| 【発明の名称】 |
回収ポリエチレンテレフタレートを用いる粉体塗料組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】中塚 徹
【氏名】伊地智 善久
【氏名】黒田 幸隆
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| 【要約】 |
【課題】回収されたポリエチレンテレフタレートを用いて、塗膜として要求される外観、耐衝撃性等の膜性能を向上させるとともに、回収されたポリエチレンテレフタレートを用いたこれまでの粉体塗料に比べ、焼付温度を低下させることのできる粉体塗料組成物を提供する。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】回収ポリエチレンテレフタレートと、テレフタル酸およびネオペンチルグリコールを原料として得られたポリエステル樹脂とを含む混合物を、溶融混練して得られた変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を含有する粉体塗料組成物。 【請求項2】前記ポリエステル樹脂の含有量が、前記回収ポリエチレンテレフタレート100重量部に対し、100〜400重量部であることを特徴とする請求項1記載の粉体塗料組成物。 【請求項3】前記ネオペンチルグリコールの量が、前記回収ポリエチレンテレフタレート中のアルコール成分と前記ポリエステル樹脂中のアルコール成分との合計量の20モル%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の粉体塗料組成物。 【請求項4】前記ポリエステル樹脂が、アルコール成分の原料としてさらにブタンジオールを使用して得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物。 【請求項5】前記ブタンジオールが、前記回収ポリエチレンテレフタレート中のアルコール成分と前記ポリエステル樹脂中のアルコール成分との合計量の5モル%以上であることを特徴とする請求項4記載の粉体塗料組成物。 【請求項6】前記混合物が更に、多官能性の酸および/又は多官能性のアルコールを含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の粉体塗料組成物。 【請求項7】前記多官能性の酸および/又は多官能性のアルコールの量が、前記回収ポリエチレンテレフタレートの酸成分と前記ポリエステル樹脂の酸成分との合計量に対して1〜10モル%であることを特徴とする請求項6記載の粉体塗料組成物。 【請求項8】前記多官能性の酸が、マレイン酸、イソフタル酸、アジピン酸およびセバシン酸からなる群から少なくとも1つ選ばれた酸であり、前記多官能性のアルコールが、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール,およびエチレングリコールからなる群から少なくとも1つ選ばれたアルコールであることを特徴とする請求項6又は7記載の粉体塗料組成物。 【請求項9】前記混合物が更に、熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物。 【請求項10】前記熱可塑性エラストマーの量が、前記混合物100重量部中1〜20重量部であることを特徴とする請求項9記載の粉体塗料組成物。 【請求項11】前記粉体塗料組成物が、顔料を含有する請求項1〜10のいずれか一つに記載の粉体塗料組成物。 【請求項12】回収ポリエチレンテレフタレートを、少なくともテレフタル酸およびネオペンチルグリコールを原料として得られたポリエステル樹脂とともに混合して溶融混練する工程、前記工程で得られた溶融混練物からペレットを製造する工程および前記ペレットを粉砕する工程を含有する粉体塗料組成物の製造方法。 【請求項13】前記溶融混練する工程において、更に顔料を加えることを特徴とする、請求項12記載の粉体塗料組成物の製造方法。 【請求項14】前記溶融混練する工程において、さらに多官能性の酸および/又は多官能性のアルコールを加えることを特徴とする、請求項12又は13記載の粉体塗料組成物の製造方法。 【請求項15】前記溶融混練する工程において、さらに熱可塑性エラストマーを加えることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1つに記載の粉体塗料組成物の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、PETボトル等から回収されたポリエチレンテレフタレートを原料として用いた粉体塗料組成物およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、ポリエチレンテレフタレートから成形加工して得られたボトルいわゆるPETボトルが大量に使用されるようになったことにより、使用済みPETボトルが、焼却により廃棄処分されるようになってきた。