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【発明の名称】 乗員保護システム
【発明者】 【氏名】花崎 泰将

【要約】 【課題】従来の乗員保護装置では、各乗員保護装置個々に対して書込み作業を行う必要があるため、乗員保護装置の数が多いほど作業に費やす時間も多くなり作業効率が悪いという問題点があった。

【解決手段】それぞれ、前後方向加速度センサ11、左右方向加速度センサ24から出力される加速度信号を基にして、マイクロコンピュータ10、23によって衝突の程度を判定し、その判定結果によりエアバッグを展開するように構成された運転席エアバッグシステム1及び運転席サイドエアバッグシステム2を備え、マイクロコンピュータ10、23の衝突の判定に用いるパラメータを運転席エアバッグシステム1のEEPROM15に記憶させ、運転席サイドエアバッグシステム2には、通信ライン19を通じて、電源投入のつどパラメータを送信するようにしたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 衝突に応じた第一の加速度信号を出力する第一の加速度センサと、衝突判定に用いられるパラメータを記憶する記憶部と、この記憶部に記憶されたパラメータを用いて上記第一の加速度センサから出力される第一の加速度信号を基にして衝突を判定する第一の衝突判定部とを有する第一の乗員保護装置、衝突に応じた第二の加速度信号を出力する第二の加速度センサと、上記第一の乗員保護装置の記憶部に記憶されたパラメータを用いて、上記第二の加速度センサから出力される第二の加速度信号を基にして衝突を判定する第二の衝突判定部とを有する第二の乗員保護装置を備え、第一の乗員保護装置と第二の乗員保護装置とは、通信手段によって接続され、上記記憶部に記憶されたパラメータは上記通信手段によって第二の乗員保護装置に通知されることを特徴とする乗員保護システム。
【請求項2】 第一の乗員保護装置は、第一の加速度センサの故障を診断する第一の診断部を有することを特徴とする請求項1記載の乗員保護システム。
【請求項3】 第二の乗員保護装置は、第二の加速度センサの故障を診断する第二の診断部を有し、上記第二の診断部の診断結果は、通信手段により第一の乗員保護装置に通知されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の乗員保護システム。
【請求項4】 第一の加速度センサは、前後方向の加速度センサであり、第二の加速度センサは、左右方向の加速度センサであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の乗員保護システム。
【請求項5】 記憶部は、不揮発性メモリによって構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の乗員保護システム。
【請求項6】 第一の乗員保護装置は、電源が投入されるつど、記憶部のパラメータを第二の乗員保護装置に通知することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の乗員保護システム。
【請求項7】 第二の乗員保護装置は、第一の乗員保護装置から送信されたパラメータを不揮発性メモリに記憶させることを特徴とする請求項1〜請求項6にいずれか一項記載の乗員保護システム。
【請求項8】 第二の乗員保護装置は、複数備えられていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項記載の乗員保護システム。
【請求項9】 第一の乗員保護装置及び第二の乗員保護装置は、衝突判定時に動作する乗員保護部を有することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項記載の乗員保護システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば車両の衝突事故時に乗員を保護する乗員保護装置が複数個備えられた乗員保護システムに関するもので、特に各乗員保護装置同士の通信に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】図2は、従来の乗員保護システムを示す回路ブロック図である。最初に、各乗員保護装置同士が通信を行う一般的なシステムを、図2に基づいて説明する。この種の乗員保護システムは主乗員保護装置である運転席エアバッグシステムと副乗員保護装置である運転席サイドエアバッグシステムとから成る。まず、運転席エアバッグシステムから説明する。
