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【発明の名称】 多重通信装置の受信回路
【発明者】 【氏名】岸 隆行

【要約】 【課題】簡単な構成で,かつ運転席用エアバッグユニットの定電圧回路の出力電圧のバラツキを受けない多重通信装置の受信回路を提供する。

【解決手段】主回路ユニットと複数の副回路ユニットとを備え、主回路ユニットから複数の副回路ユニットのそれぞれに電源ラインを介して給電し、さらに複数の副回路ユニットは、電源ラインに介挿された受信回路によって主回路ユニットからの信号の授受を行う多重通信装置において、副回路ユニットのそれぞれに設けられた受信回路は、電源ラインに直列に介挿された一定電圧降下部と、その一定電圧降下部の両端子間の電位差を抽出する差動電圧検出部とを有し、差動電圧検出部の出力を受信信号として副回路ユニットに供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 主回路ユニットと複数の副回路ユニットとを備え、前記主回路ユニットから前記複数の副回路ユニットのそれぞれに電源ラインを介して給電され、さらに前記複数の副回路ユニットは、前記電源ラインに介挿された受信回路を含み、該受信回路によって前記主回路ユニットからの信号の受信を行う多重通信装置において、前記受信回路は、前記電源ラインに直列に介挿された一定電圧降下部と、その一定電圧降下部の両端子間の電位差を抽出する差動電圧検出部とを有し、該差動電圧検出部の出力を受信信号として前記副回路ユニットに供給することを特徴とする多重通信装置の受信回路。
【請求項2】 前記一定電圧降下部は、エミッタ接地されたトランジスタと、該トランジスタのベース端子・グランド間に直列に介挿された抵抗とから構成されてなることを特徴とする請求項1記載の多重通信装置の受信回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば車両の前方及び側方からの衝突事故時に乗員を保護するエアバッグ等が複数個備えられてなる乗員保護装置に用いられる多重通信装置の受信回路に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の乗員保護装置を、電源ラインを信号線として互いに多重通信を行う運転席用エアバッグユニット(又はプリテンショナユニット)1、運転席用サイドエアバッグユニット2及び助手席用サイドエアバッグユニット3から構成される図3に示すものに基づいて以下に説明する。
【0003】まず、運転席用エアバッグユニット1について説明する。第1、第2及び第3昇圧回路6,7,8は、イグニッションスイッチ5を介して供給されるバッテリ4からの入力電圧を昇圧してそれぞれに接続された第1、第2及び第3バックアップコンデンサ9,10及び11を充電する。
【0004】第1、第2及び第3スイッチ回路12,13,14のそれぞれの入力端子は、対応する第1、第2及び第3章圧回路6,7,8の出力端子に接続され、また出力端子は対応する第1、第2及び第3雷管15,16,17に接続されている。また前記第1、第2及び第3スイッチ回路12,13,14は、それぞれの制御入力端子に後述のマイクロコンピュータ20から点火信号が供給されるとオンして、前記第1、第2及び第3雷管15,16,17に点火電流が、対応する前記第1、第2及び第3バックアップコンデンサ9,10,11から供給される。
【0005】20はマイクロコンピュータで、衝突判断機能を有し、前後方向加速度センサ19から供給される加速度信号に基づいて重大衝突と判断したときに第1スイッチ回路12をオンすることによって第1バックアップコンデンサ9に充電された電荷を、第1雷管15、機械式加速度スイッチ18に直列に点火電流として流し、運転席用前面衝突用エアバッグを展開(又はプリテンションナを作動)させる。
【0006】又、前記マイクロコンピュータ20は、後述のマイクロコンピュータ31又は41から、重大な側面衝突を示す信号が電源ラインA及び信号ラインZを介して供給されてきたときに第2または第3スイッチ回路13,14をオンすることによって第2又は第3バックアップコンデンサ10又は11に充電された電荷を、第2又は第3雷管16,17に流して、運転席又は助手席のバックシート等に設備されたサイドエアバッグを展開させる。
【0007】定電圧回路23は、前記バッテリ4の出力電圧を抵抗24及び電源ラインAを介して後述の運転席用及び助手席用サイドエアバッグユニット2,3に供給する。第1受信回路26は、電源ラインAを通信ラインとし、前記運転席用及び助手主席用サイドエアバッグユニット2,3からの応答信号を受信して、信号ラインZによって前記マイクロコンピュータ20に供給する。第1送信回路25は、前記マイクロコンピュータ20から前記運転席用及び助手席用サイドエアバッグユニット2,3への要求信号を信号ラインXを介して供給され、それを電源ラインAに重畳する。
【0008】次に、助手席用サイドエアバッグユニット3を、共に同一構成であるサイドエアバッグユニット2,3の代表として説明するが、助手席用サイドエアバッグユニット3を構成する第2左右方向加速度センサ40、マイクロコンピュータ41、第2加速度スイッチ42、第3送信回路43、抵抗44及び第3受信回路45のそれぞれは、運転席用サイドエアバッグユニット2を構成する第1左右方向加速度センサ30、マイクロコンピュータ31、第1加速度スイッチ32、第2送信回路33、抵抗34及び第2受信回路35と同一構成であるのでその詳細説明は省略する。
