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【発明の名称】 車両の前部車体構造
【発明者】 【氏名】近藤 和真

【氏名】中前 隆行

【氏名】小林 泰知

【要約】 【課題】バンパの下部に前方へ突出してその先端が車幅方向に延びる突出部材を設け、この突出部材で前方向から作用する荷重を受け止める一方、下方から上方への荷重に対しては突出部材を上方に移動させるように構成することで、車両と歩行者との衝突時に上述の突出部材で歩行者の膝よりも下部にて歩行者の足を払い、歩行者を確実にボンネットに乗せて、二次障害を防止すると共に、突出部材が路面側の部材と干渉した際には該突出部材を上方へ移動させて、突出部材の破損、損傷を防止することができ、さらに構造が簡単かつ誤動作のない車両の前部車体構造の提供を目的とする。

【解決手段】前方に延びるボンネット1の前方下部にバンパ9を備えた車両の前部車体構造であって、上記バンパ9の下部に前方へ突出してその先端が車幅方向に延びる突出部材12を設け、上記突出部材12は前方向から作用する荷重を受け止める一方、下方から上方への荷重に対しては上方に移動可能に構成されたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】前方に延びるボンネットの前方下部にバンパを備えた車両の前部車体構造であって、上記バンパの下部に前方へ突出してその先端が車幅方向に延びる突出部材を設け、上記突出部材は前方向から作用する荷重を受け止める一方、下方から上方への荷重に対しては上方に移動可能に構成された車両の前部車体構造。
【請求項2】上記突出部材の後部を車体の横方向に延びる強度部材に支持させた請求項1記載の車体の前部車体構造。
【請求項3】上記突出部材には該突出部材を上下動可能に支持する支持手段が設けられ、上記支持手段の位置は、突出部材に対して前方向から荷重が作用する位置より上方位置に設定された請求項1または2記載の車体の前部車体構造。
【請求項4】上記突出部材は樹脂部材で形成され、該突出部材の後側上部に形成された支持部が車体側強度部材に支持された請求項1または2記載の車体の前部車体構造。
【請求項5】樹脂製のバンパフェースを設けると共に、上記突出部材の前端部を上記バンパフェースに取付けた請求項1,2または4記載の車体の前部車体構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両と歩行者との衝突時において歩行者の安全を図るような車両の前部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、前方に延びるボンネットの前方下部にバンパを備えた車両の前部車体構造としては、例えば特開平11−1149号公報に記載の構造がある。すなわち、バンパフェース、衝撃吸収材としての発泡材、バンパレインフォースメントを有するバンパを備えた一般的な構造である。この場合、該車両と歩行者とが衝突すると、歩行者が障害を受ける問題点があった。
【0003】このような問題点を解決するために特開平6−72284号公報に記載の車両のエアバッグ装置が既に発明されている。この装置は、フロントバンパにエアバッグを格納する一方、歩行者等の車両前方障害物を検知するセンサ(超音波センサ)を設け、このセンサと車両走行状態検出手段との両出力に基づいて車両と歩行者との衝突を予測し、この衝突予測時にフロントバンパ内のエアバッグを車両進行方向に展開し、歩行者と車両との直接接触を防止して、歩行者の安全を図るものである。
【0004】この従来装置においては、歩行者の安全を図ることができる利点がある反面、センサ等の障害物検知手段およびエアバッグが必要となり、その構造が複雑化するうえ、誤動作の懸念もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の請求項1記載の発明は、バンパの下部に前方へ突出してその先端が車幅方向に延びる突出部材を設け、この突出部材で前方向から作用する荷重を受け止める一方、下方から上方への荷重に対しては突出部材を上方に移動させるように構成することで、車両と歩行者との衝突時に上述の突出部材で歩行者の膝よりも下部にて歩行者の足を払い、歩行者を確実にボンネットに乗せて、二次障害を防止すると共に、突出部材が路面側の部材と干渉した際には該突出部材を上方へ移動させて、突出部材の破損、損傷を防止することができ、さらに構造が簡単かつ誤動作のない車両の前部車体構造の提供を目的とする。
【0006】この発明の請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の目的と併せて、上述の突出部材の後部を車体の横方向(車幅方向)に伸びる強度部材に支持させることで、前方向から作用する荷重を確実に受け止めることができ、また突出部材の支持強度の向上を図ることができる車両の前部車体構造の提供を目的とする。
