| 【発明の名称】 |
車両の乗員保護装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】桃原 茂郎
【氏名】前田 浩行
【氏名】高畠 理
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| 【要約】 |
【課題】乗員と車体側部内面との間に展開する乗員拘束手段の作動を、車両が横転する際の車室内の乗員の挙動に応じて的確に制御する。
【解決手段】車両のロール角θおよびロール角速度ωをパラメータとする二次元マップ上に敷居値ラインSを設定し、車両の実際のロール角θおよびロール角速度ωの履歴ラインが前記敷居値ラインSを原点側の非横転領域から反原点側の横転領域に横切ったとき(時刻t1)に車両が横転する可能性が有ると判定してインフレータブルカーテンを展開する。このとき、乗員の頭部と車体側部内面との距離Dが敷居値Dmin未満であればインフレータブルカーテンの展開を禁止し、該インフレータブルカーテンと乗員の頭部との干渉を防止する。図8では、T1の期間に距離Dが敷居値Dmin以上になってインフレータブルカーテンの展開が許可されるため、時刻t2にインフレータブルカーテンが展開する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両のロール角(θ)およびロール角速度(ω)をパラメータとする二次元マップ上に敷居値ライン(S)を設定し、車両の実際のロール角(θ)およびロール角速度(ω)の履歴ラインが前記敷居値ライン(S)の原点側の非横転領域から反原点側の横転領域に横切ったときに車両が横転する可能性が有ると判定し、乗員と車体側部内面との間に乗員拘束手段(10)を展開させる車両の乗員保護装置であって、車両の横転に伴う車室内の乗員の車体左右方向の挙動に応じて前記乗員拘束手段(10)の展開タイミングを制御することを特徴とする車両の乗員保護装置。 【請求項2】 前記乗員の挙動が、乗員と車体側部内面との距離(D)であることを特徴とする、請求項1に記載の車両の乗員保護装置。 【請求項3】 前記乗員の挙動が、乗員と車体側部内面との相対速度(V)であることを特徴とする、請求項1に記載の車両の乗員保護装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両のロール角およびロール角速度に基づいて該車両が横転する可能性の有無を判定し、横転可能性が有ると判定されたときに乗員拘束手段を作動させる車両の乗員保護装置に関する。 【0002】 【従来の技術】車両のロール角およびロール角速度をパラメータとする二次元マップ上で、ロール角およびロール角速度が大きいところ(原点から離れた領域)に横転領域を設定するとともに、ロール角およびロール角速度が小さいところ(原点を含む領域)に非横転領域を設定し、センサで検出した実際のロール角およびロール角速度をマップ上にプロットした履歴ラインが前記非横転領域から前記横転領域に入ったとき、車両が横転する可能性が有ると判定してアクティブロールバーを起立させるものが、特開平7−164985号公報により公知である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、車両が小さいロール角速度でゆっくりと横転する場合には、乗員は重力でドアガラス側に移動し、逆に車両が大きいロール角速度で急激に横転する場合には、乗員は慣性で車室側に取り残されてドアガラスとの距離が増加する。エアカーテンのように乗員とドアガラスとの間に展開する乗員拘束手段を用いた場合、乗員がドアガラスに接近した状態で乗員拘束手段が作動すると、その乗員拘束手段が展開する際に乗員と干渉して充分な効果を発揮できなくなる可能性がある。 【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、乗員と車体側部内面との間に展開する乗員拘束手段の作動を、車両が横転する際の車室内の乗員の挙動に応じて的確に制御することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両のロール角およびロール角速度をパラメータとする二次元マップ上に敷居値ラインを設定し、車両の実際のロール角およびロール角速度の履歴ラインが前記敷居値ラインの原点側の非横転領域から反原点側の横転領域に横切ったときに車両が横転する可能性が有ると判定し、乗員と車体側部内面との間に乗員拘束手段を展開させる車両の乗員保護装置であって、車両の横転に伴う車室内の乗員の車体左右方向の挙動に応じて前記乗員拘束手段の展開タイミングを制御することを特徴とする車両の乗員保護装置が提案される。 