【0009】すなわち、前後方向加速度センサ19と同一特性の第2左右方向加速度センサ40は、前後方向加速度センサ19と検出方向が90度異なり、車両の左右方向の加速度を検出するように取り付けられ、その検出出力である加速度信号をマイクロコンピュータ41に供給する。
【0010】マイクロコンピュータ41は、前記マイクロコンピュータ20と同様に衝突判断機能を有し、前記第2左右方向加速度センサ40から供給される加速度信号と、第2加速度スイッチ42から供給されるスイッチ信号とに基づいて衝突の規模を判断し、その判断結果を、前記マクロコンピュータ20からの要求信号に対する応答信号として第3送信回路43、抵抗44を直列に介して電源ラインAに送出する。なお、スイッチ信号は第3左右方向加速度センサ42aから出力される加速度信号を比較回路42bの基準値と比較し、加速度信号が基準値を越えたとき出力される。
【0011】次に、上記構成の作用を説明する。イグニッションスイッチ5がオンされると、第1、第2及び第3昇圧回路6,7及び8によってバッテリ4の出力電圧が供給され、その昇圧出力によって第1、第2及び第3バックアップコンデンサ9,10,11が充電され、運転席用エアバッグユニット1のマイクロコンピュータ20が作動を開始する。また、定電圧回路23もこれに同期して運転席用及び助手席用サイドエアバッグユニット2,3に給電を開始する。
【0012】その後、車両が追突等の前後方向の前方衝突をしたとき、運転席用エアバッグユニット1の機械式加速度スイッチ18がオンし、更にマイクロコンピュータ20が前後方向加速度センサ19からの加速度信号に基づいて重大衝突と判断すると、マイクロコンピュータ20は第1スイッチ回路12をオン制御して第1バックアップコンデンサ9に充電された電荷を雷管15に通電し、運転席のエアバッグ等を展開させ乗員を前後方向衝突から保護する。
【0013】一方、運転席用サイドエアバッグユニット2のマイクロコンピュータ31は第1加速度スイッチ32からのスイッチ信号と、第1左右方向加速度センサ30からの加速度信号とに基づいて重大衝突と判断すると、そのデータをマイクロコンピュータ20からの要求信号に対する応答信号として第2送信回路33、抵抗34、電源ラインA、第1受信回路26及び信号ラインZを介してマイクロコンピュータ20に供給する。その結果、マイクロコンピュータ20は、第2スイッチ回路13をオン制御して第2バックアップコンデンサ10に充電された電荷を雷管16に供給して運転席バックシート等に設備されたエアバッグを展開して乗員を側方衝突から保護する。
【0014】同様に、助手席用サイドエアバッグユニット3のマイクロコンピュータ41は、第2加速度スイッチ42からのスイッチ信号と、第2左右方向加速度センサ40からの加速度信号とに基づいて重大衝突と判断すると、マイクロコンピュータ41は、そのデータを第3送信回路43、抵抗44、電源ラインA、第1受信回路26及び信号ラインZを介してマイクロコンピュータ20に供給する。その結果、マイクロコンピュータ20は、第3スイッチ回路14をオン制御して第3バックアップコンデンサ11に充電された電荷を雷管17に供給して助手席バックシート等に設備されたエアバッグを展開して乗員を側方衝突から保護する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の如き乗員保護装置の運転席用エアバッグユニット(又はプリテンショナユニット)1における一般に市販されているICで定電圧回路を構成した場合、出力電圧のバラツキに影響されないように、運転席用サイドエアバッグユニット2及び助手席用サイドエアバッグユニット3の受信回路を構成しなくてはならない。
【0016】この発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で,かつ運転席用エアバッグユニットの定電圧回路の出力電圧のバラツキを受けない多重通信装置の受信回路を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明は、主回路ユニットと複数の副回路ユニットとを備え、前記主回路ユニットから前記複数の副回路ユニットのそれぞれに電源ラインを介して給電され、さらに前記複数の副回路ユニットは、前記電源ラインに介挿された受信回路を含み、該受信回路によって前記主回路ユニットからの信号の受信を行う多重通信装置において、前記受信回路は、前記電源ラインに直列に介挿された一定電圧降下部と、その一定電圧降下部の両端子間の電位差を抽出する差動電圧検出部とを有し、該差動電圧検出部の出力を受信信号として前記副回路ユニットに供給するようにしたものである。
【0018】この発明は、第1の発明における一定電圧降下部は、エミッタ接地されたトランジスタと、該トランジスタのベース端子・グランド間に直列に介挿された抵抗とから構成されてなるようにしたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.図1において、既に図3において説明した構成のものと同一構成のもの、または均等なものには同一符号を付してその詳細説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に説明する。なお、以下の説明においては、運転席用サイドエアバッグユニットの構成は、以下に述べる助手席用サイドエアバッグユニット3’と同一構成であるので説明は省略する。