【0003】図2において、1は第一の乗員保護装置であり主乗員保護装置である運転席エアバッグシステム、2は第二の乗員保護装置であり副乗員保護装置である運転席サイドエアバッグシステム、3はイグニッションスイッチ4を介して運転席エアバッグシステム1に電圧を供給するバッテリ、5はバッテリ3の供給する電圧を昇圧する昇圧回路、6は昇圧回路5によって昇圧された電圧で充電されるバックアップコンデンサ、7は昇圧回路5によって昇圧された電圧が供給される電源回路で、運転席エアバッグシステム1を構成する各回路に電力を供給する。8は昇圧回路5によって昇圧された電圧が供給されるサイド電源回路で、運転席サイドエアバッグシステム2に電源ライン9を介して電源電圧を供給する。10はマイクロコンピュータで、電源回路7によって電力が供給される。11は車両の前後方向に発生する加速度を検出する第一の加速度センサである前後方向加速度センサで、検出された第一の加速度信号はマイクロコンピュータ10に供給される。マイクロコンピュータ10は衝突判定機能である第一の衝突判定部を有し、前後方向加速度センサ11から供給される加速度信号に基づいて衝突の規模を判定し、重大衝突と判定した時に第一スイッチ回路12をオンすることによって、バックアップコンデンサ6に充電された電荷を放電し、機械式加速度スイッチ13、スクイブ14に点火電流を流し、乗員保護部であるエアバッグ等を展開させる。ここで、機械式加速度スイッチ13は通常時オフ状態であるが、衝突時にオン状態となる。
【0004】15は前後方向衝突判定に使用するパラメータが収納されている不揮発性メモリを構成するEEPROMで、このパラメータは車両の衝突試験を経て決まる数字であって車種毎に異なるものである。EEPROM15は重大衝突時に前後方向加速度センサ11から供給される加速度信号を記憶保持する。16は第二スイッチ回路、17は第二スイッチ回路16とバックアップコンデンサ6に接続されたスクイブである。18は運転席サイドエアバッグシステム2と通信手段を構成する通信ライン19を介して通信を行う通信インターフェースである。20はグランドラインである。
【0005】また、マイクロコンピュータ10は機械式加速度スイッチ13、スクイブ14、前後方向加速度センサ11等の故障診断機能である第一の診断部を有する。このうち、機械式加速度スイッチ13、スクイブ14の断線または短絡診断等は、機械式加速度スイッチ13、スクイブ14のそれぞれの端子電圧及びその電圧差に基づいてマイクロコンピュータ10が判断し、断線または短絡等と判断した場合には、図示されないアラームランプ等の警報装置を用いて乗員に知らせる。
【0006】また、前後方向加速度センサ11の故障診断は、前後方向加速度センサ11が検出した加速度信号に基づいてマイクロコンピュータ10が判断し、故障と判断した場合には、上記と同様にアラームランプ等の警報装置を用いて乗員に知らせる。さらにこれらの診断結果は、EEPROM15に記憶保持される。
【0007】さらに、マイクロコンピュータ10は通信インターフェース18、通信ライン19を介して運転席サイドエアバッグシステム2に対して各種診断信号の供給を要求する要求信号を一定周期毎に出力する一方で、その要求信号に対して運転席サイドエアバッグシステム2から通信ライン19、通信インターフェース18を介して各種診断信号を応答信号として受信し、その応答信号の種類に応じて上記と同様にアラームランプ等の警報装置を用いて乗員に知らせる。マイクロコンピュータ10は、運転席サイドエアバッグシステム2から重大衝突に係わる応答信号を受信した時、第二スイッチ回路16をオンすることによってバックアップコンデンサ6に充電された電荷を放電し、スクイブ17に点火電流を流して乗員保護部であるサイドエアバッグ等を展開させる。
【0008】次に、運転席サイドエアバッグシステム2の詳細について説明する。21は電源回路であり、運転席エアバッグシステム1から電源ライン9を介して供給される電圧を受け、運転席サイドエアバッグシステム2を構成する各回路に電力を供給する。22は運転席エアバッグシステム1と通信ライン19を介して通信を行う通信インターフェース、23は運転席サイドエアバッグシステム2を制御するマイクロコンピュータである。24は前後方向加速度センサ11と同一の加速度センサで、前後方向加速度センサ11と検出方向が異なり、車両の左右方向の加速度を検出するように取り付けられ、その検出出力である第二の加速度信号をマイクロコンピュータ23に供給する第二の加速度センサの左右方向加速度センサである。マイクロコンピュータ23はマイクロコンピュータ10と同様に衝突判定機能である第二の衝突判定部を有し、左右方向加速度センサ24から供給される加速度信号に基づいて衝突の規模を判断し、その判断結果を後述の診断結果と共に、応答信号として通信インターフェース22、通信ライン19を介して運転席エアバッグシステム1に対して送信する。
