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【発明の名称】 シートベルト張力検出装置
【発明者】 【氏名】北澤 賢次

【氏名】柳 英治

【要約】 【課題】耐久性を向上できる、あるいは、検出装置の故障診断を行うことができる等の利点を有するシートベルト張力検出装置を提供する。

【解決手段】ウェビングWのラップベルトの張力が所定以上になると、レバー5がコイルバネ11のバネ付勢力に打ち勝って、レバー支持ピン7を回転中心として回動する。それに伴い、押圧片47が変位センサ31のピストンロッド13から遠ざかる方向に変位する。押圧片47の変位に伴い、変位センサ31のピストンロッド13は徐々に進出する。その後、ラップベルトの張力とコイルバネ11のバネ付勢力とが釣り合うと、その釣り合い位置でレバー5の回動は止まる。これと同時に、変位センサ31のピストンロッド13の進出も止まる。変位センサ31は、このときのピストンロッド13の没入量をECUに出力し、この出力値に基づき張力が計算される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シートベルト(ウェビング)の端を乗り物に固定するアンカー部に設置されるシートベルト張力検出装置であって、前記乗り物の構造体への連結部を有するアンカー連結部材と、前記ウェビングへの連結部を有するウェビング連結部材と、前記両部材間を弾性的に連結し、前記ウェビングにかかる張力を伝達する弾性連結機構と、該弾性連結機構中の弾性部材とは別個に配置された、該機構の伝達する張力が実質的にかからない、前記両部材間の相対変位を検出する変位センサと、を具備することを特徴とするシートベルト張力検出装置。
【請求項2】 前記弾性連結機構中の弾性部材の変位に伴う前記両部材間の相対変位を止めるストッパが、前記ウェビングにかかる張力が小さい側及び大きい側の双方に設けられていることを特徴とする請求項1記載のシートベルト張力検出装置。
【請求項3】 前記変位センサの有効検出領域が、前記ストッパによって規制される前記両部材間の相対変位の範囲の外側にも存在することを特徴とする請求項2記載のシートベルト張力検出装置。
【請求項4】 前記弾性連結機構として、前記ウェビング連結部材を前記アンカー連結部材に回動可能に支持するピンと、両部材を互いに寄せる方向に付勢するバネ弾性部材と、を有し、前記変位センサが、前記ウェビング連結部材の回動変位を検出することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のシートベルト張力検出装置。
【請求項5】 前記変位センサが、前記ウェビング連結部材の複数の回動位置をそれぞれ検出するデジタルセンサから構成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のシートベルト張力検出装置。
【請求項6】 前記アンカー連結部材が、前記乗り物の構造体に揺動可能に取り付けられることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のシートベルト張力検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートベルトを乗り物に固定するアンカー部に設置されて、ベルトにかかる張力を検出するシートベルト張力検出装置に関する。特には、耐久性を向上できる、あるいは、検出装置の故障診断を行うことができる等の利点を有するシートベルト張力検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シートベルトの張力を検出する装置の従来例としては、例えばUSP5996421に開示されたものがある。このシートベルト張力検出装置のベルト取り付け部には、ベルトの張力が作用する板バネが設けられている。この板バネには歪みゲージが貼られており、ベルトの張力に応じて変形する板バネの歪みからベルトの張力を検出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のシートベルト張力検出装置は、より耐久性の高いもの、あるいは、故障診断機能を備えたものが求められている。