トップ :: C 化学 冶金 :: C09 染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用




【発明の名称】 溶剤又は加熱による消色可能な水性インキ組成物並びに消色用溶剤組成物及び消色用溶剤塗布具
【発明者】 【氏名】櫻井 直樹

【氏名】由井 達

【氏名】吉田 成男

【氏名】伊藤 浩一

【要約】 【課題】溶剤及び/又は加熱によって筆記又は印刷された文字又は画像等を容易に消色することができる水性インキを提供すること。

【解決手段】ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微紛体又はマイクロカプセルを着色剤とし、少なくとも前記着色剤と水とから成る水性インキ組成物において、前記水性インキ組成物が酸性又は中性であることを特徴とする水性インキ組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微紛体又はマイクロカプセルを着色剤とし、少なくとも前記着色剤と水とから成る水性インキ組成物において、前記水性インキ組成物が酸性又は中性であることを特徴とする水性インキ組成物。
【請求項2】 ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微紛体又はマイクロカプセルを着色剤とし、少なくとも前記着色剤と水とから成る水性インキ組成物において、前記水性インキ組成物が揮発性を有する呈酸性物質による酸性又は中性であることを特徴とする請求項1に記載された水性インキ組成物。
【請求項3】 前記酸性又は中性がpH3〜7の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載された水性インキ組成物。
【請求項4】 ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微紛体又はマイクロカプセルを着色剤とする水性インキ組成物において、前記着色剤を筆記面又は印刷面に密着させる固着樹脂として、常温で造膜性を有する水溶性樹脂又は水性樹脂エマルションを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された水性インキ組成物。
【請求項5】 ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微紛体又はマイクロカプセルを着色剤とする水性インキ組成物において、前記着色剤を筆記面に密着させる固着樹脂として、常温で造膜性を有する水溶性樹脂又は水性樹脂エマルションを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された筆記具用水性インキ組成物。
【請求項6】 ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微紛体又はマイクロカプセルを着色剤とし、少なくとも前記着色剤の樹脂又はカプセルを溶解する能力を有する有機溶剤と、アンモニア水又は揮発性液状アミン又はアミドを含むことを特徴とする、前記着色剤を含む水性インキによって筆記又は印刷された文字又は画像等を消去するための消色用溶剤組成物。
【請求項7】 有機溶剤がケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、グリコールエーテルエステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、ヘテロ原子を有する炭化水素系溶剤である請求項6に記載された消色用溶剤組成物。
【請求項8】 アンモニア水又は揮発性液状アミン又はアミドを消色用溶剤組成物質量に基づいて0.1〜10質量%含むことを特徴とする請求項6又は7に記載された消色用溶剤組成物。
【請求項9】 請求項6〜8のいずれかに記載された消色用溶剤組成物を充填してなる消色用溶剤塗布具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールペン、マーカー等の筆記具用インキ、印刷用インキ、インクジェット用インキに使用され、溶剤又は加熱により、筆記又は印刷した文字又は画像等の消色が可能な水性インキ組成物並びに前記水性インキによって筆記又は印刷された文字又は画像等を消色するための消色用溶剤組成物及び前記消色用溶剤組成物を利用した消色用溶剤塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、紙の大量消費が資源保護の観点から重大な問題となっている。再利用可能な資源を再利用しようと言う気運の高まりとともに、使用済み用紙の回収及び再生が精力的に進められているが、従来の水性インキで筆記又は印字された紙を再生するには、紙自体を再繊維化するため、或いは紙をすき直すために大量のエネルギーが必要である。かつ白色度の高い紙を得るために、インキの漂白に多量の漂白剤と水を必要とするため、再生コストが高くなり、資源保護及び紙の再生の観点から大きな障害となっている。それは、従来のインキが、筆記線の永続性を高めるために、耐光性や耐熱性などを高めることにのみ重点を置いた開発が進められてきたため、紙を再生しようと言う観点からは、そのインキの化学的乃至物理的に高い安定性が、再生の障害となっている。そこで、消色可能なインキを用いた筆記具又は印刷機により、紙に筆記又は印字し、その描線を消去し、白紙状態に戻すことが出来るならば、その紙をそのまま再使用することや再利用することが可能となるので、実質的な紙の使用量を低減することが出来ると考えられる。
