| 【発明の名称】 |
アロマフリー型再生植物油インキ及びそれを用いた印刷物 |
| 【発明者】 |
【氏名】石本 学
【氏名】高瀬 真澄
【氏名】山岡 新太郎
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| 【要約】 |
【課題】植物油を用いたインキのコストを低減し、かつ飲食物の製造などに使用され残された油を再生植物油として再利用する手段を提供する。
【解決手段】含水率を0.3重量%以下として再生処理した植物油、ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油、及び又は酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下のアロマフリー型溶剤を用いてインキ化した印刷インキ及びそれを用いた印刷物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキ。 【請求項2】含水率を0.3重量%以下として再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキ。 【請求項3】ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキ。 【請求項4】酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキ。 【請求項5】ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油および酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキ。 【請求項6】前記再生処理した植物油が、飲食物の製造に用いた植物油を再生処理した植物油であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のアロマフリー型再生植物油インキ。 【請求項7】前記請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のアロマフリー型再生植物油インキを用いて印刷されていることを特徴とする印刷物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、天ぷらなど飲食物の製造等に用いた後の植物油を再生処理した再生植物油を用いたインキ、及びそのインキを用いて印刷した雑誌、書籍、ポスター等の印刷物に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、植物油、特に大豆油を用いたインキは環境対応として使用されてきている。特に米国では政府刊行物に関して一部法律において大豆油を用いたインキを使用するように定められている。しかし、特に日本においては従来の石油系溶剤に比べて大豆油のコストは高く、大豆油を用いたインキの使用量は、伸びていない。 【0003】また一方、飲食物の製造に使用され、残された油(以下、廃食油と称す)は、再生処理することで、飼料の製造に用いたり、燃料としたり、加工して石鹸としたりして再利用されている。しかし廃食油は年々増加しており、処理しきれていない。 【0004】また従来、印刷インキ及び塗料に用いられる溶剤としては芳香族含有溶剤が使用されてきた。ところが近年、有機溶剤による大気汚染等の環境問題や作業環境の安全衛生の問題が指摘され、これを受けてナフテン分及びパラフィン分を主体とする非芳香族系インキ溶剤への置換が求められている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、植物油を用いたインキのコストを低減し、かつ飲食物の製造などに使用され、残された油を再利用する手段を提供するとともに、芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を含む再生植物油インキを提供し、そのインキを用いて印刷した各種印刷物を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、この課題を解決するためになされたものであり、すなわち請求項1記載の発明は、再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキである。 【0007】本発明はこの手段により、再生処理した植物油を用いたことで、原材料費がバージンの植物油を使用するより安いものとなり、また、資源の再利用の点からもより一層環境対策がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られる。 【0008】次に請求項2記載の発明は、含水率を0.3重量%以下として再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキである。 【0009】本発明はこの手段により、再生処理において植物油の水分を除去して、含水率を0.3重量%以下とすることで、水分に含まれる塩分等の、インキの乳化に影響を与える不純物を取り除くことができ、再生処理が安価に容易に行えることから、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られる。 【0010】次に請求項3記載の発明は、ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキである。 