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【発明の名称】 シートベルト一体シート
【発明者】 【氏名】チンモイ パル

【要約】 【課題】シートベルト一体シートでありながら、荷重発生時にシートバックの前傾移動を抑制し、且つシートスライドレール等の軽量小型化を可能とする。

【解決手段】上下方向の縦フレーム27、29及び該縦フレーム27、29相互間を結合する横フレーム31、33とからなるシートバックフレーム25と、緊急ロック可能なシートベルトリトラクタ35と、シートベルトリトラクタ35に巻き取り自在に結合されて係合具23を備えたシートベルト5と、縦フレーム27に固定され係合具23を係脱自在に係止する係止具21と、縦フレーム27の上部27aに設けられシートベルトリトラクタ35からのシートベルトを折り返し支持する上部支持部47とよりなり、シートベルト5から上部支持部47に働く荷重を縦フレーム27の圧縮方向に伝達するようにシートベルトリトラクタ35及び上部支持部47を配置したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右に配置されて下部がシートクッションフレーム側にそれぞれ結合された上下方向の縦フレーム、及び該縦フレーム相互間を結合する横フレームとからなるシートバックフレームと、前記縦フレームの下部に取り付けられ緊急ロック可能なシートベルトリトラクタと、一端が前記シートベルトリトラクタに巻き取り自在に結合され、他端が前記シートクッションフレーム側に取り付けられ、且つ中間に係合具を備えたシートベルトと、前記シートクッションフレーム又は縦フレームの何れか一方に固定され前記係合具を係脱自在に係止する係止具と、前記シートベルトリトラクタが下部に取り付けられた縦フレームの上部に設けられ前記シートベルトリトラクタからのシートベルトを折り返し支持する上部支持部とよりなり、前記シートベルトから上部支持部に働く荷重を前記縦フレームの圧縮方向に伝達するように前記シートベルトリトラクタ及び上部支持部を配置したことを特徴とするシートベルト一体シート。
【請求項2】 請求項1記載のシートベルト一体シートであって、前記縦フレームの中立軸より離間すると共に、前記荷重が作用したとき引っ張り側となり、且つ前記シートベルトリトラクタと上部支持部との間で前記シートベルトの引き回しをずらす変換手段を、前記縦フレームに設けたことを特徴とするシートベルト一体シート。
【請求項3】 請求項2記載のシートベルト一体シートであって、前記変換手段は、前記縦フレームに設けられたローラであることを特徴とするシートベルト一体シート。
【請求項4】 請求項2記載のシートベルト一体シートであって、前記変換手段は、前記縦フレームに設けられたブラケットで構成したことを特徴とするシートベルト一体シート。
【請求項5】 請求項1〜3の何れかに記載のシートベルト一体シートであって、前記シートベルトリトラクタの取り付けは、前記縦フレームの下部に取り付けられた荷重伝達部材を介して行われたことを特徴とするシートベルト一体シート。
【請求項6】 請求項5記載のシートベルト一体シートであって、前記荷重伝達部材は、前記縦フレームに締結具により締結して取り付けられたことを特徴とするシートベルト一体シート。
【請求項7】 請求項5又は6記載のシートベルト一体シートであって、前記荷重伝達部材は、前記シートベルトリトラクタを固定する箱状に形成されていることを特徴とするシートベルト一体シート。
【請求項8】 請求項7記載のシートベルト一体シートであって、前記縦フレームは、最下部に受け面を有し、該受け面に前記箱状の荷重伝達部材に設けた当接部を突き当てたことを特徴とするシートベルト一体シート。
【請求項9】 請求項7記載のシートベルト一体シートであって、前記縦フレームは、最下部に縁部を有し、該縁部に前記箱状の荷重伝達部材に設けた当接部を突き当てたことを特徴とするシートベルト一体シート。
