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【発明の名称】 不可視識別用インク組成物
【発明者】 【氏名】国松 正昭

【氏名】中津 克隆

【氏名】須川 哲夫

【氏名】城田 常雄

【要約】 【課題】可視光線下では不可視である隠し表示を不特定多数の者が容易には識別することができず、また隠し表示を印刷した感熱紙タイプの印刷用紙においても印刷時に印刷用発熱体を摩耗させることのない不可視識別用インク組成物を提供すること。

【解決手段】バインダー成分、及び1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドカルボシアニンイオダイド及び5,5’−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3−ジエチル−10,12−エチレン−チアトリカルボシアニンパークロレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のレーザー染料を含み、且つ粘度が200mPa・s以上である不可視識別用インク組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】バインダー成分、及び1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドカルボシアニンイオダイド及び5,5’−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3−ジエチル−10,12−エチレン−チアトリカルボシアニンパークロレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のレーザー染料を含み、且つ粘度が200mPa・s以上であることを特徴とする不可視識別用インク組成物。
【請求項2】バインダー成分が反応により樹脂を形成するモノマー又はオリゴマーであることを特徴とする請求項1記載の不可視識別用インク組成物。
【請求項3】有機系溶媒を追加含有することを特徴とする請求項1又は2記載の不可視識別用インク組成物。
【請求項4】バインダー成分が樹脂であることを特徴とする請求項3記載の不可視識別用インク組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不可視識別用インク組成物に関し、より詳しくは特定のレーザー染料を用いることにより、可視光線下では不可視である隠し表示を判読する必要がある時にレーザー光線を照射し、隠し表示を蛍光発光させ、ホトコンダクター等により視認することのできる不可視識別用インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、商品の流通経路の追跡を行なったり、正規の製品であるかどうかの確認を行うために、可視光線下では不可視であるが、紫外線を照射した時に蛍光発光して視認が可能となる印刷用インク組成物を使用して、ロット番号、暗号等の記号等の隠し表示を被印刷物表面に印刷し、出荷後の所望の時に紫外線照射して、隠し表示を蛍光発光させ、視認する方法が実用化されている(例えば、特公昭54−22336号公報、特公昭62−5079号公報等を参照のこと)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような可視光線下では不可視のインク組成物を用いて隠し表示を印刷した場合には、励起用光源として市販の安価で簡単な紫外線ランプを使用して蛍光発光させ、目視によって隠し表示の識別を行うため、不特定多数の者がその隠し表示を容易に識別することができる。従って、その隠し表示を削除したり、正規でない製品にその隠し表示を付与したりすることが容易であり、不可視識別という目的には対応し難い。
【0004】また、無機蛍光体を含有する上記のような可視光線下では不可視のインク組成物を用いて隠し表示を印刷した感熱紙タイプの印刷用紙においては、印刷時にその無機蛍光体に起因して印刷用発熱体が摩耗するので、大量印刷の場合には途中で印刷不能になる等の問題があった。
【0005】本発明は、可視光線下では不可視である隠し表示を不特定多数の者が容易には識別することができず、また隠し表示を印刷した感熱紙タイプの印刷用紙においても印刷時に印刷用発熱体を摩耗させることのない不可視識別用インク組成物を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題を達成するために鋭意検討を行った結果、インク組成物にレーザー染料を用いることにより、隠し表示の不可視識別を行うための励起用光源として市販品としては入手し難いレーザー光源を必要とし、またレーザー光励起により発光した隠し表示を識別するセンサーとして市販品としては入手し難いホトコンダクターを必要とするので、隠し表示を不特定多数の者が容易には識別することができず、また染料を用いているため、隠し表示を印刷した感熱紙タイプの印刷用紙においても印刷時に印刷用発熱体を摩耗させることがないことを見いだし、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明の不可視識別用インク組成物は、バインダー成分、及び1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドカルボシアニンイオダイド及び5,5’−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3−ジエチル−10,12−エチレン−チアトリカルボシアニンパークロレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のレーザー染料を含み、必要に応じて有機系溶媒を含有し、且つ粘度が200mPa・s以上であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のインク組成物において使用するバインダー成分は樹脂であっても、又は反応により樹脂を形成するモノマー、オリゴマー等であってもよい。樹脂としては後述する有機系に溶解するか又は安定に分散するものであれば従来から印刷用インク組成物に使用されている各種樹脂が使用可能である。そのような樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、シェラック樹脂、シリコーンアクリル樹脂、p−トルエンスルホン酸アミド樹脂、p−ビニルピロリドン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、又はこれらの樹脂の変性物等が代表的なものとして挙げられる。また、バインダー樹脂は、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、常温乾燥型樹脂のいずれであってもよい。また、反応により樹脂を形成するモノマー、オリゴマー等としては、反応により上記のような樹脂を形成するものを用いることができる。バインダー成分はインク組成物中に50〜99質量%、好ましくは70〜99質量%の量で配合するのが適当である。
【0009】本発明のインク組成物においては必要に応じて有機系溶媒を用いる。即ち、硬化前のバインダー成分が液状であり、該バインダー成分とレーザー染料との混合物がインク組成物として必要な粘度を有する場合には有機系溶媒を添加する必要がない。しかし、バインダー成分が固体であるか又は粘度が高い場合には、有機系溶媒を添加してバインダー成分を溶解させるか又は安定に分散させ、或いは粘度を調整する。
