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【発明の名称】 フッ素ゴム塗料組成物
【発明者】 【氏名】木下 聡之

【氏名】荻田 耕一郎

【要約】 【課題】プライマーを用いることなく、金属面上に直接ゴム被覆層を形成させることのできる材料であって、しかも耐不凍液性や高温長期圧縮時の塗膜のヘタリ性を改善したフッ素ゴム塗料組成物を提供する。

【解決手段】液状担体に分散したフッ素ゴムおよびポリオール系加硫剤を含むフッ素ゴム塗料組成物に、アミノ基含有カップリングのようなアミノ基含有金属化合物を分散させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フッ素ゴム、ポリオール系加硫剤及びアミノ基含有金属化合物を液状担体に分散してなるフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項2】 前記アミノ基含有金属化合物中の金属がSi、Al、TiおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である請求項1に記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項3】 フッ素ゴム100重量部に対して、0.1〜20重量部のポリオール加硫剤、および0.5〜30重量部のアミノ基含有金属化合物が含まれる請求項1または2に記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項4】 さらにフッ素樹脂を含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項5】 フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素樹脂である請求項4に記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項6】 前記液状担体が水性分散液である請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項7】 金属板の片面または両面に請求項1〜6のいずれかに記載のフッ素ゴム塗料組成物から形成された塗膜を有する塗装物品。
【請求項8】 自動車エンジンガスケット用材料である請求項7に記載の塗装物品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素ゴム塗料組成物に関し、さらに詳しくは、含フッ素共重合体、ポリオール加硫剤、アミノ基含有金属化合物、液状担体を含んでなる、フッ素ゴム塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ素ゴムは、その優れた耐熱性,耐油性,耐溶剤性、耐薬品性を利用し、成形またはコーティングされ、例えば織物、繊維、金属、プラスチック、ゴム、その他種々の基材に塗布または含浸されて、工業用材料として広く用いられており、特にエンジンガスケット分野では、アスベスト材料からの代替品としてフッ素ゴムコートのメタルガスケットが用いられ始めており、今後益々発展が期待されている。
【0003】メタルガスケット用のコーティング材料は、高温、高圧下の条件でガス流体に侵されず、温度、圧力に対して十分な弾性や柔軟性を保ち、接合面からの漏れを生じさせないように必要な締め付け圧力を維持できるものでなければならず、しかも耐不凍液性や耐エンジンオイル性を満足するものでなければならない。メタルガスケット用に使用されているフッ素ゴム塗料としては、一般にシール特性に優れるポリオール加硫系塗料を用いるが、この場合、基材との接着の為にプライマーを用いる必要があり、プライマー層の形成及びフッ素ゴム層の形成という2工程をとらなければならない。圧縮時の塗膜のヘタリ性をみると、ポリオール加硫系では、加硫時の橋かけに2重結合が関与しないため、ポリアミン加硫系に比べて、加硫ゴムが高温長期圧縮時にフローしやすい傾向にある。
【0004】一方、プライマー成分を硬化剤に内添することのできるポリアミン加硫系塗料を用いた場合、塗装工程は簡略化できるが、シール材として最も重要な物性である圧縮永久ひずみがポリオール加硫系塗料よりも大きくなる為、接合面からの漏れを生じさせないように締め付け圧力を上げる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プライマーを用いることなく、金属面上に直接ゴム被覆層を形成させることのできる材料であって、しかも耐不凍液性や高温長期圧縮時の塗膜のヘタリ性を改善したフッ素ゴム塗料組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目的は、フッ素ゴム、ポリオール系加硫剤及びアミノ基含有金属化合物を液状担体に分散してなるフッ素ゴム塗料組成物により達成される。