本発明は、このような要求に対応するためになされたものであって、耐久性を向上できる、あるいは、検出装置の故障診断を行うことができる等の利点を有するシートベルト張力検出装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明のシートベルト張力検出装置は、シートベルト(ウェビング)の端を乗り物に固定するアンカー部に設置されるシートベルト張力検出装置であって、 前記乗り物の構造体への連結部を有するアンカー連結部材と、 前記ウェビングへの連結部を有するウェビング連結部材と、 前記両部材間を弾性的に連結し、前記ウェビングにかかる張力を伝達する弾性連結機構と、 該弾性連結機構中の弾性部材とは別個に配置された、該機構の伝達する張力が実質的にかからない、前記両部材間の相対変位を検出する変位センサと、を具備することを特徴とする。本発明によれば、変位センサにはウェビングの張力がかからず、センサ各部の応力を低くできるので、耐久性が向上する。
【0005】本発明のシートベルト張力検出装置においては、前記弾性連結機構中の弾性部材の変位に伴う前記両部材間の相対変位を止めるストッパが、前記ウェビングにかかる張力が小さい側及び大きい側の双方に設けられているものとすることができる。張力が大きい側のストッパとしては、例えば、アンカー連結部材に形成されたウェビングを通す孔の内端縁を用いることができる。この場合、大きなベルト張力が生じた際には、ウェビングがアンカー連結部材の孔の内端縁に直接当たり、両部材間の相対変位が止まる。一方、張力が小さい側のストッパとしては、例えば、アンカー連結部材に設けられた、ウェビング連結部材の変位を阻止するピンを用いることができる。この場合、ベルト張力が小さいときは、ウェビング連結部材がピンに当たって止まり、両部材間の相対変位も止まる。このようなストッパを設けることによって、変位センサの作動範囲を制限できるので、センサの耐久性を向上できる。
【0006】また、本発明のシートベルト張力検出装置においては、前記変位センサの有効検出領域が、前記ストッパによって規制される前記両部材間の相対変位の範囲の外側にも存在するものとすることができる。変位センサが上記範囲の外側の領域の出力を示すことは、検出装置の通常作動時にはありえない。したがって、この領域の出力を検知した場合には、検出装置に何らかの異状が起きたと判断できる。なお、通常測定範囲のちょうど端におけるセンサ出力と、該範囲外におけるセンサ出力とが同じ場合には、このような故障検知は不可能である。
【0007】さらに、本発明のシートベルト張力検出装置においては、前記弾性連結機構として、 前記ウェビング連結部材を前記アンカー連結部材に回動可能に支持するピンと、 両部材を互いに寄せる方向に付勢するバネ弾性部材と、 を有し、前記変位センサが、前記ウェビング連結部材の回動変位を検出するものとすることができる。この場合、ウェビング連結部材は、ピンを支点としてレバー式に回転運動し、ウェビング連結部材の変位が安定的である。また、バネの作用点を、ウェビング張力の作用点よりも支点から遠くすれば、テコの原理でバネの力を弱くすることができる。
【0008】さらに、本発明のシートベルト張力検出装置においては、前記変位センサが、前記ウェビング連結部材の複数の回動位置をそれぞれ検出するデジタルセンサから構成されているものとすることができる。この場合、例えばウェビング連結部材が何らかの原因で離脱した場合には、デジタルセンサの検出する複数の回転運動変位位置の出力値が全てOFFとなる。このようなデジタルセンサの出力を検知することで、ウェビング連結部材の離脱等を判定でき、検出装置に故障診断機能をもたせることができる。
【0009】また、本発明のシートベルト張力検出装置においては、前記アンカー連結部材が、前記乗り物の構造体に揺動可能に取り付けられるものとすることができる。このような揺動機構としては、例えば、前記アンカー連結部材の連結部を前記乗り物の構造体に取り付けるボルトアッセンブリを備え、 前記アンカー連結部材の連結部に、前記ボルトアッセンブリのボルトの軸部を通すボルト孔が形成されており、 前記ボルトの軸部に、前記ボルト孔の内径よりも小さい外径を有する小径部が形成されているとともに、前記ボルト孔周辺を押圧するようにバネ付勢するコイルバネが外嵌されているものとすることができる。この場合、ボルトアッセンブリは、アンカー連結部材がボルトの小径部でコイルバネに適度に押圧されながら、自由に遊動することができる。そのため、例えばボルト軸に対して様々な傾斜角度で検出装置が牽引されても、アンカー連結部材はその傾斜角度に無理なく追従することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に述べる説明において、図中の各構成部分の大きさや形状、配置関係等は、本発明の理解を容易にするよう概略的に示してあるに過ぎない。また、以下に述べる数値的条件は、単なる例示に過ぎない。
