| 【発明の名称】 |
ベルト用ナイロン樹脂基材及びベルト |
| 【発明者】 |
【氏名】馬場 学
【氏名】小澤 浩二
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| 【要約】 |
【課題】ベルト用基材として使用した場合に、ゴムとの接着性が良好でかつ十分な屈曲疲労性を有するベルト用ナイロン樹脂基材およびそれを用いたベルトを提供される。
【解決手段】ベルト用ナイロン樹脂基材は、ナイロン6にカプロラクタムを添加したポリアミド樹脂、あるいはこれに無機質核剤および/または金属ケンを添加したポリアミド樹脂組成物からなるベルト用基材であって、このベルト用基材は一軸方向に延伸されており、かつ23℃雰囲気下および変形量5%における引張強度が0.40〜1.00MPaのものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ナイロン6とカプロラクタムからなり、その比率がナイロン6/カプロラクタム=99.7/0.3〜90/10重量比であるポリアミド樹脂からなるベルト用基材であって、該ベルト用基材は一軸方向に延伸されており、かつ23℃雰囲気下および変形量5%における引張強度が0.40〜1.00MPaであることを特徴とするベルト用ナイロン樹脂基材。 【請求項2】 延伸方向がベルトの長手方向であることを特徴とする請求項1記載のベルト用ナイロン樹脂基材。 【請求項3】 ベルト用基材が、ナイロン6とカプロラクタムからなるポリアミド樹脂にさらに無機質核剤または/および金属石ケンを0.005〜0.5重量部を配合したポリアミド樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1または2記載のベルト用ナイロン樹脂基材。 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のベルト用ナイロン樹脂基材を用いてなるベルト。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ナイロン6にカプロラクタムを添加してなるポリアミド樹脂、またはポリアミド樹脂組成物を一軸方向に延伸したベルト用ナイロン樹脂基材、およびそのベルト用ナイロン樹脂基材を用いたベルトに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、伝動用ベルトおよび搬送用ベルトには、強度向上および耐久性向上を目的として、一軸配向させたナイロン樹脂基材が使用されている。しかしながら、かかるナイロン樹脂基材を用いたベルトは、強度向上を目的に一軸方向に強く結晶配向させたが故にベルト自体が剛く、また使用過程において繰り返しの屈曲のためベルト基材が層状的に剥離疲労破壊して使用に耐えなくなるなど、必ずしも満足のいく耐久性が得られていないのが現状である。 【0003】ナイロン樹脂基材の耐屈曲疲労性、耐久性を向上させるため、例えば、特開昭63ー63748号公報には、ポリアミド樹脂とポリアミド/ポリエーテル共重合体樹脂の混合物を一軸配向させたシートが開示されており(以下、従来技術Iという)、また、特公平7ー20678号公報には、(イ)ナイロン11あるいはナイロン12とポリエーテルとの共重合体樹脂と(ロ)ナイロン11あるいはナイロン12との混合物を一軸配向させた樹脂ベルトが記載されている(以下、従来技術IIという)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術Iで得られたシートは、これをベルト用基材として使用した場合には、耐久性向上のために混合したポリアミド/ポリエーテル共重合体樹脂の吸水性が高く、しかも耐熱性が低いことにより、必ずしも十分な耐久性が得られないものであった。 【0005】また、上記従来技術IIで得られた樹脂ベルトをベルト用基材として使用した場合、高級ナイロンを組成とするが故にゴムとの接着性に劣り、結果として必ずしも十分な耐久性が得られないものであった。 【0006】本発明の目的は、ベルト用基材として使用した場合に、ゴムとの接着性が良好で、かつ十分な屈曲疲労性を有する、基材の層状剥離性を改善したベルト用ナイロン樹脂基材を提供することにある。 