナン、n―デカン、n―ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタンなどの脂肪族炭化水素類などが用いられる。
【0036】本発明組成物中の有機溶剤は、すべてが脂肪族炭化水素系溶剤又は高沸点芳香族炭化水素系溶剤であることが望ましいが、有機溶剤中に、脂肪族炭化水素系溶剤及び高沸点芳香族炭化水素系溶剤以外のその他の有機溶剤を20%以下、好ましくは10%以下含有していても良い。その他の有機溶剤量が増すと、塗り重ね時に旧塗膜のリフティングを起こしやすくなる。
【0037】有機溶剤(D)の含有量は、特に限定されるものではなく、塗料状態や塗料粘度を適性範囲に保持できる量であればよく、通常、塗料中に20〜90重量%となる量である。
【0038】本発明の塗料組成物は、上記(A)〜(D)成分を必須とするものであり、(C)成分種によって一液型又は2液型の塗料組成物とすることができる。本発明組成物には、さらに必要に応じて、反応性希釈剤、脱水剤、改質用樹脂成分、着色顔料、体質顔料、防錆顔料などの顔料類、増粘剤、可塑剤、分散剤などの添加剤などを含有することができる。
【0039】上記脱水剤としては、例えばオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、ジメトキシプロパンなどが挙げられ、本発明の塗料組成物を一液型とする場合に有用に用いられる。
【0040】本発明では、上記の通り得られる本発明塗料組成物を被塗面に塗装し、さらに上塗り塗料を塗装する塗装工法をも提供するものである。
【0041】該被塗面としては、例えば金属(鉄、アルミニウム、亜鉛等)、木材、プラスチック、石材、スレート、コンクリート、モルタル、サイディングボードなどの素材面又はこれらの素材上の旧塗膜面などが挙げられる。特に本発明塗料組成物をプライマーとして、スレート、コンクリート、モルタル、サイディングボードなどの無機建材面や旧塗膜面などの脆弱、劣化面に適用することが好適である。その塗装方法としては、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、各種コーター塗装などの一般的な方法を用いることができる。
【0042】本発明組成物の塗布量は、特に限定されるものではないが、一般にはクリヤ塗料の場合には、約0.05〜0.5kg/m2、好ましくは約0.1〜0.25kg/m2、顔料を含有するエナメル塗料の場合には、約0.05〜1.0kg/m2、好ましくは約0.1〜0.5kg/m2の範囲内が適当である。
【0043】上塗り塗料としては、特に制限なく、それ自体既知の上塗り塗料を使用でき、例えば、アルキド樹脂系、アクリル樹脂系、塩化ゴム系、エポキシ樹脂系、シリコンアルキド樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、フッ素樹脂系などの塗料を使用することができる。
【0044】
【実施例】以下に実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳細に説明する。実施例中、「部」及び「%」は別記しない限り「重量部」及び「重量%」を示す。
【0045】プライマー用エポキシ樹脂系塗料組成物の作成実施例1容器に、「エピクロンEXA―7115」(注1)150部、「エピクロンEXA―7120」(注2)10部、「Aソルベント」20部(注3)を順次仕込み、混合、撹拌し、これを主剤とした。その後、この主剤に硬化剤としてメタキシリレンジアミンを30部加え、混合、撹拌して塗料組成物を得た。この塗料組成物は6時間以内に使用した。
(注1)「エピクロンEXA―7115」:大日本インキ化学工業(株)製、商品名、ビスフェノールA型樹脂のアルキルフェノール変性物、粘度2400mPa・s(25℃)、この樹脂の固形分60%有機溶剤溶液として用いた。有機溶剤の組成は脂肪族炭化水素系溶剤である。
(注2)「エピクロンEXA―7120」:大日本インキ化学工業(株)製、商品名、アルキルジフェノール型液状エポキシ樹脂、粘度1,600mPa・s(25℃)、前記式(1)において、2個のRのいずれもがt―ブチル基である構造を有する。
(注3)「Aソルベント」:日本石油(株)製、商品名、ミネラルスピリット実施例2〜9及び比較例1〜4実施例1において、配合組成を表1及び表2に示すとおりとする以外、実施例1と同様の操作を行い、各塗料組成物を得た。その塗料組成物は、6時間以内に使用した。尚、表1及び表2における(注4)〜(注9)は下記の通りである。
(注4)「YD―118」:東都化成(株)製、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、粘度1,000mPa・s(25℃)を有する。
(注5)「エピコート828」:油化シェルエポキシ(株)製、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、粘度13,500mPa・s(25℃)を有する。
(注6)硬化剤A:1,3―アミノメチルシクロヘキサンのケチミン化物。粘度500mPa・s(25℃)を有する。
(注7)硬化剤B:メタキシリレンジアミンのケチミン化物。粘度500mPa・s(25℃)を有する。
(注8)硬化剤C:メタキシリレンジアミンと「エピコート828」とのアダクトのケチミン化物。粘度4500mPa・s(25℃)を有する。
(注9)「EPICLON703」:大日本インキ化学工業(株)製、商品名、モノグリシジルエーテル。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】性能試験上記の通り得られた各塗料組成物を下記性能試験に供した。結果を表3に示す。
(*1)乾燥性:各塗料組成物を隙間200μmのフィルムアプリケーターで、ブリキ板上に塗布し、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に放置し、塗膜表面が半硬化の状態に至るまでの時間を指触により評価した。評価は下記基準に従った。
【0049】
