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【発明の名称】 油面接着性熱硬化性組成物
【発明者】 【氏名】杉木 孝至

【氏名】西田 雄一

【氏名】岸本 芳男

【要約】 【課題】硬化温度が低く、硬化前には油面鋼板類(冷圧鋼板、亜鉛メッキ鋼板など)に対して十分な濡れ性を有し硬化後は十分な接着力を発揮する、油面接着性熱硬化性組成物の提供。

【解決手段】(A)25℃下で固体または粘度10Pas以上の液体であるエポキシ(メタ)アクリレート;(B)場合により、25℃下で固体または粘度10Pas以上の液体であるウレタン(メタ)アクリレート;及び(C)熱可塑性ポリマ−を含む組成物であって、(A)+(B)+(C)の合計重量に対し、(A)+(B)の割合が60〜95重量%であり、かつ(A)の割合が20重量%以上である、油面接着性熱硬化性組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)25℃下で固体または粘度10Pas以上の液体であるエポキシ(メタ)アクリレート;(B)場合により、25℃下で固体または粘度10Pas以上の液体であるウレタン(メタ)アクリレート;及び(C)熱可塑性ポリマ−を含む組成物であって、(A)+(B)+(C)の合計重量に対し、(A)+(B)の割合が60〜95重量%であり、かつ(A)の割合が20重量%以上である、油面接着性熱硬化性組成物。
【請求項2】 該エポキシ(メタ)アクリレートの溶解度パラメーターが、9〜14である、請求項1記載の油面接着性熱硬化性組成物。
【請求項3】 請求項1又は2記載の油面接着性熱硬化性組成物よりなる成形品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化温度が低く、硬化前には油面鋼板類(冷圧鋼板、亜鉛メッキ鋼板など)に対して十分な濡れ性を有し硬化後は十分な接着力を発揮する、油面接着性熱硬化性組成物及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、鉄鋼材料は、自動車のボディーをはじめ、机、ロッカーその他多くの用途に使用されており、加工前には防錆・防食のため、その表面に防錆油が塗布されている。そのため、塗装、シーリング材の施工、接着剤の施工の際には、防錆油の除去が必要である。しかしながら、防錆油を除去した後、最終的に塗装が施されるまでに各種の組み立て工程(スポット溶接、各種部品の設置、取り付け、穴あけ加工、ボルト締め等)があり、防錆油を除去した後、かなりの時間空気にさらされるため、錆びの発生が問題となっている。そのため、防錆油を塗布したまま、施工・硬化できるシーリング材や接着剤が、特に自動車製造工程において強く求められている。
【0003】このような接着剤として、例えば、特公平4−29712号公報記載のものがある。この接着剤は、非常に高温に加熱することにより、エポキシ樹脂の架橋と(メタ)アクリロイル基の重合が起こり硬化する。例えば、実施例においては、加熱硬化条件は、215℃×30分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は、比較的低温で硬化し、かつ、硬化前には油面鋼板類に対して十分な濡れ性を示し硬化後は十分な接着力を発揮する、油面接着性熱硬化性組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)25℃下で固体または粘度10Pas以上(好ましくは1000Pas以上)の液体であるエポキシ(メタ)アクリレート;(B)場合により、25℃下で固体または粘度10Pas以上(好ましくは1000Pas以上)の液体であるウレタン(メタ)アクリレート;及び、(C)熱可塑性ポリマ−を含む組成物であって、(A)+(B)+(C)の合計重量に対し、(A)+(B)の割合が60〜95重量%であり、かつ(A)の割合が20重量%以上である、油面接着性熱硬化性組成物に関する(1)。
【0006】また、本発明は、該エポキシ(メタ)アクリレートの溶解度パラメーター(以下、SP値という)が、9〜14である、前記の油面接着性熱硬化性組成物に関する(2)。
【0007】更に、本発明は、前記油面接着性熱硬化性組成物(1)又は(2)よりなる成形品(例えば、シート、フィルム、ブロック、棒)に関する(3)。
【0008】
【発明の実施の態様】本発明に係るエポキシ(メタ)アクリレートは、25℃下で、固体または粘度10Pas以上の液体である、(メタ)アクリロイル化されたエポキシ樹脂である限り特に限定されず、市販されているものが使用可能である。また、2種以上を混合して用いてもよい。なお、一般的には、例えば、式:【0009】
【化1】

