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【発明の名称】 故障診断支援装置
【発明者】 【氏名】土居 克尚

【氏名】五十嵐 章剛

【要約】 【課題】種々の故障を容易に再現することができ、これによって故障診断のためのデータベースを容易に構築することができ、しかも、このデータベースを用いて故障に対して迅速に対応する。

【解決手段】センサ群のワイヤハーネス46をチェックボックス34の第1接続端子42に接続し、チェックボックス34の第2接続端子44を接続用ワイヤハーネス52を介してECU16の端子部54に接続し、チェックボックス34に手動操作自動復帰接点型スイッチ36、可変抵抗器38または可変電圧印加器40の故障再現治具を接続し、故障状態を再現させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】センサ群により制御対象の状態を検知し、制御装置が前記状態に基づいて複数のアクチュエータを制御する制御システムにおける故障診断支援装置であって、前記センサ群および前記制御装置間に配置され、前記センサ群からのワイヤハーネスが接続される第1接続端子と、前記制御装置からのワイヤハーネスが接続される第2接続端子と、前記第1接続端子の接続ピンの配列に応じて配列される第1チェック端子と、前記第2接続端子の接続ピンの配列に応じて配列される第2チェック端子と、前記第1チェック端子およびそれに対応する前記第2チェック端子を断続する断続スイッチとを有するチェックボックスと、選択された前記第1チェック端子および前記第2チェック端子間に接続され、前記制御対象の故障状態を再現する故障再現用治具と、を備えることを特徴とする故障診断支援装置。
【請求項2】請求項1記載の装置において、前記故障再現用治具は、手動操作自動復帰接点型スイッチであることを特徴とする故障診断支援装置。
【請求項3】請求項1記載の装置において、前記故障再現用治具は、可変抵抗器であることを特徴とする故障診断支援装置。
【請求項4】請求項1記載の装置において、前記故障再現用治具は、可変電圧印加器であることを特徴とする故障診断支援装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、センサ群により制御対象の状態を検知し、制御装置が前記状態に基づいて複数のアクチュエータを制御する制御システムにおける故障診断支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車には、多数のセンサが搭載されており、各センサによって検出された制御対象の状態に応じて多数のアクチュエータの電子制御が行われる。従って、このような制御対象で発生する故障には、様々な事象が存在することになる。
【0003】そこで、発生した故障の各事象は、各営業所の修理部門からサービスセンタに打ち上げられ、打ち上げられた事象を解析してデータベース化することが行われる。各営業所は、これらのデータベースを参考として修理に対処することになる。
【0004】ところで、故障の各事象は、必ずしも頻繁に発生するものばかりとは限らない。頻繁に発生する事象については、各営業所がそれに対する対策を十分に熟知しているのが通常であり、問題となるのは、むしろ、発生頻度の少ない故障である。このような故障に対しては、従来からデータベース化することが困難であり、従って、それに対する迅速な対応も困難であるという不具合が指摘されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の不具合を解消すべくなされたものであり、種々の故障を容易に再現することができ、これによって故障診断のためのデータベースを容易に構築することができ、しかも、このデータベースを用いて故障に対して迅速に対応することのできる故障診断支援装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するために、本発明では、センサ群により制御対象の状態を検知し、制御装置が前記状態に基づいて複数のアクチュエータを制御する制御システムにおける故障診断支援装置であって、前記センサ群および前記制御装置間に配置され、前記センサ群からのワイヤハーネスが接続される第1接続端子と、前記制御装置からのワイヤハーネスが接続される第2接続端子と、前記第1接続端子の接続ピンの配列に応じて配列される第1チェック端子と、前記第2接続端子の接続ピンの配列に応じて配列される第2チェック端子と、前記第1チェック端子およびそれに対応する前記第2チェック端子を断続する断続スイッチとを有するチェックボックスと、選択された前記第1チェック端子および前記第2チェック端子間に接続され、前記制御対象の故障状態を再現する故障再現用治具と、を備えることを特徴とする。
【0007】この場合、センサ群のあらゆる状態をチェックボックスで再現することができる。例えば、選択した第1チェック端子と第2チェック端子とを故障再現治具によって接続した状態で制御装置を駆動し、そのときに再現された状態から故障診断のためのデータベースを作成することができる。