【0009】25はEEPROMであり、EEPROM15と同様に左右衝突判定に使用するパラメータが収納されており、このパラメータは車両の衝突試験を経て決まる数字であって車種毎に異なる。また、EEPROM25は重大衝突時に左右方向加速度センサ24から供給される加速度信号を記憶保持する。
【0010】また、マイクロコンピュータ23はマイクロコンピュータ10と同様に診断機能である第二の診断部を有し、左右方向加速度センサ24等の故障診断を行い、運転席エアバッグシステム1から通信ライン19、通信インターフェース22を介して要求信号を受信する毎に、この診断結果を応答信号として通信インターフェース22、通信ライン19を介して運転席エアバッグシステム1に送信する。
【0011】図7は、従来の乗員保護システムのEEPROMに収納される情報の内容を示す図である。図7は、運転席エアバッグシステム1のEEPROM15及び運転席サイドエアバッグシステム2のEEPROM25に収納される情報の内容を示している。EEPROM15にはマイクロコンピュータ10の前後衝突判定において使用される主乗員保護装置用パラメータ、前後衝突時に前後方向加速度センサ11から供給される加速度信号、及びマイクロコンピュータ10の故障診断による運転席エアバッグシステム1の故障の有無が収納される。ここで、主乗員保護装置用パラメータは、衝突試験を通して得られるものであり、車種毎に異なり、書込み冶具等を用いて書込まれる。この書込み作業は、運転席エアバッグシステム1を車両に取り付ける前に予め行われるか、または車両取付後に行われる。また、EEPROM25もEEPROM15と同様にマイクロコンピュータ23の左右衝突判定において使用される副乗員保護装置用パラメータ、左右衝突時に左右方向加速度センサ24から供給される加速度信号、及びマイクロコンピュータ23の故障診断による運転席サイドエアバッグシステム2の故障の有無が収納される。ここで、副乗員保護装置用パラメータは、衝突試験を通して得られるものであり、車種毎に異なり、書込み冶具等を用いて書込まれる。この書込み作業も、主乗員保護装置用パラメータと同様に、運転席サイドエアバッグシステム2を車両に取り付ける前に予め行われるか、または車両取付後に行われる。
【0012】次に、上記構成の乗員保護システムの動作について説明する。イグニッションスイッチ4がオンされると昇圧回路5が動作を開始し、入力電圧を所定の電圧まで昇圧し、バックアップコンデンサ6を充電する。また、電源回路7は昇圧回路5から供給される電圧を低電圧に降圧して、マイクロコンピュータ10に作動用電力として供給する。また、サイド電源回路8は昇圧回路5から供給される電圧を低電圧に降圧し、電源ライン9を介して運転席サイドエアバッグシステム2に作動用電力として供給する。マイクロコンピュータ10は動作を開始すると、EEPROM15から前後衝突判定に使用するパラメータを読み込む。そして、このパラメータを用いて前後方向加速度センサ11から供給された加速度信号に基づいて衝突判定を実行し、重大衝突と判定すると第一スイッチ回路12をオンすることによってスクイブ14に点火電流を流し、運転席エアバッグを展開させる。また、マイクロコンピュータ10は、重大衝突判定時前後一定時間の加速度データをEEPROM15に記憶する。また、マイクロコンピュータ10は機械式加速度スイッチ13、スクイブ14、前後方向加速度センサ11等の故障診断を実行し、故障の有無をEEPROM15に記憶するとともに、故障発生時にはアラームランプ等の警報装置を用いて乗員に知らせる。さらにマイクロコンピュータ10は通信インターフェース18、通信ライン19を介して運転席サイドエアバッグシステム2に対して各種診断信号の供給を要求する要求信号を送信する。
