| 【発明の名称】 |
ボールペン用油性インキ組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】齋藤 力
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| 【要約】 |
【課題】ボールペン用油性インキの粘度が時間の経過と共に低下し、ボテや直流が起こるのを防ぐことができるボールペン用油性インキを提供することである。
【解決手段】少なくとも着色剤と有機溶剤と樹脂とからなるボールペン用油性インキ組成物において、水の含有率がインキの全量に対して1〜4重量パーセントであることを特徴とするボールペン用油性インキ組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボールペン用油性インキ組成物において、該ボールペン用油性インキ組成物を使用環境下に放置すると、空気中の水分を吸収し平衡状態に達する時の該水分量を予め該ボールペン用インキ組成物に含有させることを特徴とするボールペン用油性インキ組成物。 【請求項2】 水の含有率がインキ全量に対して1〜4重量パーセントであることを特徴とする請求項1記載のボールペン用油性インキ組成物。 【請求項3】 少なくとも着色剤と有機溶剤と樹脂とからなることを特徴とする請求項1または2記載のボールペン用油性インキ組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ボールペンに用いる油性インキ組成物に関し、特に、長期保存後でも吸湿によるインキの粘度低下が起こりにくく、従って、製造直後のインキに比べても筆記時のインキのボタ落ち(ボテ)、チップ下向きでのインキ漏れ出し(直流)が起こりにくいインキに関する。 【0002】 【従来の技術】ボールペンは、従来、ボールペンチップ、インキ収容管、インキ及びペン軸から構成されている。このボールペンによる筆記は、ペン先のボールが回転することによって流出してくるインキが筆記面に転写することによって行われる。このとき転写しきれなかったインキは、チップホルダーの外周に付着し、いわゆるボテとなって筆記面を汚してしまう。 【0003】また、チップを下向きでボールペンを長時間保管するか又は高温多湿下で保管すると、チップでインキ収容管内のインキを支えきれなくなり、インキが直流し、身体や衣服などを汚すことがある。これらの現象は、インキの粘度が低下することによって起こる。 【0004】ボールペン用油性インキ組成物は、染料や顔料などの着色剤、ベンジルアルコールやフェノキシエタノールなどの溶剤、及びケトン樹脂、キシレン樹脂、ロジン誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラールなどの樹脂からなっている。溶剤としてグリコールを用いたインキは、グリコール類が吸湿性を有しているため、自然環境下に保管すると、吸湿によってインキの粘度が低下し、上述したボテ防止や直流防止に関する性能が製造時に比べて低下してしまう問題があった。特に、多湿時に前記問題が起こりやすい。 【0005】ボールペン用油性インキにおいて、粘度は筆記性能を左右する重要な物性の一つである。インキの粘度を高めに設定すれば、ボールペンチップからのインキの流出量が少なくなり、筆記中のインキのボタ落ち、直流が少なくなるが、その反面、筆感が重くなり、また、描線濃度が薄くなるなどの弊害が出てくる。この傾向は、ボールペンの使用条件が低温であればあるほど、大きくなる。これと反対に、インキの粘度を低く設定した場合は、特にボールペンの使用条件が高温の時、ボテや直流の発生が多くなる。 【0006】インキ製造後の時間経過による粘度低下を見込んで、予めインキの粘度を高めに設定しておく方法がある。しかし、このような方法では、設定したい粘度に達するまでに時間の経過が必要となり、また、製造直後はインキの粘度が高いので、筆感が重く、書き心地の悪いボールペンになってしまう。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記の問題を解決するために、ボールペン用油性インキの粘度が時間の経過と共に低下し、ボテや直流が起こるのを防ぐことができるボールペン用油性インキを提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ボールペン用油性インキ組成物に予め水を入れておくことにより、自然環境下での吸湿によるインキの粘度低下を緩和し、よってボテや直流の発生を緩和できることを見出し、本発明に到達した。 