【0007】この発明の請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の目的と併せて、上述の突出部材を上下動可能に支持する支持手段を設け、この支持手段の高さ位置を特定することで、突出部材に対して下方から上方への荷重が入力した時、支持手段を支点として突出部材を円滑に上方へ回動させることができる車両の車両の前部車体構造の提供を目的とする。
【0008】この発明の請求項4記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の目的と併せて、上述の突出部材を樹脂部材で形成し、この突出部材の後側上部に形成された支持部を車体側強度部材に支持させることで、突出部材を樹脂により一体成形することができ、その車両への取付けの簡略化を図ることができ、下方から上方への荷重入力に対しては樹脂固有の弾性力にて突出部材を撓ませることができる車両の前部車体構造の提供を目的とする。
【0009】この発明の請求項5記載の発明は、上記請求項1,2または4記載の発明の目的と併せて、樹脂製のバンパフェースを設けると共に、上述の突出部材の前端部をバンパフェースに取付けることで、突出部材を両持ち支持し、その取付け姿勢の安定性を図って、予め設定した荷重特性に基づく機能を発揮させることができると共に、デザイン性の向上を図ることができる車両の前部車体構造の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1記載の発明は、前方に延びるボンネットの前方下部にバンパを備えた車両の前部車体構造であって、上記バンパの下部に前方へ突出してその先端が車幅方向に延びる突出部材を設け、上記突出部材は前方向から作用する荷重を受け止める一方、下方から上方への荷重に対しては上方に移動可能に構成された車両の前部車体構造であることを特徴とする。
【0011】この発明の請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成と併せて、上記突出部材の後部を車体の横方向に延びる強度部材に支持させた車体の前部車体構造であることを特徴とする。
【0012】この発明の請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の構成と併せて、上記突出部材には該突出部材を上下動可能に支持する支持手段が設けられ、上記支持手段の位置は、突出部材に対して前方向から荷重が作用する位置より上方位置に設定された車体の前部車体構造であることを特徴とする。
【0013】この発明の請求項4記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の構成と併せて、上記突出部材は樹脂部材で形成され、該突出部材の後側上部に形成された支持部が車体側強度部材に支持された車体の前部車体構造であることを特徴とする。
【0014】この発明の請求項5記載の発明は、上記請求項1,2または4記載の発明の構成と併せて、樹脂製のバンパフェースを設けると共に、上記突出部材の前端部を上記バンパフェースに取付けた車体の前部車体構造であることを特徴とする。
【0015】
【発明の作用及び効果】この発明の請求項1記載の発明によれば、バンパの下部に前方へ突出してその先端が車幅方向に延びる突出部材を設けて、この突出部材で前方向から作用する荷重を受け止めるように構成したので、車両と歩行者との衝突時に上述の突出部材で歩行者の膝よりも下部にて該歩行者の足を払い、歩行者を確実にボンネット上部に乗せて、二次障害を防止することができる効果がある。また上述の突出部材の強度設定(荷重特性の設定)により歩行者の脚部の安全を確保(骨折を与えない)することができる。
【0016】しかも、上述の突出部材は下方から上方への荷重に対しては上方に移動可能に構成したので、突出部材が路面又は路面側の部材と干渉した際には該突出部材が上方に移動して、この突出部材の破損、損傷を防止することができ、アプローチアングル(前オーバハング角)の関係上有利となり、さらに構造が簡単かつ誤動作もない効果がある。
【0017】この発明の請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果と併せて、上述の突出部材の後部を車体の横方向に延びる強度部材に支持させたので、この突出部材に前方向から作用する荷重を強度部材にて確実に受け止めることができ、また突出部材の支持強度の向上を図ることができる効果がある。
【0018】この発明の請求項3記載の発明によれば、上記請求項1または2記載の発明の効果と併せて、上述の突出部材を上下動可能に支持する支持手段を設け、この支持手段の位置を突出部材に対して前方向から荷重が作用する位置よりも上方位置に設定したので、突出部材に対して下方から上方への荷重が入力した時、上述の支持手段を支点として突出部材を円滑に上方へ回動させることができる効果がある。
