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【発明の名称】 熱硬化性樹脂シートおよびこれを用いたバンプ形成方法、並びに半導体装置
【発明者】 【氏名】水谷 昌紀

【氏名】野呂 弘司

【要約】 【課題】半導体素子や半導体パッケージなどに半田ボールを搭載する際、これらの半田ボールの根元を補強するための熱硬化性樹脂シート、およびこれを用いたバンプ形成方法、ならびに半導体装置を提供する。

【解決手段】エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、およびベンゾシクロブテン系樹脂から選ばれる少なくとも一種の熱硬化性樹脂と、フラックス成分を含む組成物を、シート状に成形して得ることができる。フラックス成分はシート中に0.5〜30重量%の範囲で含有させることが好ましく、酸系やロジン系のフラックス成分を用いることができる。また、熱可塑性樹脂を配合することが好ましい。熱硬化性樹脂シートを形成する工程と、半田ボールを載置する工程、リフローする工程、シートを加熱硬化する工程によりバンプを補強形成することができ、これを被接続体に接続して半導体装置を得ることができる。BGA型パッケージに好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、およびベンゾシクロブテン系樹脂から選ばれる少なくとも一種の熱硬化性樹脂、およびフラックス成分を含む組成物を、シート状に成形したこと特徴とする熱硬化性樹脂シート。
【請求項2】 フラックス成分が、シート中に0.5〜30重量%含有されている請求項1記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項3】 フラックス成分が、酸系もしくはロジン系のフラックスである請求項1記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項4】 さらに、熱可塑性樹脂を含む請求項1記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項5】 熱可塑性樹脂が、シート中に1〜30重量%含有されている請求項4記載の熱硬化性樹脂シート。
【請求項6】 バンプ被搭載体における搭載予定面に、請求項1または4記載の熱硬化性樹脂シートを形成する工程、該シート上にバンプ形成用の半田ボールを載置する工程、半田ボールをリフローする工程、熱硬化性樹脂シートを加熱硬化する工程を含むバンプ形成方法。
【請求項7】 搭載された半田ボールの根元部が、熱硬化性樹脂シートによって補強されている請求項6記載のバンプ形成方法。
【請求項8】 バンプ被搭載体が、半導体素子、インターポーザー、もしくは半導体パッケージから選ばれる一種である請求項6記載のバンプ形成方法。
【請求項9】 半導体パッケージが、BGA(ボールグリッドアレイ)型から選ばれる一種である請求項6記載のバンプ形成方法。
【請求項10】 請求項6記載の方法によってバンプ形成された半導体素子または半導体パッケージを、半田ボールを介して被接続体に接続してなる半導体装置。
【請求項11】 被接続体が、インターポーザー、外部配線基板、半導体素子から選ばれる一種である請求項10記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体素子や半導体パッケージなどに半田ボールなどを搭載する際、これらの半田ボールの根元を補強するための熱硬化性樹脂シート、およびこれを用いたバンプ形成方法、並びに半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、半導体素子はインターポーザーなどを介して封止され、BGA(Ball Grid Array)などの半導体パッケージとして、基板上に実装されており、基板に半導体パッケージを接続、実装するための接続用端子としては、一般に半田ボールなどから形成したバンプ(突起電極)を用いている。
【0003】BGAのような半導体パッケージの場合には、外部基板接続用(実装用)のバンプをパッケージの下面全体に面状に配置できるので、パッケージ周辺に配置する従来のパッケージ形態と比較して、高密度化に伴うバンプ数の増加にも容易に対応することができると共に、バンプのピッチを大きくできるので、径の大きな半田ボールを用いることが可能となり、接続信頼性を高めることができるものである。特に、実装基板に搭載したのちの冷熱サイクル下においても充分な接続信頼性を確保できるものとなる。
【0004】このような実状のもと、近年の市場における高密度実装の要求はさらに高まっており、BGAのうちでもCSP(Chip Size Package)と呼ばれる半導体パッケージの需要が拡大しており、それに伴って外部接続用端子として用いる半田ボールの径やピッチは年々小さくなる傾向を示している。
