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【発明の名称】 車両搭乗者拘束具を膨張させる方法
【発明者】 【氏名】ジャック・エル・ブルメンタール

【氏名】ネイハム・ガット

【氏名】ジョン・エイチ・セムチェナ

【氏名】アーンスト・エム・フェイグル

【氏名】リチャード・ジェイ・トンプソン

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乗物搭乗者用拘束具を膨張させる方法にして、第一のチャンバ内に第一の気体を貯蔵するステップと、可燃性の気体混合体から成る第二の気体を第二のチャンバ内に貯蔵するステップと、前記第一及び第二の気体を異なる時点にて解放し、前記異なる時点にて前記第一及び第二のチャンバから流すステップと、前記第一の気体が前記第一のチャンバから解放された後前記可燃性の気体混合体に着火するステップと、前記第一の気体及び前記着火した可燃性の気体混合体を前記乗物搭乗者用拘束具内に送るステップと、を含む方法。
【請求項2】 乗物搭乗者用拘束具を膨張させる方法にして、少なくとも一つの貯えられた燃料気体と前記燃料気体の燃焼を促進する貯えられた酸化剤の気体とから成る可燃性の気体混合体を燃焼チャンバ内に供給するステップと、前記燃焼チャンバ内の燃料気体に着火して前記燃焼チャンバ内にて加熱した気体及び高圧を提供し、それによって乗物搭乗者用拘束具の膨張気体を前記燃焼チャンバ内で形成するステップと、前記膨張気体を、前記燃焼チャンバから前記乗物搭乗者用拘束具に、前記膨張気体を他の貯えられた気体と混合することなく供給する方法。
【請求項3】 請求項2に記載の乗物搭乗者用拘束具を膨張させる方法にして、可燃性の気体混合体を供給する前記ステップが、前記燃焼チャンバ内に不活性気体を提供することを含む方法。
【請求項4】 請求項2又は請求項3に記載の乗物搭乗者用拘束具を膨張させる方法にして、可燃性の気体の気体混合体を供給する前記ステップが前記燃料気体を一つの容器内に貯蔵するステップと、前記酸化剤の気体を別の容器内に貯蔵するステップと、乗物の急激な減速に応答して、前記燃料気体と酸化剤の気体とを前記燃焼チャンバ内で混合して、可燃性の気体混合体を発生させるステップとを含む方法。
【請求項5】 請求項2に記載の乗物搭乗者用拘束具を膨張させる方法にして、前記容器内の前記燃料気体を着火する前記ステップが、容器の壁の無孔部分を通してエネルギを伝達することを含む方法。
【請求項6】 請求項2に記載の乗物搭乗者用拘束具を膨張させる方法にして、前記容器内の燃料気体に着火する前記ステップが、白熱材料を前記容器の一端部分から前記容器の中央部分を通して伸長する細長の経路に沿って前記容器内の気体混合体中に放出することを含む方法。
【発明の詳細な説明】【0001】関連出願本出願は、ジャック エル ブルメンタル(Jack L. Blumenthal)及びネイハム ガット(Nahum Gat)により出願され、そして「膨張する車両搭乗者拘束具」の名称を与えられた出願番号第07/761,685号の一部継続出願である。前記の出願第07/761,685号の先の出願日の利益を有し、この文書によって請求されるものである。
【0002】発明の分野本発明は、車両搭乗者拘束具のような新規で改善された膨張具を膨張させる方法に関する。
【0003】発明の背景膨張する車両搭乗者拘束具の公知の構造は米国特許番号第3,806,153号、3,868,124号及び3,895,821号中に開示されている。これらの特許中に開示された構造のそれぞれにおいて、空気、又は他の気体、及び気体を生じる固体物質が容器の中に貯蔵される。衝突を示す車両の急速な減速が起こると、容器の中の気体が解放されて、衝突の間車両搭乗者を拘束する車両搭乗者拘束具を膨張させる。更に衝突を示す乗り物の急速な減速が起こると、気体を生じる物質が点火される。気体を生じる物質が燃えるとき、それは貯蔵気体を加熱し貯蔵気体と混ざり合う、熱い気体又は蒸気を形成し、そして気体の加熱された混合物が車両搭乗者拘束具の中に流れ込む。
【0004】発明の概要本発明は搭乗者拘束具のような、膨張する膨張具を膨張させる方法に関する。本発明による乗物搭乗者用拘束具を膨張させる方法は、第一のチャンバ内に第一の気体を貯蔵するステップと、可燃性の気体混合体から成る第二の気体を第二のチャンバ内に貯蔵するステップと、前記第一及び第二の気体を異なる時点にて解放し、前記異なる時点にて前記第一及び第二のチャンバから流すステップと、前記第一の気体が前記第一のチャンバから解放された後前記可燃性の気体混合体に着火するステップと、前記第一の気体及び前記着火した可燃性の気体混合体を前記乗物搭乗者用拘束具内に送るステップと、を含む。