【0019】この発明の請求項4記載の発明によれば、上記請求項1または2記載の発明の効果と併せて、上述の突出部材を樹脂部材で形成し、この突出部材の後側上部に形成された支持部を車体側強度部材に支持させたので、突出部材を樹脂により一体成形することができ、この突出部材の車両への取付けの簡略化を図ることができる効果があり、さらに突出部材に下方から上方への荷重が入力した時には、樹脂固有の弾性力にて突出部材を撓ませることができる効果がある。
【0020】この発明の請求項5記載の発明によれば、上記請求項1,2または3記載の発明の効果と併せて、樹脂製のバンパフェースを設け、上述の突出部材の前端部をバンパフェースに取付けたので、突出部材を両持ち支持させて、その取付け姿勢の安定性を図ることができる効果がある。また突出部材の取付け位置が安定するので、予め設定された荷重特性に基づく機能を発揮させることができると共に、デザイン性の向上を図ることができる効果がある。
【0021】
【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。図面は車両の前部車体構造を示し、図1において、車両の前後方向に延びるボンネット1を設け、このボンネット1でエンジンルームの上部を覆っている。
【0022】上述のボンネット1はボンネットレインフォースメント2を有し、このボンネット1の前端下部と樹脂製のバンパフェース3の上部との間にはラジエータグリル4を配設している。
【0023】一方、車両の前後方向に延びる車体フレームとしてのフロントサイドフレーム5を設け、このフロントサイドフレーム5の前端部にはバンパブラケット6を介してバンパレインフォースメント7を取付けている。
【0024】このバンパレインフォースメント7は車幅方向に延びる部材で、このバンパレインフォースメント7の前部にはエネルギ吸収部材8を取付けている。上述のエネルギ吸収部材8はバンパフェース3の内側後面部においてバンパフェース3の長手方向略全幅にわたって車幅方向に延びる部材であって、このエネルギ吸収部材8の取付け高さ位置は歩行者の膝の高さに相当する。
【0025】ここで、上述のバンパフェース3、バンパブラケット6、バンパレインフォースメント7、エネルギ吸収部材8によりフロントバンパ9が構成され、このフロントバンパ9は前方に延びるボンネット1の前方下部に位置する。
【0026】一方、車体の横方向に延びる強度部材としてのクロスメンバ10を設け、このクロスメンバ10にはラジエータシュラウドメンバ等のブラケット11を連結している。
【0027】上述のクロスメンバ10にその後端部が支持された突出部材12を設け、この突出部材12をフロントバンパ9の下部においてクロスメンバ10から前方へ向けて略水平状に突出すると共に、この突出部材12の前端部をバンパフェース3の下部に取付けている。上述の突出部材12はPP(ポリプロピレン)またはPE(ポリエチレン)等の合成樹脂により図2に示すように構成されている。
【0028】すなわち、上述の突出部材12は、左右前後の四辺を囲繞する枠部13,14,15,16と、左右の枠部13,14間に前後方向に所定間隔を隔てて設けられた横方向のリブ17と、枠部13〜16内においてスラント方向に延びる複数のリブ18,19と、前側の枠部15の下部から前方に向けて形成された複数の取付け片20…と、後側の枠部16の上部から上方に向けて形成された支持部としての支持片21…とを、上記樹脂により一体成形し、その平面から見た全体形状を略扇形に成した樹脂構造体(ハニカム構造体)である。この樹脂構造体は枠部13〜16やリブ17〜19の肉厚またはリブ密度、リブの方向によりその荷重特性を設定することができる。
【0029】このように構成した突出部材12は図3に拡大図で示すように、その後部に位置する支持片21を、ボルト22、ナット23によりクロスメンバ10の取り付け部10a…に取付け、前部に位置する取付け片20をボルト24、ナット25によりバンパフェース3の下部に取付けている。
【0030】而して、この樹脂構造体からなる突出部材12は、図3に矢印aで示す前方向から作用する荷重を受止める一方、同図に矢印bで示す下方から上方への荷重に対しては樹脂固有の弾性力により突出部材12の前側が図3に仮想線αで示すように上方に屈曲して移動できるように構成されている。
【0031】ここで、上述の突出部材12と前述のエネルギ吸収部材8の荷重特性は図4に示す如く設定されている。
