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【発明の名称】 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
【発明者】 【氏名】石井 一彦

【氏名】中村 允

【要約】 【課題】難燃性と熱安定性に優れ、且つ高い衝撃強度と耐湿性を有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。

【解決手段】(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(b)シリコーン樹脂を0.1〜5重量部、(c)ポリテトラフルオロエチレンを0.01〜0.5重量部、(d)衝撃改良剤を0.5〜10重量部配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物において、(b)シリコーン樹脂が、珪素原子と結合する置換基が芳香族炭化水素基と炭素数2以上の脂肪族炭化水素基からなるシリコーン樹脂であり、(d)衝撃改良剤が、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が相互に絡み合った構造を核(コア)として有し、ポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分が殻(シェル)として有する複合ゴム系グラフト共重合体である難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(b)シリコーン樹脂0.1〜5重量部、(c)ポリテトラフルオロエチレン0.01〜0.5重量部、(d)衝撃改良剤0.5〜10重量部を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物において、(b)シリコーン樹脂が、珪素原子と結合する置換基が芳香族炭化水素基と炭素数2以上の脂肪族炭化水素基からなるシリコーン樹脂であり、(d)衝撃改良剤が、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分が相互に絡み合った構造を核(コア)として有し、ポリアクリル(メタ)アクリレート成分を殻(シェル)として有する複合ゴム系グラフト共重合体であることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、更に(e)酸化チタン3〜30重量部を配合してなることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が、16,000〜30,000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】 (b)シリコーン樹脂が、珪素に結合する置換基における芳香族炭化水素の割合が40モル%以上の固体状のシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】 請求項2ないし4のいずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる反射板用成形品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関し、詳しくは、ブロムあるいは燐酸エステル等の難燃剤を使用しない耐加水分解性の良好な難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及び該難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる反射板用成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は優れた機械的性質を有しており、自動車分野、OA機器分野、電気・電子分野をはじめ工業的に広く利用されている。一方、OA機器、家電製品等の用途を中心に、使用する合成樹脂材料の難燃化の要望が強く、これらの要望に応えるために多数の難燃剤が開発検討されている。従来、ポリカーボネート樹脂の難燃化には主にハロゲン化合物等が使用されており、さらに、近年、環境汚染などの問題から、ハロゲン系化合物の減量を目的として、例えば、リン酸エステル系化合物あるいはフェノール系安定剤を使用した組成物が知られている。しかし、こうしたポリカーボネート樹脂組成物においては耐衝撃性や熱安定性が低下するという欠点があった。
【0003】非ハロゲンの難燃組成物としては、例えば、特開平6−306265号公報には、ポリカーボネート樹脂に有機シロキサンとパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩を添加した組成物が開示されているが、こうした樹脂組成物は、燃焼性や流動性等については十分とは言えなかった。また、ジメチルシロキサンとポリカーボネートとの共重合化による難燃性の改良も知られているが、こうした共重合化により難燃性は改良されるものの、製造ラインの問題からコストアップは避けられない。
【0004】さらに、特開平10−139964号公報及び特開平11−140294号公報には、フェニル基を含有するオルガノシロキサンを含有するポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。しかし、こうした樹脂組成物ではUL−94に示される優れた難燃性を達成することが困難であった。
【0005】反射板用成形品の成形に用いる材料については、従来は、ブロム化オリゴマーを使用したハロゲン難燃材料や縮合燐酸エステル等による非ハロゲン難燃材料等が使用されてきている。しかし、ハロゲン難燃材料は熱安定性あるいは安全性の面から、非ハロゲン難燃材料への変更が要望されており、燐酸エステルを使用した難燃材料は、燐酸エステルによる耐熱性の低下が大きく、反射板材料としての耐熱性が不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、難燃性と熱安定性に優れ、且つ耐加水分解性の改良された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及び該難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる反射板用成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その要旨は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(b)シリコーン樹脂0.1〜5重量部、(c)ポリテトラフルオロエチレン0.01〜0.5重量部、(d)衝撃改良剤0.5〜10重量部を