【0005】好ましくは、気体の混合物は、不活性気体、可燃性気体及び酸化剤気体を含む。不活性気体は好ましくは窒素又はアルゴン又は窒素とアルゴンとの混合物である。燃料気体は好ましくは水素又はメタン又は水素とメタンとの混合物であるが、いくつかの他の可燃性気体であってもよい。酸化剤気体は好ましくは酸素である。不活性気体は除去されることができ、代わりに、燃料の乏しい可燃性気体の混合物が使用され得る。ヘリウムのような不活性のトレーサー気体の少量を、装置のガス漏れ調査を援助するために加えることもできる。
【0006】含有手段は種々の異なった形態をとることができる。本発明の一態様においては、含有手段は、気体混合物として不活性気体、燃料気体、及び酸化剤気体を含有するための単一の容器である。代わりに、単一の容器は非常に燃料の乏しい可燃性気体の混合物を含有することもできる。
【0007】他の態様においては、一次容器が燃料気体を含有し、二次容器が酸化剤気体を含有し、そして含有手段が、燃料気体と酸化剤気体を受け入れてその中で気体の混合物に点火される燃焼チャンバーを画成する。本態様では、使用される酸化剤気体の量は燃料気体の燃焼を支持するための化学量論的な量を越える。
【0008】本発明によれば、膨張具の膨張速度は燃料気体の点火の後に与えられた時間において膨張具の望ましい体積を与えることによって制御され得る。膨張具の膨張速度と膨張具の中の圧力は、膨張具の中への温かい気体の前以て決定された容積流速を引き続き決定する望ましい燃焼速度を得るための燃料気体と酸化剤気体の量を選択することによって制御され得る。代わりに、又は追加して、膨張速度は、フローコントロールオリフィス又は気体がそれを通って膨張具の中へ流れ込む類似のものによって制御され得る。膨張に必要とされる時間を制御するための他の技術は、含有手段の中の燃料気体が点火される位置の数を変えることである。
【0009】改善された点火手段は気体の混合物を点火することを与える。点火手段は、含有手段の穴のあいていない壁の部分を通ってエネルギーを伝えるために使用できる。含有手段の穴のあいていない壁の部分を通って伝えられたエネルギーは、含有手段の中の点火物質の点火をもたらす。特に、含有手段の穴のあいていない壁の部分の外側付近に位置する点火チャージは、含有手段の穴のあいていない壁の部分の内側付近に配置された点火チャージの点火を引き起こす程に点火しやすい。点火手段の他の特徴によれば、壊れやすいさやの中の延ばされた中心部分が含有手段の中に配置される。延ばされた中心部分は、結果としてさやが粉砕されそして白熱した反応生成物が含有手段の中に吹き出すことによって点火される。
【0010】
【実施例】(実施例1)本発明は多くの異なる構造によって具体化することができる。代表として、図1に搭乗者安全装置10において具体化された本発明を例示する。搭乗者安全装置10は膨張性の搭乗者制止装置12及び搭乗者制止装置を膨らませる装置を含む。
【0011】車両衝突を示す車両の急減速が起きた時、車両が衝突する際に搭乗者が車両のある部品(ハンドル、計器盤等)の方に移動してその部品と勢いよくぶつかる前に、搭乗者制止装置12が膨らみ、車両の中の搭乗者とその部品との間に位置する。膨らんだ搭乗者制止装置12は、搭乗者の移動の動力学的エネルギーを吸収して搭乗者の移動を制止し、このため搭乗者は車両の部品に勢いよくぶつからない。このような搭乗者制止装置は、種々の気体で膨らませることができる。搭乗者制止装置12に用いられる気体にかかわらず、搭乗者制止装置は一般に空気バッグと言われる。
【0012】搭乗者制止装置12は、容器14から気体を流して膨らませる。容器14は、気体混合物18を入れる気体室16を有する。気体混合物18は、好ましくは燃料用ガス、燃料ガスを燃焼させる酸化ガス及び不活性ガスを含む。不活性ガスは、好ましくは窒素、アルゴン又は窒素とアルゴンの混合物である。酸化ガスは、好ましくは酸素である。燃料ガスは、好ましくは水素であるが、メタン又は水素とメタンの混合物でもよい。
【0013】あるいは、容器14の中の気体混合物は、酸化ガスと燃料ガスの混合物であって、燃料ガスが非常に薄く、酸化ガスの量が燃料ガスを燃焼させるのに必要な量より過剰である混合物でもよい。
【0014】容器14の中の気体混合物18は点火によって容易に燃焼するが、それ以外では爆発性ではない。気体混合物18は、種々の組成を有することができる。気体混合物18の燃料ガスは2〜16モル%である。酸化ガスは気体混合物18の7〜98モル%である。残部は不活性ガスであり、気体混合物18の0〜91モル%である。好ましくは、気体混合物18は水素10〜14モル%、酸素15〜25モル%及び不活性ガス61〜75モル%を含む。
