トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般

【発明の名称】 シートベルト装置のタング
【発明者】 【氏名】陶山 洋士

【要約】 【課題】バックルに改めて簡単に装着することができるシートベルト装置のタングを提供する。

【解決手段】タング5は、先端側がバックル4に装着されるタングプレート6と、該タングプレート6の後部側を囲んでいる合成樹脂体7とを有している。合成樹脂体7の後端部のうち該一方の側面にあっては、指の係合部9が突設されている。この指の係合部9は合成樹脂体7の幅方向すなわち、タング5のバックル4への挿入方向に対し略直交方向に延在している。この係合部9を指で押すことにより、タング5をバックル4に容易に装着できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バックルに装着されるタングプレートが前部に設けられ、後部にウェビングが接続又は挿通されるシートベルト装置のタングにおいて、該タングをバックルに装着するときに使用者の指を当てて該タングプレートをバックルに押し込むことを可能とするための指の係合部を備えていることを特徴とするシートベルト装置のタング。
【請求項2】 請求項1において、該タングは、前記タングプレートの後部を取り囲む合成樹脂体を備えており、前記指の係合部は該合成樹脂体と一体に設けられていることを特徴とするシートベルト装置のタング。
【請求項3】 請求項1又は2において、該指の係合部はタングプレートのバックルへの挿入方向と略直交方向に延在する凸条として設けられていることを特徴とするシートベルト装置のタング。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項において、該タングの後端からショルダーベルトが延出し、タング後部の一方の側面からラップベルトが延出し、該指の係止部は、該タングの後端部近傍の該一方の側面から突出するように設けられていることを特徴とするシートベルト装置のタング。
【請求項5】 請求項4において、少なくともショルダーベルトはガスが導入されることにより膨張するインフレータブルベルトであり、タングには該ガスを導くためのガス通路が設けられていることを特徴とするシートベルト装置のタング。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両等の移動体の乗員を車両衝突時等に保護するためのシートベルト装置のタングに関するものであり、特にバックルに装着し易いタングに関する。詳しくは、ガス発生装置からのガスによって膨張するインフレータブルベルトを有したエアベルト装置に適用するのに好適なシートベルト装置のタングに関する。
【0002】
【従来の技術】エアベルト装置は、シートベルト装置のウェビングの少なくとも一部(とくに乗員の身体に当る部分)を膨張可能なエアベルトにて構成したものである。車両の衝突時や横転時にはガス発生装置が作動し、エアベルトが膨張する。特開平5−85301号公報(米国特許第5,346,250号)等の通り、このエアベルト装置として、エアベルトの一端をタングに接続し、該タング及び該タングが装着されるバックルにそれぞれガス通路を設け、該ガス通路を介してエアベルト内にガスを導入するものがある。このエアベルトの他端は、通常のシートベルト装置と同様のウェビングに縫合により接続され、このウェビングがシートベルトリトラクタに巻き取られる。このタングには、通常のシートベルトと同様のウェビングよりなるラップベルトが接続されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このエアベルト装置のタングは、インフレータブルベルトへ供給されるガスの通路を設けることが通常であり、従来の非膨張式のシートベルト(以下、ノーマルベルトということがある)用のタングに比べ嵩及び重量が大きく、バックルへの装着時の取り扱いに若干の難しさがある。
【0004】本発明は、バックルに改めて簡単に装着することができるシートベルト装置のタングを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のシートベルト装置のタングは、バックルに装着されるタングプレートが前部に設けられ後部にウェビングが接続又は挿通されるシートベルト装置のタングにおいて、該タングをバックルに装着するときに使用者の指を当てて該タングプレートをバックルに押し込むことを可能とするための指の係合部を備えていることを特徴とするものである。
【0006】かかるシートベルト装置のタングにあっては、タングプレートの先端をバックルの入口に当てた後、指で係合部を押すことにより、タングプレートをバックル内にスムーズに且つ容易に押し込むことができる。
【0007】このタングは、タングプレートの後部を取り囲む合成樹脂体を備えており、指の係合部は該合成樹脂体と一体に設けられていることが好ましい。かかる構成であれば、係合部付きのタングを容易に製造できると共に、係合部の耐久性も良好である。
【0008】この指の係合部はタングプレートのバックルへの挿入方向と略直交方向に延在する凸条としても設けられていることが好ましい。かかる係合部は、指との接触面積が大きく、タングをバックルにきわめて容易に押し込むことができる。
【0009】本発明では、タングの後端からショルダーベルトが延出し、タング後部の一方の側面からラップベルトが延出し、該指の係止部は、該タングの後端部近傍の該一方の側面から突出するように設けられていることが好ましい。かかる構成であれば、タングをバックルに装着するときに指の係合部がタングの上端部に位置することになるので、タングの装着動作が一層容易なものとなる。
【0010】本発明は、少なくともショルダーベルトがインフレータブルベルトよりなるエアベルト装置のタングに適用するのに好適であるが、ショルダーベルト及びラップベルトの双方ともノーマルベルトよりなる場合にも適用できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るエアベルト装置1の斜視図、第2図はベルトとタングとの接続部の斜視図である。