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物において、(b)シリコーン樹脂が、珪素原子と結合する置換基が芳香族炭化水素基と炭素数2以上の脂肪族炭化水素基からなるシリコーン樹脂であり、(d)衝撃改良剤が、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分が相互に絡み合った構造を核(コア)として有し、ポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分を殻(シェル)として有する複合ゴム系グラフト共重合体であることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明における(a)芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることによって作られる分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。製造方法については、限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)あるいは、溶融法(エステル交換法)等で製造することができる。さらに、溶融法で製造された、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用する事ができる。
【0009】芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。さらに、本特許の目的である難燃性をさらに高める目的で上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用する事ができる。
【0010】分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンなどを前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として用いればよく、使用量は、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
【0011】分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、mー及p−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、2、2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、または2、2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。本特許の目的の難燃性をさらに高める目的でシロキサン構造を有するポリマーあるいはオリゴマーを共重合する事ができる。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2種以上の樹脂を混合して用いることもできる。
【0012】芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、16,000〜30,000であり、好ましくは18,000〜23,000である。
【0013】本発明における(b)シリコーン樹脂としては、珪素原子と結合する置換基が芳香族炭化水素基と炭素数2以上の脂肪族炭化水素基からなるシリコーン樹脂であり、好ましくは、珪素に結合する置換基における芳香族炭化水素の割合が40モル%以上の固体状のシリコーン樹脂である。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基が挙げられる。芳香族炭化水素基には、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ビニル基などが置換基として結合していてもよい。
【0014】炭素数2以上の脂肪族炭化水素基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの非置換アルキル基、置換基としてエポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ビニル基などが結合している置換アルキル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数としては、好ましくは2〜12である。
【0015】シリコーン樹脂は、主として2官能型(R12SiO)と3官能型(R3SiO1.5)から成るシリコーン樹脂であり、1官能型(R4SiO0.5)あるいは4官能型(SiO2)を含むことができる。ここで、R1〜R4は、それぞれ、芳香族炭化水素基または炭素数2以上の脂肪族炭化水素基であり、R1〜R3のいずれかは芳香族炭化水素基であり、R1〜R3のいずれかは炭素数2以上の脂肪族炭化水素基である。
【0016】本発明におけるシリコーン樹脂は公知の方法で製造することができる。例えば、アルキルトリアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、アルキルアリールジアコキシシラン、トリアルキルアルコキシシラン、ジアルキルアリールアルコキシシラン、アルキルジアリールアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン等を加水分解する事により製造する事ができる。これらシリコーン樹脂の原料のモル比、加水分解速度等を調整することにより分子の構造(架橋度)及び分子量のコントロールができる。さらに、製造条件によってはアルコキシシランが残存するが、組成物中に残存するとポリカーボネート樹脂の耐加水分解性の低下がおこることがあるので、残存アルコキシシランは少ないことあるいは無いことが好ましい。
【0017】シリコーン樹脂の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部である。シリコーン樹脂の配合量が0.1重量部未満であると難燃性が不十分であり、5重量部を越えると耐熱性が不十分である。シリコーン樹脂の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2〜4重量部であり、より好ましくは0.3〜3重量部である。
【0018】本発明における(c)ポリフルオロエチレン樹脂としては、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが挙げられ、重合体中に容易に分散し、かつ重合体同士を結合して繊維状構造を作る傾向を示すものである。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より、テフロン6Jまたはテフロン30Jとして、あるいはダイキン化学工業(株)よりポリフロンとして市販されている。