【0015】容器14の中の気体混合物18は、通常は圧力のかかった状態にある。圧力は、膨らませる搭乗者制止装置12の容量、膨らませるのに要する時間、所望の膨張圧力、気体混合物18の容器の容量、及び気体混合物の中の各々のガスの割合に依存する。通常は、容器14の中の気体混合物18は、約344.70×104ないし約3447.0×104パスカル(500〜5,000psi)である。好ましくは容器14の中の気体混合物18は、約689.40×104ないし約2068.20×104パスカル(1,000〜3,000psi)である。しかし、本発明は圧力にかかわらずどのような気体混合物をも用いることができる。
【0016】本発明のひとつの態様においては、気体混合物18は乾燥空気と水素からなる。乾燥空気と水素の混合物は、空気86モル%及び水素14モル%から、空気92モル%及び水素8モル%の範囲である。しかしここでは、空気90モル%及び水素10モル%から空気87モル%及び水素13モル%の範囲が好ましい。
【0017】車両が突然減速した場合に、減速センサー22(周知の適当な構造のいかなるものでもよい)が気体室16の中の点火装置24を作動させ、気体混合物18中の燃料ガスが点火する。酸化ガスが存在するため燃料ガスは燃焼する。燃料ガスが燃焼するにしたがって、燃料ガスの燃焼によって生じる熱によってガスが暖められ、かつ、燃料ガスの燃焼によって追加のガスや蒸気が生成するため、気体室16の圧力は上昇する。所定時間の経過後、あるいは気体室16の中の圧力が所定の値に達した時、容器14の末端の壁28が破裂し、暖かいガスが流量制御口を通って搭乗者制止装置12に流れる。ガスが搭乗者制止装置12に流れ込むと、搭乗者制止装置12はガスによって膨らみ、搭乗者を制止するための所定の位置におかれる。
【0018】水素の量が約8モル%以下である場合には、水素に点火することは困難であろう。水素の量が14モル%以上である場合には、搭乗者制止装置12の中で許容できない圧力もしくは温度又はその両方が生じる。好ましくは気体混合物18は、容器14における燃焼によって十分に消費されるような量の燃料ガスを含む。したがって、搭乗者制止装置12は、不活性ガスが用いられている場合には不活性ガス、燃焼生成物及び残っている酸化ガスによって、あるいは、不活性ガスが用いられていない場合には、残りの酸化ガスと燃焼生成物とによって、ほぼ独占されて膨らむ。
【0019】ガスが容器14から搭乗者制止装置12に流れ込むと、ガスは膨張して冷える。さらに、搭乗者制止装置が膨らむにしたがって、安全装置10のまわりからの空気が搭乗者制止装置12の中に吸引される。この吸引された空気もまた、搭乗者制止装置12の中のガスを冷却する。
【0020】気体混合物18の中の燃料ガスが燃焼して熱を発生し、気体室16の中のガスの圧力を上昇させるため、搭乗者制止装置12を所望の圧力に膨らませるために容器14の中に保存しなければならないガスの総容量を最小限にすることができる。
【0021】更に、燃料ガスが燃焼すると、固体物質の代わりにガス状物質、即ち水蒸気が生成するので、粒子状フィルターなどは必要ではない。
【0022】安全装置10における容器14を図4に詳細に示す。図4に示されているように、容器14は、円筒形のタンク30を有する。タンク30は、ガスの混合物18を含む室16を画定する。タンク30は、容器中に含まれるガスに対して不透過性の材料でできていなければならない。したがって、タンク30は、鋼鉄又はアルミニウムのような好適な材料で製造することができ、ガラスライニングを有していてもよい。円筒形のガス流ディフューザー32がタンク30を被包している。ディフューザー32は、多数のガス流用開口35を有する。
【0023】点火装置ハウジング34は、タンク30の一端における開口を通って伸長しており、点火装置24を支持する。点火装置24は、多くの公知のタイプの点火装置のいずれのタイプのものであってもよい。しかして、点火装置は、スパークプラグ、フラッシュバルブ点火装置(例えば米国特許第3,695,179号に示されているようなもの)、又は火工用の点火装置であってよい。図4に示す特定の点火装置24は、好ましくはジルコニウムカリウムペルクロレートである火工材料を含む公知の導火爆管である。図4に示すような単一の点火装置、あるいは複数の点火装置を用いることができる。ガスの混合物18中の燃料ガスの割合を変化させて、単数又は複数の点火装置による燃料ガスの点火を容易にすることができる。
【0024】円筒形のマニホールド40が、点火装置24の反対側のタンク30の端部における開口を通って伸長し、同様にディフューザー32における隣接する開口を通って伸長している。タンク30の内側に配置されているマニホールド40の円形の端壁部42は、中心に配置されている制御オリフィス44を有している。マニホールド40の円筒形の側壁46は、タンク30とディフューザー32との間に配置された円周状に配列されたガス流用開口48を有している。図1に概略的に示されている端壁部28は、制御オリフィス44とガス流用開口48との間のマニホールド40の内部に支持されている破裂板である。
