| 【発明の名称】 |
絶縁膜用コーティングワニス及び絶縁膜 |
| 【発明者】 |
【氏名】東田 進弘
【氏名】齋藤 英紀
【氏名】藤本 雅則
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| 【要約】 |
【課題】半導体用途において、熱特性、電気特性、物理特性及び機械特性のすべてに優れ、特に、誘電率の極めて低い耐熱性の絶縁膜を提供する。
【解決手段】(1)一般式(A)で表わされる繰り返し単位を有する、ポリベンゾオキサゾール前駆体の1種または2種以上、(2)熱分解温度が、200℃〜400℃の有機化合物、および、(3)上記(1)及び(2)を同時に溶解もしくは分散する事が可能な有機溶媒、からなるコーティング用ワニスを調製し、フィルム化する (一般式(A)中、nは0〜1000の整数、R1〜R4は、Hまたは一価の有機基で、Xは式(B)、Yは式(C)、およびZ1,Z2は式(D)で表される構造より、それぞれ選ばれる基を示す。) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (1)一般式(A)で表わされる繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体の1種または2種以上、(2)熱分解温度が、200℃〜400℃の有機化合物、および、(3)上記(1)及び(2)を同時に溶解もしくは分散する事が可能な有機溶媒、からなることを特徴とする、絶縁膜を作製する事が可能なコーティング用ワニス。 【化1】
式(A)中、nは0〜1000の整数を示す。R1〜R4は、Hまたは一価の有機基で、Xは式(B)、Yは式(C)、およびZ1,Z2は式(D)で表される構造より、それぞれ選ばれる基を示す。 【化2】
【化3】
式中、X1は式(E)で表される構造より選ばれる基を示し、これらの構造中、ベンゼン環上の水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、およびトリフルオロエチル基からなる群から選ばれる、少なくとも1個の基で置換されていてもよい。 【化4】
【化5】
【請求項2】 (1)一般式(A)で表わされる繰り返し単位を有する、ポリベンゾオキサゾール前駆体の1種または2種以上、(2)一般式(F)で表わされる繰り返し単位を有する、ポリベンゾオキサゾール前駆体、(3)熱分解温度が、200℃〜400℃の有機化合物、および、(4)上記(1)〜(3)を同時に溶解もしくは分散する事が可能な有機溶媒、からなることを特徴とする、絶縁膜を作製する事が可能なコーティング用ワニス。 【化6】
式(A)中、nは0〜1000の整数を示す。R1〜R4は、Hまたは一価の有機基で、Xは式(B)、Yは式(C)、およびZ1,Z2は式(D)で表される構造より、それぞれ選ばれる基を示す。 【化7】
【化8】
式中、X1は式(E)で表される構造より選ばれる基を示し、これらの構造中、ベンゼン環上の水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、およびトリフルオロエチル基からなる群から選ばれる、少なくとも1個の基で置換されていてもよい。 【化9】
【化10】
【化11】
式(F)中、mは10〜1000の整数を示す。R5及びR6は、Hまたは一価の有機基で、Xは式(B)、Yは式(C)で表される構造より、それぞれ選ばれる基を示す。 【請求項3】 熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物が、ポリオキシアルキレン、ポリメチルメタクリレート、およびポリαーメチルスチレンからなる群より選ばれる、少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1または請求項2記載のコーティング用ワニス。 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の、コーティング用ワニスから作製した事を特徴とするポリベンゾオキサゾール絶縁膜。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱特性、電気特性、機械特性、物理特性に優れ、半導体用の層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に適した、絶縁膜用ポリベンゾオキサゾール樹脂に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、半導体用の層間絶縁膜としては、化学気相法等で作製した酸化膜が使用されている。しかしながら、酸化膜等の無機絶縁膜は誘電率が高く、高速化、高性能化のため、絶縁膜として有機材料の適用が検討されている。半導体用途の有機材料としては、耐熱性、電気特性、機械的特性などに優れたポリイミド樹脂が用いられている。近年、半導体の高機能化、高性能化にともない、さらに、耐熱性、電気特性、吸湿性、熱膨張係数等の著しい向上の要求があり、更に高性能な樹脂が必要とされるようになっている。 【0003】このような事情から、ポリイミド樹脂に比べて、吸水性、電気特性に関して優れた性能を示すポリベンゾオキサゾール樹脂を、半導体用途の絶縁材料に適用することが試みられている。ポリベンゾオキサゾール樹脂は、熱特性、電気特性、機械的特性、物理特性に優れており、例えば、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸からなるポリベンゾオキサゾール樹脂や、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンとテレフタル酸からのポリベンゾオキサゾール樹脂等がある。しかしながら、近年のさらなる低誘電率化の要求は厳しく、有機樹脂等の高密度膜では、要求される誘電率を満足することが難しくなってきている。