このことは、限りある有用な地球資源を単に熱エネルギーとして放出して無駄に消費していることとなる。そこで、地球資源の再生利用をはかることを目的に、上記使用済みPETボトルの再生利用方法が、様々な分野で検討されている。その中にあって、特開平10−287844号公報には、回収されたPET成形品を、マレイン化オレフィン樹脂又は変性ポリエステル樹脂とともに加熱溶融混練して得られた粉体塗料が開示されている。しかしながら、この粉体塗料は、平滑な肌の塗膜を得るためには270℃以上の焼付温度を必要とすることから、エネルギーコストが大きくなるという欠点を有していた。また、その粉体塗料から得られた塗膜は、耐衝撃性等に劣るものであった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、回収されたポリエチレンテレフタレートを用いて、塗膜として要求される外観、耐衝撃性等の膜性能を向上させるとともに、回収されたポリエチレンテレフタレートを用いたこれまでの粉体塗料に比べ、焼付温度を低下させることのできる粉体塗料組成物を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の粉体塗料組成物は、回収ポリエチレンテレフタレートと、テレフタル酸およびネオペンチルグリコールを原料として得られたポリエステル樹脂とを含む混合物を、溶融混練して得られた変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を含有するものである。また、上記ポリエステル樹脂の含有量が、回収ポリエチレンテレフタレート100重量部に対し、100〜400重量部であることが好ましい。 【0005】また、上記ネオペンチルグリコールの量が、上記回収ポリエチレンテレフタレート中のアルコール成分と上記ポリエステル樹脂中のアルコール成分との合計量の20モル%以上であることが好ましい。そして、上記ポリエステル樹脂が、アルコール成分の原料としてさらにブタンジオールを使用して得られたものであってもよい。さらに上記ブタンジオールが、上記ポリエチレンテレフタレート中のアルコール成分と上記ポリエステル樹脂中のアルコール成分との合計量の5モル%以上であることが好ましい。 【0006】一方、上記混合物が更に、多官能性の酸および/又は多官能性のアルコールを含有していてもよい。そして、その多官能性の酸および/又は多官能性のアルコールの量が、上記回収ポリエチレンテレフタレートの酸成分とポリエステル樹脂の酸成分との合計量に対して1〜10モル%が好ましい。また、その多官能性の酸が、マレイン酸、イソフタル酸、アジピン酸およびセバシン酸からなる群から少なくとも1つ選ばれた酸であり、上記多官能性のアルコールが、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール,およびエチレングリコールからなる群から少なくとも1つ選ばれたアルコールであってもよい。 【0007】上記混合物は更に、熱可塑性エラストマーを含有していてもよく、その量が、上記混合物100重量部中、1〜20重量部であることが好ましい。また、本発明の粉体塗料組成物は、顔料を含有するものであってもよい。一方、本発明の粉体塗料組成物の製造方法は、回収ポリエチレンテレフタレートを、テレフタル酸およびネオペンチルグリコールを原料として得られたポリエステル樹脂とともに混合して溶融混練する工程、上記工程で得られた溶融混練物からペレットを製造する工程および上記ペレットを粉砕する工程を含有するものである。また、上記加熱溶融混練する工程において、更に顔料を加えてもよい。そして、上記溶融混練する工程において、さらに多官能性の酸および/又は多官能性のアルコールを加えてもよい。また、上記加熱溶融混練する工程において、さらに熱可塑性エラストマーを加えてもよい。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の粉体塗料組成物は、回収ポリエチレンテレフタレートと、テレフタル酸およびネオペンチルグリコールを原料として得られたポリエステル樹脂とを含む混合物を、溶融混練して得られた変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を含有するものである。即ち、本発明は、今までは廃棄処分されていたポリエチレンテレフタレートを回収し、その回収ポリエチレンテレフタレートと、特定の原料組成からなるポリエステル樹脂とを含む混合物を粉体塗料の原料に用いた点に特徴がある。 