| 【発明の名称】 |
熱硬化性艶消し粉体塗料組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】井賀 伸郎
【氏名】工藤 静夫
【氏名】上野 太三郎
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| 【要約】 |
【課題】得られる塗膜の光沢の加熱温度依存性が小さく、加熱温度が比較的低温の場合においても、塗膜の光沢が均一でかつ外観が良好で、さらに良好な物理的性質を有する艶消し塗膜を得ることができる熱硬化性艶消し粉体塗料組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ基含有樹脂、多官能性カルボン酸化合物、イミダゾリン類化合物、ジシアンジアミド及び/又はジヒドラジド化合物を含む熱硬化性艶消粉体塗料組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】エポキシ基含有樹脂、多官能性カルボン酸化合物、イミダゾリン類化合物、ジシアンジアミド及び/又はジヒドラジド化合物を含む熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。 【請求項2】エポキシ基含有樹脂を79〜99重量%、多官能性カルボン酸化合物を0.5〜8重量%、イミダゾリン類化合物を0.5〜8重量%、ジシアンジアミド及び/又はジヒドラジド化合物を0.2〜5重量%含むものであって、これらの重量%の合計が100である、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。 【請求項3】前記エポキシ基含有樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である、請求項1または2記載の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。 【請求項4】前記エポキシ基含有樹脂の重量平均分子量が、3500〜15000である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。 【請求項5】前記ジヒドラジド化合物がアジピン酸ジヒドラジドである請求項1〜4のいずれかの1つに記載の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。 【請求項6】前記多官能性カルボン酸化合物がピロメリット酸である請求項1〜5のいずれかの1つに記載の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。 【請求項7】前記イミダゾリン類化合物が2−フェニルイミダゾリン及び/又は2−フェニル−4−メチルイミダゾリンである請求項1〜6のいずれかの1つに記載の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。 【請求項8】前記多官能性カルボン酸化合物と前記イミダゾリン類化合物とが塩を形成している請求項1〜7のいずれか1つに記載の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。 【請求項9】さらにカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を含む請求項1〜8のいずれか1つに記載の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。 【請求項10】さらに体積平均粒径が3〜30μmの艶消し剤を、樹脂固形分100重量部に対して、5〜60重量部含む請求項1〜8のいずれか1つに記載の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】一般的に、塗料は、被塗装物の表面に対して、美観や保護を目的として用いられるが、特に、電気製品やOA機器等の金属製品、外装用パネルや内装パネル等の建材等の各分野において、最近では、落ち着いた質感を与える艶消し塗膜を得ることのできる塗料が多用されている。 【0003】これらには、これまで溶剤型のものが用いられてきた。しかし、近年、大気中に放出される有機溶剤がない粉体塗料が、環境に対してやさしい塗料として注目を浴びていることから、熱硬化性艶消し粉体塗料が用いられるようになってきている。しかしながら、熱硬化性粉体塗料を用いて塗装した際の加熱温度が比較的高温であったため、エネルギーコストおよび被塗装物の耐熱性等の問題から、170℃以下の温度で硬化可能な熱硬化性粉体塗料が求められている。 【0004】このような熱硬化性艶消し粉体塗料としては、塗膜外観および塗膜性能の観点から多官能性カルボン酸化合物のイミダゾリン類化合物塩、特にピロメリット酸のイミダゾリン塩を艶消し硬化剤として用いたエポキシ又はエポキシ/ポリエステルハイブリッドタイプのものが用いられている。 【0005】しかしながら、このような艶消し粉体塗料は、加熱温度のわずかな差によって、得られた塗膜の光沢のばらつきが発生するという問題があった。例えば、塗装後の加熱温度を170℃以下、特に、160℃以下まで下げると、上記の問題が顕著に発生していた。また、加熱温度を160℃以下まで下げると、外観や耐衝撃性等の塗膜の物理的性質が低下するとともに、十分に光沢が低下しないという問題があった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、得られる塗膜の光沢の加熱温度依存性が小さく、加熱温度が比較的低温の場合においても、塗膜の光沢が均一でかつ外観が良好で、さらに良好な物理的性質を有する艶消し塗膜を得ることができる熱硬化性艶消し粉体塗料組成物を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物は、エポキシ基含有樹脂、多官能性カルボン酸化合物、イミダゾリン類化合物、ジシアンジアミド及び/又はジヒドラジド化合物を含むものである。また、その塗料組成物を構成する各成分の重量割合は、エポキシ基含有樹脂が79〜99重量%、多官能性カルボン酸化合物が0.5〜8重量%、イミダゾリン類化合物が0.5〜8重量%、ジシアンジアミド及び/又はジヒドラジド化合物が0.2〜5重量%であって、これらの重量%の合計が100である。 【0008】上記エポキシ基含有樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好ましく、その重量平均分子量としては3500〜15000が好ましい。 