【0007】
【発明の形態の実施】以下、本発明の組成物に含まれる各成分を具体的に説明する。
フッ素ゴムフッ素ゴムは、主鎖に−CH2−で示される繰り返し単位を含む含フッ素共重合体であることが望ましい。その代表例は、ビニリデンフルオライドを含む弾性状含フッ素共重合体であり、具体的には、主鎖が以下の構造の繰り返し単位を含む共重合体である。:−CF2−CH2−,−CH2−CH2−,および−CH2−CH(CH3)−から選択される少なくとも1種の繰り返し単位、並びに、−CF2−CF(CF3)−,−CF2−CF2−,−CF2−CFCl−、−CF2−CF(CF2H)−および−CF2−CF(ORf)−(式中、Rfは炭素数1〜9のフルオロアルキル基である。)から選択される少なくとも1種の繰り返し単位。
【0008】より具体的には、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、エチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレンとプロピレンの共重合体などである。このような弾性状含フッ素共重合体は、「ダイエル」(商標)(ダイキン工業株式会社),「バイトン・フローム」(商標)(E.I.デュポン社),「アフラス」(商標)(旭硝子株式会社)などの商品名で市販されている。フッ素ゴムの分子量は、5000〜200000であるのが好ましい。また、架橋性の点でビニリデンジフルオライド系共重合体が好ましい。
【0009】ポリオール加硫系フッ素ゴム組成物に用いる加硫剤は、通常使用されるポリオール加硫系フッ素ゴムの加硫剤を用いることができる。好ましい加硫剤の例を以下に示す。本発明においてポリオール系加硫剤とは、水酸基、特にフェノール性水酸基を分子内に少なくとも2個有する化合物および高分子化合物であって、加硫性能を有するものが挙げられる。
【0010】例えば、【化1】

などのフェノール化合物、【0011】
【化2】

(式中、Yは水素原子、ハロゲン原子、R5、CH2OR5またはOR5、Zは−CH2−または−CH2OCH2−、R5は炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜100の整数を表す。)で示されるフェノール樹脂と塩基性化合物との塩が挙げられる。
【0012】なかでも、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、ヒドロキノン等のフェノール誘導体およびその塩;フェノール樹脂等のエノール型水酸基を分子内に2個以上有するポリヒドロキシ化合物およびその塩;式:Rf(CH2OH)2(ただし、Rfは、パーフルオロアルキルポリエーテル基である。)で示される化合物などが好ましい。これ以外にも、フッ素ゴム用ポリオール加硫剤として市販されているものはいずれも使用できる。媒体が有機溶剤の場合にはその有機溶剤に、水の場合には水に溶解または分散可能なものを用いるのが好ましい。加硫剤は、フッ素ゴム100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜5重量部用いる。
【0013】アミノ基含有金属化合物本発明で用いるアミノ基含有金属化合物としては、有機材料であるフッ素ゴムと無機材料の界面に作用し、化学的結合または物理的結合により両材料間に強固なブリッジを形成させる化合物で、特にフッ素ゴムの加硫剤としての機能を果たすと共に、液状担体に対しても安全に用いられるものをいう。本発明では、Si、Al、TiおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属のアミノ基含有金属化合物を用いる。好ましいアミノ基含有金属化合物としては、アミノ基含有シランカップリング剤、アミノ基含有アルミニウムカップリング剤、アミノ基含有チタンカップリング剤、アミノ基含有ジルコニウムカップリング剤があげられる。好ましいアミノ基含有シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−アミノエチル−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等である。アミノ基含有金属化合物は、単独で用いても併用しても良く、使用量は、フッ素ゴム100重量部に対して、合計で0.5〜30重量部、好ましくは6〜15重量部である。
【0014】加硫助剤加硫を促進させるために、加硫助剤を用いることもできる。加硫助剤としては、以下のような化合物を用いることができる:トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジメチルデシルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ミリスチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ココナットトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、1,4−フェニレンジメチレンビストリメチルアンモニウムジクロライド、1,4−フェニレンジメチレンビストリエチルアンモニウムジクロライド、エチレンビストリエチルアンモニウムジブロマイドなどのアルキルおよびアラルキル第4級アンモニウム塩;
