トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般

【発明の名称】 頭部保護エアバッグ装置
【発明者】 【氏名】漆 規夫

【要約】 【課題】頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグの一部が膨張展開途中にヘッドレストの上面に乗り掛からないようにすること。

【解決手段】ルーフサイドレール21に沿って格納したエアバッグ11がインフレータから供給されるガスにより車室側壁に沿ってカーテン状に膨張展開して乗員の頭部を保護するようにした頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグ11の膨出時に、中間ピラーガーニッシュ33の上端部33aと係合するルーフヘッドライニング31の端末部31aがその係合を解かれて中間ピラー23に対応して配設したシート(前席)におけるヘッドレストSaの側面Sa2に当接可能とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ルーフサイドレールに沿って格納したエアバッグがインフレータから供給されるガスにより車室側壁に沿ってカーテン状に膨張展開して乗員の頭部を保護するようにした頭部保護エアバッグ装置において、前記エアバッグの膨出時に、中間ピラーガーニッシュの上端部と係合するルーフヘッドライニングの端末部がその係合を解かれて中間ピラーに対応して配設したシートにおけるヘッドレストの側面に当接可能としたことを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
【請求項2】 ルーフサイドレールに沿って格納したエアバッグがインフレータから供給されるガスにより車室側壁に沿ってカーテン状に膨張展開して乗員の頭部を保護するようにした頭部保護エアバッグ装置において、前記エアバッグの膨張展開時に中間ピラーに略対応する膨張室を他の膨張室とは独立して前記エアバッグに設けるとともに、この独立した膨張室を設けた部位が他の部位に対して分離変形可能としたことを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に装備される頭部保護エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の頭部保護エアバッグ装置の一つとして、ルーフサイドレールに沿って格納したエアバッグがインフレータから供給されるガスにより車室側壁に沿ってカーテン状に膨張展開して乗員の頭部を保護するようにしたものがあり、例えば英国特許公開明細書第2326385号に示されている。上記した公開明細書に示されている頭部保護エアバッグ装置においては、車室側壁に沿ってカーテン状に膨張展開するエアバッグが中間ピラー(Bピラーとも呼ばれるセンターピラー)の前後にあるフロントサイドドア部とリアサイドドア部の両方を覆う構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従来の頭部保護エアバッグ装置を図6に例示したように車両に適用した場合、車両の側突時またはロールオーバー時にBピラー1が図7に示したように車室内側に変形して侵入すると、これに伴ってBピラー1に組付けたBピラーガーニッシュ2と、これと係合するルーフヘッドライニング3も侵入変形して前席4のヘッドレスト4aに近接する。このため、エアバッグ5の一部5aが膨張展開途中にヘッドレスト4aの上面に乗り掛かり、エアバッグ5の膨張展開完了時にエアバッグ5の下端が正規の頭部保護エリア(図6の一点鎖線参照)まで下がらない(展開しない)ことが考えられる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した課題に対処すべく、ルーフサイドレールに沿って格納したエアバッグがインフレータから供給されるガスにより車室側壁に沿ってカーテン状に膨張展開して乗員の頭部を保護するようにした頭部保護エアバッグ装置において、前記エアバッグの膨出時に、中間ピラーガーニッシュの上端部と係合する前記ルーフヘッドライニングの端末部が係合を解かれて中間ピラーに対応して配設したシートにおけるヘッドレストの側面に当接可能としたこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0005】また、本発明は、ルーフサイドレールに沿って格納したエアバッグがインフレータから供給されるガスにより車室側壁に沿ってカーテン状に膨張展開して乗員の頭部を保護するようにした頭部保護エアバッグ装置において、前記エアバッグの膨張展開時に中間ピラーに略対応する膨張室を他の膨張室とは独立して前記エアバッグに設けるとともに、この独立した膨張室を設けた部位が他の部位に対して分離変形可能としたこと(請求項2に係る発明)に特徴がある。
【0006】
【発明の作用・効果】本発明による頭部保護エアバッグ装置においては、通常時、エアバッグが折り畳まれた状態でルーフサイドレールに沿って格納されており、車両の側突時またはロールオーバー時等においてエアバッグ内にインフレータからガスが供給されて、エアバッグが車室側壁に沿ってカーテン状に膨張展開する。この際、エアバッグにおいて、インフレータから供給されるガスにより、膨張部が乗員の頭部側方に位置する頭部保護膨張エリアに向けて膨張展開する。
