トップ :: C 化学 冶金 :: C09 染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用




【発明の名称】 電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物、および電気絶縁性架橋薄膜の形成方法
【発明者】 【氏名】中村 隆司

【氏名】小林 昭彦

【氏名】澤 清隆

【氏名】峰 勝利

【要約】 【課題】低誘電率で耐熱性を有し、電子デバイス表面に対して優れた密着性を有する電気絶縁性架橋薄膜を形成できる電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物、および電子デバイス表面に低誘電率で耐熱性を有し、前記電子デバイス表面に対して優れた密着性を有する電気絶縁性架橋薄膜を効率よく形成できる方法を提供する。

【解決手段】(A)ケイ素原子結合水素原子またはケイ素原子結合アルケニル基を有する電気絶縁性有機樹脂、および(B)溶剤から少なくともなる電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物、および該組成物を電子デバイス表面に塗布し、溶剤の一部もしくは全部を蒸発させた後、加熱および/または高エネルギー線の照射により前記組成物中の電気絶縁性有機樹脂を架橋させることを特徴とする電気絶縁性架橋薄膜の形成方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)ケイ素原子結合水素原子またはケイ素原子結合アルケニル基を有する電気絶縁性有機樹脂、および(B)溶剤から少なくともなる電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項2】 (A)成分が、有機樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性有機樹脂であって、ケイ素原子結合水素原子またはアルケニル基は、前記オルガノポリシロキサンブロック中のケイ素原子に結合していることを特徴とする、請求項1記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項3】 (A)成分が、ポリイミド樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項2記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項4】 (A)成分が、一般式:【化1】

(式中、R1はアルキル基またはアリール基であり、R2はアルキレン基またはアリーレン基であり、aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、cは1以上の整数であり、nは1以上の整数である。)で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項3記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項5】 (A)成分が、一般式:【化2】

(式中、R1はアルキル基またはアリール基であり、R2はアルキレン基またはアリーレン基であり、R3はアルキレン基であり、R4はアルケニル基であり、aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、cは1以上の整数であり、dは1以上の整数であり、nは1以上の整数である。)で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項3記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項6】 (A)成分が、(i)ケイ素原子結合水素原子を有する電気絶縁性有機樹脂と(ii)ケイ素原子結合アルケニル基を有する電気絶縁性有機樹脂からなり、さらに(C)ヒドロシリル化反応用触媒を有することを特徴とする、請求項1記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項7】 (i)成分が、有機樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性有機樹脂であって、ケイ素原子結合水素原子は、前記オルガノポリシロキサンブロック中のケイ素原子に結合していることを特徴とする、請求項6記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項8】 (i)成分が、ポリイミド樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項7記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項9】 (i)成分が、一般式:【化3】

(式中、R1はアルキル基またはアリール基であり、R2はアルキレン基またはアリーレン基であり、aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、cは1以上の整数であり、nは1以上の整数である。)で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項8記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項10】 (ii)成分が、有機樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性有機樹脂であって、アルケニル基は、前記オルガノポリシロキサンブロック中のケイ素原子に結合していることを特徴とする、請求項6記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項11】 (i)成分が、ポリイミド樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項10記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物。
【請求項12】 (ii)成分が、一般式:【化4】

