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【発明の名称】 エアバッグ装置
【発明者】 【氏名】内山 敦勧

【要約】 【課題】各構成部材に寸法誤差や取り付け位置のずれが生じている場合でも容易に位置合わせ可能であり、且つパネルとの結合もしっかりとしているエアバッグ装置を提供する。

【解決手段】リテーナ2は、インストルメントパネル側連結部材6とリテーナ側連結部材7とが互いに所定長さを有したピン8を介して結合することによりインストルメントパネル5に連結されている。ピン8の大径部8aは連結部材6の挿通孔6dに対しインストルメントパネル5に接近、離反する方向へ所定量だけ移動可能に挿通されている。ピン8の一端側は連結部材6の下面側に配置された連結部材7と結合しており、他端側は連結部材6の上面側に突き出し、その先端側のフランジ8cによって挿通孔6dから抜け出さないものとなっている。これにより、リテーナ2は、インストルメントパネル5に対して接近、離反する方向へピン8の長さ分だけ移動可能に連結されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両室内に臨むパネルと、該パネルの裏側に配置され、車体に固定されたリテーナと、折り畳まれて該リテーナ内に収容されたエアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのガス発生器と、該リテーナと該パネルとを係止する係止手段とを有するエアバッグ装置において、該係止手段は、該リテーナがパネルに対し遊動可能に設けられていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】 請求項1において、該係止手段は、該パネルに取り付けられたパネル側部材と、該リテーナから延出したリテーナ側部材と、該リテーナ側部材が所定距離だけ前記パネルに対し遊動することを許容するように該リテーナ側部材と該パネル側部材とを結合している結合部材とを備えてなることを特徴とするエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載されるエアバッグ装置に係り、特に、車両室内に臨むパネルの裏側に設置されるためのエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエアバッグ装置として、例えば助手席用エアバッグ装置においては、一般に容器状のリテーナ(コンテナと称されることもある。)内にエアバッグが折り畳まれて収容され、このリテーナの前面側の開口をリッドで覆った構成とされている。このリテーナには、エアバッグを膨張させるためのガス発生源としてのインフレータが設置されている。このエアバッグ装置は車両室内に臨むインストルメントパネルの裏側に配置され、リテーナを覆うリッドは、このインストルメントパネルとは別個に設けられた蓋状部材とされるか、又はテアライン(脆弱部)によって区画された領域としてこのインストルメントパネル自体に設定されている。そして、このエアバッグ装置がインストルメントパネルの裏側において正規の位置に配置されるように、リテーナがインストルメントパネル内の車体側メンバに固定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のエアバッグ装置においては、例えば上述の助手席用エアバッグ装置においてこのエアバッグ装置を車両に設置するに際して、リテーナとリッド(又はインストルメントパネルに設定されたリッドとしての領域)、並びにリテーナと車体側メンバが互いにボルトナット等によりリジッドに(剛に)固定される場合がある。
【0004】このような場合、エアバッグ装置、リッド及び車体側メンバの三者の寸法誤差により、エアバッグ装置の位置合わせが困難となり、組み付け時の作業性が悪化したり、リテーナやリッド、インストルメントパネル等に歪みが生じ、エアバッグ装置の故障や誤作動、外観の劣化等の原因になることがあった。
