| 【発明の名称】 |
スリップ防止剤入り再生植物油インキ及びそれを用いた印刷物 |
| 【発明者】 |
【氏名】石本 学
【氏名】高瀬 真澄
【氏名】山岡 新太郎
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| 【要約】 |
【課題】飲食物の製造などに使用され残された油を再利用する手段を提供し、再生植物油を用いたインキを提供し、そのインキを用いて印刷した各種印刷物を提供するとともに、印刷物の積み重ね時や製本等の後加工工程において、印刷物の滑りを抑制することにより荷崩れや滑落等の事故を防ぎ、生産性を向上させるための植物油を用いたスリップ防止剤入り再生植物油を用いたインキを提供する。
【解決手段】再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキ。 【請求項2】含水率を0.3重量%以下として再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキ。【請求項3】ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキ。 【請求項4】酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキ。 【請求項5】ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油および酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキ。 【請求項6】前記再生処理した植物油が、飲食物の製造に用いた植物油を再生処理した植物油であることを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキ。 【請求項7】前記耐摩擦剤が硬質樹脂粒子またはワックスである請求項1乃至6のいずれか1項記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキ。 【請求項8】前記スリップ防止剤が無機微粒子または弾性有機微粒子である請求項1乃至6のいずれか1項記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキ。 【請求項9】前記スリップ防止剤が平均粒径0.5〜100μmの微粒子である請求項1乃至7のいずれか1項記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキ。 【請求項10】請求項1乃至9のいずれか1項記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキを用いて印刷されていることを特徴とする印刷物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、天ぷらなど飲食物の製造等に用いた後の植物油を再生処理した油を用いたインキ、及びそのインキを用いて印刷した雑誌、書籍、ポスター等の印刷物に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、植物油、特に大豆油を用いたインキは環境対応として使用されてきている。特に米国では政府刊行物に関して一部法律において大豆油を用いたインキを使用するように定められている。しかし、特に日本においては従来の石油系溶剤に比べて大豆油のコストは高く、大豆油を用いたインキの使用量は、伸びていない。 【0003】また一方、飲食物の製造に使用され、残された油(以下、廃食油と称す)は、再生処理することで、飼料の製造に用いたり、燃料としたり、加工して石鹸としたりして再利用されている。しかし廃食油は年々増加しており、処理しきれていない。 【0004】また、印刷物の擦れに対する要求品質は非常に高いものがあり、オフセット枚葉印刷においては、先行面の印刷後に後刷り面を印刷する場合など、できるだけ早い乾燥性が求められ、かつ印刷機のコロ等での傷つきが発生しないように、また最終的な製本時での擦れが発生しないように、十分な耐摩擦性が求められている。 【0005】また、オフ輪印刷は一般に印刷機での印刷後に、180〜230℃位の熱風または直火を印刷物にあてて、90〜130℃程度の紙面温度でインキ中の溶剤分を蒸発させた後に、水冷式のクーリングローラーで急冷しインキを冷却固化させた後に何本ものガイドローラーを通過して折り機、スタッカーへと導かれ梱包されるので、やはり印刷物の擦れが最も大事な注意事項の一つである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、植物油を用いたインキのコストを低減し、かつ飲食物の製造などに使用され、残された油を再利用する手段を提供し、再生植物油を用いたインキを提供し、そのインキを用いて印刷した各種印刷物を提供するとともに、印刷物の積み重ね時や製本等の後加工工程において、印刷物の滑りを抑制することにより荷崩れや滑落等の事故を防ぎ、生産性を向上させるための植物油を用いたスリップ防止剤入り再生植物油を用いたインキを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明はこの課題を解決するためになされたものであり、すなわち請求項1記載の発明は、再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキである。 