(式中、R1はアルキル基またはアリール基であり、R2はアルキレン基またはアリーレン基であり、R3はアルキレン基であり、R4はアルケニル基であり、aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、cは1以上の整数であり、dは1以上の整数であり、nは1以上の整数である。)で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項11記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性樹脂組成物。
【請求項13】 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物を電子デバイス表面に塗布し、溶剤の一部もしくは全部を蒸発させた後、加熱および/または高エネルギー線の照射により前記組成物中の電気絶縁性有機樹脂を架橋させることを特徴とする電気絶縁性架橋薄膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物、および電気絶縁性架橋薄膜の形成方法に関し、詳しくは、低誘電率で耐熱性を有し、電子デバイス表面に対して優れた密着性を有する電気絶縁性架橋薄膜を形成できる電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物、および電子デバイス表面に低誘電率で耐熱性を有し、前記電子デバイス表面に対して優れた密着性を有する電気絶縁性架橋薄膜を効率よく形成できる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子デバイス表面に電気絶縁性架橋薄膜を形成する方法としては、例えば、水素シルセスキオキサン樹脂溶液を電子デバイス表面に塗布し、溶剤を蒸発させた後、150〜1,000℃で加熱する方法(特開昭63−144525号公報参照)、水素シルセスキオキサン樹脂と白金触媒もしくはロジウム触媒の溶液を電子デバイス表面に塗布し、溶剤を蒸発させた後、150〜1,000℃に加熱する方法(特開昭63−144524号公報参照)が提案されている。
【0003】近年、電子デバイスの微細化、高集積化に伴い、低誘電率の電気絶縁層を形成する方法、具体的には、次世代の設計ルール0.15μm以下の高集積回路においては、比誘電率が2.5未満である低誘電率の電気絶縁層を形成する方法が要求されている。このため、特開平10−279687号公報には、水素シルセスキオキサン樹脂と沸点あるいは該樹脂に対する親和性の異なる2種の溶剤からなる溶液を電子デバイス表面に塗布した後、溶媒の一部を蒸発し、加熱することにより、前記樹脂の架橋時あるいは架橋後に溶剤を蒸発させ、多孔質の電気絶縁性架橋薄膜を形成する方法が提案されている。
【0004】しかし、多孔質の電気絶縁性架橋薄膜は一般的に機械的強度が乏しく、かつ種々の化学薬品の侵入・攻撃を受けやすいなど、次世代の多層配線プロセス、特に、銅デュアルダマシン法に対しては十分な工程耐性が得られないため、実用に供しないという問題があった。また、低誘電率の電気絶縁性架橋薄膜を形成するためには、水素シルセスキオキサン樹脂中のケイ素原子結合水素原子を比較的多く残存させておかねばならないため、前記薄膜を形成後、電子デバイスの多層配線等の各工程において熱あるいは各種薬品・プラズマにより、前記薄膜中のケイ素原子結合水素原子が反応し、前記薄膜がさらに高密度化して誘電率が大きくなるという問題があった。
【0005】また、比較的誘電率が低い電気絶縁性薄膜を形成する電気絶縁性薄膜形成性有機樹脂組成物が数多く提案されているが、このような電気絶縁性薄膜は耐熱性が乏しく、電子デバイスの製造工程で400℃以上に加熱された場合には、膜質の劣化や膜減りを生じてしまうという問題があった。さらに、このような電気絶縁性薄膜は電子デバイス表面に対する密着性が劣り、電子デバイスの製造工程で剥離してしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に達した。すなわち、本発明の目的は、低誘電率で耐熱性を有し、電子デバイス表面に対して優れた密着性を有する電気絶縁性架橋薄膜を形成できる電気絶縁性薄膜形成性有機樹脂組成物、および電子デバイス表面に低誘電率で耐熱性を有し、前記電子デバイス表面に対して優れた密着性を有する電気絶縁性架橋薄膜を効率よく形成できる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物は、(A)ケイ素原子結合水素原子またはケイ素原子結合アルケニル基を有する電気絶縁性有機樹脂、および(B)溶剤から少なくともなることを特徴とする。
【0008】また、本発明の電気絶縁性架橋薄膜の形成方法は、(A)ケイ素原子結合水素原子またはケイ素原子結合アルケニル基を有する電気絶縁性有機樹脂、および(B)溶剤から少なくともなる電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物を電子デバイス表面に塗布し、溶剤の一部もしくは全部を蒸発させた後、加熱および/または高エネルギー線の照射により前記組成物中の電気絶縁性有機樹脂を架橋させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】はじめに、本発明の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物を詳細に説明する。本発明の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物は、(A)ケイ素原子結合水素原子またはケイ素原子結合アルケニル基を有する電気絶縁性有機樹脂、および(B)溶剤から少なくともなることを特徴とする。(A)成分の電気絶縁性有機樹脂としては、ポリイミド樹脂;ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフルオロカーボン樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フッ化ポリアリルエーテル樹脂;ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;その他、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂が挙げられ、好ましくは、これらの有機樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性有機樹脂であり、特に好ましくは、ポリイミド樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性ポリイミド樹脂である。また、(A)成分の電気絶縁性有機樹脂において、ケイ素原子結合水素原子またはアルケニル基は、有機樹脂構造中のシリル基のケイ素原子に結合したり、または、前記のシリコーン変性有機樹脂においては、オルガノポリシロキサンブロック中のケイ素原子に結合しており、特に、前記のシリコーン変性有機樹脂において、オルガノポリシロキサンブロック中のケイ素原子に結合していることが好ましく、特には、シリコーン変性ポリイミド樹脂において、オルガノポリシロキサンブロック中のケイ素原子に結合していることが好ましい。このようなケイ素原子結合水素原子を有するシリコーン変性ポリイミド樹脂としては、一般式:【化5】

