| 【発明の名称】 |
ウェビング巻取装置及び車両 |
| 【発明者】 |
【氏名】永田 智紀
【氏名】森 信二
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| 【要約】 |
【課題】簡単な構造で、ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収する過程でフォースリミッタ荷重を減少できるウェビング巻取装置及び車両を得る。
【解決手段】スプール14は、一端部をロック可能なトーションバー22に連結されると共にピニオン32に連結され、その近傍にラック40及び一方向クラッチ50を設けたピストン38が配置されている。車両急減速時にピストン38が駆動されるとピニオン32を介してスプール14が回転され、ウェビング26の緩みが除去される。その後ウェビング引張力が作用すると、トーションバー22の捩り荷重及び一方向クラッチ50の抵抗荷重がフォースリミッタ荷重として作用する。スプール14がさらに回転されるとピニオン32とラック40との係合が解かれる。このため、簡単な構造でフォースリミッタ荷重を減少できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ウェビングが巻取り引出しされる筒状のスプールと、前記スプールの一端側に前記スプールと同軸的でかつ相対回転可能に設けられたロックベースと、前記ロックベースに接続して設けられ、所定の加速度が検知された際にフレームに係合して前記ロックベースのウェビング引出方向回転を阻止するロック手段と、前記スプール内に前記スプールと同軸的に設けられ、一端が前記スプールに連結されると共に他端が前記ロックベースに連結され、通常は前記スプールと前記ロックベースとを一体に回転させ、前記ロック手段による前記ロックベースのウェビング引出方向回転阻止状態ではウェビング引張力により捩じれながら前記スプールを前記ロックベースに対してウェビング引出方向へ相対回転させるトーションバーと、前記スプールに係合可能に設けられたピストンと、前記フレームに固定され前記ピストンが挿入されたシリンダと、前記シリンダに連通され前記シリンダ内にガスを供給可能なガス供給手段と、を有し、車両急減速時には前記ガス供給装置が作動され、前記ピストンが前記シリンダ内でスライド移動することにより前記スプールを強制的に回転させて前記ウェビングを乗員拘束方向へ緊張させるプリテンショナ機構と、を備えたウェビング巻取装置において、前記シリンダ内に設けられ、前記プリテンショナ機構が作動された後、前記スプールが前記ウェビング引出方向へ回転される際には前記ピストンと前記シリンダとの相対移動に伴う抵抗力を生じさせる抵抗手段を備えたことを特徴とするウェビング巻取装置。 【請求項2】 前記抵抗手段を、前記ピストンの外周または前記シリンダの内周の少なくとも一方に設けられたテーパ部と、前期テーパ部において前記ピストンと前記シリンダ内壁との間に配置され、前記プリテンショナ機構が作動される際には前記ピストンと前記シリンダ内壁との間において拘束を受けず、前記プリテンショナ機構が作動された後、前記スプールがウェビング引出方向へ回転される際には前記ピストンと前記シリンダ内壁との間に挟持され前記ピストンの移動に伴う抵抗力を生じさせるボールと、で構成される一方向クラッチとしたことを特徴とする請求項1記載のウェビング巻取装置。 【請求項3】 前記抵抗手段を、一端に向けて外径が増加する中空円錐台状に形成され、前記一端外周部が前記シリンダ内壁に接触するように前記ピストンに接続されたキャップとしたことを特徴とする請求項1記載のウェビング巻取装置。 【請求項4】 前記シリンダ内のガスを排出可能な小孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のウェビング巻取装置。 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のウェビング巻取装置を備え、かつエアバッグ装置を備えた車両であって、エアバッグと乗員との接触直前に前記スプールと前記ピストンとの係合状態がが解除されることを特徴とする車両。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両急減速時にウェビングを乗員拘束方向へ緊張させるウェビング巻取装置に係り、特にウェビングの引出しを阻止するときに、ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収することができるウェビング巻取装置に関する。 