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【発明の名称】 カーボン含有耐火物用断熱コーティング材
【発明者】 【氏名】塚本 昇

【氏名】飯田 栄司

【氏名】四家 修二

【要約】 【課題】本発明の目的は、カーボン含有耐火物の表面に塗布することにより、カーボン含有耐火物に強固に結合した発泡断熱コーティング層を形成することができ、カーボン含有耐火物表面の酸化を防止することができると共に、優れた断熱効果有するカーボン含有耐火物用断熱コーティング材を提供することにある。

【解決手段】本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材は、未加熱状態の真珠岩原石、黒曜石原石及び松脂岩原石からなる群から選択される1種または2種以上を35〜60質量%、500〜1000℃の温度範囲で軟化溶融するガラス粉末を2〜10質量%、粘土を3〜25質量%及び残部がアルミナ、マグネシア、ジルコニア及びシリカからなる群から選択された1種または2種以上の耐火性粉末、またはこれらと500℃以上の温度で熱処理し、結晶水を脱水した蛭石とを併用した混合物に、液状バインダーを外掛で10〜150質量%配合してなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 未加熱状態の真珠岩原石、黒曜石原石及び松脂岩原石からなる群から選択される1種または2種以上を35〜60質量%、500〜1000℃の温度範囲で軟化溶融するガラス粉末を2〜10質量%、粘土を3〜25質量%及び残部がアルミナ、マグネシア、ジルコニア及びシリカからなる群から選択された1種または2種以上の耐火性粉末から構成される混合物に、液状バインダーを外掛で10〜150質量%配合してなることを特徴とするカーボン含有耐火物用コーティング材。
【請求項2】 未加熱状態の真珠岩原石、黒曜石原石及び松脂岩原石からなる群から選択される1種または2種以上を35〜60質量%、500〜1000℃の温度範囲で軟化溶融するガラス粉末を2〜10質量%、粘土を3〜25質量%及び残部が500℃以上の温度で熱処理し、結晶水を脱水した蛭石と、アルミナ、マグネシア、ジルコニア及びシリカからなる群から選択された1種または2種以上とからなる耐火性粉末から構成される混合物に、液状バインダーを外掛で10〜150質量%配合してなることを特徴とするカーボン含有耐火物用コーティング材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーボン含有耐火物の表面酸化を防止すると共に、表面からの熱放散を抑制する発泡断熱層を有効に形成し、且つ環境衛生上の問題を生じないカーボン含有耐火物用断熱コーティング材に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造に使用される鋳造用耐火物には、例えばアルミナ−黒鉛質耐火物、ジルコニア−黒鉛質耐火物のようなカーボン含有耐火物が広く使用されている。これらの耐火物は、予熱中及び使用中のカーボン酸化を防止するために、表面に主としてガラス粉末よりなる酸化防止剤が塗布されている。また、これらの耐火物は、通常、予熱終了後及び使用中に表面からの熱放散による温度降下を防止するために、ガラスファイバーあるいはセラミックファイバーよりなる断熱保温材を外表面に巻き付けることが広く行なわれている。しかしながら、近年、ガラスファイバーやセラミックファイバーなどの繊維状物質からなる保温、断熱材の人体への有害性が指摘され、環境衛生上の問題となっている。
【0003】このような問題を解決するために、例えば特開平7−247174号公報には、300〜1200℃で加熱処理された蛭石を3〜30質量%(重量%)と、800℃以上の熱で中空組織化する黒曜石・真珠岩・松脂岩・膨張頁岩の一種もしくは二種以上を未加熱状態で1〜30質量%(重量%)と、400〜1500℃の範囲で軟化溶融するガラス粉末、又は、ろう石・けい石・シャモット・ムライト・アルミナ・溶融シリカ・ジルコニア・マグネシアの一種もしくは二種以上の耐火粉末を40〜96質量%(重量%)とからなる混合物に液体バインダーを外掛けで20〜250質量%(重量%)配合した断熱性を有する黒鉛含有耐火物の断熱性酸化防止剤が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、断熱・保温を目的として、ファイバーを配合した保温材を使用することは、環境衛生上問題がある。更に、ファイバーとしてセラミックファイバーを用いた保温材の場合、その耐熱性から使用中には溶鋼温度に耐えられず、更に、耐火物表面に塗布されている酸化防止剤との反応によって溶融状態となり、充分な保温・断熱性を発揮し得ないということがしばしば問題となる。
【0005】また、特開平7−247174号公報では、未加熱状態の黒曜石、真珠岩、松脂岩、膨張頁岩(以下、これらを「発泡性パーライト」と総称する)の含有量は1〜30質量%の範囲内と規定されており、最大値である30質量%を配合しても、実質的には加熱時に充分な発泡断熱層が得られないという問題がある。更に、該公報の発明では、発泡性パーライトは、加熱時発泡する際に母材であるカーボン含有耐火物との密着性が悪く、母材であるカーボン含有耐火物と発泡断熱層間に間隙を生じて剥離に至る場合がある等の問題がある。
【0006】従って、本発明の目的は、上記課題を解決したカーボン含有耐火物用コーティング材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材は、未加熱状態の真珠岩原石、黒曜石原石及び松脂岩原石(以下、「発泡性パーライト原石」とも呼称する)からなる群から選択される1種または2種以上を35〜60質量%、500〜1000℃の温度範囲で軟化溶融するガラス粉末を2〜10質量%、粘土を3〜25質量%及び残部がアルミナ、マグネシア、ジルコニア及びシリカからなる群から選択された1種または2種以上の耐火性粉末から構成される混合物に、液状バインダーを外掛で10〜150質量%配合してなることを特徴とする。