で示される。上式中のR1はアルキル基またはアリール基であり、R1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が例示され、また、R1のアリール基としては、フェニル基、トリル基が例示される。また、上式中のR2はアルキレン基またはアリーレン基であり、R2のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が例示され、また、R2のアリーレン基としては、フェニレン基が例示される。また、上式中のaは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、cは1以上の整数である。また、上式中のnは1以上の整数である。このようなシリコーン変性ポリイミド樹脂としては、例えば、式:【化6】

(式中、Meはメチル基を示し、nは1以上の整数を示す。)で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0010】また、ケイ素原子結合アルケニル基を有するシリコーン変性ポリイミド樹脂としては、一般式:【化7】

で示される。上式中のR1はアルキル基またはアリール基であり、R1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が例示され、また、R1のアリール基としては、フェニル基、トリル基が例示される。また、上式中のR2はアルキレン基またはアリーレン基であり、R2のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基が例示され、また、R2のアリーレン基としては、フェニレン基が例示される。また、上式中のR3はアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基が例示される。また、上式中のR4はアルケニル基であり、ビニル基、アリル基、ブテニル基が例示される。また、上式中のaは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、cは1以上の整数であり、dは1以上の整数である。また、上式中のnは1以上の整数である。このようなシリコーン変性ポリイミド樹脂としては、例えば、式:【化8】

(式中、Meはメチル基を示し、nは1以上の整数を示す。)で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0011】本組成物において、(A)成分の電気絶縁性有機樹脂として2種以上併用する場合には、(i)ケイ素原子結合水素原子を有する電気絶縁性有機樹脂と(ii)ケイ素原子結合アルケニル基を有する電気絶縁性有機樹脂との組み合せが好ましい。(i)成分の電気絶縁性有機樹脂としては、前記と同様のものが例示され、好ましくは、有機樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性有機樹脂であり、特に好ましくは、ポリイミド樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性ポリイミド樹脂である。このようなシリコーン変性ポリイミド樹脂としては、前記と同様のものが例示される。また、(ii)成分の電気絶縁性有機樹脂としては、前記と同様のものが例示され、好ましくは、有機樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性有機樹脂であり、特に好ましくは、ポリイミド樹脂ブロックとオルガノポリシロキサンブロックからなるシリコーン変性ポリイミド樹脂である。このようなシリコーン変性ポリイミド樹脂としては、前記と同様のものが例示される。(i)成分と(ii)成分を併用する場合には、(ii)成分の含有量は、(i)成分中のケイ素原子結合水素原子1モルに対して、(ii)成分中のアルケニル基が0.1〜10モルの範囲内となる量であることが好ましい。これは、(ii)成分の含有量が上記範囲外の量であると、得られる組成物が室温放置もしくは加熱のみでは十分に架橋しなくなるおそれがあるからである。
【0012】(B)成分の溶剤は、上記(A)成分を溶解し、該(A)成分を変質させないものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸イソアミル等の脂肪族エステル系溶剤;N,N'−ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ブチロラクトン、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等の鎖状メチルシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン等の環状シロキサン、テトラメチルシラン、ジメチルジエチルシラン等のシラン化合物のシリコーン系溶剤が挙げられる。本組成物において、(B)成分の含有量は限定されないが、一般に、(A)成分100重量部に対して50重量以上であることが好ましい。これは(B)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる電気絶縁性有機樹脂を電子デバイス等の基材の表面に薄く塗布できなくなる傾向があるからである。
【0013】本組成物にはその他任意の成分として、(C)ヒドロシリル化反応用触媒を含有させてもよい。特に、(A)成分の電気絶縁性有機樹脂として、(i)ケイ素原子結合水素原子を有する電気絶縁性有機樹脂と(ii)ケイ素原子結合アルケニル基を有する電気絶縁性有機樹脂を併用する場合には、前記(i)成分中のケイ素原子結合水素原子と、前記(ii)成分中のアルケニル基とのヒドロシリル化反応を促進する。このような(C)成分のヒドロシリル化反応用触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、特に、白金系触媒が好ましい。この白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体が例示される。本組成物において、(C)成分の含有量は限定されず、上記の反応を促進する量であれば特に限定されないが、(A)成分100万重量部に対して、(C)成分中の触媒金属が1〜1,000重量部の範囲内となる量であることが好ましい。また、本組成物がもっぱら高エネルギー線の照射により架橋する場合には、増感剤を添加してもよい。
【0014】次に、本発明の電気絶縁性架橋薄膜の形成方法を詳細に説明する。本発明の電気絶縁性架橋薄膜の形成方法は、上記の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物を電子デバイス表面に塗布し、溶剤の一部もしくは全部を蒸発させた後、加熱および/または高エネルギー線の照射により前記組成物中の電気絶縁性有機樹脂を架橋させることを特徴とする。電気絶縁性有機樹脂の架橋は、紫外線、赤外線、X線、電子線等の高エネルギー線の照射および/または加熱により達成することができる。本発明の方法では、まずはじめに、上記の電気絶縁性架橋薄膜形成性樹脂組成物を電子デバイス表面に塗布する。塗布方法としては、スピンコーティング法、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、フローコーティング法が例示される。塗布後、溶剤の一部もしくは全部を蒸発させ、次いで、加熱および/または高エネルギー線の照射する。また、得られる電気絶縁性薄膜の平坦化が求められる場合には、(A)成分の融点より高い温度に加熱することが好ましい。また、加熱の方法としては、例えば、加熱炉、ホットプレート等による加熱方法が挙げられる。また、高エネルギー線を照射する場合、用いることのできる高エネルギー線としては、例えば、紫外線、赤外線、X線、電子線が挙げられ、特に、(A)成分を十分に架橋させることができることから、電子線を用いることが好ましい。
【0015】
【実施例】本発明の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物、および電気絶縁性架橋薄膜の形成方法を実施例により詳細に説明する。なお、式中のMeはメチル基を示し、nは繰り返し単位を示す正の整数であり、電気絶縁性架橋薄膜の比誘電率は比抵抗値10-2Ωcmのシリコンウエハ上に形成した試料を温度25℃、1MHzの条件下で測定した。測定はアルミ電極を形成してサンドイッチ方式でインピーダンスアナライザを用いて行った。
【0016】[参考例1]窒素気流下、攪拌機、滴下ロート、温度計を備えた四つ口フラスコに、ピロメリット酸二無水物6.4g、N,N'−ジメチルアセトアミドとキシレンとの重量比95:5の混合物31.5gを投入して攪拌した。滴下ロートから、式:【化9】

