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【発明の名称】 運転席用エアバッグ装置の取付構造
【発明者】 【氏名】長谷部 雅広

【氏名】居川 忠弘

【氏名】安部 和宏

【要約】 【課題】リテーナをステアリングホイールにきわめて容易に取り付けることができる構造を提供する。

【解決手段】ステアリングホイールのステアリングベース16からブラケット18が突設され、雌螺子穴28が設けられている。リテーナ12の脚片部14にはボルト挿通用の開口26が設けられている。雌螺子穴28のテーパ部30と開口26の周囲のテーパ部32とを係合させることにより、脚片部14をブラケット18に仮留めすることができる。ボルト24を雌螺子穴28に捻じ込むと、テーパ部30,32同士の案内により、脚片部14が正規位置を占めるようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 運転席用エアバッグ装置をステアリングホイールに取り付けた構造であって、該運転席用エアバッグ装置のリテーナに設けられた脚片部が該ステアリングホイールに設けられたブラケットに重ね合わされ、該脚片部がボルトによって該ブラケットに固定されている運転席用エアバッグ装置の取付構造において、該脚片部とブラケットとの一方に凹部が設けられると共に、他方に該凹部に係合する凸部が設けられており、該凹部の少なくとも一部は凹部入口側よりも奥側が狭くなる斜面となっており、該凸部の少なくとも一部が該斜面に係合していることを特徴とする運転席用エアバッグ装置の取付構造。
【請求項2】 請求項1において、前記ブラケットに雌螺子穴が設けられ、前記脚片部にボルト挿通用の開口が設けられ、該雌螺子穴の入口部が前記斜面を形成するテーパ面となっており、該脚片部の開口部の縁部が該テーパ面に係合するテーパ状となっていることを特徴とする運転席用エアバッグ装置の取付構造。
【請求項3】 運転席用エアバッグ装置をステアリングホイールに取り付けた構造であって、該運転席用エアバッグ装置のリテーナに設けられた脚片部が該ステアリングホイールに設けられたブラケットに重ね合わされ、該脚片部がボルトによって該ブラケットに固定されている運転席用エアバッグ装置の取付構造において、該ブラケットに側周面がテーパ部となった突出部が設けられており、該脚片部には、内周面が該テーパ部に係合した開口が設けられており、該突出部に雌螺子穴が設けられ、該雌螺子穴に前記ボルトが捻じ込まれていることを特徴とする運転席用エアバッグ装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は運転席用エアバッグ装置の取付構造に係り、特にエアバッグ装置のリテーナをステアリングのブラケットに対し容易に固定できる取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】運転席用エアバッグ装置は、自動車等のステアリングに設置されるものであり、自動車の衝突時等にあってはエアバッグを膨張させて重量を保護するよう構成されている。
【0003】このエアバッグはリテーナと称されるエアバッグ取付部材に取り付けられており、このリテーナがステアリングに取り付けられている。このエアバッグは折り畳まれ、モジュールカバーによって覆われている。
【0004】第11図はそのような構成を備えたエアバッグ装置100を有するステアリングホイール130の一例を示す縦断面図である。
【0005】このエアバッグ装置100は、リテーナ102と、このリテーナ102に対しエアバッグ取付けリング104によって取り付けられたエアバッグ106と、このエアバッグ106を膨張させるためのインフレータ108と、折り畳まれたエアバッグ106を覆っているモジュールカバー110等を備えて構成されている。
【0006】モジュールカバー110の裏面からは側壁部112が一体的に突設されており、リテーナ102から前方に折曲された側壁部114が、該側壁部112に当て金116を介してリベット118により固定されている。
【0007】前記インフレータ108は、フランジ108aを有しており、前記リング104から突設されたボルト120がリテーナ102と該フランジ108aを通され、ナット122が締め込まれることにより、エアバッグ106と共にリテーナ102に固定される。
【0008】折り畳まれたエアバッグ106は、形状保持部材124によって保形されている。この形状保持部材124は省略されることもある。