【0006】上記構成によれば、車両の横転に伴って乗員が車体側部内面側に移動するか車体中央部側に移動するかに応じて乗員拘束手段の展開タイミングを制御するので、乗員拘束手段が乗員と車体側部内面との間に展開する際に乗員と干渉して充分な効果を発揮できなくなる事態を回避することができる。 【0007】また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記乗員の挙動が、乗員と車体側部内面との距離であることを特徴とする車両の乗員保護装置が提案される。 【0008】上記構成によれば、乗員と車体側部内面との距離に応じて乗員拘束手段の展開タイミングを制御するので、乗員拘束手段が展開する際に乗員と干渉するのを確実に防止することができる。 【0009】また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記乗員の挙動が、乗員と車体側部内面との相対速度であることを特徴とする車両の乗員保護装置が提案される。 【0010】上記構成によれば、乗員と車体側部内面との相対速度に応じて乗員拘束手段の展開タイミングを制御するので、乗員拘束手段が展開する際に乗員と干渉するのを確実に防止することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 【0012】図1〜図9は本発明の第1実施例を示すもので、図1は車両の横転の種類を示す図、図2はロール角θおよびロール角速度ωと車両の横転可能性との関係を説明する図、図3は車両の横転可能性の有無を判定するためのマップ、図4はエアカーテンの制御系のブロック図、図5は横加速度Gyからロール角θの初期値θiを算出する手法の説明図、図6は履歴ラインが横転領域にあるか非横転領域にあるかを判定する手法を示す図、図7は作用を説明するフローチャート、図8は車両が横転に至る過程での乗員の頭部の移動軌跡を示す図、図9は車両のロール角速度ωと乗員の挙動との関係を示す図である。 【0013】図1は車両の横転の種類を原因別に分類して示すものである。車両の横転の種類は、横転に至る過程における車両挙動に応じて「単純回転」、「単純回転+横滑り速度」および「発散」に分類され、「単純回転」型の横転は、更に「フリップオーバー」、「クライムオーバー」および「フォールオーバー」に細分類される。「単純回転+横滑り速度」型の横転の代表的なものは「トリップオーバー」と呼ばれ、また「発散」型の横転の代表的なものは「ターンオーバー」と呼ばれる。 【0014】「フリップオーバー」は、車両の左右一方の車輪が障害物に乗り上げて発生する横転である。「クライムオーバー」は、底部を障害物に乗り上げてタイヤが路面から浮き上がった車両が側方に倒れて発生する横転である。「フォールオーバー」は、車両の左右一方の車輪が路肩を踏み外して落下する横転である。「トリップオーバー」は、車両が横滑りして左右一方のタイヤが縁石等に衝突したときに、この縁石を支点とするロールモーメントにより発生する横転である。「ターンオーバー」は、ダブルレーンチェンジやトリプルレーンチェンジを行うべく、あるいはS字路を通過すべくステアリングホイールを左右に交互に操作したような場合に、そのステアリングホイールの操作の周波数が車両のサスペンションの固有振動の周波数に接近していると、車両のロール角が共振により発散して発生する横転である。 【0015】図2は車両の横転可能性を判定するための二次元マップの一部(第1象限)を示すもので、縦軸のロール角θは正値(原点の上側)が右ロール角に対応し、横軸のロール角速度ωは正値(原点の右側)が右ロール角速度に対応する。この二次元マップには右下がりの直線よりなる敷居値ラインSが設定されており、敷居値ラインSの原点側、つまりロール角θおよびロール角速度ωが小さい領域が非横転領域とされ、敷居値ラインSの反原点側、つまりロール角θおよびロール角速度ωが大きい領域が横転領域とされる。そして車両の実際のロール角θおよびロール角速度ωの履歴ラインH1〜H3が敷居値ラインSを原点側の非横転領域から反原点側の横転領域に横切ると、車両の横転可能性が有ると判定される。 【0016】履歴ラインH1は、ロール角θおよびロール角速度ωが共に0の状態(原点)から、ロール角速度ωをほぼ0に保持したままロール角θだけをゆっくりと増加させた場合であり、敷居値ラインSが縦軸と交わる切片であるa点においてロール角θが臨界ロール角θCRTに達したときに車両の横転可能性が有ると判定される。このときローリングの支点となるロール方向外側のタイヤを通る鉛直線上に車両の重心位置CGがあり、この状態が車両の横転についての静的な安定限界となる。臨界ロール角θCRTの値は車両の形状や積載状態によって異なるが、一般的に50°程度である。 【0017】尚、ロール角θが0であっても、大きいロール角速度ωが作用していれば車両が横転する可能性がある。このときのロール角速度ωを臨界ロール角速度ωCRTとする。 