【請求項10】 請求項5〜7の何れかに記載のシートベルト一体シートであって、前記縦フレームは、下部に傾斜した傾斜受け面を有する中空状に形成され、前記荷重伝達部材は、前記受け面に当接する傾斜した傾斜当て面を有し、前記縦フレームの下部に、前記荷重伝達部材を嵌合させて前記傾斜受け面に前記傾斜当て面を突き当てたことを特徴とするシートベルト一体シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートベルト装置を一体に備えたシートベルト一体シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のシートベルト一体シートとしては、例えば実開昭53−115516号公報に記載された図17に示すようなものがある。この図17に示すものは、シート1にシートベルト装置3が一体に備えられたもので、シートベルト5の一端はシートバック7の上部に設けられた図示しないショルダーアンカを介してシートバック7の下方側へ引き回され、シートクッション9の後方側下部に設けられた緊急ロック可能なシートベルトリトラクタ(ELR)(図示せず)に繰り出し自在に巻き取られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかるシートベルト一体シート1にあっては、シートベルト5のショルダーベルト5aに発生する荷重を、シートバック7を介してリクライニングデバイス11により回転トルクとして支持する構成となっていたため、車両前面衝突時のような場合、シートベルト5に過大な荷重が発生するとリクライニングデバイス11に過大な回転トルクが発生することになる。そして、このようなシートベルト一体シート1では、かかる過大な回転トルクをシートスライドレール13を介して車体フロア15側へ確実に分散させるようにするため、シートスライドレール13等の肉厚を大幅に増大し、強度向上を図る必要があり、シートスライドレール3等が大型化したり、重量増を招くという問題があった。
【0004】これに対し、実開平5−76913号公報に記載されたものでは、シートバック7にベルト5は支持するが、ELRを後席ドアに内蔵する構成としている。子の構成では、車両前面衝突のような場合に、シートベルトに発生した荷重を後席ドアに伝達することができ、上記問題を解決することはできるが、ベルト5の巻き取り部であるELRが後席ドアに内蔵されているため、2ドア車の場合、後席に乗り込む際にベルトをその都度はずさなければならないという問題があった。
【0005】一方、特開平10−85760号公報に記載された図18,図19に示すものは、シートベルト5に過大な荷重が発生したとき、シートベルト5のラップベルト5bに発生する荷重をシートバック7に対し車両後方側へ作用させることにより上記問題点を解決している。
【0006】すなわち、図18,図19では、リクライニング装置11の略中心を回転軸として車両前方へ延びる第1のリンク17を設け、該第1のリンク17の中間部とシートバック7とを回転自在に結合する第2のリンク19を設け、前記第1のリンク17の先端部にバックル21を取付け、該バックル21にラップベルト5bのタング23を結合させている。
【0007】従って、図20のように、シートベルト5に過大な荷重が発生すると、第1のリンク17がリクライニング装置11の略中心を回転軸として後方上方へ回動し、この回動によって第2のリンク19を介して荷重をシートバック7に対し車両後方へ作用させることができ、上記問題を改善することができる。
【0008】しかしながら、かかる従来例では、リンク17,19の長さや、乗員の腰部速度、更には乗員体格やリクライニングの角度によってその効果が左右される恐れがある。また、ELRがシートバック7の上部に配置されているため、その質量による慣性力によって、衝突の際、ショルダーベルト5aの支持ポイントが前方に移動する可能性があり、また、第1のリンク17等の長さによっては、乗員乗降の妨げになる恐れもある。
【0009】本発明は、特別なリンクを用いることなく、シートベルトの発生荷重をシートバックで吸収するようにし、シートスライドレール等の大型化、重量増を抑制することのできるシートベルト一体シートの提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、左右に配置されて下部がシートクッションフレーム側にそれぞれ結合された上下方向の縦フレーム、及び該縦フレーム相互間を結合する横フレームとからなるシートバックフレームと、前記縦フレームの下部に取り付けられ緊急ロック可能なシートベルトリトラクタと、一端が前記シートベルトリトラクタに巻き取り自在に結合され、他端が前記シートクッションフレーム側に固定され、且つ中間に係合具を備えたシートベルトと、前記シートクッションフレーム又は縦フレームの何れか一方に固定され前記係合具を係脱自在に係止する係止具と、前記シートベルトリトラクタが下部に取り付けられた縦フレームの上部に設けられ前記シートベルトリトラクタからのシートベルトを折り返し支持する上部支持部とよりなり、前記シートベルトから上部支持部に働く荷重を前記縦フレームの圧縮方向に伝達するように前記シートベルトリトラクタ及び上部支持部を配置したことを特徴とする。