【0015】8-メチル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムクロライド、8-メチル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムアイオダイド、8-メチル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムハイドロオキサイド、8-メチル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウム-メチルサルフェート、8-メチル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムブロマイド、8-プロピル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムブロマイド、8-ドデシル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムクロライド、8-ドデシル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムハイドロオキサイド、8-エイコシル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムクロライド、8-テトラコシル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムクロライド、8-ベンジル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムクロライド、8-ベンジル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムハイドロオキサイド、8-フェネチル-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムクロライド、8-(3-フェニルプロピル)-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウムクロライド等の第4級1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウム塩などの第4級アンモニウム塩;
【0016】トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn-プロピルアミン、トリn-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルn-プロピルアミン、ジメチルn-ブチルアミン、ジメチルイソブチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチル-sec-ブチルアミン、ジメチル-tert-ブチルアミン、トリアリルアミン、ジアリルメチルアミン、アリルジメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン、N-アリルピペリジン、N-エチルピペリジン、N-ブチルピペリジン、N-メチルピロリジン、N-シクロヘキシルピロリジン、N-n-ブチルピロリジン、N-エチルピロリジン、N-ベンジルピロリジン、2,4,6-トリメチルピリジンなどの3級アミン;およびトリフェニルホスフィンベンジルクロライド塩等の4級ホスフォニウム塩。
【0017】加硫助剤の使用量は、フッ素ゴム100重量部に対して0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。媒体が、有機溶剤の場合にはその有機溶剤に、水の場合には水に溶解または分散可能なものを用いるのが好ましい。
【0018】接着助剤本発明の組成物をより強固に基材と接着させるため、もしくは基材との親和性をより高める必要のある場合、接着助剤を添加しても良い。例えば、基材が金属またはガラスである場合は、シランカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤などを接着助剤として用いることができる。接着助剤を用いる場合、その使用量は、フッ素ゴム100重量部に対して、0.5〜30重量部である。
【0019】安定剤フッ素ゴム塗料組成物の保存安定性の向上を目的として、安定剤を添加することができる。安定剤としては、炭素数1〜12の有機酸、好ましくは炭素数1〜4の有機酸が用いられる。好ましい有機酸の例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸である。