【0032】図4は横軸に変形量(潰れ量)をとり、縦軸に荷重(動的潰れ荷重)をとって各部材12,8の荷重特性の差異を示す特性図で、エネルギ吸収部材8の荷重特性xは荷重(単位ニュートン)と変形量とが比例するように設定されており、突出部材12の荷重特性yは入力される荷重が零から所定荷重Naまでの間では変形量が僅少な値以内で漸増するが、入力荷重が所定荷重Naに達すると変形量が最大かつ一定になるように設定されている。
【0033】つまり突出部材12のエネルギ吸収量(特性y参照)がエネルギ吸収部材8のエネルギ吸収量(特性x参照)よりも大となるように設定されている。この実施例では上述のエネルギ吸収部材8としては発泡スチロール等のEAフォーム(エネルギ・アブソーバ・フォーム)を用いている。なお、図中、26は前輪である。また上述のバンパフェース3はその複数箇所がラジエータグリル4等の車両前部部材やフロントフェンダその他の車体側に取付けられる。
【0034】このように構成した車両の前部車体構造の作用について説明する。車両と歩行者との衝突時には、樹脂製のバンパフェース3を介して突出部材12に前方向からの荷重(矢印a参照)が入力される。この荷重は通常、図4に示す所定荷重Na未満であって、この前方向からの入力荷重はクロスメンバ10によりその後部が支持された突出部材12にて受け止められる。
【0035】このため、車両と歩行者との衝突時には、まず上述の突出部材12で歩行者の膝よりも下部において歩行者の足を払い、車両側に傾倒する歩行者の膝部の衝撃エネルギを車幅方向に延びるエネルギ吸収部材8で吸収した後に、歩行者を確実にボンネット1の上部に乗せて保護する。
【0036】一方、上述の突出部材12が路面または路面側の部材と干渉した場合には、樹脂構造体からなる突出部材12は図3に仮想線αで示すように樹脂固定の弾性力によりバンパフェースを伴ってその前方側が上方へ弯曲するように撓む。
【0037】このように図1〜図4に示す実施例(請求項1,2,4,5に相当する実施例)によれば、フロントバンパ9の下部に前方へ突出してその先端が車幅方向に延びる突出部材12を設けて、この突出部材12で前方向から作用する荷重(矢印a参照)を受け止めるように構成したので、車両と歩行者との衝突時に上述の突出部材12で歩行者の膝よりも下部にて該歩行者の足を払い、歩行者を確実にボンネット1上部に乗せて、二次障害を防止することができる効果がある。また上述の突出部材12の強度設定(荷重特性yの設定)により歩行者の脚部の安全を確保(骨折を与えない)することができる。
【0038】しかも、上述の突出部材12は下方から上方への荷重(矢印b参照)に対しては上方に移動可能に構成したので、突出部材12が路面又は路面側の部材と干渉した際には該突出部材12が上方に移動して、この突出部材12の破損、損傷を防止することができ、アプローチアングル(前オーバハング角)の関係上有利となり、さらに構造が簡単かつ誤動作もない効果がある。
【0039】さらに、上述の突出部材12の後部を車体の横方向に延びる強度部材(クロスメンバ10参照)に支持させたので、この突出部材12に前方向から作用する荷重(矢印a参照)を強度部材(クロスメンバ10参照)にて確実に受け止めることができ、また突出部材12の支持強度の向上を図ることができる効果がある。
【0040】加えて、上述の突出部材12を樹脂部材で形成し、この突出部材12の後側上部に形成された支持部(支持片21参照)を車体側強度部材(クロスメンバ10参照)に支持させたので、突出部材12を樹脂により一体成形することができ、この突出部材12部品点数削減を図ることができるのは勿論、該突出部材12の車両への取付けの簡略化を図ることができる効果があり、さらに突出部材12に下方から上方への荷重(矢印b参照)が入力した時には、樹脂固有の弾性力にて突出部材12を上方へ撓ませることができる効果がある。
【0041】さらに、樹脂製のバンパフェース3を設け、上述の突出部材12の前端部をバンパフェース3に取付けたので、突出部材12を両持ち支持させて、その取付け姿勢の安定性を図ることができる効果がある。
【0042】また突出部材12の取付け位置が安定するので、予め設定された荷重特性y(図4参照)に基づく歩行者の足払い機能およびエネルギ吸収機能を発揮させることができると共に、デザイン性の向上を図ることができる効果がある。
【0043】しかも、図2に示すように上述の突出部材12を樹脂構造体(ハニカム構造体)で構成すると、車両と歩行者との衝突部位がフロントバンパ9の車幅方向の何れの部位であっても、それぞれ同等の足払い効果および衝撃エネルギ吸収効果が得られる。なお、図4に示す突出部材12の荷重特性yにおける所定荷重Naの値は歩行者の脚部に骨折を与えない所定値たとえば7000ニュートン前後に設定される。
【0044】図5、図6、図7は車両の前部車体構造の他の実施例を示し、この実施例では樹脂製のバンパフェース3の後部形状に沿う金属パイプ製の棒状部材27と、クロスメンバ10に支持された板金部材よりなる一対のアーム28,28とで突出部材29を構成している。上述のアーム28はその断面が門形で、板金部材の板厚や形状の設定により図4に示す荷重特性yを得るように構成している。