【0011】図1は、本発明の1実施例に係るシートベルト張力検出装置(シートベルトテンションセンサ)の全体構成を示す図である。(A)は正面図、(B)は(A)をコイルバネ側(図の左側)から見た側面図、(C)は(A)をレバー側(図の下側)から見た側面図である。図1に示すシートベルト張力検出装置1は、シートベルトのウェビングW(図1では二点鎖線で示す)の端部に接続される。このシートベルト張力検出装置1は、大きく分けて、以下の各部を備えている。
【0012】(1)車両のボディに取り付けられるアンカープレート(アンカー連結部材、米国仮出願時名称「アンカー部」)3。
(2)レバー(ウェビング連結部、米国仮出願時名称「レバー部」)5、及び、該レバー5をアンカープレート3に回動可能に支持するレバー支持ピン(ピン)7。
(3)アンカープレート3に植設された、レバー5の変位を阻止するレバーストッパーピン(ストッパ)9。
(4)レバー5とアンカープレート3間に取り付けられたコイルバネ(弾性部材)11。
(5)ピストンロッド(米国仮出願時名称「可動部材」)13の移動量によってアナログ的に変位量を計測するポテンショメータ式変位センサ(米国仮出願時名称「ボリュームセンサ」、以下、単に変位センサ31と呼ぶ)。
(6)アンカープレート3を車両のボディに固定するためのボルトアッセンブリ17。
【0013】以下、シートベルト張力検出装置1の各部(1)〜(6)の詳細について説明する。
(1)アンカープレート(アンカー連結部材)3図2は、本発明の1実施例に係るシートベルト張力検出装置のアンカープレートを示す平面図である。アンカープレート3は、例えば鋼板のプレス加工品である。アンカープレート3は、全体として平板状であり、長方形の基部3aに三角形の三角頭部3bを付けた形である。三角頭部3bの図の左端部は、舌片状に突出している。三角頭部3bの中央部には、ほぼ円形のボルト孔21が開けられている。このボルト孔21は、車体へ固定されるボルト19(図6参照)の軸部が通る。ボルト孔21の周縁には、樹脂ベアリング23が取り付けられている。この樹脂ベアリング23は、アンカープレート3とボルト19との金属同士の摩擦を低減するためのものである。
【0014】アンカープレート3の基部3aの中央には、ほぼ長方形のベルト挿通孔25が開けられている。このベルト挿通孔25の四隅内縁は、角が丸く滑らかに形成されている。ベルト挿通孔25の寸法は、一例として長辺が30mm、短辺が17mm(少なくとも15mm以上)である。ベルト挿通孔25の長辺の中心線と、前述したボルト孔21の円の中心とは、ほぼ交差している。すなわち、図2において、ベルト挿通孔25の長辺を2等分した線上に、ボルト孔21の円中心cが位置している。ベルト挿通孔25内には、図1に示すようにシートベルトのウェビングWが挿通される。
【0015】アンカープレート3には、ほぼ円形の小孔27、29、33、35も形成されている。ベルト挿通孔25の右脇の孔27は、レバー支持ピン7(図1参照)が挿通固定される孔である。基部3aの左端の孔29は、レバーストッパーピン9(図1参照)が嵌入される孔である。ボルト孔21の左寄りの孔33は、互いに離れて2つ形成されている。これらの孔33は、変位センサ31を固定するネジ69(図1参照)が捩じ込まれるネジ孔である。三角頭部3bの左端部の孔35は、コイルバネ11(図1参照)の一端側フック部11Aを装着するための孔である。
【0016】(2)レバー(ウェビング連結部材)5及びレバー支持ピン(ピン)7図3(A)〜(C)は、本発明の1実施例に係るシートベルト張力検出装置のレバーを示す図である。(A)は正面図、(B)は(A)を図の下側から見た側面図、(C)は(A)を図の左側から見た側面図である。図3(D)は、本発明の1実施例に係るレバー支持ピンを示す斜視図である。
【0017】まず、レバー5の構成について説明する。レバー5は、例えば鋼板のプレス加工品であり、厚さ方向に対向する長方形状の大プレート(米国仮出願時名称「上部プレート」)37と小プレート(米国仮出願時名称「下部プレート」)39とを備えている。大小プレート37、39の下端縁は、図3(B)及び(C)に分かり易く示すように、連結部(米国仮出願時名称「屈曲部」)41で繋がれている。大プレート37と小プレート39は、連結部41で繋がれた状態で、平行に向かい合っている。これら両プレート37、39間の間隔tは、アンカープレート3の肉厚よりもやや広めである。レバー5の組み付け状態において、大プレート37はアンカープレート3の表面側(図1(A)、図2で見える側)に配置され、小プレート39はアンカープレート3の裏面側に配置される。