【0013】運転席エアバッグシステム1から電源ライン9を介して運転席サイドエアバッグシステム2に供給された電力は電源回路21に入力される。電源回路21はこの電力を低電圧に降圧して、マイクロコンピュータ23に作動用電力として供給する。マイクロコンピュータ23は電力を供給されると動作を開始し、EEPROM25から左右衝突判定に使用するパラメータを読み込む。そして、このパラメータを用いて左右方向加速度センサ24から供給される加速度信号に基づいて衝突判定を実行し、重大衝突と判定すると運転席エアバッグシステム1から通信ライン19、通信インターフェース22を介して送信された要求信号に対して衝突判定信号を後述の診断結果と共に応答信号として送信する。運転席エアバッグシステム1のマイクロコンピュータ10は、運転席サイドエアバッグシステム2から通信ライン19、通信インターフェース18を介して衝突判定信号を受信すると、第二スイッチ回路16をオンすることによってスクイブ17に点火電流を流し、サイドエアバッグ等を展開させる。また、マイクロコンピュータ23は、重大衝突判定時前後一定時間の加速度データをEEPROM25に記憶する。また、マイクロコンピュータ23は左右方向加速度センサ24等の故障診断を実行し、故障の有無をEEPROM25に記憶するとともに、運転席エアバッグシステム1から要求信号を受信する毎に、この診断結果を応答信号として運転席エアバッグシステム1に送信する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構成のものにあっては、運転席エアバッグシステム1(主乗員保護装置)のEEPROM15には各車種毎に異なる前後衝突判定用パラメータが、また運転席サイドエアバッグシステム2(副乗員保護装置)のEEPROM25には各車種毎に異なる左右衝突判定用パラメータが予め書込まれる場合、各乗員保護装置は車種毎に1対1で対応する。そのため、各乗員保護装置を車両に取り付ける際に主乗員保護装置と副乗員保護装置の組み合わせを間違えて取り付ける可能性があるという問題点があった。また、パラメータ書込み作業の実施時期(車両取付前または車両取付後)によらず、各乗員保護装置個々に対して書込み作業を行う必要があるため、乗員保護装置の数が多いほど作業に費やす時間も多くなり作業効率が悪いという問題点があった。
【0015】この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、副乗員保護装置を全車種に対して共通化し、主乗員保護装置と副乗員保護装置の誤組み合わせをなくすことができるとともに、パラメータ書込み作業の効率化を図ることができる乗員保護システムを提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる乗員保護システムにおいては、衝突に応じた第一の加速度信号を出力する第一の加速度センサと、衝突判定に用いられるパラメータを記憶する記憶部と、この記憶部に記憶されたパラメータを用いて第一の加速度センサから出力される第一の加速度信号を基にして衝突を判定する第一の衝突判定部とを有する第一の乗員保護装置及び、衝突に応じた第二の加速度信号を出力する第二の加速度センサと、第一の乗員保護装置の記憶部に記憶されたパラメータを用いて、第二の加速度センサから出力される第二の加速度信号を基にして衝突を判定する第二の衝突判定部とを有する第二の乗員保護装置を備え、第一の乗員保護装置と第二の乗員保護装置とは、通信手段によって接続され、記憶部に記憶されたパラメータは通信手段によって第二の乗員保護装置に通知されるものである。また、第一の乗員保護装置は、第一の加速度センサの故障を診断する第一の診断部を有するものである。
【0017】また、第二の乗員保護装置は、第二の加速度センサの故障を診断する第二の診断部を有し、第二の診断部の診断結果は、通信手段により第一の乗員保護装置に通知されるものである。さらに、第一の加速度センサは、前後方向の加速度センサであり、第二の加速度センサは、左右方向の加速度センサであるものである。
【0018】また、記憶部は、不揮発性メモリによって構成されるものである。また、第一の乗員保護装置は、電源が投入されるつど、記憶部のパラメータを第二の乗員保護装置に通知するものである。加えて、第二の乗員保護装置は、第一の乗員保護装置から送信されたパラメータを不揮発性メモリに記憶させるものである。また、第二の乗員保護装置は、複数備えられているものである。また、第一の乗員保護装置及び第二の乗員保護装置は、衝突判定時に動作する乗員保護部を有するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】実施の形態1.この発明による実施の形態1を図に基づいて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による乗員保護システムのEEPROMに収納される情報の内容を示す図である。なお、この発明の実施の形態1による乗員保護システムの回路ブロックを示す図は、図2と同じであるので、図2を援用して説明し、動作について上記従来例と異なる部分についてのみ説明を加える。図3は、この発明の実施の形態1による主乗員保護装置の動作を示すフローチャートである。図4は、この発明の実施の形態1による副乗員保護装置の動作を示すフローチャートである。図5は、この発明の実施の形態1による副乗員保護装置が2個ある場合のEEPROMに収納される情報の内容を示す図である。図6は、この発明の実施の形態1による副乗員保護装置にパラメータを書込む場合のEEPROMに収納される情報の内容を示す図である。
