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【発明の名称】 助手席用エアバッグ装置
【発明者】 【氏名】平野 達夫

【氏名】岡田 靖

【要約】 【課題】膨張完了前に乗員に干渉した際のエアバッグの乗員への押圧力を低減することができる助手席用エアバッグ装置を提供すること。

【解決手段】助手席用エアバッグ装置は、ケース内に折り畳まれて収納されたエアバッグ10が、展開膨張時、インパネのドアを押し開いて突出する。エアバッグは、膨張完了時の形状から、前壁部13を蛇腹折りするとともに、乗員側壁部14を下壁部12に接近させるように、左・右壁部15・16を、扇折りして、平らに折り畳んだ前側後側折り畳み部位23・24を形成する。ついで、前側折り畳み部位を、ガス流入口12aに接近させるように折り畳むとともに、後側折り畳み部位を、後端24a側から下向きに巻く内ロール折りして、ケースに収納する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケース内に折り畳まれて収納されたエアバッグが、展開膨張時、ガス流入口から膨張用ガスを流入させて、インストルメントパネルに配置されたドアを押し開いて突出し、車両の後方側へ展開膨張する助手席用エアバッグ装置であって、前記エアバッグが、展開膨張完了時の形状として、下部側に配置されて、前部側に前記ガス流入口を配置させて前記ガス流入口周縁を前記ケースに取り付ける下壁部と、該下壁部の前端側に連なって斜め後方に延びる前壁部と、前記下壁部・前壁部の後端側相互を連結して乗員側に配置される乗員側壁部と、前記下壁部・前壁部・乗員側壁部に連結されて前記エアバッグの左右の側方を塞ぐ左壁部・右壁部と、を備えて、二段階で折り畳まれて前記ケース内に収納され、第一段階での前記エアバッグの折り畳み工程が、展開膨張完了時の形状から、前記前壁部の上端側を前記前壁部の下端側に接近させるように、前記前壁部を蛇腹折りするとともに、前記乗員側壁部の左右両側をそれぞれ前記下壁部の左右両側に接近させるように、前記左壁部と前記右壁部とを、それぞれ、前記乗員側壁部と前記下壁部との連結部位付近を扇の中心とするように、扇折りして、前記ガス流入口の中央付近から前部側と後部側との二つの平らに折り畳んだ前側後側折り畳み部位を形成する工程として、第二段階での前記エアバッグの折り畳み工程が、前記前側折り畳み部位を、前記ガス流入口に接近させるように折り畳むとともに、前記後側折り畳み部位を、後端側から下向きに巻く内ロール折りする工程としていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項2】 前記エアバッグの前記左壁部と前記右壁部との扇折りの前に、前記乗員側壁部の下端付近が前記下壁部と平面的に連なるように、扇折りの扇の中心を前記乗員側壁部側にずらして、前記エアバッグが扇折りされていることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
【請求項3】 前記前側折り畳み部位が、前記後側折り畳み部位の上方に配置された状態で、前記エアバッグが前記ケース内に収納されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置。
【請求項4】 前記前側折り畳み部位が、前記後側折り畳み部位の前方に配置された状態で、前記エアバッグが前記ケース内に収納されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の助手席前方におけるインストルメントパネルの部位に配置される助手席用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、助手席用エアバッグ装置では、折り畳まれたエアバッグの展開膨張時、エアバッグが、インストルメントパネルに配置されたドアを押し開いて突出し、前下がりに傾斜したウインドシールドに沿う等して、車両後方側へ展開膨張していた。
【0003】しかし、膨張完了前に、所定位置より前方に位置する乗員と干渉した際、乗員側へのエアバッグの押圧力を低減させることを、要望される場合があった。