【0045】また上述のアーム28の後端部には該部から上方に延びる取付け片28aが一体的に形成され、この取付け片28aをボルト30、ナット31を用いてクロスメンバ10に取付けると共に、クロスメンバ10の後面とリング状のスプリングリテーナ32の前面との間には、突出部材29の上下動を許容するギャップgを形成し、このギャップgにおいて上述のボルト30上における各要素10,32間にはリターンスプリング33を張架している。
【0046】しかも、突出部材29を上下動可能に支持する支持手段としてのボルト30、ナット31の位置は、突出部材29に対して前方向から荷重が作用する位置(矢印a参照)よりも上方位置に設定されている。
【0047】このように構成した車両の前部車体構造の作用について説明すると、車両と歩行者との衝突時には、樹脂製のバンパフェース3を介して突出部材29に前方向からの荷重(矢印a参照)が入力される。この荷重は通常、図4に示す所定荷重Na未満であって、この前方向からの入力荷重はクロスメンバ10によりその後部が支持された突出部材29にて受け止められる。
【0048】このため、車両と歩行者との衝突時には、まず上述の突出部材29の棒状部材27で歩行者の膝よりも下部において歩行者の足を払い、車両側に傾倒する歩行者の膝部の衝撃エネルギを車幅方向に延びるエネルギ吸収部材8で吸収した後に、歩行者を確実にボンネット1の上部に乗せて保護する。
【0049】一方、上述の突出部材29が路面または路面側の部材と干渉した場合には、突出部材29はボルト30の部分を支点として図6に仮想線βで示すようにその前方側が上方へ揺動する。
【0050】このように図5、図6、図7に示す実施例(請求項1,2,3に示す実施例)によれば、上述の突出部材29を上下動可能に支持する支持手段(ボルト30、ナット31参照)を設け、この支持手段の位置を突出部材29に対して前方向から荷重が作用する位置(矢印a参照)よりも上方位置に設定したので、突出部材29に対して下方から上方への荷重(矢印b参照)が入力した時、上述の支持手段(ボルト30、ナット31参照)を支点として突出部材29を円滑に上方へ揺動させることができる効果がある。
【0051】なお、その他の点については先の実施例とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図5〜図7において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0052】図8、図9、図10は車両の前部車体構造のさらに他の実施例を示す。この実施例では、その後端部が先の実施例(図5、図6、図7参照)と同様にクロスメンバ10に支持された一対のアーム28,28と、このアーム28の前部に一体的に取付けられた軸受けブラケット34,35とを用いて分割構造のローラ軸36,37を取付け、これらの各ローラ軸36,37にローラ38…を回転自在に取付けたものである。
【0053】そして、複数分割構造の各ローラ38…を樹脂製のバンパフェース3の後部形状に略沿うように配置すると共に、上記各要素28,34,35,36,37,38にて突出部材39を構成している。なお、図10の実施例ではローラ38を3分割したが、バンパフェース3の形状に対応させてローラをさらに多分割してもよい。
【0054】このように構成した車両の前部車体構造の作用について説明すると、車両と歩行者との衝突時には、樹脂製のバンパフェース3を介して突出部材39に前方向からの荷重(矢印a参照)が入力される。この荷重は通常、図4に示す所定荷重Na未満であって、この前方向からの入力荷重はクロスメンバ10によりその後部が支持された突出部材39にて受け止められる。
【0055】このため、車両と歩行者との衝突時には、まず上述の突出部材39のローラ38で歩行者の膝よりも下部において歩行者の足を払い、車両側に傾倒する歩行者の膝部の衝撃エネルギを車幅方向に延びるエネルギ吸収部材8で吸収した後に、歩行者を確実にボンネット1の上部に乗せて保護する。
【0056】一方、上述の突出部材39が路面または路面側の部材と干渉した場合には、突出部材39はボルト30の部分を支点として図9に仮想線βで示すようにその前方側が上方へ揺動する。
【0057】このように図8、図9、図10に示す実施例(請求項1,2,3に示す実施例)によれば、上述の突出部材39を上下動可能に支持する支持手段(ボルト30、ナット31参照)を設け、この支持手段の位置を突出部材39に対して前方向から荷重が作用する位置(矢印a参照)よりも上方位置に設定したので、突出部材39に対して下方から上方への荷重(矢印b参照)が入力した時、上述の支持手段(ボルト30、ナット31参照)を支点として突出部材39を円滑に上方へ揺動させることができる効果がある。