【0012】この実施の形態では、シートベルトとして、膨張可能なエアベルトよりなるショルダーベルト2と、ノーマルベルトよりなるラップベルト3が用いられている。このショルダーベルト2及びラップベルト3はそれぞれ後端側がショルダー用リトラクタ12及びラップ用リトラクタ13に巻取り可能とされている。このリトラクタ12,13は、それぞれショルダーベルト2及びラップベルト3を常に巻取方向に付勢するリターンスプリングと、車両衝突時等の緊急時にショルダーベルト2及びラップベルト3の巻き出しを阻止する緊急時ロック機構を備えている。
【0013】ショルダーベルト2及びラップベルト3の先端側はそれぞれタング5に接続されている。このタング5は、先端側がバックル4に装着されるタングプレート6と、該タングプレート6の後部側を囲んでいる合成樹脂体7とを有している。
【0014】この合成樹脂体7は、例えばタングプレート6の後部側を埋設するように樹脂モールドされることにより形成されるのが好ましいが、予め成形したものをタングプレートに被せて固定すること等によってタングプレート6と一体化されているものであってもよい。
【0015】この合成樹脂体7内には、後述のインフレータ10からのガスをショルダーベルト2内に導くガス通路が設けられている。符号8はガス通路の先端のガス受入部を示す。
【0016】第2図に示す通り、タング5の後端面(第2図において合成樹脂体7の上端面)からショルダーベルト2が延出し、合成樹脂体7の一方の側面からラップベルト3が延出している。
【0017】合成樹脂体7の後端部のうち該一方の側面にあっては、指の係合部9が突設されている。この実施の形態では、指の係合部9は合成樹脂体7の幅方向すなわち、タング5のバックル4への挿入方向に対し略直交方向に延在している。この係合部9は、合成樹脂体7と一体に射出成形等により成形されている。
【0018】ショルダーベルト2は、バッグと、該バッグを覆うメッシュウェビングとからなる。バッグはガスを全く又は殆ど透過させない材料(例えば樹脂コーティングを施した布)にて長い袋状に形成されたものである。このバッグは細長い帯状に折り畳まれている。
【0019】メッシュウェビングは、この折り畳まれた帯状のバッグを覆っている。このメッシュウェビングは、長手方向には殆ど伸長しないが、拡幅ないし膨大方向には柔軟に伸長しうる編物にて構成されている。このバッグ内にガスが導入されることにより該バッグが膨張する。
【0020】この実施の形態ではショルダーベルト2のみが膨張可能となっているが、ラップベルト3も膨張可能としてもよい。
【0021】バックル4には、インフレータ10が接続されると共に、このインフレータ10からのガスをガス受入部8に向けて流出させるガス流出部11を有する。
【0022】このエアベルト1を乗員が装着するに際しては、第4図に示すように、タング5を掴んでショルダーベルト2及びラップベルト3を乗員の身体前面に沿わせ、次いでタング5のタングプレート6をバックル4のタングプレート挿入口に当てがう。そして、タング5の指係合部9に親指を当て、タング5を下方に押し下げる。これにより、タングプレート6がバックル4内に押し込まれ、タング5がバックル4に装着される。このように、指でタング5を下方に押す操作はきわめて簡単であり、また操作時の姿勢も楽である。なお、第4図の符号31は自動車のBピラーを示す。
【0023】タング5をバックル4に装着した状態において、車両が衝突すると,インフレータ10がガスを噴出し、ショルダーベルト2が膨張する。また、リトラクタ12,13がロックし、ショルダーベルト2及びラップベルト3の引き出しが阻止される。
【0024】図示はしないが、エアベルト1、タング5又はバックル4にはバッグ内のガスを逃すベントホールが設けられており、乗員の上半身が膨張したショルダーベルト2にのしかかってきたときにはガスが該ベントホールから少しずつ流出し、乗員に加えられる衝撃が吸収される。
【0025】上記実施の形態では、シートベルトはエアベルトであるが、ショルダーベルトからラップベルトにかけて一つづきのノーマルベルトであってもよい。第3図はノーマルベルト19が掛通された実施の形態に係るタング20の斜視図である。このタング20は、タングプレート21と、タングプレート21の後部側を囲む合成樹脂体22と、ベルト19の掛通口23を有している。ノーマルベルト19は、この掛通口23に自在に挿通されている。このノーマルベルト19は、そのショルダー側の先端から緊急時ロック機構付きのリトラクタによって巻取り可能となっている。
【0026】この合成樹脂体22と一体に指の係合部24が設けられている。この係合部24は、前記係合部9と同じく、タング20のバックルへの挿入方向に対し略直交方向に延在する凸条として設けられている。この係合部24は、タング20の後端側のうちラップベルトが延出するサイドの側面から側方に突出している。
【0027】このタング20も、前記タング5と同じく、第4図のように親指にて係合部24を押してバックルに対し容易に装着することができる。
【0028】図示はしないが、本発明においては、指係合部に凹みや微少の凹凸あるいは突起を設けることにより,指先が滑りにくくなるようにしてもよい。
【0029】上記実施の形態では、タングの後部の側面から指係合部を側方に張り出すようにして設けているが、タングの合成樹脂体の厚みが後方ほど厚くなるようにタングの合成樹脂体を後端面が広い楔形状とし、この後端面を指の係合部としてもい。
【0030】
【発明の効果】以上の通り、本発明によると、バックルへの装着がきわめて容易なタングが提供される。
【出願人】 【識別番号】000108591
【氏名又は名称】タカタ株式会社
【出願日】 平成12年6月14日(2000.6.14)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開2001−354110(P2001−354110A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2000−178659(P2000−178659)