| 【発明の名称】 |
ゴム組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】榊 俊明
【氏名】溝口 哲朗
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| 【要約】 |
【課題】低弾性率であって耐破壊特性に優れた、免震支承の積層ゴム用として有用なゴム組成物を提供する。
【解決手段】天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを50重量部以上含有するジェン系ゴム100重量部に対し、カーボンブラック10〜35重量部とシリカ5〜25重量部の割合で含有し、静的せん断弾性率が4.5kgf/cm2以下、100%折り返し時のヒステリシスロスが8〜35%であるゴム組成物。前記カーボンブラックは、DBT吸油量が55〜100ml/100g、ヨウ素吸着量が20〜120mg/であり、また前記シリカはBET比表面積が150〜300m2/gであるものが有利に使用される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを50重量部以上含有するジェン系ゴム100重量部に対し、カーボンブラック10〜35重量部とシリカ5〜25重量部の割合で含有し、静的せん断弾性率が4.5kgf/cm2以下、100%折り返し時のヒステリシスロスが8〜35%であることを特徴とするゴム組成物。 【請求項2】前記カーボンブラックのDBT吸油量およびヨウ素吸着量がそれぞれ55〜100ml/100gと20〜120mg/gであり、前記シリカのBET比表面積が150〜300m2/gである請求項1記載のゴム組成物。 【請求項3】免震支承の積層ゴム用である請求項1または2記載のゴム組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物に関し、さらに詳しくはジェン系ゴムと特定量のカーボンブラックおよびシリカを含有し、低弾性率で耐破壊特性に優れ、免震支承用の積層ゴムとして好適なゴム組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】鋼板等の硬質板とゴム状弾性板を積層して構成される免震支承は建物の固有周期を長周期化することにより、地震動との共振を防いでいる。昨今、さらに免震効果を高めるために、建物の固有周期をより長期化することが求められている。建物の固有周期(T)は、公知文献(多田英之監修・高山峯夫ら著「4秒免震への道」、理工図書出版)に記載されているように、次式:【0003】 【数1】
【0004】(式中、πは円周率、Wは支承にかかる重量、Keqは水平バネ定数、gは重力加速度を示す)で表わされる。この式から、Tを大きくするにはKeqを小さくすること、すなわち水平バネ定数の低下、つまり積層ゴムの低弾性率化が必要となる。具体的には、従来、25%低伸長応力から算出される静的せん断弾性率(Gs)で4.5kgf/cm2以下、とりわけ4.0kgf/cm2以下であることが望まれる。従来、このような低弾性率、とりわけ4.0kgf/cm2以下の低弾性率ゴムは、補強剤として一般的に使用されるカーボンブラックを多充填できないが故に、大変形時の耐破壊特性が不十分であった。また、カーボンブラックを多充填するには同時に軟化剤も多量に使用せざるを得ず、このために軟化剤の移動拡散によりクリープ性能の悪化をもたらすことから、カーボンブラックの使用量に限界があった。一方、ゴム用の補強剤としてシリカを添加することが知られており、特開平10−310664号公報には、カーボンブラックと共にシリカをゴムに含有せしめることが開示されている。しかし、それらの配合量は、ゴム100重量部に対し、カーボンブラックが40〜80重量部、シリカが30〜50重量部もの高い量となっている。このような配合量において、Gs≦4を得るためには数十重量部以上もの軟化剤を添加する必要があり、前述したようにクリープ悪化等の問題を生ずる。すなわち、特開平10−310664号公報に記載のようにカーボンブラックおよびシリカを高充填することは、むしろ高Gs化に適しているといえる。また、WO98/16580号公報にも、カーボンブラックとシリカを併用することが開示されているが、やはりカーボンブラックとシリカの合計量がゴム100重量部に対し60〜95重量部も充填されており、弾性率が非常に高いゴム組成物となっている。