【0009】また、上記ジヒドラジド化合物が、アジピン酸ジヒドラジドであることが好ましく、上記多官能性カルボン酸化合物が、ピロメリット酸であることが好ましい。一方、上記イミダゾリン類化合物が、2−フェニルイミダゾリン及び/又は2−フェニル−4−メチルイミダゾリンであることが好ましい。 【0010】さらに、上記多官能性カルボン酸化合物と上記イミダゾリン類化合物とが塩を形成していることが好ましい。 【0011】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物は、さらにカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を含むものであってもよい。 【0012】さらに体積平均粒径が3μm以上で30μm以下の艶消し剤を、樹脂固形分100重量部に対して、5〜60重量部含むものであってもよい。 【0013】 【発明の実施の態様】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物は、エポキシ基含有樹脂、多官能性カルボン酸化合物、イミダゾリン類化合物、ジシアンジアミド及び/又はジヒドラジド化合物を含むものである。 【0014】本発明の粉体塗料組成物を構成する各成分において、上記エポキシ基含有樹脂は、塗膜を形成するときの基体樹脂となるものであり、多官能性カルボン酸化合物、イミダゾリン類化合物、ジシアンジアミド及びジヒドラジド化合物は、硬化剤として働くものである。そして、これら各成分の塗料組成物中における重量割合は、エポキシ基含有樹脂が79〜99重量%、多官能性カルボン酸化合物が0.5〜8重量%、好ましくは1〜5重量%、イミダゾリン類化合物が0.5〜8重量%、好ましくは1〜5重量%、ジシアンジアミド及び/又はジヒドラジド化合物が0.2〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である割合が好ましい。なお、これらの重量%の合計は100である。 【0015】また、上記多官能性カルボン酸化合物が0.5重量%未満であると、良好な艶消し効果が得られず、8重量%を超えると塗膜の平滑性及び耐水性が低下する恐れがある。また、上記イミダゾリン類化合物が0.5重量%未満であると、良好な艶消し効果が得られず、8重量%を超えると塗膜の平滑性及び塗料の貯蔵安定性が低下する恐れがある。また、上記ジシアンジアミドとジヒドラジド化合物とは、ジシアンジアミドおよびジヒドラジド化合物を各々単独で用いてもよく、又はこれらを併用してもよい。いずれの場合であっても、その使用重量は、上述の範囲内にあることが好ましく、0.2重量%未満であると、艶消しの効果が発揮されず、5重量%を超えると、塗膜の外観が低下する恐れがある。 【0016】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物に含まれるエポキシ基含有樹脂としては、例えば、1分子内に1.5個以上のエポキシ基を有するものが好ましく用いられ、具体的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のA型、B型およびF型等、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物、ノボラック型フェノール樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂のA型、B型およびF型等とエピクロルヒドリンとの反応生成物、ノボラック型フェノール樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂のA型、B型およびF型等との反応生成物、クレゾールノボラック等のクレゾール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物、エチレングリコール,プロピレングリコール,1,4−ブタンジオール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ネオペンチルグリコール,グリセロール等のアルコール化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル、コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,フタル酸,テレフタル酸,ヘキサヒドロフタル酸,トリメリット酸等のカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸,β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応生成物、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)およびその誘導体等が用いられる。上記エポキシ基含有樹脂は、2種以上であってもよい。中でも、上記エポキシ基含有樹脂としては、塗膜の物理的性質等の観点からビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。 【0017】上記エポキシ基含有樹脂のエポキシ当量としては、特に限定されないが、好ましくは200〜2000、さらに好ましくは500〜1500である。上記エポキシ当量が、200より小さい場合は貯蔵安定性が低下する恐れがあり、一方、2000より大きい場合は硬化性が低下する恐れがある。また、上記エポキシ基含有樹脂の重量平均分子量としては、3500〜15000が好ましく、さらに4000〜10000が好ましい。上記重量平均分子量が、3500より小さい場合は、得られるの物理的性質が低下する恐れがあり、一方、15000より大きい場合は得られる塗膜の平滑性が低下し、また良好な艶消し効果が得られない恐れがある。さらに、上記エポキシ基含有樹脂の軟化点は、特に限定されないが、通常、50〜120℃、好ましくは75〜110℃であることが好ましい。上記軟化点が、50℃より低い場合は、耐ブロッキング性が低下する恐れがあり、一方、120℃より高い場合は、得られる塗膜の平滑性が低下する恐れがある。 【0018】ここで、上記の軟化点の測定は、通常JIS K 2207に準拠した方法による。また、重量平均分子量は、移動層としてテトラヒドロフランを用いた、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めたものである。 