【0020】ポリアミン加硫剤機械的強度向上を目的として、本発明の組成物にさらにポリアミン加硫剤を添加することができる。ポリアミン加硫剤としては、例えばトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、エタノールアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサ−2−スピロ[5,5]−ウンデカン等の脂肪族ポリアミンおよびその塩、ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族アミンおよびその塩、変性ポリアミン、ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0021】液状担体本明細書において、液状担体とは、本発明の組成物の他の成分を溶解または分散させるうる液体をいう。有機溶剤としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸イソペンチルなどのエステル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類を例示できる。有機溶媒は、塗料組成物全体の重量を基準にして40〜90重量%用いる。
【0022】水を用いる場合には、フッ素ゴムやフッ素樹脂を水中に分散させるため、分散剤を用いる。分散剤としては、ラウリル硫酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、ω−ハイドロパーフルオロアルキルカルボン酸塩等のアニオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール誘導体などの非イオン性界面活性剤、アルキルポリエチレングリコールエーテル、アルキルフェニルポリエチレングリコールエーテル、アルキルポリエチレングリコールエステル、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、ポリエチレングリコールアルキルエステル、ポリカルボン酸塩等の樹脂系分散剤を挙げることができる。水は、塗料組成物全体の重量を基準にして30〜90重量%用いる。分散剤は組成物全体の重量を基準にして0.1〜10重量%用いる。
【0023】本発明のフッ素ゴム塗料組成物には、上記成分に加え、フッ素ゴム塗料組成物に通常添加される各種添加剤、例えば充填材、着色剤、受酸剤などを配合することができる。充填材としては、カーボンブラック、2硫化モリブデン、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、珪酸カルシウムなどが例示でき、着色剤としては、無機顔料、複合酸化物顔料などが例示できる。受酸剤としては酸化マグネシウム,酸化鉛,酸化亜鉛,炭酸鉛,炭酸亜鉛,ハイドロタルサイトなどの複塩が例示できる。通常、受酸剤は、その活性度に応じて、含フッ素共重合体100重量部に対し、1〜40重量部配合できる。
【0024】本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、従来のフッ素ゴム塗料組成物の調製方法と同様の方法で調製することができる。具体的には、以下のような方法が採用さえる。
液状担体が有機溶剤の場合乳化重合で得られたフッ素ゴムベースポリマーを凝析・乾燥させることによりフッ素生ゴムを得る。これに、任意成分である充填材、受酸剤、着色剤をオープンロールまたはニーダーで混練し、コンパウンドとする。このコンパウンドを有機溶剤に溶解または分散し、必要に応じて安定剤を加えてA液とする。一方、ポリオール加硫剤、必要に応じて加硫助剤を有機溶剤に溶解または分散してB液とする。2液型の場合には、はじめからA液とB液を混合して、調製する。また、C液としてアミノ基含有金属化合物、必要に応じて接着助剤、ポリアミン加硫剤を有機溶剤に溶解または分散する。
【0025】液状担体が水の場合フッ素ゴムを分散剤の存在下で水に分散させたフッ素ゴムの濃縮液を調製する。フッ素ゴムラテックスをそのまま使用しても良い。任意成分である充填材、受酸剤、着色剤も分散剤を用いて予めミル分散させる。これらの液を混合し、必要ならば安定剤を加え、更に水で適当な濃度および粘度に調整してA液とする。一方、別途ポリオール加硫剤の水溶液(加硫剤が水溶性の場合)、または分散剤を用いた水系分散液(加硫剤が非水溶性の場合)を調製し、必要に応じて加硫助剤を水に溶解または分散し、B液とする。2液型の場合には、はじめからA液とB液を混合して、調製する。また、C液としてアミノ基含有金属化合物、必要に応じて接着助剤、ポリアミン加硫剤を水溶液(加硫剤が水溶性の場合)、または分散剤を用いた水系分散液(加硫剤が非水溶性の場合)とする。
