トップ :: B 処理操作 運輸 :: B62 鉄道以外の路面車両



【発明の名称】 自転車用フレームパイプの接合方法
【発明者】 【氏名】二見 和光

【氏名】木村 俊介

【氏名】関本 力

【要約】 【課題】ラグの接合突出部に対するフレームパイプの接合作業の簡略・合理化と、接合強度の向上をはかること。

【解決手段】自転車のフレームを構成するパイプ1とラグ2の接合突出部3とを嵌め合わせ接合する場合において、パイプ又はラグ接合突出部のうち少なくとも一方の嵌め合わせ面に加熱発泡型の接着剤Sを塗布した後に嵌め合わせ、その後加熱手段により加熱して接着剤を発泡させることにより接着剤が発泡して膨張し、ラグとパイプとの接合部分の狭い間隙内において圧迫状態にて隅々にまで行き渡り、被接着面を圧着するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】自転車のフレームを構成するパイプとラグの接合突出部とを嵌め合わせ接合する場合において、パイプ又はラグ接合突出部のうち少なくとも一方の嵌め合わせ面に加熱発泡型の接着剤を塗布した後に嵌め合わせ、その後加熱手段により加熱して上記接着剤を発泡させるようにした自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項2】パイプ又はラグ接合突出部のうち少なくとも一方の嵌め合わせ面に加熱発泡型の接着剤を塗布して嵌め合わせ、加熱手段により加熱して接着剤を発泡させた後、常温にて冷却するところの請求項1に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項3】加熱発泡型の接着剤が、100〜230℃の雰囲気温度にて発泡するものであるところの請求項1に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項4】加熱発泡型の接着剤が、100〜230℃の雰囲気温度にて発泡した後、常温にて急硬化するものであるところの請求項1に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項5】加熱手段が、電気又はガス炉、あるいは電気もしくはガスによる遠赤外線加熱炉であるところの請求項1〜4に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項6】パイプに嵌め合わせ接合されるラグ接合突出部は、ラグ自体に一体成型されているものである請求項1〜4に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項7】パイプに嵌め合わせ接合されるラグ接合突出部は、マグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)あるいは鉄(Fe)、カーボン(C)材によりラグ自体に一体成型されているものである請求項1〜4に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項8】パイプに嵌め合わせ接合されるラグ接合突出部は、ラグ自体に一体成型されているものであるとともに、接合内面には開口部方向に延びる突出リブが周方向少なくとも3箇所以上形成されているところの請求項1〜7に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項9】パイプに嵌め合わせ接合されるラグ接合突出部は、ラグ自体に一体成型されているものであるとともに、接合内面には開口部方向に延びる突出リブが周方向少なくとも3箇所以上形成され、しかも各突出リブの開口側先端部は、突出高さが裾部方向にかけて接合部開口方向に向け次第に低くなるようテーパー部が形成されているところの請求項1〜8に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項10】パイプに嵌め合わせ接合されるラグ接合突出部は、その先端部の突出長さが上端よりも下端の方が長くなるよう斜め方向テーパー状に形成されているところの請求項1〜9に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項11】ラグの接合突出部と嵌め合わせ接合されるパイプの内部には十字もしくは三叉状のリブ、もしくは中央横断の一文字リブが形成されているところの請求項1〜10に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項12】ラグの接合突出部と嵌め合わせ接合されるパイプの内部には発泡材が充填されているところの請求項1〜11に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項13】ラグの接合突出部と嵌め合わせ接合されるパイプの内部にはガスが充填されているところの請求項1〜11に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【請求項14】二輪車のフレームが、自転車用であるところの請求項1〜13に記載の自転車用フレームパイプの接合方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自転車用フレームパイプの接合方法に関し、ヘッドラグやハンガーラグ、あるいはシートラグ等の各ラグの接合突出部に対するフレームパイプの接合作業の簡略・合理化と、接合強度の向上をはかることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】自転車用フレームにおける各ラグとフレームパイプとの接合部は蝋付けによる接合方法もあるが、これは金属材料の場合に限られ、しかも金属を高温加熱するために金属の強度が低下するところから多くは接着材塗布による接着工法が施されている。 