【0009】すなわち、本発明は以下のとおりである。 (1)ボールペン用油性インキ組成物において、該ボールペン用油性インキ組成物を使用環境下に放置すると、空気中の水分を吸収し平衡状態に達する時の該水分量を予め該ボールペン用インキ組成物に含有させることを特徴とするボールペン用油性インキ組成物。 (2)水の含有率がインキ全量に対して1〜4重量パーセントであることを特徴とする上記(1)記載のボールペン用油性インキ組成物。 (3)少なくとも着色剤と有機溶剤と樹脂とからなることを特徴とする上記(1)または(2)記載のボールペン用油性インキ組成物。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明に関し詳細に説明する。本発明において用いられる着色剤としては、従来のボールペン用油性インキに使用されている公知の染料及び/又は顔料の全てが使用可能である。染料としては、例えば、スピロンブラックGMHsp、スピロンバイオレットC−RH、スピロンイエローC−2GH(以上、保土ヶ谷化学(株)製)、バリーファーストブラック#3804、バリーファーストバイオレット#1701、バリーファーストイエロー#3104(以上、オリエント化学工業(株)製)、オーラミン、ローダミン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットなどが挙げられる。顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系、マイクロリース・カラー(チバガイギー(株)製)などが挙げられる。なお、これらの着色剤の使用に際しては、それぞれ単独で使用してもよく、適宜組み合わせて使用してもよい。インキ全量に対して着色剤を15〜45重量%使用することが好ましく、より好ましくは20〜30重量%である。 【0011】本発明における有機溶剤としては、通常のボールペン用油性インキ組成物に用いられる溶剤、すなわち、前記の着色剤を溶解又は分散する溶剤であって、比較的沸点の高い溶剤、例えば沸点が150〜350℃の溶剤が使用される。このような溶剤としては、ボールペン用油性インキに一般的に用いられるベンジルアルコール、フェノキシエタノールの他に、カルビトール類、セロソルブ類、グリコール類、グリコールエーテル類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。 【0012】本発明に使用される樹脂は、インキ組成物の粘度を調整するためのものであり、通常のボールペン用油性インキに使用されている樹脂、例えば、ケトン樹脂、スルファミド樹脂、マレイン樹脂、エステルガム、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラールなどが挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。 【0013】本発明のインキ組成物には、必要に応じて防錆剤、防腐剤、潤滑剤、その他通常のボールペンインキに使用される添加剤を含有させてもよい。 【0014】上記成分を調合して得たボールペン用油性インキを合成樹脂製、例えばポリプロピレン製などのチューブに充填したボールペン製品を作製する。そのボールペンを自然環境下においた場合、約2〜4%の水を吸ったところで外気と略平衡に達し、それ以上の変化は極めてゆっくりとなる。その平衡に達したときの粘度は、初期値の40〜70%まで低下する。 【0015】そこで、このボールペン用油性インキに、予めインキの全量に対して1〜4重量%、好ましくは1〜3重量%の水を調整しておけば、該ボールペンが自然環境下におかれたときに、吸湿によるインキの粘度変化が少なくなる。従って、極めて安定した性能のインキを得ることができる。しかし、調整する水の量が4重量%より多くなると、インキ組成物中の染料や樹脂が析出して、ボールペンチップからのインキの流出が阻害され、筆記カスレや筆記不良が発生しやすくなる。又、調整する水の量が1重量%より少ないと、吸湿緩和効果が小さく、本発明の目的である粘度低下抑制効果を発現できない。 【0016】 【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。ただし、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。 