【0002】また、本発明は、このウェビング巻取装置を備えた車両に関する。 【0003】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ウェビング巻取装置では、スプール(巻取軸)のウェビング引出方向の回転が車両急減速時にロックされて、ウェビングの引き出しが阻止される。このロック機構としては、スプールの一端側の装置フレーム近傍にロック手段が配置されており、車両急減速時にはこのロック手段が作動されることで、スプールのウェビング引出方向の回転が阻止される構成である。 【0004】また、このようなウェビング巻取装置において、ウェビングの引き出しを阻止する際に、ウェビングの引き出しを所定量許容して、エネルギーの吸収を図ることが行われている。このエネルギー吸収機構としては、例えばスプールとこれと同軸的にトーションバーを配置した構成のものがある。一般的にトーションバーは、一端部をスプールに、他端部をロック手段に接続されたロックベースに、それぞれ相対回転しないように連結されている。通常は、スプールとロックベースとはトーションバーを介して一体に回転するが、車両急減速時にロックベースのウェビング引出方向の回転が阻止された状態では、スプールが、ウェビング引張力により、ロックベースに対してウェビング引出方向へ回転する。このとき、トーションバーが捩じられてエネルギが吸収され、スプールの所定量の回転が許容される構成である。このような吸収エネルギは、ウェビングに付加される荷重(フォースリミッタ荷重)とウェビング引出量(スプール回転量)の積で決まるものであり、ウェビング巻取装置では、フォースリミッタ荷重及びスプールの許容回転量(トーションバーの捩り限界)が与えられている。 【0005】しかしながら、このような従来のウェビング巻取装置では、エネルギ吸収時のフォースリミッタ荷重はトーションバーの材料物性値及び寸法形状に支配され、エネルギ吸収の開始から終了までの間一定の値しか与えることができなかった。 【0006】ところで、スプールが所定量回転した後にフォースリミッタ荷重を低減させることができれば、車両急減速の初期には大きなフォースリミッタ荷重を作用させてスプール回転量(ウェビング引出量)当りのエネルギ吸収量を大きくすることにより、ウェビング引出量(乗員の移動量)を抑えることができる。一方、所定のエネルギ吸収後は、フォースリミッタ荷重を低減させることにより、乗員に作用する負荷(荷重)を低減することができる。 【0007】特に、エアバッグ装置を備えた車両においては、エアバッグと乗員との接触直前にフォースリミッタ荷重を低減することによって乗員に作用する総荷重を減じることが可能で乗員の傷害をさらに軽減することができる。 【0008】また、ウェビング巻取装置が一般的に備えているプリテンショナ機構を利用して、上述のようにフォースリミッタ荷重特性を変更できれば、ウェビング巻取装置全体として簡単かつコンパクトな構成とすることができる。 【0009】本発明は係る事実を考慮し、簡単かつコンパクトな構造で、ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収する際に、エネルギ吸収の初期には大きなフォースリミッタ荷重を付加し、所定のエネルギ吸収後は小さなフォースリミッタ荷重を付加できるウェビング巻取り装置を得ることが第1の目的である。 【0010】また、本発明は、上記のウェビング巻取装置及びエアバッグ装置を備え、乗員に作用する荷重を低減することができる車両を得ることが第2の目的である。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決するために、請求項1の発明に係るウェビング巻取装置は、ウェビングが巻取り引出しされる筒状のスプールと、前記スプールの一端側に前記スプールと同軸的でかつ相対回転可能に設けられたロックベースと、前記ロックベースに接続して設けられ、所定の加速度が検知された際にフレームに係合して前記ロックベースのウェビング引出方向回転を阻止するロック手段と、前記スプール内に前記スプールと同軸的に設けられ、一端が前記スプールに連結されると共に他端が前記ロックベースに連結され、通常は前記スプールと前記ロックベースとを一体に回転させ、前記ロック手段による前記ロックベースのウェビング引出方向回転阻止状態ではウェビング引張力により捩じれながら前記スプールを前記ロックベースに対してウェビング引出方向へ相対回転させるトーションバーと、前記スプールに係合可能に設けられたピストンと、前記フレームに固定され前記ピストンが挿入されたシリンダと、前記シリンダに連通され前記シリンダ内にガスを供給可能なガス供給手段と、を有し、車両急減速時には前記ガス供給装置が作動され、前記ピストンが前記シリンダ内でスライド移動することにより前記スプールを強制的に回転させて前記ウェビングを乗員拘束方向へ緊張させるプリテンショナ機構と、を備えたウェビング巻取装置において、前記シリンダ内に設けられ、前記プリテンショナ機構が作動された後、前記スプールがウェビング引出方向へ回転される際には前記ピストンと前記シリンダとの相対移動に伴う抵抗力を生じさせる抵抗手段を備えたことを特徴としている。 