【0007】本発明の他の目的は、かかるベルト用基材を用いた耐久性のあるベルトを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成せんとするものであって、本発明のベルト用ナイロン樹脂基材は、ナイロン6とカプロラクタムからなり、その比率がナイロン6/カプロラクタム=99.7/0.3〜90/10重量比であるポリアミド樹脂からなるベルト用基材であって、該ベルト用基材は一軸方向に延伸されており、かつ23℃雰囲気下および変形量5%における引張強度が0.40〜1.00MPaであることを特徴とするベルト用ナイロン樹脂基材である。 【0009】本発明のベルト用ナイロン樹脂基材は、次の好ましい実施態様を含む。 (a)延伸方向がベルトの長手方向であること。 (b)前記ベルト用基材が、該ナイロン6とカプロラクタムからなるポリアミド樹脂に、さらに無機質核剤または/および金属石ケンを0.005〜0.5重量部を配合したポリアミド樹脂組成物からなること。 (c)前記ベルト用ナイロン樹脂基材をベルトに用いること。 【0010】以下、本発明の詳細について説明する。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明で用いられるナイロン6は、押出し可能であれば特に限定されないが、硫酸溶液で測定した相対粘度が2.0〜7.0のナイロン6であることが好ましい。 【0012】本発明においては、このナイロン6にカプロラクタムを添加して、ポリアミド樹脂とする。その比率は好ましくはナイロン6/カプロラクタム=99.7/0.3〜90/10重量比であり、99/1〜92/8重量比がより好ましい。カプロラクタムの添加比率が0.3重量%未満になると、強度は満足するものの強靱性が不足して耐屈曲疲労特性を満足させることができない。一方、カプロラクタム添加量比率が10重量%を超えると、強靱性は増すがむしろ引張強度および耐熱性が低下し実用に耐えない。 【0013】また、本発明においては、耐屈曲疲労性をより向上させるため、ナイロン6にカプロラクタムを添加したポリアミド樹脂に、さらに無機質核剤または/および金属石ケンを添加し配合しポリアミド樹脂組成物とすることが好ましい実施態様として含まれる。 【0014】本発明において、ナイロン6にカプロラクタムを添加したポリアミド樹脂に添加される無機質核剤としては、タルク、カオリン、ワラステナイトおよび酸化チタンなどの無機質核剤が好ましく挙げられるが、その中でもタルクが最も好ましい。該ポリアミド樹脂への無機質核剤の添加量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し0.005〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜0.2重量部である。無機質核剤の添加量が0.5重量部を超えると、むしろ強靱性と耐屈曲疲労性が低下し、あるいはシート延伸時、切断が発生する傾向がある。 【0015】また、ナイロン6にカプロラクタムを添加したポリアミド樹脂に、添加される金属石ケンとしては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウムなどが好ましく挙げられるが、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウムがより好ましい。この金属石ケンの添加量は該ポリアミド樹脂100重量部に対し0.005〜0.5重量部が好ましく、0.03〜0.2重量部がより好ましい。金属石けんの添加量が0.5重量部を超えると、むしろ強靱性と耐屈曲疲労性が低下し、あるいはシート成形時滑りが発生して延伸できないことがある。 【0016】また、これら無機質核剤および金属石ケンは、それぞれを単独で添加することもできるが、それぞれを2種以上または両者を併用しての添加でもよい。併用の場合の添加量は、該ポリアミド樹脂100重量部に対し添加量の合計が 0.005〜0.5重量部添加することが好ましく、0.03〜0.2重量部がより好ましい。 【0017】本発明のナイロン6にカプロラクタムを添加したポリアミド樹脂と無機質核剤もしくは金属石ケンからなるポリアミド樹脂組成物は、押出機を用いて予め混練したペレット状樹脂組成物とするか、あるいは所定の比率で予め混合し、シート状に押出す押出機に直接投入するかの、いずれの方法でもよいが、予め混練したペレット状樹脂組成物とした方がより好ましい。 【0018】本発明の実施においては、ナイロン6にカプロラクタムを添加したポリアミド樹脂、またはそのポリアミド樹脂に無機質核剤または/および金属石ケンを配合してなるポリアミド樹脂組成物を、押出機を用いて、シート状に押出しながら一軸方向に延伸するが、このときの延伸倍率は2〜6倍が好ましく、3〜5倍がより好ましい。 