【0019】上記多官能性カルボン酸化合物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、アンモニア三酢酸、クエン酸、アコニット酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、イタコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シトラコン酸等を用いることができるが、良好な艶消し感を有する塗膜を得る観点からピロメリット酸が好ましい。また、上記多官能カルボン酸は、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 【0020】上記イミダゾリン化合物類としては、例えば、2−メチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等が挙げられるが、良好な艶消し感を有する塗膜を得る観点から2−フェニルイミダゾリン及び2−フェニル−4−メチルイミダゾリンが好ましく、これらを併用しても良い。また、上記イミダゾリン類化合物は2種以上組み合わせて用いることもできる。 【0021】上記多官能性カルボン酸化合物と上記イミダゾリン類は、安定した艶消し効果を得るため、塩を形成していることが好ましい。 【0022】上記ジヒドラジド類としては、例えばアジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジドが挙げられるが、艶消し性の観点からアジピン酸ジヒドラジドが好ましい。 【0023】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物は塗膜の物理的性質、塗り重ね時の密着性および耐候性の観点から、塗膜形成用樹脂としてカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を含有するもの、すなわちエポキシ/ポリエステルハイブリッドタイプであってもよい。このカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸を主成分とした酸成分と、多価アルコールを主成分としたアルコール成分とを原料として通常の方法により縮重合することにより得ることができる。上記酸成分としては、特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸およびこれらの無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類およびこれらの無水物、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類およびこれらの無水物、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類、p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸類、これらに対応するヒドロキシカルボン酸等を挙げることができる。上記酸成分は2種以上であってもよい。 【0024】上記アルコール成分としては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等の側鎖を有する脂肪族グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等を挙げることができる。上記アルコール成分は2種以上であってもよい。 【0025】上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、さらに水酸基を有していてもよい。また、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 【0026】上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の樹脂固形分の酸価としては、特に限定されないが、好ましくは15〜200、さらに好ましくは20〜150である。上記酸価が15未満である場合は、硬化性が低下する恐れがあり、一方、200より大きい場合は得られる塗膜の耐水性が低下する恐れがある。また、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の軟化点は、特に限定されないが、通常、30〜150℃であり、好ましくは70〜130℃である。上記軟化点が30℃より低い場合は、耐ブロッキング性が低下する恐れがあり、一方、150℃より高い場合は、得られる塗膜の平滑性が低下する恐れがある。さらに、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、特に限定されないが、好ましくは1000〜20000、さらに好ましくは2000〜10000である。上記重量平均分子量が、1000より小さい場合は、得られる塗膜の性能および物性が低下する恐れがあり、一方、20000より大きい場合は、得られる塗膜の平滑性、外観が低下する恐れがある。 【0027】上記カルボキシル基含有ポリエステルの含有量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対して70重量部以下であることが好ましく、更に好ましくは50重量部以下であることが好ましい。カルボキシル基含有ポリエステルの含有量が70重量部を上回る場合には良好な艶消し効果を得ることができない。 【0028】また、より効果的に光沢を低下させるためには、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、長石、ワラストナイト等の無機系の艶消し剤や有機樹脂粒子からなる有機系の艶消し剤を含むことが好ましい。上記艶消し剤の体積平均粒径は3〜30μmであることが好ましい。体積平均粒径が3μm未満の場合には光沢を低下させる効果が少なく、30μmを超えると、塗膜の表面異常が発生する恐れがある。上記艶消し剤の添加量は、塗料固形分100重量部に対して5〜60重量部であることが好ましく、10〜50重量部であることが更に好ましい。添加量が5重量部未満の場合には光沢を低下させる効果が少なく、50重量部を超えると、塗膜の平滑性が低下する恐れがある。 【0029】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物は、必要に応じて、上記艶消し剤のほかに、さらに顔料を含んでもよい。 【0030】上記顔料としては、特に限定されず、具体的には、二酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料などの着色顔料、各色のメタリック顔料、各色のパール顔料、カオリン、クレー、シリカ、タルク、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウム等の体質顔料、金属粉末およびそれに表面処理を施したものを挙げることができる。 