【0025】室16内のガスの混合物18中の燃料ガスが点火装置24によって点火されると、燃料ガスの燃焼によって熱及びガス状燃焼生成物が生成し、これが室16内の圧力を上昇させる。タンク30内の上昇した圧力が所定のレベルに達すると端壁部28が破裂する。次に、加圧されたガスが、マニホールド40を通って室16からディフューザー32のガス流用開口35へ流れ、ガス流用開口35を通って乗り物用乗員拘束装置(occupant restraint)12中に流れる。
【0026】図5は、乗り物用乗員用安全装置10の操作中の、室16内の圧力と、乗り物用乗員拘束装置12内のガスの容量との関係をグラフで示すものである。室16内の圧力は図5において曲線Pで示されている。曲線Pに関するスケールは図5の左側に示されている。乗り物用乗員拘束装置12内のガスの容量は図5において曲線Vで示されている。曲線Vに関するスケールは図5の右側に示されている。時間T0において、室16内のガスの混合物18中の燃料ガスが点火され、燃焼の結果として室16内の圧力が保存圧力PSを超えて上昇し始める。時間T1において、端壁部28が破裂し、加圧されたガスが乗り物用乗員拘束装置12中に流れ始める。次に、曲線Vによって示されるように、乗り物用乗員拘束装置12内のガスの容量が上昇し始める。燃焼工程によって熱が発生し続け、これにより乗り物用乗員拘束装置12中にオリフィス44を通って流れ込むガスの流れよりも早い速度でガスの混合物が膨張するので、室16内の圧力は、端壁部が開放された後は、始めは一定のままで保持されるか又は上昇を続ける。燃焼が完了に近づくと、加圧されたガスが室16から乗り物用乗員拘束装置12中に移動するに連れて、室16内の圧力は低下する。室16内の圧力が低下するに連れ、乗り物用乗員拘束装置12内のガスの容量は、乗り物用乗員拘束装置12が乗り物の乗員を拘束する目的のために完全に膨らむまで上昇する。
【0027】図5は、単に本発明の乗り物の乗員拘束用膨張装置の操作の例を示したものである。図5における曲線を多くの方法で変化させて容量対時間の曲線を変化させ、乗り物用乗員拘束装置の膨張を特定の乗り物に関する特定の用途のために調整することができる。例えば、ガスの混合物18の燃料ガス含有量を増加させることによって、及び/又は、酸化剤ガスの含有量を増加させることによって、乗り物用乗員拘束装置12を完全に膨らませるための時間を減少させることができる。更には、ガスの混合物18中の燃料ガスを点火させる場所の数、及び/又は制御オリフィス44の面積を増加させることができる。更に、これらの変更を組み合わせて、乗り物用乗員拘束装置12を膨らませる時間を減少させることができる。逆に、例えばガスの混合物18中の燃料ガス含有量及び/又は酸化剤ガス含有量を減少させることによって、乗り物用乗員拘束装置12を完全に膨らませる時間を増加させることができる。
【0028】上記に記載した態様Iは本発明の好ましい態様である。以下に、本発明を実施する別の方法である本発明の他の態様を説明する。
【0029】(実施例2)図2に示されている発明の実施態様は、図1に示されているそれと一般に同じなので、同じ符号は同じ部材を表すのに使用することとする。なお、添字aは、混乱を避けるために、図2に示されている部材を表すものとして符号と共に用いる。
【0030】乗用車安全装置10a(図2)は、膨張可能な乗車員拘束具12aを含む。該拘束具は、コンテナー14aからのガス流によって膨張する。コンテナー14aはチャンバー16aを有する。該チャンバー内には、ガス混合物18aが保持されている。ガス混合物18と同様に、ガス混合物18aは、燃料ガス、燃料ガスの燃焼を支えるための酸化ガス、及び不活性ガスを含む。また、他の態様として、ガス混合物18aは、燃料ガスと酸化ガスとを含み、且つ燃料が非常に少ない燃焼性ガス混合物であってもよい。また、ガス混合物18aは、加圧下にあってもよい。
【0031】乗用車の減速が素早く起こると、減速センサー22aが開口器60を作動させ、コンテナー14aの端壁28aに機械的に穴を開ける。開口器60はピストンから成る。該ピストンは、爆発的なチャージによって、端壁28aに対向して動く。好ましくは、それと同時に、減速センサー22aは点火器24aを作動させ、ガス混合物18a中の燃料に点火をする。このようにして、図2に示される本発明の実施態様では、開口器60によってコンテナー14aが開き、それと同時に点火器24aによってガス混合物18a中の燃料に点火されるのである。別の態様では、ガス混合物18aは、端壁28aに穴が開けられてから短時間の後に点火されてもよい。これは、乗車員拘束具12a中に僅かに「柔らかい」又はゆっくりとした初期ガス流を送り込むためである。これに加えて、ガス混合物18aは端壁28aに穴が開けられる前に点火されてもよい。燃料ガスが燃えると、チャンバー16a内のガスが加熱される。加熱されたガスは、チャンバー16aから端壁28aの開口部を通り、乗車員拘束具12a内に流れる。その結果、乗車員拘束具12aが膨張する。