【0005】本発明は、車両への設置時において各構成部材に多少の寸法誤差や取付位置のずれ等が生じている場合であっても容易に位置合わせができると共に、車両室内に臨むインストルメントパネル等のパネルに対してしっかりと結合したエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のエアバッグ装置は、車両室内に臨むパネルと、該パネルの裏側に配置され、車体に固定されたリテーナと、折り畳まれて該リテーナ内に収容されたエアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのガス発生器と、該リテーナと該パネルとを係止する係止手段とを有するエアバッグ装置において、該係止手段は、該リテーナがパネルに対し遊動可能に設けられていることを特徴とするものである。
【0007】かかる本発明のエアバッグ装置によると、リテーナはパネルに対して所定距離だけ接近、離反できるようにこのパネルに係止されているため、車両への設置時において各構成部品に多少の誤差や取り付け位置のずれ等が生じている場合であっても、リテーナをこの誤差やずれに応じて移動させることによって容易に位置合わせを行うことができ、各部に歪み等を生じることなく確実にエアバッグ装置を正規の位置に設置することが可能となる。
【0008】このエアバッグ装置において、該係止手段は、該パネルに取り付けられたパネル側部材と、該リテーナから延出したリテーナ側部材と、該リテーナ側部材が所定距離だけ前記パネルに接近、離反する方向に移動することを許容するように該リテーナ側部材と該パネル側部材とを結合している結合部材とを備えてなることが好ましい。
【0009】かかる構成とすることにより、リテーナはパネルに対して必要以上に大きく移動することが規制されるとともに、リテーナとパネルとのしっかりとした結合状態が常時保証されるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の実施の形態に係るエアバッグ装置について説明する。
【0011】第1図は本発明の実施の形態に係るエアバッグ装置としての助手席用エアバッグ装置1の断面図である。
【0012】この助手席用エアバッグ装置1は、平面視形状が略長方形の容器状のリテーナ2と、このリテーナ2内に折り畳まれて収容されたエアバッグ3と、このエアバッグ3を膨張させるためのガス発生源としてのインフレータ4を備え、リテーナ2の上面(第1図に示すリテーナ2の上側の面)側の開口がインストルメントパネル5によって覆われている。
【0013】インストルメントパネル5の裏側面(インストルメントパネル5の車両室内に臨む面と反対側の面)には溝状のテアライン(脆弱部)5a及びヒンジ部5bが設けられている。
【0014】リテーナ2は、該上面側の開口がこのリッドとしての領域に対し、インストルメントパネル5の裏面側から重なるように配置されている。ヒンジ部5bは、このリッドとしての領域の外縁部に略平行に設けられている。
【0015】このインストルメントパネル5のリッドとしての領域は、車両衝突時等の緊急時にガス噴出作動したインフレータからのガスにより膨張したエアバッグ3によってインストルメントパネル5の裏側から車両室内側へ押圧され、このリッドとしての領域を取り囲むテアライン5aが破断して、該リッドとしての領域が舌片状に開裂するとともにヒンジ部5bを開動中心として扉状に押し開かれ、エアバッグ3を車両室内側へ展開可能ならしめる。
【0016】インストルメントパネル5の裏面側には、リテーナ2とインストルメントパネル5とを連結するためのインストルメントパネル側連結部材6が取り付けられている。
【0017】このインストルメントパネル側連結部材6は、インストルメントパネル5の裏側面に対面し且つこの裏側に沿って結合した第1の片6aと、下方(第1図下方向)に所定長さだけ延出した第2の片6bと、この第2の片6bの先端側からインストルメントパネル5の延在方向に略平行な面に沿って該第1の片6aと相離反する方向へ延出した第3の片6cとからなるクランク状断面形状を有するものである。
【0018】このインストルメントパネル側連結部材6の第3の片6cには、後述するピン8の所定長さを有する大径部8aが挿入される挿通孔6dが設けられている。この挿通孔6dの開口径は、該ピン8の大径部8aの外径よりも所定量だけ大きいものとなっている。これにより、該ピン8の大径部8aは挿通孔6d内においてその軸方向に移動可能であるとともに、挿通孔6dの径方向においても、該所定量だけ自在に移動することができ、且つ、径方向、軸方向の合わさった複合的な移動も可能である。なお、このインストルメントパネル側連結部材6は、該ピン8を介して後述するリテーナ側連結部材7と結合される。