【0009】ここで、回収ポリエチレンテレフタレートとは、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて加工成形して得られたもの、たとえばPETボトルなどとして使用された後、回収されたものや、ポリエチレンテレフタレート樹脂を成形加工するときに切断等により生じた切れ端や端材等の産業廃棄物を回収して得られたものをいう。 【0010】ここで用いられるポリエステル樹脂は、酸成分としてはテレフタル酸を、アルコール成分としてはネオペンチルグリコールを必須成分として用いて、縮合反応により得られたものである。上記ネオペンチルグリコールの量は、上記回収ポリエチレンテレフタレートからのアルコール成分と、上記ポリエステル樹脂からのアルコール成分との合計量の全アルコール成分の20モル%以上であることが好ましい。20モル%未満であると、金属に対する密着性が不良となる恐れがある。ここで、回収ポリエチレンテレフタレート又はポリエステル樹脂からのアルコール成分とは、それぞれを製造するのに用いられたアルコールのことを意味する。上記アルコール成分としては、上記ネオペンチルグリコールのほかに、エチレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール等を更に含んでいてよい。粉体塗料組成物の融点を低下させ、かつ塗膜の機械的強度を向上させる点からは、ブタンジオールを用いることが好ましい。 【0011】ブタンジオールを更にアルコール成分として用いる場合、上記ブタンジオールは、回収ポリエチレンテレフタレート中のアルコール成分とポリエステル樹脂中のアルコール成分との合計量の5モル%以上であることが好ましい。5モル%未満であると、十分に塗膜の機械的強度を向上することができない恐れがある。 【0012】上記ポリエステル樹脂の酸成分として、テレフタル酸のほかにイソフタル酸を更に用いてもよい。上記ポリエステル樹脂の重合度は、特に制限はないが、30〜120であることが好ましい。30未満であると、耐衝撃性等の塗膜の物性が低くなる恐れがある。120を超えると、得られた変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、焼付温度が通常の場合よりも高くなる恐れがある。 【0013】上記ポリエステル樹脂は、通常用いられている縮合反応により得ることができるが、上記配合の範囲内のものであれば、市販されているポリエステル樹脂であってもかまわない。なお、その形態は、通常ペレット状のものが取り扱い上便利である。一方、回収ポリエチレンテレフタレートは、機械的に粉砕してペレット化したものを用いることが好ましい。 【0014】上記変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、上記回収ポリエチレンテレフタレートとポリエステル樹脂とを含む混合物を加熱溶融して混練することにより得られるが、そのときの温度としては、230〜260℃が好ましい。この溶融混練により、解重合反応又はエステル交換反応が進み、上記ポリエステル樹脂の存在下で、回収ポリエチレンテレフタレートが変性される。具体的には、回収されたポリエチレンテレフタレートに含まれている水分で、加水分解により切断されその重合度が低下するとともに、このようにして生じた重合度の低下したポリエチレンテレフタレート樹脂または未変性のポリエチレンテレフタレートは、上記ポリエステル樹脂とエステル交換反応を行い、上記ポリエステル樹脂成分の一部が、上記ポリエチレンテレフタレートの中に組み込まれることになる。このような反応が進行することにより、上記ポリエチレンテレフタレート樹脂は変性される。このようにして得られた変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の融点は、変性前の融点が255℃以上であるのに比べて、170〜200℃と大幅に低下したものとなる。また、その変性樹脂の溶融時の粘度もかなり低下し、例えば200℃での溶融粘度は10〜104ポイズとなるので、その変性樹脂組成物を含有する粉体塗料組成物の塗膜の肌がより平滑なものとなる。 【0015】ここで、先の混合物において上記ポリエステル樹脂の含有量は、上記回収ポリエチレンテレフタレートの100重量部に対し、100〜400重量部であることが好ましい。100重量部未満であると、得られた変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の融点を目的とする温度まで下げることが出来なくなる恐れがあり、400を超えると回収PETを原料として用いるという本来の目的から外れたものとなる。 【0016】上記混合物は更に、多官能性の酸および/又は多官能性のアルコールを含有することが好ましい。これらは、1種又は2種以上の組み合わせてもよい。 ここで、1分子中に2個以上の酸基又は水酸基を有している多官能性の酸および/又は多官能性のアルコールを用いることにより、上記溶融混練時に進行するエステル交換反応において、ポリエチレンテレフタレート樹脂の分子鎖中にこれらの酸又はアルコールが容易に組み込まれ、樹脂の融点が降下し、溶融時の粘性も低下することになるからである。