【0019】(c)ポリフルオロエチレン樹脂の配合量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部である。ポリフルオロエチレン樹脂が0.01重量部未満であると難燃性が不十分であり、5重量部を越えると外観が低下しやすい。ポリフルオロエチレン樹脂の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.02〜4重量部であり、より好ましくは0.05〜3重量部である。
【0020】本発明における(d)衝撃改良剤は、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分が相互に絡み合った構造を核(コア)として有し、ポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分を殻(シェル)として有する複合ゴム系グラフト共重合体である。こうした衝撃改良剤は、例えば、先の段階の重合体を後の段階の重合体が順次被覆するような連続した多段階シード重合によって製造される重合体であり、基本的な重合体構造としては、ガラス転移温度の低い架橋成分であるポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分が相互に絡み合った構造から成る内核層と樹脂組成物のマトリックス成分との接着性を改善するアルキル(メタ)アクリレート系重合体物からなる最外殻層とを有する多層構造重合体である。
【0021】衝撃改良剤としては、更に、例えば、最内核層を芳香族ビニル単量体からなる重合体で形成し、中間層をポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分が相互に絡み合った構造の重合体で形成し、さらに最外殻層をアルキル(メタ)アクリレート系重合体で形成してなる多層構造重合体が挙げられ、パール光沢等の外観不良の改善に効果をもたらす。
【0022】アルキル(メタ)アクリレート系重合体におけるアルキル基の炭素数は1〜8程度である。アルキル(メタ)アクリレート系重合体としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート系重合体には、エチレン性不飽和単量体等の架橋剤を用いてもよく、架橋剤としては、例えば、アルキレンジオール、ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、(メタ)アクリル酸アリル等が挙げられる。具体的には、特許第2558126号に示される様なエラストマーが挙げられ、三菱レイヨン(株)から、メタブレンSー2001あるいはSRKー200として上市されている。
【0023】(d)衝撃改良剤の配合量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部である。配合量が0.5重量部未満であると衝撃強度が不十分であり、10重量部を越えると耐熱性や難燃性が不十分である。衝撃改良剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.8〜8重量部であり、更に好ましくは1〜6重量部である。
【0024】本発明における(e)酸化チタンとしては、各種の酸化チタンを用いることができるが、好ましくは、アルミナ水和物及び/又は珪酸水和物で表面処理された結晶形態がルチル型の酸化チタンが挙げられる。酸化チタンの粒子径は、好ましくは0.05〜0.5μmである。粒子径が0.05μm未満であると遮光性及び光反射率に劣り、0.5μmを越えると、遮光性及び光反射率に劣りさらに成形品表面に肌荒れを起こしたり、衝撃強度の低下を生じやすい。酸化チタンの粒子径は、より好ましくは0.1〜0.5μmであり、最も好ましくは0.15〜0.35μmである。
【0025】酸化チタンは、塩素法で製造された酸化チタンが好ましい。塩素法で製造された酸化チタンは、硫酸法で製造された酸化チタンに比べて、白度等の点で優れている。酸化チタンの結晶形態としては、ルチル型の酸化チタンが好ましく、アナターゼ型の酸化チタンに比べ、白度、光線反射率及び耐候性の点で優れている。
【0026】酸化チタンの表面処理に用いられる化合物としては、アルミナ水和物及び/又は珪酸水和物が挙げられる。アルミナ水和物及び/又は珪酸水和物で表面処理された酸化チタンは、高温溶融混練時にポリカーボネート樹脂の分子量低下や変色を引き起こし難く好ましい。
【0027】(d)酸化チタンの配合量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは3〜30重量部である。配合量が5重量部未満であると反射性が不十分になりやすく、30重量部を越えると耐衝撃性が不十分になりやすい。酸化チタンの配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは5〜28重量部であり、更に好ましくは8〜25重量部である。
【0028】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、さらに、任意成分として有機スルホン酸金属塩を配合することができる。有機スルホン酸金属塩としては、脂肪族スルホン酸金属塩、芳香族スルホン酸金属塩などが挙げられる。有機スルホン酸金属塩の金属としては、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられ、アルカリ金属およびアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。有機スルホン酸金属塩は、2種以上の混合物であってもよい。
【0029】有機スルホン酸金属塩としては、好ましくは、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩、芳香族スルホンスルホン酸金属塩などが挙げられ、より好ましくは、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩が挙げられる。パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩としては、パーフルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ金属塩、パーフルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられ、好ましくは、炭素数が1〜8個のパーフルオロアルカン基を有するスルホン酸アルカリ金属塩、炭素数が1〜8個のパーフルオロアルカン基を有するスルホン酸アルカリ土類金属塩などが挙げられる。
