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【発明の名称】 車両の水没検出装置
【発明者】 【氏名】三宅 良治

【要約】 【課題】安価かつ簡単な構成で水没したことを検出可能な車両の水没検出装置を提供する。

【解決手段】水没検知部21は、パワーウインド制御部の電子回路が搭載された回路基板等に設けられ、この回路基板に、車両の水没時に浸水するように設けられた長円形状の孔部25と、この孔部25を挟んで対向して設けられた導電パターン26,27とを有して構成される。導電パターン26,27の端部の孔部25に近接した部分は、導電部が露出した導電パッド26a,27aとなっており、水没時に孔部25が浸水すると導電パターン26,27が導通する。導電パターン26,27の一方はグランドの配線パターンに接続され、他方は導電パターン26,27が導通したときに水没検出信号を出力する検出信号出力回路に接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両における電子回路を搭載した基板に、当該車両の水没時に浸水するように設けられた孔部と、前記孔部を挟んで対向して配設された第1及び第2の導電パターンと、前記第1及び第2の導電パターンのいずれか一方に接続され、これらの二つの導電パターンの導通によって水没検出信号を出力する検出出力手段と、を有することを特徴とする車両の水没検出装置。
【請求項2】 前記検出出力手段は、前記二つの導電パターンの導通時にオン状態となる半導体スイッチ素子を有して構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両の水没検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両が水没したことを検出する車両の水没検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車等の車両においては、モータ等により窓ガラスを開閉するパワーウインド機構が一般的に搭載されている。このようなパワーウインド機構を搭載した車両の場合、不慮の事故などにより海や湖等に水没したときにそなえて、水没時には窓ガラスを自動的に開放したり、手動操作で確実に開放可能なようにすることにより、搭乗者が車外へ容易に脱出できるようにする水没対応手段を設けることが種々検討されている。
【0003】このような水没対応手段としては、水没状態を検出する水没検出手段、動作制御を行う制御回路、窓ガラスを開閉駆動するモータ等に駆動電力を供給する駆動回路を有し、水没したことを検出して窓ガラスを強制的に開放したり、緊急時のバックアップ回路を動作させて窓ガラスを確実に開放可能にするような構成が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような水没対応手段において、水没したことを検出する技術は未だ十分に確立されておらず、水没検出用として従来では発光器と受光器を有し光学的に浸水を検出する特殊なセンサ装置を用いるなどしていた。しかしながら、このような特殊なセンサ装置を用いる場合は、水没対応手段にかかるコストが大幅に上昇したり、大きな配設スペースが必要になるなどの問題点が生じる。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、安価かつ簡単な構成で水没したことを検出可能な車両の水没検出装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による車両の水没検出装置は、車両における電子回路を搭載した基板に、当該車両の水没時に浸水するように設けられた孔部と、前記孔部を挟んで対向して配設された第1及び第2の導電パターンと、前記第1及び第2の導電パターンのいずれか一方に接続され、これらの二つの導電パターンの導通によって水没検出信号を出力する検出出力手段と、を有するものである。
【0007】また、好ましくは、前記検出出力手段は、前記二つの導電パターンの導通時にオン状態となる半導体スイッチ素子を有して構成されるものとする。
【0008】上記構成において、車両が水没したときには、孔部に水が浸入し、孔部を挟んで対向する第1及び第2の導電パターンが導通状態となる。この導電パターンの導通によって、検出出力手段より水没検出信号が出力される。例えば、導電パターンの導通時に検出出力手段において半導体スイッチ素子がオン状態となり、半導体スイッチ素子からの出力が水没検出信号として送出される。これにより、回路基板に孔部と導電パターンとを設けるだけの簡単でしかも安価な構成によって、車両が水没したことを検出可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る水没検出装置を含む車両のパワーウインド制御部の構成を示すブロック図、図2は本実施形態に係る水没検知部の構成を示す説明図である。本実施形態では、水没検出装置を車両のドア部におけるパワーウインド制御ユニットの内部又は近傍に設けた構成例を示す。