【0019】リテーナ2の側面には、前述のインストルメントパネル側連結部材6に結合されるリテーナ側連結部材7が取り付けられている。このリテーナ側連結部材7は、リテーナ2の側面に沿って延在し且つこのリテーナ2の側面に結合した第1の片7aと、この第1の片7aの上辺部からリテーナ2の側方に向かってリテーナ2の上面と略平行な方向に延出した第2の片7bとからなる略L字形断面形状を有するものとなっている。
【0020】このリテーナ側連結部材7の第2の片7bには、該ピン8の後述する小径部8bが挿通される挿通孔7cが設けられている。このリテーナ側連結部材7は該ピン8を介して前述のインストルメントパネル側の連結部材6と結合されている。
【0021】ピン8は、所定長さを有し且つ前述のインストルメントパネル側連結部材6の挿通孔6dに挿通される略円柱状の大径部8aと、この大径部8aの一端側の先端面の中央付近から同軸状に延出し、前述のリテーナ側連結部材7の挿通孔7cに挿通される大径部8aよりも小径の略円柱形状を有した小径部8bと、大径部8aの他端側の側周面から延出し、該他端側において、該挿通孔6dに挿通された大径部8aがこの挿通孔6dを通り抜けることを阻止するフランジ8cを備えている。
【0022】このピン8の小径部8bの外周面には、その先端側からナット8eが螺合する雄ねじ部8dが形成されており、ピン8は、小径部8bがリテーナ側連結部材7の第2の片7bの上面(第1図に示すリテーナ側連結部材7の上側面。以下同様。)側から大径部8aの該一端側の先端面と該第2の片7bとが当接するまで挿通孔7cに挿通され、この挿通孔7cを通り抜けて該第2の片7bの下面側から突き出した小径部8bの先端側からこの小径部8bにナット8eが締め付けられることにより、リテーナ側連結部材7に固着される。
【0023】なお、このピン8は、リテーナ側連結部材7に固着されることに先立って、大径部8aが、インストルメントパネル側連結部材6の第3の片6cの上面側から、小径部8bを先頭にして下向きに挿通孔6dに挿通される。このとき、この大径部8aは、フランジ8cによって挿通孔6dから下方に抜け落ちることが阻止されている。そして、リテーナ側連結部材7の第2の片7cをインストルメントパネル側連結部材6の下側に配置するとともに、前述のように該第2の片7cとピン8とを固着してピン8が挿通孔6dから上方へ抜け出すことを阻止することにより、このピン8がフランジ8cと該第2の片7bとによって挿通孔6d内に保持される。この結果、インストルメントパネル側連結部材6とリテーナ側連結部材7はピン8を介して互いに結合される。
【0024】このように、インストルメントパネル側連結部材6とリテーナ側連結部材7とを結合したピン8は、大径部8aがフランジ8cとリテーナ側連結部材7の第2の片7cとによって規制された所定長さの分だけ挿通孔6d内を径方向、そしてそれらの複合的な方向に自在に移動することができる。
【0025】この実施の形態において、リテーナ側連結部材7は、リテーナ2の該上面側の開口を取り囲むようにリテーナ2の側面に取り付けられており、各連結部材7は、その第2の片7bが、対向する側の連結部材7の第2の片7bと互いに相離反する方向に延出し且つすべての連結部材7の該第2の片7bの上面がリテーナ2の上面と略平行な同一の平面内に延在するように配置されている。また、インストルメントパネル側連結部材6は、その第3の片6cが各リテーナ側連結部材7の該第2の片7bと対面するようにインストルメントパネル5の該リッドとしての領域の周囲に配置されている。
【0026】上記のようなリテーナ側連結部材7を備えたリテーナ2は、エアバッグ3が折り畳まれてこのリテーナ2内に収容された状態で、インストルメントパネル5の裏側からこのインストルメントパネル5に連結されている。