そのため、石油系の樹脂を添加して軟化効果を与えているものの、Gsは6程度までしか低下していない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の低弾性率免震支承用ゴム組成物においては、ゴムの補強剤としてのカーボンブラックを多充填できないことから、大変形性能に必要なゴムのヒステレシスを充分にとれず、このために軟化剤を多充填するとその移行拡散によるクリープ性能の悪化をもたらすという技術的課題が残されている。本発明は、これらの課題を改善することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記の技術的課題に鑑みて、本発明者らはゴム組成物に補強剤として添加されるカーボンブラックおよびシリカについて、その配合量や特性がゴム組成物の性能、とりわけ免震支承用ゴム材料として要求される性能に与える影響を多方面から種々検討し、その結果本発明を完成したものである。 【0007】すなわち、本発明は次の発明を包含する。 1)天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを50重量部以上含有するジェン系ゴム100重量部に対し、カーボンブラック10〜35重量部とシリカ5〜25重量部の割合で含有し、静的せん断弾性率が4.5kgf/cm2以下、100%折り返し時のヒステリシスロスが8〜35%であることを特徴とするゴム組成物。 【0008】2)前記カーボンブラックのDBT吸油量およびヨウ素吸着量がそれぞれ55〜100ml/100gと20〜120mg/gであり、前記シリカのBET比表面積が150〜300m2/gである上記1)項記載のゴム組成物。 3)免震支承の積層ゴム用である上記1)または2)項記載のゴム組成物。本発明のゴム組成物は、低弾性率で耐破壊特性に優れており、クリープの増大が抑えられていることから、免震支承の積層ゴム用として有用である。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明におけるゴム基材はジェン系ゴムであり、天然ゴムとイソプレンゴムを前記の重量割合で含有するものである。基材ゴムにおいて、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムが50重量部以上であることを要し、50重量部未満では座屈による大変形性能の低下をきたすので、本発明の目的とするゴム組成物が得られない。 【0010】基材ゴムとして、イソプレン以外の合成ゴムとしては、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムの1種または2種以上の混合物が挙げられる。本発明のゴム組成物におけるカーボンブラックとしては、DBT吸油量が55〜100ml/100gでありヨウ素吸着量が20〜120mg/gであるものが好ましく使用される。DBP吸油量が、55ml/100g未満または/およびヨウ素吸着量が20mg/g未満では補強性が不足し、一方DBT吸油量が100ml/100gを越えるかまたはヨウ素吸着量が120mg/gを越えると弾性率が過剰または破断伸びが不足し、低弾性率支承用積層ゴムとしては適当ではない。 【0011】ここでいうDBT吸油量は、カーボンブラックのストラクチャー(粒子相互間に働く2次引力、その他の要因により粒子がいくつかつながって鎖状になる状態)の度合いに関係する特性である。吸油量が大きいほどストラクチャーが大きくなる。本発明におけるDBT吸油量は、JIS K6217「ゴム用カーボンブラックの基本性能の試験法」の9項に記載の測定法で測定された値をいう。 【0012】また、ヨウ素吸着量は、粒子径に関係し、その値が大きいほど粒子径は小さくなる。本発明におけるヨウ素吸着量は、JIS K6217「ゴム用カーボンブラックの基本性能の試験法」の6項に記載の測定法で測定された値をいう。本発明において使用されるカーボンブラックの具体例としては、アメリカ材料試験協会(ASTM)規格でいうN77(SRF−HM)、N762(SRF−LM)、N660(GPF)、N326(HAF−LS)、N330(HAF)、N219(ISAF−LS)等のものが挙げられる。 【0013】次に、本発明のゴム組成物におけるシリカとしては、含水ケイ酸、無水ケイ酸のいずれでもよく、BET比表面積が150〜300m2/gである高活性グレードのものが適当である。BET比表面積が150m2/g未満では、必要な補強性とヒステリシスの付与が達成できず、一方300m2/gを越えるグレードのものは含水ケイ酸にはなく、無水ケイ酸では1次粒子の平均径が数nmとなり分散性、加工性が悪くなり適当ではない。 【0014】ここでいうBET比表面積は吸着気体として窒素ガスを用いる気相吸着法(例えば、柴田化学器械工業(株)製の迅速表面積測定装置SA−1000)で測定される。