【0026】フッ素樹脂本発明の塗料組成物には、溶融加工可能なフッ素樹脂を加えることもできる。溶融加工可能なフッ素樹脂は、融点が320℃以下のフッ素樹脂であり、具体的には、以下のようなフッ素樹脂が例示できる。テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFVE)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、テトラフルオロエチレン/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、分子量30万以下のテトラフルオロエチレン(LMW−PTFE)など。
【0027】ここで、PFVEとしては、下記の式(1)〜(5)で示される化合物を例示できる。
式(1): CF2=CFO(CF2)nCF3 (n=1〜9)
式(2): CF2=CFO(CF2CF2CF2O)m−CF2CF2CF3 (1≦m≦5)
式(3): CF2=CFO[CF2CF(CF3)]m−CF2CF2CF3 (1≦m≦5)
式(4): CF2=CFO[CF2CF(CF3)]m−CF2CF2CH2I (1≦m≦5)
式(5): CF2=CFOCFOCH2(CF2)kX (k=1〜12、X=H、FまたはCl)【0028】これらフッ素樹脂のなかでは、FEP、PFAまたはEPAが、非粘着性、表面平滑性の点で好ましい。これらフッ素樹脂は、乳化重合により得られたディスパージョンを水などの媒体および分散剤を使って水性分散液として、もしくは有機溶剤に転相してオルガノゾルとしてA液に添加できる。
【0029】フッ素樹脂を使用する場合、フッ素ゴムとフッ素樹脂の重量比(フッ素ゴム:フッ素樹脂)は、通常95:5〜20:80、好ましくは90:10〜30:70である。フッ素ゴムの割合が上記上限を越えると、フッ素樹脂を添加する効果(非粘着性、耐磨耗性など)が得られず、逆に上記下限より少なくなると、フッ素ゴムの弾性が失われるばかりでなく、被膜にひび割れなどの欠陥が生じる。
【0030】本発明の塗料組成物は、ハケ塗り、スプレーコーティング、浸漬塗布、フローコーティング、ディスペンサーコーティング、スクリーンコーティング等の通常の塗布方法により被塗物に塗布することができ、十分に乾燥させた後に加熱焼成すると、被膜が形成される。
【0031】本発明の塗料組成物により被覆する物品基材(被塗物)としては、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、真鍮などの金属類;ガラス板、ガラス繊維の織布及び不織布などのガラス製品;ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどの汎用および耐熱性樹脂の成形品および被覆物;SBR、ブチルゴム、NBR、EPDMなどの汎用ゴム、およびシリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性ゴムの成形品および被覆物;天然繊維および合成繊維の織布および不織布;などを使用することができるが、本発明の組成物は特に金属への接着性に優れる。
【0032】本発明の被膜形成法の一例(塗料組成物のコーティング)を説明する。まず、被塗物の表面は、組成物を塗布する前に、十分脱脂、洗浄しておくのが好ましい。フッ素ゴム塗料組成物は、スプレーコーティング、フローコーティング、ディスペンサーコーティング、スクリーンコーティング等により被塗物に塗布し、媒体を蒸発させるため、100℃前後の雰囲気で十分乾燥させる。その後、例えば150〜250℃で0.5〜24時間焼成する。これにより、組成物中のフッ素ゴムは十分加硫し、反応ガスおよび水蒸気が系外に追い出される。
【0033】本発明の組成物から形成された被膜は、耐不凍液性に優れ、高温長期圧縮時の表面ヘタリ性も改善されているので、メタルガスケットに適する。また、前記他の基材上へ被膜を形成することにより、耐熱性、耐溶剤性、潤滑性、非粘着性が要求される分野で使用でき、具体的な用途としては、シートおよびベルト;O-リング、ダイヤフラム、耐薬品性チューブ、燃料ホース、バルブシール、化学プラント用ガスケット、エンジンガスケット;複写機、プリンター、ファクシミリなどのOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール)および搬送ベルトなどが挙げられる。
【0034】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