【0005】このように外部接続用端子として用いる半田ボールの径が小さくなるに伴い、CSPを基板に実装した際の冷熱サイクル下における接続信頼性は自ずと低下するようになるが、これを解決する方法として、特開平10−98045号公報や特開平11−74408号公報、特開2000−58709号公報などに記載のように、熱硬化性樹脂のペーストを半田ボール搭載部の根元に塗布して、搭載した半田ボールを補強する方法が提案されている。
【0006】一方、上記のように半田ボールを用いて外部基板上に半導体パッケージなどを実装する場合、半田ボールを基板上の電極部などに接合する際の信頼性を高める目的で、電極部上の酸化膜や有機物を除去するためのフラックス成分の塗布が一般的に行なわれている。しかしながら、このような接続信頼性の向上のためにフラックス成分の塗布を行なった場合、フラックス成分の残渣を除去するための洗浄工程が必要になり、近年の環境問題(水質汚染)や、低コスト化のための工程数の省略化を阻害する要因となっている。特に、前記したように半導体パッケージの小型化に伴い、上記フラックス成分の塗布工程や洗浄工程は、どんどん複雑化の傾向を示している。
【0007】そこで、このようなフラックス成分の塗布、洗浄工程を省略すると共に、前記した半田ボールの補強を行う方法として、予めフラックス成分(活性成分)を熱硬化性樹脂に含有させる方法が、特開2000−31187号公報に提案されている。つまり、当該公報には吸着ヘッドに吸着させた半田ボール表面に、フラックス成分を熱硬化性樹脂と配合したペーストを塗布し、これをワークに形成された電極上に搭載し、加熱によって半田に溶融、熱硬化性樹脂を熱硬化させる方法が開示されている。
【0008】この方法によれば、フラックス成分と熱硬化性樹脂を含有するペーストを用いているので、従来のようにフラックス成分を塗布する工程や洗浄する工程を必要とせず、工程の簡略化が図れて、低コスト化や省力化を図ることができるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の方法では吸着ヘッドに吸着させた半田ボールの表面にペーストを塗布する工程が必要になるだけでなく、各半田ボールに均一にペーストを塗布しなければならず、径の小さな半田ボールの場合には正確な制御が必要となる。
【0010】また、マトリックスタイプのBGAの場合は、基板全体をオーバーモールドしたのちに、アウターボールとなる半田ボールを搭載し、次いでダイシングして個片に切り出しを行なっているが、オーバーモールド後は熱膨張係数の違いからモールド樹脂側の基板が内側に反る傾向を示すので、アウターボールの搭載工程や、ダイシング工程を困難にしている。このような問題点は上記特開2000−31187号公報に記載の方法では解決できないものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは上記従来の半田ボール搭載方法や半導体パッケージ実装方法が有する課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の熱硬化性樹脂とフラックス成分を含む組成物をシート状に成形して得られる熱硬化性樹脂シートを用いることによって、従来の方法にない優れた効果、つまり、各半田ボールの均一な補強、工程の省略化、低コスト化などが達成できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明はエポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、およびベンゾシクロブテン系樹脂から選ばれる少なくとも一種の熱硬化性樹脂、およびフラックス成分を含む組成物を、シート状に成形したこと特徴とする熱硬化性樹脂シートを提供するものである。
【0013】好ましい態様としては、上記熱硬化性樹脂シート中に、さらに、熱可塑性樹脂を含む熱硬化性樹脂シートである。
【0014】また、本発明はバンプ被搭載体における搭載予定面に、上記熱硬化性樹脂シートを形成する工程、該シート上にバンプ形成用の半田ボールを載置する工程、半田ボールをリフローする工程、熱硬化性樹脂シートを加熱硬化する工程を含むバンプ形成方法を提供するものである。
【0015】さらに、本発明は上記バンプ形成方法によってバンプ形成された半導体素子または半導体パッケージを、半田ボールを介して被接続体に接続してなる半導体装置を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に用いる熱硬化性樹脂は、耐熱性や溶融市の低粘度性などの点から、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂およびベンゾシクロブテン系樹脂の群から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。これらの熱硬化性樹脂のうち、高耐熱性や溶融時の低粘度性、接着性、シートへの加工性などの点からエポキシ系樹脂およびベンゾシクロブテン系樹脂を用いることが好ましい。