【0009】前記ステアリングホイール130の基部(ステアリングベース)131からはブラケット132が上方に向かって突設されており、リテーナ102の裏面から下方に突設された脚片部134がボルト136及びナット138によって該ブラケット132に固定されている。脚片部134及びブラケット132にはボルト136の挿通用の開口が設けられている。なお、ナット138を省略し、その代りにブラケット132に雌螺子穴で設けることもある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、エアバッグ装置100をステアリングホイール130に取り付けるには、リテーナ102の裏面の脚片部134をボルト136によってステアリングホイール130のブラケット132に固定する。この際、脚片部134のボルト挿通用開口とブラケット132のボルト挿通用開口(又は雌螺子穴)とを同軸状に位置合わせし、次いでボルト136を該開口に通して締め込む。
【0011】かかるボルト締結作業にあっては、開口同士を正確に位置合わせするのに手間がかかり、作業効率が悪い。例えば、一旦ブラケットと脚片部とを位置合わせしても、ボルトを通して締め込む前に脚片部がずれてしまい、位置合わせをやり直さなければならないことが生じ易い。
【0012】本発明は、かかる問題点を解決し、リテーナの脚片部とステアリングホイールのブラケットとを簡単に位置決めして仮留めすることができ、該脚片部とブラケットとのボルトによる連結作業をきわめてスムーズに行うことができる運転席用エアバッグ装置の取付構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明(請求項1)の運転席用エアバッグ装置の取付構造は、運転席用エアバッグ装置をステアリングホイールに取り付けた構造であって、該運転席用エアバッグ装置のリテーナに設けられた脚片部が該ステアリングホイールに設けられたブラケットに重ね合わされ、該脚片部がボルトによって該ブラケットに固定されている運転席用エアバッグ装置の取付構造において、該脚片部とブラケットとの一方に凹部が設けられると共に、他方に該凹部に係合する凸部が設けられており、該凹部の少なくとも一部は凹部入口側よりも奥側が狭くなる斜面となっており、該凸部の少なくとも一部が該斜面に係合していることを特徴とするものである。
【0014】かかる運転席用エアバッグ装置の取付構造にあっては、該脚片部及びブラケットの一方に設けられた凸部と他方に設けられた凹部とを係合させることにより、脚片部をブラケットに仮留めしておくことができる。この仮留めにより、脚片部とブラケットとがずれることが防止されるので、ボルトによって両者をスムーズに連結することができる。
【0015】また、この凹部には、互いに係合する斜面が設けられており、ボルトを締め込んでいくと該斜面の案内によって脚片部とブラケットとが規定の位置関係を占めるように両者の相対的位置が微調整される。そして、ボルト締め終了時には脚片部とブラケットとが正しい位置関係にて連結されるようになる。
【0016】本発明では、ブラケットに雌螺子穴が設けられ、前記脚片部にボルト挿通用の開口が設けられ、該雌螺子穴の入口部が前記斜面を形成するテーパ面となっており、該脚片部の開口部の縁部が該テーパ面に係合するテーパ状となっていることが好ましい(請求項2)。
【0017】この構成にあっては、ボルトを締め込んだ際にボルトの全周囲の脚片部がブラケットに強く押し付けられるようになり、脚片部とブラケットとがきわめて強固に連結される。
【0018】本発明(請求項3)の運転席用エアバッグ装置の取付構造は、運転席用エアバッグ装置をステアリングホイールに取り付けた構造であって、該運転席用エアバッグ装置のリテーナに設けられた脚片部が該ステアリングホイールに設けられたブラケットに重ね合わされ、該脚片部がボルトによって該ブラケットに固定されている運転席用エアバッグ装置の取付構造において、該ブラケットに側周面がテーパ部となった突出部が設けられており、該脚片部には、内周面が該テーパ部に係合した開口が設けられており、該突出部に雌螺子穴が設けられ、該雌螺子穴に前記ボルトが捻じ込まれていることを特徴とするものである。
【0019】かかるエアバッグ装置の取付構造にあっても、脚片部の開口を該突出部に仮留めしておくことができる。また、ボルトを締め込んでいくと、テーパ部に案内されて脚片部とブラケットとの位置関係が規定通りとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。第1図は本発明(請求項1)の実施の形態に係る運転席用エアバッグ装置の取付構造を示す側面図、第2図は第1図のII−II線に沿う断面図である。第3図はこの取付構造を示す分解斜視図、第4図(a)は脚片部とブラケットとの装着途中の断面図、第4図(b)は脚片部とブラケットとが仮留め状態にある場合の断面図である。
