トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 弾性を有する吸液性部材
【発明者】 【氏名】岩瀬 保通

【要約】 【課題】優れた吸液性能を備えると共に、使用用途に応じて、任意の形状に、好適には、球体状などの形状として一体成形で、容易に、しかも安価で、かつ微小なものとなる弾性を有する吸液性部材を提供する。

【解決手段】熱可塑性エラストマーと、吸水性樹脂及び/又は吸油性樹脂と、発泡剤と、ブレンドオイルとを混合した混合物を成形加工してなることを特徴とする弾性を有する吸液性部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性エラストマーと、吸水性樹脂及び/又は吸油性樹脂と、発泡剤と、ブレンドオイルとを混合した混合物を成形加工してなることを特徴とする弾性を有する吸液性部材。
【請求項2】 混合物全量に対して、熱可塑性エラストマーを70〜90重量%、吸水性樹脂及び/又は吸油性樹脂を5〜30重量%、発泡剤を1〜5重量%、ブレンドオイルを1〜5重量%混合してなる請求項1記載の弾性を有する吸液性部材。
【請求項3】 熱可塑性エラストマーがオレフィン系エラストマーである請求項1又は2記載の弾性を有する吸液性部材。
【請求項4】 成型加工が射出成形、コンプレッション成形である請求項1〜3の何れか一つに記載の弾性を有する吸液性部材。
【請求項5】 弾性を有する吸液性部材の形状が球体状である請求項1〜4の何れか一つに記載の弾性を有する吸液性部材。
【請求項6】 吸液性部材を備えた筆記具用キャップにおいて、吸液性部材が請求項1〜5の何れか一つに記載の弾性を有する吸液性部材からなることを特徴とする筆記具用キャップ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた吸液性能を備えた弾性を有する吸液性部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、弾性を有する吸液性部材は、弾性、浸透性、加工性等に優れているので、工業機械の潤滑油供給部品、各種緩衝部材、濾過材等の工業部品、サポータ等の医療用途、スタンプ台の印褥体、印鑑の印面、浸透印のゴム状部材等の事務機器用インク供給部品、筆記具のペン先、筆記具用キャップ等の筆記具用部品等に広く用いられている。
【0003】このようなスポンジ様の部材は、従来において、原料ゴム組成物に発泡剤を混練した後、加熱して加硫および発泡させ、連続気孔をゴム体中に生成することにより製造されていた。しかしながら、発泡剤を発泡させて生じる気泡は、独立気泡も混在する上、連続気孔も均一性に欠け、しかも微細な気泡の形成は非常に困難であった。
【0004】また、特公昭39−29183号公報、特公昭48−41936号公報等には、原料ゴム組成物に易水溶性塩類、粉末状界面活性剤および発泡剤を混練し、成形加硫しながら発泡させて気泡を生じさせた後、練り込んだ該易水溶性塩類を水で溶解除去することにより、連続気孔を有するスポンジゴム体を製造する方法が開示されている。
【0005】しかしながら、上記易水溶性塩類を用いる方法は、成形加硫が終了する前に水と接触させると該塩類が潮解してしまい、良好な気孔を有するスポンジゴム体が得られないため、製造時に水分との接触を厳密に避けなければならないという欠点を有している。また、易水溶性塩類を用いるため、該塩類を除去する前の工程において、生産機器類に錆を生じやすく、また、摩耗もし易く、機器管理にも十分注意を払わなければならないという問題も有している。
【0006】更に、特開平6−107856号公報等には、原料ゴム組成物に混練条件下で液状又は粘ちょう液状の非イオン性界面活性剤と水溶性塩類粉末を同時又は順次加えて混練し、成形加硫した後、界面活性剤及び塩類粉末を溶解除去することにより、連続気孔を有するスポンジゴム体を製造する方法が開示されている。しかしながら、上記の界面活性剤及び塩類粉末を用いる方法は、混練後、界面活性剤が塩類粉末の周囲に均一に存在し、かつ、塩類粉末の繋がりも界面活性剤で満たすには過剰量の界面活性剤が必要となり、このような物を混練しても、混練時に界面活性剤が過剰な滑剤として働くため、塩類粉末が均一に分散できず、塩類除去後の気孔が不均一になるという問題を有している。また、混練工程において裸の(未処理の)塩類粉末を使用するため、塩類粉末の種類によっては、機器類の錆を生じやすく、また、作業者が劣悪な作業環境を強いられ、機器管理に注意を要し、加硫時に過剰な界面活性剤が滲みだし、塩類粉末除去後も過剰な界面活性剤がゴム中に残存し、スポンジ加工方法によっては、例えばレーザー加工等のような発熱を伴う加工では素材が燃えてしまう等の課題を有している。