【0017】本発明において好ましく用いることができる上記エポキシ系樹脂は、液状であっても固形状であってもよく、特に限定されるものではないが、エポキシ当量が100〜300g/eq程度のもので、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有するものを特に好ましく用いることができる。また、後述するフラックス成分を含有させて本発明の熱硬化性樹脂シートとした場合、半田溶融温度以上で金属接合させたときにフラックス成分がその作用を充分に発揮すると共に、半田の濡れ性を向上し、ボイドの発生を低減できるという効果を確実に発揮させるために、軟化点が50〜160℃程度であり、150℃での溶融粘度が0.001〜1Pa・sの物性を有するエポキシ系樹脂を用いることがさらに好ましいものである。なお、溶融粘度はICI回転粘度計を用いて測定する値である。
【0018】このようなエポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、ヒダントインエポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、テルペン型エポキシ樹脂、トリグリシジルエーテルトリフェニルメタンなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、4,4’−ビス(グリシジルオキシ)−3,3’−ジアリルビフェニルなどのビフェニル型エポキシ樹脂、ホルマリン以外のアルデヒドを用いて縮合反応によって得られるフェノール樹脂をベースとするエポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独もしくは二種以上併用して用いることができる。これらのうち溶融時の低粘度性や高接着性の点から、ビスフェノールA型やクレゾールノボラック型、ビフェニル型、トリグリシジルエーテルトリフェニルメタン型のエポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。
【0019】上記エポキシ系樹脂の中でも溶融時の濡れ性が良好で、低粘度であるものを用いることが好ましく、具体的には下記式にて示される構造のエポキシ化合物を原料に用いて得られるエポキシ系樹脂を用いることが特に好ましい。
【0020】
【化1】

【0021】上記一般式にて示される構造のエポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ当量が100〜300g/eqであり、軟化点が50〜160℃のものを用いることが好ましい。
【0022】また、本発明の熱硬化性樹脂として好ましく用いることができるベンゾシクロブテン系樹脂も、限定されるものではないが、前記エポキシ系樹脂と同様、フラックス成分を含有させて本発明の熱硬化性樹脂シートとした場合、半田溶融温度以上で金属接合させたときにフラックス成分がその作用を充分に発揮すると共に、半田の濡れ性を向上し、ボイドの発生を低減できるという効果を確実に発揮させるために、軟化点が50〜160℃程度で、150℃での溶融粘度が0.001〜1Pa・sの物性を有するベンゾシクロブテン系樹脂を用いることがさらに好ましいものである。
【0023】具体的には、分子内にベンゾシクロブテン基を有するモノマー型や、オリゴマーまたはポリマーなどの部分反応物型の樹脂を用いることができ、例えば、下記一般式にて示される化合物から得ることができる。
【0024】
【化2】

【0025】上記一般式にて示される化合物のうち、X、YおよびZが0であるものが特に好ましいものである。
【0026】また、上記一般式において好ましいR1 は、分子内に以下の有機基を有するものである。
【0027】−CH2 −,−CH=CH−,−CO−,−OCO−,−NHCO−,−CONH−,【0028】これらのうち、さらに好ましい有機基としては、以下の有機基である。−CH=CH−Si(HまたはOH)2 −,−CONH−Si(HまたはOH)2 −,−CH=CH−Si(CH3 2 O−Si(CH3 2 −。
【化3】

【0029】これらのうち、本発明の効果を発揮しやすいという点から、下記一般式にして示される化合物および/またはそのオリゴマーやポリマーからなる部分反応物を用いることが好ましい。なお、上記ベンゾシクロブテン系樹脂は単独で用いても二種以上を併用してもよいことは云うまでもない。
【0030】
【化4】

【0031】本発明において用いるフラックス成分は、一般的に半田付けする場合に接合すべき金属表面の酸化膜や有機物などを除去するために、半田付けの前や半田付けと同時に金属表面に塗布する成分であり、また、酸化物の生成を防止する働きをする成分である。