【0027】リテーナ2をインストルメントパネル5に連結するにあたって、リテーナ2は、その上面側の開口がインストルメントパネル5の該リッドとしての領域によって覆われ且つ各リテーナ側連結部材7の第2の片7bがそれぞれインストルメントパネル側連結部材6の第3の片6cの下面側と対面するように配置される。このとき、各インストルメントパネル側連結部材6の挿通孔6dには前もって該第3の片6cの上面側から前述のようにピン8を挿通しておく。そして、同じく前述のようにこのピン8を各リテーナ側連結部材7の該第2の片7bに固着することにより、インストルメントパネル側及びリテーナ側の各連結部材6,7がピン8を介して互いに結合され、リテーナ2とインストルメントパネル5との連結が完了するとともにエアバッグ装置1が構成される。
【0028】このエアバッグ装置1は、インストルメントパネル5とともに車体(図示略)の助手席前方側に設置され、リテーナ2がボルト10等によって車体に設けられた車体側メンバ9に固定される。
【0029】この際、前述の通り、各ピン8の大径部8aは所定長さを有し、これらの大径部8aはその長さ分だけ挿通孔6d内を自在に軸方向に移動可能であることから、このようなピン8の大径部8a及び挿通孔6dの係合によりリテーナ2とインストルメントパネル5とが連結されたエアバッグ装置1においては、リテーナ2がインストルメントパネル5に対して所定距離だけ接近、離反する方向へ移動することができ、また、このエアバッグ装置1においては、挿通孔6dの開口径は該大径部8aの外径よりも所定量だけ大きく、ピン8は挿通孔6dの径方向に対しても所定の範囲内において自在に移動可能となっていることから、リテーナ2はこの所定量の分だけインストルメントパネル5の延在方向に沿って移動或いは回動させることもできるため、これらエアバッグ装置1、インストルメントパネル5、車体側メンバ9に多少の寸法誤差や取付位置のずれ等が生じている場合であっても、リテーナ2はほぼ正規の位置において無理なく設置、固定させるようになる。
【0030】しかも、このピン8はフランジ8c及びリテーナ側連結部材7の第2の片7bによって挿通孔6dからの抜け出しが確実に阻止されており、リテーナ2とインストルメントパネル5とが強固に連結されているため、このエアバッグ装置1の車体への設置作業時や車両走行時等においてリテーナ2がインストルメントパネル5から不正に脱落することはなく、また、エアバッグ膨張時においてインストルメントパネル5の該リッドとしての領域が開裂した際に、インストルメントパネル5のリッドとして区画された部分やその周囲の部分が不正に車両室内側に飛出すことを防止する効果も奏することから、従来例として前述したリテーナとインストルメントパネルとがリジットに固定されたエアバッグ装置と比較してもこれらのリテーナとインストルメントパネルとの結合において何ら遜色のないものとなっている。
【0031】このエアバッグ装置1が車体に設置された後、車両の衝突等の緊急事態に遭遇した場合には、瞬時のうちにインフレータ4がガス噴出作動してエアバッグ3を膨張させる。このエアバッグ3は、膨張と共にインストルメントパネル5の裏側から該リッドとしての領域を押圧し、テアライン5aを断裂させ、該リッドとしての領域が舌片状に開裂する。そして、このように舌片状に開裂したインストルメントパネル5の該リッドとしての領域が引き続きエアバッグ3によって押圧され、ヒンジ部5bを回動中心として扉状に押し開かれ、エアバッグ3は車両室内側に展開可能となって乗員を保護するものとなる。
【0032】この実施の形態においてリテーナ側及びインストルメントパネル側の各連結部材6,7の構成は第1図において図示されたものに限られるものではなく、エアバッグ装置の仕様等に応じて、例えば挿通孔6dの開口形状は円形、長穴形、方形その他各種の形状とすることができ、ピンの形状、寸法等も同様である。また、リテーナ2とインストルメントパネル5との連結構造そのものも上記以外の構成とすることができる。
【0033】以下に、第2図を参照して本発明の別の実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置1Aについて説明する。なお、第2図は、このエアバッグ装置1Aの断面図であり、第2図中、第1図と同一の符合は同一の部分を示したものとなっている。
【0034】このエアバッグ装置1Aは、前述のエアバッグ装置1と同様にし、平面視形状が略長方形のコンテナ状のリテーナ2と、このリテーナ2内に折り畳まれて収容されたエアバッグ3と、このエアバッグ3を膨張させるためのインフレータ4を備え、リテーナ2の上面(第2図に示すリテーナ2の上側の面)側の開口がインストルメントパネル5によって覆われている。また、このインストルメントパネル5の裏側面にはテアライン5aが設けられている。