【0017】 実施例1 スピロンブラックGMHsp(保土ヶ谷化学(株)製) 15.0重量部 スピロンバイオレットC−RH(保土ヶ谷化学(株)製) 15.0 スピロンイエローC−2GH(保土ヶ谷化学(株)製) 10.0 ベンジルアルコール 10.0 フェノキシエタノール 31.9 オレイン酸 3.0 ハイラック#111(日立化成(株)製) 15.0 PVP K90(ISPケミカル製) 0.1上記の材料を70℃で5時間加熱攪拌し、溶解させた後、1.2重量%の水を加えて水分調整をおこない、濾過してボールペン用黒インキを得た。 【0018】 比較例1 スピロンブラックGMHsp(保土ヶ谷化学(株)製) 15.0重量部 スピロンバイオレットC−RH(保土ヶ谷化学(株)製) 15.0 スピロンイエローC−2GH(保土ヶ谷化学(株)製) 10.0 ベンジルアルコール 11.0 フェノキシエタノール 33.9 オレイン酸 3.0 ハイラック#111(日立化成(株)製) 12.0 PVP K90(ISPケミカル製) 0.1上記の材料を70℃で5時間加熱攪拌し、溶解させた後、濾過してボールペン用黒インキを得た。 【0019】比較例2上記実施例1において水分調整をおこなわなかった。 【0020】以上の実施例1及び比較例1〜2で得られたインキをポリプロピレン製のインキ収納管に充填し、ボールペンリフィールを作成した。これらのボールペンリフィールを用いて、初期と18ヶ月後に粘度、水分、ボテ、直流及び5℃描線濃度をそれぞれ測定して保存性試験を行った。測定方法を以下に示し、その結果を表1に示す。 【0021】粘度:コーンプレート型粘度計(トキメック製)を使用し25℃での値を測定した。測定値をPa・sで表した。 水分:ボールペンリフィール(プラスチック製)から回収したインキをカールフィシャー水分計(平沼産業(株)製)により測定した。測定値を重量%で表した。 ボテ:機械筆記試験機により200m毎に1000mまで筆記したときの描線上のインキのボタ落ち状態から判定した。サンプル数10本の最悪値を採用した。 ○ ボタ落ち数が0〜2個所。 △ ボタ落ち数が3個所以上。 直流:ボールペンリフィールを温度25℃湿度65%の環境下でチップ下向きで7日間保管したときのインキの漏れ出し状態を判定した。 ○ インキの漏れ出しがないか、又は、あっても軽微の漏れ。 △ チップの先端にインキ滴ができる。 5℃描線濃度:5℃の部屋で筆記したときの筆記描線の濃さを実施例1を○として比較判定した。◎は○より濃いことを示す。△は○より濃くないことを示す。 【0022】 【表1】
【0023】表1の考察表1に示されているように、水分調整を行った本発明の実施例1では、初期と18ヶ月後とを比較すると、水分の変化はわずかであり、従って、粘度の変化もわずかである。その結果、ボテ、直流及び5℃描線濃度のそれぞれの結果が全て良好であることが分かる。水分調整を行わず、初期粘度を実施例1と同程度にした比較例1では、18ヶ月後の水分変化が大きくなり、粘度が低下している。従って、5℃描線濃度は18ヶ月後濃くなっているが、ボテ及び直流ともに18ヶ月後悪化していることが分かる。実施例1において水分調整を行わなかった比較例2では、初期の水分が少なく粘度も高いが、18ヶ月後に実施例1と略同じ水分及び粘度に達している。従って、ボテ及び直流ともに良好な結果を示し5℃描線濃度の18ヶ月後も良好な結果を示しているが、5℃描線濃度の初期は結果が不良であることが分かる。 【0024】 【発明の効果】ボールペン用油性インキに予め水を加えておくことにより、ボールペンを長期間保存しても、吸湿によるインキの粘度低下が起こりにくく、従って、筆記時のインキのボタ落ち、チップ下向きでのインキ漏れ出しが起こりにくいといった設計品質が変化しにくいインキを提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005957 【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100112335 【弁理士】 【氏名又は名称】藤本 英介 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−311032(P2001−311032A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月9日(2001.11.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−130374(P2000−130374) |
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