【0032】ガス混合物18aは数多くの異なる組成であり得る。ガス混合物18aの好ましい組成は、上述のガス18と同様である。一つの具体的な実施態様によれば、ガス混合物18aは、乾燥空気を含む。該乾燥空気には、燃料ガスとして、ほぼ11モル%の水素ガスが添加されている。開口器60によってコンテナー16aの端壁28aに穴が開けられる前、且つ、ガス混合物18a中の水素ガスに点火される前に、コンテナー14a内に保持されているガス混合物18aの圧力は、ほぼ2,000psiである。ガス混合物18aの保管時の圧力は、好ましくは、上述の混合ガス18のそれと同様である。
【0033】(実施例3)本発明の第三の実施態様は、図3に示されている。 図3に示されている発明の実施態様は、図1及び図2に示されているそれと一般に同じなので、同じ符号は同じ部材を表すのに使用することとする。なお、添字bは、混乱を避けるために、図3に示されている部材を表すものとして符号と共に用いる。
【0034】乗用車安全装置10b(図3)は、乗車員拘束具12bを含む。該拘束具は、コンテナー14bからのガス流によって膨張し、乗車員の動きを拘束する。コンテナー14bは、第一の室、即ち上部コンパートメント70及び第二の室、即ち下部コンパートメント72を含む。上部コンパートメント70は、端壁28bを有する。上部及び下部コンパートメント70及び72は、中間壁74によって互いに仕切られている。上部コンパートメント70は膨張性のガス、即ち加圧ガス78を含む。該加圧ガスは燃焼性ではない。下部コンパートメントは可燃性のガス、即ち加圧ガス混合物80を含む。ガス混合物80は、好ましくは、燃料ガス、ガス混合物中の燃料ガスの燃焼を支えるための酸化ガス、及び不活性ガスを含む。別の態様では、ガス混合物80は酸化ガスと燃料ガスとから成っていてもよい。この場合には、該ガス混合物80は燃料が非常に少ないガス混合物である。
【0035】乗用車が突然減速すると、減速センサー22bが開口器60bを作動させ、コンテナーの端壁28bに機械的に穴を開ける。上部コンパートメント70内のガス78は加圧下にあるので、コンテナーの端壁28bに穴が開けられると、ガス78は、上部コンパートメント70から乗車員拘束具12b中に流れる。
【0036】ガス78が、上部コンパートメント70から乗車員拘束具12b中に流れると、上部コンパートメント70内の圧力は減少する。従って、下部コンパートメント72内のガス混合物80と、上部コンパートメント70内のガス78との圧力差は増加する。上部及び下部コンパートメント70及び72内のガスの圧力差が、予め決めておいた圧力差に達すると、中間壁74が破裂し、下部コンパートメント72と上部コンパートメント70とが流体経路によって接続される。その結果、下部コンパートメント72が流体経路によって上部コンパートメントを介して乗車員拘束具12bに接続されることになる。
【0037】圧力差によって中間壁74が破裂したか否かはセンサー86によって検知する。別の態様では、センサー86は、中間壁74があるプリセットした位置から偏ったか否かを検知する。中間壁74が破裂したか又はあるプリセットした位置から偏ったかをセンサー86が検知すると、センサー86が点火器88を作動させ、ガス混合物80中の燃料ガスに点火をする。ガス混合物80中の燃料ガスが点火され、そして燃えると、下部コンパートメント72内のガスが加熱される。下部コンパートメント72内のガスが加熱されると、下部コンパートメント72内の圧力が増加する。それ故、中間壁74及び端壁28bを流通し乗車員拘束具12bに達するガス速度は増加し、しかも、乗車員拘束具12bを膨張せしめるのに有効なガス容積も増加する。
【0038】上部コンパートメント70には、圧力約1378.8×104パスカル(2,000psi)の乾燥空気が充填されていてもよい。下部コンパートメント72内のガス混合物は、種々の組成を有し且つ種々の圧力を有し得る。下部コンパートメント72には、圧力約1378.8×104パスカル(2,000psi)のガス混合物が充填されていてもよい。下部コンパートメント72内のガス混合物80は、85〜90モル%の乾燥空気と10〜15モル%の水素ガスとから成っていてもよい。上部コンパートメント70には窒素ガスが充填されており、そして、下部コンパートメントには窒素ガス、水素ガス及び酸化ガスを含む混合物が充填されていることもある。下部コンパートメント72内のガス混合物は、図1に示した実施態様で述べたガス混合物18に関する如何なる組成及び/又は保管圧力をも有し得る。