【0031】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物としては、さらに硬化促進剤を含有するものであっても良い。その硬化促進剤としては、具体的には、イミダゾール類化合物およびその金属塩複合体、有機ホスフィン化合物、ホスホニウム塩および4級アンモニウム塩化合物を挙げることができる。 【0032】上記イミダゾール類化合物としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール等のアルキルイミダゾール類、1−(2−カルバミルエチル)イミダゾール等のカルバミルアルキル置換イミダゾール類、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のシアノアルキル置換イミダゾール類、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等の芳香族置換イミダゾール類、1−ビニル−2−メチルイミダゾール等のアルケニル置換イミダゾール類、1−アリル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のアリル置換イミダゾール類及びポリイミダゾール等を例示することができるが、好ましいものとしてアルキルイミダゾール類、芳香族置換イミダゾール類を挙げることができる。 【0033】上記金属塩複合体としては、上記イミダゾール類化合物を金属塩によって複合させたものを例示することができる。上記金属塩としては、例えば、銅、ニッケル、コバルト、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、銀、クロム、マンガン、錫、鉄、チタン、アンチモン、アルミニウム等の金属とクロライド、ブロマイド、フルオライド、サルフェート、ニトレート、アセテート、マレート、ステアレート、ベンゾエート、メタクリレート等の塩類とからなるものを例示することができる。 【0034】上記有機ホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン等を例示することができる。 【0035】上記ホスホニウム塩化合物としては、例えば、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等を例示することができる。 【0036】上記4級アンモニウム塩化合物として、例えば、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド等を例示することができる。 【0037】なお、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物に含まれる上記硬化促進剤としては、工業的な入手の容易さの観点から、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、トリフェニルホスフィンであることが好ましい。 【0038】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物は、上記で述べた成分以外に各種添加剤を必要に応じ含有させても良い。その添加剤としては、具体的には、ジメチルシリコーン、メチルシリコーンまたはジフェニルシリコンなどのシリコーン類およびアクリル樹脂などの表面調整剤、ベンゾインやベンゾイン誘導体などのベンゾイン類に代表される発泡防止剤、可塑剤、帯電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料分散剤、難燃剤、流動付与剤等を挙げることができる。 【0039】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物は、得られる塗膜の光沢を、上記の多官能性カルボン酸化合物およびイミダゾリン類化合物、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、体質顔料、さらに上記硬化促進剤の添加量によって任意に調節することができる。 【0040】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物において、一般的にはその体積平均粒子径は30〜60μmであるが、特に薄膜で平滑な塗膜を得ようとする場合は5〜30μmであることが好ましい。 【0041】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物の製造は、粉体塗料分野において周知の製造方法を用いるのであれば、特に限定されない。例えば、上記エポキシ基含有樹脂、上記多官能性カルボン酸化合物、上記イミダゾリン類化合物、およびジシアンジアミド及び/又はヒドラジド化合物を必須として、その他必要に応じ、上記顔料、上記硬化促進剤および上記各種添加剤等の原料を、ヘンシェルミキサー等で混合した後、エクストルーダー等で当業者によってよく知られた装置を用いて溶融混練し、冷却後、粉砕、分級する方法等を用いて得ることができる。上記溶融混練の条件としては、硬化反応が進行しない温度以下で行うのが好ましい。 【0042】さらに、本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物が、流動性付与剤を含む場合には、上記製造方法によって得られた粉体塗料の表面に流動付与剤を外添することができる。上記流動付与剤は、粉体塗料自体に流動性を与えるだけでなく、耐ブロッキング性をも向上させることができる。上記流動付与剤としては、疎水性シリカや親水性シリカ等が適用でき、例えば、AEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSIL R−972、AEROSIL R−812、AEROSIL R−812S、二酸化チタンT−805、二酸化チタンP−25、Aluminium Oxide C(日本アエロジル社製)、カープレックスFPS−1(塩野義製薬社製)等を例示することができる。上記流動付与剤を含む場合、その添加量としては、付与される効果と塗膜の平滑性および塗着効率の観点から、粉体塗料100重量部に対して、好ましくは0.05〜1.0重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部に設定される。 