【0032】半導体素子をフェースダウン構造でマザーボードまたはドーターボードに実装する方式(フリップチップ方式やダイレクトチップアタッチ方式など)では、通常、配線回路基板と半導体素子の接続部分となる接続用電極部表面の酸化膜をフラックス成分により溶解し(フラックス処理)、接続用電極部を介して配線回路基板と半導体素子を接続したのち、先に施したフラックス成分を洗浄(フラックス洗浄)していた。本発明の熱硬化性樹脂シートはフラックス成分を含有させているので、従来のようなフラックス処理やフラックス洗浄の工程を必要とせず、製造工程を簡略化することができる。しかも、半田ボールが接続用電極部と接触して接合が形成される部分の接続信頼性も向上するのである。
【0033】このような本発明において用いるフラックス成分としては、従来の半導体装置の表面実装などに用いられているフラックス成分であれば特に限定されることはなく、例えば酸系やロジン系のフラックス成分を好ましく用いることができる。特に、酸系のフラックス成分のうち、有機カルボン酸類化合物を含有してなるフラックス成分は、フラックス効果を発揮したのち、熱硬化性樹脂としてエポキシ系樹脂を用いている場合には、このエポキシ系樹脂の硬化剤として作用、反応するので、フラックス成分と硬化剤としての両機能を兼備した成分として用いることができるので好適である。
【0034】有機カルボン酸類化合物としては、下記一般式で表されるカルボン酸誘導体、具体的には酸無水物、アミド、エステル、エーテル、アセタールなどを好適に用いることができる。
【0035】
【化5】

【0036】なお、上記一般式においてR1 およびR2 の具体例としては、n−プロピルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどが挙げられる。また、用いることができるカルボン酸誘導体としての具体例としては、アジピン酸−n−プロピルジビニルエーテル、アジピン酸イソプロピルジビニルエーテル、アジピン酸−2−エチルヘキシルジビニルエーテル、フタル酸−2−エチルヘキシルジビニルエーテル、トリメリット酸−2−エチルヘキシルトリビニルエーテル、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0037】これらのカルボン酸誘導体は、半導体装置の製造工程において、本発明の熱硬化性樹脂シートを熱硬化させる際に保護基が外れてカルボン酸を生じ、フラックス効果を発揮したのち、硬化剤としてエポキシ樹脂などと反応する。従って、熱硬化する前、つまり保護基が外れる前はエポキシ基と反応しないので、熱硬化性樹脂としてエポキシ系樹脂を用いた場合には、保存安定性に優れるという効果を発揮するのである。
【0038】本発明の熱硬化性樹脂シート中への上記フラックス成分の含有量は、フラックス成分があまりにも多すぎるとガラス転移温度が低下したり、耐湿性が低下したりする傾向を示し、一方、あまりにも少なすぎるとフラックス効果が充分に発揮されないので、熱硬化性樹脂シート中に、0.5〜30重量%、好ましくは1〜25重量%、さらに2〜20重量%の範囲で含有させることが好ましい。
【0039】本発明の熱硬化性樹脂シートは少なくとも上記熱硬化性樹脂およびフラックス成分を含有する組成物をシート状に成形して得られるものであるが、必要に応じてシート状に成形しやすくするために熱可塑性樹脂を含有させてもよい。
【0040】このような熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、アクリルゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂シート中に30重量%以下、好ましくは20重量%以下の量で配合することが望ましい。
【0041】上記熱可塑性樹脂のうち、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体としては、他の共重合性単量体を共重合することもできる。共重合性単量体としては、例えば水添アクリロニトリルや、アクリル酸、アクリル酸エステル、スチレン、メタクリル酸などが挙げられる。なかでも、金属やプラスチックに対する接着性が優れるアクリル酸やメタクリル酸が好適である。即ち、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体や、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体を好適に用いることができる。また、前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体における結合アクリロニトリルの含有量は10〜50重量%程度とすることが好ましく、15〜40重量%がより好ましい。