【0039】上部及び下部コンパートメント70及び72間の圧力差が予め決めておいた値に達すると中間壁74が破裂して、下部コンパートメント72と、上部コンパートメント及び乗車員拘束具12bとが流体経路によって接続されることが好ましいが、コンテナー14bの上部コンパートメント70及び下部コンパートメント72は、異なる方法の流体経路によって接続され得る。例えば、開口器60bに類似した開口器によって中間壁74に機械的に穴を開け得る。開口器を作動せしめて中間壁74に穴を開け、それと同時に点火器を作動せしめてガス混合物中の燃料ガスに点火をする操作は、減速センサー22bが乗用車の突然の減速を検知した後、予め決めておいた時間間隔が経過すると行われる。
【0040】(実施例4)本発明の第4の実施例を図6に示す。この実施例においては、水素を容器100に圧力を負荷した状態で貯蔵し、酸素は容器101に圧力を負荷した状態で貯蔵する。容器100には収容手段106によって境界を定められた燃焼チャンバー104と連通した出口102が備えられている。同様に、容器101には燃焼チャンバー104と連通した出口108も備えられている。
【0041】出口102には流量制御オリフィス110及び破裂ディスク112も備えられている。破裂ディスク112が開くと、収容手段106の燃焼チャンバー104に水素が流入する。水素の流れは、流量制御オリフィス110の領域付近では一部制御される。出口108には流量制御オリフィス114及び破裂ディスク116が備えられている。破裂ディスク116が開くと、収容手段106の燃焼チャンバー104に酸素が流入する。酸素の流れは、流量制御オリフィス114の領域付近では一部制御される。従って、破裂ディスク112、116が開くと、収容手段106にガス即ち水素及び酸素が収容され、水素と酸素との可燃性混合物が形成される。
【0042】適切な発火装置130が収容手段106と結合している。発火装置130が作動すると、収容手段106の燃焼チャンバー104内にあるガスの混合物が発火し、燃焼チャンバー104内の圧力を増大させ且つガスを暖める。ガスは、燃焼チャンバー104から流量制御オリフィス131及び出口導管132を経て膨張性搭乗者拘束具134に向かう。流量制御オリフィス131は、膨張性搭乗者拘束具134に向かうガスの流量割合及び燃焼チャンバー104内の圧力を一部制御する。膨張性車両搭乗者拘束具134は実施例1において既述されているようなものであってもよい。
【0043】適切な開放装置140が破裂ディスク112と結合している。開放装置140が作動すると、破裂ディスク112が開く。同様に、適切な開放装置142が破裂ディスク116と結合している。開放装置142が作動すると、破裂ディスク116が開く。
【0044】開放装置140、142は、衝突の印として車両の急激な減速を感知する車両減速センサーで作動する。結果として、水素と酸素が燃焼チャンバー104に流入し、そこで混合されて一緒になる。車両減速センサーは発火装置130をも同様に作動させ、引き続いて、燃焼チャンバー104内の水素と酸素とからなる混合物を発火させる。燃焼チャンバー104内のガスの混合物が発火することによってガスが暖まり、且つ、燃焼チャンバー104内の圧力が増大する。その後、ガスは車両搭乗者拘束具134に流入する。
【0045】容器100、101に貯蔵する水素と酸素の量は変えられる。燃焼チャンバー104内の水素の量は、燃焼チャンバー104内の水素と酸素との総量の約10モル%であるのが好適である。一方、燃焼チャンバー104内の酸素の量は、燃焼チャンバー104内の水素と酸素との総量の約90%であるのが好適である。この場合に、水素の燃焼を促進するために必要とされる量を超える量の酸素を供給することになる。従って、車両拘束具は、燃焼チャンバー104内のガスの混合物の燃焼による生成物と酸素によって膨張する。燃焼生成物には水蒸気が含まれる。
【0046】(実施例5)本発明の第5の実施例を図7、8及び9に例示する。本発明のこの実施例の構成部品は、実施例1乃至4において例示されている発明の実施例の構成部品と一般的には類似するものであり、同じ符号を用いて類似する構成部品を指示している。添え字cは、混合を避けるために、図7乃至9の数字に添えられている。
【0047】車両安全装置10c(図7)には、(図示されてはいないが)容器14cからのガスの流れによって膨張した車両搭乗者拘束具が含まれている。容器14cには、ガスの混合物18cを保持するチャンバー16cが備えられている。ガスの混合物18cには、燃料ガス、燃料ガスの燃焼を促進する酸化性ガス、及び不活性ガスが含まれるのが好ましい。別法として、容器14c内のガスの混合物18cは、酸化性ガス及び燃焼ガスを非常に可燃成分の少ない混合物となるような量で含むものであってもよい。すなわち、酸化性ガスの量が、燃料ガスの燃焼を促進するために必要とされる量を超えてもよい。