【0012】請求項1に記載のウェビング巻取装置では、スプールとロックベースとはトーションバーを介して連結されており、通常はこれらが一体に回転する。また、プリテンショナ機構では、通常は、ピストンとスプールとは非係合状態とされ、ピストンがスプールの回転の障害となることがない。このため、通常は、ウェビングの巻取り引出しが自由とされる。 【0013】車両が急減速状態に至ると、プリテンショナ機構のガス供給装置が作動され、シリンダ内にガスが供給される。このガスの圧力により、ピストンがスプールと係合しながらスライド移動することによりスプールが強制的にウェビング巻取方向へ回転され、ウェビングの緩みが除去されて乗員に緊密に装着される(プリテンショナ機構の作動が終了する)。 【0014】このとき、既に車両急減速時の所定の加速度(減速度)が検知されているため、ロック手段が作動しフレームに係合し、ロックベースのウェビング引出方向の回転が阻止されている。 【0015】プリテンショナ機構の作動後、乗員の慣性移動に伴うウェビング引張力が作用すると、このウェビング引張力は、スプールを介してトーションバーにウェビング引出し方向の回転力として作用すると共に、スプールを介してピストンの初期位置復帰方向への移動力としても作用する。このため、トーションバーが捩れると共に、ピストンがシリンダとの相対移動に伴う抵抗力に抗しながら移動し、ウェビング(乗員)に作用する荷重を一定に保ちながら(トーションバーの捩り荷重と抵抗手段の抵抗荷重とが一定のフォースリミッタ荷重として作用しながら)スプールがロックベースに対してウェビング引出方向へ回転されてウェビングが引出され、第1次のエネルギ吸収が果たされる。 【0016】スプールがさらに回転されピストンが初期位置まで移動されると、スプールとピストンとの係合が解かれるため、ウェビング引張力はトーションバーの回転力としてのみ作用する。これにより、抵抗荷重の分だけフォースリミッタ荷重が減少する。このとき、トーションバーの捩り荷重が別途一定のフォースリミッタ荷重として作用しながら第2次のエネルギ吸収が果たされる。 【0017】このように、請求項1に記載のウェビング巻取り装置では、簡単かつコンパクトな構造で、ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収する際に、エネルギ吸収の初期には大きなフォースリミッタ荷重を付加し、所定のエネルギ吸収後は小さなフォースリミッタ荷重を付加することができる。 【0018】また、請求項2の発明に係るウェビング巻取装置は、請求項1記載のウェビング巻取装置において、前記抵抗手段を、前記ピストンの外周または前記シリンダの内周の少なくとも一方に設けられたテーパ部と、前期テーパ部において前記ピストンと前記シリンダ内壁との間に配置され、前記プリテンショナ機構が作動される際には前記ピストンと前記シリンダ内壁との間において拘束を受けず、前記プリテンショナ機構が作動された後、前記スプールがウェビング引出方向へ回転される際には前記ピストンと前記シリンダ内壁との間に挟持され前記ピストンの移動に伴う抵抗力を生じさせるボールと、で構成される一方向クラッチとしたことを特徴としている。 【0019】請求項2記載のウェビング巻取装置では、プリテンショナ機構が作動される際には、一方向クラッチを構成するボールがピストンとシリンダ内壁との間において拘束を受けないため、ピストンの移動に伴う抵抗力が生じない。このため、ピストンはスプールと係合しながらスムースにスライド移動され、スプールが強制的にウェビング巻取方向へ回転されることによりウェビングの緩みが除去されて乗員に緊密に装着される。 【0020】一方、プリテンショナ機構作動後のエネルギ吸収時においては、ウェビング引張力がスプールを介してピストンの移動力として作用すると、一方向クラッチを構成するボールがピストンとシリンダ内壁との間で挟持されるため、ボールとシリンダ内壁とが当接しながら、または、シリンダ若しくはボールが塑性変形しながらピストンが初期位置復帰方向(ウェビング引出方向)へ移動する。