【0011】請求項2の発明は、請求項1記載のシートベルト一体シートであって、前記縦フレームの中立軸より離間すると共に、前記荷重が作用したとき引っ張り側となり、且つ前記シートベルトリトラクタと上部支持部との間で前記シートベルトの引き回しをずらす変換手段を、前記縦フレームに設けたことを特徴とする。
【0012】請求項3の発明は、請求項2記載のシートベルト一体シートであって、前記変換手段は、前記縦フレームに設けられたローラであることを特徴とする。
【0013】請求項4の発明は、請求項2記載のシートベルト一体シートであって、前記変換手段は、前記縦フレームに設けられたブラケットで構成したことを特徴とする。
【0014】請求項5の発明は、請求項1〜3の何れかに記載のシートベルト一体シートであって、前記シートベルトリトラクタの取り付けは、前記縦フレームの下部に取り付けられた荷重伝達部材を介して行われたことを特徴とする。
【0015】請求項6の発明は、請求項5記載のシートベルト一体シートであって、前記荷重伝達部材は、前記縦フレームに締結具により締結して取り付けられたことを特徴とする。
【0016】請求項7の発明は、請求項5又は6記載のシートベルト一体シートであって、前記荷重伝達部材は、前記シートベルトリトラクタを固定する箱状に形成されていることを特徴とする。
【0017】請求項8の発明は、請求項7記載のシートベルト一体シートであって、前記縦フレームは、最下部に受け面を有し、該受け面に前記箱状の荷重伝達部材に設けた当接部を突き当てたことを特徴とする。
【0018】請求項9の発明は、請求項7記載のシートベルト一体シートであって、前記縦フレームは、最下部に縁部を有し、該縁部に前記箱状の荷重伝達部材に設けた当接部を突き当てたことを特徴とする。
【0019】請求項10の発明は、請求項5〜7の何れかに記載のシートベルト一体シートであって、前記縦フレームは、下部に傾斜した傾斜受け面を有する中空状に形成され、前記荷重伝達部材は、前記傾斜受け面に当接する傾斜した傾斜当て面を有し、前記縦フレームの下部に、前記荷重伝達部材を嵌合させて前記傾斜受け面に前記傾斜当て面を突き当てたことを特徴とする。
【0020】
【発明の効果】請求項1の発明では、シートベルトから上部支持部に働く荷重を縦フレームの軸方向に伝達することができるから、車両衝突時の過大なベルトテンションをシートバックフレームに確実に吸収伝達しながらシートバックの前方移動を抑制することができる。従って、乗員の拘束性を大幅に向上することができると共に、シートスライドレール側に伝達される荷重を抑制することができ、シートスライドレール等の大型化、重量増を大きく抑制することができる。
【0021】請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、変換手段によってシートベルトからの過大な荷重をより大きく縦フレームの圧縮方向へ伝達することができ、シートバックの前方移動を抑制して、乗員拘束性を確実に向上させることができると共に、シートスライドレール等の小型化、軽量化を確実に図ることができる。
【0022】請求項3の発明では、請求項2の発明の効果に加え、ローラによってシートベルトを引き回すので、シートベルトの移動がスムーズであり、ベルトテンションを縦フレームの圧縮方向へより確実に伝達することができる。
【0023】請求項4の発明では、請求項2の発明の効果に加え、ブラケットでシートベルトの引き回しを行うため、構造が簡単である。
【0024】請求項5の発明では、請求項1〜3の何れかの発明の効果に加え、シートベルトリトラクタに作用する荷重を荷重伝達部材を介して縦フレームの下部に伝達するため、荷重を縦フレームの圧縮方向へより確実に伝達することができる。
【0025】請求項6の発明では、請求項5の発明の効果に加え、シートベルトリトラクタに作用する荷重を縦フレームに締結具により締結された荷重伝達部材を介して確実に伝達することができる。
【0026】請求項7の発明では、請求項5又は6の発明の効果に加え、箱状の荷重伝達部材によってシートベルトリトラクタに作用する荷重を縦フレームへ確実に伝達することができる。
【0027】請求項8の発明では、請求項7の発明の効果に加え、シートベルトリトラクタの荷重を荷重伝達部材の当接部から縦フレームの最下部の受け面を介し縦フレームへ確実に伝達することができる。従って、ベルトテンションを縦フレームの圧縮方向へより確実に伝達することができる。