【0042】さらに、本発明の熱硬化性樹脂シートには、熱硬化性樹脂としてエポキシ系樹脂を用いた場合には硬化剤や硬化促進剤を配合することができる。硬化剤としては、例えば一般にエポキシ系樹脂の硬化剤として用いられているフェノール樹脂、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物、ジシアンアミドなどのアミン化合物、接着信頼性などの点からフェノールアラルキル系樹脂やフェノールノボラック系樹脂などのフェノール樹脂などの硬化剤を適宜配合することが好ましい。これらのうち、特にフラックス活性の向上や接着性、ボイドの低減という観点から、150℃での溶融粘度が5Pa・s以下のフェノール樹脂を硬化剤として用いることが好ましい。さらに、水酸基当量が40〜200g/eqで、軟化点が110℃以下のものが好ましく、より好ましくは水酸基当量50〜190g/eqで、軟化点が50〜100℃、特に好ましくは水酸基当量60〜180g/eqで、軟化点が55〜90℃のフェノール樹脂を用いることが好ましい。
【0043】これらの硬化剤の配合量は、前記熱硬化性樹脂を硬化させるに充分な量であれば適宜配合することができ、例えば熱硬化性樹脂にエポキシ系樹脂を用い、硬化剤としてはフェノール樹脂を硬化剤として用いる場合には、エポキシ系樹脂中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂中の水酸基当量が0.5〜1.6当量、好ましくは0.8〜1.2当量となるように配合することが望ましい。
【0044】また、硬化促進剤もトリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザアビシクロ(4.3.0)ノネン−5、テトラフェニルホスホニウムテトラデニルボレートなどのアミン系やリン系、ホウ素系、リン−ホウ素系などの一般的に用いられている硬化促進剤を適宜配合することができる。なお、上記硬化剤や硬化促進剤はそのまま配合してもよいが、室温下での保存安定性を向上させるためには、硬化剤や硬化促進剤をマイクロカプセルに封入した潜在性硬化剤や潜在性硬化促進剤を好ましく用いることができることは云うまでもない。
【0045】また、必要に応じて本発明の熱硬化性樹脂シートには、他の有機材料や無機材料を配合することもできる。配合できる有機材料としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤や、チタンカップリング剤、表面調整剤(レベリング剤)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−スフェセナントン−10−オキサイドなどの酸化防止剤、インデンオリゴマーなどの粘着付与剤、ブロム化エポキシフェノールノボラックなどの難燃剤、ポリエチレンやカルバナなどのワックス類などが挙げられる。
【0046】無機材料としては、アルミナや球状シリカ粉末、溶融シリカ粉末、破砕状シリカ粉末、窒化珪素、酸化マンガン、炭酸カルシウム、チタン白などの各種充填剤、銅や銀、アルミニウム、ニッケル、半田などの金属粒子、三酸化二アンチモンなどの難燃助剤、その他顔料や染料などが挙げられる。
【0047】これらの有機材料や無機材料の配合量は目的に応じて適宜設定することができるが、通常、有機材料は熱硬化性樹脂シート中に50重量%以下、好ましくは40重量%以下の範囲で配合でき、無機材料は熱硬化性樹脂シート中に85重量%以下、好ましくは80重量%以下の範囲で配合することができる。無機材料の配合量が多すぎると、半田ボールと電極間の電気的接続が良好に行なわれなくなるおそれがある。
【0048】本発明の熱硬化性樹脂シートは、上記各成分からなる組成物を厚み5〜300μm程度のシート状に成形して得られるものであるが、具体的には以下の方法によって製造することができる。なお、以下に記載する製造方法は単なる一実施態様であり、これに限定されるものではない。
【0049】まず、熱可塑性樹脂およびフラックス成分を所定量で配合して、均一に混合したのち、必要に応じて、硬化剤や硬化促進剤、熱可塑性樹脂、各種有機材料、無機材料などを適宜配合して、溶解性や展延性を向上させるために、トルエンやメチルエチルケトン、酢酸エチルなどの有機溶剤を加えて均一に混合する。
【0050】次いで、得られた組成物溶液を片面に離型処理を施したポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムの処理面上に塗布、乾燥させて、本発明の熱硬化性樹脂シートを作製する。なお、上記乾燥工程では組成物溶液中の有機溶剤を除去することを目的としているので、含有する熱硬化性樹脂を熱硬化させる温度まで高めた乾燥ではない。従って、約50〜150℃の温度で乾燥させることが好ましい。
