| 【発明の名称】 |
インクジェット用記録インク |
| 【発明者】 |
【氏名】有賀 保
|
| 【要約】 |
【課題】インクジェット記録用インクに好適なアゾ染料、及びそれを用いたインクジェット記録用インクを提供する。
【解決手段】一般式1のアゾ染料。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(1)で表わされるアゾ染料。 【化1】
(式中、Arは置換されていてもよい芳香環を示す。) 【請求項2】 一般式(1−1)で表わされるアゾ染料。 【化2】
(式中、R1,R2はそれぞれアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それらは同一でもあるいは異なっていてもよい。また、Xはハロゲン原子、メチル基、メトキシ基又は水素原子を示す。nは1〜4、M+はアルカリ金属、アミンのカチオン又はアンモニウムイオンを示す) 【請求項3】 下記式で表わされる顔料を硫酸中で撹拌、溶解することによる請求項1又は2記載の染料製造法。 【化3】
(式中、Arは置換されていてもよい芳香環を示す) 【請求項4】 請求項1に記載のアゾ染料の少なくとも1種を含有することを特徴とするインクジェット用記録インク。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アゾ染料及びそれを使用したインクジェット用記録インクに関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェット記録において、長時間に亘って良好な記録を行うためには、使用するインクが以下の条件を満たすことが必要である。 【0003】(1)液滴発生方法や液滴飛翔方向制御方法に応じたインク物性として、インクの粘度、表面張力、比電導度、密度が適正範囲に含まれ、且つ、長時間保存、長期間使用、あるいは記録休止中に化学変化などにより析出が生じたり、インク物性値が変化してはならないこと。記録装置の吐き出しノズルは一般に直径10−60μm程度であり、析出によりノズルが詰まると、最終的には液滴の吐き出しができなくなる。ノズルが完全につまらなくともノズル近傍に固形分、粘着物が付着したり、インク調合時に所望の値に調整されたインク物性値が変化したりすると、記録性、吐き出し安定性、吐き出し応答性が低下する。 【0004】(2)記録される画像が十分にコントラストが高く、鮮明であること。従来のインクではインク中の染料含有率を増して、画像のコントラストを高くしていたが、このような方法では吐き出しノズルの目つまりを起き易くする。そこでインクに使用される溶媒に対して溶解性が高く、吸光係数が高い染料が求められているがいまだ満足のいくものが得られていない。 【0005】(3)印刷画像の乾燥が速いこと。従来のインクでは記録休止中のノズル内のインクの乾燥によるノズル詰まりを防ぐため、インクに多量の湿潤剤を含有させており、そのためインク吸収性の高い特殊紙を使用し印写紙の乾燥を早めている。しかしながら、このような特殊紙の使用は、画像ニジミを著しく生ずるというだけではなく、多くの一般紙の使用を不可能にするという欠点を有する。 【0006】(4)また、記録された画像は当然のこととして耐水性、耐光性、耐摩耗性にとむニジミのない鮮明画像でなければならないこと。 【0007】以上のような要求を満足するためこれまでにインクジェット記録用インクとして幾多の提案がなされているが、上記の諸条件のすべてを十分に満足するものはいまだに得られていないのが現状である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記現状に鑑みてなされたものである。その目的は上記の諸条件をすべて満足するインクジェット用記録インクを提供することである。又、そのインクに使用するに好適な染料及びその製造法を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、(1)下記一般式(1)で表わされるアゾ染料。 【0010】 【化4】
(式中、Arは置換されていてもよい芳香環を示す。) 【0011】(2)下記式で表わされる顔料を硫酸中で撹拌、溶解することによる前記(1)又は(2)記載の染料製造法。 【0012】 【化5】
(式中、Arは置換されていてもよい芳香環を示す) 【0013】(3)前記(1)に記載のアゾ染料の少なくとも1種を含有するインクジェット用記録インクを要旨とするものである。又、本発明の一般式(1)で表わされるアゾ染料としてとくに好ましいものとして、【0014】 【化6】
等が挙げられる。 【0015】本発明の上記アゾ染料は、対応するアゾ顔料をスルフォン化することにより容易に製造することができる。 【0016】一般にスルフォン化には発煙硫酸による方法、クロロ硫酸による方法、3酸化イオウによる方法等がある本特許の化合物の場合、単に顔料を硫酸に溶解させるだけで反応が進行する。 【0017】本発明のインクジェット記録用インクは上記一般式で表わされる染料以外に、水、水溶性有機溶媒、さらに必要に応じて防腐防カビ剤を成分とするものであり、その他pH調整剤、比電気電導度調整剤、キレート試薬および防サビ剤等も適宜配合することができる。 【0018】水溶性有機溶媒はジエチレングリコールとグリセリンとの混合溶媒が適当であるが、そのほかにエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等がある。 【0019】本発明で好適に使用することができるpH調整剤としては調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを9−11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。 【0020】インクに添加することができるその他の物質として下記のものをあげることができる。 【0021】インクの比電気電導度を【数1】