【0008】更に、本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材は、未加熱状態の真珠岩原石、黒曜石原石及び松脂岩原石からなる群から選択される1種または2種以上を35〜60質量%、500〜1000℃の温度範囲で軟化溶融するガラス粉末を2〜10質量%、粘土を3〜25質量%及び残部が500℃以上の温度で熱処理し、結晶水を脱水した蛭石と、アルミナ、マグネシア、ジルコニア及びシリカからなる群から選択された1種または2種以上とからなる耐火性粉末から構成される混合物に、液状バインダーを外掛で10〜150質量%配合してなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、カーボン含有耐火物用コーティング材に、安定した酸化防止効果を付与し、且つ発泡断熱コーティング層を形成するために、発泡性パーライト原石の配合量;発泡した真珠岩、黒曜石、松脂岩間の組織を結合すると共に発泡断熱層と耐火物母材間の密着性を高めるためのガラス粉末の配合;結合材としての粘土の配合量などを詳細に検討し、本発明を完成したものである。
【0010】本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材において、発泡性パーライト原石の配合量は、35〜60質量%の範囲内である。ここで、発泡性パーライト原石の配合量が35質量%未満では、加熱時の発泡が充分ではなく、有効な発泡断熱コーティング層を形成することができないために好ましくない。また、発泡性パーライト原石の配合量が60質量%を超えると、加熱時の発泡量が過大となるため発泡断熱コーティング層の組織を破壊し、実質的に発泡断熱コーティング層を形成することができないために好ましくない。
【0011】また、本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材において、粘土の配合量は3〜25質量%の範囲内である。ここで、粘土の配合量が3重量%未満では、発泡断熱コーティング層組織の結合材、及び発泡断熱コーティング層とカーボン含有耐火物母材との結合材としての効果が充分ではなく、発泡断熱コーティング層が該母材から剥離し易いために好ましくない。更に、粘土の配合量が25質量%を超えると、加熱時及び使用時に粘土成分に起因する焼結収縮が大きくなり、発泡断熱コーティング層の収縮亀裂を生じ易いために好ましくない。
【0012】更に、本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材において、500〜1000℃の温度範囲で軟化溶融するガラス粉末の配合量は2〜10質量%の範囲内である。ここで、該ガラス粉末の配合量が2質量%未満では、加熱時に発泡した真珠岩、黒曜石、松脂岩間の組織を結合するに適度なガラス層が不足し、カーボン含有耐火物の表面酸化を生じる原因となるために好ましくない。また、該ガラス粉末の配合量が10質量%を超えると、高温でのガラス成分の溶融が過大となり、発泡断熱コーティング層そのものの溶融や液状化を生じ易いために好ましくない。なお、該ガラス粉末の軟化溶融温度は、カーボン含有耐火物の一般的な予熱条件及び使用中の温度条件を勘案して500〜1000℃の範囲内とすることが最適である。
【0013】また、本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材には、上記各成分の残部として、アルミナ、マグネシア、ジルコニア及びシリカからなる群から選択された1種または2種以上の耐火性粉末を配合することができる。これらの耐火性粉末は、カーボン含有耐火物の加熱条件及び使用条件に応じて高温での発泡断熱コーティング層中でのガラス成分溶融物の粘性や耐火度の調整のために配合されるものであり、その配合量は上記各成分の配合量から必然的に5〜60質量%の範囲内となる。
【0014】なお、本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材には、上記耐火性粉末として500℃以上の温度で熱処理し、結晶水を脱水した蛭石(バーミキュライト)をアルミナ、マグネシア、ジルコニア及びシリカからなる群から選択された1種または2種以上と併用して、より低い温度域から断熱効果を発揮させることもできる。ここで、蛭石の配合割合は20質量%以下とすることが望ましい。これは、熱処理を施して結晶水を脱水した蛭石は多孔質で、且つ密度が小さいために、コーティング材に使用した場合に体積が嵩張るためである。
【0015】上記発泡性パーライト原石、粘土、500〜1000℃の温度範囲で軟化溶融するガラス粉末及び耐火性粉末は、1mm以下に粒度調整したものを使用することが好ましい。粒度調整した各成分は、液状バインダーと混合される。この液状バインダーはカーボン含有耐火物表面へ断熱コーティング材を施工後、200℃以下の温度範囲での乾燥で塗膜を形成することができる水溶性バインダーが好ましく、例えば珪酸カリウム、リン酸アルミニウム、コロイダルシリカ等を用いることができる。液状バインダーの配合割合は、上記発泡性パーライト原石、粘土、500〜1000℃の温度範囲で軟化溶融するガラス粉末及び耐火性粉末よりなる混合物に対して外掛で10〜150質量%の範囲内である。液状バインダーの配合割合が10質量%未満であると、炭素含有耐火物表面にコーティング後に充分な塗膜を形成せず、また、施工性も悪いために好ましくなく、また、150質量%を超えると、バインダー過剰となり、実質的に施工不能となるために好ましくない。なお、液状バインダーの濃度は特に限定されるものではないが、通常20〜80質量%程度のものが使用される。
【0016】なお、上述のような配合割合を有する本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材のカーボン含有耐火物表面への施工方法は特に限定されるものではなく、例えば刷毛塗り、吹付け等を適用することができる。
【0017】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明のカーボン含有耐火物用コーティング材を更に説明する。
実施例以下の表1に記載する配合割合にて、本発明品及び比較品のコーティング材を調製した。本発明品及び比較品のコーティング材の諸特性を表1に併記する。
【0018】
【表1】