【0043】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物は、基板に対して塗布された後、加熱される。上記基板としては、特に限定されず、具体的には、プラスチックおよび鉄板、鋼板、アルミニウム板等およびそれらを表面処理したもの等を挙げることができる。また、上記基板は、さらに下塗り等を施されていても良い。上記下塗りを形成する下塗り塗料としては、電着塗料やプライマーなどの公知のものを用いることができる。 【0044】上記塗布する方法としては、特に限定されず、スプレー塗装法、静電粉体塗装法、電界流動静電塗装法、流動浸漬法等の当業者によってよく知られた方法を用いることができるが、塗着効率の点から、静電粉体塗装法が好適に用いられる。 【0045】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物の塗装膜厚は、特に限定されないが、20〜100μmである。 【0046】加熱する条件としては、基板の種類や用いる塗料に応じて異なるが、加熱温度は、100〜230℃、好ましくは140〜200℃であり、加熱時間は、上記加熱温度に応じて適宜設定することができる。 【0047】 【実施例】 実施例1 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C1の調製 エポトートYD014 100.0重量部 (東都化成社製エポキシ基含有樹脂、樹脂固形分のエポキシ当量950、重量平均分子量5300) ベスタゴンB55 6.2重量部 (ヒュルス社製ピロメリット酸の2−フェニルイミダゾリンとの塩(1:2)) ジシアンジアミド 0.75重量部 (日本カーバイド社製) キュアゾールC−11Z 0.2重量部 (四国化成社製ウンデシルイミダゾール) 三菱カーボンMA100 1.0重量部 (三菱化学社製カーボンブラック) アクロナール4F 0.3重量部 (BASF社製表面調整剤) ベンゾイン 1.0重量部【0048】上記成分を原料として、混合機スーパーミキサー(日本スピンドル社製)を用いて約3分間混合し、さらに溶融混練機コニーダー(ブス社製)を用いて約100℃で溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を室温まで冷却した後、粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用いて粗粉砕し、さらに微粉砕機ジェットミルIDS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕した。得られた粉体を気流分級機DS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、微小粒子と粗大粒子を除去することによって、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C1を得た。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を、粒度分析計マイクロトラックHRA X−100(日機装社製)を用いて測定したところ、25μmであった。なお、この測定に際しては、解析プログラムとしてMICRO TRACD.H.S. X100 Data Handling System SD−9300PRO−100(日機装社製)を用い、測定条件として「Particle Transparency」を「reflect」に設定した。 【0049】実施例2,3 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C2、C3の調製実施例1のジシアンジアミドの配合量を表1に示した量に変更した以外は、同様にして艶消し粉体塗料組成物C2、C3を調製した。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、C2は25μm、C3は26μmであった。 【0050】実施例4 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C4実施例1の配合において、さらにクリスタライトVX−S2(龍森社製シリカ、体積平均粒径6μm)30重量部を加えた以外は、同様にして、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C4を調製した。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、24μmであった。 【0051】実施例5 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C5の調製エポキシ基含有樹脂として、エポトートYD013(東都化成社製エポキシ基含有樹脂、エポキシ当量850、重量平均分子量4800)を使用した以外は、実施例1と同様にして熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C5を調製した。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、24μmであった。 【0052】実施例6 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C6の調製実施例のベスタゴンB55の配合量を表1に示した量に変更した以外は、実施例1と同様にして熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C6を調製した。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、26μmであった。 【0053】実施例7 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C7の調製実施例1のジシアンジミドの代わりに、アジピン酸ジヒドラジド(日本ヒドラジド工業社製)を同量配合した以外は、同様にして、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C7を調製した。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、25μmであった。 【0054】比較例1 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物D1の調製実施例のジシアンジアミドを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物D1を調製した。体積平均粒子径を実施例1と同様にして測定したところ、24μmであった。 【0055】 【表1】