【0021】この実施の形態にあっては、エアバッグ装置10のリテーナ12に脚片部14が設けられ、この脚片部14がステアリングベース16から一体的に突設されたブラケット18に取り付けられている。
【0022】このエアバッグ装置10は、リテーナ12と、該リテーナ12に取り付けられたエアバッグ(図示略)と、このエアバッグ12を膨張されるために該リテーナ12に取り付けられたインフレータ(図示略)と、折り畳まれたエアバッグを覆うモジュールカバー20等を備えて構成されている。リテーナ12は金属板等の板状部材を折曲して構成したものであり、この実施の形態にあっては脚片部14はリテーナ12から下方向に折曲されている。
【0023】このリテーナ12にボルト24を挿通するための開口26が設けられており、ブラケット18にはこのボルト24が捻じ込まれる雌螺子(ねじ)穴28が設けられている。この雌螺子穴28の入口部分は、入口側ほど径が大きく、奥側ほど径が小さくなる雌テーパ部30となっている。また、脚片部14の開口26の周縁部は、この雌テーパ部30に係合する雄テーパ部32となっている。この雄テーパ部32は、開口26の周囲をプレス加工等によってブラケット18側に円錐台形状に突出させることにより形成されている。
【0024】なお、この実施の形態にあっては、ステアリングベース16からはエアバッグ装置10を支えるためのステー34,36が設けられている。このステー34,36はエアバッグ装置10の姿勢を決めるためのものであるが、省略されてもよい。
【0025】エアバッグ装置10をステアリングベース16に取り付けるに際しては、第4図(a)の如く、脚片部14をブラケット18の外側面に沿わせるように上方から係合させる。脚片部14をブラケット18に十分に深く差し込むと、第4図(b)に示すように、雄テーパ部32が雌テーパ部30と係合し、仮留め状態となる。第4図(b)の状態にあっては、脚片部14はそれ自身の弾性によってブラケット18に押し付けられており、雄テーパ部32は、雌テーパ部30に対し軽く押し当てられる程度に係合している。
【0026】そこで、次に、ボルト24を開口26を通して雌螺子穴28に捻じ込む。そして、ボルト24を雌螺子穴28に締め押し込むと、雄テーパ部32が雌テーパ部30に対し強く押し付けられ、且つ脚片部14がブラケット18に全面的に密着し、強固に連結された状態となる。
【0027】この実施の形態にあっては、第4図(b)に示すように、雄テーパ部32が雌テーパ部30に係合し、リテーナ12がステアリングベース16に対し仮留めされた状態となる。そして、この仮留め状態にあっては、開口26が雌螺子穴28と略同軸状となっており、開口26からボルト24を通してボルト24の先端を雌螺子穴28に簡単に係合させることができる。そして、この仮留め状態にあっては、エアバッグ装置10から手を離したり、或いはエアバッグ装置10に軽い衝撃が加えられても、雄テーパ部32と雌テーパ部30との係合が解除されず、開口26が雌螺子穴28からずれないので、その後のボルト締め作業を何ら支障なく行うことができる。従って、このエアバッグ装置の取付構造によると、エアバッグ装置10をステアリングホイールに対しきわめて容易に取り付けることが可能である。
【0028】第5図は本発明の別の実施の形態に係る取付構造を示す脚片部とブラケットとの斜視図、第6図(a)は第5図のA−A線に沿う断面図、第6図(b)は第5図のB−B線に沿う断面図である。
【0029】この実施の形態にあっては、脚片部14Aに前記雄テーパ部32に連なる凸部40が設けられており、この凸部40の両サイドにテーパ部(斜面)42が設けられている。ブラケット18Aには、この凸部40が入り込む凹部44が設けられ、この凹部44の両サイドが該テーパ部(斜面)42が係合するテーパ部(斜面)46となっている。このテーパ部46は前記雌テーパ部30に連なっている。
【0030】この実施の形態のその他の構成は前記実施の形態と同一である。
【0031】この脚片部14Aを備えたリテーナをステアリングベース16のブラケット18Aに固定するに際しては、前記と同様に脚片部14Aをブラケット18Aの側面にあてがう。この際、凸部40は凹部44に係合し、仮留め状態となる。