【0007】更に、印鑑の印面、浸透印のゴム状部材等の事務機器用インク供給部品や筆記具用部品等に用いられる弾性を有する吸液性部材にあっては、各々の要求仕様として調達するには、原材料の一次加工品業者から素材となる必要な材質、空隙率、色等で予め加工されたケ−キと云われる大きな原料を入手した二次加工業者によって必要な寸法、空隙率等に仕上げてこの二次業者から仕入れているものであった。そのため、球体状や異形のような形状については、加工ロスがあったりして高価なものとなったり、空隙を保有するための加工方法も困難で加工精度も期待できず、更に小径であると加工が困難となるのが現状であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、優れた吸液性能を備えた弾性を有する吸液性部材を容易に、しかも安価で、かつ微小なものも製造することができる弾性を有する吸液性部材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来技術の課題等を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性エラストマーと、特定の樹脂と、発泡剤と、ブレンドオイルとを混合した混合物を成形加工することにより、上記目的の弾性を有する吸液性部材を得ることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 熱可塑性エラストマーと、吸水性樹脂及び/又は吸油性樹脂と、発泡剤と、ブレンドオイルとを混合した混合物を成形加工してなることを特徴とする弾性を有する吸液性部材。
(2) 混合物全量に対して、熱可塑性エラストマーを70〜90重量%、吸水性樹脂及び/又は吸油性樹脂を5〜30重量%、発泡剤を1〜5重量%、ブレンドオイルを1〜5重量%混合してなる上記(1)記載の弾性を有する吸液性部材。
(3) 熱可塑性エラストマーがオレフィン系エラストマーである上記(1)又は(2)記載の弾性を有する吸液性部材。
(4) 成型加工が射出成形、コンプレッション成形である上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の弾性を有する吸液性部材。
(5) 弾性を有する吸液性部材の形状が球体状である上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の弾性を有する吸液性部材。
(6) 吸液性部材を備えた筆記具用キャップにおいて、吸液性部材が上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の弾性を有する吸液性部材からなることを特徴とする筆記具用キャップ。
なお、本発明で規定する「吸液性」とは、主に吸水性及び/又は吸油性を有することを意味し、水成分、油成分の他、用いる吸水性樹脂、吸油性樹脂の機能によりアルコールや無機溶剤、有機溶剤などを吸着する性能を有する場合も含むものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。本発明の弾性を有する吸液性部材は、熱可塑性エラストマーと、吸水性樹脂及び/又は吸油性樹脂と、発泡剤と、ブレンドオイルとを混合した混合物を成形加工してなることを特徴とするものである。