で示されるジアミノ官能性シロキサン化合物9.4g、N,N'−ジメチルアセトアミドとキシレンとの重量比95:5の混合物31.5gを約15分かけて滴下したところ、反応温度は26〜33℃に変化した。
【0017】その後、33〜25℃で3時間攪拌した。次に、Dean-Stark管を取り付け、140〜144℃で13分間共沸脱水した。その後、室温まで冷却しろ過を行ったところ、式:【化10】

で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂の溶液64.6gを得た。
【0018】[参考例2]窒素気流下、攪拌機、滴下ロート、温度計を備えた四つ口フラスコに、ピロメリット酸二無水物3.6g、N,N'−ジメチルアセトアミドとキシレンとの重量比95:5の混合物34.8gを投入して攪拌した。滴下ロートから、式:【化11】

で示されるジアミノ官能性シロキサン化合物11.1g、およびN,N'−ジメチルアセトアミドとキシレンとの重量比95:5の混合物34.8gを約30分かけて滴下したところ、反応温度は29〜37℃に変化した。
【0019】その後37〜26℃で3.5時間攪拌した。次に、Dean-Stark管を取り付け、144〜146℃で8分間共沸脱水した。その後、室温まで冷却してろ過を行い、式:【化12】

で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂の溶液77.3gを得た。
【0020】[参考例3]窒素気流下、攪拌機、滴下ロート、温度計を備えた四つ口フラスコに、ピロメリット酸二無水物3.6g、N,N'−ジメチルアセトアミドとキシレンとの重量比95:5の混合物35.0gを投入して攪拌した。滴下ロートから、式:【化13】