【0003】従来、紙資源保護の立場からプリンターや複写機によって印刷した紙を再生使用する目的で印刷後に消色可能なインキ組成物が提案された(特開平10−88046号公報)。すなわち、このインキ組成物は、呈色性化合物と顕色剤と消色剤とを含み、前記呈色性化合物と顕色剤とは相互作用して発色した状態にあり、前記消色剤は、インキ組成物の溶融又は溶剤による溶解時に、顕色剤と優先的に結合する性質を有するものである。このインキ組成物は、十分なコントラストで印刷することができ、しかも熱によって消色可能なので紙の再利用を可能にすることができるというものである。上記技術を応用した筆記具用インキ組成物としては、水性ボールペン用インキ組成物が提案された(特願2000−249544号明細書)。このインキ組成物は、初期状態としては使用するに充分に濃くかつ良好な消色性を有するが、インキが塩基性であるために、呈塩基性物質が消色剤として作用し、インキの色が経時的に退色すると言う問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公開公報の開示及び水性ボールペン用インキ組成物の処方にならってロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂を含む微粉体又はマイクロカプセルをそのまま着色剤として、水性インキに用いると、インキの色が経時的に退色すると言う問題が生じる。そこで、本発明は、上記の社会的要望並びに従来技術の種々の問題点に鑑み開発されたもので、インキの色が経時的に退色することなく、溶剤及び/又は加熱によって筆記又は印刷された文字又は画像等を容易に消色することができる水性インキを提供し、大きなコストを掛けることなく、紙の再使用又は再利用を可能にすることを目的としている。又、上記の目的のために、溶剤及び/又は加熱によって筆記又は印刷された文字又は画像等を容易に消色できる水性インキを提供することを目的とする。
【0005】更に、インキが酸性である場合、一般的に呈酸性物質は極めて強い顕色剤として作用するため、溶剤による消色及び加熱による消色ともに、筆記又は印刷された文字又は画像等中に、呈酸性物質が存在するため、溶剤のみによる消色では、消色が不可能であったり、又消色後再発色するなど消色が不完全である場合があるが、インキ組成物が揮発性を有する呈酸性物質による酸性であれば、筆記又は印刷された文字又は画像等から呈酸性物質が揮発した後には溶剤及び/又は加熱による消色が可能となる。しかし、筆記又は印刷直後には、筆記又は印刷された文字又は画像等中に、呈酸性物質が存在するため、溶剤のみによる消色では、消色後再発色するなど消色が不完全となることがあるが、本発明は、筆記又は印刷直後でも、筆記又は印刷された文字又は画像等を完全に消色することができ、かつ消色用溶剤組成物を用いた箇所にも再筆記又は再印刷することが可能な消色用溶剤組成物及び前記消色用溶剤組成物を利用した塗布具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微粉体又はマイクロカプセルを着色剤とし、水中に分散させて水性インキとしたときに、そのインキ組成物が酸性又は中性、好ましくはpHが3〜7、更に好ましくはpHが4〜6であれば、インキの色が経時的に退色するのを抑えるのに極めて有効であることを発見して本発明に到達した。
【0007】インキが酸性である場合、一般的に呈酸性物質は極めて強い顕色剤として作用するため、溶剤による消色及び加熱による消色ともに、消色が不可能であったり、又消色後再発色するなど消色が不完全である場合があるが、インキ組成物が揮発性を有する呈酸性物質による酸性であれば、呈酸性物質が揮発した後には溶剤及び/又は加熱による消色が可能となる。しかし、筆記又は印刷直後には、筆記又は印刷された文字又は画像等中に、呈酸性物質が存在するため、溶剤のみによる消色では、消色後再発色するなど消色が不完全となることがあるが、溶剤中にアンモニア水、揮発性液状アミン又はアミドを含有させることによって、筆記又は印刷直後に筆記又は印刷された文字又は画像等中に存在している呈酸性物質を中和することによって、筆記又は印刷直後でも、筆記又は印刷された文字又は画像等を完全に消色することができる。
【0008】更に前記消色用溶剤組成物は、揮発性を有しない呈酸性物質を用いたインキにより筆記又は印刷された文字又は画像等も消色することができる。又、前記消色用溶剤組成物は、完全揮発性のため、消色用溶剤組成物が完全に乾燥した後は、消色用溶剤組成物を用いた箇所にも、消色可能インキを用いて通常通り筆記又は、印刷を行うことができることを発見して本発明に到達した。更に前記消色用溶剤組成物を利用した消色用溶剤塗布具を作製して本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は、(1)ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微粉体又はマイクロカプセルを着色剤とし、少なくとも前記着色剤と水とから成る水性インキ組成物において、前記水性インキ組成物が酸性又は中性であることを特徴とする水性インキ組成物、(2)ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微粉体又はマイクロカプセルを着色剤とし、少なくとも前記着色剤と水とから成る水性インキ組成物において、前記水性インキ組成物が揮発性を有する呈酸性物質による酸性又は中性であることを特徴とする上記(1)に記載された水性インキ組成物、【0010】(3)前記酸性又は中性がpH3〜7の範囲にあることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