【0004】本発明は、膨張完了前に乗員に干渉した際のエアバッグの乗員への押圧力を低減することができる助手席用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る助手席用エアバッグ装置は、ケース内に折り畳まれて収納されたエアバッグが、展開膨張時、ガス流入口から膨張用ガスを流入させて、インストルメントパネルに配置されたドアを押し開いて突出し、車両の後方側へ展開膨張する助手席用エアバッグ装置であって、前記エアバッグが、展開膨張完了時の形状として、下部側に配置されて、前部側に前記ガス流入口を配置させて前記ガス流入口周縁を前記ケースに取り付ける下壁部と、該下壁部の前端側に連なって斜め後方に延びる前壁部と、前記下壁部・前壁部の後端側相互を連結して乗員側に配置される乗員側壁部と、前記下壁部・前壁部・乗員側壁部に連結されて前記エアバッグの左右の側方を塞ぐ左壁部・右壁部と、を備えて、二段階で折り畳まれて前記ケース内に収納され、第一段階での前記エアバッグの折り畳み工程が、展開膨張完了時の形状から、前記前壁部の上端側を前記前壁部の下端側に接近させるように、前記前壁部を蛇腹折りするとともに、前記乗員側壁部の左右両側をそれぞれ前記下壁部の左右両側に接近させるように、前記左壁部と前記右壁部とを、それぞれ、前記乗員側壁部と前記下壁部との連結部位付近を扇の中心とするように、扇折りして、前記ガス流入口の中央付近から前部側と後部側との二つの平らに折り畳んだ前側後側折り畳み部位を形成する工程として、第二段階での前記エアバッグの折り畳み工程が、前記前側折り畳み部位を、前記ガス流入口に接近させるように折り畳むとともに、前記後側折り畳み部位を、後端側から下向きに巻く内ロール折りする工程としていることを特徴とする。
【0006】前記エアバッグの前記左壁部と前記右壁部との扇折りの前には、前記乗員側壁部の下端付近が前記下壁部と平面的に連なるように、扇折りの扇の中心を前記乗員側壁部側にずらして、前記エアバッグを扇折りすることが望ましい。
【0007】また、前記エアバッグは、前記前側折り畳み部位を前記後側折り畳み部位の上方や前方に配置させた状態で、前記ケース内に収納することが望ましい。
【0008】なお、本明細書での前後左右の方向は、搭載する車両の前方直進時での方向を、基準とするものである。
【0009】
【発明の効果】本発明に係る助手席用エアバッグ装置では、ガス流入口から膨張用ガスがエアバッグ内に流入すると、エアバッグの内圧が高まり、エアバッグが、インストルメントパネルに配置されたドアを押し開いて、インストルメントパネルから突出し、前側折り畳み部位と後側折り畳み部位とを展開させて膨張することとなる。
【0010】この時、エアバッグの第一段階の折り畳み工程で、前壁部の上端側を下端側に接近させるように、前壁部を蛇腹折りするとともに、乗員側壁部の左右両側をそれぞれ下壁部の左右両側に接近させるように、左壁部と右壁部とを、それぞれ、乗員側壁部と下壁部との連結部位付近を扇の中心とするように、扇折りしており、後側折り畳み部位が、前側折り畳み部位より長く、エアバッグ全体に占める割合が大きい。すなわち、インストルメントパネルから突出する展開膨張時、前側折り畳み部位は、ウインドシールド側で直ちに展開膨張を完了させて、後側折り畳み部位が、下向きに巻かれた内ロール折りの状態を解きつつ、車両後方側へ展開膨張することとなる。
【0011】そのため、エアバッグの展開膨張完了前に、乗員と干渉しても、乗員と干渉する部位が、エアバッグの後側折り畳み部位であって、後側折り畳み部位が、後端側から下向きに巻く内ロール折りで折り畳まれていることから、乗員と干渉した際、その内ロール折りを解くように乗員に沿って下方に展開し、乗員側への押圧力を低く抑えることができる。その後、後側折り畳み部位が内ロールの巻きを解いた状態、すなわち、乗員側壁部が乗員に沿って広く展開した状態で、扇折りを解消するように、乗員側壁部が車両後方側へ移動することから、乗員側壁部が、局部的に車両後方側へ移動するのと相違し、広い面積で乗員を拘束して後方側へ移動することとなって、乗員への単位面積あたりの押圧力を低く抑えることが可能となる。
【0012】したがって、本発明に係る助手席用エアバッグ装置では、インストルメントパネルから突出したエアバッグが、膨張完了前に乗員に干渉しても、乗員に沿って下向きに展開することから、干渉直後の乗員への押圧力を低減することができ、干渉後の後方移動時でも、乗員への単位面積あたりの押圧力を低く抑えることができる。