【0051】また、他の製造方法としては有機溶剤を用いずに樹脂組成物のみをロール、ミキサー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ニーダー、ディスパーなどを用いて、均一に分散、混合して、これを加熱溶融し、押出成形することによって、本発明の熱硬化性樹脂シートを得ることもできる。
【0052】本発明の熱硬化性樹脂シートは上記構成からなるものであるが、この熱硬化性樹脂シートを用いてバンプを形成する方法を以下に説明する。
【0053】本発明のバンプ形成方法は、バンプを形成すべきバンプ被搭載体の搭載予定面に、前記した熱硬化性樹脂シートを形成する工程と、形成した樹脂シート上にバンプ形成用の半田ボールを載置する工程と、載置された半田ボールをリフローする工程と、熱硬化性樹脂シートを加熱硬化する工程とを含むものである。
【0054】これらの各工程について、図1に示す図面を用いて説明する。
【0055】まず、半導体素子やインターポーザー、半導体パッケージ(BGA)などのバンプ被搭載体の片面に、前記のようにして作製した本発明の熱硬化性樹脂シートをラミネートする。図1(a)では、BGAタイプの半導体パッケージのインターポーザー上に熱硬化性樹脂シートをラミネートした状態の断面図を示している。
【0056】次に、図1(b)に示すように、バンプとなる半田ボールを半田ボールマウンターヘッドで吸着し、図1(a)のようにして熱硬化性樹脂シートをラミネートした半導体パッケージ(BGA)の表面に、半田ボール搭載位置を合わせて、図1(c)に示すように半田ボールを載置する。
【0057】最後に、半田ボールをリフローさせることによって、図1(d)に示すように半田がリフローし、さらに熱硬化性樹脂を硬化させる温度まで加熱することによって、樹脂シートを加熱硬化させ、搭載した半田ボールの根元を補強したバンプ形成体を得ることができるのである。
【0058】上記最後の工程において、半田ボールをリフローさせると、熱硬化性樹脂シート内に含有させているフラックス成分によって、半田ボール載置部の電極部の酸化膜が除去されて半田に対する濡れ性が向上し、図1(d)に示すように半田ボールが確実に載置され、電気的接続信頼性が向上するのである。
【0059】さらに、本発明では、上記した熱硬化性樹脂シートを用いてバンプを形成した半導体素子や半導体パッケージにおける半田ボールを介して、インターポーザーや外部配線基板、半導体素子などの被接続体に接続することによって、接続信頼性に優れた半導体装置を得ることができるものである。
【0060】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂シートを用いずに半田ボールを載置する従来法によって得られるバンプ形成体の構造の断面図を図2に示す。図1(d)と図2の比較から明らかなように、本発明のバンプ形成方法では半田ボールの根元を熱硬化性樹脂シートで補強しているので搭載した半田ボールの脱落がなく、確実に補強されていることが理解されるであろう。
【0061】さらに、本発明の熱硬化性樹脂シートにはフラックス成分を含有させているので、半田ボールのリフローだけで、半田ボール搭載部の酸化膜を簡単に除去することができるので、従来法のように、フラックス成分の塗布、洗浄といった工程が不要であり、工程の簡略化ができるものである。
【0062】また、本発明では熱硬化性樹脂を塗布するのではなく、予めシート状に形成しているので、半田ボール被搭載面へ均一に樹脂層を形成できるので、半田ボールの根元補強に信頼性が高まり、冷熱サイクル下やPCT条件下での接続信頼性に優れたパッケージや半導体装置を得ることができるという効果を発揮するものである。
【0063】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で種々の応用、変形ができることは云うまでもない。なお、以下、文中で部および%とあるのは重量部および重量%を意味する。
【0064】実施例1下記に示す配合によって本発明の熱硬化性樹脂シートを作製した。なお、具体的な製造方法としては、各成分を所定量で均一に混合した組成物をトルエンに固形分濃度60%で溶解し、この組成物溶液を片面にシリコーン樹脂によって離型処理を施したポリエステルフィルムの離型処理面に塗布し、120℃で乾燥して、厚み100μmの熱硬化性樹脂シートを作製した。
【0065】エポキシ樹脂A 28.9%エポキシ樹脂B 28.9%フラックス成分 3 %硬化剤A 33.9%硬化促進剤 0.3%熱可塑性樹脂 5 %【0066】上記配合における各成分は、以下のものを用いた。
【0067】・エポキシ樹脂A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185g/eq、溶融粘度10Pa・s/25℃)
・エポキシ樹脂B:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量170g/eq、溶融粘度0.08Pa・s/150℃、軟化点80℃)