載された水性インキ組成物、(4)ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微粉体又はマイクロカプセルを着色剤とする水性インキ組成物において、前記着色剤を筆記面又は印刷面に密着させる固着樹脂として、常温で造膜性を有する水溶性樹脂又は水性樹脂エマルションを含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載された水性インキ組成物、(5)ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微粉体又はマイクロカプセルを着色剤とする水性インキ組成物において、前記着色剤を筆記面に密着させる固着樹脂として、常温で造膜性を有する水溶性樹脂又は水性樹脂エマルションを含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載された筆記具用水性インキ組成物、【0011】(6)ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微紛体又はマイクロカプセルを着色剤とし、少なくとも前記着色剤の樹脂又はカプセルを溶解する能力を有する有機溶剤と、アンモニア水又は揮発性液状アミン又はアミドを含むことを特徴とする、前記着色剤を含む水性インキによって筆記又は印字された文字又は画像等を消色するための消色用溶剤組成物、(7)有機溶剤がケトン系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、グリコールエーテル溶剤、グリコールエーテルエステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、ヘテロ原子を有する炭化水素系溶剤である上記(6)に記載された消色用溶剤組成物、【0012】(8)アンモニア水又は揮発性液状アミン又はアミドを溶剤組成物質量に基づいて0.1〜10質量%含むことを特徴とする上記(6)又は(7)に記載された消色用溶剤組成、及び(9)上記(6)〜(8)のいずれかに記載された消色用溶剤組成物を充填してなる消色用溶剤塗布具、を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、インキの色が経時的に退色するのを抑制するためには、ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から成る微粉体又はマイクロカプセルを着色剤とする水性インキ組成物において、前記水性インキ組成物が酸性又は中性、好ましくはpHが3〜7、更に好ましくはpHが4〜6であると、インキの色が経時的に退色するのを極めて有効に抑制することができる。pHが3より小さいと、筆記具のチップや印刷機等のインキ媒体の腐食等の原因となり、インキ媒体への負荷が大きい。また、pHが7より大きいと、インキが塩基性になり、インキの色の退色が促進されるので好ましくない。又、インキが酸性である場合、一般的に呈酸性物質は極めて強い顕色剤として作用するため、溶剤及び/又は加熱による消色ともに、消色が不可能であったり、又消色後再発色する等消色が不完全である場合がある。前記水性インキ組成物が揮発性を有する呈酸性物質による酸性である場合は、筆記又は印刷された文字又は画像等から呈酸性物質が揮発するため顕色剤としての作用も無くなるため、溶剤及び/又は加熱によって消色することができる。
【0014】更に、インキ組成物が揮発性を有する呈酸性物質による酸性である場合でも、筆記又は印刷直後には、筆記又は印刷された文字又は画像等中に、呈酸性物質が存在するため、溶剤のみによる消色では、消色後再発色するなど消色が不完全となることがあるが、溶剤中にアンモニア水、揮発性液状アミン又はアミドを含有させることによって、筆記又は印刷直後に筆記又は印刷された文字又は画像等中に存在している呈酸性物質を中和することによって、筆記又は印刷直後でも、筆記又は印刷された文字又は画像等を完全に消色することができることを発見して本発明に到達した。上記のような方法で、インキの色が経時的に退色するのを極めて良く抑制しつつ、良好な消色性を有するインキ組成物を見いだし、かつ消色困難なインキも完全に消色することができるとともに、塗布した箇所にも再筆記又は再印刷が可能な消色用溶剤組成物を見いだし、本発明に到達したものである。
【0015】本発明で使用するロイコ染料としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、スピロピラン系、ジフェニルメタン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系等の分子内にラクトン環を有する化合物であり、それらのうち1種または2種以上を混合して使用できる。本発明において用いられるロイコ染料のうち、特に好ましい染料は、鋭意研究の結果、黒色を呈するPSD−184が有効であることが見いだされているが、その他の色を呈するロイコ染料、及び、その他の構造を有するロイコ染料であっても何ら制限なしに用いることができる。ロイコ染料の対となりロイコ染料を発色させる顕色剤としては、ヒドロキシアセトフェノン系、ヒドロキシベンゾフェノン系、没食子酸エステル系、ベンゼントリオール系、ベンゼンジオール系、ビスフェノール系、トリフェノール系及びクレゾール系の化合物であり、それらのうち1種または2種以上混合して使用できる。