このため、ボールとシリンダ内壁との間で動摩擦力または塑性変形に伴う抵抗力が発生しながらピストンが初期位置まで移動される。これにより、トーションバーの捩り荷重に加えてピストンの移動に伴う動摩擦荷重または塑性変形に伴う抵抗荷重がフォースリミッタ荷重として確実に作用し、ピストンが初期位置まで移動された後は、トーションバーの捩り荷重のみがフォースリミッタ荷重として作用する。 【0021】このように、請求項2に記載のウェビング巻取装置では、一層簡単かつコンパクトな構造で、ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収する際に、エネルギ吸収の初期には大きなフォースリミッタ荷重を確実に付加し、所定のエネルギ吸収後は小さなフォースリミッタ荷重を付加することができる。 【0022】さらに、請求項3の発明に係るウェビング巻取装置は、請求項1記載のウェビング巻取装置において、前記抵抗手段を、一端に向けて外径が増加する中空円錐台状に形成され、前記一端外周部が前記シリンダ内壁に接触するように前記ピストンに接続されたキャップとしたことを特徴としている。 【0023】請求項3記載のウェビング巻取装置では、プリテンショナ機構が作動される際には、キャップの円錐部が内側に窄まるように変形させながらピストンが移動するため、ピストンの移動に伴う抵抗力は小さい。このため、ピストンはスプールと係合しながらスムースにスライド移動され、スプールが強制的にウェビング巻取方向へ回転されることによりウェビングの緩みが除去されて乗員に緊密に装着される。 【0024】一方、プリテンショナ機構作動後のエネルギ吸収時においては、ウェビング引張力がスプールを介してピストンの移動力として作用すると、キャップ円錐部を外側に拡げるように変形させながらピストンがウェビング引出方向に移動する。このため、キャップ下端部がシリンダ内壁をかじり、キャップとシリンダ内壁との間でかじり抵抗力が発生しながらピストンが初期位置まで移動される。これにより、トーションバーの捩り荷重に加えてピストンの移動に伴うかじり荷重がフォースリミッタ荷重として確実に作用し、ピストンが初期位置まで移動された後は、トーションバーの捩り荷重のみがフォースリミッタ荷重として作用する。 【0025】このように、請求項3に記載のウェビング巻取装置では、一層簡単かつコンパクトな構造で、ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収する際に、エネルギ吸収の初期には大きなフォースリミッタ荷重を確実に付加し、所定のエネルギ吸収後は小さなフォースリミッタ荷重を付加することができる。 【0026】さらにまた、請求項4の発明に係るウェビング巻取装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のウェビング巻取装置において、前記シリンダ内のガスを排出可能な小孔を設けたことを特徴としている。 【0027】請求項4記載のウェビング巻取装置では、プリテンショナ機構作動後のエネルギ吸収時において、ウェビング引張力がスプールを介してピストンの移動力として作用すると、シリンダ内に残留するガスを小孔から確実に排出しながらピストンが初期位置まで移動される。これにより、ピストンが初期位置まで移動される間において、不安定な挙動を示すガスの圧縮に伴う荷重の影響を受けずに安定したフォースリミッタ荷重を得ることができる。 【0028】このように、請求項4に記載のウェビング巻取装置では、一層簡単かつコンパクトな構造で、ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収する際に、エネルギ吸収の初期には大きなフォースリミッタ荷重を一層確実に付加し、所定のエネルギ吸収後は小さなフォースリミッタ荷重を付加することができる。 【0029】上記第2の課題を解決するために、請求項5の発明に係る車両は、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のウェビング巻取装置を備え、かつエアバッグ装置を備えた車両であって、エアバッグと乗員との接触直前に前記スプールと前記ピストンとの係合状態が解除されることを特徴としている。 【0030】請求項5記載の車両では、エアバッグと乗員との接触直前に、スプールとピストンとの係合が解除され、前記抵抗手段による抵抗荷重の分だけフォースリミッタ荷重が低減される。このため、エアバッグと乗員との接触前においては、大きなフォースリミッタ荷重を付加してスプール回転量当りのエネルギ吸収量を大きくすることにより、ウェビング引出量(乗員の移動量)を抑えることができる。