上記の比表面積を有し、本発明に使用できるシリカの具体例としては、ニプシルVN3やニプシルAQ[いずれも日本シリカ(株)製]、トクシール[(株)トクヤマ製]、ウルトラシルVN3(Degussa社製)などが挙げられる。 【0015】カーボンブラックとシリカの配合量は、ゴム組成物の静的せん断弾性率が4.5kgf/cm2以下で、かつ100%折り返し時のヒステリシスロスが8%以上35%以下となるように、前記のそれぞれの配合範囲から選択される。カーボンブラックが10重量部未満であると、ゴムの補強性が不充分でクリープが大きくなる。一方、カーボンブラックが35重量部を越えると多量の軟化剤を添加しないと静的せん断弾性率4.5kgf/cm2以下にすることはできない。カーボンブラックのさらに好ましい配合量は、ゴム基材100重量部に対し10〜25重量部である。また、シリカの量が25重量部よりも過剰のときは加硫遅れ、架橋度の低下による低温硬化等の問題を生じ、好ましくない。シリカのさらに好ましい配合量は、ゴム基材100重量部に対し10〜20重量部である。 【0016】カーボンブラックおよびシリカは前記の量比で配合されるが、その合計量が50重量部以下となるようにするのが好ましく、35重量部以下とすればさらに好ましい。本発明のゴム組成物の静的せん断弾性率は、4.5kgf/cm2以下であることを特徴とするが、その下限は3.0kgf/cm2程度までである。本発明における静的せん断弾性率は、JIS K6254「低変形応力・ひずみ試験方法」での25%引張応力σ25から、Gs=1.639×σ25により求められる。 【0017】この静的せん断弾性率は、カーボンブラックおよびシリカの配合量と、さらに軟化剤を併用することによって調整することができる。軟化剤は、1種または2種以上を併用してもよいが、その合計量は20重量部程度までとし、好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下とするのがよい。この軟化剤としては、脂肪油系軟化剤、松根油系軟化剤、石油系軟化剤、コールタール系軟化剤、合成樹脂系軟化剤、トール油、ファクチス等が挙げられる。その具体例としては、「ダイアナプロセス PW−32(出光興産)、 パラフィン系プロセスオイル」、「共石プロセス X−100(日鉱共石)、 芳香族系プロセスオイル」などがあげられる。 【0018】本発明のゴム組成物は、ヒステリシスロスが8〜35%であることも特徴の一つである。この値がが大きいほど破断強度が向上する傾向があるものの、大きくなり過ぎるとゴム弾性が失われ、クリープが大きくなるという問題がでてくる。ヒステリシスロスの上限は35%までであるが、好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下である。ヒステリシスロスを前記の特定範囲とするには、主としてシリカの配合量を前記の範囲に調整することによって目的が達せられる。 【0019】本発明でいうヒステリシスロスは、100%伸張における応力−歪曲線の入力エネルギー、すなわち曲線の下の面積で散逸エネルギーすなわちヒステリシスループの面積を割った値で示される。本発明のゴム組成物は、上記の特性を有することから免震支承の積層ゴムとして好適である。支承のクリープの程度は、支承のゴム高さの8%未満に抑える必要があり、好ましくは6%以内とされる。本発明のゴム組成物において、軟化剤は、この程度のクリープにおさまる程度に添加される。 【0020】本発明のゴム組成物には、加硫剤(例えば、粉末硫黄)、加硫促進剤[例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド(CBS)、テトラエチルチウラム・ジスルフィド(TETD)]、加硫助剤(例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛等)、老化防止剤[例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物]、等を必要に応じて添加する。通常、ゴム100重量部に対し、加硫剤0.3〜5重量部、加硫促進剤0.3〜4重量部、加硫助剤1〜6重量部を配合する。 【0021】本発明のゴム組成物は、上記のように各成分を配合し、十分混練したのち、通常、110〜150℃で加熱加硫し成形する。本発明のゴム組成物は、特定の配合範囲のカーボンブラックおよびシリカを含有し、静的せん断弾性率が4.5kgf/cm2以下、ヒステリシスロスが8〜35%であるという特性を有する。本ゴム組成物は、免震支承の積層ゴムとして好適である。 【0022】 【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。 