【0016】更に、ロイコ染料から切り離された顕色剤と結びつくことによって見かけ上消色させる消色剤としては、消色性能及び消色状態の経時安定性の高いものが望ましく、胆汁酸、胆汁酸エステル、ステロイド系化合物及びでんぷんの1種以上を用いることが極めて有効である。ここで言う、胆汁酸とはコール酸、ヒドロキシコール酸、リトコール酸、デオキシコール酸等のコラン酸を母体とするステロイドのヒドロキシ酸であり、胆汁酸エステルとは、上記胆汁酸のエステル化物である。着色剤を形成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、非晶質ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ臭化スチレン、スチレンブチルアクリレート共重合体、スチレンメタクリル酸共重合体、ポリビニルカルバゾールであり、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンである。本発明における着色剤の組成としては、それぞれ着色剤質量に基づいて、ロイコ染料は1〜10質量%、顕色剤は0.5〜20質量%、消色剤は2〜60質量%、樹脂は20〜90質量%用いることが出来る。
【0017】更に、着色剤を紙面に密着させるための水溶性樹脂としては、水溶性ナイロン樹脂、水溶性ポリビニルアセタール樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エステル化デンプン、デキストリン、還元麦芽糖、糖アルコール、カルボキシメチルセルロースであり、好ましくはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デキストリンであり、又着色剤を紙面に密着させるための水性樹脂エマルションとしては、エチレン酢酸ビニルエマルション、エチレン酢酸ビニル塩化ビニルエマルション、エチレン酢酸ビニルアクリルエマルション、アクリルエマルション、スチレンアクリルエマルション、スチレンアクリロニトリルエマルション、アクリロニトリルブタジエンエマルション、アクリルブタジエンエマルション、ウレタンエマルション、ポリエステルエマルションであり、好ましくは、エチレン酢酸ビニルエマルション、エチレン酢酸ビニル塩化ビニルエマルションであり、そのうち1種又は2種以上混合して使用できる。
【0018】インキを酸性又は中性に調整するための酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、チオ硫酸、塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸等の無機酸、又は蟻酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、フェノール、クレゾール、アクリル酸、メタクリル酸等の有機酸であり、人体に対する安全性等の点から好ましくは酢酸、塩酸、クエン酸、リンゴ酸である。更に、揮発性呈酸性物質としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、塩酸、硝酸、塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸であり、酢酸が特に好ましい。又、本発明におけるインキ組成物の組成としては、それぞれインキ組成物質量に基づいて、着色剤を5〜35質量%、水溶性樹脂又は水性樹脂エマルションを3〜70質量%、溶剤としての水を10〜90質量%用いることが出来る。
【0019】本発明に係る消色用溶剤組成物に用いる有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトン、アセチルアセトン、アセトフェノン、3−メチル−2−ブタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン等のケトン系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ピラン、フラン、メチルフラン、テトラヒドロフラン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ジオキサン等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶剤、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のグリコールエーテル系溶剤、メチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン、パークロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、アニリン、トルイジン、ピリジン、ビピリジン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルフォキシド等のヘテロ原子を有する炭化水素系溶剤であり、そのうち1種又は2種以上混合して使用できる。消色性能、人体に対する安全性及び溶剤の乾燥性などの点から、アセトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンが特に好ましい。ここで言うヘテロ原子とは、酸素原子を含まず、特に窒素原子と硫黄原子を指す。