【0020】図1は、運転席エアバッグシステム1の記憶部である不揮発性メモリを構成するEEPROM15及び運転席サイドエアバッグシステム2のEEPROM25に収納される情報の内容を示している。EEPROM15にはマイクロコンピュータ10の前後衝突判定において使用される主乗員保護装置用パラメータ、マイクロコンピュータ23の左右衝突判定において使用される副乗員保護装置用パラメータ、前後衝突時に前後方向加速度センサ11から供給される加速度信号、及びマイクロコンピュータ10の故障診断による運転席エアバッグシステム1の故障の有無が収納される。ここで、主乗員保護装置用パラメータ及び副乗員保護装置用パラメータは衝突試験を通して得られるものであり、車種毎に異なり、書込み冶具等を用いて車両取付前または車両取付後に書込まれる。また、EEPROM25には左右衝突時に左右方向加速度センサ24から供給される加速度信号及びマイクロコンピュータ23の故障診断による運転席サイドエアバッグシステム2の故障の有無が収納される。
【0021】次に、上記構成の乗員保護システムの動作を、図3、図4に基づいて説明する。イグニッションスイッチ4がオンされると、マイクロコンピュータ10は動作を開始し、衝突判定で使用するパラメータをEEPROM15から読み出し済みかどうかチェックする(ステップ1)。読み出し未完了の場合、マイクロコンピュータ10は、まずEEPROM15からマイクロコンピュータ10の前後衝突判定において使用される前後衝突判定用パラメータを読み出す(ステップ2)。次に、同様にマイクロコンピュータ23の左右衝突判定において使用される左右衝突判定用パラメータを読み出す(ステップ3)。そして、パラメータの読み出しが全て終了すると、マイクロコンピュータ10は通信インターフェース18、通信ライン19を介して運転席サイドエアバッグシステム2にEEPROM15から読み出した左右衝突判定用パラメータを送信する(ステップ4)。
【0022】パラメータ送信終了時またはステップ2においてパラメータの読み出しが完了済みの場合、マイクロコンピュータ10は、機械式加速度スイッチ13、スクイブ14、前後方向加速度センサ11等の故障診断を実行し、故障の有無をEEPROM15に記憶するとともに、故障発生時にはアラームランプ等の警報装置を用いて乗員に知らせる(ステップ5)。また、マイクロコンピュータ10は、前後衝突判定用パラメータを用いて前後方向加速度センサ11から供給された加速度信号に基づいて衝突判定を実行する(ステップ6)。さらにマイクロコンピュータ10は、通信インターフェース18、通信ライン19を介して運転席サイドエアバッグシステム2に対して各種診断信号の供給を要求する要求信号を送信する(ステップ7)。
【0023】マイクロコンピュータ23は動作を開始すると、左右衝突判定で使用するパラメータを、運転席エアバッグシステム1から受信済みかどうかチェックする(ステップ11)。受信未完了の場合、マイクロコンピュータ23は、運転席エアバッグシステム1から通信ライン19、通信インターフェース22を介して送信される左右衝突判定用パラメータの受信待ち状態となる(ステップ12)。そして、運転席エアバッグシステム1から左右衝突判定用パラメータを受信すると、これをマイクロコンピュータ23のRAMに保管する。左右衝突判定で使用するパラメータの受信が完了すると、マイクロコンピュータ23は、左右方向加速度センサ24等の故障診断を実行し、故障の有無をEEPROM25に記憶する(ステップ13)。また、ステップ12においてRAMに保管した左右衝突判定用パラメータを用いて、左右方向加速度センサ24から供給された加速度信号に基づいて衝突判定を実行する(ステップ14)。さらに、運転席エアバッグシステム1から要求信号を受信する毎に、故障診断結果または衝突判定結果を応答信号として運転席エアバッグシステム1に送信する(ステップ15)。