【0011】本発明に用いる熱可塑性エラストマーは、弾性基材となるものであり、広い温度範囲でゴム的性質を示す一方、加熱することで溶融し、熱可塑性樹脂としての流動特性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系、ポリエステル系、塩化ビニル系、スチレン系、ポリアミド系、ウレタン系、1,2−ポリブタジエン系などが挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種以上のいずれでも良いが、耐薬品性、耐溶剤性、成形容易性、コストなどを考慮するとオレフィン系エラストマーの使用がより好ましい。具体的には、三菱化学社製のサーモラン3551N、三井化学社製のミラストマー5030N、住友化学社製の住友TPE3570、日本ポリオレフィン社製のオレフレックスP100G、P132G(以上、オレフィン系エラストマー)、クラレ社製のスチレン系熱可塑性エラストマーであるセプトンCJ001、CJ002などが挙げられる。また、これらの熱可塑性エラストマーの配合量は、吸液性部材の使用用途等を勘案して好適な配合量が設定されるものであり、混合物全量(100重量%、以下同様)に対して、70〜90重量%(以下、単に「%」という)、好ましくは、60〜80%である。熱可塑性エラストマーの配合量が70%未満であると、添加される吸水性樹脂等の混合状態が充分でなく、また、90%を越えると、吸水性樹脂等の効果が得られなくなり、好ましくない。
【0012】本発明に用いる吸水性樹脂としては、吸水能を有する樹脂であれば、特に限定されるものでないが、好ましくは、上記熱可塑性エラストマーと相溶性が良好なものが望ましく、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩共重合体系、デンプングラフト重合系及びデンプンカルボキシメチル化(CM化)系、セルロースグラフト重合系及びセルロースカルボキシメチル化(CM化)系、ポリビニルアルコール(PVA)系などの吸水性樹脂が挙げられる。これらの吸水性樹脂は、粉末又は球体状の形態等が用いられるが、作業性の面などから、好ましくは、球体状のものが望ましく、また、平均粒径は0.5μm以下のものが望ましい。具体的には、住友精化社製のアクアキープ4S、同10SH−NF、クラレ社製のKIゲル−201K、同KIゲル−201K−F2、三菱化学社製のアクアパールI400、荒川化学社製のアラソープ、花王社製のワンダーゲル、日本触媒社製のアクアリックCAなどが挙げられる。これらの吸水性樹脂は、汎用樹脂の中で最も吸水率の高い樹脂であるナイロン樹脂の平衡水分率4%に対し、吸湿率が30%以上と高い特性を有するものである。
【0013】本発明に用いる吸油性樹脂としては、吸油能を有する樹脂であれば、特に限定されるものでないが、好ましくは、上記熱可塑性エラストマーと相溶性が良好なものが望ましく、例えば、長鎖アルキルアクリレート系、ポリノルボルネンの架橋物、アルキルスチレン,アルキル(メタ)アクリレート,ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの(共)重合物の架橋物、ポリイソブチレン、並びに、親水性及び親アルコール性を有するN−ビニルアセトアミド(NVA)を主ポリマーとする高分子などが挙げられる。これらの吸油性樹脂は、粉末又は球体状の形態等が用いられるが、作業性の面などから、好ましくは、球体状のものが望ましく、また、平均粒径は0.5μm以下のものが望ましい。具体的には、昭和電工社製のPNVA(ノニオレックス NA−010M)などが挙げられる。
【0014】上記吸水性樹脂、吸油性樹脂は、吸液性部材の使用用途等に応じて、混合物に対して夫々単独で又は併用することができ、その配合量は、吸液性部材の使用用途等を勘案して好適な配合量が設定されるものであり、混合物全量に対して、5〜30%、好ましくは、10〜20%である。上記吸水性樹脂及び/又は吸油性樹脂の配合量が5%未満であると、目的の吸水性能及び/又は吸油性能を発揮することができず、また、30%を越えると、主材となる熱可塑性エラストマーとの混合状態が悪くなり、好ましくない。
【0015】本発明に用いる発泡剤は、気孔を確保するために用いられるものであり、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)などが挙げられ、用いる熱可塑性エラストマー、吸水性樹脂、吸油性樹脂及び吸液性部材の使用用途等に応じて、最適な発泡剤が選択される。具体的には、永和化成工業社製のFE512、ビニホールSE#30、ポリスレンEE206、ポリスレンEE207、ネオセルボンS−250Wなどを挙げることができる。これらの発泡剤の配合量は、吸液性部材の使用用途等を勘案して好適な配合量が設定されるものであり、混合物全量に対して、1〜5%、好ましくは、1〜2%である。発泡剤の配合量が1%未満であると、発泡分布が不充分の場合が発生することとなり好ましくなく、また、5%を越えても発泡倍率は変わらないものとなる。