そのため、酸化膜等の無機膜の膜中に孔を開けることにより、絶縁膜としての誘電率を大幅に低減させる方法が行われている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、半導体用途において、熱特性、電気特性、物理特性及び機械特性のすべてに優れ、特に、誘電率の極めて低い耐熱性の絶縁膜を提供する事を目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のような従来の問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定構造のポリベンゾオキサゾール前駆体に、熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物を加えて調製した、ワニスを用いて作製したポリベンゾオキサゾールの膜が、本発明の目標を満たし得ることを見出し、さらに検討を進めて本発明を完成するに至った。 【0006】即ち本発明は、(1)一般式(A)で表わされる繰り返し単位を有する、ポリベンゾオキサゾール前駆体の1種または2種以上、(2)熱分解温度が、200℃〜400℃の有機化合物、および、(3)上記(1)及び(2)を同時に溶解もしくは分散する事が可能な有機溶媒、からなることを特徴とし、またこれに、一般式(F)で表される繰り返し単位を有する、ポリベンゾオキサゾール前駆体を併用することを特徴とする、絶縁膜を作製する事が可能なコーティング用ワニスである。 【0007】 【化12】
式(A)中、nは0〜1000の整数を示す。R1〜R4は、Hまたは一価の有機基で、Xは式(B)、Yは式(C)、およびZ1,Z2は式(D)で表される構造より、それぞれ選ばれる基を示す。 【0008】 【化13】
【0009】 【化14】
式中、X1は式(E)で表される構造より選ばれる基を示し、これらの構造中、ベンゼン環上の水素原子は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、およびトリフルオロエチル基からなる群から選ばれる、少なくとも1個の基で置換されていてもよい。 【0010】 【化15】
【0011】 【化16】
【0012】 【化17】
式(F)中、mは10〜1000の整数を示す。R5及びR6は、Hまたは一価の有機基で、Xは式(B)、Yは式(C)で表される構造より、それぞれ選ばれる基を示す。 【0013】またさらには、前記のコーティング用ワニスから作製した事を特徴とする、ポリベンゾオキサゾール絶縁膜である。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体は、前記式(B)の構造を有するビスアミノフェノール化合物と、式(C)の構造を有するジカルボン酸、および式(D)の構造を有するアセチレン含有カルボン酸とから、従来の酸クロリド法、活性化エステル法、ポリリン酸やジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下での縮合反応等の方法により得ることができる。 【0015】本発明で用いる、式(B)の構造を有するビスアミノフェノール化合物としては、2,4−ジアミノレゾルシノール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル、9,9−ビス−(4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)プロパン、2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)プロパン、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)プロパン、2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)プロパン、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)プロパン、2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)プロパン、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロパン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−2,2'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−2,2'−トリフルオロメチルビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−5,5'−トリフルオロメチルビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−6,6'−トリフルオロメチルビフェニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種類以上のビスアミノフェノール化合物を組み合わせて使用することも可能である。 【0016】式(C)の構造を有するジカルボン酸の例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4'−ビフェニレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−スルホニルジ安息香酸、4,4'−オキシビス安息香酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニレンジカルボン酸、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種類以上のジカルボン酸化合物を組み合わせて使用することも可能である。 