その結果、塗膜の平滑性を向上させることができる。 【0017】上記多官能性の酸および/又は多官能性のアルコールの量は、上記回収ポリエチレンテレフタレートの酸成分とポリエステル樹脂の混合物の全酸成分との合計量に対して1〜10モル%となるようにすることが好ましい。1モル%未満であると平滑性が不十分となり、10モル%を超えると耐衝撃性等の物性が不十分となる恐れがある。 【0018】上記多官能性の酸とは、1分子中に2個以上の酸基、たとえばカルボキシル基を有するものであるが、好ましくは2個のカルボキシル基を有する酸である。またはこれらの酸無水物であってもよい。この2個のカルボキシル基を有する酸の具体例としては、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびこれらの酸水物などが上げられるが、中でも、マレイン酸、イソフタル酸、アジピン酸およびセバシン酸が好ましい。 【0019】一方、多官能性のアルコールとは、1分子中に2個以上の水酸基を有するものであり、好ましくは2個の水酸基を有するアルコールである。具体的には、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1、4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘヘキサンジメタノールなどが挙げられるが、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびエチレングリコールが好ましい。 【0020】また、多官能性の酸又は多官能性のアルコールとしては、1分子中に酸基および水酸基を有するものであってもよい。このようなものとしてカルボキシル基と水酸基を各1個ずつ有するp−オキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸が挙げられる。 【0021】また、上記変性樹脂組成物の融点および溶融粘度をさらに低下させる点からは、上記多官能性の酸が、イソフタル酸、アジピン酸およびセバシン酸からなる群から少なくとも1つ選ばれた酸であり、上記多官能性のアルコールが、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびエチレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも1つのアルコールであることが好ましい。 【0022】このようにして、上記溶融混練時に上記ポリエチレンテレフタレートが変性されるが、その変性を促進するために水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属のエステル交換触媒を上記混合物に添加してもよい。その添加量としては、回収ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して、金属元素換算で0.01〜0.05重量部が好ましい。 【0023】上記混合物は更に、熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。上記エラストマーを含有することにより、塗膜の耐衝撃性を維持または向上させることができる。上記の溶融混練により、上記回収ポリエチレンテレフタレートが変性されると、その分子量の低下に伴い、塗膜の耐衝撃性が低下することがあるがこのエラストマーを加えることによりこの問題を解消することができる。 【0024】ここで、上記熱可塑性エラストマーとは、塗膜に可とう性を付与することができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等が挙げられる。中でも、破断点伸び(JIS K 6760)が500%以上である特性値を持つ物質であることが好ましい。その熱可塑性エラストマーの量は、上記混合物100重量部中、1〜20重量部であることが好ましい。1重量部未満であると、塗膜の耐衝撃性を十分に向上させることができなくなる恐れがあり、20重量部を超えると粉体塗料を得る際の粉砕性が低下する恐れがある。 【0025】上記粉体塗料組成物は、必要により顔料を含有することができる。その顔料としては特に限定はされないが、中でも二酸化チタン、弁柄、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系赤色顔料等が好適に用いられる。上記顔料の含有量は、粉体塗料100重量部に対して、1〜80重量部が好ましく、1重量部未満であると、着色の効果が得られず、80重料部を超えると高外観の塗膜を得ることができなくなる恐れがある。 