【0035】このインストルメントパネル5の裏側面において、該リッドとして領域の外縁部には後述するリテーナ側連結部材22と協働してリテーナ2とインストルメントパネル5とを連結するインストルメントパネル側連結部材21が配置されている。
【0036】このインストルメントパネル側連結部材21は、該リテーナ側連結部材22の後述する挿通孔22cに挿通される所定長さを有した略円筒形状の挿通部21aと、この挿通部21aの一端側の外周面から延出し、インストルメントパネル5の裏側面と対面すると共に該裏側面に沿ってインストルメントパネル5と結合した外向きフランジ部21bと、挿通部21aの他端側の内周面からこの挿通部21aの先端面をふさぐ方向に延出した内向きフランジ部21cとを備えた略ハット形断面形状を有するものである。
【0037】なお、このインストルメントパネル側連結部材21は、挿通部21aの軸心方向がインストルメントパネル5の延在方向と略平行な面に直交するように構成されている。また、この挿通部21aの該他端側の先端面には、内向きフランジ部21cによって取り囲まれた小径の開口よりなり、ボルト或いはリベット等が挿通される挿通孔21dが形成されている。そして、この実施の形態においては、挿通部21aが該リテーナ側連結部材22の挿通孔22cに挿通された後、この挿通部21aの先端面に、該挿通孔22cの開口径より大径の円盤形状の外観を有するストッパ21eが取り付けられ、挿通部21は該挿通孔22cから抜け出さないものとなっている。このストッパ21eの中央付近には前述の挿通孔21dと同様の挿通孔21fが設けられており、これらの挿通孔21d、21fを介してボルト或いはリベット等によってストッパ21eが挿通部21aの先端面に固着されている。
【0038】リテーナ2の側面には、このリテーナ2をインストルメントパネル5に連結するためのリテーナ側連結部材22が取り付けられている。
【0039】このリテーナ側連結部材22は、リテーナ2の側面に沿って延在し且つ該側面と結合した第1の片22aと、この第1の片22aの上辺部からリテーナ2の側方へ向かってこのリテーナ2の上面と略平行に延出した第2の片22bとからなる略L字形断面形状のものとなっている。
【0040】このリテーナ側連結部材22の第2の片22bには、前述のインストルメントパネル側連結部材21の挿通部21aが挿通される挿通孔22cが設けられている。
【0041】なお、このリテーナ側連結部材22はリテーナ2の該上面側の開口を取り囲むようにリテーナ2の側面に配置されており、インストルメントパネル側連結部材21は、各リテーナ側連結部材22の挿通孔22cに挿通部21aが対面するようにインストルメントパネル5の該リッドとしての領域の周囲に配置されている。また、挿通孔22cの開口径は挿通部21aの外径よりも所定量だけ大きく、挿通部21aが挿通孔22cに挿通され且つ挿通部21aの該先端面にストッパ21eが取り付けられた際には、挿通部21aは、この挿通孔22c内において容易に挿通孔22cの軸心に沿って挿通部21aの長さ分だけ挿抜方向へ遊動可能であるとともに、該挿抜方向と直交する挿通孔22cの径方向にも該所定量だけ遊動する。
【0042】このようなリテーナ側連結部材22を備えたリテーナ2は、エアバッグ3が折り畳まれてこのリテーナ2内に収容された状態で、インストルメントパネル5の裏側からこのインストルメントパネル5に連結されている。リテーナ2をインストルメントパネル5に連結するにあたって、リテーナ2は、その上面側の開口がインストルメントパネル5によって覆われ且つリテーナ側連結部材22の挿通孔22cにインストルメントパネル側連結部材21の挿通部21aが挿通されるように配置される。そして挿通孔22cの上面側から挿通され、この挿通孔22cの下面側から突き出した挿通部21aの先端面にストッパ21eを固着することによって挿通部21aが挿通孔22cから抜け出さないものとなり、インストルメントパネル側及びリテーナ側の各連結部材21,22が互いに結合され、リテーナ2とインストルメントパネル5の連結を完了し、エアバッグ装置1Aが構成される。