【0020】50はトランジスタ50aとバイアス抵抗50bとバイパスコンデンサ50cとからなる逆流防止回路で、助手席用サイドエアバッグユニット3’の電源ラインAの接続端子と定電圧回路23との間に介挿され、順方向電圧降下の小さいダイオードと同様の働きをする電流が流れ込むことによって、非能動領域で作動を開始し、その入出力間で一定電圧VCESATを発生する。
【0021】それによって、電源ラインAの電圧が例えばV1〜V2の許容範囲内のバラツキを有していても、トランジスタ50aのコレクタ端子とエミッタ端子とのそれぞれには、そのバラツキと同一の変化が定常的に発生しているので、トランジスタ50aのコレクタ、エミッタ間には常にVCESATの一定電位差が発生する。
【0022】そのために、通信により電源ラインAの電圧レベルがローレベル、又はハイレベルに変化しても、前記バラツキに関係なくトランジスタ50aのコレクタ端子、エミッタ端子間には常に一定電圧が発生する。
【0023】なお、このようなトランジスタ50aとバイアス抵抗50bとバイパスコンデンサ50cとから逆流防止回路を構成したが、この代わりに1本のツェナーダイオードを電源ラインAに介挿することも考えられるが、ツェナーダイオードにした場合、ツェナーダイオード特有の順方向電圧降下による電圧降下が大きく(一般的には0.6V)、マイコロコンピュータ41の正常作動に必要な電圧に対してその電圧降下分だけ高い電圧を運転席用エアバッグユニット1の定電圧回路23で発生させなくてはならない。
【0024】そのためには、場合によっては、一般に市販されている定電圧回路用ICが使用できない場合があり、個別部品で構成しなくてはならない場合も考えられ、この場合コストアップになる。
【0025】ちなみに、前記逆流防止回路50をトランジスタ50aとバイアス抵抗50bとバイパスコンデンサ50cとから構成することによる電圧降下分は0.2Vとなって損失が少なくなり、かつ電位差が少なくても要求信号としての電位差を確実に検出できる。
【0026】51は第1抵抗分割回路52、第2抵抗分割回路53、比較回路54及びプルアップ抵抗55からなる第4受信回路で、第1抵抗分割回路52は、前記逆流防止回路50の入力側の電圧を分割して出力する。また第2抵抗分割回路53は、前記逆流防止回路50の出力側の電圧を分割して出力する。
【0027】比較回路54は、第1抵抗分割回路52及び第2抵抗分割回路53から出力される電圧を比較して、前記電源ラインAに重畳されて伝送されてくる要求信号を検出する。
【0028】プルアップ抵抗55は、比較回路54の出力端子に接続されて、比較回路54が要求信号を受信しないときには常にマクロコンピュータ41にハイレベル信号を供給する。
【0029】なお、図中、第3送信回路43をトランジスタ、抵抗を複数用いて構成したものを開示したが、これは通常一般的に用いられている公知の技法である。
【0030】上記のように第4受信回路51に供給される要求信号のローレベル、ハイレベルの電位差を逆流防止回路50で一定にしているので、その電位差が小さくても確実に検出することが出来る。またそれによって、図3における定電圧回路23(これに限らず、一定電圧を出力するDC/DCコンバータ等の昇圧回路であっても)の出力電圧が大きなものを使用しなくてもよくなるので、従来のICで済む。
【0031】なお、本発明とは異なるが、受信回路を安価に構成したい場合には、図2に示すようなものがある。すなわち、受信回路60をトランジスタ60a,60b、バイアス抵抗60c,60d,60e,60f,60g、カップリングコンデンサ60hのみで構成し、前記逆流防止回路50の入力側の電位のみをその受信回路60に入力し、電圧変動分のみを抽出してもよい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、受信回路を、電源ラインに直列に介挿された一定電圧降下部と、その一定電圧降下部の両端子間の電位差を抽出する電圧比較部とを有し、電圧比較部の出力を受信信号として副回路ユニットに供給するようにしているので、主回路ユニット側の定電圧回路の出力電圧のバラツキに関係なく受信信号を確実に検出することが出来る。
【0033】この発明によれば一定電圧降下部を、エミッタ接地されたトランジスタと、該トランジスタのベース端子・グランド間に直列に介挿された抵抗とから構成しているので、電圧降下を極力小さくでき、主回路ユニットの定電圧回路の出力電圧を高めなくてもよい。
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
【出願日】 平成11年6月17日(1999.6.17)
【代理人】 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭 (外1名)
【公開番号】 特開2001−1860(P2001−1860A)
【公開日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願番号】 特願平11−171507