【0026】上記顔料の他に、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ワキ防止剤、顔料分散剤等の添加剤を含んでいても良い。上記の顔料や添加剤は、上記の溶融混練時に加えることにより、本発明の粉体塗料組成物中に含有させることができる。本発明の粉体塗料組成物は、上記顔料や添加剤を含有する場合、その溶融時の粘度は、前述の変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のものとは異なってくる。これは特に顔料の含有量により変化してくる。通常の焼付条件を適用するには、粉体塗料の200℃における溶融時の粘度が、102〜105ポイズであることが必要であり、このような溶融時の粘度を有するよう、上記各成分の含有量を検討することが好ましい。 【0027】次に本発明の粉体塗料組成物の製造法について説明する。その製造方法は、回収ポリエチレンテレフタレートを、テレフタル酸およびネオペンチルグリコールを原料として得られたポリエステル樹脂とともに混合して溶融混練する工程、上記工程で得られた溶融混練物からペレットを製造する工程および上記ペレットを粉砕する工程を含有するものである。 【0028】まず、溶融混練工程では、回収ポリエチレンテレフタレートと上記ポリエステル樹脂とを混合し、その混合物を230〜260℃まで加熱して、その温度にて、1〜10分間ニーダー、エクストルダーや熱ロール等の混練機により溶融混練を行うことにより行われる。この際、前述したように、上記ポリエチレンテレフタレートは、予め機械粉砕によってフレーク化したものを用いることが好ましい。ここでは、必要により、顔料、多官能性の酸および/またはアルコール、添加剤をそれぞれ上記混合物へ加えて、溶融混練を行ってもよい。この場合、回収ポリエチレンテレフタレートが変性されると同時に、ここで混合物にさらに加えられた顔料等が生成した変性樹脂組成物中に均一に分散させることができる。この溶融混練の時間を上記範囲内で長くすることにより、上記変性樹脂組成物の融点および溶融時の粘度が低下し、粉体塗料から得られる塗膜の肌の平滑性を向上させることができる。 【0029】この溶融混練工程において、上記回収ポリエチレンテレフタレートの変性度を厳密にコントロールして、目的とする融点および溶融粘度を有する変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得ようとする場合は、まず、上記回収ポリエチレンテレフタレートと上記ポリエステル樹脂、そして必要により上記多官能性の酸および/またはアルコールとを予め混合する。この混合物を溶融混練して、即ち第1の溶融混練を行い、上記回収ポリエチレンテレフタレートの変性を行う。そして、ここで得られた変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の融点および溶融粘度が、所望の値であることを確認の上、その変性に引き続き所望の条件で第2の溶融混練を行う方法を採用しても良い。この第2の溶融混練の際、必要に応じ上記の顔料や添加剤を加えて、これらを上記変性樹脂組成物中に均一に分散させることができる。 【0030】次に、上記工程で得られた溶融混練物を押出し,冷却して、ペレタイザーによりペレットに成形する。次いで得られたペレットをハンマーミル等の衝撃型粉砕機やジェットミル等の気流粉砕機等により粉砕した後、気流分級機により分級して本発明の粉体塗料組成物を得ることができる。 【0031】 【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中「%」及び「部」は、特に断らないかぎり重量基準である。 実施例1回収されたPETボトルから、ラベルやキャップ等の異物を除去して、機械粉砕機によって粉砕したフレーク100部とポリエステル樹脂(酸成分:テレフタル酸100モル%、アルコール成分:エチレングリコール18モル%、ネオペンチルグリコール58モル%、ブタンジオール24モル%)のペレット300部とを均一に混合した後、260℃まで温度を上げながら、スクリュー径26mmで、2軸からなる押し出し機により、その混合物を溶融押し出しでペレット状にカットして乾燥させて、融点が195℃で、200℃での溶融粘度が6630ポイズの変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物A1を得た。ここで、融点は、ペレット状のサンプル10mgをDSC 220C(セイコーインストゥルメント社製)により、窒素雰囲気化で昇温速度5℃/分で、20℃から300℃の温度範囲にて測定し、融点のピークを読み取ることにより測定した。また、溶融粘度は、ペレット状のサンプル0.5gを2HZの周波数において、MR−300ソリキッドメーター(レオロジー社製)で、200℃に5分間保持し、溶融粘度を読み取ることにより測定した。 