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【発明の名称】 |
繊維強化複合材ホイル用エポキシ樹脂 |
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【氏名】島田 政紀 【氏名】木村 浩巳 【氏名】長屋 重夫 【氏名】鹿島 直二 |
【課題】フィラメント・ワインディング法で使用される従来のエポキシ樹脂ではクラック等の発生により製造することができなかった、20mm以上の肉厚品の成形が可能なエポキシ樹脂を提供する。また一般産業用途に必要とされる大型の炭素繊維強化複合材ホイルまたは高速回転フライホイル用ロータを提供する。
【解決手段】繊維強化複合材ホイルの製造において使用するエポキシ樹脂であって、ガラス転移点が40℃以上100℃以下であって、樹脂の破断歪みが3%以上の特性をもつことを特徴とする繊維強化複合材ホイル用エポキシ樹脂。またこれを使用した繊維強化複合材ホイルあるいは高速回転フライホイル用ロータとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 繊維強化複合材ホイルの製造において使用するエポキシ樹脂であって、ガラス転移点が40℃以上100℃以下であり、樹脂の破断歪みが3%以上の特性をもつことを特徴とする繊維強化複合材ホイル用エポキシ樹脂。 【請求項2】 請求項1の繊維強化複合材ホイル用エポキシ樹脂を使用した繊維強化複合材ホイル。 【請求項3】 請求項1の繊維強化複合材ホイル用エポキシ樹脂を使用した20mm以上の肉厚でクラックが発生しない繊維強化複合材ホイル。 【請求項4】 請求項1の繊維強化複合材ホイル用エポキシ樹脂を使用した高速回転フライホイル用ロータ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、軽量で高強度、高弾性の繊維強化複合材が回転体として使用されつつある、遠心分離ロータ、フライホイル等の円筒回転体部材の一般産業分野における繊維強化複合材ホイルおよび繊維強化複合材ホイル用エポキシ樹脂に関するものである。 【0002】 【従来の技術】繊維強化複合材は、ガラス繊維、炭素繊維といった高性能繊維を繊維強化に用いることにより、軽量、高強度、耐腐食性などの優れた特性を発揮し、種々の分野への適用が行われている。その中でもパイプ形状などの軸対称物は、産業機器の各種ローラーやシャフト、各種アームやロータ、など様々な用途に用いられている。 【0003】軸対称形状の繊維強化複合材の製造方法としては、フィラメント・ワインディング法、プリプレグ積層法、引き抜き成形方法などがある。これらの製造方法のうち、引き抜き成形法は生産性に優れるという特徴があるものの、繊維配向方向の自由度がなく特殊用途以外には用いられない。 【0004】プリプレグ成形法はプリプレグと呼ばれるシート状の中間素材を芯金(マンドレル)に巻き付ける方法であり(軸対称物を成形する場合にはシート・ワインディング法とも呼ばれる)、繊維の方向を変えることができ、生産性が比較的高いという特徴がある。しかしながらプリプレグ積層方法は、肉厚が大きいものや、大型の管体を製造することは困難である。 【0005】これに対してフィラメント・ワインディング法は、数百本乃至数万本の単繊維を合一した繊維束を、樹脂を含浸させながらマンドレルに巻きつける方法であり、繊維の配向方向を精密に制御することが可能な上、大型の成形物や肉厚の成形物が製造できるという特徴がある。 【0006】プリプレグ成形方法では、成形厚みは5mm以下がほとんどであり、10mmまでの積層を実施すると、コスト的、時間的、品質的にフィラメント・ワインディング法に劣ることになる。 【0007】しかしフィラメント・ワインディング法においても、従来のエポキシ樹脂を使用すると、成型厚みは5mm〜20mm程度までがほとんどであり、30mm近くなるとクラックの発生等が起こり、品質的に満足できるものを製造することは非常に困難であった。 【0008】尚、フィラメント・ワインディング法で使用される樹脂は、繊維束に樹脂を含浸させながらマンドレルに繊維をまきつけることから、樹脂の粘度、ポットライフの制約を加味して一般的にガラス転移点120℃前後のものが一般的である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のフィラメント・ワインディング法で使用されるエポキシ樹脂では、クラック等の発生により製造することができなかった、20mm以上の肉厚品の成形が可能なエポキシ樹脂を提供し、一般産業用途に必要とされる大型の炭素繊維強化複合材ホイルを提供するものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、ガラス転移点が40℃以上100℃以下であって、樹脂の破断歪みが3%以上の特性をもつエポキシ樹脂およびその樹脂を使用しフィラメント・ワインディング法で肉厚成形の大型の炭素繊維強化複合材ホイルまたはロータを製造することにある。 【0011】 【発明の実施の形態】肉厚が20mm以上、特に50mm以上になると、クラックなしで繊維強化複合材ホイルを製造するには、ガラス転移点が40℃以上100℃以下であって、樹脂の破断歪みが3%以上の特性をもつエポキシ樹脂が必要となる。以下詳細に本発明のメカニズムを説明する。 【0012】繊維強化エポキシ樹脂複合材が、クラックが発生するメカニズムとしては、繊維複合材の異方性が大きな因子となっており、繊維方向の強度に対し繊維垂直方向は1/100程度の強度しかない。そこで、成形後の樹脂硬化で樹脂の硬化収縮と残留熱応力により高い応力が発生し、繊維垂直方向の弱い強度の点でクラックが発生してしまうことになる。 【0013】薄い肉厚の時には、リングの内周と外周長さに差が少ないため樹脂の硬化収縮と残留熱応力は大きく発生しないが、径が大きくかつ肉厚が厚くなると内周と外周差が非常に大きくなることにより樹脂の硬化収縮と残留熱応力が大きくなる。 