【0020】又、消色性溶剤組成物に用いる揮発性液状アミンとしては、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、アニリン、ピリジン、ビピリジン、ピラジン、ピレラジン、ピペリジン等のアミンであり、それらのうち1種又は2種以上混合して使用できる。消色性能、人体に対する安全性及び溶剤の乾燥性などの点から、特にトリエタノールアミンが好ましい。更に、揮発性液状アミドとしては、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミドである。更に、本発明における消色性溶剤組成物における、揮発性液状アミン又はアミドは、溶剤組成物質量に基づいて、0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%用いることが出来る。
【0021】本発明における水性インキ組成物は、上記の様にロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂から構成される微粉体又はマイクロカプセルから成る着色剤の水分散体であって筆記又は印刷後に消色を可能とするものである。すなわち、予めロイコ染料と顕色剤を化学的に結合させた状態、つまり発色状態にある着色剤をインキとして用い、消色時に溶剤の膨潤又は加熱による着色剤の擬溶融状態における、擬液相反応によって、ロイコ染料と顕色剤の化学結合が切れ、着色剤中に含有させておいた消色剤と顕色剤が新たに強い化学結合を形成することによって、再発色することなく、筆記線を消色することが可能となる。インキ中におけるインキの色が経時的に退色する原因は必ずしも明らかではないが、水性インキ組成物は、着色剤が水中に分散されているため、着色剤を形成している樹脂中に水が膨潤し、着色剤中で溶剤による消色時の状態と同様な状態になっているものと推測される。特に、インキ組成物が塩基性である場合、呈塩基性物質が着色剤中に膨潤し、消色剤として作用するため、インキの色の退色を促進させるものと推測される。
【0022】その他インキの材料として通常用いられる防錆剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、保湿剤、潤滑剤、分散安定剤及び分散樹脂等の添加剤についても必要に応じて用いることができるが、発明の目的に鑑み、インキの発色及び消色を妨げるものであってはならない。添付の図1は、本発明の消色用溶剤組成物を塗布するのに適する中綿式ペンの縦断面図を示すもので、尾栓1、本体2、中綿3、チップ4及びキャップ5から構成され、従来から慣用されているものを用いることができる。尾栓1、本体2、キャップ5はポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ナイロン樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル等の成形加工が可能な樹脂、上記の樹脂に金属を蒸着もしくは、金属薄膜を被覆したもの、又は、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮等の銅合金等の金属よりなり、中綿3はポリエステル繊維束をポリエチレン被覆したもの、チップ4はアクリル繊維束で常法により作成したものである。図2は、本発明の消色用溶剤組成物を塗布するのに適する直液式ペンの縦断面図を示すもので、本体2、チップ4、キャップ5、先端カバー6、ウレタン7、バルブ蓋8、スプリング9、バルブ棒10、バルブ本体11から構成され、従来から慣用されているものを用いることができる。本体2、キャップ5、先端カバー6、バルブ蓋8、バルブ棒10、バルブ本体11はポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ナイロン樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル等の成形加工が可能な樹脂、上記の樹脂に金属を蒸着もしくは、金属薄膜を被覆したもの、又は、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮等の銅合金等の金属よりなり、チップ4はアクリル繊維束で常法により作成したものである。図3は、本発明の消色用組成物を塗布するのに適する塗布具の縦断面図を示すもので、ハケ付きキャップ12、ハケ13及びボトル14から構成され、キャップ6及びボトル8はポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ナイロン樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル等の成形加工が可能な樹脂、上記の樹脂に金属を蒸着もしくは、金属薄膜を被覆したもの、又は、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮等の銅合金等の金属よりなり、ハケ7はナイロンで作成する。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、それにより本発明を限定するものではない。
(実施例1) (質量部)
ロイコ染料 PSD−184(日本曹達(株)製、商品名) 2.5 顕色剤 3,5−ジヒドロアセトフェノン 1.5 消色剤 馬鈴薯でんぷん 15.0 樹脂 SB−130(三洋化成工業(株)製ポリスチレン、商品名) 40.0 〔ロイコ染料:顕色剤=1:2(モル比)、顕色剤:消色剤=1:10(質量比)〕
をニーダーを用いて、加熱混合し、発色した状態の塊状の顔料を得た。
【0024】この顔料をジェットミルで粉砕し、分級により分けられた5〜10μmの微粉体顔料を用いて、以下の組成で撹拌器を用いて撹拌混合し、pHが6.0になるよう10質量%酢酸水溶液にて調整し、水性マーカー用黒色インキを得た。
(質量%)