【0048】ガスの混合物18cは発火すると、容器14c内で燃焼するが、発火しなければ爆発性ではない。容器14c内のガスの混合物18cには通常圧力が負荷される。ガスの混合物18cは、図1乃至4において例示されている発明の実施例と関連して詳述されているガスの混合物18と同じ組成である。
【0049】突然車両が減速すると、(ここでは図示されてはいないが)公知で適切な構成からなるいずれかの種類の減速センサーが信号を伝導体150、152に伝送し発火装置24cを作動させる。発火装置24cが作動して、ガスの混合物18cの内の燃料ガスを発火させる。混合物18c内の燃料ガスの燃焼は酸化性ガスによって促進される。燃料ガスが燃焼するにつれて、チャンバー16c内の圧力は上がる。かかる圧力の増大は、発火装置24cと燃料ガスの燃焼によって供給される熱による。
【0050】チャンバー16c内の圧力が所定の圧力に達したとき又は所定の時間の経過後に、破裂ディスクアセンブリ156内の(ここでは図示されていないが)破裂ディスクが破裂し、1個又は2個以上の流量制御オリフィスを通過して車両搭乗者拘束具に暖かいガスが流入する。ガスが車両搭乗者拘束具に流入するにつれて、ガスによって車両搭乗者拘束具が車両搭乗者を拘束するための所定の場所まで膨張される。
【0051】本発明のこの実施例の特徴によれば、発火装置24cを作動させて、エネルギーを容器14cの無孔壁部160(図8)を通過して伝送し、容器14c内のガスの混合物18cを発火させることが燃焼させることができる。発火装置24cは、壁部160の無孔外壁表面166に隣接して配置する。外側の装填材料164は、シリンダー状の金属ハウジング170に包まれている。かかる金属ハウジング170は、壁部160の無孔外側部166に溶接されている。外側の装填材料164は、壁部160の無孔外側部166と嵌合している。
【0052】内側の発火性の装填材料174は、壁部160の無孔内側部176と嵌合状態で配置する。内側の装填材料174は、シリンダー状の金属ハウジング178に包まれている。かかる金属ハウジング178は、壁部160の無孔内側部176に溶接されている。シリンダー状の封止ディスク186は、チャンバー18c内のガスの混合物への内側の装填材料の暴露を防ぐ。
【0053】本発明のある特別な実施例においては、外側の発火性装填材料164はRDX(Royal Danish Explosive)であってもよい。しかしながら、望むならば、HMX(Her Majesty’s Explosive)を使用することも可能であった。外側の装填材料164及び内側の装填材料174の断面は両方とも、直径が約0.254cm(約0.100インチ)のシリンダー状である。
【0054】本発明の既に例示されている特定の実施例においては、内側の装填材料174は2つの区画部に含まれる。シリンダー状の外側の区画部180とシリンダー状の内側の区画部182である。外側の区画部180は、ペンタエリトリトールテトラニトレート製である。内側の区画部182は硝酸ボロンカリウム(BKNO3)製である。本発明のこの特別な実施例においては、シリンダー14cは304ステンレス鋼を真空アークで再溶解して形成したものである。外側の装填材料164と内側の装填材料174との間のシリンダー壁部160の厚さは約0.216cm(約0.085インチ)である。
【0055】点火器24cは伸長された点火ライン192を含む。点火ライン192は端部194を有し、内部チャージ174とシーリングディスク186に隣接して配置される。図8において点火ライン192の端部194は、ハウジング178に入れ子状にマウントされ、点火ライン192の端部がシーリングディスク196と隣接して連結され、内部チャージ174の近くに隣接して配置される。点火ライン192の長手方向の中心軸は、コンテナー14cの長手方向の中心軸と一致するように配置される。点火ライン192はハウジング178からコンテナー14cの中心部を通り、図7のコンテナーの右端部分へ伸びる。点火ライン192は図7に196で示された端部を有し、これはバーストディスクアッセンブリ156に隣接して配置される。
【0056】点火ライン192の端部196は、図7において支持されていないように図示されているが、支持体をバーストディスクアッセンブリの内側、またはコンテナー14cの横壁に設けることができる。さらに、所望であれば、点火ライン192は、コンテナー14cの中心軸の一方へ軸をずらして(offset)配置することができる。