【0032】次に上記で得られた樹脂組成物A1を100重量部と、二酸化チタン(デュポン社製、商品名デュポンタイピュアR−960)8重量部とを、混合機スーパーミキサー(日本スピンドル社製)を用いて3分間混合し、次に溶融混練機KRCニーダー(栗本鐵工社製)を用いて約250℃で溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を室温まで冷却して、粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用いて粗粉砕し、さらに微粉砕機ジェットミルIDS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕し粉体塗料A1を得た。この粉体塗料A1の体積平均粒子径を、粒度分析計マイクロトラックHRAX−100(日機装社製)を用いて測定すると、160μmであった。 【0033】実施例2変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を調製する際に、さらに無水マレイン酸を8部加えた以外は、実施例1と同様の仕込み量、溶融混練条件で、融点が183℃で、200℃における溶融粘度が2030ポイズの変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物A2を調製した。次に実施例1と同様の配合および手順により粉体塗料A2を調製した。実施例1の測定方法によって得られた体積平均粒子径は、145μmであった。 【0034】実施例3変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を調製する際に、トリエチレングリコールを、さらに5.2部加えた以外は、実施例1と同様にして、融点が175℃で、200℃における溶融粘度191ポイズの変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物A3を調製した。更に実施例1と同様の手順で、粉体塗料A3を調製した。実施例1の測定方法によって得られた体積平均粒子径は、130μmであった。 【0035】実施例4変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を調製する際に、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂(三井デュポンポリケミカル株式会社、商品名 EVAFLEX−EEA A−709)を、さらに12部加えた以外は、実施例1と同様にして、融点187℃で、200℃における溶融粘度6520ポイズの変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物A4を調製した。更に実施例1と同様にして、粉体塗料A4を調製した。実施例1の測定方法によって得られた体積平均粒子径は175μmであった。 【0036】実施例5変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を調製する際に、さらにトリエチレングリコールを5.2部、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂(三井デュポンポリケミカル株式会社、商品名 EVAFLEX−EEA A−709)を12部加えた以外は、実施例1と同様にして、融点が180℃で、200℃における溶融粘度350ポイズの変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物A5を調製した。更に実施例1と同様にして、粉体塗料A5を調製した。実施例1の測定方法によって得られた体積平均粒子径は、167μmであった。 【0037】比較例1回収されたPETボトルから、ラベルやキャップ等の異物を除去して、機械粉砕機によって粉砕したフレーク100部のみを仕込み、260℃まで温度を上げながら、スクリュー径26mmで、2軸からなる押し出し機により、その混合物を溶融押し出しでペレット状にカットして乾燥させて、融点が257℃のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物C1を得た。この樹脂組成物C1は、200℃においては溶融しないものであった。次に実施例1と同様にして粉体塗料C1を調製した。実施例1の測定方法で得られた体積平均粒子径は、170μmであった。 比較例2比較例1で得られた粉体塗料C1を焼き付け温度270℃にて焼き付けた。 