【0010】で示されるビスフェノールA型エポキシアクリレートや、フェノール骨格を有するエポキシ樹脂、シクロヘキシル環を有するエポキシ樹脂を(メタ)アクリロイル化したものが、粘度が高く好適である。また、結晶性であり、その融点が150℃以下であるものが好ましい。市販品としては、例えば、デナコールアクリレートDA−250{長瀬化成(株)、25℃で60Pas、SP値:10.7}、デナコールアクリレートDA−721{長瀬化成(株)、25℃で100Pas、SP値:約13.1}、リポキシVR−60{昭和高分子(株)、常温固体、SP値:約11.9}、リポキシVR−77{昭和高分子(株)、25℃で100Pas、SP値:12.1}が挙げられる。なお、本明細書にいう「固体」とは、粉体やワックスも含まれる。また、本明細書にいう「粘度」とは、コーンプレート型回転粘度計(E型、3°コーンプレート使用、25℃)によって測定された値を言う。
【0011】本発明に係るウレタン(メタ)アクリレートは、25℃下で固体または粘度10Pas以上の液体である、(メタ)アクリロイル化されたウレタンオリゴマーである限り特に限定されず、市販されているものが使用可能である。また、2種以上を混合して用いてもよい。ウレタン(メタ)アクリレートは任意成分であるが、形状保持性のための熱可塑性樹脂を少量しか使用しない場合には、特に高粘度のものを用いるのがよい。市販品としては、例えば、アロニクスM−1200{東亜合成(株)製、50℃下で120〜220Pas}、紫光UV6640B{日本合成化学工業(株)製}が挙げられる。
【0012】なお、常温下での粘着性が必要ない場合には、前記エポキシ(メタ)アクリレート及び前記ウレタン(メタ)アクリレートの両方が固体であってもよいが、常温下での粘着性が必要な場合には、前記エポキシ(メタ)アクリレートか前記ウレタン(メタ)アクリレートのいずれかが液体であることが好ましい。
【0013】本発明に係る油面接着性熱硬化性組成物において、前記エポキシ(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートの合計割合は、(A)+(B)+(C)の合計重量に対して、60〜95重量%が好ましい。また、エポキシ(メタ)アクリレートは、(A)+(B)+(C)の合計重量に対して、20重量%以上が好ましい。
【0014】本発明に係る熱可塑性ポリマーは、特に限定されないが、常温で固体であるか高粘度の液体であることが好ましい。また、軟化点(融点)が200℃以下のものが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリ−p−キシレン、EVA、EEA、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂類、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリスチレン、メタクリル樹脂、メチルペンテンポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリエーテル類、シリコーン類、ポリアミド誘導体、ポリケトン、熱可塑性エポキシ樹脂類及びこれらの共重合体が挙げられる。また、2種以上を混合してもよい。市販品としては、エバフレックス45X{三井デュポン(株)製、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量45%}、ソアレックスR−DH{日本合成化学工業(株)製、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量70%}、エバフレックスEEA−701{三井デュポン(株)製、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチルアクリレート含有量9%}が挙げられる。
【0015】本発明に係る油面接着性熱硬化性組成物において、熱可塑性樹脂の割合は、(A)+(B)+(C)の合計重量に対して、5〜40重量%であることが好ましく、5〜25重量%であることがより好ましい。
【0016】本明細書にいう「油」とは特に限定されず、例えば、防錆油やプレス油が挙げられる。