【0008】なお、故障再現治具としては、センサ群の短絡テストを行う手動操作自動復帰接点型スイッチ、第1チェック端子、第2チェック端子間の抵抗値を任意に設定可能な可変抵抗器、第1チェック端子、第2チェック端子間に任意の電圧を印加可能な可変電圧印加器を挙げることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本実施形態の故障診断支援装置10を示す。この故障診断支援装置10は、故障診断のためのデータベースを作成すべく、図2に示す自動車等における制御システム12で発生する可能性のある種々の故障の事象を再現するものである。
【0010】ここで、制御システム12は、制御対象の状態を検知するセンサ群14と、前記センサ群14からの検知信号に従って制御信号を生成する制御装置である電子制御ユニット(以下、ECUという。)16と、前記制御信号に従って駆動されるアクチュエータ群18とから基本的に構成される。
【0011】なお、制御システム12が自動車の場合、センサ群14として、例えば、車速センサ、スロットル開度センサ、O2 センサ、水温センサ、吸気圧力センサ等を挙げることができる。また、アクチュエータ群18としては、例えば、電子燃料噴射装置、各種警告灯、ブレーキ制御装置等を挙げることができる。
【0012】ECU16は、アナログ信号を出力するセンサ群14からの検知信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ20と、デジタル信号を出力するセンサ群14からの検知信号の電圧値を調整するデジタル入力バッファ22と、入力ポート24と、検知信号から制御信号を生成するCPU26と、制御信号を生成するための各種データを記憶するメモリ28と、出力ポート30と、制御信号に基づいてアクチュエータ群18を駆動するための駆動信号を生成する駆動回路32とから基本的に構成される。
【0013】故障診断支援装置10は、以上のように構成される制御システム12の故障を診断するものであり、センサ群14とECU16との間に配置されるチェックボックス34と、チェックボックス34に接続される故障再現治具である手動操作自動復帰接点型スイッチ36、可変抵抗器38および可変電圧印加器40とから基本的に構成される。なお、手動操作自動復帰接点型スイッチ36は、手動操作によってONとなる押しボタン37を備える。可変抵抗器38は、抵抗値を調整するトリマ39を備える。可変電圧印加器40は、調整スイッチ41、電圧値を調整するトリマ43、極性スイッチ45および電圧値表示器47を備える。
【0014】チェックボックス34は、第1接続端子42および第2接続端子44を備える。第1接続端子42には、センサ群14からのワイヤハーネス46がコネクタ48および接続用ワイヤハーネス50を介して接続される。また、第2接続端子44には、接続用ワイヤハーネス52の一端部が接続される。接続用ワイヤハーネス52の他端部は、ECU16のセンサ群14が接続されるA/Dコンバータ20およびデジタル入力バッファ22の端子部54に接続される。なお、ECU16の駆動回路32側の端子部55には、ワイヤハーネス57を介してアクチュエータ群18が接続される。
【0015】チェックボックス34は、図3に示すように、第1接続端子42の接続ピンと同一の配列からなる第1チェック端子56と、第2接続端子44の接続ピンと同一の配列からなる第2チェック端子58とを備える。そして、これらの第1チェック端子56および第2チェック端子58間には、これらを断続する断続スイッチ60が配設される。なお、第1チェック端子56および第2チェック端子58には、手動操作自動復帰接点型スイッチ36、可変抵抗器38および可変電圧印加器40の各端子が接続可能である。
【0016】制御システム12が正常に動作している場合、ECU16には、センサ群14およびアクチュエータ群18が接続されており、センサ群14によって検出された制御対象の状態を示す検知信号がA/Dコンバータ20またはデジタル入力バッファ22を介してCPU26に供給される。CPU26は、供給された制御対象の検知信号とメモリ28に記憶されている各種パラメータとに基づいて制御信号を生成し、駆動回路32を介してアクチュエータ群18を駆動制御する。
【0017】一方、制御システム12に異常が発生した場合、センサ群14とECU16との間に、本実施形態の故障診断支援装置10を構成するチェックボックス34を接続し、その異常状態を再現させて故障の原因を追求することができる。その動作につき具体例に基づいて説明する。
【0018】第1例(図4、図5)として、センサ群14の1つである水温センサ62に関連すると想定される異常が発生した場合につき説明する。なお、水温センサ62は、例えば、エンジンの冷却水の温度をサーミスタ等の抵抗値変化として検出するものである。
【0019】先ず、センサ群14に接続されているワイヤハーネス46をECU16から取り外してコネクタ48の一端部に接続した後、コネクタ48の他端部を接続用ワイヤハーネス50を介してチェックボックス34の第1接続端子42に接続する。また、ECU16の端子部54とチェックボックス34の第2接続端子44とを接続用ワイヤハーネス52によって接続する。
【0020】次に、図4に示すように、水温センサ62の一方の端子とECU16の端子部54との間に介装される断続スイッチ60をOFFとし、この断続スイッチ60に対応する第1チェック端子56および第2チェック端子58間に、コネクタ63a、63bを介して手動操作自動復帰接点型スイッチ36を接続する。なお、第1チェック端子56および第2チェック端子58は、センサ群14のワイヤハーネス46の接続端子と同一のピン配列からなっているため、作業者は、手動操作自動復帰接点型スイッチ36を接続すべき所望の第1チェック端子56および第2チェック端子58を認識することができる。