【0008】本発明はこの手段により、再生処理した植物油を用いたことで、原材料費がバージンの植物油を使用するより安いものとなり、また、資源の再利用の点からもより一層環境対策がなされたインキを得ることが可能となり、また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができる。 【0009】次に本発明の請求項2記載の発明は、含水率を0.3重量%以下として再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキである。 【0010】本発明はこの手段により、再生処理において植物油の水分を除去して含水率を0.3重量%以下とすることで、水分に含まれる塩分等の、インキの乳化に影響を与える不純物を取り除くことができ、再生処理が安価に容易に行えることからバージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができる。 【0011】次に本発明の請求項3記載の発明は、ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキである。 【0012】本発明はこの手段により、ヨウ素価を100以上として再生処理することで、インキに用いる際に乾燥性の良いものとすることができ、よって印刷作業効率を向上させることができ、また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となる。また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができる。 【0013】次に本発明の請求項4記載の発明は、酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキである。 【0014】本発明はこの手段により、酸価が3以下の植物油を選別して再生処理することで、使用する再生植物油の酸価を低いものとし、インキとした際の乳化を抑制することが可能となり、よって、良好な印刷適性を得ることができ、また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となる。また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができる。 【0015】次に本発明の請求項5記載の発明は、ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油および酸価が3以下として再生処理した植物油と、0.1〜10重量%の耐摩擦剤と、0.1〜10重量%のスリップ防止剤を含有することを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキである。 【0016】本発明はこの手段により、ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油と酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油の両方の作用が得られ、その両植物油の互いの配合率を適宜に調整することによって乾燥性と乳化抑制とを調整でき、印刷適性の良好なインキを得ることが可能となる。また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができる。 【0017】次に本発明の請求項6記載の発明は、前記再生処理した植物油が、飲食物の製造に用いた植物油を再生処理した植物油であることを特徴とするスリップ防止剤入り再生植物油インキである。 【0018】本発明はこの手段により、飲食物の製造などに使用した植物油を再生処理し、それを用いるので、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からも、より一層環境対策がなされた印刷物を得ることを可能としている。 【0019】次に本発明の請求項7記載の発明は、上記請求項1乃至6のいずれか1項記載のスリップ防止剤入り再生植物油を用いたインキにおいて、前記耐摩擦剤が硬質樹脂粒子またはワックスであるスリップ防止剤入り再生植物油インキである。 【0020】次に本発明の請求項8記載の発明は、上記請求項1乃至6のいずれか1項記載のスリップ防止剤入り再生植物油を用いたインキにおいて、前記スリップ防止剤が無機微粒子または弾性有機微粒子であるスリップ防止剤入り再生植物油インキである。 【0021】次に本発明の請求項9記載の発明は、上記請求項1乃至7のいずれか1項記載のスリップ防止剤入り再生植物油を用いたインキにおいて、前記スリップ防止剤が平均粒径0.5〜100μmの微粒子であるスリップ防止剤入り再生植物油インキである。 【0022】次に本発明の請求項10記載の発明は、上記請求項1乃至9のいずれか1項記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキを用いて印刷されていることを特徴とする印刷物である。 【0023】本発明はこの手段により、廃棄した際における土壌などへの生分解性がある植物油を用いた印刷インキが適用されているため印刷物の廃棄処理がし易く、また、印刷紙からの脱墨性に優れているため、印刷物の再生紙への容易な再生加工が可能となる。また、その印刷物のインキ面の耐摩擦性を向上でき、また印刷物のインキ面がスリップし難くなるため、インキ面の滑りを大幅に改善でき、擦れによる印刷品質の低下を起こすことを防止できる効果があり、印刷後の印刷物の積み重ね時や、製本等の後加工工程において、荷崩れや滑落等の事故を防ぎ、長時間安定した作業性が得られ、生産性を向上させることができる。