【0018】大プレート37は、図3(A)に分かり易く示すように、ウェビング巻回部(米国仮出願時名称「牽引部」)45やセンサ押圧部(米国仮出願時名称「押圧部」)49、コイルバネ取付部(米国仮出願時名称「コイルバネ固定片」)51を備えている。ウェビング巻回部45の一隅部(図3(A)の右上)には、孔43が形成されている。この孔43は、レバー支持ピン7(図3(D)参照)が挿入される孔である。ウェビング巻回部45には、図1に示すように、ウェビングWが掛け渡される。このウェビング巻回部45の側部(図3(A)及び(B)における左側)には、センサ押圧部49が形成されている。このセンサ押圧部49は、レバー5の組み付け状態(図1の状態)において、変位センサ31に対向する位置に配置される。
【0019】センサ押圧部49の端縁(図3(A)の上端縁)からは、押圧片47が延び出ている。この押圧片47は、変位センサ31のピストンロッド13に当接可能な位置に形成されている。図3(C)に分かり易く示すように、押圧片47の先端側は、大プレート37の外面側に向けて折り曲げられており、大プレート37の外面に対して約90°の角度をなしている。この押圧片47は、レバー5の変位を変位センサ31のピストンロッド13に伝達する役割を果たす。大プレート37のセンサ押圧部49の側部(図3(A)及び(B)における左側)には、コイルバネ取付部51が形成されている。このコイルバネ取付部51には、孔63が形成されている。この孔63は、コイルバネ11(図1参照)の他端側フック部11Bを装着するための孔である。
【0020】小プレート39は、大プレート37のウェビング巻回部45と同一形状のプレートである。小プレート39には、孔53が形成されている。この孔53は、レバー支持ピン7を挿入するための孔であって、図3(B)に示すように、大プレート37のウェビング巻回部45の孔43に対応した位置に開けられている。孔53の内径は、大プレート37の孔43と同一である。この小プレート39には、大プレート37のウェビング巻回部45と同様に、ウェビングWが掛け渡される。このように、レバー5を大プレート37と小プレート39の2枚構造としたのは、2枚のプレート37、39でアンカープレート3を挟むことにより、これらのプレート37、39にかかる力をアンカープレート3に逃すためである。
【0021】次に、レバー支持ピン7について説明する。レバー支持ピン7は、レバー5をアンカープレート3に対して回動可能に支持するピンである。このレバー支持ピン7は、図3(D)に示すように、軸部55を備えている。この軸部55は、レバー5の大プレート37と小プレート39間にアンカープレート3を挟んだ状態で、レバー5の2つの孔43、53とアンカープレート3の孔27に挿通される。レバー支持ピン7の軸部55の一端には、抜け止めのための頭部57が形成されている。同軸部55の他端(頭部57の逆側)寄りには、周方向に沿う溝部61が形成されている。この溝部61には、Eリング59が嵌入される。レバー支持ピン7は、レバー5とアンカープレート3の各孔27、43、53に軸部55を挿入させた後、溝部61にEリング59を嵌入させて抜け止めされる。
【0022】(3)レバーストッパーピン(ストッパ)9図1(A)に示すように、レバーストッパーピン9は、アンカープレート3の孔29(図2参照)内に強固に嵌入されている。このレバーストッパーピン9は、コイルバネ11の弾性力で付勢されているレバー5の回動(図1(A)における時計方向への回動)を阻止するためのピンである。レバー5の回動阻止時には、図1(A)に示すように、レバー5の押圧片47の左横の箇所がレバーストッパーピン9に当たる。このようにレバー5の回動を阻止することで、変位センサ31のピストンロッド13を押圧しすぎてセンサが壊れないようになっている。
【0023】(4)コイルバネ(弾性部材)11図1(A)〜(C)に示すコイルバネ11は、両端にフック部11A、11Bを備えている。このコイルバネ11の諸元は、例えば材質SWP−A、線径2.3mm、バネ外径18mm、バネ長(バネの一端のフック部11A内径から他端のフック部11Bの内径までの長さ)50mm、バネ定数7.06N/mm、初期張力27.46Nである。このコイルバネ11は、フック部11Aがアンカープレート3の孔35に装着され、フック部11Bがレバー5の孔63に装着されている。このコイルバネ11は、通常状態(ウェビングWに張力がかかっていない状態)において、アンカープレート3とレバー5を互いに寄せる方向に付勢している。