【0024】この構成によって、運転席サイドエアバッグシステム2に衝突判定で使用するパラメータの書込み作業を不要にすることができる。また、副乗員保護装置は故障検出時、通信ラインを介して主乗員保護装置から要求信号を受信する毎に、故障診断結果を応答信号として主乗員保護装置に送信するので、主乗員保護装置は副乗員保護装置から送信された故障診断結果を主乗員保護装置内のEEPROMに記憶することが可能である。さらに、副乗員保護装置は、重大衝突と判定した時に衝突判定信号を主乗員保護装置に送信後、衝突時の加速度信号を送信し、主乗員保護装置内のEEPROMに副乗員保護装置の衝突時の加速度信号を記憶することが可能である。この構成によって、副乗員保護装置のEEPROMを不要にすることができる。
【0025】また、副乗員保護装置が複数個ある場合は、各副乗員保護装置の衝突判定で使用されるパラメータを主乗員保護装置のEEPROMに書込む。図5は、副乗員保護装置が2個ある場合の主乗員保護装置及び各副乗員保護装置のEEPROMに収納される情報の内容を示す。また、主乗員保護装置及び副乗員保護装置は、イグニッションスイッチをオンするとパラメータの送受信動作を開始するが、車両生産工場で主乗員保護装置及び副乗員保護装置を車両に取り付け、最初にイグニッションスイッチをオンした時のみパラメータの送受信動作が成功するまでパラメータの送受信動作を繰り返すようにし、送受信中はアラームランプを点滅させるなどの方法で外部からパラメータ送受信中であることが確認できるようにする。成功した場合アラームランプを消灯し、副乗員保護装置はEEPROMにパラメータを書込む。
【0026】次回からは送受信動作は成功失敗にかかわらず1回で終了させ、失敗した場合EEPROMからパラメータを読み込んで対応する。従って、通信を失敗した場合も衝突判定機能は正常に動作する。また、図6のように副乗員保護装置のEEPROMに、主乗員保護装置と副乗員保護装置の衝突判定で使用されるパラメータを書込むことも可能である。
【0027】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。衝突に応じた第一の加速度信号を出力する第一の加速度センサと、衝突判定に用いられるパラメータを記憶する記憶部と、この記憶部に記憶されたパラメータを用いて第一の加速度センサから出力される第一の加速度信号を基にして衝突を判定する第一の衝突判定部とを有する第一の乗員保護装置及び、衝突に応じた第二の加速度信号を出力する第二の加速度センサと、第一の乗員保護装置の記憶部に記憶されたパラメータを用いて、第二の加速度センサから出力される第二の加速度信号を基にして衝突を判定する第二の衝突判定部とを有する第二の乗員保護装置を備え、第一の乗員保護装置と第二の乗員保護装置とは、通信手段によって接続され、記憶部に記憶されたパラメータは通信手段によって第二の乗員保護装置に通知されるので、第二の乗員保護装置は、衝突判定に用いるパラメータを自身で記憶しておく必要がない。また、第一の乗員保護装置は、第一の加速度センサの故障を診断する第一の診断部を有し、第一の加速度センサの診断を行うことができる。
【0028】また、第二の乗員保護装置は、第二の加速度センサの故障を診断する第二の診断部を有し、第二の診断部の診断結果は、通信手段により第一の乗員保護装置に通知されるので、第二の加速度センサの診断を行うことができ、その診断結果を第一の乗員保護装置に通知することができる。さらに、第一の加速度センサは、前後方向の加速度センサであり、第二の加速度センサは、左右方向の加速度センサであるので、前後方向及び左右方向の加速度を検出することができる。
【0029】また、記憶部は、不揮発性メモリによって構成されるので、一度書込を行うだけでよい。また、第一の乗員保護装置は、電源が投入されるつど、記憶部のパラメータを第二の乗員保護装置に通知するので、第二の乗員保護装置は、パラメータを記憶しておく必要がない。
【0030】加えて、第二の乗員保護装置は、第一の乗員保護装置から送信されたパラメータを不揮発性メモリに記憶させるので、送信されないときでも、パラメータを利用することができる。また、第二の乗員保護装置は、複数備えられていても、記憶部は一つだけでよい。また、第一の乗員保護装置及び第二の乗員保護装置は、衝突判定時に動作する乗員保護部を有するので、乗員を保護することができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成11年6月17日(1999.6.17)
【代理人】 【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
【公開番号】 特開2001−1859(P2001−1859A)
【公開日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願番号】 特願平11−171311