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明における植物油としては、食用として大豆油、菜種油、トウモロコシ油、米油、綿実油、ごま油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油等があり、非食用としてパーム油、椰子油、アマニ油、パーム核油、桐油等があるが、これらに限定されるものではなく、植物油で再生処理可能であるものであれば適用可能である。 【0025】本発明において、飲食物の製造などに用いる植物油としては、飲食店や学校給食、惣菜屋などで、天ぷら、フライなど揚げ物の製造に使用した植物油を回収したものが挙げられるが、これに限定されるものではなく、使用後の植物油で再生可能なものであれば適用可能である。 【0026】本発明における植物油の再生処理の方法としては、ろ過、静置による沈澱、活性白土などによる脱色といった方法が挙げられるが、特に、これらに限定されるものではなく適宜可能である。 【0027】本発明における植物油を用いたインキとしては、特に、平版用インキが挙げられ、さらには枚葉印刷機用インキとオフセット輪転印刷機用インキが挙げられるが、特に、これらに限定されるものではなく適宜可能である。 【0028】上記枚葉印刷機用インキの組成の一例としては、顔料10〜20重量%、樹脂25〜30重量%、溶剤25〜40重量%、油10〜25重量%、ドライヤー0.5〜1.5重量%、その他補助剤2〜10重量%程度の構成が挙げられる。これらを通常の方法により適宜配合して練肉することによりインキ化することができる。植物油は、この油と溶剤の一部に用いることが可能である。特に、植物油が大豆油由来のものであって、全体の20重量%以上が大豆油であるとすると、米国大豆境界の大豆油インキとしての認定基準を満たすので好ましい。 【0029】上記オフセット輪転印刷機用インキの組成の一例としては、顔料10〜20重量%、樹脂20〜30重量%、溶剤25〜40重量%、油5〜15重量%、その他補助剤2〜10重量%程度の構成が挙げられる。これらを通常の方法により適宜配合して練肉することによりインキ化することができる。植物油は、この油と溶剤の一部に用いることが可能である。特に、植物油が大豆油由来のものであって、全体の7重量%以上が大豆油であるとすると、米国大豆境界の大豆油インキとしての認定基準を満たすので好ましい。 【0030】本発明において使用する上記溶剤としては、特に限定するものではなく、例えば、トルエン、酢酸エチルなどの一般的な石油系有機溶剤、芳香族系有機溶剤などが使用できる。 【0031】また、その他には、例えば、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上で、かつ芳香族成分の含有率が1重量%以下のアロマフリー型の有機溶剤(非芳香族系有機溶剤)を使用することができる。 【0032】本発明において使用する耐摩擦剤には、平均粒径が0.1〜100μm、好ましくは1〜10μmの微粒子を用いる。0.1μm以下であると充分に耐摩擦効果が得られず、また、100μm以上であると耐パイリング性が不充分となり、また平滑性が失われ、光沢が減少する原因となりうる。 【0033】この耐摩擦剤の添加量は0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の範囲である。0.1重量%以下であると、耐摩擦効果が得られず、また10重量%以上であると、耐パイリング性が不十分となり、また平滑性が失われ、光沢が減少する原因となりうる。 【0034】また耐摩擦剤としては以下のものが挙げられる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレンやポリスチレンゴムやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の硬質微粒子、および石油系ワックスおよびそれらの表面コーティング物等である。また、これらの耐摩擦性効果を充分に得るためにはこれらの形状が粒状であることが望ましい。 【0035】これら耐摩擦剤は、そのまま粉体または分散液として使用することも可能であるが、あらかじめインキ用ワニスに分散し、コンパウンド化したものを使用しても良い。 【0036】本発明のスリップ防止剤としては平均粒径が0.5〜100μm、好ましくは1〜10μmの微粒子を用いる。0.5μm以下であると充分にスリップ防止効果が得られず、また10μm以上であると印刷物の平滑性が失われ、光沢が減少し、摩擦係数が大きくなりすぎ擦れ発生の原因となりうる。 【0037】このスリップ防止剤の添加量は0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。0.1重量%以下であると充分にスリップ防止効果が得られず、また10重量%以上であると印刷物の摩擦係数が大きくなりすぎ、擦れ発生の原因となりうる。 【0038】このスリップ防止剤としては、無機微粒子が使用でき、以下のものが挙げられる。例えば沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、石膏、クレー、シリカ粉、珪藻土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、アルミナホワイト、サチン白、消石灰、ベントナイトおよびそれらの表面コーティング物等である。またこれらのスリップ防止効果を充分に得るためには、これらの形状が不定形であることが望ましい。 