【0030】パーフルオロアルカン−スルホン酸の具体例としては、パーフルオロメタン−スルホン酸、パーフルオロエタン−スルホン酸、パーフルオロプロパン−スルホン酸、パーフルオロブタン−スルホン酸、パーフルオロヘキサン−スルホン酸、パーフルオロヘプタン−スルホン酸、パーフルオロオクタン−スルホン酸などが挙げられる。
【0031】芳香族スルホンスルホン酸金属塩としては、好ましくは、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩などが挙げられ、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩は重合体であってもよい。
【0032】芳香族スルホンスルホン酸金属塩の具体例としては、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4・4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホンのナトリウム塩、4・4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホンのカリウム塩、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3ースルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3・3’−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3・3’−ジスルホン酸のジカリウム塩などが挙げられる。
【0033】有機スルホン酸金属塩の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0〜0.1重量部である。有機スルホン酸金属塩の配合量が0.1重量部を越えると耐湿性が低下しやすい。有機スルホン酸金属塩の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、より好ましくは0.01〜0.1重量部であり、特に好ましいのは0.02〜0.05重量部である。有機スルホン酸金属塩を配合することで、好ましい難燃性の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が得られやすい。
【0034】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の安定剤、顔料、染料、滑剤、その他難燃剤、離型剤、摺動性改良剤等の添加剤、ガラス繊維、ガラスフレーク等の強化材あるいはチタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカー、芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合することができる。
【0035】芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、HIPS樹脂あるいはABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂の配合量は、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂との合計量の40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
【0036】本発明のポリカーボネート樹脂組成物において配合される各成分は、それぞれ非ハロゲンの化合物であり、環境汚染、成形機や金型の腐食問題等の点より好ましい。
【0037】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂、(b)シリコーン樹脂、(c)ポリフルオロエチレン樹脂、(d)衝撃改良剤及び必要により(e)酸化チタン等を一括溶融混練する方法、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂と(b)シリコーン樹脂、(c)ポリフルオロエチレン樹脂、および必要により(e)酸化チタンとをあらかじめ混練後、(d)衝撃改良剤を配合し溶融混練する方法などが挙げられる。
【0038】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物であって酸化チタンを含む樹脂組成物は、光反射率も95%以上と高く、さらに1mm肉厚での全光線透過率も、1.1以下と低く、難燃性に優れる光反射板用材料として有用である。また、本発明の反射板用成形品は、難燃性である上、光線反射率に優れており、難燃性の反射板として、例えば、液晶バックライト使用の電気・電子機器、広告灯などの照明用機器、メーターパネルなどの自動車用機器などに有用である。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】実施例および比較例においては次に記載の原材料を用いた。
(1)ポリカーボネート樹脂:ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート、ユーピロンS−3000、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、粘度平均分子量21,000。(以下、「PC−1」と称することもある。)
(2)ポリカーボネート樹脂:ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート、ユーピロンH−3000、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、粘度平均分子量18,000。(以下、「PC−2」と称することもある。)
【0041】(3)シリコーン樹脂:珪素原子と結合する置換基がプロピル基とフェニル基であるオルガノシロキサン重合体、SH6018(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 )。
(4)衝撃性改良剤−1:(ポリオルガノシロキサン/ポリアルキルアクリレートコア)/ポリアルキルアクリレートシェルの複合ゴム系グラフト重合体、メタブレンSRK−200(三菱レイヨン(株)製)。
(5)衝撃性改良剤−2:ポリブタジエンコア/ポリアルキルアクリレートシェルの重合体、EXL2603(呉羽化学(株)製)。
【0042】(6)ポリテトラフルオロエチレン:ポリフロンF−201L、ダイキン(株)製。(以下、「PTFE」と称することもある。)。
(7)燐酸エステル:縮合燐酸エステル、、CR−733S(大八化学(株)製)
(8)スルホン酸金属塩:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩、メガファックF114(大日本インキ化学(株)製)。