比較例3回収されたPETボトルから、ラベルやキャップ等の異物を除去して、機械粉砕機によって粉砕したフレーク100部とポリエステル樹脂(酸成分:テレフタル酸80モル%、イソフタル酸20モル%、アルコール成分:エチレングリコール100モル%)のペレットとを仕込み、これらを均一に混合した後、260℃まで温度を上げながら、スクリュー径26mmで、2軸からなる押し出し機により、その混合物を溶融押し出しでペレット状にカットして乾燥させて、融点が198℃で、200℃における溶融粘度が7600ポイズの変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物C2を得た。次に実施例1と同様にして粉体塗料C2を調製した。実施例1の測定方法で得られた体積平均粒子径は、158μmであった。 【0038】評価試験実施例1〜5および比較例1、3で得られた粉体塗料組成物を300×150×0.8mmのリン酸亜鉛処理鋼鈑上に、膜厚が150〜200μmになるように静電スプレー塗装した。その後、210℃に設定された乾燥炉に5分間投入して加熱した後に塗板を取り出し、再び膜厚が150〜200μmになるように静電スプレー塗装した。その後、210℃の乾燥炉に10分間投入して加熱し塗膜を得た。得られた塗膜について、以下の評価を測定した。その結果を表1に示す。比較例1は、210℃では溶融せず、270℃に設定された乾燥炉にて上記と同様の塗装方法により塗膜を得たものを比較例2として、その結果を表1に示す。 【0039】 【表1】
【0040】着色性 着色性を目視にて下記の基準で判定した。 ○:目視・ルーペで共に顔料凝集がなく着色が均一である。 △:目視では着色が均一であるが、ルーペでは顔料凝集が観察される×:目視で顔料凝集が観察され、着色がマダラである。 外観目視により平滑性と艶との両方の観点から以下の基準で評価した。 ◎:非常に良好○:良好△:やや不良×:不良耐衝撃性 JIS K5400 8.3.2に準拠したデュポン式で、下記の条件にて塗膜のワレ・はがれが生じたおもりの高さを調べた。 おもり :500gおもりの先端のサイズ :1/2インチ【0041】エリクセン値 JIS K5400 8.2.2に準拠したエリクセン試験機を用いて試験片を変形させた時に生じる塗膜のワレ・はがれが生じるまでの押し出し距離から求めた。 密着性 JIS K5400 8.5.2に準拠した碁盤目テープ法を用いて、テープ剥離後に、100マス目の中で残ったマス目の数で表した。実験結果からわかるように、回収ポリエチレンテレフタレートのみを用いて得られた、従来の粉体塗料では、正常な外観の塗膜を得るためには、270℃の焼付温度を要するが、本発明の粉体塗料では、その温度よりも60℃低い温度でも、従来以上の塗膜物性を有している。また、たとえ、上記の回収されたポリエチレンテレフタレートにポリエステル樹脂を加えて、粉体塗料を製造しても、特定のポリエステル樹脂すなわちネオペンチルグリコールをアルコール成分として含有しているポリエステル樹脂でなければ、十分な密着性を得ることができない。 【0042】 【発明の効果】回収ポリエチレンテレフタレートを原料として得られた粉体塗料でありながら、従来のものよりも焼付温度を大幅に低下させることができるとともに、外観、耐衝撃性等の膜性能も従来以上の性能を有するものであった。このことより、従来から廃棄処分されていた、産業廃棄物系回収PET、回収PETボトル粉砕品、テレホンカード回収粉砕品およびハイウエイカード回収品などを、粉体塗料の原料として、容易に再生利用することができるようになった。しかも、焼付温度が180〜220℃の温度で行うことができるため、エネルギーコストを大幅に下げることができ、幅広い用途に用いることができる。また、本発明の粉体塗料は、熱可塑性ポリエステル樹脂を主成分としているので、特に塗装後機械的加工が施される分野、例えばショッピングカート、ガードレール、フェンス等の分野すなわち、従来の塩化ビニル樹脂系粉体塗料の用いられてきた分野に適用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000230054 【氏名又は名称】日本ペイント株式会社 【識別番号】500102468 【氏名又は名称】アーク株式会社 【識別番号】594128522 【氏名又は名称】内海企画株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月3日(2000.3.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086586 【弁理士】 【氏名又は名称】安富 康男 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−247816(P2001−247816A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月14日(2001.9.14) |
| 【出願番号】 |
特願2000−59305(P2000−59305) |
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