黒色微粉体 10.0 デルトップ(武田製薬(株)製、商品名、2−ベンズイソチアゾリン−3−オ ン 10%、ジエチレングリコール 70%) 0.3 スミカフレックス(住友化学工業(株)製、商品名、エチレン酢酸ビニル水性 エマルション) 10.0 アエロジル200(日本アエロジル(株)製、商品名、無水変性シリカ) 0.5 イオン交換水 79.2上記水性マーカー用黒色インキ組成物の粘度は7.6mPa・s(25℃、75s-1)であった。
【0025】このインキを市販されている通常の直液式水性マーカー(ゼブラポップスター極細−商品名−)と同様に、予め極細側にバルブ組込済み先端部を嵌着させておいたポリプロピレン製チューブに、ステンレス製撹拌子を入れ、インキを充填した後、細側にバルブ組込済み先端部を嵌着し、ポリエステル製チップを組込、チューブ内を常圧にし水性マーカーペンを作成した。なお、マーカーは筆記直前に、10回ほど振り、インキをよく撹拌した後、インキ出しを充分に行った後に、A4サイズのコピー用紙に筆記を行った。
【0026】
(実施例2) (質量部)
ロイコ染料 PSD−184 2.5 顕色剤 2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン 2.3 消色剤 コール酸 20.2 樹脂 ST−120(三洋化成工業(株)製ポリスチレン、商品名) 50.0 〔ロイコ染料:顕色剤:消色剤=1:2:10(モル比)〕
をニーダーを用いて、加熱混合し、発色した状態の塊状の顔料を得た。
【0027】この顔料をジェットミルで粉砕し、分級により分けられた0.5〜5μmの微粉体顔料を用いて、以下の組成で撹拌器を用いて撹拌混合し、pHが3.4になるよう10質量%酢酸水溶液にて調整し、水性ボールペン用黒色インキを得た。
(質量%)
黒色微粉体 10.0 デルトップ 0.3 エマルゲン707(花王(株)製、商品名、非イオン系界面活性剤、ポリオキ シエチレンアルコールエーテル) 0.8 デキストリン 8.0 ベンゾトリアゾール 0.2 オレイン酸カリウム 0.5 キサンタンガム 0.6 イオン交換水 79.6上記水性ボールペン用黒色インキ組成物の粘度は121mPa・s(25℃、150s-1)であった。このインキを市販されている通常の水性ジェル式ボールペン(ゼブラBW−100−商品名−、ステンレスチップボール径0.7mm)と同様に、ポリプロピレン製チューブにインキを充填した後、チップを嵌着し、尾部よりインキ追随体を適量注入し、遠心機により200Gにて脱泡しボールペンを作成し、A4サイズのコピー用紙に筆記を行った。
【0028】
(実施例3) (質量部)
ロイコ染料 クリスタルバイオレットラクトン 2.1 顕色剤 没食子酸エチル 2.0 消色剤 コール酸メチル 21.4 樹脂 SB−130 50.0 〔ロイコ染料:顕色剤:消色剤=1:2:10(モル比)〕
をニーダーを用いて、加熱混合し、発色した状態の塊状の顔料を得た。
【0029】この顔料をジェットミルでサブミクロンオーダーまで粉砕し、得られた顔料を以下の組成で撹拌器を用いて撹拌混合し、pHが7.0になるよう5質量%クエン酸水溶液にて調整し、0.22μmのテフロン(登録商標)フィルターにて濾過し、インクジェットプリンター用青色インキを得た。
(質量%)
青色微粉体 10.0 ジエチレングリコール 5.0 デルトップ 0.2 ジヒドロ酢酸ナトリウム 0.5 イオン交換水 84.3上記インクジェット用青色インキ組成物の粘度は2.4mPa・s(25℃、75s-1)であった。このインキを、ピエゾ素子を使用したインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)社製PM−700J−商品名−)のインクとして用いて、A4サイズのコピー用紙に印刷を行った。
【0030】
(実施例4) (質量部)
ロイコ染料 PSD−V 2.0 顕色剤 メチレントリス−p−クレゾール 1.7 消色剤 プログネノロン 17.0 〔ロイコ染料:顕色剤=1:1(モル比)、顕色剤:消色剤=1:10(質量比)〕
を溶融して混合した後、ゆっくりと冷却して赤色固形物を得た。ボールミルを用いて、この固形物をアラビアゴム8質量%水溶液中で10μmオーダーまで粉砕して分散させた。次に、40℃でゼラチン水溶液を混合し、1時間撹拌した後、水を滴下し、撹拌して希釈した。続いて、10質量%酢酸水溶液を添加して液のpHを3.9に調整し、更に37%ホルマリンを滴下して液のpHを7.0に調整した。この液を5℃に冷却し室温で3日間放置した後、遠心分離器で液中に生成したマイクロカプセルを分離して濃桃色マイクロカプセルを調製した。
【0031】得られたマイクロカプセルを用いて、以下の組成で撹拌器を用いて撹拌混合し、pHが5.0になるよう10質量%酢酸水溶液にて調整し、凸版印刷用濃桃色インキを得た。
(質量%)
濃桃色マイクロカプセル 15.0 デルトップ 0.3 クラレポバール((株)クラレ製、商品名、ポリビニルアルコール)
10.0 イオン交換水 74.7上記水性濃桃色インキ組成物の粘度は12mPa・s(25℃、75s-1)であった。このインキを、通常の凸版印刷でA4サイズのコピー用紙に印刷を行った。
【0032】(実施例5)ケトン系溶剤としてアセトン、グリコール系溶剤として1−メトキシエタノール、含へテロ炭化水素系溶剤としピリジンに、28%質量アンモニア水をそれぞれの有機溶剤に対して消色用溶剤組成物質量に基づいて0.3質量%添加し、消色用溶剤組成物を得た。これらの消色用溶剤組成物を、消色可能インキを用いて筆記又は印刷した文字又は画像の消色性試験に用いた。得られた結果を表2に示す。