【0016】本発明に用いるブレンドオイルは、バインダー目的ために用いられるものであり、例えば、流動パラフィンなどが挙げられ、用いる熱可塑性エラストマー、吸水性樹脂、吸油性樹脂及び吸液性部材の使用用途等に応じて、最適なブレンドオイルが選択される。具体的には、松村石油研究所のモレスコホワイトP−55,P−60、P−70、モレスコバイオレスU−6,U−7,U−8などを挙げることができる。これらのブレンドオイルの配合量は、吸液性部材の使用用途等を勘案して好適な配合量が設定されるものであり、混合物全量に対して、1〜5%、好ましくは、1〜2%である。ブレンドオイルの配合量が1%未満であると、各種混合材料の混練にバラツキが発生することとなり、また、5%を越えると、混合材料に対し過剰となり、油だまりなど成形面で難がでてくる状況となり、好ましくない。
【0017】本発明では、上記各成分を用いるものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、吸液性部材の使用用途などに応じて、更に、上記各成分の混合物などに対して、非架橋性エラストマー、熱可塑性樹脂、充填剤、軟化剤、可塑剤、相溶化剤、各種任意成分となる添加剤等を配合することができ、これらに用いる各任意成分の配合や添加量については、所望の吸液性部材に応じて適宜選択すればよい。非架橋性エラストマーとしては、例えば、EPDM、EPR、ポリイソブチレン、IIR、SBR、NR、CR、IR等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、PP、PE、EVA、POM、EP共重合体等が挙げられる。充填剤、補強剤としては、例えば、炭酸カルシウム、コロイド粘土、軟質ヒドロキシ炭酸マグネシウム、硅藻土、二酸化珪素、リトポン、硫酸バリウム等が挙げられる。加工性を向上させるための軟化剤、可塑剤としては、例えば、芳香族系、脂肪酸系、DOP系可塑剤等が挙げられる。その他に、無定型ポリマー等の改質剤、酸化防止剤、発泡剤、導電剤、着色剤等の各種添加剤を適宜使用できる。
【0018】本発明では、熱可塑性エラストマーと、吸水性樹脂及び/又は吸油性樹脂と、発泡剤と、ブレンドオイル及び必要に応じて上記任意成分を混合した混合物を成形加工することにより目的の弾性を有する吸液性部材が得られることとなる。本発明における成形加工としては、上記各成分を混合させた混合物(材料)を用意し、例えば、球体状の成形用金型にて射出成形又はコンプレッション(圧縮)成形することなどが挙げられ、具体的には東芝製のIS−100ENなどの射出成形機等により成形することができる。また、成形条件としては、吸液性部材の使用用途等により好適な成形温度、圧量等が設定されるものであり、例えば、成形温度が230℃圧力が70Kg/cm2が挙げられる。本発明で得られる吸液性部材としては、使用用途等に応じて好適な形状が成形されるものであるが、好ましくは直径3mm、5mm、10mmなどの球体状が望ましい。
【0019】本発明の弾性を有する吸液性部材は、上述の如く、熱可塑性エラストマーと、吸水性樹脂及び/又は吸油性樹脂と、発泡剤と、ブレンドオイルとを混合した混合物を成形加工することにより、優れた吸液性能を備えた弾性を有する吸液性部材が得られることとなる。また、本発明では、弾性を有する吸液性部材を使用用途に応じて、任意の形状に、好適には、真球体状、楕円球体状などの球体状として、または、円柱状などの異形状として一体成形で、容易に、しかも安価で、かつ微小なものも製造することができることとなる。本発明の弾性を有する吸液性部材は、弾性、吸液性、浸透性、加工性等に優れているので、例えば、工業機械の潤滑油供給部品、各種緩衝部材、濾過材等の工業部品、サポータ等の医療用途、スタンプ台の印褥体、印鑑の印面、浸透印のゴム状部材等の事務機器用インク供給部品、筆記具のペン芯などのペン先、筆記具用キャップ等の筆記具用部品等に広く用いることができる。