【0011】本発明はこの手段により、ヨウ素価を100以上として再生処理することで、インキに用いる際に乾燥性の良いものとすることができ、よって印刷作業効率を向上させることができ、また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られる。 【0012】次に請求項4記載の発明は、酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキである。 【0013】本発明はこの手段により、酸価が3以下の植物油を選別して再生処理することで、使用する再生植物油の酸価を低いものとし、インキとした際の乳化を抑制することが可能となり、よって、良好な印刷適性を得ることができ、また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られる。 【0014】次に請求項5記載の発明は、ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油および酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油と、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上でかつ芳香族成分の含有率が1重量%以下の溶剤を用いることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキである。 【0015】本発明はこの手段により、ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油と酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油の両方の作用が得られ、その両植物油の互いの配合率を適宜に調整することによって、乾燥性と乳化抑制とを調整でき、印刷適性の良好なインキを得ることが可能となる。また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られる。 【0016】次に請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至5のいずれか1項記載のアロマフリー型再生植物油インキにおいて、前記再生処理した植物油が、飲食物の製造に用いた植物油を再生処理した植物油であることを特徴とするアロマフリー型再生植物油インキである。 【0017】本発明はこの手段により、飲食物の製造などに使用した植物油を再生処理した植物油を用いてインキ化するので、バージン植物油を使用するより安いインキの製造が可能となり、資源の再利用の点からもより一層環境対策がなされた印刷物を得ることを可能とする。 【0018】次に請求項7記載の発明は、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の発明のアロマフリー型再生植物油インキを用いて印刷されていることを特徴とする印刷物である。 【0019】本発明はこの手段により、印刷物には、廃棄した際における土壌などへの生分解性がある植物油を用いた印刷インキが適用されているため、印刷物の廃棄処理がし易く、また、印刷紙からの脱墨性に優れているため、印刷物の再生紙への容易な再生加工が可能となる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明における植物油としては、食用として大豆油、菜種油、トウモロコシ油、米油、綿実油、ごま油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油等があり、非食用としてパーム油、椰子油、アマニ油、パーム核油、桐油等があるが、これらに限定されるものではなく、植物油で再生処理可能であるものであれば適用可能である。 【0021】本発明において、飲食物の製造などに用いる植物油としては、飲食店や学校給食、惣菜屋などで、天ぷら、フライなど揚げ物の製造に使用した植物油を回収したものが挙げられるが、これに限定されるものではなく、使用後の植物油で再生可能なものであれば適用可能である。 【0022】本発明における植物油の再生処理の方法としては、ろ過、静置による沈澱、活性白土などによる脱色といった方法が挙げられるが、特に、これらに限定されるものではなく適宜可能である。 【0023】本発明における植物油を用いたインキとしては、特に、平版用インキが挙げられ、さらには枚葉印刷機用インキとオフセット輪転印刷機用インキが挙げられるが、特に、これらに限定されるものではなく適宜可能である。 【0024】上記枚葉印刷機用インキの組成の一例としては、顔料10〜20重量%、樹脂25〜30重量%、溶剤25〜40重量%、油10〜25重量%、ドライヤー0.5〜1.5重量%、その他補助剤2〜10重量%程度の構成が挙げられる。これらを通常の方法により適宜配合して練肉することによりインキ化することができる。植物油は、この油と溶剤の一部に用いることが可能である。特に、植物油が大豆油由来のものであって、全体の20重量%以上が大豆油であるとすると、米国大豆協会の大豆油インキとしての認定基準を満たすので好ましい。 【0025】上記オフセット輪転印刷機用インキの組成の一例としては、顔料10〜20重量%、樹脂20〜30重量%、溶剤25〜40重量%、油5〜15重量%、その他補助剤2〜10重量%程度の構成が挙げられる。これらを通常の方法により適宜配合して練肉することによりインキ化することができる。