【0028】請求項9の発明では、請求項7の発明の効果に加え、シートベルトリトラクタに作用する荷重を荷重伝達部材の当接部から縦フレームの最下部の縁部を介し縦フレームに確実に伝達することができる。従って、ベルトテンションを縦フレームの圧縮方向へ確実に伝達することができる。
【0029】請求項10の発明では、請求項5〜7の何れかの発明の効果に加え、シートベルトリトラクタの荷重が縦フレームの下部に嵌合する荷重伝達部材の傾斜当て面から縦フレームの傾斜受け面に伝達され、荷重を縦フレームの圧縮方向に確実に伝達することができると共に、荷重伝達時に縦フレームの下部に対し荷重伝達部材の位置決めを行うことができ、より確実に荷重伝達を行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態に係るシートベルト一体シートの一部省略斜視図を示している。尚、図17〜図20で説明した構成と対応する構成部分には同符号を付して説明し、重複した説明は省略する。
【0031】図1の実施形態では、シートクッション9を想像線で示し、シートバック7のシートバッククッションは省略している。そして、全体的に構成を説明すると、シートベルト一体シート1は、シートベルト装置3を一体に備え、またシートバック7とシートクッション9とを備えている。
【0032】前記シートクッション9は、アッパースライドレール13aに固定され、該アッパスライドレール13aの後端にリクライニング装置11を介して前記シートバックフレーム7の下端が結合されている。このリクライニング装置11によってシートバック7はシートクッション9に対し前後方向へ回転可能であり、所定位置で位置決めることができる。尚、前記シートスライド装置13のロアレール13bは、車体側の図示しないフロアパネルに締結固定されている。
【0033】前記シートバック7のシートバックフレーム25は、例えばアルミダイキャストで中空に一体成形され、縦フレーム27,29、及び横フレーム31,33とからなる枠状を呈している。
【0034】前記縦フレーム27,29はシートバック7の左右に配置されて、下部が前記リクライニング装置11、アッパースライドレール13aを介してシートクッションフレーム側にそれぞれ結合された構成となっている。前記横フレーム31,33はシートバック7の上下において横方向に延び、前記縦フレーム27,29相互間を結合している。
【0035】また、前記右側の縦フレーム27はその上部27aが前記上側の横フレーム31よりもさらに突出している。また、縦フレーム27の前面には上側の横フレーム31の下側において開口28が形成されている。
【0036】前記一方の縦フレーム27の下部には、緊急ロック可能なシートベルトリトラクタ(ELR)35が取り付けられている。この取付けは、縦フレーム27の下部に取り付けられた荷重伝達部材37を介して行われている。さらに前記縦フレーム27の下部には、リクライナブラケット39が4つのボルトナット41によって締結され、さらに下側のボルトナット41にリクライニング装置11のアーム11aが共締めされている。
【0037】前記シートベルト装置3のシートベルト5は、前記シートベルトリトラクタ35に巻き取り自在に結合され、他端にタング43が取り付けられ、該タング43がシートクッションフレーム側、すなわちアッパスライドレール13a後部に取り付けられたアウターバックル45に係脱自在に結合され、且つ中間に係合具としてのタング23を備えている。前記タング23は、他方側のシートスライドレール13aの後部に取り付けられた係止具としてのインナーバックル21に係脱自在に係止されている。
【0038】前記シートベルトリトラクタ35が下部に取り付けられた縦フレーム27の上部27aには、上部支持部47が設けられている。この上部支持部47は、前記シートベルトリトラクタ35から開口28を介して引き出されたシートベルト5を折り返し支持している。上部支持部47は、スルーアンカ47aと、該スルーアンカ47aを軸周りに回転自在に支持する支持部材47bとからなり、支持部材47bは前記縦フレーム27の上部27aに取り付けられている。スルーアンカ47aに対しシートベルト5は移動自在に支持されている。
【0039】ここで、前記シートベルトリトラクタ35の荷重伝達部材37を介した取付けについて図2,図3を用いて更に説明する。
【0040】図2は、荷重伝達部材37と縦フレーム27の下部27bと、リクライナブラケット39との取付関係を示す斜視図であり、図3は同分解斜視図である。この図2,図3のように、縦フレーム27の下部27bは中空状に形成され、傾斜して設定された壁27c、27e,27h,27iの内面により傾斜受け面を構成している。