一方、エアバッグと乗員との接触後は、フォースリミッタ荷重が低減されているため、乗員に作用する総荷重が低減され、乗員の傷害の程度を軽減することができる。 【0031】このように、請求項5記載の車両は、上記のウェビング巻取装置及びエアバッグ装置を備え、乗員に作用する荷重を低減することができる。 【0032】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。 【0033】図1には、本実施の形態に係るウェビング巻取装置10の全体構成が示されている。 【0034】ウェビング巻取装置10は、フレーム12を備えている。フレーム12は、対向する一対の脚片12A、脚片12Bと各脚片を連結する背片12Cとを有し、略コ字型に形成されている。背片12Cは下方に延出されており、その下端部が車体にボルト止めされて固定されている。 【0035】フレーム12の対向する脚片12A、12Bの間には、軸方向が脚片12A、12Bの対向方向とされた筒状のスプール14が設けられている。このスプール14にはウェビング26の一端が係止され、スプール14の回転により、ウェビング26がスプール14に対して巻取り引出し自在となる。 【0036】スプール14の筒内には、脚片12A側の端部にロックベース16が配置されている。ロックベース16は、フレーム12の脚片12Aの開口部にスプール14と同軸的でかつ回転自在に支持されている。ロックベース16にはロック手段を構成するロックプレート24が接続され、図示しない加速度センサが所定の加速度(減速度)を検知した場合にロックプレート24がフレーム12に噛込むことによりロックベース16の回転を阻止する構成となっている。 【0037】また、ロックベース16には、スプール14の筒内軸心部分に配置されたトーションバー20の六角部が挿入されており、ロックベース16が常にトーションバー20の一端側六角部と一体に回転するように構成されている。 【0038】一方、スプール14筒内の脚片12B側端部には、スリーブ18が配置されている。スリーブ18は、スプライン状の歯20が嵌合することでスプール14と一体に連結されると共に、脚片12Bの開口部にスプール14と同軸的でかつ回転自在に支持されている。スリーブ18の先端部は脚片から外方へ突出しており、さらに、その突出部端にはぜんまいばね(図示省略)が設けられている。これにより、スリーブ18は常にウェビング34を巻取る方向に回転付勢されている。 【0039】さらに、このスリーブ18は、前述したトーションバー20の他端六角部が挿入されることにより、ロックベース16と連結されている。これにより、通常は、スプール14、スリーブ18、トーションバー20、及びロックベース16は一体に回転するよう構成されている。 【0040】また、ウェビング巻取装置10は、プリテンショナ機構30を備えており、プリテンショナ機構30はピニオン32を備えている。ピニオン32は、スリーブ18のスプール14外側端に連結されており、スリーブ18を介してスプール14と常に一体となって回転するようになっている。このため、ピニオン18が回転することによりスプール14が回転し、ウェビング26の巻取りまたは巻き戻しができる構成となっている。 【0041】さらに、脚片12Bにはシリンダ34が固定されている。シリンダ34は円筒状に形成されており、上端がピニオン32の近傍で開口している。このシリンダ34内には、ピストン38が設けられている。ピストン38の底部は円盤状に形成されており、シリンダ34内をスライド移動可能とされている。ピストン38の底部にはシール保持部42が連結されており、シール保持部42の外周にはシリンダ34の内壁との間をシールするためのOリング44が嵌合されている。 【0042】一方、シリンダ34の底部には、凹部36が一体に形成されている。この凹部36はシリンダ内径より小径とされ、シリンダ34と凹部36とは段付きとされている。この段部にOリング44が係合することにより、ピストン38が底付きしない構成となっている。また、Oリング44がこの段部に係合する位置がピストン38の初期位置とされている。 【0043】また、シリンダ34にはガス供給装置46が接続され、また、ガス供給装置46には制御手段48が接続されている。これにより、車両急減速時には、制御手段48がガス供給装置46を作動させ、供給されるガス圧力によりピストン38が図2(A)の矢印Aの方向へ移動される構成となっている。 【0044】一方、ピストン38の先端部にはラック40が一体に設けられている。