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【発明の名称】 車両用バンパ装置
【発明者】 【氏名】佐久間 克治

【氏名】羽田 真一

【氏名】神谷 剛

【氏名】布野 和信

【氏名】安土 一成

【要約】 【課題】補強部材の変形による衝撃エネルギーの吸収能を向上させる。

【解決手段】補強部材(10)の前後壁部(11、12)と上下壁部(13、14)との交点結合部に外側の方が内側より曲率R1 の大きい円弧面を作る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車のサイドメンバーに固定されかつ断面略矩形状の補強部材を有する車両用バンパ装置において、補強部材が前後壁部と、該前後壁部を連結する上下壁部とを有し、上下壁部が前後壁部の上下縁より内方に位置し、前壁部に衝撃荷重が作用したとき、サイドメンバーに固定される補強部材の部分の上下壁部の少なくとも一部が内方へかつ後壁部方向へと屈曲変形することを特徴とする車両用バンパ装置。
【請求項2】 前後壁部と上下壁部との結合部の内外の面取りを含む円弧面の曲率が外側の方が大である請求項1記載の車両用バンパ装置。
【請求項3】 補強部材が鋼板のロール成形又はプレス成形により構成され、前後壁部と上下壁部との結合部外側に円弧面を形成させている請求項1記載の車両用バンパ装置。
【請求項4】 車のサイドメンバーに固定されかつ断面略矩形状の補強部材を有する車両用バンパ装置において、補強部材が前後壁部と、該前後壁部を連結する上下及び中間壁部とを有し、上下壁部と後壁部との連結部の曲率中心が前後壁部間に位置する円弧面を有する車両用バンパ装置。
【請求項5】 曲率が5mm以上である請求項4記載の車両用バンパ装置。
【請求項6】 円弧面を有する後壁部を車両のサイドメンバーに固定させる請求項4記載の車両用バンパ装置。
【請求項7】 中間壁部と後壁部との連結部が上下壁部と中間壁部との間に曲率中心を有する対称的な円弧面を有する請求項4記載の車両用バンパ装置。
【請求項8】 前壁部に衝撃荷重が作用したとき、上下壁部と後壁部との連結附近が側外方に屈曲変形する請求項4又は7記載の車両用バンパ装置。
【請求項9】 中間壁部と後壁部との連結附近が一方向に屈曲変形する請求項7記載の車両用バンパ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は改良された金属製補強部材を有する車両用バンパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の前部にバンパ装置を取付け、衝突時の乗員や車体への衝撃を柔げることがなされる。その一例が、たとえば、特開平4−303046号公報に開示されるが、そのものは、図11に示される如く、車両の前部両側のサイドメンバー1に、断面略矩形にして車両幅方向に延在する金属製の中空補強部材(バンパリインフォースメント)2の両端部を固定した構成を基本的に有す。補強部材2の前部領域にウレタン材料からなるアブソーバ3と、車両の外装を構成するバンパカバー4を配設する。バンパカバー4は、ボルト又はクリップ5、6を用いて補強部材2とカバー支持体7とに固定させられる。
【0003】図11に示す例では、補強部材2の後壁部に穴を穿け、この穴を介して補強部材2内にエネルギー吸収体8を配している。補強部材2とほぼ同長のこのエネルギー吸収体8は、アルミ合金又は繊維強化樹脂からなるパイプ状のもので、補強部材2の穴に圧入され、その先端が補強部材2の前壁部に、又その後端がサイドメンバー1の前面部に当接する。
【0004】車両衝突時等、バンパ装置に衝撃が加わると、補強部材(バンパリインフォースメント)2が変形する。この補強部材2の変形は、前壁部が後壁部に近づくように上壁部及び下壁部を外側に座屈変形させ、エネルギー吸収体8をジャバラ状に圧縮変形させる。これにより、一つの高い降伏荷重Aと比較的高く且つ長い変位域を示すエネルギーアブソービング量(E/A量)の特性を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のバンパ装置は、補強部材とは別にエネルギー吸収体を必要とするため、部品点数が多く、コスト的にも生産性の面においても不利である。補強部材の変形は、上壁部及び下壁部を外側に座屈変形させるため、バンパ装置の他の機能部品(ヘッドライトやウインカーランプ等)と干渉し、破損を招く恐れがあり、好ましいとは言えない。
【0006】それ故に、本発明は、前述の従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述した課題を解決するために、基本的には、補強部材(バンパリインフォースメント)の前後壁部と上下壁部との結合部の外側のコーナ(円弧)の曲率を内側のそれより大きくした技術手段を用い、補強部材の変形は、上壁部及び下壁部を内側に屈曲させる。この時、内側に座屈変形した上壁部及び下壁部は、後壁部と干渉し、結果、上壁部及び下壁部は、ジャバラ状に変形することになり、これにより、従来のようなエネルギー吸収体を用いることなく、長く高い変位域で且つ高い降伏荷重の特性、つまりエネルギーアブソービング量(E/A量)の多い特性が得られるという作用効果を得る。又、上壁及び下壁は、内側に座屈変形するので、バンパ装置の他の機能部品と干渉する恐れもない。
【0008】さらに、本発明は、中間壁部を付加し、上下壁部と後壁部との連結部の改良として、曲率中心が前後壁部間に位置する円弧面を有する形状とし衝撃荷重を受けたとき、長く高い変位域で且つ高い降伏荷重の特性を得ることができる。これに加えて、中間壁部と後壁部との結合を対称的な円弧面を有する形状とさせると良い。