植物油は、この油と溶剤の一部に用いることが可能である。特に、植物油が大豆油由来のものであって、全体の7重量%以上が大豆油であるとすると、米国大豆協会の大豆油インキとしての認定基準を満たすので好ましい。 【0026】本発明においては、使用する上記溶剤として、沸点範囲が230〜330℃、50重量%の留分が245〜310℃、アニリン点が75〜95℃、成分としてナフテン分が50%以上で、かつ芳香族成分の含有率が1重量%以下のアロマフリー型溶剤を使用するものである。 【0027】以下、溶剤について詳細に説明すれば、本発明において使用する溶剤の沸点範囲は、230〜330℃で、50重量%の留分が245〜310℃のものを使用する。沸点範囲が230〜330℃より低く、50重量%の留分が245℃以下の物は、乾燥性は向上するが、機上安定性が劣化する。また沸点範囲が230〜330℃より高く50重量%の留分が310℃以上の物は、機上安定性は向上するが乾燥性が劣化する。 【0028】アニリン点は75〜95℃が望ましい。アニリン点が95℃以上である場合はインキ組成中の使用樹脂との溶解性に乏しく、インキの流動性、光沢、乳化適性等が劣化する。75℃以下の場合は乾燥時のインキ皮膜からの溶剤の離脱性が悪く乾燥劣化を起こしてしまう。 【0029】溶剤の成分としては、ナフテン分が50%以上が望ましい。50%未満であると樹脂への溶解力に乏しいパラフィン分の比率が多くなる為、インキの光沢が劣化する。 【0030】また、溶剤中の芳香族成分の含有率は1重量%以下の物を用いる。これは従来広く使用されている各種溶剤中のベンゼン・トルエン・キシレン等の芳香族成分は労働安全衛生法で規制されている様に、一般に人体に対して皮膚刺激性・神経障害等をもたらすものとして、厳しい規制がとられている。また、ILO(国際労働機関)が化学品を取り扱う労働者の安全を守るための条約を採択した様に、国際的にも化学品の害から人体を保護しようとする機運が高まっている。 【0031】この様な背景から従来使用していた芳香族成分を多量に含有したインキ用溶剤に比べて、本溶剤を使用したインキは、印刷現場並びに印刷インキ製造現場の作業環境を向上させ現場作業員の健康を守ることができる。 【0032】このように本発明において、アロマフリー型植物油インキを使用して印刷することにより、従来の石油系溶剤を用いた芳香族成分が多いインキに比べて、芳香族成分が1重量%以下ときわめて微量であるため、作業者の衛生面で好ましい。また、植物油を使用しているため、光化学スモッグや温室化現象の防止にもつながり、作業後の印刷機の洗浄もし易いものとなる。その他、植物油は廃棄した際における生分解性があって分解速度も速く、また、紙からの脱墨性にも優れていて、再生紙への処理加工もし易い等の特徴がある。 【0033】また、飲食物の製造などに使用した植物油を再生処理し、これを用いてインキ化することにより、バージン植物油を使用するより安いインキの製造が可能となり、資源の再利用の点からもより一層環境対策がなされた印刷物を得ることを可能とする。 【0034】本発明のインキを用いた印刷物としては、例えば、雑誌、週刊誌、カタログ、パンフレット、カレンダー、新聞などの一般公知の印刷物や、その他の特殊形態の印刷物があるが、これらに限定されるものではなく、適宜に各種の印刷物類の印刷に使用可能である。 【0035】これら印刷物の製造方法としては、上記インキにより定められ、オフセット平版印刷が好適であるが、特にこれに限定されるものではなく、適宜使用可能である。 【0036】本発明では、植物油の含水率を0.3重量%以下となるように再生処理することが好ましい。さらに好ましくは0.1重量%以下、最も好ましくは0.05重量%以下である。再生処理による含水率が0.3重量%を超えるほどに水が含まれていると、インキとした際に過剰乳化を起こしてしまう。 【0037】特にオフセット印刷の場合、インキが過剰乳化を起こすと、水中油型の乳化を起こしたものが、版面上の水の中に散らばって、非画線部の広い範囲か一面に、所謂浮き汚れを発生することとなる。 【0038】特に飲食物の製造に用いた植物油の場合、不純物として塩分や糖分が存在し、この存在によりインキとした際に乳化が過剰に進んでしまう。これら塩分等の多くは水分中にイオン状態で存在している。 【0039】そこで本発明においては、上記のごとく植物油の含水率を0.3重量%以下となるように再生処理することで、油中の水分を除くと共に不純物である塩分や糖分を除去し、インキの過剰乳化を防ぎ印刷適性を向上させることが好ましい。 【0040】上記植物油の含水率を0.3重量%以下となるように再生処理する方法としては、静置し、水分をその他不純物と共に沈澱させ、上澄みをとるという方法により可能であるが、特にこれに限定されるものではなく、その他の方法であっても適用可能である。 【0041】また本発明では、植物油のヨウ素価を100以上となるように再生処理することが好ましい。さらに、好ましくは110以上、最も好ましくは120以上である。ヨウ素価が100より低ければインキとした際の乾燥性に劣るものとなってしまい、特にオフセット枚葉印刷による表裏両面印刷の様に、印刷された枚葉印刷物を酸化重合反応で乾燥させる場合、表面印刷後における裏面印刷前の乾燥に時間がかかってしまい、印刷作業効率が大幅に劣るものとなってしまう。 【0042】特に飲食物の製造に用いる食用油としての植物油の場合、肉類や魚類の肉汁により不純物として動物性油が存在し、これらの存在によりインキとした際にさらに乾燥性の悪いものとなってしまう。 