・フラックス成分:アジピン酸イソプロピルジビニルエーテル・硬化剤:ノボラック型フェノール樹脂(水酸基当量104g/eq、溶融粘度0.1Pa・s/150℃、軟化点80℃)
・硬化促進剤:マイクロカプセル化トリフェニルホスフィン(シェル材料:ポリウレア、コア/シェル比=50/50%)
・熱可塑性樹脂:アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体(ムーニー粘度50、結合アクリロニトリル含量30%、結合カルボキシル基含量0.05ephr)
【0068】比較例1熱硬化性樹脂シートを用いない方法(フラックス成分を塗布、洗浄する従来法)を試験するために、実施例1にて用いたと同じフラックス成分の溶液を調製した。
【0069】比較例2従来法として、フラックス成分を含有する熱硬化性樹脂組成物のペーストを塗布する方法を試験するために、下記に示す配合によって熱硬化性樹脂ペーストを作製した。
【0070】エポキシ樹脂A 53.7%フラックス成分 3 %硬化剤B 43 %硬化促進剤 0.3%【0071】上記配合における各成分は、硬化剤としてを以下のものを用いた以外は、上記実施例1にて記載のものを用いた。
・硬化剤:アリル化フェノール樹脂(水酸基当量148g/eq、溶融粘度4Pa・s/50℃)
【0072】上記にて得られた本発明の熱硬化性樹脂シート(実施例1)を用いた本発明の方法、および熱硬化性樹脂シートを用いずに実施例1にて用いたフラックス成分を塗布、洗浄する従来法(比較例1)、フラックス成分を含有する熱硬化性樹脂ペーストを用いた方法(比較例2)によって、図1および図2に示す工程で半田ボールからなるバンプをCSP上に形成し、実装基板上にバンプ形成したCSPを実装して半導体装置を作製した。用いたCSPおよび形成するバンプ、実装基板の仕様は以下の通りである。
【0073】なお、比較例2の樹脂ペーストの場合は、図1(b)によって吸着された半田ボール7の先端に、特開2000−31187号公報に記載のようにペーストを塗布したのち、インターポーザー3上の電極部4に搭載し、半田リフローさせる方法によってバンプ形成を行なった。
【0074】<CSP仕様>・インターポーザーの材質:銅箔18μm厚/ポリイミドフィルム50μm厚/銅箔18μm厚の両面基板・半田レジスト:エポキシ系樹脂20μm厚・半導体素子サイズ:9.4mm×9.4mm×0.4mm・インナーバンプ:共晶半田、286個、80μmφ・オーバーモールド樹脂:エポキシ系封止樹脂・オーバーモールド後のパッケージサイズ:11mm×11mm×0.7mm(アウターバンプを含まないサイズ)
【0075】<半田ボール形成>・外部接続用電極の配置:0.5mmピッチ、4列、計240電極・外部接続用電極半田レジストの開口径:200μmφ・外部接続用半田ボール(アウターバンプ):共晶半田、300μmφ【0076】<実装基板仕様>・実装基板(被接続体):ガラスエポキシ基板(FR4)、サイズ60mm×90mm×0.5mm、実装基板上に8個のCSPを搭載・実装基板半田レジストの開口径:200μm径【0077】実施例1、比較例1および比較例2を用いて得た半導体装置を、55℃×5分間と125℃×5分間の液層冷熱サイクルにかけて、500サイクル、1000サイクル、1500サイクル、2000サイクル後の導通テストを行なった。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】上記表1から明らかなように、本発明品では冷熱サイクル下での接続信頼性が高いことが明らかである。また、本発明では比較例1品のようなフラックス成分を塗布、洗浄するといった工程が不要であるので、工程の簡略化が図れ、低コスト、省力化が図れるという極めて実用的なものであり、有用性に優れたものである。
【0080】さらに、フラックス成分を含有する熱硬化性樹脂ペーストを用いる方法によっても、本発明品と同様に半田ボールの根元を補強することができるが、一定厚のシートをラミネートする本発明品とは異なり、部分的にペーストを塗布しているので、不均一な厚みでの補強となり、接続信頼性にやや欠ける恐れがある。また、本発明の樹脂シートはバンプ搭載面の一面全面にラミネートしているのに対して、ペースト塗布では不均一な部分的な塗布となるので、冷熱サイクル下において熱硬化性樹脂の欠けなどが発生する恐れがある。
【出願人】 【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
【出願日】 平成12年4月27日(2000.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−311005(P2001−311005A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−128388(P2000−128388)