【0020】本発明の筆記具用キャップは、吸液性部材を備えた筆記具用キャップにおいて、吸液性部材が上述の弾性を有する吸液性部材からなることを特徴とするものである。図1及び図2は、本発明の筆記具用キャップの第1実施形態、第2実施形態を示す図面である。第1実施形態の筆記具キャップは、図1に示すように、細字、太字のペン芯10,20を備えたツインタイプのサインペン態様の筆記具に用いられるものである。インキの流出は、インキを吸蔵した中綿11,21から毛細管作用等により各ペン芯10,20に流出する構成となっている。太字側のキャップAと細字側のキャップBの内部には、上述の射出成形加工により得られた各直径3mm、4mmの弾性を有する吸液性部材22,12が嵌着され、夫々ペン芯10,20の先端と当接する構造となっている。また、第2実施形態の筆記具キャップは、図2に示すように、ペン芯30,40を備えたツインタイプのマーキングペン態様の筆記具に用いられるものである。インキの流出は、インキを吸蔵した中綿31から毛細管作用等により各ペン芯30,40に流出する構成となっている。各キャップC,Dの内部には、上述の射出成形加工により得られた各φ7×7mm、φ10×10mmの弾性を有する球体状の吸液性部材32,42が嵌着され、夫々ペン芯30,40の先端と当接する構造となっている。これらの実施形態の筆記具用キャップA〜Dでは、ペン芯などのペン先を保護すると共に、顔料インキを使用した筆記具ではペン先での顔料粒子の沈降・乾燥を防止することができるものとなる。なお、上記実施形態では、吸液性部材とペン芯の先端とを当接する構造としたが、当接しない構造であってもよく、また、上記実施形態では吸液性部材をキャップに嵌着する構造としたが、吸液性部材とキャップとを二種成形(異材質成形)により一体成形することにより、吸液性部材の嵌着工程を省略してもよいものである。
【0021】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0022】〔実施例1〕下記配合成分をカワタスーパーミキサー(カワタ社製、SMV−20、以下同様)により、混合し、射出成形機(東芝製、IS−100EN、成形温度230℃圧力70Kg/cm2、以下同様)を用いて球体状の弾性を有する吸液性部材(直径10mm,気孔率70%)を製造した。
(配合成分)
熱可塑性エラストマー:ポリオレフィン系エラストマー 〔サーモラン3551N(三菱化学社製)〕 88.0% 吸水性樹脂:ポリアクリル酸塩系 アクアパールI400(三菱化学社製)〕 8.0% 発泡剤:アゾジカルボンアミド 〔ビニホールSE#30(永和化成工業社製)〕 2.5% ブレンドオイル:流動パラフィン 〔モレスコホワイトP−55(松村石油研究所社製)〕 1.5%【0023】〔実施例2〕下記配合成分をカワタスーパーミキサーにより、混合し、射出成形機(IS−100EN)を用いて球体状の弾性を有する吸液性部材(直径10mm、気孔率70%)を製造した。
(配合成分)
熱可塑性エラストマー:ポリオレフィン系 〔オレフレックスP201C(日本ポリオレフィン社製)〕 91.0% 吸水性樹脂:ポリアクリル酸塩系 〔アクアパールI400(三菱化学社製)〕 5.0% 発泡剤:アゾジカルボンアミド 〔ビニホールFE512(永和化成工業社製)〕 2.5% ブレンドオイル:流動パラフィン 〔モレスコホワイトP−55(松村石油研究所社製)〕 1.5%【0024】〔実施例3〕下記配合成分をカワタスーパーミキサーにより、混合し、射出成形機(IS−100N)を用いて球体状の弾性を有する吸液性部材(直径10mm、気孔率70%)を製造した。
(配合成分)
熱可塑性エラストマー:ポリオレフィン系 〔サーモラン3551N(三菱化学社製)〕 88.0% 吸水性樹脂: 〔KIゲル201KF2(クラレ社製)〕 8.0% 発泡剤:アゾジカルボンアミド 〔ビニホールSE#30(永和化成工業社製)〕 2.5% ブレンドオイル:流動パラフィン 〔モレスコホワイトP−55(松村石油研究所社製)〕 1.5%【0025】〔実施例4〕下記配合成分をカワタスーパーミキサーにより、混合し、射出成形機(IS−100EN)を用いて球体状の弾性を有する吸液性部材(直径10mm、気孔率70%)を製造した。
(配合成分)