【0022】(25℃)以下とするための比電気電導度調整剤としては例えば塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩、トリエタノールアミン等の水溶性アミン等がある。 【0023】キレート試薬としては例えば、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム、ニトリロ3酢酸ナトリウム、ヒドロオキシエチルエチレンジアミン3酢酸ナトリウム、ウラミル2酢酸ナトリウム等がある。 【0024】防サビ剤としては例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、4硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。 【0025】水溶性防腐防カビ剤としては、2,2−ジメチル−6−アセトキシ−ジオキサン−1,3ジヒドロ酢酸ソーダ、p−ヒドロキシ安息香酸ブチルエステル、ソルビン酸カリウム、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムアニオン性界面活性剤等がある。 【0026】その他、目的に応じて、水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤、マグネタイト長微粒子分散系からなる磁性流体、ラテックスエマルジョン等を添加することができる。 【0027】また本発明のインクジェット用記録インクを適用する記録部材としては、インク液を十分に吸収する部材または全くインク吸収能力のない部材を使用することができるその例としてセルロース主体の紙、合成紙、プラスチックフィルム、金属板、ガラスをあげることができる。また、記録部材として上記部材に顔料、結着剤、および耐水改良剤として2価以上のイオン価数を有する金属の水溶性塩を含有する表面被覆層を設けたものを使用して本発明の効果をより高めることができる。 【0028】 【実施例】以下に比較例とともに実施例を揚げて本発明をさらに詳しく説明するが、これに限定されるものではない。例中%はすべて重量%によって示す。 【0029】実施例1下記式で表わされる顔料3gを硫酸1級50gに溶解させ2時間撹拌する【0030】 【化7】
【0031】とによりスルフォン化を行なう。これを水500mlに撹拌滴下し、塩化ナトリウムを加え生じた沈殿物を濾取し、それに水500mlを加えて炭酸ナトリウムにより中和し、不溶物を除去後、さらに塩化ナトリウムで塩析させ濾取する。その際、小量の水を流すことにより無機塩を除き真空乾燥を行なう。生成した物質は水に溶解しスルフォン化したことがわかる。1分子あたりのスルフォン化数は元素分析より3〜4個程度であると思われる。 【0032】 以上のようにして作成した染料 3% ジエチレングリコール 22.5% グリセリン 7.5% デルトップ(武田薬品工業製) 0.2% イオン交換水 66.8%【0033】上記の混合物を70℃に加熱して撹拌溶解した後、水酸化ナトリウムでpHを10に調整し、0.2μmのフィルターを通して2回濾過しインクを作成した。次に記録部材として市販のインクジェット用コート紙と下記のようにして作成した処理紙とを使用してインクを以下の項目について試験し以下の結果が得られた。 【0034】上記処理紙は上質紙上に下記組成 炭酸カルシウム粉末 17% Al(OH)3粉末 8% メチルメタアクリレート−ブタジエン系共重合体ラテックス 12% 水 63%を有する塗布液を15g/m2で塗布し、さらにこの上にAlCl3の3%水溶液をエアーナイフ塗布法により35g/−m2で塗布した後、加熱、加圧カレンダー仕上げで作成した。 【0035】1)画像鮮明性および画像の乾燥性内径30μmのノズルから粒子化周波数100KHzの条件で市販のインクジェット用コート紙および上記処理紙上にインクをジェット記録したところ、鮮明な画像が得られた。記録物の乾燥時間は常温常湿で10秒以内であった。 【0036】2)保存性インキをガラス容器に密閉し、−20℃で1ヶ月間、4℃で1か月間、20℃で1年間および90℃で1週間それぞれ保存したが、析出は認められなかった。またインクの物性や色調に関しても変化は認められなかった。 【0037】3)噴射安定性前記1)のジェット記録を1000時間連続して行なったが、ノズルに目つまりや噴射方向の変化はなく安定した記録が行えた。 【0038】4)噴射応答性前記1)に従ってジェット記録を行なった後、常温常湿で1か月間そして40℃、30%RHで1週間それぞれ放置し、ついで再びジェット記録を行なったが、前記3)と同様、安定した記録が行えた。 【0039】5)画像の耐光性カーボンアーク灯で4時間光照射したところ退色率は5%以下であった。 【0040】6)画像耐水テスト30℃の水に1分間浸漬させ、浸漬前と後で画像濃度の変化量を濃度退色率として評価した。市販のコート紙は処理紙と比較して耐水性は悪かった。さらに記録画像の色調および染色濃度について評価したところ市販のコート紙および処理紙とも満足する結果が得られた。 【0041】実施例2実施例1において硫酸中の撹拌を低温度(10℃)、短時間(30分)としてスルフォン化を行なった。結果を表2に示す。 【0042】実施例3スルフォン化を行なう顔料を下記式の構造とする以外は実施例1と同様にしてインクを作成し評価を行なった。結果を表1に示す。 【0043】 【化8】
【0044】比較例1実施例1において染料をC.I.アシッドイエロー23、C.Iアシッドレッド92、C.Iダイレクトブルー86の混合による黒染料とした以外は実施例1と同様に評価した。 【0045】比較例2実施例1において染料をC.I.ダイレクトブラック19とした以外は実施例1と同様に評価した。 【0046】 【表1】
【0047】 【発明の効果】以上のように本発明の染料[一般式(1)]を使用することにより単独の化合物で十分な濃度の黒インクが得られる。本発明のような可視の全波長域で吸収を持つ化合物は少なく、一般に比較例1でみるように黒色調を出すには補色の染料を混合することが多い。本発明の染料のような単独で黒色調を有するものは製造管理上も有利であり、印字後の染料間のにじみ易さの差による色分離も生じない。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー
|
| 【出願日】 |
平成4年11月12日(1992.11.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078994 【弁理士】 【氏名又は名称】小松 秀岳 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−311017(P2001−311017A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月9日(2001.11.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−99702(P2001−99702) |
|