【0013】そして、エアバッグの左壁部と右壁部との扇折りの前に、乗員側壁部の下端付近を下壁部と平面的に連なるように、扇折りの扇の中心を乗員側壁部側にずらして、エアバッグを扇折りすれば、後側折り畳み部位の長さを一層長くすることができ、エアバッグ全体の後側折り畳み部位の割合がさらに大きくなって、後側折り畳み部位が、展開膨張完了前の前方側に位置する乗員に対して、一層、的確に干渉できることとなる。
【0014】また、前側折り畳み部位を後側折り畳み部位の上方に配置させてエアバッグをケース内に収納する場合には、押し開くドアを、前縁側にヒンジ部を設けた片開きタイプとする助手席用エアバッグ装置に好適となり、前側折り畳み部位を後側折り畳み部位の前方に配置させてエアバッグをケース内に収納する場合には、押し開くドアを二つ設けて、それらのドアを前後方向に開かせる両開きタイプとする助手席用エアバッグ装置に好適となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1は、図1に示すように、インストルメントパネル(以下、インパネと略す)1の上面1a側に配置されるトップマウントタイプである。このエアバッグ装置M1は、図2に示すように、折り畳まれたエアバッグ10と、エアバッグ10に膨張用ガスを供給するインフレーター30と、エアバッグ10及びインフレーター30を収納保持するケース32と、エアバッグ10をケース32に取り付けるためのリテーナ28と、折り畳まれたエアバッグ10を覆うエアバッグカバー43と、エアバッグカバー43をケース32に強固に連結するための二つの押え板41と、を備えて構成されている。
【0017】エアバッグ10をケース32に取り付けるリテーナ28は、四角環状の板金製として、所定位置に下方へ延びる複数のボルト28aを備えて、構成されている。リテーナ28は、各ボルト28aをエアバッグ10の後述する取付孔12bを挿通させるとともに、ケース32や押え板41の後述する底壁部35や横板部41aに挿通させて、各ボルト28aにナット28bを螺合させることにより、ケース32に取り付けられている。
【0018】インフレーター30は、シリンダタイプとして、ケース32の後述する下部室37内に収納保持されている。
【0019】エアバッグカバー43は、ポリオレフィン系やポリエステル系等の熱可塑性エラストマー等から形成されて、インパネ1の長方形状に開口する開口2を塞ぐように配置される天井壁部44と、天井壁部44の下面から下方へ延びる略四角筒形状の側壁部45と、から構成されている。天井壁部44は、側壁部45に囲まれた内側に、周囲に薄肉の破断予定部44cを配置させて、ドア44aを配設させている。破断予定部44cは、天井壁部44の上方から見て、略U字形状に配置されており(図1参照)、膨張時のエアバッグ10に押されて破断した際、ドア44aの前縁側をヒンジ部44bとして、図2の二点鎖線で示すように、ドア44aを車両の前方側に開かせることとなる。また、天井壁部44における車両の前後の縁には、下方へ突出する複数の係止脚44dが形成されている。各係止脚44dは、インパネ1の開口2の周縁に段差を有して設けられたフランジ部3の下面側に、係止されている。側壁部45には、車両の前後方向で対向する部位に、車両の前後方向に貫通する複数の係止孔45aが、形成されており、これらの係止孔45aと押え板41とを使用して、側壁部45がケース32の後述する上部室33に連結されている。
【0020】押え板41は、板金から形成されるとともに、横板部41aと横板部41aの端部から上方へ延びる縦板部41bとを備えた断面L字形として、ケース32の車両前後方向の両側に、それぞれ、配置されている。そして、各横板部41aには、リテーナ28の各ボルト28aを挿通させる貫通孔(図符号省略)が形成され、各縦板部41bの上端は、ケース32の後述する係止突起34aに挿通可能に形成されている。
【0021】ケース32は、板金製として、上方を開口させた直方体形状の上部室33と、上部室33と連通するように、ケース32の下部側に配置される下部室37と、から構成されている。
【0022】上部室33は、折り畳んだエアバッグ10を収納する部位であり略四角筒形状の周壁部34と、周壁部34の下部に配置される底壁部35と、から構成されている。周壁部34には、エアバッグカバー側壁部45の各係止孔45aに挿入される係止突起34aが、外側に突出するように形成されている。底壁部35には、リテーナ28の各ボルト28aを挿通させるための貫通孔(図符号省略)が形成され、車両前後方向の両側の下面には、それぞれ、押え板41の横板部41aが当接して配置されることとなる。