【0024】コイルバネ11は、アンカープレート3の孔35とレバー5の孔63に装着されて張られた状態で、0〜10mmまでの範囲で伸縮することができる。コイルバネ11が伸びるときは、レバー5がアンカープレート3に対して反時計方向(図1(A)における反時計方向)へ回動する。逆に、コイルバネ11が縮むときは、レバー5がアンカープレート3に対して時計方向(図1(A)における時計方向)へ回動する。この際のコイルバネ11の変位量を、後述する変位センサ31のピストンロッド13の伸出量で検出する。そして、ベルト張力をピストンロッド13の伸出量に基づきECUで計算する。この例では、約1.54〜8.46kgfまでの範囲のシートベルト荷重を測定することができる。
【0025】(5)変位センサ31図4は、本実施例に係るシートベルト張力検出装置の変位センサを示す図である。(A)は正面図、(B)は(A)をピストンロッド側(図の下側)から見た側面図、(C)は(A)を図の左側から見た側面図である。
【0026】変位センサ31は、図4に分かり易く示すように、センサ本体32を備えている。このセンサ本体32には、ピン状のピストンロッド13が出没可能に組み込まれている。このピストンロッド13は、進出方向(図4(A)及び(C)の下方向)にバネ付勢されており、センサ本体32に対して最大13mmストローク(一例)で進出する。この変位センサ31のピストンロッド13の出没動作は、前述したコイルバネ11の伸縮に伴うレバー5の回動に追従する。この実施例においては、ピストンロッド13が下限値まで没入したとき、シートベルトの荷重が3kgfであることが検出され、逆にピストンロッド13が上限値まで進出したとき、シートベルトの荷重が10kgfであることが検出されるように設定されている。
【0027】ここで、図5を参照して、ピストンロッド13の出没動作についてより詳しく説明する。図5(A)は、変位センサのピストンロッドの出没量を説明するための説明図であり、図5(B)は、ピストンロッドの出没量(ストローク)に対する抵抗値及び張力換算値の値を示すグラフである。前述したピストンロッド13の進出上限値とは、レバー5のウェビング巻回部45がウェビングWによって牽引され、同巻回部45とアンカープレート3のベルト挿通孔25とが重なり合った時点における、ピストンロッド13の進出量と定めてある。これ以上ベルト張力が上がっても、ウェビングWはアンカープレート3によって支持され、レバー5はそれ以上は回動しない。本実施例では、図5に示すように、ピストンロッド13の進出上限値(通常測定範囲)は9mmと設定されている。但し、ストローク一杯(測定範囲限界部)で計測すると測定誤差が出やすいため、ピストンロッド13の前後に2.0mmの遊び量を設定してある。そのため、前述したように、ピストンロッド13の最大ストロークは、9mm+2.0mm×2=13mmとなる。
【0028】一方、ピストンロッド13の没入下限値とは、レバー5がレバーストッパーピン9に当たって回動阻止された時点(図1(A)に示す状態)でのピストンロッド13の進出量であって、本実施例においては0mmに設定されている。なお、ピストンロッド13のストロークl(mm)に対する、変位センサ31の抵抗値R(Ω)とECUにおける張力換算値T(kgf)の関係をグラフで表すと、図5(B)に示すような右上がりの直線となる。ここで、係数K=0.769(kΩ/mm)
とすると、ECUにおける張力換算値T(kgf)(=抵抗値R)は、次式で求められる;
張力(T)=K×l(kgf)。
したがって、例えばl=13mmの場合は、張力(T)=K×l=0.769×13=10(kgf)
となる。
【0029】このような変位センサ31によれば、仮にレバー5が何らかの原因で離脱したような場合には、バネ付勢されているピストンロッド13の先端から押圧片47が離れる。そのため、ピストンロッド13は、その進出上限値である9mmを越えて、最大ストロークである13mmまで進出するので、この場合はレバー5が離脱していることがわかる。なお、正常状態のときは、ピストンロッド13の進出量がレバー支持ピン7及びコイルバネ11で制限され、最大ストロークには至らない。このようにして、レバー5の離脱故障を検知する機能をもたせることもできる。