【0039】このスリップ防止剤としては、弾性有機微粒子が使用でき、例えばポリプロピレンゴム、ポリスチレンおよびスチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等のラテックス等が挙げられる。 【0040】本発明におけるスリップ防止剤は上記の無機微粒子、弾性有機微粒子から選ばれる1種以上を使用し、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。 【0041】またこれらスリップ防止剤はそのまま粉体または分散液として使用することも可能であるが、あらかじめインキ用ワニスに分散し、コンパウンド化したものを使用しても良い。 【0042】本発明において、植物油を用いたインキを使用して印刷することにより、従来の石油系溶剤を用いたインキに比べて揮発性有機化合物の放出を軽減させることができる。つまり印刷現場に揮発性有機化合物の塵が飛ぶことが少なく、作業能率を向上させるとともに、作業者の衛生面で好ましい。また、スモッグ及び室温化現象の防止にもつながり、作業後の印刷機の洗浄もし易いものとなる。その他廃棄物の生分解性が早い、脱墨性に優れ再生紙にし易い等の特徴もある。 【0043】しかし、多くの植物油は石油系溶剤と比較してコストに問題があり、需要の伸びは芳しくない。さらに最近は枚葉印刷からオフセット輪転印刷へ移る傾向が大きく、それによっても植物油の使用は減少してきている。そこで本発明は飲食物の製造などに使用した植物油を再生処理し、それを用いることにより、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からも、より一層環境対策がなされた印刷物を得ることを可能としている。 【0044】本発明のインキを用いた印刷物としては、例えば雑誌、週刊誌、カタログ、パンフレット、カレンダー、新聞などの従来から公知の印刷物、あるいはその他特殊形態の印刷物などがあるが、これらに限定されるものではなく、適宜に各種の印刷物類の印刷に使用可能である。 【0045】これら印刷物の製造方法としては、上記インキにより定められ、オフセット平版印刷が好適であるが、特にこれに限定されるものではなく、適宜使用可能である。 【0046】本発明では、植物油の含水率を0.3重量%以下となるように再生処理することが好ましい。さらに好ましくは0.1重量%以下、最も好ましくは0.05重量%以下である。再生処理による含水率が0.3重量%を超えるほどに水が含まれていると、インキとした際に過剰乳化を起こしてしまう。 【0047】特にオフセット印刷の場合、インキが過剰乳化を起こすと、水中油型の乳化を起こしたものが、版面上の水の中に散らばって、非画線部の広い範囲か一面に、所謂浮き汚れを発生することとなる。 【0048】特に飲食物の製造に用いた植物油の場合、不純物として塩分や糖分が存在し、この存在によりインキとした際に乳化が過剰に進んでしまう。これら塩分等の多くは水分中にイオン状態で存在している。 【0049】そこで本発明においては、上記のごとく植物油の含水率を0.3重量%以下となるように再生処理することで、油中の水分を除くと共に不純物である塩分や糖分を除去し、インキの過剰乳化を防ぎ印刷適性を向上させることが好ましい。 【0050】上記植物油の含水率を0.3重量%以下となるように再生処理する方法としては、静置し、水分をその他不純物と共に沈澱させ、上澄みをとるという方法により可能であるが、特にこれに限定されるものではなく、その他の方法であっても適用可能である。 【0051】また本発明では、植物油のヨウ素価を100以上となるように再生処理することが好ましい。さらに、好ましくは110以上、最も好ましくは120以上である。ヨウ素価が100より低ければインキとした際の乾燥性に劣るものとなってしまい、特にオフセット枚葉印刷による表裏両面印刷の様に、印刷された枚葉印刷物を酸化重合反応で乾燥させる場合、表面印刷後における裏面印刷前の乾燥に時間がかかってしまい、印刷作業効率が大幅に劣るものとなってしまう。 【0052】特に飲食物の製造に用いる食用油としての植物油の場合、肉類や魚類の肉汁により不純物として動物性油が存在し、これらの存在によりインキとした際にさらに乾燥性の悪いものとなってしまう。 【0053】そこで本発明においては、上記のごとく植物油のヨウ素価を100以上となるように再生処理することで、動物油を油中から除去し、インキの乾燥性を適切なものとし、印刷作業効率を向上させることが好ましい。 【0054】上記植物油のヨウ素価を100以上となるように再生処理する方法としては、静置し、ある程度冷却することで動物性油のみを、その凝固点の違いにより固化して、比重の軽い固化油分は最表面に浮き上がらせ、その他の不純物は沈澱させて、最表面の固化油分があればそれを除去した後、その下層の上澄み油を採取するという方法により可能である。特にこの方法は上記含水率を0.3重量%以下となるように再生処理する方法と同一の方法で行えることから好ましい方法であるが、特にこれに限定されるものではなく、その他の方法であっても適用可能である。 【0055】また本発明では、再生前の植物油の酸価が3以下である植物油を選別して再生処理したものを用いることが好ましい。より好ましくは2以下であり、最も好ましくは1.5以下である。酸価が3より高いものであると、遊離脂肪酸によりインキとした際に乳化が過剰に進んでしまう。 【0056】特に飲食物の製造に用いた植物油においては、天ぷら油のように熱処理を加えたものが多く、酸価が高くなってしまう。 【0057】そこで本発明においては、上記のごとく再生前の植物油の酸価が3以下である植物油を選別して再生処理することで、再生後の植物油の遊離脂肪酸の数を少ないものとし、インキとした際の過剰乳化を防ぎ、印刷適性を向上させることが好ましい。 