【0017】式(D)の構造を有するアセチレン含有カルボン酸の例としては、2−エチニル安息香酸、3−エチニル安息香酸、4−エチニル安息香酸、1,3−ジエチニル安息香酸、2,4−ジエチニル安息香酸、1,3,5−トリエチニル安息香酸、2−エチニル−1−ナフトエ酸、3−エチニル−1−ナフトエ酸、4−エチニル−1−ナフトエ酸、5−エチニル−1−ナフトエ酸、6−エチニル−1−ナフトエ酸、7−エチニル−1−ナフトエ酸、8−エチニル−1−ナフトエ酸、2−エチニル−2−ナフトエ酸、3−エチニル−2−ナフトエ酸、4−エチニル−2−ナフトエ酸、5−エチニル−2−ナフトエ酸、6−エチニル−2−ナフトエ酸、7−エチニル−2−ナフトエ酸、8−エチニル−2−ナフトエ酸、3,5―ジエチニル−1−ナフトエ酸、3,6―ジエチニル−1−ナフトエ酸、3,7―ジエチニル−1−ナフトエ酸、3,8―ジエチニル−1−ナフトエ酸、4,5―ジエチニル−1−ナフトエ酸、4,6―ジエチニル−1−ナフトエ酸、4,7―ジエチニル−1−ナフトエ酸、4,8―ジエチニル−1−ナフトエ酸、3,5―ジエチニル−2−ナフトエ酸、3,6―ジエチニル−2−ナフトエ酸、3,7―ジエチニル−2−ナフトエ酸、3,8―ジエチニル−2−ナフトエ酸、4,5―ジエチニル−2−ナフトエ酸、4,6―ジエチニル−2−ナフトエ酸、4,7―ジエチニル−2−ナフトエ酸、4,8―ジエチニル−2−ナフトエ酸、3,5,6―トリエチニル−1−ナフトエ酸、3,5,7―トリエチニル−1−ナフトエ酸、3,5,8―トリエチニル−1−ナフトエ酸、3,6,7―トリエチニル−1−ナフトエ酸、4,5,7―トリエチニル−2−ナフトエ酸、4,5,8―トリエチニル−2−ナフトエ酸、4,6,8―トリエチニル−2−ナフトエ酸、2−シクロペンチルカルボン酸、3−シクロペンチルカルボン酸、2−シクロヘキシルカルボン酸、3−シクロヘキシルカルボン酸、4−シクロヘキシルカルボン酸、2,4−シクロヘキシルジカルボン酸、3,5−シクロヘキシルジカルボン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種類以上のアセチレン含有カルボン酸を組み合わせて使用することも可能である。 【0018】熱分解可能温度が200℃〜400℃の有機化合物の例としては、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシイソプロピレン、ポリオキシメチレンーオキシエチレン共重合体、ポリオキシメチレンーオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンーオキシプロピレン共重合体等のポリオキシアルキレンや、ポリメチルメタクリレート、ポリαメチルスチレン等が挙げられる。必要により、末端に水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、メタクリル基等の官能基を、片末端または両末端に導入したものを用いることが出来る。また、ポリベンゾオキサゾール樹脂末端のカルボキシ基、アミノ基、水酸基、または主鎖構造中の水酸基に反応させて、共重合体として用いる事も可能である。また、これらを2種以上組み合わせて使用することも可能である。 【0019】ポリベンゾオキサゾール前駆体及び熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物を、同時に溶解もしくは分散する事が可能な有機溶媒としては、用いる溶質の構造によりそれぞれ異なるが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等を、1種、または2種以上混合して用いることが出来る。 【0020】本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法の中で、例えば、酸クロリド法では、使用する酸クロリドは、まず、N,N−ジメチルホルムアミド等の触媒存在下で、ジカルボン酸と過剰量の塩化チオニルとを、室温ないし75℃で反応させ、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により留去した後、残査をヘキサン等の溶媒で再結晶することにより得ることができる。このようにして製造したエチニル安息香酸クロリドを、ビスアミノフェノール化合物と共に、通常N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒に溶解し、ピリジン等の酸受容剤存在下で、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニレンジカルボン酸クロリドと、室温ないし−30℃で反応させることにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得ることが出来る。 【0021】本発明のポリベンゾオキサゾール樹脂は、加熱する事により環化縮合反応によって架橋を生じ、また、熱分解温度が200℃〜400℃の有機化合物は、このとき熱分解して揮散し、ポリベンゾオキサゾール樹脂の膜に微細孔を形成させるので、本発明によるコーティング用ワニスを用いることにより、多孔質の絶縁膜を得ることができる。 【0022】このワニスには、必要により各種添加剤として、界面活性剤、シラン系に代表されるカップリング剤、酸素ラジカルやイオウラジカルを加熱により発生するラジカル開始剤等を添加し、半導体用層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として用いることが出来る。 【0023】また、本発明におけるポリベンゾオキサゾール樹脂は、前記一般式(A)で示された前駆体の構造中の、R1及びR2の少なくとも一方がHである場合は、感光剤としてのナフトキノンジアジド化合物と一緒に用いることで、ポジ型の感光性樹脂組成物として、また、R1及びR2の少なくとも一方が、メタクリロイル基のような光架橋性基を有する基である場合は、光開始剤を用いることでネガ型感光性樹脂組成物として用いることが可能である。 【0024】本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体を使用する際は、このワニスを適当な支持体、例えば、シリコーンウエハーやセラミック基盤等に塗布する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等が挙げられる。その後、乾燥し、加熱処理をして、ポリベンゾオキサゾール樹脂架橋体に変換して用いることが好ましい。また、ジカルボン酸成分を選択することにより、溶剤に可溶なポリベンゾオキサゾール樹脂として用いることもできる。 【0025】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。実施例及び比較例で作成したフィルムを用いて、特性評価のため、誘電率、耐熱性、及び吸水率を測定した。各特性の測定条件は次の通りとし、その測定結果は表1にまとめて示した。 【0026】誘電率:測定周波数1MHz耐熱性:窒素ガスフロー下、昇温速度10℃/分の条件により、重量減少5%の時の温度を測定した。 吸水率:23±2℃で、24時間浸せきした後の吸水率を測定した。 