このラック40は前述したピニオン32に対応しており、通常はピニオン32から所定の隙間を有して位置している(非係合状態とされている)。これにより、ラック40がピストン38と共にシリンダ34内を図2(A)の矢印A方向へスライド移動すると、ラック40がピニオン32に噛み合ってピニオン32をウエビング26巻取方向(図2(A)の矢印B方向)へ回転させるようになっている。 【0045】なお、プリテンショナ機構30によって強制回転されるスプール14の回転量がトーションバー22の捩れにより許容されるスプール14の回転量より小さくなるようにピストン38の行程長及びラック40、ピニオン32の歯数が決められている。 【0046】また、ピストン38とシール保持部42との間には、抵抗手段を構成する一方向クラッチ50が設けられている。ラック40とシール保持部42との間には一対の円板52、54が設けられており、この円板52と円板54との間には、下方に向かって断面積が減少する円錐台状のテーパ部56が設けられている。さらに、一対に円板52、54の間において、シリンダ34の内壁とテーパ部56との間には一または複数のボール58が配置されている。一方向クラッチ50は、ボール58が常に2枚の円板52、54間に位置する構成となっている。 【0047】このボール58は、ピストン38が図2(A)の矢印A方向へ移動する際にはシリンダ34の内壁とテーパ部56の小径部との間に位置し拘束を受けず、ピストン38が図2(B)の矢印D方向(初期位置復帰方向)へ移動する際にはシリンダ34の内壁とテーパ部56の大径部との間に挟持される構成となっている。これにより、一方向クラッチ50は、ピストン38が図2(B)の矢印D方向へ移動する際にのみ抵抗力を発生する構成となっている。 【0048】なお、上記の一方向クラッチ50に代えて、シリンダ内面に上方が大径とされたテーパ部を設け、ピストンのストレート部との間にボールを配置した一方向クラッチを採用しても良い。 【0049】次に、本実施の形態の作用を説明する。 【0050】上記構成のウェビング巻取装置10では、スプール14とロックベース16とはトーションバー20によって連結されているので、通常は、これらが一体に回転する。また、ピストン38に設けられたラック40はピニオン32と非係合状態とされ、ラック40がスプール14の回転の障害となることがない。このため、通常は、ウェビング26の巻取り引出しが自由とされる。 【0051】車両が急減速状態に至ると、まず、プリテンショナ機構30が作動する。すなわち、ガス供給装置46が作動することによりシリンダ34内に供給されたガスの圧力によってピストン38が図2(A)の矢印A方向へスライド移動され、ラック40がピニオン32に噛み合いながら移動することでピニオン32が図2(A)の矢印B方向へ回転される。これによって、スプール14が強制的にウエビング巻取方向へ回転され、ウエビング26の緩みが除去されて乗員に緊密に装着される(プリテンショナ機構30の作動が完了する)。 【0052】このとき、一方向クラッチ50は、ボール58がシリンダ34の内壁とテーパ部56の小径部との間に位置し抵抗力を発生させないため、ピストン38はスムーズにスライド移動される。 【0053】一方、プリテンショナ機構30作動持に、既に車両急減速に伴う所定の加速度(減速度)が検知されているため、ロック手段を構成するロックプレート24がフレーム12に係合し、ロックベース16のウェビング引出方向の回転が阻止されている。 【0054】このため、プリテンショナ機構30作動後、乗員の慣性移動に伴うウェビング引張力が作用すると、このウェビング引張力は、スプール14及びスリーブ18を介してトーションバー20にウェビング引出方向の回転力として作用すると共に、スプール14、ピニオン32及びラック40を介してピストン38の初期位置復帰方向への移動力としても作用する。 【0055】ここで、ウェビング26に引張力が作用しスプール14を介してピニオン32が図2(B)の矢印C方向へ回転されると、一方向クラッチ50を構成するボール58がシリンダ34の内壁とテーパ部56の大径部との間に位置し、ボール58とシリンダ34の内壁とが当接しながら、または、シリンダ34若しくはボール58が塑性変形しながらピストン38が初期位置復帰方向(図2(B)の矢印D方向へ)へ移動する。このため、ボール58とシリンダ34の内壁との間で動摩擦力または塑性変形に伴う抵抗力が発生しながらピストン38が初期位置まで移動される。これにより、ウェビング26(乗員)に作用する荷重を一定に保ちながら(トーションバー22の捩り荷重とピストン38の移動に伴う動摩擦荷重とが図3に示すF2のフォースリミッタ荷重として作用しながら)スプール14がロックベース16に対してウェビング引出方向へ回転されてウェビング26が引出され、第1次のエネルギ吸収が果たされる。 