【0043】そこで本発明においては、上記のごとく植物油のヨウ素価を100以上となるように再生処理することで、動物油を油中から除去し、インキの乾燥性を適切なものとし、印刷作業効率を向上させることが好ましい。 【0044】上記植物油のヨウ素価を100以上となるように再生処理する方法としては、静置し、ある程度冷却することで動物性油のみをその凝固点の違いにより固化して、比重の軽い固化油分は最表面に浮き上がらせ、その他の不純物は沈澱させ、最表面の固化油分があればそれを除去した後、その下層の上澄み油を採取するという方法により可能である。特に、この方法は上記含水率を0.3重量%以下となるように再生処理する方法と同一の方法で行えることから好ましい方法であるが、特にこれに限定されるものではなく、その他の方法であっても適用可能である。 【0045】また本発明では、再生前の植物油の酸価が3以下である植物油を選別して再生処理したものを用いることが好ましい。より好ましくは2以下であり、最も好ましくは1.5以下である。酸価が3より高いものであると、遊離脂肪酸によりインキとした際に乳化が過剰に進んでしまう。 【0046】特に飲食物の製造に用いた植物油においては、天ぷら油のように熱処理を加えたものが多く、酸価が高くなってしまう。 【0047】そこで本発明においては、上記のごとく再生前の植物油の酸価が3以下である植物油を選別して再生処理することで、再生後の植物油の遊離脂肪酸の数を少ないものとし、インキとした際の過剰乳化を防ぎ、印刷適性を向上させることが好ましい。 【0048】上記再生前の植物油の酸価が3以下の物を選別して再生処理する方法としては酸価はその植物油の使用状況ごとに異なることから、再生前の植物油を収集してきた箇所ごとに酸価を測定し、その際の酸価が3以下の物を選別する、といったことにより可能である。 【0049】 【実施例】以下に、本発明の具体的実施例について説明する。 【0050】<実施例1>含水率の調整未使用(バージン)の大豆油(1)と、この大豆油を主に用いている惣菜屋より回収した廃食油(2)と、これをろ過して野外に一昼夜静置した後、上澄みをとり活性白土による脱色をした再生処理した再生植物油(3)とを用意した。これらの含水率を測定したところ、(1)が0重量%、(2)が10重量%、(3)が0.1重量%であった。これらを油分としてインキを作成したところ、(1)、(3)では、特に問題はみられなかったが、(2)では、顔料成分が水分の影響で分離してしまって、インキとして使用できる状態ではなかった。 【0051】<実施例2>ヨウ素価の調整上記実施例1における各々油のヨウ素価は、(1)が130、(2)が90、(3)は120であった。上記実施例1におけるヨウ素価130の(1)のバージン植物油と、ヨウ素価を調整しつつ廃食油を再生処理して、それぞれヨウ素価を100、110、120とした各々再生植物油とを用意して、それぞれ植物油から印刷インキを作成した。作成したそれぞれ上記印刷インキを用いて、4色平版枚葉印刷機により印刷用紙の片面に印刷を行って印刷物を得た後、それぞれ印刷物を、12時間、24時間、36時間放置した後、同じインキを用いて、その印刷物の他面に裏刷りを行い、印刷された各々印刷物の片面に印刷された先刷りインキの印刷機圧胴への付着状態を目視検査して、各々インキの乾燥状態の良否を判定して印刷適性を評価した。その結果を表1に示す。 【0052】 【表1】
表1に示すように、ヨウ素価が100以上であれば、36時間の放置により、乾燥状態の良いものとなり、裏刷りが可能となった。 【0053】<実施例3>酸価の調整上記実施例1における各々油の酸価は、(1)が0、(2)と(3)が2.5であった。上記バージン植物油(1)を熱処理により、酸価1、2、4とした各々植物油を用意して、それぞれ植物油から各々印刷インキ(ウエブ印刷用)を作成した。作成したそれぞれ上記各々印刷インキを用いて、4色オフセット輪転印刷機(三菱重工(株)製のウエブ印刷機;リソピア)により印刷して、乳化の調整のため、湿し水調整用ダイヤル目盛りを50、60、75と調整して印刷し、その際の印刷版面の汚れに起因する印刷物の汚れの発生状態を各々インキについて比較判定した。その結果を表2に示す。ここで、湿し水調整用ダイヤルとは、印刷機の湿し水ローラの回転数を調整するものであって、目盛りは0〜100まであり、ダイヤル目盛り数が多いほど、湿し水の量も多くなるようになっている。 【0054】 【表2】
以上に示すように、酸価が4のものは、湿し水調整用ダイヤルを50としても一部に汚れが発生し、良好な印刷適性が得られなかった。 【0055】<実施例4>低芳香族溶剤の調整上記実施例1における再生処理した再生植物油(3)を調整して、含水率0.1重量%、ヨウ素価120、酸価1とした再生植物油を用い、それぞれ芳香族成分が1重量%以下の溶剤で、■沸点範囲230℃以下で、50重量%の留分が245℃以下のものを含む溶剤、■沸点範囲230〜330℃以下で、50重量%の留分が245〜310℃の範囲のみの溶剤、■沸点範囲330℃以上で、50重量%の留分が310℃以上のものを含む溶剤をそれぞれ用意し、これから各々ウエブ印刷用インキ■、■、■を作成した。作成した各々ウエブ用印刷インキを用いて、4色オフセット輪転印刷(ウエブ印刷機)により、紙面乾燥温度を調整しながらウエブ(長尺)状の印刷用紙に印刷した。機上安定性をみるためにインコメーターを用い、一定量のインキを計り取り、400rpm、30℃で、1分後と5分後のタック値を測定した。タック値の変化が大きいものほど機上安定性が劣る。その結果を表3に示す。 【0056】 【表3】