【0010】本発明のインク組成物において有機系溶媒を用いる場合には、レーザー染料に対する溶解性やインク組成物の乾燥性等の観点から特にアルコールが好ましい。該アルコールとしては、炭素数が例えば1〜10、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6の直鎖又は分岐のアルコール、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、 sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール等が挙げられる。本発明のインク組成物において用いることのできるその他の有機系溶媒としてはメチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらのその他の有機系溶媒は単独で用いることも、アルコールと併用して用いることもできる。更に、これらの有機系溶媒はバインダー成分やレーザー染料に対する溶解性やインク組成物の乾燥性等に悪影響を及ぼさない範囲で水を含んでいてもよい。必要に応じて添加する有機系溶媒はインク組成物中、後述するインク組成物粘度となるように通常0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜15質量%の量で配合することが適当である。
【0011】本発明で目的としている効果は、程度の差はあるが種々のレーザー染料を用いて達成される。それらのレーザー染料の例としては、3,3’−ジメチルオキサトリカルボシアニンイオダイド(通常DOTCIと略称)、1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドトリカルボシアニンイオダイド(通常HITCIと略称)、1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドカルボシアニンイオダイド(通常HIDCと略称)、5,5’−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3−ジエチル−10,12−エチレン−チアトリカルボシアニンパークロレート(通常IR140という)等のシアニン色素;ローダミン6G 、ローダミン101、ウラニン等のキサンチン色素;クレジオバイオレット、オキサジン1等のオキサジン色素;4−メチルウンペリフェロン、カルセインブルー、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン(通常DAMCと略称)、7−アミノ−4−メチルクマリン(通常クマリン120という)等のクマリン誘導体;7−ジエチルアミノ−4−メチル−2−キノロン(通常カルボスチリル165という)等のキノロン誘導体;スチルベン1等のスチルベン誘導体;2−フェニル−5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(通常PBDと略称)、パラービス(5−フェニルオキサゾール−2−イル)ベンゼン(通常POPOPと略称)等のオキサゾール・オキサジアゾール;ポリフェニル1等のパラ−オリゴフェニレン類等が挙げられる。これらのレーザー染料は、単独でも、2種以上の混合物としても使用することができる。
【0012】本発明のインク組成物においては、上記のレーザー染料の中で特に顕著な効果を達成することのできる1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドカルボシアニンイオダイド(HIDC)及び/又は5,5’−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3−ジエチル−10,12−エチレン−チアトリカルボシアニンパークロレート(IR−140)を用いる。本発明のインク組成物においては、レーザー染料は、インク組成物の対NV(non-volatile) 比で、10,000:1〜100:1、より好ましくは、1,000:1〜200:1の範囲内となる濃度で用いる。
【0013】本発明のインク組成物は、以上に説明したレーザー染料及びバインダー成分を必須成分として含有し、必要に応じて有機系溶媒を含有し、更に、必要に応じて界面活性剤や、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等の溶解助剤などの各種添加剤を含有することができる。
【0014】本発明のインク組成物は、スクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷等に適合するように、好ましくは、粘度が200mPa・s以上であり(従って、ジェット印刷には不向きである)、且つインク組成物が均質であることが適当である。なお、本発明のインク組成物の粘度の上限については明確には規定されないが、上記の印刷を考慮すると粘度の上限は15,000〜20,000mPa・s程度である。
【0015】本発明のインク組成物を用いて印刷することのできる被印刷物としては、本発明の目的、構成、効果から理解されるように、本発明のインク組成物を用いて印刷することが可能なもの全てが包含され、例えば、金属や、プラスチック、紙、ガラス、ゴム、皮革、木材等の素材から作られた各種工業製品類、その他陶磁器類等広範囲なものが挙げられる。また、本発明のインク組成物を用いて印刷することが困難な被印刷物の場合、あるいは本発明のインク組成物が吸い込まれるような素材の場合には、そのような素材を適宜予備処理して印刷することができ、そのような予備処理としては、例えば各種のプライマー、シーラー、上塗り等を施すことが挙げられる。なお、被印刷物については、勿論、その大小、形状等は特には制限されない。
【0016】本発明の不可視識別用インク組成物の使用法としては、本発明のインク組成物を用いてスクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷等の印刷方法によってロット番号や暗号などの隠し記号等の表示を被印刷物表面に印刷し、紫外線硬化させ、或いは自然乾燥、焼付乾燥等により乾燥、硬化させる。このようにして形成された隠し記号等の表示自体は透明であるため可視光線下では視認できない。このような可視光線下では不可視である隠し表示を判読する必要がある時にレーザー光線を照射し、隠し表示を蛍光発光させ、ホトコンダクター等により視認する。
【0017】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。
実施例1〜7及び比較例1〜3第1表に示す組成(数値は質量部数を示す)を有する種々のインク組成物を調製した。各インク組成物の粘度を測定したところ第1表に示す通りであった。また、各インク組成物を用いてプラスチック板に数字を印刷し、UVランプで乾燥、硬化させた。印刷した数字部分は透明で不可視(隠し表示)であった。
【0018】次いで、その隠し表示印刷部分にHe−Neレーザーによりレーザー光線(波長655nm)を照射し、映像増強管を使用した暗視装置センサーを用いて隠し表示の数字の視認(印刷は685nmに発光)ができるか否かを調べた。その結果は、視認できた場合を○、視認できなかった場合を×として、第1表に示す通りであった。
【0019】次に、感熱記録用発熱体の摩耗試験を実施した。即ち、第1表に示す組成を有する各インク組成物を用いて印刷メディアに印刷し、UVランプで乾燥、硬化させた。その印刷部分の上に感熱記録用発熱体を乗せ、その上に750g/cm2の分銅を載せ、移動幅5cmで20回往復移動させて感熱記録用発熱体の摩耗具合を黙視で判定した。その結果は第1表に示す通りであった。
【0020】
【表1】