【0023】下部室37は、底壁部35の内側端部から下方へ延びるような略四角筒形状の周壁部38と、周壁部38の下端を塞ぐ底壁部39と、を備えて構成されている。底壁部39には、ケース32をボディ5に取り付けるためのナット39aが取り付けられている。底壁部39は、ボディ5側のリンフォース5aから延びるブラケット5bに取り付けられるものであり、ボルト6を、ブラケット5bに設けられた連結孔(図符号省略)を経て、ナット39aに螺合させることにより、ブラケット5bに取り付けられている。
【0024】エアバッグ10は、図3・4に示すように、展開膨張時の形状を、車両の左右方向に軸心を有した略三角柱状の袋状としている。すなわち、実施形態の場合エアバッグ10は、展開膨張時に膨らんだ周壁11が、下部側に配置され下壁部12と、下壁部12の前端側に連なって斜め後方に延びる前壁部13と、下壁部12・前壁部13の後端側相互を連結する乗員側壁部14と、下壁部12・前壁部13・乗員側壁部14に連結されてエアバッグ10の左右の側方を塞ぐ左壁部15・右壁部16と、を備えて構成されている。エアバッグ10の展開膨張時、下壁部12はインパネ1の上面1aから後面1b側にかけて配置され前壁部13は、ウインドシールドS側に配置され、乗員側壁部14は、乗員側に配置され、左・右壁部15・16は、エアバッグ10の左右両側におけるウインドシールドSとインパネ1との間に配置されることとなる。
【0025】また、下壁部12には、前部側に、エアバッグ10内に膨張用ガスを流入させるための略長方形に開口したガス流入口12aが形成され、ガス流入口12aの周縁には、複数の取付孔12bが貫通されている。これらの取付孔12bには、リテーナ28の各ボルト28aが挿通されて、ガス流入口12a周縁が、ケース32の底壁部35に取り付けられることとなる。
【0026】さらに、左壁部15と右壁部16とには、それぞれ、余剰の膨張用ガスを排気するベントホール17が形成されている。
【0027】なお、エアバッグ10の周壁11は、ポリエステルやポリアミド等の糸から織成された可撓性を有する所定数の布材を縫合して形成されている。布材の数は裁断形状に応じて一つ、あるいは複数でも良く、また布材の裁断形状も、任意であり各部12・13・14・15・16と同様な形状としなくとも良い。
【0028】また、エアバッグ10の周壁11内には、ガス流入口12aを覆うように、略長方形状の整流布19が配設されている。整流布19は、周壁11と同様な材料から形成され、左右両側をガス流入口12aの周縁に縫合させて、周壁11との間に、エアバッグ10内に流入した膨張用ガスを車両前後方向両側に流すガス流通孔20・21を形成するように、構成されている。
【0029】このエアバッグ10の車両への搭載を説明すると、まず、各取付孔12bからボルト28aを突出させるように、内部にリテーナ28を配設させた状態で、エアバッグ10を二段階の工程で折り畳む。
【0030】第一段階の折り畳み工程では、まず、展開膨張完了時の形状から、図5のAB・Cに示すように、前壁部13の上端13a側を前壁部下端13b側に接近させるように、山折りの折目VFMと谷折りの折目VFVとを設けて、前壁部13を蛇腹折りするとともに、乗員側壁部14の左右両側をそれぞれ下壁部12の左右両側に接近させるように、左壁部15と右壁部16とを、それぞれ、乗員側壁部14と下壁部12との連結部位付近を扇の中心C0とするように、山折りの折目FFMと谷折りの折目FFVとを設けて、扇折りし、図7のAに示すように、ガス流入口12aの中央付近から前部側と後部側との二つの平らに折り畳んだ前側後側折り畳み部位23・24を形成する。
【0031】なお、この扇折り完了時には、図6・7のAに示すように、前壁部13の蛇腹折りにおける谷折りの折目VFVが、その左右方向の両側で、左・右壁部15・16の扇折りにおける山折りの折目FFMと、連続され、左・右壁部15・16の扇折りにおける谷折りの折目FFVが、前壁部13の蛇腹折りにおける山折りの折目VFMの頂部まで延びるような、形状となる。
【0032】また、この第一段階の折り畳み工程の完了時には、第二段階の折り畳み工程完了後にケース上部室33内に容易に収納できるように、左右方向の幅寸法Wが、ケース上部室33における内周側の左右方向の幅寸法よりわずかに小さい寸法に、折り畳まれている。