【0041】前記下部27bの外側の壁27dには、4つの取付孔49a,49b,49c,49dが貫通して設けられている。前側の2個の取付孔49b,49dは、前記傾斜受け面27cに沿って配置され、後側の2個の取付孔49a,49cは後の壁27eが構成する傾斜受け面に沿って上下に配置されている。前記下部27bの内側の壁27fには、3つの取付孔51a,51b,51cが貫通して設けられている。
【0042】前記荷重伝達部材37は、前記シートベルトリトラクタ35を固定する箱状に形成され、前記縦フレーム27の下部27bの内側に嵌合する構造であり、その嵌合部37Aの横断面は、前記縦フレーム27下部27bと略相似形状を呈している。従って、荷重伝達部材37の各壁37a,37b,37c,37d,37e,37f,37gは、前記縦フレーム27の下部の各壁27c,27d,27e,27f,27f,27h,27iにそれぞれ対応し、その傾斜や湾曲が対応して形成されているものである。
【0043】前記荷重伝達部材37の壁37a、37c,37f,37gは傾斜して設定され、その外面で傾斜当て面を構成し、該傾斜当て面は前記縦フレーム27の下部27bの傾斜した壁27c、27e,27h,27iで構成された傾斜受け面に当接している。
【0044】前記荷重伝達部材37の外側の壁37bには、前記取付穴49a,49b,49c,49dに対向する締結穴53a,53b,53c,53dが設けられている。また、荷重伝達部材37の内側の壁37dにも3つの締結穴55a,55b,55cが貫通して設けられている。
【0045】荷重伝達部材37の下部は、壁37i,37j,37k,37m,37n,37pで囲まれたリトラクタ収納部37Bとなっており、リトラクタ取付用の開口37qが設けられている。
【0046】そして、開口部37qからシートベルトリトラクタ35を収容し、そのアーム35a,35bが荷重伝達部材37の壁37e,37mに図示しないボルトナットにより締結固定されている。
【0047】前記リクライナブラケット39は、前記縦フレーム27の下部27bの外側の壁27dに対応した形状に形成され、前記取付穴49a,49b,49c,49dに対向する貫通穴57a,57b,57c,57dを備えている。
【0048】そして、前記縦フレーム27の下部27bの下側から前記荷重伝達部材37の嵌合部37Aを挿入し、前記下部27bの各取付穴49a,49b,49c,49d,51a,51b,51cに荷重伝達部材37の締結穴53a,53b,53c,53d,55a,55b,55cをそれぞれ対向させ、且つ前記下部27bの外側の壁27dの外側からリクライナブラケット39を当て、貫通孔57a,57b,57c,57d、取付穴49a,49b,49c,49d、締結穴53a,53b,53c,53dの部分でそれぞれ締結具であるボルトナット41により締結固定している。また、前記下部27bの内側の壁27fの取付穴51a,51b,51cと、荷重伝達部材37の締結穴55a,55b,55cの部分で、同様にボルトナット41によりそれぞれ締結固定している。
【0049】尚、取付穴49c,49d、締結穴53c,53d、貫通孔57c,57dの部分では、前記のようにリクライニング装置11のアーム11aが共締めされるものである。
【0050】この状態において、前記下部27bの壁27c,27e,27h,27jの傾斜受け面に荷重伝達部材37の壁37a,37c,37f,37hの傾斜当て面を突き当て位置決めを行なっている。
【0051】かかる構成において、例えば車両前面衝突のような場合に、前記シートベルトリトラクタ35の衝突検知センサが衝突を検知し、その結果シートベルトリトラクタ35が緊急ロックされる。
【0052】次に、乗員Pが図4のようにシートバック7に対し前方へ移動すると、ラップベルト5b及びショルダーベルト5aにテンションが発生し、乗員を拘束し始める。このとき、シートバックフレーム25の一方の縦フレーム27の上部27aのスルーアンカ47aを経由して、シートベルトリトラクタ35の荷重伝達部材35を過大な荷重で上方に引き上げようとする。
【0053】荷重伝達部材37が引き上げられようとすると、ボルトナット41による締結部分及び前記壁27c,27e,27h,27hの傾斜受け面と壁37a,37c,37f,37hの傾斜当て面との当接によって、その荷重が縦フレーム27の下部に上方へ向かって確実に伝達される。