【0043】このエアバッグ装置1Aは、インストルメントパネル5とともに車体(図示略)の助手席前方側に設置され、リテーナ2がボルト10等によって車体に設けられた車体側メンバ9に固定される。
【0044】この際、前述の通り、各挿通部21aは予定長さを有し、これらの挿通部21aはその長さ分だけ挿通孔22c内を自在に遊動可能であることから、このような挿通部21a及び挿通孔22cの係合によりリテーナ2とインストルメントパネル5とが連結されたエアバッグ装置1Aにおいても、前述のエアバッグ装置1と同様に、リテーナ2がインストルメントパネル5に対して所定距離だけ前後、左右、及びそれらの複合方向へ遊動することができ、また、このエアバッグ装置1Aにおいては、挿通孔22cの開口径は挿通部21aの外径よりも所定量だけ大きく、挿通部21aは挿通孔22cの径方向に対しても所定範囲内において自在に移動可能となっていることから、リテーナ2はこの所定量の分だけインストルメントパネル5の延在方向に沿って移動可能或いは回動させることもできるため、これらエアバッグ装置1A、インストルメントパネル5、車体側メンバ9に多少の寸法誤差や取り付け位置のずれ等が生じている場合であっても、リテーナ2はほぼ正規の位置において無理なく設置、固定されるようになる。
【0045】しかも、この挿通部21aはストッパ21eによって挿通孔22cからの抜け出しが確実に阻止されており、リテーナ2とインストルメントパネル5とが強固に連結されているため、リテーナ2がインストルメントパネル5から不正に脱落することはなく、また、エアバッグ膨張時においてインストルメントパネル5が開裂した際に、このリッドとして区画された部分やその周囲のインストルメントパネル5の部分が不正に車両室内側に飛び出すことを防止する効果も奏することから、従来例として前述したリテーナとインストルメントパネルとがリジットに固定されたエアバッグ装置と比較してもこれらのリテーナとインストルメントパネルとの結合においてなんら遜色のないものとなっている。
【0046】なお、この実施の形態においても、リテーナ側、インストルメントパネル側の各連結部材の形状及び配置等の構成は上記のものに限らず、例えば、リテーナ側連結部材に設けられている挿通孔の開口形状は円形、長穴形、方形その他の種々の形状とすることができ、エアバッグ装置の仕様等に応じて適宜設定可能であり、この挿通孔に挿通される挿通部や、ストッパ等の挿通部の挿通孔からの抜け出し防止手段などの構成もまた同様である。
【0047】次に、第3,4図を参照して本発明のさらに別の実施の形態に係る助手席用エアバッグ装置1Bについて説明する。なお、第3図はこのエアバッグ装置1Bの断面図、第4図はこのエアバッグ装置1Bとインストルメントパネルとの連結構造を示すインストルメントパネルの裏側からの分解斜視図であり、各図において、第1図と同一の符合は同一の部分を示すものとなっている。
【0048】このエアバッグ装置1Bは、前述のエアバッグ装置1,1Aと同様に、平面視形状が略長方形のコンテナ状のリテーナ2と、このリテーナ2内に折り畳まれて収容されたエアバッグ3を膨張させるためのインフレータ4を備え、リテーナ2の上面(第3図に示すリテーナ2の上側の面)側の開口がインストルメントパネル5によって覆われている。また、このインストルメントパネル5の裏側面にはテアライン5aによってリッドとしての領域が区画されており、リテーナ2は、該上面側の開口がインストルメントパネル5の裏側からこのリッドとしての領域に重なるように配置されている。
【0049】このインストルメントパネル5の裏側面の該リッドとしての領域の周縁部には、従述するリテーナ側連結部材33と係合してリテーナ2とインストルメントパネル5とを連結するためのインストルメントパネル側連結部材31が取り付けられている。
【0050】このインストルメントパネル側連結部材31は、リテーナ2の該上面側開口の長手方向の対向した1対の側辺部がそれぞれ対面した、インストルメントパネル5の該リッドとしての領域の長手方向の辺縁部に沿って配置された1対の長手状部材であり、インストルメントパネル5の裏側面と対面し且つ裏側面に沿ってインストルメントパネル5と結合した第1の片部31aと、この第1の片部31aの長手方向の片縁部からリテーナ2の長手方向の側面に沿って下方(第3図下方)に向かって所定長さだけ延出した第2の片31bと、この第2の片31bの先端側からインストルメントパネル5の延在方向と略平行な面に沿って該第1の片31aと離反する方向に所定長さだけ延出した第3の片31cとを備えた略クランク状断面形状を有するものとして構成されている。