この接着工法は例えば実公昭53−50990号公報にも開示されているように、ラグの接合部内に接着剤を介してパイプの外周面を接着させるものである。 そしてこれらの場合に使用される接着剤としては、エポキシ系あるいはウレタン系の熱硬化型接着剤、又はアクリル又はエポキシ若しくはウレタン系の二液反応型接着剤の使用が一般的に知られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の接着工法による場合には、接着強度をより十分に確保するために、ラグの接合部に接合されたパイプの先端部を拡開装置により拡開させて上記したラグの接合部奥方に形成した大径部内周面に拡開密着させるようにしたり(前掲実公昭53−50990号公報参照)、あるいは接着後に補強突縁で囲まれた部分に鋲を打ちこんで補強する(実公昭52−23775号公報参照)ものが多く、接合作業が煩雑となるばかりでなく著しくコスト高となるために、いずれにしても合理的ではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、上記した従来技術の課題を解決し、ラグの接合突出部に対するフレームパイプの接合作業の簡略・合理化と、接合強度の向上をはかるようにしたものであって具体的には、自転車のフレームを構成するパイプとラグの接合突出部とを嵌め合わせ接合する場合において、パイプ又はラグ接合突出部のうち少なくとも一方の嵌め合わせ面に加熱発泡型の接着剤を塗布した後に嵌め合わせ、その後加熱手段により加熱して上記接着剤を発泡させ、一時的に接着剤の内圧を上昇させて密着後に急硬化させるようにしたことを基本構成とする自転車用フレームパイプの接合方法に関する。
【0005】上記の構成において、パイプ又はラグ接合突出部のうち少なくとも一方の嵌め合わせ面に加熱発泡型の接着剤を塗布するとともに、この両者を互いに嵌め合わせ、さらにこれを電気又はガス炉、あるいは電気もしくはガスによる遠赤外線加熱炉内に装入して、上記嵌め合わせ部分を100〜230℃に加熱すると接着剤が発泡して膨張し、ラグとパイプとの接合部分の狭い間隙内において接着剤の内圧が上昇し、圧迫状態にてすみずみにまで行き渡り、被接着面に対して十分に圧着される。 さらに炉内にて放置するとガラス点位点以上になり、接着材がすぐに硬化して接着を完了する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下において本発明の具体的な内容を図示の実施例をもとに説明すると、1はフレームを構成するパイプ、2は上パイプ1と下パイプ1とを結合させるヘッドラグ、3はヘッドラグ2に一体に形成された接合突出部をあらわす。 さらに上記接合突出部3はマグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)、あるいは鉄(Fe)さらにはカーボン(C)等の材料によりラグ自体に一体成型されるのが好ましく、しかもその内周面には周方向等間隔毎に、該突出部の基部から開口部方向に向けた複数条のリブ3a・3bが形成されている。
【0007】すなわち、リブ3aは接合突出部3の基部から開口縁部付近にまで達する長さであるのに対し、リブ3bは基部寄りの部分だけの短い長さとなっており、パイプ1を接合突出部3内に圧入した際に、該パイプ1の先端が、この短いリブ3bの先端部に当たって摺動抵抗が増すように構成されている。
【0008】さらにパイプ1を接合突出部3内に圧入する際には、事前にパイプ1の接合部外周面又は接合突出部3の内周面のうち、少なくとも一方に接着剤Sが塗布される。 すなわちこの接着剤Sは100〜230℃の雰囲気温度に加熱することにより発泡する性質の接着剤であり、そのような接着剤としては、例えば住友スリーエム社の商品名:2214(改)などが知られる。
【0009】これらは上記一定温度に加熱されると急激に発泡して体積を膨張させて接着面に圧接して接着強度を増すとともに、ガラス点位点を過ぎると急激に硬化する特性を有する。 なお上記の加熱手段としては、例えば電気又はガス炉、あるいは電気もしくはガスによる遠赤外線加熱炉等が挙げられる。
【0010】上記の構成において、パイプ1の接合部外周面、又はラグ2における接合突出部3の内周面のうち少なくとも一方の嵌め合わせ面に加熱発泡型の接着剤Sを塗布した後に両者を嵌め合わせ、その後加熱手段により上記接着剤S部分を100〜230℃に加熱して上記接着剤を発泡させる。 このとき図3に示したように接着剤Sは発泡により体積を膨張させ、ラグ2における接合突出部3の内周面とパイプ1の外周面との接合部分の狭い間隙内において矢印にて示したように、圧迫状態にてすみずみにまで行き渡る。 さらにこれを炉内から取り出してガラス点位点を過ぎると直ちに上記発泡した接着材Sが硬化して接着を完了する。
【0011】〔試験結果〕在来接着剤として、最も接着強度が大きいとされる住友スリーエム社の商品名:SW2214を、また本発明にかかわる加熱発泡型接着剤として、同じく住友スリーエム社の商品名SW2214(改)を、それぞれ使用してアルミニウム製のラグ接合突出部に対する、同じくアルミニウム製パイプの接合試験をおこなった。 結果は表1に示す通りである。
【0012】〔表1〕