【0057】インキ■は乾燥温度は低く、低温でも乾燥するが、タック変化が大きく、機上安定性が著しく劣った。また、インキ■は機上安定性は良好であったが、乾燥温度が高く、乾燥適性において劣った。これに対してインキ■は両者のバランスが好適であった。 【0058】 【発明の効果】以上に示すように、本発明のアロマフリー型植物油インキは、低芳香族溶剤と再生植物油を用いたインキであり、従来の芳香族石油系溶剤からなるインキに比べて、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られる。 【0059】また、本発明のアロマフリー型植物油インキは、植物油を用いることで、従来の石油溶剤を用いたインキに比べて揮発性有機化合物の放出を軽減させることができ、印刷現場に揮発性有機化合物の塵が飛散することが少なく、作業能率を向上させるとともに、光化学スモッグの発生及び温室化現象など公害の防止に役立ち、環境にやさしいインキとしての効果があるとともに、印刷稼動後のインキ洗浄作業も行い易い効果がある。 【0060】また、植物油には、廃棄した際における生分解性があり、また、印刷紙からの脱墨性に優れていて、印刷物の再生紙への再生加工がし易いなどの特徴ある効果もある。 【0061】また、特に再生処理した植物油を用いたインキを使用することで、原材料費がバージン植物油を使用するよりも安いものとなり、資源の再利用の点からも、より一層環境対策がなされたインキとして効果的である。 【0062】本発明の請求項1に記載のアロマフリー型植物油インキは、再生処理した植物油を用いたことで、原材料費がバージンの植物油を使用するより安いものとなり、また、資源の再利用の点からもより一層環境対策がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られるという作用、効果が発揮される。 【0063】また請求項2に記載のアロマフリー型植物油インキは、再生処理において植物油の水分を除去して、含水率を0.3重量%以下とすることで、水分に含まれる塩分等の、インキの乳化に影響を与える不純物を取り除くことができ、再生処理が安価に容易に行えることから、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られるという作用、効果が発揮される。 【0064】次に請求項3に記載のアロマフリー型植物油インキは、ヨウ素価を100以上として再生処理することで、インキに用いる際に乾燥性の良いものとすることができ、よって印刷作業効率を向上させることができ、また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られるという作用、効果が発揮される。 【0065】次に請求項4に記載のアロマフリー型植物油インキは、酸価が3以下の植物油を選別して再生処理することで、使用する再生植物油の酸価を低いものとし、インキとした際の乳化を抑制することが可能となり、よって、良好な印刷適性を得ることができ、また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られるという作用、効果が発揮される。 【0066】次に請求項5に記載のアロマフリー型植物油インキは、ヨウ素価を100以上として再生処理した植物油と酸価が3以下の植物油を再生処理した植物油の両方の作用が得られ、その両植物油の互いの配合率を適宜に調整することによって、乾燥性と乳化抑制とを調整でき、印刷適性の良好なインキを得ることが可能となる。また、バージンの植物油を使用するより安いものとなり、資源の再利用の点からもより一層環境対応がなされたインキを得ることが可能となり、また、低芳香族溶剤を使用することで大気汚染の危険が少なく、臭気が少ない良好な印刷環境が得られるという作用、効果が発揮される。 【0067】次に請求項6に記載のアロマフリー型植物油インキは、飲食物の製造などに使用した植物油を再生処理した植物油を用いてインキ化するので、バージン植物油を使用するより安いインキの製造が可能となり、資源の再利用の点からもより一層環境対策がなされた印刷物を得ることを可能とする作用、効果が発揮される。 【0068】次に請求項7に記載のアロマフリー型植物油インキを用いた印刷物は、その印刷物に、廃棄した際における土壌などへの生分解性がある植物油を用いた印刷インキが適用されているため、印刷物の廃棄処理がし易く、また、印刷紙からの脱墨性に優れているため、印刷物の再生紙への容易な再生加工が可能となる作用、効果が発揮される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003193 【氏名又は名称】凸版印刷株式会社 【識別番号】000222118 【氏名又は名称】東洋インキ製造株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−311029(P2001−311029A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月9日(2001.11.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−129476(P2000−129476) |
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