(9)酸化チタン:表面処理酸化チタン、タイペークPC−3(石原産業(株)製)粒子経0.21μm。
【0043】なお、試験片の物性評価は次に記載のように行った。
(10)燃焼性:1.6mm及び0.8mm厚みのUL規格の試験片により垂直燃焼試験を行い、評価した。
(11)アイゾット衝撃強度:3.2mmのアイゾット衝撃試験片を成形し、その後0.25Rのノッチを切削し評価を行った。 さらに、ノッチ切削後にプレッシャークッカーにて120℃ 5時間耐湿試験を行い、その前後の衝撃強度を測定した。(単位はJ/m)
【0044】(11)熱安定性:成形品厚み3mmの角板にて、100℃ 500時間エージング処理を行い、その処理前後の色相変化を△Eで表した。
(12)全光線透過率:成形品厚み1mmの角板にて、全光線透過率を測定した。
(13)光線反射率:成形品厚み3mmの角板にて、700nmでの光線反射率を測定した。
(14)荷重撓み温度(DTUL):6.4mm抗折片にて、1.82MPaでの荷重撓み温度を測定した。
【0045】〔実施例1〕芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−1)100重量部に対し、シリコーン樹脂0.59重量部、衝撃性改良剤−1の2.3重量部、及びPTFE0.35重量部を配合しタンブラーにて20分混合後、30mm二軸押出機にてシリンダー温度270℃でペレット化した。得られたペレットを用い、射出成形機にてシリンダー温度290℃で、燃焼試験片を成形し、燃焼性を評価した。さらに、シリンダー温度280℃にて、各種試験片を成形し、評価を行った。評価結果を表−1に示す。
〔比較例1〕実施例1において、衝撃改良剤−1を衝撃改良剤−2に変更し、実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表−1に示す。
【0046】〔実施例2〕芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−1)100重量部に対し、シリコーン樹脂0.59重量部、衝撃性改良剤−1の2.3重量部、PTFE0.35重量部および酸化チタン14.1重量部を配合しタンブラーにて20分混合後、30mm二軸押出機にてシリンダー温度270℃でペレット化した。得られたペレットを用い、射出成形機にてシリンダー温度290℃で、燃焼試験片を成形し、燃焼性を評価した。さらに、シリンダー温度280℃にて、各種試験片を成形し、評価を行った。評価結果を表−2に示す。
【0047】〔実施例3〕実施例2において、衝撃性改良剤−1の配合量を2.3重量部に変更した以外は実施例2と同様にペレット化し、同様に評価を行った。結果を表−2に示す。
〔実施例4〕実施例2において、芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−1)の代わりに芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−2)を用いる以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表−2に示す。
〔実施例5〕実施例2において、更にスルホン酸金属塩を0.11重量部配合する以外は、実施例2と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表−2に示す。難燃性は1.6mm厚みでV−0であり、且つ0.8mm厚みでもV−0であった。
【0048】〔比較例2〕芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−1)100重量部に対して、燐酸エステル13.2重量部、酸化チタン15.9重量部、衝撃改良剤−1の2.6重量部及びPTFE0.39重量部を配合し、実施例2と同様にペレット化及び評価を行った。結果を表−2に示す。
〔比較例3〕実施例5において、シリコーン樹脂を配合しない以外は実施例5と同様にペレット化し、同様に評価を行った。結果を表−2に示す。
〔比較例4〕実施例2において、衝撃改良剤1を衝撃改良剤2に変更する以外は実施例2と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表−1に示す。
〔比較例5〕実施例4において、衝撃改良剤1を除く以外は実施例2と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表−1に示す。
【0049】実施例1と比較例1とを比較することあるいは実施例2と比較例4を比較することで、衝撃改良剤−2に比べ、衝撃改良剤−1を用いることで熱エージング前後の色相変化が小さい。実施例2と比較例2とを比較することで、シリコーン樹脂の代わりに燐酸エステルを用いた場合は、荷重撓み温度及びPCT後のアイゾット衝撃強度の低下が大きい。実施例2と比較例3とを比較することで、シリコーン樹脂の代わりにスルホン酸金属塩を用いる場合は、難燃性がV−2であり、PCT後のアイゾット衝撃強度の低下が大きい。実施例5と比較例3とを比較することで、難燃剤としてシリコーン樹脂とスルホン酸金属塩とを併用した場合は、燃焼性も0.8mmでVー0であり、PCT後のアイゾット衝撃強度の低下もなく、諸物性にも優れている。
【0050】
【表1】

【0051】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、難燃性、耐熱性及び熱安定性に優れ、且つ衝撃強度や耐加水分解性にも優れており、電気電子機器や精密機械分野における大型成形品や薄肉成形品として有用である。本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は非ハロゲンの材料であり、成形時の金型及びスクリュー等の腐食問題を大幅に改良しており、成形上の制限が少なく、各種用途において有用である。また、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が酸化チタンを含む場合、光反射板用材料として極めて有用である。本発明の反射板用成形品は、難燃性である上、衝撃強度と耐熱性に優れており、且つ光線反射率にも優れており、各種反射板用途に使用できる。
【出願人】 【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
【出願日】 平成12年6月5日(2000.6.5)
【代理人】 【識別番号】100103997
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司
【公開番号】 特開2001−342338(P2001−342338A)
【公開日】 平成13年12月14日(2001.12.14)
【出願番号】 特願2000−167078(P2000−167078)