【0032】この仮留め状態において、仮に第7図(a)に示すように脚片部14Aが若干傾き、凸部40の一部が凹部44からはみ出している場合であっても、ボルト24を開口26から雌螺子穴28に捻じ込むことにより、テーパ部(斜面)42,46同士の案内により、脚片部14Aがブラケット18Aに対し正しい姿勢をとるようになる。この結果、第7図(b)に示すように、ボルト24を締め込んだ後は、エアバッグ装置20がステー34,36にそれぞれ当接した正しい姿勢にてステアリングベース16に連結される。
【0033】第8図は本発明のさらに別の実施の形態に係るブラケットと脚片部との構成を示すものであり、(a)図は分解斜視図、(b)図は両者の連結後の縦断面図である。
【0034】この実施の形態にあっても、ブラケット18Bには雌螺子穴28が設けられ、脚片部14Bには開口26が設けられている。ただし、この実施の形態では、雌螺子穴28の周囲には雌テーパ部30は設けられておらず、また、開口26の周囲に雄テーパ部32は設けられていない。その代りに、ブラケット18Bの脚片部14Bと重なり合う面には奥側ほど狭くなるテーパ形状の凹部50が設けられると共に、脚片部14Bには該凹部50に係合する先細テーパ形状の凸部52が設けられている。
【0035】この脚片部14Bをブラケット18Bに取り付けるに際しても、凸部52が凹部50に係合することにより、両者が仮留めされるので、ボルト24を開口26から雌螺子穴28に容易に捻じ込むことができる。しかも、ボルト24を強く締め込むと、凸部52がテーパ状の凹部50に押し込まれるようになり、脚片部14Bがブラケット18Bに対し、正しい姿勢にて連結されるようになる。
【0036】第9図は、第8図(a)とは逆に、ブラケット18Cに凸部54を設け、脚片部14Cには該凸部54と係合する凹部56を設けたものである。この第9図の取付構造のその他の構成は第8図の場合と全く同一である。凸部54は、突出方向の先端側ほど細くなるテーパ形状であり、一方、凹部56は奥側ほど狭くなるテーパ形状である。この実施の形態にあっても、脚片部14Cが凸部54と凹部56との係合によりブラケット18Cに対し対し仮留めされるので、ボルト24(第9図では図示略)を開口26を通して雌螺子穴28にきわめて容易に捻じ込むことができる。また、ボルト24を十分に締め込むと、凸部54と凹部56とに案内されて脚片部14Cがブラケット18Cに正しい姿勢にて連結されるようになる。
【0037】第10図は本発明(請求項3)の実施の形態に係るブラケット18Dと脚片部14Dとの構成を示すものであり、(a)図は分解斜視図、(b)図は両者の連結後の縦断面図である。
【0038】この実施の形態にあっては、ブラケット18Dに略円錐台形状の突出部60が設けられ、この突出部60に雌螺子穴28が設けられている。突出部60は、突出方向の先端側ほど外径が小さくなる形状のものであり、その側周面がテーパ部となっている。
【0039】脚片部14Dの開口26は、その内周面が該突出部60のテーパ部と係合する。この開口26を通してボルト24が雌螺子穴28に捻じ込まれる。なお、ボルト24は座金62を介して脚片部14Dに当接する。座金62はボルト24と一体とされてもよい。
【0040】この実施の形態にあっても、脚片部14Dをブラケット18Dに取り付けるに際しては、開口26が突出部60に係合して仮留めされるので、ボルト24をきわめて容易に雌螺子穴28に捻じ込むことができる。また、第10図(b)の通り、ボルト24を強く雌螺子穴28に締め込むと、開口26の内周縁部が突出部60のテーパ状外周面に案内され、開口26と突出部60とが正確に同軸状に配置される。
【0041】上記実施の形態にあっては、リテーナの脚片部がブラケットに連結されているが、本発明では例えばホーンスイッチ等の部材をブラケット18に取り付ける場合にも同様に適用することができる。
【0042】
【発明の効果】以上の通り、本発明の運転席用エアバッグ装置の取付構造によると、エアバッグ装置のリテーナや、或いはホーンスイッチ等の部材をステアリングホイールに対しきわめて容易に取り付けることができる。また、リテーナやホーンスイッチ等の部材とステアリングホイールとの位置関係をきわめて容易に正規なものとすることが可能である。
【出願人】 【識別番号】000108591
【氏名又は名称】タカタ株式会社
【出願日】 平成12年11月6日(2000.11.6)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開2001−354100(P2001−354100A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2000−337777(P2000−337777)