【0007】ところで、本発明(請求項1に係る発明)においては、エアバッグの膨張展開初期にルーフヘッドライニングがエアバッグによって室内側に押動されて変形することにより、ルーフヘッドライニングの端末部が中間ピラーガーニッシュの上端部との係合を解かれてヘッドレストの側面に当接可能である。この結果、エアバッグはルーフヘッドライニングにガイドされて、膨張展開途中にヘッドレストの上面に乗り掛かかることはなく、車室側壁と乗員の頭部間を通して正規の頭部保護エリアに膨張展開可能で、乗員の頭部を的確に保護することができる。
【0008】一方、本発明(請求項2に係る発明)においては、仮に、エアバッグの一部(独立した膨張室を設けた部位)が膨張展開途中にヘッドレストの上面に乗り掛かっても、同部位が他の部位に対して分離変形する。この結果、エアバッグにおける他の部位(独立した膨張室を設けた部位以外の部位)は、正規の頭部保護エリアに向けて的確に展開し、乗員の頭部を的確に保護することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3は本発明による頭部保護エアバッグ装置10の第1実施形態を示している。この第1実施形態においては、頭部保護エアバッグ装置10が、車室側壁に沿ってカーテン状に膨張展開して前席(Bピラー23に対応して配設されているシート)Sに着座する乗員H1の頭部Hfと後席(図示省略)に着座する乗員H2の頭部Hrとを保護するエアバッグ11と、このエアバッグ11にガスを供給するインフレータ12を備えている。
【0010】エアバッグ11は、基布(織物)に気密保持用のコーティングを施してなるもので、図3に展開して示したように、中央の非膨張部11aを挟んで前後に前席用膨張部11bと後席用膨張部11cを有し、後方上部にガス導入部11dを有している。また、エアバッグ11は、前方に非膨張部11eを有し、上縁部に複数個の取付片11fを有している。
【0011】前席用膨張部11bは膨張展開時に前席乗員H1の頭部Hfを側方から保護するものであり、上下方向に延びる4個の膨張室11b1,11b2,11b3,11b4と、これら各膨張室11b1〜11b4の上端を連通させる上方連通路11b5と、各膨張室11b1〜11b4の下端を連通させる下方連通路11b6によって構成されていて、上方連通路11b5の後端にてガス連通路11gを通してガス導入部11dに連通している。
【0012】後席用膨張部11cは膨張展開時に後席乗員H2の頭部Hrを側方から保護するものであり、上下方向に延びる3個の膨張室11c1,11c2,11c3と、これら各膨張室11c1〜11c3の下端を連通させる下方連通路11c4によって構成されていて、前方の膨張室11c1の上端にてガス連通路11gを通してガス導入部11dに連通している。
【0013】上記構成のエアバッグ11は、各取付片11fにてボルト41とナット42を用いて車体のルーフサイドレール21とAピラー(フロントピラー)22に組付けられている。また、エアバッグ11は、全体を蛇腹折りにて展開可能に折り畳んだ状態にてAピラー22とルーフサイドレール21とCピラー(クォーターピラー)24に沿って格納されて、下縁部が弾性変形可能なAピラーガーニッシュ32と、弾性変形可能なルーフヘッドライニング31の周縁部と、弾性変形可能なCピラーガーニッシュ34により覆われるようになっている。
【0014】インフレータ12は、車両の側突時またはロールオーバー時等にガスをエアバッグ11に向けて噴出供給するものであり、Cピラー24に沿って傾斜して配設されていて、ブラケットとボルト(共に図示省略)を用いてCピラー24に組付けられており、その前端部はエアバッグ11のガス導入部11d内に気密的に嵌合している。また、インフレータ12は、エアバッグ11におけるガス導入部11dの後端部とともに、Cピラーガーニッシュ34によって覆われるようになっている。
【0015】ところで、この第1実施形態においては、図1及び図2に示したように、ルーフヘッドライニング31とBピラーガーニッシュ33との見切りLが、Bピラー(センターピラー)23に対応して配設した前席SにおけるヘッドレストSaの上面Sa1よりも下方に設定されていて、エアバッグ11の膨出時に、図2の仮想線にて示したように、ルーフヘッドライニング31の端末部31a(Bピラーガーニッシュ33の上端部33aと係合する部位)がヘッドレストSaの側面Sa2と当接可能となっている。なお、上記見切りLがヘッドレストSaの上面Sa1よりも上方に設定されていても、ルーフヘッドライニング31の端末部31aがBピラーガーニッシュ33の上端部33aとの係合を解かれて斜め下方に変形しヘッドレストSaの側面Sa2に当接可能であればよい。
【0016】上記のように構成した第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置10においては、通常時、図1にて示したように、エアバッグ11が全体を蛇腹折りにて折り畳まれた状態でAピラー22とルーフサイドレール21とCピラー24に沿って格納されていて、Aピラーガーニッシュ32と、ルーフヘッドライニング31の周縁部と、Cピラーガーニッシュ34により覆われている。