【0027】「実施例1」2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン73.2g(0.2mol)を、乾燥したジメチルアセトアミド200gに溶解し、ピリジン39.6g(0.5mol)を添加した後、γ−ブチロラクトン70gにイソフタル酸クロリド32.5g(0.16mol)を溶解した溶液を、乾燥窒素下、−15℃で30分掛けて滴下する。続いて、γ−ブチロラクトン30gに4−エチニル安息香酸クロリド13.2g(0.08mol)を溶解した溶液を、15分掛けて滴下した。滴下終了後、室温まで戻し、室温で5時間攪拌した。その後、反応液を蒸留水7リットルに滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、5600であった。 【0028】このポリベンゾオキサゾール前駆体85gを、ポリメチルメタクリレート(数平均分子量:50000)15gと共に、N−メチル−2−ピロリドンに溶解し、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過し、ワニスを得た。このワニスを、ガラス板上にギャップ300μmのドクターナイフを用いて塗布した。その後、オーブン中で70℃1時間乾燥し、はく離して膜厚20μmのポリベンゾオキサゾール前駆体フィルムを得た。そのフィルムを金枠で固定し、150℃/30分、250℃/30分、350℃/30分の順で、窒素雰囲気下で加熱し、ポリベンゾオキサゾール樹脂フィルムを得た。このフィルムを用いて、各種特性の評価を行なった。 【0029】「実施例2」実施例1において、4−エチニル安息香酸クロリド13.2g(0.08mol)の代わりに、3,5−エチニル安息香酸クロリド15.1g(0.08mol)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして、フィルムを作製した。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、5500であった。 【0030】「実施例3」実施例1において、4−エチニル安息香酸クロリド13.2g(0.08mol)の代わりに、6−エチニル−2−ナフトエ酸クロリド17.2g(0.08mol)を用い、また、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン73.2g(0.2mol)の代わりに、4,4'−ビフェニルジカルボン酸クロリド6.2g(0.02mol)用いた以外は、全て実施例1と同様にして、フィルムを作製した。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、5300であった。 【0031】「実施例4」実施例1で得られたポリベンゾオキサゾール前駆体42.5g、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンとイソフタル酸クロリドから、実施例1と同様な方法で調製した、ポリベンゾオキサゾール前駆体(数平均分子量20000)42.5g、および、ポリメチルメタクリレート(数平均分子量:50000)樹脂15gを、N−メチル−2−ピロリドン200gに溶解したワニスを用いて、実施例1と同様にして、フィルムを作製した。 【0032】「比較例1」実施例1において、イソフタル酸クロリドの32.5g(0.16mol)および4−エチニル安息香酸クロリド13.2g(0.08mol)の代わりに、イソフタル酸クロリドの38.6g(0.19mol)を用いて、ポリベンゾオキサゾール前駆体を調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した。ここで得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、10000であった。 【0033】「比較例2」実施例1において、イソフタル酸クロリドの32.5g(0.16mol)および4−エチニル安息香酸クロリド13.2g(0.08mol)の代わりに、4,4'−ビフェニルジカルボン酸クロリド5.6g(0.20mol)を用いて、ポリベンゾオキサゾール前駆体を調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した。ここで得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、12000であった。 【0034】 【表1】
【0035】表1にまとめた結果から明らかなように、本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体を用いて作製した、実施例のポリベンゾオキサゾール樹脂は、いずれも誘電率が2.4〜2.5と低く、さらに耐熱性が高く、吸水率が低いという良好な特性を示した。これに対して、比較例では、ポリベンゾオキサゾール樹脂ではあるものの、本発明の一般式(A)で表される繰り返し単位を有していないので、実施例に比べて誘電率が高く、2.9を下回る値は得られなかった。 【0036】 【発明の効果】本発明のポリベンゾオキサゾール樹脂は、優れた熱特性、電気特性、機械特性、及び物理特性を達成することができ、特に、誘電率の極めて低い絶縁膜を形成させることが出来、半導体用の層間絶縁膜、保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に、好適に使用する事ができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002141 【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月27日(2000.4.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−311044(P2001−311044A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月9日(2001.11.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−128443(P2000−128443) |
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