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【発明の名称】 インク
【発明者】 【氏名】松本 美子

【氏名】日野 好弘

【要約】 【課題】耐候性があり、インク吸収性の媒体を使用した場合においても耐水性、定着性に優れ、吐出安定性、インクの保存安定性、安全性に優れ、特にインクジェット用に好適なインクを提供する。

【解決手段】水性媒体中に少なくとも、着色剤と、エネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー又はオリゴマーの少なくともいずれか、が分散してあるインクであって、該エマルションタイプのモノマー又はオリゴマーは、エネルギー重合性のモノマーか又はオリゴマーの少なくともいずれかの周りをエネルギー分解性或いはエネルギー崩壊性の樹脂でカプセル化されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】水性媒体中に少なくとも、着色剤と、エネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー又はオリゴマーの少なくともいずれか、が分散してあるインクであって、該エマルションタイプのモノマー又はオリゴマーは、エネルギー重合性のモノマーか又はオリゴマーの少なくともいずれかの周りをエネルギー分解性或いはエネルギー崩壊性の樹脂でカプセル化されたものであることを特徴とするインク。
【請求項2】前記エマルションタイプのモノマーか又はオリゴマーの少なくともいずれかは、平均粒径が500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
【請求項3】前記着色剤が顔料であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のインク。
【請求項4】前記顔料の平均粒径が10nm〜200nmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインク。
【請求項5】エネルギーが、紫外線または電子線であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインク。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインク、特にはインクジェット用インクに関し、特に定着性、耐候性、耐水性、インクの保存安定性、吐出適性、さらに安全性に優れたものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット用インクとして、例えば、特開昭55−65269号公報に記載されているように、各種の水溶性染料を水性の液体中に溶解したものが知られている。
【0003】しかし、このように水溶性染料を用いたインクは、染料の耐候性が劣るため、記録画像の耐候性が問題となる。すなわち画像が太陽光、蛍光灯、プロジェクターの光源光等にさらされると、画像が判読不能になったり、消失したり、あるいは退色したりという欠点を有する。
【0004】耐候性が悪いという欠点を解決する形態として、例えば、特公昭56−18623号公報、特開平4−18463号公報に記載されているように、水分散性の顔料を用いたものが知られている。
【0005】しかし、顔料を用いたインクは、耐候性は改善されるが、一般に定着性が悪い、顔料の沈降によるインクの保存安定性が悪いという欠点を有する。
【0006】この欠点を解決するために、定着性を付与したインクとして、樹脂を添加したものが知られている。しかし、インク中に樹脂が含まれると、インク中の溶剤が蒸発した際に樹脂によりヘッドが詰まる、或いはインクの粘度が高くなるために、吐出が困難である等の問題があった。 さらにここで使用される樹脂は水溶性、あるいは親水性のものが多く、記録画像の耐水性に問題があった。
【0007】これらの問題を解決する方法として、例えば特開平8−218016号公報に記載されているように、電子線により硬化するモノマーを使用するものが知られている。しかし、ここで使用されるモノマーはインク中に溶解されており、硬化後耐水性は上がるものの、インク吸収性の媒体に対しては、インクが媒体内部までしみ込むため、硬化が不十分になる、あるいはモノマーの臭いがあり環境的に安全とは言い切れない、という問題がある。
【0008】さらに別の形態として、例えば特開平8−48922号公報に記載されているように、ラジエーション硬化可能なマクロマーをインク中にエマルション状態で含有させたものが知られている。
【0009】この形態によれば、耐水性、インクの臭い等はかなり改善されるが、エマルションの合一によるインク保存時の安定性に問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐候性があり、インク吸収性の媒体を使用した場合においても耐水性、定着性に優れ、吐出安定性、インクの保存安定性、安全性に優れたインクジェット用インクを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、水性媒体中に少なくとも、着色剤と、エネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー又はオリゴマーの少なくともいずれか、が分散してあるインクであって、該エマルションタイプのモノマー又はオリゴマーは、エネルギー重合性のモノマーか又はオリゴマーの少なくともいずれかの周りをエネルギー分解性或いはエネルギー崩壊性の樹脂でカプセル化されたものであることを特徴とするインクである。
【0012】請求項2に記載の発明は、前記エマルションタイプのモノマーか又はオリゴマーの少なくともいずれかは、平均粒径が500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクである。
【0013】請求項3に記載の発明は、前記着色剤が顔料であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のインクである。
【0014】請求項4に記載の発明は、前記顔料の平均粒径が10nm〜200nmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクである。