【0018】車両がロール角θの方向と同方向のロール角速度ωを持つ場合には、このロール角速度ωによって横転が助長されるため、ロール角θが臨界ロール角θCRTより小さい状態であっても横転が発生することになる。例えば、ロール角θおよびロール角速度ωの履歴ラインがH2で示される場合、履歴ラインH2が敷居値ラインSを原点側から反原点側に横切るb点において車両の横転可能性が有ると判定される。このときのロール角θは前記臨界ロール角θCRTよりも小さい値となる。 【0019】またロール角θおよびロール角速度ωの履歴ラインがH3で示される場合には、正値のロール角速度ωが速やかに増加から減少に転じ、更に負値へと移行するために履歴ラインH3が敷居値ラインSを横切ることがなく、従って車両の横転可能性が無いと判定される。 【0020】図3は車両の横転可能性を判定するための二次元マップの全体を示すものである。2本の敷居値ラインS,Sは第1象限および第3象限に設定されており、それらの敷居値ラインS,Sは初期状態において原点を中心とする点対称である。ロール角θが正でロール角速度ωが負である第2象限と、ロール角θが負でロール角速度ωが正である第4象限とに横転領域が設定されていないのは、ロール角θの方向と逆方向のロール角速度ωが発生している状態では車両の横転が発生しないからである。 【0021】図3には、図1で説明した種々の横転の種類に対応するロール角θおよびロール角速度ωの履歴ラインH4〜H8が示される。 【0022】履歴ラインH4は、「フリップオーバー」、「クライムオーバー」、「フォールオーバー」等の「単純回転」型の横転に対応するもので、ロール角θの絶対値およびロール角速度ωの絶対値が単純に増加して横転に至っている。 【0023】履歴ラインH5は、「トリップオーバー」と呼ばれる「単純回転+横滑り速度」型の横転に対応するもので、車両が横滑りする過程でタイヤが縁石等に衝突して発生するロールモーメントによりロール角速度ωが急激に増加して横転に至っている。 【0024】履歴ラインH6,H7は、「ターンオーバー」と呼ばれる「発散」型の横転に対応するものである。履歴ラインH6はダブルレーンチェンジでの横転を示すもので、最初のレーンチェンジで右にロールした車両が次のレーンチェンジで左にロールする過程でロール角θの絶対値が発散し、第3象限の敷居値ラインSを越えて横転に至っている。履歴ラインH7はトリプルレーンチェンジでの横転を示すもので、最初のレーンチェンジで右にロールした車両が次のレーンチェンジで左にロールし、続くレーンチェンジで再度右にロールする過程でロール角θの絶対値が発散し、第1象限の敷居値ラインSを越えて横転に至っている。 【0025】履歴ラインH8は、敷居値ラインSを越える前にロール角θが原点に向かって収束するので、この場合には車両が横転に至ることはない。 【0026】図4は、車両の横転時に乗員の頭部を保護するエアカーテン10を車室の内側面に沿って展開するための制御系の一例を示すものである。 【0027】車両の横転可能性の有無を判定し、かつエアカーテン10の作動の適否を判定すべく、電子制御ユニットUには、車体左右方向の加速度である横加速度Gyを検出する横加速度センサ15からの信号と、車両のロール角速度ωを検出するロール角速度センサ16からの信号と、車室内における乗員の頭部の左右方向の位置(具体的には、乗員の頭部とルーフライニングやドアガラス等の車体側部内面との左右方向の距離D)を検出する乗員位置センサ17からの信号とが入力される。乗員位置センサ17は赤外線センサやテレビカメラから構成される。 【0028】図4および図5に示すように、車体に固定した横加速度センサ15はイグニッションスイッチをONしたときの横加速度Gyを出力する。イグニッションスイッチをONしたとき車両は停止状態にあるため、車両の旋回に伴う遠心力に起因する横加速度を検出することなく、重力加速度G=1の車体左右方向の成分だけを横加速度Gyとして検出する。従って、前記横加速度Gyを用いて、車両のロール角θの初期値θiを、θi=sin -1Gyにより算出することができる。 【0029】以上のようにしてイグニッションスイッチをONしたときの横加速度センサ15の出力に基づいて車両のロール角θの初期値θiが算出されると、この初期値θiにロール角θの変動分を加算することにより車両のロール角θが算出される。即ち、イグニッションスイッチをONした時点から、ロール角速度センサ16が出力するロール角速度ωの積分値∫ωdtをロール角θの変動分として前記初期値θiに加算することにより、車両のロール角θが算出される。 