【0033】さらに、実施形態の場合には、後側折り畳み部位24の車両前後方向の長さ寸法L1が長くなるように、図5のA・Bに示すように、左壁部15と右壁部16との扇折りの前に、乗員側壁部14の下端14b付近を、下壁部12と平面的に連なるように、下壁部12側に入れ込み(この時、乗員側壁部14の上端14aが下がって、前壁部上端13a付近が乗員側壁部14と平面的に連なることとなる)、扇折りの扇の中心C0を乗員側壁部14側にずらして、エアバッグ10を扇折りしている。
【0034】そして、第二段階でのエアバッグ10の折り畳み工程では、図7のB・Cに示すように、後側折り畳み部位24を、後端24a側から下向きに巻く内ロール折りし、また、前側折り畳み部位23を、ガス流入口12aに接近させるように折り畳む。前側折り畳み部位23は、実施形態の場合、図7のDに示すように、蛇腹折りしている。ちなみに、前側折り畳み部位23は、図7のEに示すように、前端23aを内側に折る外ロール折り状に折り返しても良い。
【0035】さらに、第1実施形態では、第二段階の折り畳み工程の完了時に、後側折り畳み部位24をガス流入口12aの直上に配置させつつ、前側折り畳み部位23を後側折り畳み部位24の上方に配置させて、前後方向の長さ寸法L0を短くして、収納するケース上部室33の寸法形状に対応させている。
【0036】また、第二段階の折り畳み完了後には、折り崩れしないように、折り畳んだエアバッグ10を破断可能な図示しないラッピングシートでくるんでおく。
【0037】そして、エアバッグ10の折り畳み完了後には、ケース32の下部室37内にインフレーター30を収納させておくとともに、リテーナ28の各ボルト28aをケース32の各底壁部35から突出させるように、折り畳んだエアバッグ10を上部室33内に収納させ、さらに、上方から、エアバッグカバー43の側壁部45を上部室33に外装し、側壁部45の各係止孔45aに周壁部34の係止突起34aを挿入させる。
【0038】ついで、各縦板部41bの上端を、側壁部45から突出している係止突起34aに挿通させるとともに、各横板部41aにボルト28aを挿通させて、ケース32の前後部位に押え板41・41を配置させ、さらに、各ボルト28aにナット28bを螺合させれば、エアバッグ装置M1を組み立てることができる。
【0039】そして、このように組み立てた助手席用エアバッグ装置M1は、車両に組み付けた状態のインパネ1の開口2から挿入させて、各係止脚44dをフランジ部3に係止させるとともに、ブラケット5bを経て、ナット39aにボルト6を螺合させ、ケース32をボディ5に連結すれば、車両に搭載することができる。
【0040】エアバッグ装置M1の車両への搭載後、インフレーター30から膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ10が、膨張して、図示しないラッピングシートを破断するとともに、図8のA・B、図9のA・B、及び、図10のA・Bに順に示すように、エアバッグカバー43の破断予定部44cを破断させて、ドア44aを車両前方側に押し開いて、ケース上部室33やインパネ開口2から突出し、前側折り畳み部位23と後側折り畳み部位24とを展開させて、膨張することとなる。
【0041】この時、エアバッグ10の第一段階の折り畳み工程で、前壁部13の上端13a側を下端13b側に接近させるように、前壁部13を蛇腹折りするとともに、乗員側壁部14の左右両側をそれぞれ下壁部12の左右両側に接近させるように、左壁部15と右壁部16とを、それぞれ、乗員側壁部14と下壁部12との連結部位付近を扇の中心C0とするように、扇折りしており、後側折り畳み部位24の長さ寸法L1が、前側折り畳み部位23より長く、エアバッグ10全体に占める割合が大きい。そのため、インパネ1から突出する展開膨張時、図8のB・図9のAに示すように、前側折り畳み部位23は、ウインドシールドS側で直ちに展開膨張を完了させて、後側折り畳み部位24が、図9のB・図10のA・Bに示すように、下向きに巻かれた内ロール折りの状態を解きつつ、車両後方側へ展開膨張することとなる。