【0058】上記再生前の植物油の酸価が3以下の物を選別して再生処理する方法としては酸価はその植物油の使用状況ごとに異なることから、再生前の植物油を収集してきた箇所ごとに酸価を測定し、その際の酸価が3以下の物を選別する、といったことにより可能である。 【0059】 【実施例】以下に、本発明の具体的実施例について説明する。 【0060】<実施例1>含水率の調整未使用(バージン)の大豆油(1)と、この大豆油を主に用いている惣菜屋より回収した廃食油(2)と、これをろ過して野外に一昼夜静置した後、上澄みをとり活性白土による脱色をした再生処理した再生植物油(3)とを用意した。これらの含水率を測定したところ、(1)が0重量%、(2)が10重量%、(3)が0.1重量%であった。これらを油分としてインキを作成したところ、(1)、(3)では、特に問題はみられなかったが、(2)では、顔料成分が水分の影響で分離してしまって、インキとして使用できる状態ではなかった。 【0061】<実施例2>ヨウ素価の調整上記実施例1における各々油のヨウ素価は、(1)が130、(2)が90、(3)は120であった。上記実施例1におけるヨウ素価130の(1)のバージン植物油と、ヨウ素価を調整しつつ廃食油を再生処理して、それぞれヨウ素価を100、110、120とした各々再生植物油とを用意して、それぞれ植物油から印刷インキを作成した。作成したそれぞれ上記印刷インキを用いて、4色平版枚葉印刷機により印刷用紙の片面に印刷を行って印刷物を得た後、それぞれ印刷物を、12時間、24時間、36時間放置した後、同じインキを用いて、その印刷物の他面に裏刷りを行い、印刷された各々印刷物の片面に印刷された先刷りインキの印刷機圧胴への付着状態を目視検査して、各々インキの乾燥状態の良否を判定して印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。 【0062】 【表1】
上記表1に示すように、ヨウ素価が100以上であれば、36時間の放置により、乾燥状態の良いものとなり、裏刷りが可能となった。 【0063】<実施例3>酸価の調整上記実施例1における各々油の酸価は、(1)が0、(2)と(3)が2.5であった。上記バージン植物油(1)を熱処理により、酸価1、2、4とした各々植物油を用意して、それぞれ植物油から各々印刷インキ(ウエブ印刷用)を作成した。作成したそれぞれ上記各々印刷インキを用いて、4色オフセット輪転印刷機(三菱重工(株)製のウエブ印刷機;リソピア)により印刷し、乳化の調整のため、湿し水調整用ダイヤル目盛りを50、60、75と調整して印刷し、その際の印刷版面の汚れに起因する印刷物の汚れの発生状態を各々インキについて比較判定した。その結果を表2に示す。ここで、湿し水調整用ダイヤルとは、印刷機の湿し水ローラの回転数を調整するものであって、目盛りは0〜100まであり、ダイヤル目盛り数が多いほど、湿し水の量も多くなるようになっている。 【0064】 【表2】
以上に示すように、酸価が4のものは、湿し水調整用ダイヤルを50としても一部に汚れが発生し、良好な印刷適性が得られなかった。 【0065】<実施例4>耐摩擦剤・スリップ剤の調整実施例1において再生処理した再生植物油(3)を調整して、含水率0.1重量%、ヨウ素価120、酸価1とした再生植物油を用い、耐摩擦剤とスリップ防止剤を表3に示す以下の配合比率で混合して、それぞれインキ■、■、■を作製した。 【0066】 【表3】
【0067】得られたインキ■〜■をRIテスター(明製作所製)の全面ロールを用い、インキ盛り量0.3ccの条件で、印刷用紙(コート紙;三菱パールコートA)にインキの展色を行い、熱風オーブンにて紙面温度が100℃となる条件で熱風をあて、乾燥させて、各々インキ■〜■に係るサンプル片を作製した。 【0068】そして、上記各々インキ■〜■に係るサンプル片を、スリップテスター(東洋精機製)にセットして、各々サンプル片のスリップ性を測定した。スリップ角は各々サンプル片のインキ展色面と白紙面(印刷用紙;コート紙)のそれぞれスリップの発生する傾斜角度を測定した。 【0069】また、上記各々インキ■〜■に係るサンプル片を、学振型摩擦(堅牢度)試験器にセットして、各々サンプル片の耐摩擦性を測定した。耐摩擦性は各々サンプル片のインキ展色面と白紙面(印刷用紙;アート紙)の荷重100g、10往復における耐摩擦性について測定した。その評価結果を下記表4に示す。 【0070】 【表4】
【0071】表4に示すように、インキ■は印刷インキとして必要な適正なスリップ角度(スリップし難さ)と耐摩擦性が得られ、スリップ性と耐摩擦性の両方を満足するものであったが、インキ■は印刷インキとして必要な適正なスリップ角度(スリップし難さ)は得られるものの適正な耐摩擦性が得られず、インキ■は印刷インキとして必要な適正な耐摩擦性は得られるものの適正なスリップ角度(スリップし難さ)が得られずスリップし易いものであり、スリップ性と耐摩擦性の両方を満足するものが得られなかった。 【0072】このように、耐摩擦剤とスリップ防止剤の配合比(重量%比)が適切でないものは、印刷インキとしての適正なスリップ性と適正な耐摩擦性の両方のバランスが悪いものであった。 【0073】 【発明の効果】以上に示すように、本発明のスリップ防止剤入り再生植物油インキは、耐摩擦剤とスリップ防止剤とを含む植物油インキであり、印刷用紙など被印刷物に印刷した際に、その印刷物のインキ面の耐摩擦性を向上でき、また印刷物のインキ面がスリップし難くなるため、インキ面の滑りを大幅に改善でき、擦れによる印刷品質の低下を起こすことを防止できる効果がある。 