【0013】上記の試験結果によれば、在来接着剤(SW2214)による場合においてはせん断強度において、ばらつきが大きいものの平均で186(kg/cm)であったのに対し、本発明にかかわる加熱発泡型接着剤〔SW2214(改)〕を用いた場合には306(kg/cm)であり、接着強度の著しい向上がみられた。
【0014】さらに図4〜5には別の実施例があらわされている。 これはパイプ1に嵌め合わせ接合されるラグ2の接合突出部3が、ラグ2自体に一体成型されているばかりでなく、その接合内面には開口部方向に延びる複数条の突出リブ4が周方向に少なくとも3箇所以上形成され、しかも各突出リブ4の開口側先端部は、その突出高さが裾部方向にかけて接合部開口方向に向け次第に低くなるようテーパー部5が形成され、また各突出リブ4・4間には基部寄りにのみ短いリブ6・6が形成されている。
【0015】これによりラグ2における接合突出部3の開口部よりパイプ1を圧入させる際に、パイプ1の先端部が各突出リブ4先端に形成したテーパー部5・5により接合突出部3の求心位置に案内され、圧入作業が容易となるとともに、接合突出部3の奥方にて短いリブ6・6に摺接して接合位置合わせが容易になる。
【0016】さらに図6には本発明の別の実施例が示されている。 これはパイプ1に嵌め合わせ接合されるラグの接合突出部3が、その先端部の突出長さが上端3aよりも下端3bの方が長くなるよう斜め方向テーパー状に形成されているもので、これによりラグ2の軽量化をはかることができると共に、パイプ1接合時の圧入作業を容易にすることができる。
【0017】さらに図7には本発明の別の実施例があらわされている。 すなわちこれは前記したラグ2の接合突出部3と嵌め合わせ接合されるパイプ1の内部に、リブを形成したものであって、(A)には十字状のリブ7が、また(B)には三叉状のリブ8が、さらに(C)には中央横断の一文字リブ9が、それぞれ形成されており、パイプ1の使用箇所如何によりこれらのいずれかを選択使用することができ、特に前記した各実施例のものと組み合わせ使用することにより、とくにラグ2との接合個所の強度を著しく向上させることができる。
【0018】さらに本発明においては、格別図示はしないがこのほかにラグ2の接合突出部3と嵌め合わせ接合されるパイプ1内に発泡材を充填し、あるいはアルゴン、窒素、炭酸ガス等のガスを充填すると、特にラグ2との接合個所の接合強度をより一層向上させることができる。
【0019】
【発明の効果】本発明は上記したように、自転車のフレームを構成するパイプとラグの接合突出部とを嵌め合わせ接合する場合において、パイプ又はラグ接合突出部のうち少なくとも一方の嵌め合わせ面に加熱発泡型の接着剤を塗布した後に嵌め合わせ、その後加熱手段により加熱して上記接着剤を発泡させるようにしたために、接着剤が発泡して膨張し、ラグとパイプとの接合部分の狭い間隙内において接着剤の内圧が上昇するとともに圧迫状態にて隅々にまで行き渡り、被接着面に対して十分に圧着され、その結果自転車用フレームパイプの接合時におけるラグの接合突出部に対するフレームパイプの接合作業の簡略・合理化と、接合強度の向上をはかることができる。
【0020】また、パイプに嵌め合わせ接合されるラグ接合突出部が、ラグ自体に一体成型されているものである場合には、ラグ接合突出部の突出長さが図4にもあらわしたように距離(α)の短い長さで済み、外観性状が良好となるばかりでなく、接合による応力集中部がラグ中心寄りに位置し、より一層の強度の向上と軽量化をはかることができる。
【0021】さらに、パイプに嵌め合わせ接合されるラグ接合突出部における接合内面には開口部方向に延びる突出リブが周方向少なくとも3箇所以上形成され、しかも各突出リブの開口側先端部は、突出高さが裾部方向にかけて接合部開口方向に向け次第に低くなるようテーパー部が形成されているために、ラグ接合突出部に対するパイプの嵌め合わせ作業がスムースとなり、作業性をより向上させることができる。
【0022】さらに、パイプに嵌め合わせ接合されるラグ接合突出部における先端部の突出長さが、上端よりも下端の方が長くなるよう斜め方向テーパー状に形成されている場合にはパイプの圧入作業がより一層容易となるばかりでなく、フレーム全体の軽量化をはかることもできる。
【0023】さらに、ラグの接合突出部と嵌め合わせ接合されるパイプの内部に、十字もしくは三叉状のリブ、もしくは中央横断の一文字リブが形成され、あるいはパイプの内部に発泡材またはガスが充填されている場合においては、フレーム強度を向上させることができるのみならず、場合によっては、その分だけパイプの肉厚を薄くして軽量化をはかることも可能となる。
【出願人】 【識別番号】000161437
【氏名又は名称】宮田工業株式会社
【出願日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【代理人】 【識別番号】100070183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 公一
【公開番号】 特開2001−278162(P2001−278162A)
【公開日】 平成13年10月10日(2001.10.10)
【出願番号】 特願2000−96850(P2000−96850)