【0057】図8に示された点火ライン192は円筒状の鞘202を有する。鞘202は、プラスチック、セラミックまたは複合材のようなもろい材料の織物である。伸長されたコア204が鞘202の内側に配置される。コア204は非爆発性、点火性の材料であって、高い燃焼熱を有する材料で形成される。
【0058】コア204は3つの円筒状のストランド206、208、および210(図9)で形成され、鞘202の開口していない円筒状横壁により閉じ込められる。ストランド206、208および210は長手方向に伸びた支持部材214を含み、該部材は非爆発性、点火性の粉末燃料、オキシダントおよび適当なバインダーの混合物で被覆されている。支持部材214はガラス繊維、金属またはポリマー材料のようなものの織物である。
【0059】鞘202で区切られる面積はコア204の断面積よりも大きい。そのため、コアストランド206、208、210と鞘202の間、およびコアストランド自身の間に空間が生ずる。ストランド206、208、210と同じ材料で作られる粉末接着性点火層222が、鞘202の内部に配置される。
【0060】点火ライン192は Explosive Technology (Fairfield California) から商業的に利用でき、ITLXとして知られている。3つのストランド206、208、および210で形成されるコア204と円筒状の鞘202を有する点火ライン192はすでに開示されており、点火ライン192が種々の異なる構成を採れるように企図されている。たとえば、「線状点火フューズ」の名称で1980年9月7日に発行された米国特許4,220,087に示されている。
【0061】乗り物が突然減速された時、減速センサー(図示せず)は信号をライン150、152を介して伝え、外部チャージ164を点火させる。外部チャージ164の点火は、コンテナー14cの非開口壁部分160を振動させる。チャージ164と174の間の壁部分160の振動により伝えられた力が内部チャージ174の点火部分180の点火を引き起こす。これがチャージ部分182を点火する。内部チャージ174のチャージ部分180と182の点火がシーリングディスク186を破壊し、点火ライン192の端部にあるコア204を点火する。
【0062】コア204の点火の際、点火反応が非常に早い速度、1,000ー1,500メートル毎秒のオーダーの速度で点火ラインに沿って伝播する。反応が点火ライン192に沿って伝播するので、鞘202が破壊される。鞘202が破壊され、点火ライン192から半径方向に放出された反応生成物の小さな白熱した粒子となる。
【0063】点火ライン192の点火により得られる熱は、鞘202の表面近傍のガスを急速に加熱し、約1,000°Fまで速やかに昇温する。これがチャンバー16c内のガスの燃焼性混合物18cを点火する。さらに、鞘が破壊されたために生ずる、点火ライン192から半径方向に放出された反応生成物の小さな白熱した粒子は、点火ラインから離れた場所にある燃焼性ガス混合物18cを効果的に点火する。
【0064】すなわち、点火ライン192は、コンテナー14c内部のガス混合物18cの加熱と、ガス混合物の点火という2つの役割を果たす。点火ライン192はガス混合物18cへの実質的な熱量を増加させ、異なるタイプの点火器が使用された場合に比較してより少ない燃料ガスしか必要としない。
【0065】本発明に関する上記の説明に基づき、当業者は応用、改良、変更および修正を行うことができる。たとえば、図6のコンテナー101内部のガスは窒素などの不活性ガスを酸素とともに含むことができる。図6の実施例の変形において、不活性ガスをコンテナー100および101と同様な分離されたコンテナー内部に加圧下で貯蔵することもできる。本発明にかかる装置は、エアーバッグとして知られる、車の搭乗者の拘束用の他、他の膨張装置としても使用できる。たとえば、本発明にかかる装置は、膨張する自動車用シートベルト、いかだ、脱出用シュートなどに使用できる。当業者の容易にすることができる応用、改良、変更および修正などは、本発明の技術範囲に含まれるものである。
【出願人】 【識別番号】591067705
【氏名又は名称】ティーアールダブリュー・ヴィークル・セーフティ・システムズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TRW VEHICLE SAFETY SYSTEMS INCORPORATED
【出願日】 平成4年9月18日(1992.9.18)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【公開番号】 特開2001−354107(P2001−354107A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2001−122253(P2001−122253)