【0014】本発明では、径が大きくかつ肉厚が厚くなり、内周と外周差が非常に大きくなっても、硬化時に割れずに成形できるエポキシ樹脂を提供し、一般産業用途に必要とされる大型の炭素繊維強化複合材ホイルを製造可能とする。 【0015】本発明では、問題点を解決するための手段として樹脂の硬化収縮(線膨張係数)と残留熱応力の点と、割れ発生に直接かかわる繊維垂直方向強度、つまり樹脂の破壊について注目した。 【0016】まず樹脂の硬化収縮(線膨張係数)と残留熱応力においては、残留熱応力を、σ=E(弾性率)×線膨張率×(Tg−20℃)とできる(Tg;ガラス転移点、以下Tgと表示する)。樹脂はTg以上ではゴム状態であり、温度変化によって熱応力は発生しないと考えられる。従って、硬化時の残留熱応力は、硬化温度からTgを経て室温まで下がる間の、Tgから室温の温度差(ΔT)により発生するものと考えられる(硬化温度>Tgの場合)。これより線膨張率つまり樹脂の硬化収縮は、残留熱応力を現す因子である。そこで残留熱応力を小さく押さえるには線膨張率を小さくするか、Tgを小さくすることによって残留熱応力を小さくおさえることができる。 【0017】そこで本発明では、一般に120℃以上のTgをもつエポキシ樹脂にかわり、40℃以上100℃以下のTgをもつエポキシ樹脂を開発することにより、残留熱応力を押さえることにした。Tgが40℃より下になると残留熱応力は非常に小さくなるが、一般産業用途として使用するのに、40℃付近では、樹脂がゴム状となり強度的に問題となる。また、100℃以上だと現用のエポキシ樹脂とかわらず残留熱応力を下げることができない。 【0018】好ましくは、一般産業用途で使用するために、40℃付近でも強度が高く保持し、かつ厚みが非常に厚くなった時(50mm以上)に残留熱応力を下げるために、50℃以上90℃以下のTgのエポキシ樹脂が良い。 【0019】次に割れ発生に直接かかわる繊維垂直方向強度、つまり樹脂の破壊を考慮すると、樹脂の破断歪みが大きいものほど残留熱応力によって割れる可能性が低くなる。そこで本発明ではエポキシ樹脂の粘度、ポットライフも考慮して3%以上であれば、十分残留熱応力に耐えうる樹脂となることを見出した。破断歪みは大きければ大きいほど樹脂の破壊には有利であるが、粘度、ポットライフの点からも極端に高い樹脂は製造できない。 【0020】 【実施例】以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明する。本発明に使用する繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維のいずれでも良いが、特に繊維の異方性が強く、高弾性かつ高強度で高速の回転体に使用される炭素繊維において非常に有効である。この繊維を使用して本発明の樹脂を繊維に含浸した後、金属マンドレルに繊維を必要厚みに巻き付けるフィラメント・ワインディング法により成形する。その後、この成形体をオーブン中で硬化させ樹脂を硬化後、金属マンドレルを抜き製品リングとする。 【0021】実施例1としてエポキシ樹脂EP1;Tg47℃、実施例2としてエポキシ樹脂EP2;Tg86℃、比較例としてエポキシ樹脂EP3;Tg120℃を用いた。 【0022】以下表1にそれぞれの樹脂の各種特性値と破断歪み結果、熱応力結果を示す。 【表1】
表のように比較例は破断歪みは小さく、熱応力は大きくなっている。 【0023】以下これらの樹脂を使用して、以下の同一条件でおのおの樹脂によるリング(筒状体)を製造し、クラックの状況を調べた。外径Φ450mm、幅70mmの金属マンドレルを準備して、おのおのの樹脂を含浸した弾性率3530MPaの炭素繊維を肉厚75mm巻き、外径Φ600mmのリング(筒状体)を成形した。この成形体を以下の条件で硬化した後、金属マンドレルより取り外し、側部断面を研磨してクラック発生の有無を確認した。 【0024】実施例1;エポキシ樹脂EP1 60℃で4時間硬化実施例2;エポキシ樹脂EP2 90℃で16時間硬化比較例1;エポキシ樹脂EP3 130℃で8時間硬化比較例2;エポキシ樹脂EP3 130℃で8時間硬化後1昼夜の徐冷却を実施【0025】断面観察の結果は、以下のようになった。 実施例1;エポキシ樹脂EP1 全く割れの発生なし実施例2;エポキシ樹脂EP2 全く割れの発生なし比較例1;エポキシ樹脂EP3 中央付近に大きな層間クラック比較例2;エポキシ樹脂EP3徐冷 上部1/3付近に小さなヘアークラック【0026】ガラス転移点が40℃以上100℃以下であって、樹脂の破断歪みが3%以上の特性をもつエポキシ樹脂を使用の場合は、高速回転等の応力をかけても割れないリング(筒状体)を製造できたが、比較例の樹脂であると、除冷をして熱応力を緩和してもクラックをもたない製品の製造は困難であった。 【0027】 【本発明の効果】本発明では、径が大きくかつ肉厚が厚くなり、内周と外周差が非常に大きくなっても硬化時に割れなく成形できるエポキシ樹脂を提供し、一般産業用途に必要とされる大型の炭素繊維強化複合材ホイルまたはロータを製造可能とした。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社 【識別番号】000213297 【氏名又は名称】中部電力株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月31日(2000.5.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107250 【弁理士】 【氏名又は名称】林 信之
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| 【公開番号】 |
特開2001−342324(P2001−342324A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月14日(2001.12.14) |
| 【出願番号】 |
特願2000−161332(P2000−161332) |
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