【0019】本発明のナイロン6にカプロラクタムを添加したポリアミド樹脂、またはこれに無機質核剤または/および金属石ケンを添加したポリアミド樹脂組成物は、ベルト用基材として特性を損なわない程度に、無機質核剤、金属石ケン以外の熱安定剤、滑剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、補強剤などの添加剤を含んでもよい。 本発明のポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物は、シート状に押出され、一軸方向に延伸される。一軸方向に延伸する方法は、特に限定されないが、延伸法あるいは圧延法が好適である。延伸法は、樹脂シートをロール間の回転速度差を利用した延伸方法またはダイス内を通す引き抜き延伸方法であり、圧延法は、樹脂シートを加圧あるいは間隙が規定されたロール間を通過させる方法であるが、本発明では、ロール間の回転速度差を利用して、徐々に所定の倍率まで延伸する方法が最も好ましい。 【0020】ベルト基材あるいは芯材として使用される本発明のナイロン樹脂基材の延伸方向は、ベルトの長手方向であることが好ましい。ベルトの耐屈曲疲労性等および耐久性が著しく向上するからである。 【0021】また、本発明のナイロン樹脂基材の厚さは、その用途やベルトの構造によって異なるが、通常0.1〜2.5mが好ましく、0.2〜2.0mmがより好ましい。 【0022】本発明のナイロン樹脂基材は、そのものを単体でベルトとして使用することもできるが、ゴムなどの補強性材料からなる層と積層して芯材として使用することもできる。 【0023】図1〜図4は、それぞれ本発明のベルト用ナイロン樹脂基材を用いた平ベルトの使用例を示す断面図であり、図1の平ベルト1は、本発明のナイロン樹脂基材2を芯材とし、両表面が接着剤を介しゴム層3で被覆されている。また、図2は本発明の別の実施態様で、ゴム層3の両表面にナイロン樹脂基材2が接着剤を介し積層されている。さらに図3は、図1の平ベルト1のゴム層3に補強用繊維基材4を介在せしめた別の実施態様の平ベルト1を、また図4は、図2の平ベルト1のゴム層3に補強用繊維基材4を介在せしめた別の実施態様の平ベルト1をそれぞれ示している。 【0024】ここでゴム層3を構成するゴムは、天然ゴム、合成ゴムのいずれでもよい。またゴム層3としてはゴム層単体、または補強用繊維基材をゴム層内に介在せしめた補強ゴム層でもよい。補強用繊維基材としては、天然繊維や合成繊維等からなるコードや編織物等が挙げられるが、ナイロンやポリエステル等の合成繊維からなる織布が好ましく用いられる。このような補強用繊維基材を介在せしめたゴム被覆材は、上記繊維基材にゴムを含浸またはコーティングする通常の手段で製造することができる。 【0025】本発明において、ゴム層3は本発明のナイロン樹脂基材の片面または両面に積層され、また、補強用繊維基材をゴム層と本発明のナイロン樹脂基材との間に積層接着させたベルトも一実施態様として含まれる。 【0026】本発明のベルト用ナイロン樹脂基材は、一軸方向に延伸配向されており、23℃雰囲気下および変形量5%における引張強度が0.40〜1.00MPaであることが特徴である。強度が小さすぎるとベルトとしての使用に耐えられず、また大きすぎると、剛くなりすぎて層状剥離破断し易く、耐屈曲疲労特性が低下する。すなわち高配向にすることによって基材の引張強度を大きくすることはできるが、逆に基材自体の耐久性は小さくなるので、両者のバランスが必要となる。 【0027】本発明のベルト用ナイロン樹脂基材は、ベルト用途として伝導用ベルト、搬送用ベルト等に好適に使用される。 【0028】以下、実施例によりさらに詳細に説明するが、実施例中の各物性は次のようにして測定したものである。 A.ナイロン樹脂基材の引張強度(MPa) 延伸方向に幅20mm×長さL350mmのタンザク状シートを切出し、JISK6301に準じて強度を測定した。 B.屈曲疲労特性(回) 基材から、JISK6301に準じた小型ダンベル片を打抜き、片側可動の引張試験機を用いて、初期長Lo=25mmから1サイクル当たりのストローク量(Δ5mm;Lo=25mm→L=20mm)を与えて(280サイクル/分)、ダンベル片を一定変位量で屈曲させ、破断するまでのサイクル数(回数)を測定した。 C.層状剥離延伸方向に幅W100mm×長さL200mmのタンザク状シートを切出し延伸方向端部に10mm長さの切れ目を入れた後、強制的に左右に引裂き、その破断面の状態を観察した。 