【0042】そのため、図11のA・Bに示すように、エアバッグ10の展開膨張完了前に、乗員Pと干渉しても、乗員Pと干渉する部位が、エアバッグ10の後側折り畳み部位24となって、その後側折り畳み部位24が、後端24a側から下向きに巻く内ロール折りで折り畳まれていることから、乗員Pと干渉した際、図11のB・図12のAに示すように、その内ロール折りを解くように乗員Pに沿って下方に展開し、乗員P側への押圧力を低く抑えることができる。そして、後側折り畳み部位24が内ロールの巻きを解いた状態、すなわち、乗員側壁部14が乗員Pに沿って広く展開した状態で、図12のBに示すように、扇折りを解消するように、乗員側壁部14が車両後方側へ移動する。その結果、乗員側壁部14が、局部的に車両後方側へ移動するのと相違し、広い面積で乗員Pを拘束して後方側へ移動することとなって、乗員Pへの単位面積あたりの押圧力を低く抑えることが可能となる。
【0043】したがって、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、インパネ1から突出したエアバッグ10が、膨張完了前に乗員Pに干渉しても、乗員Pに沿って下向きに展開することから、干渉直後の乗員Pへの押圧力を低減することができ、干渉後の後方移動時でも、乗員Pへの単位面積あたりの押圧力を低く抑えることができる。
【0044】なお、実施形態の場合には、エアバッグ10内に、流入する膨張用ガスを車両前後方向に分岐させて流す整流布19が配設されているため、後側折り畳み部位24は、乗員Pと干渉しなくとも、インパネ1の後面1bに沿って展開し易く設定されており、乗員側壁部14を広い面積で展開させた状態で、車両後方側へ移動することとなる(図9のB・図10のA参照)。
【0045】そして、第1実施形態の場合、エアバッグ10の左壁部15と右壁部16との扇折りの前に、乗員側壁部14の下端14b付近を下壁部12と平面的に連なるように、扇折りの扇の中心C0を乗員側壁部14側にずらして、エアバッグ10を扇折りしており、後側折り畳み部位24の長さ寸法L1を長くしているため、エアバッグ10全体の後側折り畳み部位24の割合が大きくなって、後側折り畳み部位24が、展開膨張完了前の前方側に位置する乗員Pに対して、一層、的確に干渉できることとなる。
【0046】また、第1実施形態では、前側折り畳み部位23を後側折り畳み部位24の上方に配置させて、折り畳み部位23・24を上下方向に略一列に配置される態様として、ケース上部室33内に収納している。そのため、エアバッグ10の膨張用ガスの流入時に、折り畳み部位23・24が一つの塊となって、ケース上部室33から突出することから、エアバッグ10によって押し開くドア44aが、前縁側にヒンジ部44bを設けた片開きの一枚タイプとする助手席用エアバッグ装置M1に、好適となる。
【0047】勿論、図13〜15に示す第2実施形態の助手席用エアバッグ装置M2のように、エアバッグ10Aの前側折り畳み部位23を後側折り畳み部位24の前方に配置させて、折り畳み部位23・24を車両前後方向に略一列に配置させてもよい。
【0048】このエアバッグ装置M2のケース32Aは、エアバッグ10Aを収納する上部室33が車両の前後方向に長くなり、また、上部室33を覆うエアバッグカバー43Aの天井壁部44が、車両前後方向に開く二つのドア44aを備えて構成され、さらに、エアバッグ10Aの前側折り畳み部位23が後側折り畳み部位24の前方に配置されている他、第1実施形態と同様であり、同様な部材には、同一符号を付して、それらの説明を省略する。
【0049】そして、第2実施形態では、ドア44a・44aが、図14・15に示すように、周囲に、上方から見て略H字形状となる破断予定部44cを配設させて構成され、ドア44a・44aは、車両前方側のドア44a(F)が、ヒンジ部44bを前縁側に配置させ、車両後方側のドア44a(B)が、ヒンジ部44bを後縁側に配設させて、それぞれ、車両前後方向に開くように設定されている。
【0050】エアバッグ10Aの折り畳みは、第二段階の折り畳み工程で、前側折り畳み部位23を後側折り畳み部位24の前方に配置させるほか、第1実施形態と同様である。
【0051】すなわち、内部にリテーナ28を配設させた状態で、展開膨張完了時の形状から、第一段階で、前壁部13の上端13a側を前壁部下端13b側に接近させるように、前壁部13を蛇腹折りするとともに、乗員側壁部14の左右両側をそれぞれ下壁部12の左右両側に接近させるように、左壁部15と右壁部16とを、それぞれ、乗員側壁部14と下壁部12との連結部位付近を扇の中心C0とするように、扇折りして、ガス流入口12aの中央付近から前部側と後部側との二つの平らに折り畳んだ前側後側折り畳み部位23・24を形成する。この時、後側折り畳み部位24が長くなるように、扇折りの前に、乗員側壁部14の下端14b付近を下壁部12と平面的に連なるように、扇折りの扇の中心C0を乗員側壁部14側にずらして、エアバッグ10Aを扇折りする(図5参照)。