実施例1表1の実施例1の項に示す配合物を、バンバリーミキサーを用いて充分に混練した後、140℃で30分間加熱し、加硫・成形してゴムシートを作製した。 【0023】なお、表1において、次の配合物が用いられた。 ・天然ゴム:SMR CV60 (Standard Malasian Rubber、ConstantViscosity 60) ・イソプレンゴム(IR):NIPOL IR2200(商品名) ・イソプレンゴム(IR):カリフレックスIR309(商品名) ・カーボンブラック(GPF):DBT吸油量84ml/g、ヨウ素吸着量24mg/g、(三菱化学製、 商品名;ダイアブラックG) ・シリカ:BET比表面積270m2/g、日本シリカ製、商品名;ニプシルVN3・アロマチックオイル:鉱物油系の軟化剤に属する石油系軟化剤のひとつである芳香族プロセスオイルで芳香族炭素が35%以上のものである。 【0024】・老化防止剤13;N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興、ノクラック6C・老化防止剤HPG:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー、グレートレイクス社、アノックスHPG・加硫促進剤NS:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興、ノクセラーNS加硫促進剤TOT−n:テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、大内新興、ノクセラーTOT−n次に、かくして作製されたシートを用いて、外径φ600mm、内径φ15mm、 一次形状係数S1=41.2、二次形状係数S2=5.1、 ゴム積層数3.55mm×33層、鋼板積層数3.2mm×32層、の免震支承を作製した。この支承に、せん断弾性率を面圧200kg/cm2で水平方向に破断するまでせん断歪を与えた。 【0025】一方、同じゴムシートを用いて、外径φ180mm、 内径φ0mm、 一次形状係数S1=34.6、二次形状係数S2=4.95、ゴム積層数1.3×28層、鋼板積層数1.2mm×27層、の免震支承を作製した。これを常温で老化させ、60年後のクリープ量を推定した。測定結果を表1に示す。 【0026】表1において、ΔVはトルエン中、40℃、24時間後の体積膨張率を、Hsは旧JIS K6301 JISA型硬度を、動的せん断弾性率は東京衡機製造製動的せん断試験機での20℃、0.3HzI100%歪での測定値をそれぞれ示す。 実施例2実施例1と同様にして得たゴムシートを用いて、φ600およびφ180の支承を作製した。その限界破断歪とクリープ率を測定した。その結果を表1に示す。 比較例1表1の比較例1の項に示す配合組成でゴムシートを作製した。このゴムシートを用いて、実施例1と同様にしてφ600およびφ180の支承を作製した。その限界破断歪とクリープ率を測定した。その結果を表1に示す。 比較例2表1の比較例2の項に示す配合組成でゴムシートを作製した。このゴムシートを用いて、実施例1と同様にしてφ600およびφ180の支承を作製した。その限界破断歪とクリープ率を測定した。その結果を表1に示す。 【0027】 【表1】
【0028】表1に示す結果から、カーボンブラック量とシリカ量を適宜に選択することにより、静的せん断弾性率が4.5kgf/cm2以下でヒステリシスロスが8%以上のゴム組成物が得られ、限界破断伸びは400%以上、クリープ率8%未満の支承を作製することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183233 【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年7月9日(1999.7.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075155 【弁理士】 【氏名又は名称】亀井 弘勝 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−72800(P2001−72800A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月21日(2001.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平11−196483 |
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