【0029】 【実施例】(実施例1)相対粘度3.2のナイロン6にカプロラクタムを添加し、その比率がナイロン6/カプロラクタム=95/5からなるポリアミド樹脂を直径60mmの単軸押出機を用いてシート状に溶融押出し、延伸倍率3.8倍に延伸し、厚み1.0mmのシート状基材を得た。この樹脂基材の引張強度は、変形量5%における引張強度0.59MPa、屈曲疲労回数60万回、さらに強制引裂きでは、引裂くことができない程の強靱性を示した。結果を表1に示す。 【0030】(比較例1)相対粘度3.2のナイロン6を直径60mmの単軸押出機を用いてシート状に溶融押出し、延伸倍率3.8倍に延伸し、厚み1.0mmのシート状基材を得た。この樹脂基材の引張強度は、変形量5%における引張強度0.83MPa、屈曲疲労回数8万回、さらに強制引裂きでは、容易に引裂かれ、その破断面は層状剥離破断を示した。結果を表1に示す。 【0031】(実施例2)相対粘度3.2のナイロン6にカプロラクタムを添加し、その比率がナイロン6/カプロラクタム=99/1からなるポリアミド樹脂とした以外は、実施例1と同様にシート状基材を製造した。結果を表1に示す。本発明の基材は、引裂強度、耐屈曲疲労特性で優れていた。 【0032】(実施例3)相対粘度3.2のナイロン6にカプロラクタムを添加し、その比率がナイロン6/カプロラクタム=97/3からなるポリアミド樹脂とした以外は、実施例1と同様にシート状基材を製造した。結果を表1に示す。本発明の基材は、引裂強度、耐屈曲疲労特性で優れていた。 【0033】(比較例2)相対粘度3.2のナイロン6にカプロラクタムを添加する、その比率がナイロン6/カプロラクタム=85/15からなるポリアミド樹脂とした以外は、実施例1と同様にシート状基材を製造した。結果を表1に示す。強制引裂きでは強靱性を示したが、柔軟すぎるが故に強度が低くく、仕様に耐えうるものでなかった。 【0034】(実施例4)相対粘度3.2のナイロン6にカプロラクタムを添加し、その比率がナイロン6/カプロラクタム=95/5からなるポリアミド樹脂に、無機質核剤であるタルクを0.1重量部添加してポリアミド樹脂組成物とし、これを用いて実施例1と同様にしてシート状基材を製造した。結果を表1に示す。 【0035】(実施例5)相対粘度3.2のナイロン6にカプロラクタムを添加し、その比率がナイロン6/カプロラクタム=95/5からなるポリアミド樹脂に滑剤として金属石ケンのステアリン酸バリウムを0.1重量部添加してポリアミド樹脂組成物とし、これを実施例1と同様にしてシート状基材を製造した。結果を表1に示す。 【0036】(比較例3)相対粘度3.2のナイロン6にカプロラクタムを添加し、その比率がナイロン6/カプロラクタム=95/5からなるポリアミド樹脂に無機質核剤であるタルクを1重量部添加し、実施例1と同様にしてシート状基材を製造した。結果を表1に示す。タルクの添加量が多いが故に異物効果となり、延伸時に切断が発生した。 【表1】
【0037】 【発明の効果】本発明のナイロン樹脂基材は、上記構成としたことにより次の効果を奏する(1)大きな強靱性を有し、特にベルトとして重要な製品機能である耐屈曲疲労特性に優れる。 (2)引裂きに対して抵抗力が顕著に増大し、層状剥離を全く示さない。したがってベルト製品の耐久性が顕著に増大する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000222406 【氏名又は名称】東洋プラスチック精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月12日(2000.6.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093665 【弁理士】 【氏名又は名称】蛯谷 厚志
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| 【公開番号】 |
特開2001−354849(P2001−354849A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月25日(2001.12.25) |
| 【出願番号】 |
特願2000−174789(P2000−174789) |
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