【0030】引き続き変位センサ31の構成について説明する。図4に分かり易く示すように、変位センサ31は、板状の固定部材65を備えている。この固定部材65は、センサ本体32をアンカープレート3に固定するためのものである。固定部材65は、孔67が開けられた2つの耳部65aを備えている。各耳部65aの孔67は、アンカープレート3の孔33(図2参照)の位置に対応して開けられている。固定部材65の孔67とアンカープレート3の孔33を合致させた状態で、これらにネジ69(図1(A)参照)を捩じ込むことで、変位センサ31がアンカープレート3にしっかりと固定される。
【0031】なお、前述したように、レバー5の時計回りの回動はレバーストッパーピン9で阻止されるため、レバー5の押圧片47がピストンロッド13に過剰な荷重を与えることはない。したがって、変位センサ31がレバー5の押圧片47からの過剰な押圧力で壊れるおそれはない。
【0032】(6)ボルトアッセンブリ17図6は、本実施例に係るシートベルト張力検出装置のボルトアッセンブリを示す図である。(A)は分解側面図であり、図6(B)は頭部側から見た正面図である。図6に示すように、ボルトアッセンブリ17の主要部であるボルト19は、六角形状の頭部81を備えている。この頭部81の下部(図6(A)の左側)には、座面をなすフランジ部83が形成されている。このフランジ部83の外径は、前述したアンカープレート3のボルト孔21よりも大きい。
【0033】フランジ部83の下部(図6(A)の左側)には、小径のストレート部(米国仮出願時名称「スペース部」)85が形成されている。シートベルト張力検出装置1の組み付け状態において、このストレート部85はアンカープレート3のボルト孔21内側に位置する。このストレート部85の外径は、アンカープレート3のボルト孔21の内径よりもかなり小さめであって、アンカープレート3が遊動可能な程度に形成されている。一例でボルト孔21の径=約13mmに対し、ストレート部85の外径=約12mmである。ストレート部85の外周面には、ネジ山が形成されていない。ストレート部85の下部(図6(A)の左側)には、ネジ山を有するネジ山部71が形成されている。
【0034】ボルトアッセンブリ17は、ボルト19のネジ山部71に外嵌されるコイルバネ73を備えている。シートベルト張力検出装置1の組み付け状態において、このコイルバネ73は、アンカープレート3のボルト孔21周辺を適度に押圧するようにバネ付勢する。ボルト19のネジ山部71には、コイルバネ73の次に、順にスペーサ75、スプリングワッシャ77、ワッシャ79が挿嵌される(図6(A)参照)。
【0035】このボルトアッセンブリ17は、例えばアウターラップアンカの代わりに、シートベルト張力検出装置1を車体のBピラー下部に固定するために用いる。この場合、アンカープレート3のボルト孔21にボルトアッセンブリ17のボルト19を挿通し、ネジ山部71をBピラー下部に捩じ込む。その他、ショルダーアンカの代わりに、シートベルト張力検出装置1をBピラー上部に装着する場合にも、このボルトアッセンブリ17を用いることができる。
【0036】このようなボルトアッセンブリ17は、シートベルト張力検出装置1の組み付け状態において、アンカープレート3のボルト孔21内側に小径のストレート部85が位置し、コイルバネ73がボルト孔21周辺を適度に押圧する。そのため、車体に固定されたボルト19に対して、アンカープレート3は適度に遊動することができる。したがって、例えばボルト19に対してシートベルト張力検出装置1が様々な傾斜角度で牽引されても、アンカープレート3はその傾斜角度に無理なく追従することができる。
【0037】次に、上記の構成からなるシートベルト張力検出装置1にウェビングWを接続する方法について説明する。図7は、シートベルト張力検出装置にウェビングを接続する際のウェビングの接続方法を示す図である。(A)はウェビングに幅狭部を形成した状態を示す図であり、(B)はシートベルト張力検出装置にウェビングを接続した状態を示す図である。
【0038】図7(A)に示すように、ウェビングWは、例えばラップベルト87の端部89から所定間隔離れた領域で、ウェビングWの幅が狭くなるように両側を中央に向けて織り、その領域を縫製して幅狭部91を形成してある。そして、前述したようなアンカープレート3のベルト挿通孔25にラップベルト87の端部89を挿入し、ちょうどこの幅狭部91がレバー5のウェビング巻回部45に圧接するように配置してある。