【0058】しかも、突出部材39の前部にはローラ38を設けたので、突出部材39が路面または路面側の部材と干渉する際には、ローラ38が回転しつつ干渉するので、突出部材39をより一層円滑に上方へ揺動させることができる効果がある。
【0059】なお、その他の点については先の実施例とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図8〜図10において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0060】図11、図12、図13は車両の前部車体構造のさらに他の実施例を示す。この実施例では、先の図5、図6、図7で示した突出部材29のクロスメンバ10に対する支持構造を異ならせたものである。
【0061】すなわち、クロスメンバ10の前面に1つのアーム28当り合計2個のL字状のブラケット40,40を取付け、これら一対の各ブラケット40,40間に支持手段としての支持軸41を横架し、この支持軸41に対してアーム28の後方上部28bを上下動可能に支持させたものである。
【0062】また上述の支持軸41の位置を突出部材29に対して前方向から荷重が作用する位置(矢印a参照)よりも上方位置に設定した構成は先の図5〜図7で示した実施例と同様である。
【0063】このように構成した車両の前部車体構造の作用について説明すると、車両と歩行者との衝突時には、樹脂製のバンパフェース3を介して突出部材29に前方向からの荷重(矢印a参照)が入力される。この荷重は通常、図4に示す所定荷重Na未満であって、この前方向からの入力荷重はクロスメンバ10によりその後部が支持された突出部材29にて受け止められる。
【0064】このため、車両と歩行者との衝突時には、まず上述の突出部材29の棒状部材27で歩行者の膝よりも下部において歩行者の足を払い、車両側に傾倒する歩行者の膝部の衝撃エネルギを車幅方向に延びるエネルギ吸収部材8で吸収した後に、歩行者を確実にボンネット1の上部に乗せて保護する。
【0065】一方、上述の突出部材29が路面または路面側の部材と干渉した場合には、突出部材29は支持軸40を回動中心として図12に仮想線βで示すようにその前方側が上方へ揺動する。
【0066】このように図11、図12、図13に示す実施例(請求項1,2,3に示す実施例)によれば、上述の突出部材29を上下動可能に支持する支持手段(支持軸40参照)を設け、この支持手段の位置を突出部材29に対して前方向から荷重が作用する位置(矢印a参照)よりも上方位置に設定したので、突出部材29に対して下方から上方への荷重(矢印b参照)が入力した時、上述の支持手段(支持軸40参照)を回動中心として突出部材29を円滑に上方へ回動させることができる効果がある。
【0067】なお、その他の点については先の実施例とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図11,図12、図13において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0068】この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の車体の横方向に延びる強度部材は、実施例のクロスメンバ10に対応し、以下同様に、バンパは、フロントバンパ9に対応し、支持手段は、ボルト30、ナット31または支持軸41に対応し、樹脂部材で形成された突出部材は、突出部材12に対応し、支持部は、支持片21に対応し、車体側強度部材は、クロスメンバ10に対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0069】例えば上述の強度部材としてはクロスメンバ10に代えてペリメータ・フレーム(枠型フレーム)の所定部であってもよく、エネルギ吸収部材8としては例示した発泡スチロール材に代えてオイルダンパ、水袋、樹脂構造体などの他の部材であってもよい。
【0070】また樹脂製の突出部材12の構成材料としてはPP、PEに代えて、ナイロン系樹脂を用いてもよい。さらにアーム28を板金部材で構成する構造に代えて、そのアーム28を樹脂構造体により構成してもよいことは勿論である。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【出願日】 平成11年6月28日(1999.6.28)
【代理人】 【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
【公開番号】 特開2001−10424(P2001−10424A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−181558