【0030】横加速度センサ15は、車両の自由落下時には横加速度Gyを検出できず、また車両の旋回に伴う遠心力に起因する横加速度を、重力加速度Gの車体左右方向の成分である横加速度Gyと識別できずに誤検出してしまうというデメリットを持つが、この横加速度センサ15が出力する横加速度GyをイグニッションスイッチをONした時点での車両のロール角θの初期値θiの算出にだけ使用し、その後の車両のロール角θの算出にはロール角速度センサ16が出力するロール角速度ωの積分値∫ωdtを使用することにより、上記デメリットを解消して正確なロール角θを算出することができる。 【0031】而して、上述のようにして算出した車両のロール角θと、ロール角速度センサ16が出力するロール角速度ωとが成す座標点の軌跡である履歴ラインを図6に示すマップ上に描き、その履歴ラインが敷居値ラインS,Sを原点側から反原点側に横切ったときに、車両が横転する可能性が有ると判定される。 【0032】ところで、図9(A)に示すように、ロール角速度ωの絶対値|ω|が小さいために車両がゆっくりと横転する場合には、乗員が重力で車体側部内面に接近して前記距離Dが減少する。また図9(B)に示すように、ロール角速度ωの絶対値|ω|が大きいために車両が急激に横転する場合には、乗員が慣性で元の位置に取り残されるために前記距離Dが一時的に増加する。従って、ダブルレーンチェンジのようなステアリングホイールを左右に操作する運転を行った場合には、乗員の頭部と車体側部内面との距離Dは時間の経過に応じて変動する。 【0033】以上のことから、車両のロール角θおよびロール角速度ωに基づいて車両の横転可能性が判定される一方、乗員位置センサ17の出力に基づいて乗員の頭部と車体側部内面との距離Dが算出される。そして横転可能性有りの判定がなされ、かつ前記距離Dが予め設定した敷居値Dmin以上である場合に、エアカーテン10の作動が許可される。 【0034】上記作用を、図6および図7に基づいて更に説明する。 【0035】先ず、ステップS1で横加速度Gyおよびロール角速度ωを読み込み、ステップS2で横加速度Gyに応じてマップ上の敷居値ラインS,Sを確定する。敷居値ラインS,Sは、マップの縦軸の切片である臨界ロール角θCRTと横軸の切片である臨界ロール角速度ωCRTとが決まれば確定する。本実施例では横加速度Gyによって車両の横転が助長されるときには、臨界ロール角θCRTおよび臨界ロール角速度ωCRTが共に減少して敷居値ラインS,Sが原点に近づく方向に移動し、横加速度Gyによって車両の横転が抑制されるときには、臨界ロール角θCRTおよび臨界ロール角速度ωCRTが共に増加して敷居値ラインS,Sが原点から遠ざかる方向に移動する。これにより、車両の横加速度Gyに応じた適切な横転領域および非横転領域を設定することができる。 【0036】尚、第1象限の敷居値ラインSが原点から遠ざかる方向に移動するときには第3象限の敷居値ラインSは原点に近づく方向に移動し、第1象限の敷居値ラインSが原点に近づく方向に移動するときには第3象限の敷居値ラインSは原点から遠ざかる方向に移動する。 【0037】臨界ロール角θCRTおよび臨界ロール角速度ωCRTが決まると、敷居値ラインS,Sの方程式は、θ=−(θCRT/ωCRT)ω±θCRTで与えられる(図3参照)。 【0038】続いて、現在のロール角θ1およびロール角速度ω1の成す座標点Pが横転領域にあるか非横転領域にあるかを判定する。即ち、ステップS3で、上記敷居値ラインSの方程式のωに現在のロール角速度ω1の値を代入して判定値θ2を算出する。判定値θ2は直線ω=ω1と敷居値ラインSとの交点Qのθ座標である。続くステップS4で、判定値θ2と現在のロール角θ1とを比較し、|θ2|<|θ1|が成立していれば、ステップS5で現在のロール角θ1およびロール角速度ω1の成す座標点Pが横転領域にあると判定される。図6には、座標点Pが横転領域にある場合(|θ2|<|θ1|)が示されている。 【0039】続くステップS6で、乗員位置センサ17で検出した乗員の頭部の左右方向位置から、乗員の頭部とルーフライニングやドアガラス等の車体側部内面との左右方向の距離Dを算出し、この距離Dを予め設定した敷居値Dminと比較する。前記敷居値Dminは、エアカーテン10を展開しても、そのエアカーテン10が乗員の頭部と干渉しないための最小距離として設定される。 【0040】このように、ステップS5で現在のロール角θ1およびロール角速度ω1の成す座標点Pが横転領域にあり、かつステップS6で乗員の頭部と車体側部内面との距離Dが敷居値Dmin以上であれば、ステップS7でエアカーテン10を展開させて車両の横転時に乗員の頭部を拘束する。一方、前記ステップS4で、|θ2|<|θ1|が成立しなければ、ステップS9で現在のロール角θ1およびロール角速度ω1の成す座標点Pが非横転領域にあると判定し、エアカーテン10を不作動とする。また前記ステップS5で座標点Pが横転領域にあると判定されても、ステップS6で乗員の頭部と車体側部内面との距離Dが敷居値Dmin未満であれば、エアカーテン10を不作動とし、エアカーテン10と乗員の頭部との干渉を回避する。 