【0051】本実施の形態では、このようなインストルメントパネル側連結部材31がインストルメントパネル5のリッドとして区画された領域の1対の対向した該長手方向の辺縁部に沿ってそれぞれ1個ずつ取り付けられており、これらの連結部材31は、該第2の片31bが互いに平行に延出し且つ該第3の片31cの先端側が互いに向き合うように設置されている。またこれら連結部材31の第2の片31bの対面した面同士の間隔は、リテーナ2の対向する1対の長手方向の側面にそれぞれ取り付けられた該リテーナ側連結部材33の後述の相離反する方向へ延出した第2の片33bの先端部同士の間隔よりも所定量だけ大きいものとなっている。
【0052】インストルメントパネル5の裏側面と、各インストルメントパネル側連結部材31の第2及び第3の片31b,31cとによって囲まれた部分は、それぞれ該リテーナ側連結部材33の第2の片33bが挿通されるガイド部32となっている。このガイド部32に挿通された後、該リテーナ側連結部材33の第2の片33bは、このガイド部32内においてインストルメントパネル5の裏側面並びにインストルメントパネル側連結部材31の第2及び第3の片31b,31cの各面に沿って各面との所定の間隔分だけ自在に移動することができるように収容される。また、各インストルメントパネル側連結部材31は第3の片31cの長手方向の両端側からこの第3の片31cの延在方向に延出した突片31dを有しており、この突片31dはガイド部32に該リテーナ側連結部材33の第2の片33bが収容された後にこのガイド部の長手方向の両端側を閉塞するように屈曲され、該リテーナ側連結部材33の第2の片33bはガイド部32から抜け出すことを阻止される。
【0053】リテーナ2の対向した1対の長手方向の側面には、それぞれこのインストルメントパネル側連結部材31により形成されたガイド部32と係合してリテーナ2とインストルメントパネル5とを連結するリテーナ側連結部材33が取り付けられている。
【0054】このリテーナ連結部材33は、リテーナ2の上面側の開口の対向する1対の長手方向の側辺部に沿ってそれぞれリテーナ2の該側面に配置された1対の長手状部材であり、リテーナ2の長手方向の各側面に沿って延在し且つこの側面と結合した第1の片33aと、この第1の片33aの上片からリテーナ2の側方に向かって、リテーナ2の該上面と略平行な方向に所定長さだけ延出した第2の片33bとからなる略L字断面形状を有するものである。なお、このリテーナ側連結部材33の長手方向の長さは前述のインストルメントパネル側連結部材31の長手方向の長さより所定長さだけ短いものとなっている。
【0055】このように構成されたリテーナ側連結部材33は、リテーナ2の該対向する1対の長手方向の側面にそれぞれ配置され、各連結部材33は、該第2の片33bの先端部が互いに相離反する方向を向き且つこの第2の片33bの上面(第3図に示す該第2の片33bの上側の面)が共にリテーナ2の上面と略平行な同一平面内に延在するようにリテーナ2の該側面に取り付けられている。なお、各連結部材33の第2の片33bの互いに離反する方向を向いた先端部同士の間隔は前述のインストルメントパネル側連結部材31の第2の片31bの向かい合った面同士の間隔よりも小さいものとなっている。
【0056】このようなリテーナ側連結部材33を備えたリテーナ2は、エアバッグ3が折り畳まれてこのリテーナ2内に収容された状態でインストルメントパネル5の裏側からこのインストルメントパネル5に連結されている。