【0017】また、車両の側突時またはロールオーバー時等において、インフレータ12からガスが噴出し、このガスがエアバッグ11のガス導入部11dを経て折り畳まれて格納されているエアバッグ11内に供給されると、エアバッグ11がルーフヘッドライニング31とAピラーガーニッシュ32とCピラーガーニッシュ34の該当部位をそれぞれ車室内に向けて変形させて下方に展開し、図1の仮想線にて示したように車室内の側壁に沿ってカーテン状に膨張展開する。この際、エアバッグ11において、各膨張部11b,11cが各乗員H1,H2の頭部Hf,Hr側方に位置する頭部保護膨張エリアに向けて膨張展開する。
【0018】ところで、この第1実施形態においては、エアバッグ11の膨張展開初期にルーフヘッドライニング31がエアバッグ11によって室内側に押動されて変形することにより、その端末部31aがBピラーガーニッシュ33の上端部33aとの係合を解かれてヘッドレストSaの側面Sa2に当接可能である。この結果、エアバッグ11はルーフヘッドライニング31にガイドされて、膨張展開途中にヘッドレストSaの上面Sa1に乗り掛かかることはなく、車室側壁と前席乗員H1の頭部Hf間を通して正規の頭部保護エリア(図1の仮想線参照)に膨張展開可能で、前席乗員H1の頭部Hfを的確に保護することができる。なお、かかる作動は、車両の側突時またはロールオーバー時にBピラー23が車室内側に変形して侵入する場合にも、同様に得られる。
【0019】図4及び図5は、本発明による頭部保護エアバッグ装置の第2実施形態を示している。この第2実施形態においては、エアバッグ11の前席用膨張部11bにおける最後部の膨張室11b4(膨張展開時にBピラー23に略対応する膨張室)が、他の膨張室11b1,11b2,11b3とは前後方向にて独立して設けられていて上端にて上方連通路11b5に連通している。
【0020】また、エアバッグ11において、前席用膨張部11bにおける最後部の膨張室11b4を設けた部位の前後に下端にまで至るスリット11h,11iがそれぞれ設けられていて、最後部の膨張室11b4を設けた部位が他の部位(他の膨張室11b1,11b2,11b3を設けた部位及び中央の非膨張部11aを形成した部位)に対して分離変形可能とされている。
【0021】このため、この第2実施形態においては、図4に仮想線にて示したように、仮に、エアバッグ11の一部(独立した膨張室11b4を設けた部位)が膨張展開途中にヘッドレストSaの上面Sa1に乗り掛かっても、同部位が他の部位に対して分離変形する。この結果、エアバッグ11における他の部位(膨張室11b4を設けた部位以外の部位)は、車室側壁と前席乗員H1の頭部Hf間を通して正規の頭部保護エリア(図4の仮想線参照)に向けて的確に展開し、前席乗員H1の頭部Hfを的確に保護することができる。なお、正規展開時において、エアバッグ11に前後方向の張力が作用するように、スリット11h,11iにて前後に分離された端末同士を部分的に熱溶着したり、面ファスナーで互いに連結することが好ましい。
【0022】上記各実施形態においては、前後2列席で前席に近接してBピラー(中間ピラー)を備えた車両に本発明を実施したが、前後3列席で第1列シートに近接してBピラー(前方の中間ピラー)を備えかつ第2列シートに近接してCピラー(後方の中間ピラー)を備えた車両にも、本発明は同様に実施することが可能である。この場合には、上記各実施形態においてBピラー部に対応して設けた構成をBピラー部とCピラー部に対応して設けて実施する必要がある。また、ヘッドレストが十分下方に位置する場合には、エアバッグの一部が膨張展開途中にヘッドレスト上面に乗り掛かる可能性が小さい傾向にあることが試験にて判明した。このため、少なくともヘッドレストが最上方位置に調整された状態でルーフヘッドライニング端末がヘッドレスト側面に当接し得る位置関係とすればよい。
【0023】また、上記第2実施形態においては、エアバッグ11において、前席用膨張部11bにおける最後部の膨張室11b4を設けた部位の前後にスリット11h,11iを設けて、最後部の膨張室11b4を設けた部位が他の部位に対して分離変形可能としたが、例えば、スリット11h,11iに代えて、同部位をミシン目で破断可能とすることにより、最後部の膨張室11b4を設けた部位が他の部位に対して分離変形可能として実施することも可能である。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年6月12日(2000.6.12)
【代理人】 【識別番号】100088971
【弁理士】
【氏名又は名称】大庭 咲夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−354102(P2001−354102A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2000−174730(P2000−174730)