実施例1主剤の調製:まず、フッ素ゴム(ダイキン工業(株)製ダイエルG-801)100重量部に対し、MTカーボンブラック20重量部および受酸剤(ハイドロタルサイトDHT-4A。協和化学工業(株)製)5重量部をオープンロールにて混練し、コンパウンドとした。このコンパウンドを酢酸ブチル400重量部とメチルイソブチルケトン400重量部の混合溶媒に溶かした。一方、ポリオール加硫剤であるビスフェノールAF2重量部と加硫促進剤であるDBU−b(8−ベンジル−1,8−ジアザービシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロライド)0.5重量部をエタノール17.5重量部に溶解し、その中に酢酸2重量部とキシレン4重量部とを加えた。この溶液を先に溶解したコンパウンド溶液とディスパーで混合し主剤を調製した。
【0035】硬化剤の調製:アミン加硫可能なシランカップリング剤15重量部をブタノール85重量部に溶解し、硬化剤を調製した。
塗料の調製:前記主剤と硬化剤をディスパーで混合し塗料を調製した。
【0036】塗膜の作成:ふっ素コートした手札サイズトレーに上記塗料を25g入れ全面に伸ばした後室温で3日静置する。次に100℃で24時間乾燥した後に、200℃で60分焼成した。焼成後フィルムを取りだし、膜厚を測定すると約300μmであった。
【0037】塗装板の作成:予めアセトン洗浄しておいたSUS301板上に、上記塗料を16ミルのアプリケーター で塗装した。風乾後、80〜100℃で30分乾燥した後に、200℃で30分焼成した。
【0038】比較例1塗料の調製:実施例1において硬化剤を除いた以外は実施例の手順を繰り返した。
塗膜の作成:ふっ素コートした手札サイズトレーに上記塗料を25g入れ全面に伸ばした後室温で3日静置する。次に100℃で24時間乾燥した後に、200℃で60分焼成した。焼成後フィルムを取りだし、膜厚を測定すると約300μmであった。
塗装板の作成:予めアセトン洗浄しておいたSUS301板を市販のフッ素ゴム用プライマーでディッピングし、80〜100℃で30分予備乾燥した。室温に戻した後、上記塗料を16ミルのアプリケーター で塗装した。風乾後、80〜100℃で30分乾燥した後に、200℃で30分焼成した。
【0039】比較例2フッ素ゴム(ダイキン工業(株)製ダイエルG-801)100重量部に対し、MTカーボンブラック20重量部および受酸剤(ハイドロタルサイトDHT-4A。協和化学工業(株)製)5重量部をオープンロールにて混練しコンパウンドとした。このコンパウンドを酢酸ブチル400重量部とメチルイソブチルケトン400重量部の混合溶媒に溶かした。
硬化剤の調製:アミン加硫可能なシランカップリング剤15重量部をブタノール85重量部に溶解し硬化剤を調製した。
塗料の調製:前記フッ素ゴム溶液と硬化剤をディスパーで混合し塗料を調製した。
塗膜の作成:ふっ素コートした手札サイズトレーに上記塗料を25g入れ全面に伸ばした後室温で3日静置する。次に100℃で24時間乾燥した後に、200℃で60分焼成した。焼成後フィルムを取りだし、膜厚を測定すると約300μmであった。
塗装板の作成:予めアセトン洗浄しておいたSUS301板上に、上記塗料を16ミルのアプリケターで塗装した。予備乾燥後、80〜100℃で30分乾燥した後に、200℃で30分焼成した。
【0040】実施例および比較例で作成した塗装板について、耐不凍液性および塗膜のヘタリを以下のようにして評価した。
<耐不凍液性>市販のロングライフクーラント(LLC)を水にとかして50%(容量)水溶液を調製し、この水溶液に、120℃で500時間、塗装板を浸漬する。浸漬後、塗膜表面上のブリスターなどの有無を目視にて観察し、評価する。塗膜外観に変化のないものを○、部分的にブリスターなどが発生したものを△、全面にブリスターなどが発生したものを×とした。
【0041】<塗膜のヘタリ(欠落)>塗装板を圧縮永久歪み測定用冶具にスペーサーを用いることなく挟み、200℃で5時間保持した後、塗膜端部の欠落の有無を目視にて観察し、評価した。塗膜のはみだし、欠落の全くないものを○、塗膜のはみだし、欠落のあったものを×とした。結果を表1に示す。
<シール性(圧縮永久ひずみ;JIS K 6262−5に準拠)>上記塗膜を約10mmになる様に重ね合わせ、ダイヤルゲージで厚みを測定する。次に試料を25%圧縮加圧下に温度175℃で72時間炉内におき、ついでこれを炉から取りだし室温で30分間放冷後ダイヤルゲージで厚みを測定し、次式に従って計算した。
圧縮永久ひずみ(率)=100×(t0−t1)/(t0−t2
ただしt0:圧縮前の厚さ(mm)
1:圧縮後の厚さ(mm)
2:スペサーの厚さ(mm)
圧縮永久ひずみが50%以下のものを○、51%〜89%のものを△、90%以上のものを×とした。
【0042】
【表1】

【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成12年5月11日(2000.5.11)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2001−316611(P2001−316611A)
【公開日】 平成13年11月16日(2001.11.16)
【出願番号】 特願2000−138408(P2000−138408)