【0017】本発明に係る油面接着性熱硬化性組成物は、更に熱反応開始剤を含有することが好ましい。熱反応開始剤としては、反応系の温度によって、高温で分解するものと低温で分解するものとを使い分けることが好ましい。例えば、光熱費減少等のために加熱温度の低下を図る場合には、低温(例えば、80〜100℃)で分解する開始剤を使用し、熱で変形や流動を図る場合には、比較的高温(例えば、120〜140℃)で分解する開始剤を使用する。熱反応開始剤としては、熱硬化性物質{成分(A)や(B)}や熱可塑性ポリマー{成分(C)}を硬化又は架橋させうるものである限り、特に限定されず、例えば、過酸化物(例えば、有機過酸化物)やアミン類などのエポキシ硬化剤が挙げられる。具体的には、ジクミル−パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,α,α―ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、パーオキシジカ−ボネ−ト、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジハイドロパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネイト、ベンゾイルパーオキシド、α,α―ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物;脂肪族ポリアミン類、脂環族ポリアミン類、芳香族ポリアミン類、ビスアジド類、ジカルボン酸類、酸無水物類、ジオール類、多価フェノール類、ポリイソシアネート類が挙げられる。これら硬化剤は、成分(A)〜(C)の種類、成形温度、熱反応開始剤の分解温度等を考慮して、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用する。市販品としては、例えば、パーヘキサ3M−40{日本油脂(株)製、1,1−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン}、パーロイルL{日本油脂(株)製、ラウロイルパーオキサイド}、パーロイルTCP{日本油脂(株)製、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシカーボネート}が挙げられる。
【0018】熱反応開始剤の使用割合は、成分(A)〜(C)の種類によるが、通常、(A)+(B)+(C)の合計重量に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0019】本発明に係る油面接着性熱硬化性組成物は、必要に応じて、充填剤のような他の添加剤を使用してもよい。例えば、充填剤は、成形時の成形補助剤として、あるいは高粘度液体のハンドリング助剤として適宜使用する。市販の充填剤としては、例えば、ミクロエースK−1{日本タルク(株)製、タルク}、アエロジルR−972{日本アエロジル(株)製、無水珪酸}が挙げられる。なお、油面接着性組成物には吸油性が求められるところ、本発明に係る組成物は、特に吸油性の高い充填剤を使用しなくても、それ自体吸油性を有する。
【0020】本発明に係る油面接着性熱硬化性組成物は、慣用方法により、例えば、前記材料をニーダー等で無溶剤で混練することにより製造されうる。また、本発明に係る油面接着性熱硬化性組成物を、押し出し機やキャレンダー等で、フィルム状、シート状、ブロック状、棒状等に適宜成形してもよい。
【0021】
【実施例】油面接着性熱硬化性組成物の製造方法表1の成分及び配合量に従い、硬化剤を除いた残りの成分を90℃下で20分間予備混練し、その後、予備混練物を70℃まで冷却し、その後上記硬化剤を加えて更に5分間混練を行なった。次に、その混練樹脂を押出機にて75℃の押出温度で、幅200mm、厚さ50〜200μmの接着シートに成形した。なお、押出成形の際、接着シートが常温で粘着性を有するので剥離紙に引き取り、更にそのシート上に剥離性を有するフィルムをラミネートした。
【0022】テスト方法形状保持性:シート状に成形したものを23℃×3ヶ月放置し、厚さ、幅が変化しないものを良好とする。棒状に成形したものは、径、断面形状が変化しないものを良好とする。
油面定着性:防錆油を厚さ約3μmに塗布した冷間圧延鋼板(面積:200×300×0.8mm)に、シート状成形物を貼付(面積:50×100mm)し、同面積の厚さ0.8mmの冷間圧延鋼板を貼り合わせ、1kg荷重を30秒間乗せる。次にテストピースを角度70度(垂直を90度とする)の角度に立て、各加熱条件で硬化させる。試験片のズレが無いものを良好とする。
油面接着性:防錆油を厚さ約3μmに塗布した冷間圧延鋼板(無処理)を使用し、JIS K6850により剪断接着力を測定する。なお、形状が棒状のものは、油面定着性、油面接着性が測定できないため、シート状(100μm)とし、測定した。
【0023】
【表1】

【出願人】 【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
【出願日】 平成12年6月1日(2000.6.1)
【代理人】 【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇 (外2名)
【公開番号】 特開2001−342327(P2001−342327A)
【公開日】 平成13年12月14日(2001.12.14)
【出願番号】 特願2000−164181(P2000−164181)