【0039】そして、図7(B)に示すように、ラップベルト87の端部89を折り返し、ウェビングWの所定の場所に重ね合わせてしっかりと縫製する。これで、シートベルト張力検出装置1がラップベルト87の端部89に接続される。なお、ラップベルトの端部に限らず、ショルダーベルトの端部にシートベルト張力検出装置1を接続する際にも、同様の要領で行うことができる。
【0040】次に、本実施例のシートベルト張力検出装置1の動作について説明する。以下の説明では、シートベルト張力検出装置1をアウターラップアンカに取り付けた場合について述べる。ラップベルト87の張力が上昇すると、シートベルト張力検出装置1のレバー5の牽引部(大プレート37のウェビング巻回部45及び小プレート39)が、図1の下方向に牽引される。このラップベルト87の張力が3kgf以上になると、レバー5がコイルバネ11のバネ付勢力に打ち勝って、レバー支持ピン7を回転中心として図1の反時計回り方向に回動する。それに伴い、押圧片47が変位センサ31のピストンロッド13から遠ざかる方向に変位する。押圧片47の変位に伴い、変位センサ31のピストンロッド13は徐々に進出する。
【0041】その後、ラップベルト87の張力とコイルバネ11のバネ付勢力とが釣り合うと、その釣り合い位置でレバー5の回動は止まる。これと同時に、変位センサ31のピストンロッド13の進出も止まる。変位センサ31は、このときのピストンロッド13の没入量(繰り出し量に換算できる)を測定し、図示しないECU(エレクトロニックコントロールユニット、電気的制御装置)に出力する。そして、この出力値に基づき、ECUがラップベルト87の張力を計算する。
【0042】次に、本発明に係るシートベルト張力検出装置の別の実施例について説明する。図8は、本発明の他の実施例に係るシートベルト張力検出装置のレバーとセンサとの位置関係を示す説明図である。(A)はSW1がON、SW2がOFFの場合(Case1)を示す図であり、(B)はSW1とSW2がともにONの場合(Case2)を示す図であり、(C)はSW1がOFF、SW2がONの場合(Case3)を示す図である。図9は、図8の各Case1〜3におけるセンサのON/OFF関係を示す表である。
【0043】この実施例では、前述の変位センサ31の代わりに、2つのデジタルセンサSW1、SW2を用いている。これらは、デジタルセンサSW1がベルト荷重3kgf用(一例)であり、デジタルセンサSW2がベルト荷重7kgf用(一例)に対応しており、両者は並列に配置されている。両センサSW1、SW2は、レバー5のコイルバネ取付部51の先端部93が当たってスイッチがON/OFF作動する。なお、これらのデジタルセンサSW1、SW2以外の他の構成要素は、前述の実施例と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0044】デジタルセンサSW1、SW2についてより詳しく説明する。図8(A)〜(C)に示すように、レバー5の先端部93の外側には、ベルト荷重3kgf用のデジタルセンサSW1が左側(図8の左側)に配置されていて、その右隣にはベルト荷重7kgf用のデジタルセンサSW2が並列に配置されている。ここで用いられるデジタルセンサSW1、SW2は、それぞれ前面側に1つの押しボタン95を有し、後面側に3つの接続端子97、99、101を有する。
【0045】なお、この種のデジタルセンサは、ノーマルクローズ(押しボタン95が押された状態ではOFF、押されない状態ではONとなる)のセンサと、ノーマルオープン(押しボタン95が押された状態ではON、押されない状態ではOFFとなる)のセンサとの2種類がある。この実施例で用いるデジタルセンサSW1、SW2は、いわゆるノーマルオープン型のデジタルセンサである。すなわち、デジタルセンサSW1、SW2は、押しボタン95が押されるとスイッチがON(すなわち導通状態を意味する)となり、所定の荷重が負荷されていることを示す。逆に、押しボタン95が押されないとOFF(すなわち非導通状態を意味する)となり、無負荷の状態を示す。
【0046】以下、センサとレバーの位置関係についてより詳しく説明する。
(I)SW1がON、SW2がOFFの場合(Case1)
この場合は、図8(A)に示すように、レバー5の先端部93が3kgf用のデジタルセンサSW1の押しボタン95のみを押圧している。このような位置関係にあるときは、図9の上段に示すように、ラップベルト87のテンションが0〜3kgfであることを示す。
【0047】(II)SW1とSW2がともにONの場合(Case2)