【0021】前記の接続状態において、手動操作自動復帰接点型スイッチ36の押しボタン37を操作し、手動操作自動復帰接点型スイッチ36をON/OFFさせることにより、制御システム12の状態を確認する。異常が発生した場合には、水温センサ62の接続不良、断線等の原因が想定されることになる。
【0022】一方、手動操作自動復帰接点型スイッチ36を操作することによっても何ら異常状態が再現されない場合には、図5に示すように、可変抵抗器38をチェックボックス34に接続する。すなわち、水温センサ62の一方の端子とECU16の端子部54との間に介装される断続スイッチ60をOFFとし、可変抵抗器38のコネクタ65a、65bを第1チェック端子56および第2チェック端子58に接続することにより、水温センサ62に代えて可変抵抗器38をECU16に接続する。
【0023】この状態において、可変抵抗器38のトリマ39を調整することで抵抗値を調整し、制御システム12の状態を確認する。異常が発生した場合には、水温センサ62自体に異常のあることが想定されることになる。
【0024】次に、第2例(図6)として、センサ群14の1つである吸気圧力センサ64に関連すると想定される異常が発生した場合につき説明する。なお、吸気圧力センサ64は、例えば、エンジンに吸入される空気の圧力をブリッジを構成する半導体の抵抗値変化に基づく出力電圧値として検出するもので、前記出力電圧値を得るために所定のオフセット電圧が印加される。
【0025】先ず、第1例の場合と同様に、センサ群14とECU16との間にチェックボックス34を配置する。
【0026】次に、可変電圧印加器40のチェック用コネクタ67a、67bをECU16のチェック端子に対応する第1チェック端子56および第2チェック端子58に接続した後、極性スイッチ45をマイナスに設定するとともに、調整スイッチ41を調整側に設定する。次いで、電圧値表示器47に従ってトリマ43を回し、印加電圧値を設定する。
【0027】前記の設定を行った後、吸気圧力センサ64の電圧印加端子に対応する断続スイッチ60をOFFとし、この断続スイッチ60の両端子の第1チェック端子56および第2チェック端子58に可変電圧印加器40の電圧印加用コネクタ69a、69bを接続する。電圧印加用コネクタ69a、69bを接続した後、調整スイッチ41を通常側に設定することにより、吸気圧力センサ64に所定の印加電圧が印加される。
【0028】前記の状態において、制御システム12の状態を確認する。規定の印加電圧を印加したにもかかわらず異常が発生した場合には、吸気圧力センサ64またはECU16に異常のある可能性があり、なんら異常が発生しない場合には、ECU16側から供給されるオフセット電圧に異常のある可能性が想定される。
【0029】このように、チェックボックス34に対して故障再現用治具を接続し、発生する事象を確認することにより、故障の原因等を追求することができる。なお、本実施形態の故障診断支援装置10は、実際に発生した故障を再現できるだけでなく、チェックボックス34の任意の第1チェック端子56、第2チェック端子58間に手動操作自動復帰接点型スイッチ36等の故障再現治具を接続し、故障の事象を模擬することができる。従って、各事象をデータベース化することにより、種々の事象に対する事前対策を講じることができるとともに、発生頻度の低い故障等に対して迅速に対応することも可能となる。
【0030】なお、上述した実施形態において、例えば、手動操作自動復帰接点型スイッチ36としては、手動操作によってOFFとなるノーマルクローズ型のスイッチとすることもできる。また、手動操作自動復帰接点型スイッチ36として電気的にON/OFFできるものであれば、ON/OFFの時間やタイミングを任意に制御することができる。可変抵抗器38および可変電圧印加器40としては、抵抗値や電圧値をトリマ39、トリマ43を用いて連続的に変更できるもの以外に、例えば、コンピュータ制御により任意の抵抗値や電圧値を得ることができるものを用いることができる。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、センサ群と制御装置との間にチェックボックスを配置し、前記チェックボックスの接続端子に故障再現治具を接続し、故障状態を再現することができるので、その故障状態から種々の故障原因を容易に追求することができる。この場合、前記接続端子の配列がセンサ群や制御装置の端子配列と同じに設定されているので、所望の端子の選択や発見、現物との対比が容易となる利点がある。また、故障状態を模擬することもできるため、種々の故障状態を模擬し、それらから故障診断のためのデータベースを容易に構築することができる。従って、このようなデータベースを用いて故障に対する迅速な対応が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏 (外1名)
【公開番号】 特開2001−10420(P2001−10420A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−185752