【0019】上記表1において、ガラス粉末の軟化溶融温度は520℃であり、蛭石は500℃で加熱処理して結晶水を脱水したものである。刷毛塗布作業性は、塗布時間にて評価したものである。吹付塗布作業性は、塗布時間にて評価したものである。小片サンプル加熱テストは、100mm×100mm×40mmのカーボン含有耐火物(組成:アルミナ65質量%、シリカ5質量%、カーボン30質量%)に本発明品1〜10及び比較品11〜13のコーティング材を刷毛塗りし、120℃で10時間乾燥することにより約5mmの塗膜を形成した。次に、これを500℃/時間の昇温速度で加熱し、1200℃の温度に2時間維持した後に自然冷却し、塗膜状況及びカーボン含有耐火物の酸化状況を観察したものである。
【0020】また、図1に示すノズル形状のカーボン含有耐火物(組成:アルミナ50質量%、シリカ20質量%、カーボン30質量%)よりなる試料(1)の温度測定点(5)にサーモメーター(4)を取り付けた後、試料(1)の外表面に上記本発明品1〜10及び比較品11〜13のコーティング材を吹付け塗布し、120℃で10時間乾燥することにより約3mmの塗膜を形成した。次に、スチールケース(2)に試料(1)をセットし、試料(浸漬ノズル)(1)の吐出孔部分2カ所からガスバーナー(3)を用いて最高温度1200℃で3時間にわたり加熱した。ガスバーナーによる加熱を停止した後、スチールケース(2)から試料(1)を取り出し、大気中に放置して降下温度を測定した。得られた結果を表2に記載する。なお、比較のため、厚さ3mmのセラミックペーパーを試料(1)の外表面に工作用接着剤により貼り付たサンプルについても上記と同様にテストを行った。得られた結果をテスト番号14として表2に併記する。また、比較のため、コーティング材を被覆していない試料(1)についても上記と同様にテストを行った。得られた結果をテスト番号15として表2に併記する。
【0021】
【表2】

【0022】
【発明の効果】本発明のカーボン含有耐火物用断熱コーティング材をカーボン含有耐火物の表面に塗布することにより、カーボン含有耐火物に強固に結合した発泡断熱コーティング層を形成することができ、カーボン含有耐火物表面の酸化を防止することができると共に、優れた断熱効果を提供することができるという効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】000001971
【氏名又は名称】品川白煉瓦株式会社
【出願日】 平成12年5月23日(2000.5.23)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
【公開番号】 特開2001−335375(P2001−335375A)
【公開日】 平成13年12月4日(2001.12.4)
【出願番号】 特願2000−151295(P2000−151295)