熱可塑性エラストマー:ポリオレフィン系 〔オレフレックスP100G(日本ポリオレフィン社製)〕 88.0% 吸水性樹脂: 〔KIゲル201KF2(クラレ社製)〕 8.0% 発泡剤:アゾジカルボンアミド 〔ビニホールFE512(永和化成工業社製)〕 2.5% ブレンドオイル:流動パラフィン 〔モレスコホワイトP−55(松村石油研究所社製)〕 1.5%【0026】〔実施例5〕下記配合成分をカワタスーパーミキサーにより、混合し、射出成形機(IS−100EN)を用いて円柱状の弾性を有する吸液性部材(直径7高さ10cm、気孔率60%)を製造した。
(配合成分)
熱可塑性エラストマー:ポリオレフィン系 〔サーモラン3551N(三菱化学社製)〕 88.0%吸油性樹脂: 〔ノニオレックスNA−010M(昭和電工社製)〕 8.0% 発泡剤: 〔ビニホールSE#30(永和化成工業社製)〕 2.0% ブレンドオイル: 〔モレスコホワイトP−60(松村石油研究所社製)〕 2.0%【0027】〔比較例1〕筆記具に用いられるペン芯(PET、テイボー社製、φ3×6mm)をφ3mmの球体状にカットしたもの。〔比較例2〕フェルト原反(羊毛、フジコー社製、500×500×厚み5mm)をφ3mmに打抜いたもの。
〔比較例3〕スポンジ(ウレタン、丸鈴社製、500×500×厚み5mm)をφ3×5mmとして二次加工したもの。
【0028】上記で得られた吸液性部材について、下記試験方法により吸液性能、復元性、コスト性及び組立性について評価を行った。これらの結果を下記表1に示す。
【0029】(吸液性能の評価方法)蒸留水(エチルアルコールを含む)への浸漬による吸液状況及びペン先よりの吸い上げ状況の確認、すなわち、吸液性部材としての目的達成度合いを下記評価基準で評価した。
評価基準:◎:吸液が良好である。
○:若干撥水状況があるが吸液している。
△:撥水のため吸液が不充分である。
×:全く吸液しない。
【0030】(復元性の評価方法)ペン先を押し付け、離した際の復元状況、すなわち、常にペン先に吸液性部材が接触するかどうかを下記評価基準で評価した。
評価基準:◎:復元状況が充分である。
○:復元傾向はあるが完全ではない。
△:押し付けられたままで復元しない。
×:復元もせず、割れの発生がある。
【0031】(コスト性の評価方法)調達のためのコスト概算、すなわち、現状評価との対応比較を下記評価基準で評価した。
評価基準:◎:現行価格に対し減額が想定。
○:現行価格とほぼ同等。
△:現行価格に対し僅かに上昇。
×:現行価格に対し相当上昇。
【0032】(組立性の評価方法)キャップ内にセットする際の組立性(作業性)、すなわち、機械組立機の改造費用の予測を下記評価基準で評価した。
評価基準:◎:改造費総額で50万円以内。
○:改造費総額で100万円程度△:改造費総額で200万円程度×:改造費総額の予想が付きにくい。
【0033】
【表1】

【0034】上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜5は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べ、吸液性能、復元性、コスト性及び組立性に優れていることが判明し、キャップ内部に設置される吸液性部材としての必要性能を満足できるものであった。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、優れた吸液性能を備えると共に、使用用途に応じて、任意の形状に、好適には、球体状などの形状として一体成形で、容易に、しかも安価で、かつ微小なものとなる弾性を有する吸液性部材及びこの吸液性部材を有する筆記具用キャップが提供される。
【出願人】 【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
【出願日】 平成12年5月9日(2000.5.9)
【代理人】 【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介 (外2名)
【公開番号】 特開2001−316506(P2001−316506A)
【公開日】 平成13年11月16日(2001.11.16)
【出願番号】 特願2000−136352(P2000−136352)