【0057】リテーナ2をインストルメントパネル5に連結するにあたって、まずガイド部の32の長手方向の一端側においてインストルメントパネル5の該リッドとしての領域と隣接した領域に対し、リテーナ2をその上面側がこの領域に対面するように配置する。そして、1対のガイド部32の延在方向とリテーナ2の両側の連結部材33の延在方向とが平行となるようにした後、リテーナ2を該1対のガイド部32の間に割り込ませるように該リッドとしての領域上に向かってスライドさせながら、各連結部材33の第2の片33bを対応するガイド部32内に挿通する。その後、リテーナ2の上面側の開口が該リッドとしての領域と重なったところで各ガイド部32の長手方向の両端側の突片31dを前述のように屈曲させて各ガイド部32の両端側を開塞し、各リテーナ側連結部材33の第2の片33bをガイド部から抜け出さないように収容することによりリテーナ2とインストルメントパネル5との連結が完了し、エアバッグ装置1Bが構成される。
【0058】このエアバッグ装置1Bも、前述の実施の形態と同様に、インストルメントパネル5とともに車体(図示略)の助手席前方側に設置され、リテーナ2がボルト10等によって車体に設けられた車体側メンバ9に固定される。
【0059】この際、前述した通り、ガイド部32に収容された各リテーナ側連結部材33の第2の片33bは、ガイド部32を構成するインストルメントパネル5の裏側面、インストルメントパネル側連結部材31の第2及び第3の片31b,31c並びにガイド部32の両端側を閉塞した突片31eによって規制された範囲内において自在に移動することが可能であるため、このようなガイド部32とリテーナ側連結部材33との係合によりリテーナ2とインストルメントパネル5とが連結されたエアバッグ装置1Bにおいても、前述の乗員保護装置1,1Aと同様に、リテーナ2がインストルメントパネル5に対して所定量だけ自在に移動することができ、これらのエアバッグ装置1B、インストルメントパネル5、車体側メンバ9に多少の寸法誤差や取付位置のずれ等が生じている場合であっても、リテーナ2はほぼ正規の位置において無理なく設置、固定されるようになる。
【0060】しかも、このエアバッグ装置1Bにおいては、第3図に示すように、インストルメントパネル側連結部材31の題の片31c及びリテーナ側連結部材33の第2の片33bの幅をインストルメントパネル側連結部材31の第2の片31bの高さに比べて十分に長いものとすることにより、エアバッグ装置設置時のリテーナ2の回動等によって該第2の片33bがガイド部32から抜け出してリテーナ2がインストルメントパネル5から脱落することがなく、インストルメントパネル5が強固に連結されたものとなっている。
【0061】なお、この実施の形態において、リテーナ側及びインストルメントパネル側連結部材の構成は上記のものに限られるものではない。例えば、図示はしないが、リテーナ側連結部材33の第1の片33aの下片側に、第2の片33bと同様の第3の片33cをこの第2の片33bから所定間隔をあけて設け、該第2の片33bがガイド部32に挿通されると同時にこの第2の片33bと該第3の片33cとの間にインストルメントパネル側連結部材31の第3の片を挿通するよう構成してもよい。
【0062】なお、上述の各実施の形態において、エアバッグ装置1,1A,1Bはいずれも自動車の助手席用エアバッグ装置として構成されているが、本発明のエアバッグ装置はこの他にも、自動車の運転席用や後部座席用等のエアバッグ装置、或いは、自動車以外の各種の乗り物等の人体保護用エアバッグ装置として適用することができるものである。
【0063】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のエアバッグ装置によると、エアバッグ装置を車体に設置する際に、エアバッグ装置並びにその周辺部材に多少の寸法誤差や取付位置のずれ等が生じている場合であっても容易にこのエアバッグ装置の位置合わせを行うことができ、各構成部材に歪みや負荷を与えることなく確実にエアバッグ装置を正規の位置に設置、固定することが可能となる。また、リテーナとインストルメントパネル等のパネルとがきわめてしっかりと結合された結合構造を構成することができる。
【出願人】 【識別番号】000108591
【氏名又は名称】タカタ株式会社
【出願日】 平成12年6月12日(2000.6.12)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開2001−354095(P2001−354095A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2000−175602(P2000−175602)