【0009】具体的には、本発明は、車のサイドメンバーに固定されかつ断面略矩形状の補強部材を有する車両用バンパ装置において、補強部材が前後壁部と、該前後壁部を連結する上下壁部とを有し、上下壁部が前後壁部の上下縁より内方に位置し、前壁部に衝撃荷重が作用したとき、サイドメンバーに固定される補強部材の部分の上下壁部の少なくとも一部が内方へかつ後壁部方向へと屈曲変形することを特徴とする車両用バンパ装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1に示す例において、車両9の前部両側のサイドメンバ(図示なし)に溶接等により固定される金属製の補強部材10は、前後壁部12、11、上下壁部13、14よりなる断面略矩形をなし、その前方域には、従前の如くアブソーバ3とバンパカバー4とが配設される。図1中の15はヘッドライト、16はウインカーランプを示す。
【0011】本発明者らにより新たに開発された補強部材10の断面を図2に示す。前後壁部12、11と上下壁部13、14との結合部(上下壁部13、14の上下縁より内方に位置する)の内と外の面取り又は円弧面(コーナ部)の曲率(R)を外側(R1 )を内側(R2 )より大とさせる。これにより、上下壁部13、14の座屈変形(屈曲)の方向を内側へとコントロールし且つ上下壁部13、14の座屈ポイントを後壁部11側へと近づける。図2に示す例は、アルミ合金の押出成形により得たものであるが、図3に示すように、高張力鋼板をロール成形し、その両縁突き合せ部を溶接することで、補強部材10を得てもよい。この場合、図2に示す例のような内側の曲率R2 の円弧面はできないが、外側の曲率R1 の円弧面を通常のロール成形品より大とさせる。尚、ロール成形に代えてプレス成形でも良い。
【0012】図2や図3に示す補強部材10を用いたバンパ装置に衝撃が加わり、該補強部材10が変形し、衝撃エネルギーを吸収する状態を図4と図5に示す。図4は、サイドメンバー17と補強部材10との固定部分での補強部材10の変形を(a)−(d)に示す。図4の(b)に示すように、前壁部12に荷重が加ると、上下壁部13、14の後部が内側に座屈変形(屈曲)し、該屈曲部が後壁部11の内壁面を覆う量を大とさせながら、やがて、図4の(d)に示すように、可能な限り前壁部12が後壁部11に近接するようにジャバラ状に圧縮変形(変形)して、その変形を終了させる。この時、前壁部12と後壁部11とは、接触面積を徐々に増やしながら互いに接触していくので、後壁部11特にサイドメンバー17との固定部分での応力を分散でき、この固定部分での破断を抑制させる。これにより、急激な荷重低下が防止される。
【0013】図5の(a)−(d)は、両サイドメンバー17への固定部分の近傍の中立部での補強部材10の動きを示す。図4の(b)のようにサイドメンバー17との固定部での上下壁部13、14が変形し始めると、その変形が中立部へと伝達され、やがて、図5の(c)と(d)に示すように、中立部は原形を保ちつつ後方へと退却し、補強部材10の内方への上下壁部13、14の総変形容積を大とさせていく。
【0014】このような上下壁部13、14の変形は、図6に示すように高降伏荷重Aを長い間保つ形のエネルギー吸収能を示し、衝撃の吸収を効率良く行なうことができる。
【0015】尚、補強部材10は、前後壁部12、11を連結する一つ又は複数のリブ(図示せず)を上下壁部13、14間に追加して構成してもよい。これにより、降伏荷重Aをより高めることが可能となる。
【0016】図7に、別の例の補強部材18を示す。この例は、前後壁部19、20と上下壁部21、22、さらに中間壁部23からなるアルミ合金の押出成形による補強部材18であって、後壁部20と上下壁部21、22との連結を上下壁部21、22間に曲率中心を有する円弧面を有する結合壁部でなす。曲率(R)としては5mm以上とする。
【0017】図8に示す補強部材18′は中間壁部23と後壁部20とを対称な円弧面を有する結合壁部で結合させる。曲率(R′)は上下壁部21、22と後壁部20とを結合させる円弧面の曲率(R)と同程度とさせる。
【0018】図9に、図8の例に衝撃荷重が作用したときの補強部材18′の屈曲変形を示す。変形初期は上下壁部21、22が側外方に、特に結合円弧面部がやや大きく側外方になめらかな曲線を描くようにして大きく変形する。中間壁部は上又は下向きに屈曲変形する。さらに、変形が進むと、前壁部19が原形のまま後壁部20へと接近し、上下壁部21、22と中間壁部23の後壁部20側の円弧面の変形を大きくさせながら衝撃荷重を吸収する。
【0019】衝撃荷重の吸収即ちエネルギーアブソービング量(E/A)を図10に示す。荷重を受ける前壁部19の後壁部20への接近の初期に、ボディ耐力よりやや低い荷重として、上下壁部21、22、中間壁部23を変形させて補強部材18′が衝撃荷重を吸収し、さらに、屈曲変形は、ピーク荷重よりやや低い荷重を受けながら補強部材18′は変形していく。図7の例も図10とほぼ同じ特性を示す。
【出願人】 【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
【出願日】 平成11年8月9日(1999.8.9)
【代理人】 【識別番号】100070518
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 英明
【公開番号】 特開2001−10421(P2001−10421A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−225569