【0033】(実施例6)ケトン系溶剤としてアセトン、エーテル系溶剤として1,2−ジメトキシエタン、アルコール系溶剤としてベンジルアルコール、グリコールエーテル系溶剤として1−メトキシエタノール、グリコールエーテルエステル系としてメチルグリコールアセテート、脂肪族炭化水素系溶剤としてメチルシクロヘキサン、芳香族炭化水素系溶剤としてキシレン、ハロゲン化炭化水素系溶剤としてクロロホルム、含ヘテロ炭化水素系溶剤としてピリジンに、揮発性液状アミンとしてトリエタノールアミンをそれぞれの有機溶剤に対して消色用溶剤組成物質量に基づいて1質量%添加し、消色用溶剤組成物を得た。これらの消色用溶剤組成物を、消色可能インキを用いて筆記又は印刷した文字又は画像の消色性試験に用いた。得られた結果を表2に示す。
【0034】(実施例7)ケトン系溶剤としてアセトン、エーテル系溶剤として1,2−ジメトキシエタン、アルコール系溶剤としてベンジルアルコール、グリコールエーテル系溶剤として1−メトキシエタノール、グリコールエーテルエステル系としてメチルグリコールアセテート、脂肪族炭化水素系溶剤としてメチルシクロヘキサン、芳香族炭化水素系溶剤としてキシレン、ハロゲン化炭化水素系溶剤としてクロロホルム、含ヘテロ炭化水素系溶剤としてピリジンに、揮発性液状アミドとしてN,N−ジメチルホルムアミドをそれぞれの有機溶剤に対して消色用溶剤組成物質量に基づいて10質量%添加し、消色用溶剤組成物を得た。これらの消色用溶剤組成物を、消色可能インキを用いて筆記又は印刷した文字又は画像の消色性試験に用いた。得られた結果を表2に示す。
【0035】(実施例8)アセトンに、28質量%アンモニア水を消色用溶剤組成物質量に基づいて0.3質量%添加して成る消色用溶剤組成物を、市販されている通常の中綿式油性マーキングペン(スーパーネーム(細字)−商品名−)のインキ保持体に充填し消色用ペンを作成した。この消色用ペンを、消色可能インキを用いて筆記又は印刷された文字又は画像の消色性試験に用いた。
【0036】(実施例9)2−メトキシエタノールに、トリエタノールアミンを消色用溶剤組成物質量に基づいて1質量%添加して成る消色用溶剤組成物を、市販されている通常のハケ式修正液(ゼブラ修正液−商品名−)のインキボトルに充填し、ハケ付きキャップをねじ閉めし、消色用剤塗布具を作成した。この消色用溶剤塗布具を、消色可能インキを用いて筆記又は印刷された文字又は画像の消色性試験に用いた。
【0037】(比較例1)実施例1で得られた顔料を用いて、以下の組成で撹拌器を用いて撹拌混合し、pHが8.0になるように28質量%アンモニア水にて調整し、水性マーカー用黒色インキを得た。
(質量%)
黒色微粉体 10.0 デルトップ 0.3 デキストリン 10.0 アエロジル200 0.5 イオン交換水 79.2上記水性黒色インキ組成物の粘度は7.4mPa・s(25℃、75s-1)であった。このインクを用いたマーカーペンの作成及び筆記は実施例1と同様に行った。
【0038】(比較例2)実施例3で得られた顔料を用いて、以下の組成で撹拌器を用いて撹拌混合し、pHが10.5になるように28質量%アンモニア水にて調整し、水性ボールペン用青色インキを得た。
(質量%)
青色微粉体 10.0 デルトップ 0.3 エマルゲン707 0.8 ユーコート(三洋化成工業(株)、商品名、自己乳化型ウレタン樹脂エマルシ ョン) 10.0 ベンゾトリアゾール 0.2 オレイン酸カリウム 0.5 キサンタンガム 0.6 イオン交換水 77.6上記水性青色インキ組成物の粘度は115mPa・s(25℃、150s-1)であった。このインクを用いたボールペンの作成及び筆記は実施例2と同様に行った。
【0039】(比較例3)28質量%アンモニア水を水で希釈し、0.5質量%アンモニア水とし、実施例5と同様に消色可能インキを用いて筆記又は印刷した文字又は画像の消色性試験に用いた。
【0040】(試験方法)上記実施例1〜4及び比較例1〜2の各インキを、室温でサンプル瓶中での保存試験及びそれぞれの方法で筆記又は印刷した文字又は画像の加熱並びに実施例5〜7及び比較例3の消色用溶剤組成物を用いた消色試験を行った。得られた結果を表1及び表2に示す。
■インキの色の経時濃度変化試験インキ作成直後及び1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月間室温でサンプル瓶に保存したインキの外観を目視で観察した。結果を表1に示す。
■アセトンによる筆記又は印刷した文字又は画像の消色試験(その1)
インキ作成直後に上記各インキを用いて、コピー用紙に筆記又は印刷した文字又は画像上に、筆記又は印刷してから3分後にアセトンを数滴垂らし、滴下した箇所の文字又は画像が消色されるかどうかを確認した。結果を表2、■に示す。
【0041】■アセトンによる筆記又は印刷した文字又は画像の消色試験(その2)
インキ作成直後に上記各インキを用いて、コピー用紙に筆記又は印刷した文字又は画像上に、筆記又は印刷してから24時間後にアセトンを数滴垂らし、滴下した箇所の文字又は画像が消色されるかどうかを確認した。結果を表2、■に示す。
■実施例5の消色用溶剤組成物による筆記又は印刷した文字又は画像の消色試験インキ作成直後に上記各インキを用いて、コピー用紙に筆記又は印刷した文字又は画像上に、筆記又は印刷してから3分後に実施例5の消色用溶剤組成物を数滴垂らし、滴下した箇所の文字又は画像が消色されるかどうかを確認した。結果を表2、■に示す。
【0042】■実施例6の消色用溶剤組成物による筆記又は印刷した文字又は画像の消色試験インキ作成直後に上記各インキを用いて、コピー用紙に筆記又は印刷した文字又は画像上に、筆記又は印刷してから3分後に実施例6の消色用溶剤組成物を数滴垂らし、滴下した箇所の文字又は画像が消色されるかどうかを確認した。結果を表2、■に示す。