【0054】これによって、スルーアンカ47aとシートベルトリトラクタ35との間において、縦フレーム27が中立軸に沿って圧縮されることになる。このため、シートバックフレーム8に作用する大部分の曲げ荷重が縦フレーム27の軸荷重に置き換えられ、リクライニング装置11には過大な回転トルクが発生せず、シートスライドレール13側に伝わる荷重を抑制することができる。
【0055】従って、シートスライドレール13等の小型化、軽量化を図ることができると共に、シートバック7が前傾するのを抑制でき、乗員Pの拘束性をより向上させることができる。
【0056】これを図6,図7を用いてさらに説明する。図6(a)は単純化した縦フレーム27の下端を固定し、上端に曲げ荷重FHを与えた純曲げ状態を示し、曲げ応力の分布はDのようになっている。縦フレーム27の長さをLとすると、リクライニング装置11に作用する曲げモーメントはM=FH×Lとなっている。また、この時の横断面での荷重分布を見ると、中立軸Cを境に一方側で圧縮荷重w1の分布となり、他方側で引っ張り荷重w2の分布となっている。
【0057】図6(c)は、同様に縦フレーム27を荷重FVで純軸圧縮した状態を示している。この時の断面での荷重分布を見ると、(d)のように全体的に圧縮荷重w3が均一に作用している。
【0058】本発明の第1実施形態は、これら(a)の純曲げ状態と(c)の純軸圧縮状態との合成となっている。すなわち、図7(a)のように、本第1実施形態においては、シートベルトからの荷重Fに対し、上部支持部であるスルーアンカ47aとシートベルトリトラクタ35との間で、シートベルトのベルトテンションが縦フレーム27に作用するため、大部分の曲げ荷重が軸荷重に置き換えられている。
【0059】すなわち純曲げによる圧縮側の荷重w1に対し、純軸圧縮による圧縮荷重w3が加えられ、同引っ張り側においては純曲げによる引っ張り荷重w2に対し、純軸圧縮による圧縮荷重w3が差し引かれることになり、中立軸CはC1へとシフトし、圧縮側の面積が大きく拡大することになる。
【0060】すなわち前記のようなシートベルトリトラクタ35と、上部支持部47の配置によって大部分の曲げ荷重を縦フレーム27の軸荷重に置き換え、上記作用効果を確実に奏することができるのである。
【0061】(第2実施形態)図8は本発明の第2実施形態にかかる要部の分解斜視図である。この図8は前記第1実施形態の図3と対応している。尚、図3と対応する構成部分には同符号を付して説明し、重複した説明は省略する。
【0062】一方、本第2実施形態においては、縦フレーム27の下部27bの最下部に縁部27kを有し、且つ縁部27kの周囲に平坦なフランジ27mによって受け面271mを構成している。一方、前記荷重伝達部材37には、その嵌合部37Aの周囲に平坦なフランジ37rを設け、前記縦フレーム27側のフランジ27mによる受け面271mに突き当てる当接部371rを形成している。
【0063】従って、本実施形態においては、荷重伝達部材37の嵌合部37Aを縦フレーム27の下部27bに嵌合して取り付けたとき、下部27bの最下部の縁部27k及び受け面271mに荷重伝達部材37のフランジ37rの当接部371rが突き当てられることになる。
【0064】かかる構成によって、本実施形態においては、第1実施形態の構造、作用に加え、さらに縁部27k及び受け面271mに当接部371rが突き当てられ荷重伝達を行なうことができるため、シートベルトリトラクタ35からの荷重を荷重伝達部材37を介し縦フレーム27の下部27bにより確実に伝達することができ、大部分の曲げ荷重を軸荷重により確実に置き換えることができる。
【0065】尚、本実施形態においては、フランジ27m,37rを平坦形状に形成したが、それぞれ断面U字状に形成して突き当てる構造にすることも可能である。この断面U字状に形成した場合には、フランジ27m,37r相互間の位置決めを確実に行ない、より確実な荷重伝達を可能にすることができる。
【0066】(第3実施形態)図9,図10は本発明の第3実施形態を示し、図9はシートベルト一体シートの一部省略全体斜視図、図10は縦フレームの要部切断斜視図である。
【0067】本実施形態においては、縦フレーム27にシートベルト5の引き回しをずらす変換手段59を設けたものである。
【0068】本実施形態において、変換手段59はローラ59aで構成され、該ローラ59aのシャフト591aは、両端の駒591bに回転自在に支持され、該駒591bは外側の壁27d、内側の壁27nに形成された穴271d,271nに固着されている。このローラ59aの位置は、縦フレーム27の中立軸Cより離間すると共に、ベルトテンションが作用したとき、縦フレーム27の引っ張り側となる後の壁27e側となっている。