【0056】スプール14がさらに回転されピストン38が初期位置まで移動されると、ピニオン32とラック40との係合が解かれるため、ウェビング引張力はトーションバー22の回転力としてのみ作用する。このため、ピストン38の移動に伴う動摩擦荷重の分だけフォースリミッタ荷重が減少する。したがって、トーションバー22の捩り荷重が図3に示すF1のフォースリミッタ荷重として作用しながら第2次のエネルギ吸収が果たされる。 【0057】このときのウェビング引張力とスプール14の回転量とは、図3に示される関係となり、スプール14が所定量回転した後にフォースリミッタ荷重を減少させることができる。このため、車両急減速の初期には大きなフォースリミッタ荷重を付加して時間当りのエネルギ吸収量を大きくしてウェビング引出量(乗員の移動量)を抑えて、所定のエネルギ吸収後はより小さいフォースリミッタ荷重を付加して時間当りのエネルギ吸収量を小さくすることによって乗員への負荷を軽減することができる。特に、エアバッグ装置を備えた車両においては、エアバッグと乗員との接触直前にフォースリミッタ荷重を減少することによって乗員に作用する荷重を減じることが可能で乗員の傷害をさらに軽減することができる。 【0058】なお、一般に、エネルギ吸収時に許容するウェビング引出量の方がプリテンショナ機構30によるウェビング巻取り量より大きいため、上述したようなフォースリミッタ荷重特性が得られる。 【0059】このように、本実施の形態に係るのウェビング巻取り装置10では、簡単かつコンパクトな構造で、ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収する過程においてフォースリミッタ荷重を減少させることができる。 (抵抗手段の変形例)上記の実施の形態に係るウェビング巻取装置10では、プリテンショナ機構30を備えた構成としたが、以下に説明する変形例に示すプリテンショナ機構を備えた構成としても良い。なお、上記の実施の形態と共通する部品には、上記の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。 【0060】ウェビング巻取装置10は、プリテンショナ機構30に代えて、図4に示すプリテンショナ機構60を備えた構成としても良い。 【0061】プリテンショナ機構60では、抵抗手段を構成する一方向クラッチ50に代えて、キャップ62を備えた構成としている。ピストン38の底部には、キャップ62が設けられている。キャップ62は、シリンダ34の底面に向けて外径が増加する下端開口の中空円錐台状であり(図4(B)参照)、ピストン38と同軸的でかつシリンダ34の内壁面に接するようにストッパ64によりピストン38の底面に固定される構成である。また、キャップ62の下端部がシリンダ34低部と凹部36とで形成される段部に係合する位置がピストン38の初期位置とされている。 【0062】プリテンショナ機構60を備えたウェビング巻取装置では、車両急減速時にガス供給装置46の作動によりピストン38がウェビング巻取方向に駆動される際には、キャップ62の円錐部を内側に窄まるように変形させながらピストン38が移動するため、ピストン38の移動に伴う抵抗力は小さい。このため、ピストン38はスムーズに駆動されラック40及びピニオン32を介してスプールが強制的にウェビング巻取方向へ回転され、ウェビング26の緩みが除去されて乗員に緊密に装着される。 【0063】一方、プリテンショナ機構60作動後のエネルギ吸収時においては、ウェビング26に引張力が作用しスプール14を介してピニオン32が逆回転されると、キャップ62の円錐部を外側に拡げるように変形させながらピストン38がウェビング引出方向に移動する。このため、キャップ62下端部がシリンダ38内壁をかじり、キャップ62とシリンダ34の内壁との間でかじり抵抗力が発生しながらピストン38が初期位置まで移動される。これにより、トーションバー22の捩り荷重に加えてピストン38の移動に伴うかじり荷重がフォースリミッタ荷重として確実に作用する。スプール14がさらに回転されてピストン38が初期位置まで移動された後は、トーションバーの捩り荷重のみがフォースリミッタ荷重として作用する。 【0064】したがって、プリテンショナ機構60を備えたウェビング巻取装置では、上記の実施の形態に係るウェビング巻取装置と同様に図3に示すフォースリミッタ荷重特性を得ることができる。 