【0074】また、印刷後の印刷物の積み重ね時や、製本等の後加工工程において、荷崩れや滑落等の事故を防ぎ、長時間安定した作業性が得られ、生産性を向上させることができる効果がある。 【0075】本発明の請求項1に記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキは、再生処理した植物油を用いたことで、原材料費がバージンの植物油を使用するより安いものとなり、また、資源の再利用の点からもより一層環境対策がなされたインキを得ることが可能となり、また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができるという作用、効果がある。 【0076】また本発明の請求項2に記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキは、再生処理において植物油の水分を除去して含水率を0.3重量%以下とすることで、水分に含まれる塩分等の、インキの乳化に影響を与える不純物を取り除くことができ、再生処理が安価に容易に行えることからバージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができるという作用、効果がある。 【0077】また本発明の請求項3に記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキは、ヨウ素価を100以上として再生処理することで、インキに用いる際に乾燥性の良いものとすることができ、よって印刷作業効率を向上させることができ、また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となる。また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができるという作用、効果がある。 【0078】また本発明の請求項4に記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキは、酸価が3以下の植物油を選別して再生処理することで、使用する再生植物油の酸価を低いものとし、インキとした際の乳化を抑制することが可能となり、よって、良好な印刷適性を得ることができ、また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となる。また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができるという作用、効果がある。 【0079】また本発明の請求項5に記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキは、ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油と酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油の両方の作用が得られ、その両植物油の互いの配合率を適宜に調整することによって乾燥性と乳化抑制とを調整でき、印刷適性の良好なインキを得ることが可能となる。また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、耐摩擦剤とスリップ防止剤を使用することで、印刷物の印刷されたインキ面の擦れを防止でき、その擦れによるインキ表面の汚れや傷の発生などを回避することができるという作用、効果がある。 【0080】また本発明の請求項6に記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキは、飲食物の製造などに使用した植物油を再生処理し、それを用いるので、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からも、より一層環境対策がなされた印刷物を得ることを可能とする作用、効果がある。 【0081】また本発明の請求項10に記載のスリップ防止剤入り再生植物油インキを用いた印刷物は、廃棄した際における土壌などへの生分解性がある植物油を用いた印刷インキが適用されているため印刷物の廃棄処理がし易く、また、印刷紙からの脱墨性に優れているため、印刷物の再生紙への容易な再生加工が可能となる。また、その印刷物のインキ面の耐摩擦性を向上でき、また印刷物のインキ面がスリップし難くなるため、インキ面の滑りを大幅に改善でき、擦れによる印刷品質の低下を起こすことを防止できる効果があり、印刷後の印刷物の積み重ね時や、製本等の後加工工程において、荷崩れや滑落等の事故を防ぎ、長時間安定した作業性が得られ、生産性を向上させることができる効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003193 【氏名又は名称】凸版印刷株式会社 【識別番号】000222118 【氏名又は名称】東洋インキ製造株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−311030(P2001−311030A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月9日(2001.11.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−129477(P2000−129477) |
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