この場合は、図8(B)に示すように、レバー5の先端部93が3kgf用及び7kgf用の両方のデジタルセンサSW1、SW2の押しボタン95を押圧している。このような位置関係にあるときは、図9の中段に示すように、ラップベルト87のテンションが3〜7kgfであることを示す。
【0048】(III)SW1がOFF、SW2がONの場合(Case3)
この場合は、図8(C)に示すように、レバー5の先端部93が7kgf用のデジタルセンサSW2の押しボタン95のみを押圧している。このような位置関係にあるときは、図9の下段に示すように、ラップベルト87のテンションが7〜10kgfであることを示す。
【0049】ここで、仮にレバー5が何らかの原因で離脱した場合には、3kgf用のデジタルセンサSW1と、7kgf用のデジタルセンサSW2の両方の押しボタン95が押圧されない。したがって、この場合は両センサSW1、SW2がともにOFFとなる。このような両センサSW1、SW2がともにOFFの出力を検知したときは、レバー5が離脱して故障していると判定することができ、故障診断機能として活用することができる。
【0050】次に、図10を参照して、本発明の他の実施例について説明する。図10は、本発明の他の実施例に係るシートベルト張力検出装置(シートベルトテンションセンサ)の全体構成を示す正面図である。この図に示すシートベルト張力検出装置101は、アンカープレート103とレバー105間が2本のコイルバネ(弾性部材)11、11´で連結されており、アンカープレートに対してレバーを回動可能に支持するピンが設けられていない点で、前述した実施例と大きく異なる。
【0051】以下、図10を参照しつつ、より詳しく説明する。なお、図10においては、前述の実施例と同一構成部分には同一符号を付すものとする。図10に示すように、この例のアンカープレート103は、全体として平板状であり、長方形の基部103aに三角形の三角頭部103bを付けた形である。三角頭部103bは、この例では図の両側に舌片状に突出している。三角頭部103bの左右端部には、コイルバネ11、11´の一端側フック部11A、11A´を装着するための孔35、35´が形成されている。アンカープレート103には、前述と同様にボルト孔21やベルト挿通孔25等が形成されているが、レバー支持ピン挿通固定用の孔(図2の符号27)は形成されていない。このアンカープレート103は、ベルト挿通孔25の長辺の中心線とボルト孔21の円の中心とを結ぶ線を中心として、ほぼ対称な形状となっている。
【0052】この例のレバー105は、大プレートのウェビング巻回部45の右側に、コイルバネ取付部51´が形成されている。このコイルバネ取付部51´には、コイルバネ11´の他端側フック部11B´を装着するための孔63´が形成されている。なお、このレバー105には、レバー支持ピンが挿通される孔(図3(A)、(B)の符号43)は形成されていない。
【0053】このシートベルト張力検出装置101は、前述したように、アンカープレート103とレバー105間が、2本のコイルバネ11、11´で連結されている。レバー105は、アンカープレート103に対して、これらのコイルバネ11、11´のみで弾性支持されている。各コイルバネ11、11´の構成・緒元は、前述したコイルバネと同一である。
【0054】図10のようにシートベルト張力検出装置101を構成した場合も、前述のシートベルト張力検出装置1とほとんど同様の作用・効果を得ることができる。特に、このようなシートベルト張力検出装置101によれば、コイルバネの太さが半分でよいという利点がある。そのため、厚みが約半分になるので、センサを薄型化できる。なお、前述の各実施例におけるシートベルトテンションセンサを実際に使用する際には、外側に図示しないカバーを被せて使用する。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、耐久性を向上できる、あるいは、検出装置の故障診断を行うことができる等の利点を有するシートベルト張力検出装置を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000108591
【氏名又は名称】タカタ株式会社
【出願日】 平成13年5月31日(2001.5.31)
【代理人】 【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
【公開番号】 特開2001−354114(P2001−354114A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2001−164742(P2001−164742)