■実施例7の消色用溶剤組成物による筆記又は印刷した文字又は画像の消色試験インキ作成直後に上記各インキを用いて、コピー用紙に筆記又は印刷した文字又は画像上に、筆記又は印刷してから3分後に実施例7の消色用溶剤組成物を数滴垂らし、滴下した箇所の文字又は画像が消色されるかどうかを確認した。結果を表2、■に示す。
【0043】■比較例3の消色用溶剤組成物による筆記又は印刷した文字又は画像の消色試験インキ作成直後に上記各インキを用いて、コピー用紙に筆記又は印刷した文字又は画像上に、筆記又は印刷してから3分後に比較例3の消色用溶剤組成物を数滴垂らし、滴下した箇所の文字又は画像が消色されるかどうかを確認した。結果を表2、■に示す。
■加熱による消色試験インキ作成直後に上記各インキを用いて、コピー用紙に筆記又は印刷した文字又は画像上に、筆記又は印刷してから3分後に約200度に加熱した電気アイロンを5秒間押し当て、文字又は画像が消色されるかどうかを確認した。結果を表2、■に示す。
【0044】(試験結果)試験結果を要約して表1及び表2に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】〔注〕○:充分に濃い色黒色インキの場合(実施例1、実施例2、比較例1)
PANTONE 426C(黒色)と酷似した色青色インキの場合(実施例3、比較例2)
PANTONE 286C(濃青色)と酷似した色濃桃色インキの場合(実施例4)
PANTONE 226C(濃桃色)と酷似した色△:目視で退色したことが確認できる黒色インキの場合(比較例1)
PANTONE 422C(淡灰色)と酷似した色青色インキの場合(比較例2)
PANTONE 284C(水色)と酷似した色×:使用できないほど退色黒色インキの場合(比較例1)
PANTONE 406C(灰褐色)と酷似した色青色インキの場合(比較例2)
PANTONE 420C(淡灰色)と酷似した色−:実施せずここで、“PANTONE”値はパントン社 色見本パントンカラースペシファイアー/コート紙による【0048】表1の試験結果から明らかなように、比較例1及び2は、インキが塩基性であるために、インキの色が経時的に退色してしまった。しかし、インキが酸性又は中性である実施例1〜4ではインキの色は変化しなかった。又、表2の試験結果から明らかなように、インキが揮発性を有する呈酸性物質による酸性である実施例1、実施例2、実施例4の場合、筆記又は印刷直後にアセトンのみによる消色を行った場合は、筆記線又は印刷された線が再発色してしまったが、24時間放置し呈酸性物質を揮発させた後は、アセトンのみで消色を行った場合でも、完全に消色を行うことができた。更に、筆記又は印刷直後でも、実施例5〜7の消色用溶剤組成物によって消色を行ったところ、再発色することなく、目視不可能なほど筆記線が消色された。しかし、有機溶剤を用いていない比較例3では、消色用溶剤組成物に着色剤を溶解する能力がないため消色されなかった。これらのことから、インキの色の経時的安定性、及び筆記又は印刷された文字又は画像等の消色性に関する作用は、単なる酸・塩基反応ではなく、有機溶剤等を最適に選択して、初めて最高の効果が発現したものであり、発明の効果が実証された。
【0049】
【発明の効果】ロイコ染料、顕色剤、消色剤及び必要に応じて樹脂からなる微粉体又はマイクロカプセルを着色剤とし、必要に応じて前記着色剤を筆記面又は印刷面に固着させる固着樹脂を含むことを特徴とする水性インキ組成物において、前記水性インキ組成物が酸性又は中性であり、好ましくはpHが3〜7、更に好ましくはpHが4〜6であるとインキの色の経時的な退色を抑制するのに極めて有効な水性インキ組成物を得ることが出来る。インキが酸性である場合、一般的に呈酸性物質は極めて強い顕色剤として作用するため、溶剤及び/又は加熱による消色ともに、消色が不可能であったり、又消色後再発色するなど消色が不完全である場合があるが、インキが揮発性を有する呈酸性物質による酸性であれば、筆記又は印刷後顕色剤としての作用を持つ呈酸性物質が揮発するので、溶剤及び/又は加熱による消色が可能となる。しかし、筆記又は印刷直後で、呈酸性物質が残っている場合は、溶剤のみによる消色が困難であるが、有機溶剤にアンモニア水又は揮発性液状アミン又はアミドを含む消色用溶剤組成物を用いて消色を行うと、再発色することなく消色を完全に行うことが出来る。更に、前記消色用溶剤組成物は完全揮発性のため、消色用溶剤組成物が完全に乾燥した後には、通常の紙と同様に消色可能インキで再筆記又は再印刷を行うことができる消色用溶剤組成物を得ることが出来る。これらインキの色の経時的安定性、及び筆記又は印刷された文字又は画像等の消色性に関する作用は、単なる酸・塩基反応ではなく、有機溶剤等を最適に選択して、初めて最高の効果が得られたものであり、本発明の特筆すべき効果である。又、前記消色用溶剤組成物を利用した塗布具を用いることによって、容易にかつ広く前記消色用溶剤組成物を利用することができる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
【出願日】 平成12年10月5日(2000.10.5)
【代理人】 【識別番号】100072844
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 亮一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−311024(P2001−311024A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−305705(P2000−305705)