で示されるジアミノ官能性シロキサン化合物16.5g、N,N'−ジメチルアセトアミドとキシレンとの重量比95:5の混合物34.8gを約30分かけて滴下したところ、反応温度は29〜37℃に変化した。
【0021】その後、37〜26℃で3.5時間攪拌した。次に、Dean-Stark管を取り付け、144〜146℃で8分間共沸脱水した。その後、室温まで冷却してろ過を行い、式:【化14】

で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂の溶液81.0gを得た。
【0022】[実施例1]参考例2で調製したシリコーン変性ポリイミド樹脂の溶液50g、参考例3で調製したシリコーン変性ポリイミド樹脂の溶液50g、および塩化白金酸の1,3−ジビニルテトラメチルシロキサン錯体(反応混合物全体に対して錯体中の白金金属が重量単位で5ppmとなる量)からなる電気絶縁性架橋薄膜形成性樹脂組成物を調製した。この組成物を回転数3000rpmでシリコンウエハにスピンコートし、溶剤を蒸発させた後、150℃のホットプレート上で1分加熱した。次に、窒素気流下、石英炉(360℃)中で3時間加熱することにより、膜厚=5200Å、比誘電率=2.4である電気絶縁性架橋薄膜を形成した。この薄膜はシリコンウエハに良好に密着していた。さらに、得られた電気絶縁性架橋薄膜を窒素気流下、石英炉(420℃)中で1時間のアニーリング試験を行った。電気絶縁性架橋薄膜のアニーリング前後での膜厚の変化を表1に示した。
【0023】[実施例2]参考例2により調製したシリコーン変性ポリイミド樹脂の溶液を回転数3000rpmでシリコンウエハ上にスピンコートし、溶剤を蒸発させた後、165kVで加速された電子線(300Mrad)を照射し、次いで、窒素気流下、石英炉(360℃)中で3時間加熱することにより、膜厚=5100Å、比誘電率=2.4である電気絶縁性架橋薄膜を形成した。この薄膜はシリコンウエハに良好に密着していた。さらに、得られた電気絶縁性架橋薄膜を窒素気流下、石英炉(420℃)中で1時間のアニーリング試験を行った。電気絶縁性架橋薄膜のアニーリング前後での膜厚の変化を表1に示した。
【0024】[実施例3]参考例3で調製したシリコーン変性ポリイミド樹脂の溶液を回転数3000rpmでシリコンウエハ上にスピンコートし、溶媒を蒸発させた後、165kVで加速された電子線(300Mrad)を照射し、次いで、窒素気流下、石英炉(360℃)中で3時間加熱することにより、膜厚=5100Å、比誘電率=2.4である電気絶縁性架橋薄膜を形成した。この薄膜はシリコンウエハに良好に密着していた。さらに、得られた電気絶縁性架橋薄膜を窒素気流下、石英炉(420℃)中で1時間のアニーリング試験を行った。電気絶縁性架橋薄膜のアニーリング前後での膜厚の変化を表1に示した。
【0025】[比較例1]参考例1で調製したシリコーン変性ポリイミド樹脂の溶液を回転数3000rpmでシリコンウエハ上にスピンコートし、溶剤を蒸発させた後、窒素気流下、石英炉(360℃)中で3時間加熱することにより、膜厚=5000Å、比誘電率=2.4である電気絶縁性薄膜を形成した。さらに、得られた電気絶縁性薄膜を窒素気流下、石英炉(420℃)中で1時間のアニーリング試験を行った。電気絶縁性薄膜のアニーリング前後での膜厚の変化を表1に示した。アニーリング後に膜減りが観察された。
【0026】
【表1】

【0027】
【発明の効果】本発明の電気絶縁性架橋薄膜形成性有機樹脂組成物は、低誘電率で耐熱性を有し、電子デバイス表面に対して優れた密着性を有する電気絶縁性架橋薄膜を形成できるという特徴があり、また、本発明の電気絶縁性架橋薄膜の形成方法は、電子デバイス表面に低誘電率で耐熱性を有し、前記電子デバイス表面に対して優れた密着性を有する電気絶縁性架橋薄膜を効率よく形成できるという特徴がある。
【出願人】 【識別番号】000110077
【氏名又は名称】東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社
【出願日】 平成12年3月3日(2000.3.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−247819(P2001−247819A)
【公開日】 平成13年9月14日(2001.9.14)
【出願番号】 特願2000−58484(P2000−58484)