【0056】 実施例8 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C8 エポトートYD014 73.0重量部 (東都化成社製エポキシ基含有樹脂、樹脂固形分のエポキシ当量950、重量平均分子量5300) ユピカコートGV430 27.0重量部 (日本ユピカ社製カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、樹脂固形分酸価77、重量平均分子量7100) ベスタゴンB68 3.6重量部 (ヒュルス社製ピロメリット酸の2−フェニルイミダゾリンとの塩(1:1)) ジシアンジアミド 0.65重量部 (日本カーバイド社製) キュアゾールC−11Z 0.2重量部 (四国化成社製ウンデシルイミダゾール) 三菱カーボンMA100 1.0重量部 (三菱化学社製カーボンブラック) アクロナール4F 0.3重量部 (BASF社製表面調整剤) ベンゾイン 1.0重量部【0057】上記成分を原料とし、実施例1と同様にして、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C8を得た。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を実施例1と同様にして測定したところ、25μmであった。 【0058】実施例9〜12 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C9〜12表2にそれぞれ示した配合量により、実施例1と同様にして熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C9〜12を調製した。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を実施例1と同様にして測定したところ、C9は、25μm、C10は、24μm、C11は、25μm、C12は、26μmであった。 【0059】実施例13 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C13実施例8の配合に、さらにクリスタライトVX−S2(龍森社製シリカ、体積平均粒径6μm)30重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C14を調製した。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、26μmであった。 【0060】実施例14 熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C14の調製エポキシ基含有樹脂として、エポトートYD013(東都化成社製エポキシ基含有樹脂、エポキシ当量850、重量平均分子量4700)を使用した以外は、実施例1と同様にして熱硬化性艶消し粉体塗料組成物C14を調製した。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、24μmであった。 【0061】比較例2ジシアンジアミドを配合しなかった以外は、実施例8と同様にして、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物D2を調製した。得られた粉体塗料の体積平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、25μmであった。 【0062】 【表2】
【0063】評価試験実施例1〜17および比較例1、2で得られた熱硬化性艶消し粉体塗料組成物を300×150×0.8mmのリン酸亜鉛処理鋼板上に、硬化膜厚が60〜80μmになるように静電スプレー塗装した。その後160℃および170℃に設定された乾燥炉に20分間投入して加熱し塗膜を得た。このようにして得られた塗膜について、下記の性能を評価し、その結果を表3および表4に示す。 <光沢評価>得られた塗膜の60゜光沢反射率を、JIS K 5400 7−6に準拠して測定した。 <耐衝撃性>JIS K5400 8.3.2に準拠したデュポン式で、下記の条件にて塗膜のワレ・はがれが生じた重りの高さを調べた。 おもり :500g撃ち型と受け台のサイズ :1/2インチ重りの高さが30cm以上のものが合格レベルである。 <塗膜外観(平滑性)>得られた塗膜の外観を目視にて評価した。異常のないものを○、異常のあるものを×とした。 <エリクセン値>JIS K5400 8.2.2に準拠したエリクセン試験機を用いて試験片を変形させた時に生じる塗膜のワレ・はがれが生じるまでの押し出し距離から求めた。その距離が5mm以上ならば合格レベルである。 【0064】 【表3】
【0065】 【表4】
【0066】実施例と比較例の結果を比較すると、熱硬化性艶消し粉体塗料組成物において、エポキシ基含有樹脂、多官能性カルボン酸可号物、イミダゾリン類化合物、ジシアンジアミドおよび/またはジヒドラジド化合物を含有させることにより、加熱温度を170℃から160℃へ低下させても、光沢と塗膜外観は、比較例と比べるとそれほど変化しておらず、また耐衝撃性やエリクセン等の物理的性質も低下しなかった。 【0067】 【発明の効果】本発明の熱硬化性艶消し粉体塗料組成物は、特定の硬化剤成分を含有することによって、塗装後の加熱温度を比較的低温から高温まで変化させた場合、広い範囲にわたって艶消し性を有する塗膜を得ることができ、しかもその加熱温度を、従来の加熱温度よりも低くした場合であっても、その光沢は著しく変化せず、外観も良好である。また、耐衝撃性やエリクセン等の物理的性能をさらに向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000230054 【氏名又は名称】日本ペイント株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月3日(2000.3.3) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−247814(P2001−247814A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月14日(2001.9.14) |
| 【出願番号】 |
特願2000−58346(P2000−58346) |
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