【0010】パワーウインド制御部には、操作スイッチ11、制御用プロセッサ等を含む制御回路12、水没時に動作するバックアップ回路13、リレー等を含む切換回路14が設けられている。通常時は、搭乗者が操作スイッチ12を指示操作することによって、指示信号が制御回路12に入力される。制御回路12は、前記指示信号又は他の入力信号に基づいてウインドガラス15を駆動するための制御信号を切換回路14に出力する。切換回路14は、バッテリ電圧VBを基にした駆動電力を切り換えて適宜駆動用モータ16に供給する。この駆動電力により、駆動用モータ16が回転し、ウインドガラス15が上昇又は下降して開閉するようになっている。
【0011】また、パワーウインド制御部には、水没状態を検知するための水没検知部21と、水没検知部21において水没状態が検知されたときに水没検出信号WSを出力する検出出力手段に該当する検出信号出力回路22とが設けられている。水没検知部21は、詳しくは後述するが、車両の水没時に2つの端子間が導通状態となる構成であり、第1端子がグランドに第2端子が検出信号出力回路22にそれぞれ接続されている。検出信号出力回路22は、半導体スイッチ素子としてのトランジスタTR1を有して構成されており、トランジスタTR1のベースが水没検知部21の第2端子と接続され、エミッタには制御系電源電圧VLが供給され、コレクタはダイオードD1,D2を介して制御回路12及びバックアップ回路13と接続されている。
【0012】水没検知部21は、パワーウインド制御部の電子回路が搭載された回路基板、又は別体の回路基板に設けられている。図2に示すように、水没検知部21は、回路基板に形成された長円形状の孔部25と、この孔部25を挟んで対向して設けられた導電パターン26,27とを有して構成される。導電パターン26,27における孔部25に近接した端部は、絶縁保護用のレジスト層を設けずに半田メッキ等を施して導電部を露出させた導電パッド26a,27aが形成されている。導電パターン26,27の端部以外の部分は、絶縁保護用のレジスト層が設けられた絶縁パターン26b,27bとなっている。そして、導電パターン26,27の一方がグランドの配線パターンに接続され、他方が検出信号出力回路22に接続されている。なお、孔部25や導電パターン26,27の形状は図示した例に限定されるものではなく、同様の作用が得られるものであれば種々変形した形状を用いることができる。
【0013】次に、本実施形態における動作を説明する。車両が水没したときには、車内に淡水や塩水などの水が浸入していって水没検知部21が浸水する。そして、浸入した水によって水没検知部21の孔部25が塞がれ、導電パターン26,27の間にリーク電流が流れて導通状態となる。導電パターン26,27の導通によって、検出信号出力回路22のトランジスタTR1のベース電位がグランドレベルに近いローレベルとなり、トランジスタTR1がオンする。これにより、トランジスタTR1のオン電流が水没検出信号WSとしてダイオードD1,D2を介して制御回路12及びバックアップ回路13に送出される。
【0014】制御回路12は、水没検出信号WSを受けると水没時の非常動作を行う。例えば、ウインドガラス15を下降方向に駆動するように切換回路14を制御し、ウインドガラス15を自動的に開放して搭乗者が脱出可能なようにする。なお、バックアップ回路13及び切換回路14は、防水コーティング等により防水処理が施され、水没状態となっても少なくとも数分間は動作するように構成されている。すなわち、制御回路12が水没により動作不能となってもバックアップ回路13の動作によってウインドガラス15の駆動が可能となっている。例えば、水没状態となっても、搭乗者が操作スイッチ11を操作することにより、バックアップ回路13によって切換回路14が作動してウインドガラス15を下降させることができるようにする。
【0015】このように、本実施形態によれば、回路基板に孔部と導電パターンとを設けるだけの簡単でしかも安価な構成によって、車両が水没したことを検出することが可能となる。また、光学的に浸水を検出する特殊なセンサ装置などを設ける必要がなく、少ない配設スペース及び低コストで水没状態を検出できるため、水没対応手段を安価かつ容易に配設可能である。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車両における電子回路を搭載した基板に、当該車両の水没時に浸水するように設けられた孔部と、この孔部を挟んで対向して配設された第1及び第2の導電パターンと、第1及び第2の導電パターンのいずれか一方に接続されこれらの二つの導電パターンの導通によって水没検出信号を出力する検出出力手段とを備えることによって、安価かつ簡単な構成で水没したことを検出可能な車両の水没検出装置を提供できる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
【出願日】 平成11年6月24日(1999.6.24)
【代理人】 【識別番号】100073874
【弁理士】
【氏名又は名称】萩野 平 (外4名)
【公開番号】 特開2001−10425(P2001−10425A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−178651