【0065】また、ウェビング巻取装置10は、図5(A)に示すプリテンショナ機構70を備えた構成としても良い。 【0066】プリテンショナ機構70は、プリテンショナ機構30における一方向クラッチ50に代えて一方向クラッチ72を備えた構成である。一方向クラッチ72では、円板74にシリンダ34の内外を連通する小孔76が設けられている。 【0067】さらに、ウェビング巻取装置10は、図5(B)に示すプリテンショナ機構90を備えた構成としても良い。 【0068】プリテンショナ機構90は、プリテンショナ機構60におけるキャップ62に代えてキャップ92を備えた構成である。キャップ92には、シリンダ34の内外を連通する小孔94が設けられている。 【0069】プリテンショナ機構70またはプリテンショナ機構90を備えたウェビング巻取装置では、プリテンショナ機構作動後のエネルギ吸収時においては、ウェビング26に引張力が作用しスプール14を介してピニオン32が逆回転されると、シリンダ34内に残留するガスを小孔76または小孔94から確実に排出しながらピストン38が初期位置まで移動される。これにより、ピストン38が初期位置まで移動される間において、不安定な挙動を示すガスの圧縮に伴う荷重の影響を受けずに安定したフォースリミッタ荷重を得ることができる。 【0070】したがって、プリテンショナ機構70またはプリテンショナ機構90を備えたウェビング巻取装置では、第一次のエネルギ吸収の際に確実に一定のフォースリミッタ荷重を作用させることができる。 【0071】なお、上記の実施の形態では、小孔76または小孔94が抵抗手段を構成する一方向クラッチ72またはキャップ92に設けられた構成としたが、小孔がシリンダ34に設けられた構成としても良い。 【0072】また、上記実施の形態に係るウェビング巻取装置10は、エアバッグ装置を備えた車両に適用することができる。 【0073】この車両では、エアバッグと乗員との接触直前に、ピニオン32とラック40との噛合いを解除する構成とすることができる。これにより、乗員とエアバッグとが接触する際には、一方向クラッチ50若しくは72、または、キャップ62若しくは92による抵抗荷重の分だけフォースリミッタ荷重が低減される。したがって、エアバッグと乗員との接触前においては、大きなフォースリミッタ荷重を付加してスプール14の回転量当りのエネルギ吸収量を大きくすることでウェビング引出量(乗員の移動量)を抑えることができる。一方、エアバッグと乗員との接触後は、フォースリミッタ荷重が低減されているため、乗員に作用する総荷重が低減され、乗員の傷害の程度を軽減することができる。 【0074】なお、この場合、抵抗手段により付加される荷重の大きさを調整することによって、エアバッグと乗員との接触時期が予め設定することができる。 【0075】このように、上記実施の形態に係るウェビング巻取装置10を適用し、エアバッグ装置を備えた車両は、乗員に作用する荷重を低減することができる。 【0076】 【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係るウェビング巻取装置は、簡単かつコンパクトな構造で、ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収する際に、エネルギ吸収の初期には大きなフォースリミッタ荷重を付加し、所定のエネルギ吸収後は小さなフォースリミッタ荷重を付加することができるという優れた効果を有する。 【0077】さらに、本発明に係る車両は、上記のウェビング巻取装置及びエアバッグ装置を備え、乗員に作用する荷重を減じることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003551 【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
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| 【出願日】 |
平成12年3月21日(2000.3.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−260812(P2001−260812A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月26日(2001.9.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−78408(P2000−78408) |
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