【0015】請求項5に記載の発明は、エネルギーが、紫外線または電子線であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書中で文中に”モノマー/オリゴマー”とあるのは、モノマーか又はオリゴマーの少なくともいずれか、という意味である。また、モノマーやオリゴマーはそれぞれ、一般にいう定義(重量平均分子量の大小により区別)に従うものである。
【0017】本発明に使用する顔料としては、水又は水性の溶剤に分散可能なものであればよく、公知の有機、あるいは無機の顔料が使用可能である。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ系顔料や、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、金属錯塩系顔料、蛍光顔料等の有機顔料や、硫酸バリウム、炭酸バリウム、アルミナホワイト、酸化チタン、酸化鉄系顔料、カーボンブラック等の無機顔料が使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0018】これらの顔料の粒径は、作製されたインクが、インクジェット方式で使用されるため、ノズルの詰まり防止を考慮すると、また着色性、透明性、インクの経時的な分散安定性を考慮すると、小さい方が好ましく、平均粒径が10nm〜200nm、最大粒径が500nm以下のものが用いられる。
【0019】エネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー/オリゴマーとしては、一般に紫外線硬化型モノマー/オリゴマー、電子線硬化型モノマー/オリゴマーとして知られているものが使用可能である。例えば、光重合性のモノマーである単官能性モノマー:ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、グリシジルメタクリレート、2官能性モノマーであるエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等、3官能性モノマーであるトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等、多官能性モノマーであるジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等の他、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても種々混合して用いてもよい。
【0020】光崩壊性、あるいは光分解性の樹脂としては、一般的に知られているメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルイソプロピルケトン、α―クロロメチルアクレート、α―クロロエチルアクリレート、α―シアノメチルアクリレート、α―ニトロメチルアクリレート等の重合物が用いられる。
【0021】本発明では、エネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー/オリゴマーは、エネルギー重合性のモノマー/オリゴマーの周りをエネルギー分解性或いはエネルギー崩壊性の樹脂でカプセル化された構成で用いられる。
【0022】エネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー/オリゴマーの調製方法としては、一般に知られている種々のカプセル化法を用いることができるが、エネルギー重合性のモノマー/オリゴマーとエネルギー分解性或いはエネルギー崩壊性のモノマーを混合したモノマーを乳化剤とともに水性媒体中に乳化後、In Situ 重合法により、エネルギー重合性のモノマー/オリゴマーの周りにエネルギー分解性或いはエネルギー崩壊性モノマーを重合析出させカプセル化する方法が特に好ましい。
【0023】ここで得たエネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー/オリゴマーは、インク中での分散安定性、インクジェットヘッドからの吐出安定性、さらには吐出後の記録媒体上での被膜形成能を考慮すると、その平均粒径は500nm以下が好ましい。特に好ましくは20nm〜200nmの範囲である。定性的には、着色剤としての顔料の平均粒径とほぼ同等か、又はそれよりも少し大きめ程度が、前記課題を解決するうえで好ましい。
【0024】エネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー/オリゴマーは、エネルギー重合性のモノマー/オリゴマーの周りをエネルギー分解性或いはエネルギー崩壊性の樹脂でカプセル化された構成であるため、モノマーの臭いが外部に及ぶことはない。またエマルション粒子が樹脂層によって覆われているため、エマルション粒子同士が合一することはない。このため、インクの保存安定性、インクの吐出安定性に優れる。さらに、カプセル化されたエネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー/オリゴマーは、記録媒体上でインクの水性媒体が蒸発、吸収乾燥した際には、記録媒体上に顔料とともに残り、記録媒体内部にしみ込むことがないため、エネルギー付与時に硬化不足になる心配がなく、良好な定着性を示すことが可能である。
【0025】本発明のインクの定着は以下のようにして行われる。即ち、インクジェットヘッドより吐出されたインクは、記録媒体上でインクの水性媒体が吸収、あるいは蒸発により乾燥した後、紫外線あるいは電子線によるエネルギーが付与される。このエネルギーにより、カプセルの樹脂層であるエネルギー分解性あるいはエネルギー崩壊性の樹脂は分解あるいは崩壊し、カプセル内部に含有されていたエネルギー重合性のモノマー/オリゴマーは樹脂層から漏れ出すと同時に硬化する。この硬化により、着色剤である顔料は記録媒体上に効果的に定着される。
【0026】エネルギー重合性のモノマー/オリゴマーとして官能数の高いものを用いると硬化後、より高い耐水性、耐溶剤性を得ることができる。
【0027】エネルギー重合性のモノマー/オリゴマーをエネルギーの付与により硬化させる際、特に紫外線を照射する際は、光開始剤や増感剤を適宜使用する。