【0052】そして、図13のA・B・Cに示すように、第二段階での折り畳み工程で、後側折り畳み部位24を、後端24a側から下向きに巻く内ロール折りし、前側折り畳み部位23を、ガス流入口12aに接近させるように、蛇腹折りして、後側折り畳み部位24の前方に配置させる。前側折り畳み部位23の折り畳みは、図13のDに示すように、外ロール折りや内ロール折りとしても良い。
【0053】そして、折り畳み完了のエアバッグ10Aは、第1実施形態と同様に、図示しないラッピングシートでくるんで、ケース32Aの上部室33内に配設させて、エアバッグ装置M2を組み立て、その後、車両に搭載すればよい。
【0054】そして、車両への搭載後、ガス流入口12aから膨張用ガスがエアバッグ10A内に流入すれば、第1実施形態と同様に、エアバッグ10Aが、インパネ1に配置されたドア44a・44aを押し開いて、インパネ1から突出し、前側折り畳み部位23と後側折り畳み部位24とを展開させて膨張することとなる(図16のA・B、図17のA・B、及び、図18のA・B参照)。
【0055】この時、このエアバッグ装置M2でも、エアバッグ10Aの第一段階の折り畳み工程で、前壁部13の上端13a側を下端13b側に接近させるように、前壁部13を蛇腹折りするとともに、乗員側壁部14の左右両側をそれぞれ下壁部12の左右両側に接近させるように、左壁部15と右壁部16とを、それぞれ、乗員側壁部14と下壁部12との連結部位付近を扇の中心C0とするように、扇折りしており、後側折り畳み部位24が、前側折り畳み部位23より長く、エアバッグ10A全体に占める割合が大きく、前側折り畳み部位23は、ウインドシールドS側で直ちに展開膨張を完了させて、後側折り畳み部位24が、下向きに巻かれた内ロール折りの状態を解きつつ、車両後方側へ展開膨張することとなる。
【0056】そのため、図19のA・Bに示すように、エアバッグ10Aの展開膨張完了前に、乗員Pと干渉しても、乗員Pと干渉する部位が、エアバッグ10Aの後側折り畳み部位24となって、その後側折り畳み部位24が、後端24a側から下向きに巻く内ロール折りで折り畳まれていることから、乗員Pと干渉した際、図19のB・図20のAに示すように、その内ロール折りを解くように乗員Pに沿って下方に展開し、乗員P側への押圧力を低く抑えることができる。そして、後側折り畳み部位24が内ロールの巻きを解いた状態、すなわち、乗員側壁部14が乗員Pに沿って広く展開した状態で、図20のBに示すように、扇折りを解消するように、乗員側壁部14が車両後方側へ移動する。その結果、乗員側壁部14が、局部的に車両後方側へ移動するのと相違し、広い面積で乗員Pを拘束して後方側へ移動することとなって、乗員Pへの単位面積あたりの押圧力を低く抑えることが可能となり、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
【0057】そしてさらに、第2実施形態では、前側折り畳み部位23を後側折り畳み部位24の前方に配置させて、折り畳み部位23・24を前後方向に略一列に配置される態様として、ケース32Aの上部室33内に収納している。そのため、エアバッグ10Aの膨張用ガスの流入時に、折り畳み部位23・24が、エアバッグカバー43Aの車両前後方向に配置された二つのドア44a・44aを、的確に押し開くことができて、ドア44a・44aを前後方向に開かせる両開きタイプの助手席用エアバッグ装置M2に好適となる。
【出願人】 【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
【出願日】 平成12年6月14日(2000.6.14)
【代理人】 【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−354097(P2001−354097A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2000−178968(P2000−178968)