◎:8時間未満○:8時間以上で16時間未満△:16時間以上で24時間未満×:24時間以上(*2)旧塗膜適性:フレキシブル板(スレート)にアクリル樹脂系複層仕上塗材上塗り塗料「アレスタイルトップS」(関西ペイント社製)を塗布し、7日間養生した後、その上に各塗料組成物を0.2kg/m2となるように刷毛塗りし、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で1日間養生した後、さらにその上に同じ塗料組成物を0.2kg/m2となるように刷毛塗りし、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で1日間養生した後、塗膜のちぢみを評価した。評価は下記規準に従った。
【0050】
○:異常なし(ちぢみなし)
×:ちぢみあり(*3)浸透補強性:ケイカル板(比重0.8)に、各塗料組成物を塗布量0.2kg/m2になるように刷毛塗りし、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で7日間養生して各塗装板を作成した。
【0051】(1)浸透性:各塗装板を切断し、その切断面を水性赤インキに浸漬して、各塗料組成物の基材への浸透深さを評価した。評価は下記規準に従った。
【0052】
◎:200μm以上○:100μm以上で200μm未満△:50μm以上で100μm未満×:50μm未満(2)補強性:各塗装板について、Xカットセロテープ(登録商標)付着試験を行ない、基材補強性を評価した。評価は下記規準に従った。
【0053】
○:剥がれなし△:剥がれあり×:基材破壊(*4)無機建材適性:フレキシブル板に、各塗料組成物を塗布量0.2kg/m2になるように刷毛塗りし、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で7日間養生した後、3日間没水、引き上げ1日後にXカットセロテープ付着試験により、付着性を評価した。評価は下記規準に従った。
【0054】
○:剥がれなし△:一部剥がれあり×:著しい剥がれあり(*5)シーリング材ブリード防止機能:フレキシブル板表面の半分に一液型ウレタン系シーリング材を塗布、7日間養生後、該シーリング塗布面(a部分とする)及びもう半分のフレキシブル板表面(b部分とする)に各塗料組成物を塗布量0.2kg/m2となるように刷毛塗りし、1日間乾燥後、その上に「セラMレタン白」(関西ペイント社製、アクリルウレタン樹脂塗料)を塗布、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で7日間養生した後、3ヶ月間屋外暴露を行なった。3ヶ月後のa及びb部分の表面の汚れの差をΔL値(色差)で評価した。評価は下記規準に従った。
【0055】
○:ΔLが0以上1.5未満、△:ΔLが1.5以上3.0未満×:ΔLが3.0以上【0056】
【表3】

【0057】塗装実施例10フレキシブル板(スレート)に、プライマーとして実施例1の塗料組成物を塗布量0.2kg/m2となるように刷毛塗りし、1日間乾燥後、「セラMレタン」(関西ペイント社製、溶剤型アクリルウレタン樹脂塗料)を塗布量0.12kg/m2となるように刷毛で塗布し、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で7日間養生して塗装板を得た。
【0058】実施例11及び比較例5実施例10において、プライマー及び上塗り塗料種を表4に示すとおりとする以外、実施例10と同様の操作を行い、各塗装板を得た。尚、表4における(注10)は下記の通りである。
(注10)「アクアレタン」:関西ペイント社製、水性アクリルウレタン樹脂塗料実施例12フレキシブル板に、プライマーとして実施例1の塗料組成物を塗布量0.2kg/m2となるように刷毛塗りし、1日間乾燥後、「ホルダーGII」(関西ペイント社製、水性微弾性下地調整材)を塗布量0.5kg/m2となるように刷毛塗りし、1日間乾燥後、「アクアレタン」を塗布量0.13kg/m2となるように刷毛で塗布し、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で7日間養生して塗装板を得た。
【0059】性能試験上記の通り得られた各塗料組成物を下記性能試験に供した。結果を表4に示す。
(*6)塗膜外観:塗膜表面を目視で観察した。評価は下記基準に従った。
【0060】◎:塗膜にヒビワレ、ツヤボケ、ハガレなどの欠陥のないもの○:塗膜に若干のヒビワレ、ツヤボケが認められるもの△:塗膜にヒビワレ、ツヤボケ、ハガレが認められるもの×:塗膜に著しいヒビワレ、ツヤボケ、ハガレが認められるもの(*7)付着性:塗膜でのXカットセロテープ試験により、上塗り塗膜との付着性を評価した。評価は下記基準に従った。
【0061】
○:全くはがれが認められない△:カッター傷の塗膜の一部分にはがれが認められる×:25%を越えて塗膜のはがれが認められる(*8)温冷繰り返し試験:JIS A―6909「温冷繰り返し作用による抵抗性」の試験方法に準じて、10サイクル後の塗面状態を目視にて評価した。評価は下記基準に従った。
【0062】
◎:全く異常なし○:僅かにフクレ、ワレが認められるが、実用上の支障はない△:フクレ、ワレが認められる×:著しいフクレ、ワレ及びハガレが認められる【0063】
【発明の効果】本発明の塗料組成物によれば、液状エポキシ樹脂(B)によって素材への浸透補強性を、エポキシ樹脂(A)によって造膜性を確保できるので、無機建材や旧塗膜面などの脆弱、劣化面を補強し、さらに乾燥性、上塗り適性、付着性に優れた塗膜を形成することができる。また本発明の塗料組成物には、旧塗膜の溶解を起こさない溶剤を用いているので、これを旧塗膜に塗り重ねても旧塗膜の溶解を起こさず、塗膜外観及び旧塗膜適性などの塗膜性能に優れた塗膜を形成することができる。
【0064】
【表4】

【出願人】 【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
【出願日】 平成12年5月18日(2000.5.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−323212(P2001−323212A)
【公開日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願番号】 特願2000−146243(P2000−146243)