【0041】図8には、乗員の頭部と車体側部内面との距離Dの時間的変化の具体例が示される。 【0042】時刻t1に履歴ラインが横転領域に入って車両の横転可能性有りの判定がなされたとき、乗員の頭部と車体側部内面との距離Dが敷居値Dmin未満であるため、乗員の頭部との干渉を回避すべくエアカーテン10の展開が禁止される。その後、距離Dが増加に転じて時刻t2に敷居値Dmin以上になるとエアカーテン10の展開が許可され、時刻t3に距離Dが敷居値Dmin未満になるとエアカーテン10の展開が再度禁止される。従って、図8の例では、時刻t2から時刻t3までの領域T1がエアカーテン10の展開が許可される時間となり、領域T1の始まりの時刻t2には履歴ラインが既に横転領域に入っているため、前記時刻t2にエアカーテン10が実際に展開することになる。 【0043】尚、領域T1の中間部で履歴ラインが横転領域に入れば、その時点でエアカーテン10が展開することになる。 【0044】次に、図10に基づいて本発明の第2実施例を説明する。 【0045】前記第1実施例では、乗員の頭部と車体側部内面との距離Dに基づいてエアカーテン10の展開の可否を判定しているが、第2実施例では、乗員の頭部と車体側部内面との左右方向の相対速度Vに基づいてエアカーテン10の展開の可否を判定している。 【0046】図10において、実線は車体側部内面の車体外側方向への移動速度を示し、破線は乗員の頭部の車体外側方向への移動速度を示しており、従って、実線が破線の上にあるT1,T2,T3の領域では、乗員の頭部は車体側部内面から離れる方向(車体内側方向)の相対速度Vを持つことになる。そして乗員の頭部が車体側部内面から離れる前記T1,T2,T3の領域でエアカーテン10の展開を許可すれば、エアカーテン10が乗員の頭部と干渉するのを回避することができる。図10の第2実施例では、前記領域T1に含まれる時刻t1に履歴ラインが横転領域に入るため、その時点でエアカーテン10が展開することになる。仮に、領域T1および領域T2の間で履歴ラインが横転領域に入れば、領域T2の始まりと同時にエアカーテン10が展開することになる。 【0047】尚、乗員の頭部と車体側部内面との相対速度Vは、乗員位置センサ17で検出した乗員の頭部の位置の時間微分により算出することができる。 【0048】以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。 【0049】例えば、本発明の乗員拘束手段はエアカーテン10に限定されず、ドアガラスの内面に沿って円筒状のバッグを展開する、所謂エアチューブも含まれるものとする。また車両のロール角θの初期値θiを、重力加速度Gの車体上下方向の成分である上下加速度Gzを用いて、θi=cos -1Gzにより算出することができる。また乗員および車体側部内面の距離Dと、乗員および車体側部内面の相対速度Vとを両方とも考慮してエアカーテン10の展開タイミングを制御することもできる。 【0050】 【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明によれば、車両の横転に伴って乗員が車体側部内面側に移動するか車体中央部側に移動するかに応じて乗員拘束手段の展開タイミングを制御するので、乗員拘束手段が乗員と車体側部内面との間に展開する際に乗員と干渉して充分な効果を発揮できなくなる事態を回避することができる。 【0051】また請求項2に記載された発明によれば、乗員と車体側部内面との距離に応じて乗員拘束手段の展開タイミングを制御するので、乗員拘束手段が展開する際に乗員と干渉するのを確実に防止することができる。 【0052】また請求項3に記載された発明によれば、乗員と車体側部内面との相対速度に応じて乗員拘束手段の展開タイミングを制御するので、乗員拘束手段が展開する際に乗員と干渉するのを確実に防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月22日(2000.3.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071870 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−260802(P2001−260802A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月26日(2001.9.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−80892(P2000−80892) |
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