【0069】ローラ59aを組み込むときは、ローラ59aとシャフト591a、駒591bが一体になったものを外側の壁27dの孔271d等から差し込む。そして駒591bを孔271d,271nに固着するものである。
【0070】従って、本実施形態では、ローラ59aによりシートベルト5の引き回しを滑らかに行なうことができるようになっている。
【0071】かかる構造を概略的に示したのが図11(a)であり、ローラ59aが縦フレーム27の上下中間部において、引っ張り側となる部分に取り付けられている。したがって、シートベルト5に荷重Fが作用すると、そのときの断面内の荷重分布は図11(b)のようになる。
【0072】すなわち、前記第1実施形態の図6,図7のように、純軸圧縮と純曲げとの合成である荷重w1,w2,w3に、さらに荷重w4が分布する。つまり、ベルトテンションが働くと、ローラ59aは図11(a)において右側へ押圧されるため、縦フレーム27の図中右側では若干引っ張り荷重が増え、同左側では圧縮荷重が増えることになる。
【0073】これを図11(b)で示すと、圧縮側で荷重w4が圧縮荷重に対し差し引かれ、引っ張り側ではw4が引っ張り荷重に対して付加されることになる。従って、圧縮領域がより増大することになり、より均等に圧縮荷重を発生させることができる。
【0074】従って、本実施形態においても、第1実施形態と略同様な作用効果を奏することができる他、圧縮荷重がより均等化し、リクライニング装置11に発生する回転トルクの抑制や、シートスライドレール13の小型化、軽量化をより促進することができる。
【0075】図12は変形例に係り、変換手段としてブラケット59bを用いたものである。このブラケット59bはハット断面形状を呈し、縦フレーム27の後の壁27eに固着されている。壁27eには、この部分において穴が設けられ、この部分にブラケット59bを予め固着した閉塞部材271eを嵌め込んで溶接したものである。
【0076】この図12のようなブラケット59bを用いた変換手段においても、図10と同様な作用効果を奏することができる。また、ブラケット59bを用いるため構造が簡単である。
【0077】図13は、前記変換手段59と中立軸Cとの配置状態を種々変えたものを示している。(d)は前記第3実施形態のものである。これに対し、(a)は変換手段59を中立軸上に配置し、(b)は中立軸Cよりも若干圧縮側に配置し、(c)は若干引っ張り側に配置したものである。これらCASE1からCASE4の内部吸収エネルギFXS(KN−mm)を見ると、図14のようになっている。この図14で示すように、本実施形態のCASE4が最も高いエネルギ吸収を行なうことができる。また、同じ引っ張り荷重Fに対する自由端の変位を見ると、本実施形態のCASE4が最も少なくなっている。すなわち、上記形態とすることによって、乗員の初期拘束性が著しく向上すると共に、軽量化、小型化を図ることができるのである。
【0078】図16は変換手段59をさらに増加したもので、(a)はスルーアンカ47aの下側で圧縮側に配置され、さらにその下側で引っ張り側に配置したものである。また(b)はスルーアンカ47aの下側で引っ張り側に、さらにその下側で圧縮側に配置したものである。(c)はスルーアンカ47aの下側で圧縮側に、さらにその下側で引っ張り側に、さらにその下側で圧縮側にそれぞれ配置したものである。これら変換手段59の構成は、図10や図12と同様に構成することができる。
【0079】そしてこのように、変換手段59を複数設けた場合には、さらに圧縮荷重を均等に発生させることができ、シートバック7の前傾をより抑制し、またシートスライドレール13等の小型化、軽量化をより促進することができる。
【0080】さらに上記各実施形態のようなシートベルト一体シート1にチャイルドシートを取付け、このチャイルドシートをシートベルト5によって、シートバック7に固定する場合には、前記のように衝突時にシートベルト5にベルトテンションが発生しても、シートバック7が前方へ傾斜するのを大きく抑制することができるため、チャイルドシートの前方移動量を大きく抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成11年6月18日(1999.6.18)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開2001−1862(P2001−1862A)
【公開日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願番号】 特願平11−172968