【0021】本発明のインク組成物を用いた場合には、実施例1〜7の試験結果から明らかなように、隠し表示の数字の視認ができ、感熱記録用発熱体の摩耗もなかった。レーザー染料の代わりに無機蛍光体を用いた場合には、比較例1及び2の試験結果から明らかなように、感熱記録用発熱体の摩耗が見られた。また、レーザー染料を使用しているが、粘度が3.0mPa・sと小さい場合には、比較例3の試験結果から明らかなように、隠し表示の数字の視認ができなかった。
【0022】
【発明の効果】本発明の不可視識別用インク組成物を用いて印刷し、乾燥させ、硬化させた部分(隠し表示印刷部分)は、可視光線下における常態では不可視であるが、レーザー光線照射により発光し、視認し得るので、商品のロット番号、暗号などの隠し記号等の表示の印刷に使用することにより、第三者に知られることなく、商品の流通経路の追跡を行なったり、正規の製品であるかどうかの確認を行うことができる。また、本発明のインク組成物は、感熱紙面に印刷しても、感熱印刷用発熱体を摩耗させることがない。
【出願人】 【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
【出願日】 平成12年3月3日(2000.3.3)
【代理人】 【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔 (外1名)
【公開番号】 特開2001−247801(P2001−247801A)
【公開日】 平成13年9月14日(2001.9.14)
【出願番号】 特願2000−58580(P2000−58580)