【0028】光開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、2−クロロベンゾフェノン、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒヂロキシシクロヘキシルーフェニルケトン、ベンジルジメチケタール、2−クロロチオキサンソン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)―s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)―4,6−ビス(トリクロロメチル)―s−トリアジン等が使用可能であり、これらを1種類あるいは複数種混合して用いてもよい。
【0029】増感剤としてはジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o −トルチオ尿素、ナトリウムジエチルジチオホスフェート等が使用可能であり、光開始剤と併用すると効果的である。
【0030】光開始剤、増感剤の添加量は特に限定されるものではないが、重合性モノマーの0.1〜20質量部が一般的である。
【0031】インクの調製は、顔料を分散剤とともに水性媒体中に分散させた顔料分散体と、エネルギー硬化性のモノマー/オリゴマーエマルションを混合することにより行われる。
【0032】分散剤としては、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、両イオン性活性剤、高分子分散剤等が用いられる。陰イオン性活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、等が挙げられる。非イオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、シリコン系、フッ素系等が挙げられる。陽イオン活性剤としては、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩、等が挙げられる。両イオン性活性剤としてはジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。実際にはこれらの分散剤を単独あるいは混合して用いる。
【0033】分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、顔料の0.1〜50.0質量部が一般的である。
【0034】顔料の分散は、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル等の分散機を用い行われる。
【0035】水性媒体としては、水の他に水と混合できるものを適宜添加することができる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6,−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル等が使用可能である。
【0036】その他、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤、防黴剤、消泡剤等を添加することも可能である。
【0037】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を挙げて、詳細に説明する。
<実施例1>フタロシアニン系青顔料10質量部、エチレングリコール20質量部、グリセリン5質量部、非イオン性活性剤(花王製:エマルゲン109P)1質量部、高分子分散剤(ゼネカ製:ソルスパース20000)10質量部、水59質量部を混合し、サンドミルにて3時間分散し顔料分散体(A)を得た。
【0038】次に、水55質量部に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル塩5質量部を溶解した水溶液に、モノマー(トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、α―シアノメチルアクリレート)30質量部に開始剤であるベンゾフェノン10質量部を混合した溶液を乳化後、60℃に加熱し、平均粒径150nmのエネルギー硬化性のモノマー/オリゴマーエマルション(B)を得た。
【0039】顔料分散体(A)50質量部、エネルギー硬化性のモノマー/オリゴマーエマルション(B)12.5質量部、水37.5質量部を混合し、1ミクロン、続いて0.4ミクロンのメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用インクを得た。
【0040】このインクをインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製:HG5130)を用い、普通紙に記録後、照射強度5J/cm2 の紫外線を照射した。記録画像は耐水性、耐溶剤性に優れ、蛍光灯に3ヶ月さらした後も画像の濃度に変化は見られず、耐候性にも優れた画像が得られた。
【0041】
【発明の効果】本発明のインクジェット用インクは、着色剤である顔料の定着材として、エネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー/オリゴマーを用いており、このエマルションタイプのモノマー/オリゴマーは、エネルギー重合性のモノマー/オリゴマーの周りをエネルギー分解性或いはエネルギー崩壊性の樹脂でカプセル化された構成である。
【0042】従って、モノマーの臭いが外部に及ぶことはなく環境的に安全なインクと言える。またエマルション粒子が樹脂層によって覆われているため、エマルション粒子同士が合一することはない。このため、インクの保存安定性、インクの吐出安定性に優れる。
【0043】さらに、カプセル化されたエネルギー硬化性のエマルションタイプのモノマー/オリゴマーは、記録媒体上でインクの水性媒体が蒸発、吸収乾燥した際には、記録媒体上に顔料とともに残り、記録媒体内部にしみ込むことがないため、エネルギー付与時に硬化不足になる心配がなく、良好な定着性を示すことが可能である。
【出願人】 【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
【出願日】 平成12年4月27日(2000.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−311020(P2001−311020A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−128401(P2000−128401)