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【発明の名称】 エアバッグ
【発明者】 【氏名】江藤 和典

【氏名】小山 昭則

【氏名】嶋崎 善夫

【要約】 【課題】膨張展開した状態が大容量であっても、車室内の乗員を保護することができるエアバッグを提供する。

【解決手段】ガス圧により最初に膨張し展開形状を早期に形成する第一膨張部12と、第一膨張部とガス流入口15を介して連通し、第一膨張部に引き続き膨張する第二膨張部13とを有している。第一膨張部はインフレータ取付孔11からバッグ周縁部に向けて分岐状に構成してある。そして、第一膨張部の断面積をバッグ周縁部に向けて漸減するように構成してある。また、第一膨張部の容量を第二膨張部の容量より大きくしてある。このエアバッグは、その側部16を断面S字状に折り畳んだ後、上端部20から基端部21に向け蛇腹状に折り畳んである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガス圧により最初に膨張し展開形状を早期に形成する第一膨張部と、第一膨張部とガス流入口を介して連通し、第一膨張部に引き続き膨張する第二膨張部とを有することを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】 第一膨張部をインフレータ取付孔からバッグ周縁部に向けて分岐状に構成したことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ。
【請求項3】 第一膨張部の断面積をバッグ周縁部に向けて漸減するように構成したことを特徴とする請求項2記載のエアバッグ。
【請求項4】 第一膨張部の容量を第二膨張部の容量より大きくしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のエアバッグ。
【請求項5】 エアバッグが、その側部を断面S字状に折り畳んだ後、上端部から基端部に向け蛇腹状に折り畳んだことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のエアバッグ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車室内の乗員を保護するエアバッグに係り、特に、膨張展開した状態が大容量のものとなり、乗員の移動を抑制したり、乗員間に展開したり、乗員と内装品あるいは車室内壁との間に展開するエアバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、シートに内蔵された側突用エアバッグとして、実公平8−1982号公報、特開平7−267037号公報に記載のものが知られており、また、ロールオーバー対策用に複数個のエアバッグを備えたものとして、特開平8−127305号公報に記載のものが知られている。しかしながら、これらの従来例は、いずれも部分的に乗員を保護する比較的小容量のエアバッグに係るものであり、大容量で乗員を保護するものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、エアバッグが完全に展開する前に乗員が移動した場合、エアバッグは、乗員に挟まれて正常な膨張展開が阻害され、場合によっては乗員に被害を及ぼすことが生じる。特に、大容量のエアバッグにおいては、展開に要する時間が長く、また、エアバッグの展開方向に対して傾いた状態で展開しようとするので開きにくく、乗員に被害を及ぼしやすい。例えば、乗員間に展開するエアバッグは、比較的大きな容量が求められると共に乗員とエアバッグ間の距離が近いため、特に懸念されるところである。このように、大容量のエアバッグにおいては、乗員に被害を及ぼすことが懸念されるが、従来例においては、比較的小容量のものであったため、かかる点についてまでは考慮されていなかった。
【0004】本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、大容量であっても、車室内の乗員を保護することができるエアバッグを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、ガス圧により最初に膨張し展開形状を早期に形成する第一膨張部と、第一膨張部とガス流入口を介して連通し、第一膨張部に引き続き膨張する第二膨張部とを有することを特徴としている。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、第一膨張部をインフレータ取付孔からバッグ周縁部に向けて分岐状に構成したことを特徴としている。請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明に加えて、第一膨張部の断面積をバッグ周縁部に向けて漸減するように構成したことを特徴としている。請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明に加えて、第一膨張部の容量を第二膨張部の容量より大きくしたことを特徴としている。請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の発明に加えて、エアバッグが、その側部を断面S字状に折り畳んだ後、上端部から基端部に向け蛇腹状に折り畳んだことを特徴としている。
【0006】本発明に係るエアバッグは、膨張展開した状態が大容量のものであり、例えば、乗員間に展開するエアバッグとしては、少なくとも乗員の頭部の位置にまで達し、乗員間に恰も壁の如く展開して乗員を保護するものである。このエアバッグは、合成繊維製の織布に耐熱性を有するゴム或いは合成樹脂をコーティングした柔軟で気密性を有する材料のものや、同等の性能を有するノンコーティング基布により作製したものを使用すればよい。また、エアバッグを内側に配置される内側基材と外側に配置される外側基材とで構成し、内側基材を気密性樹脂製とし、外側基材を織布製とし、内側基材の外縁部や所望部位に外側基材に溶着するための熱溶着性フィルムを取着したもので作製してもよい。
【0007】第一膨張部は、ガス圧により最初に膨張して展開形状を早期に形成する部位であり、本エアバッグの骨子を構成する部位であり、第一膨張部だけでも乗員の保護を図れるものである。第二膨張部は、第一膨張部とガス流入口を介して連通しており、第一膨張部に引き続き膨張する部位で、本エアバッグの言わば枝葉を構成する部位である。
【0008】第一膨張部と第二膨張部との境界は、エアバッグの基材をミシン糸により縫製することにより形成すればよい。また、エアバッグを外縁部や所望部位に熱溶着性フィルムを取着した内側基材と外側基材とで構成した場合には、内側基材と外側基材とを溶着することにより形成してもよい。そして、ガス流入口は、境界部において、部分的に縫製しない箇所を設けたり、部分的に溶着しない箇所を設けることにより形成すればよい。また、所定以上の内圧がエアバッグに加わるときに、エアバッグの一部が破断して、エアが抜けて内圧を下げるようにしてもよい。前記ミシン糸や溶着部は、所定以上の内圧がエアバッグに加わるときに破断すると、連続する第二膨張部により容積が広がるので、第一膨張部に加わる所定以上の圧力を抑えることができる。
【0009】第一膨張部は、インフレータ取付孔から流入するガスがエアバッグの周縁部に向かうように、エアバッグのインフレータ取付孔の部位から周縁部に向けて分岐状に形成し、周縁部に向けて断面積が漸減するように形成してある。第一膨張部の容量を第二膨張部の容量より大きくすると、第一膨張部がエアバッグの容量の半分以上を占め、第一膨張部の膨張時にエアバッグの中心部にあたかも太いガスの幹を形成するので、エアバッグ全体の重量に負けない自立性が働き、エアバッグを展開させることができる。また、エアバッグの容量の略半分で太いガスの幹が形成されるので、ガスを少ない量で有効に使用することができる。そして、乗員の接触により荷重が掛かっても倒れにくく、安定性がある。
【0010】エアバッグを、その側部を断面S字状に折り畳んだ後、上端部から基端部に向け蛇腹状に折り畳むと、エアバッグの初期の展開方向、即ち、基端部から上端部方向にエアバッグが蛇腹に折り畳んであるので、初期の展開を早くすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は展開した状態のエアバッグ10の正面図、図2は他の実施形態による展開した状態のエアバッグ10の正面図である。
【0012】11は、エアバッグ10をインフレータ30に取り付けるためのインフレータ取付孔である。本発明に係るエアバッグ10には、インフレータ取付孔11を介して、インフレータ30からのガス圧により最初に膨張する第一膨張部12と、第一膨張部12に引き続いて膨張する第二膨張部13を設けてある。
【0013】第一膨張部12と第二膨張部13との境界14は、エアバッグ10の基材をミシン糸により縫製することにより形成すればよい。また、エアバッグ10を外縁部や所望部位に熱溶着性フィルムを取着した内側基材と外側基材とで構成した場合には、内側基材と外側基材とを溶着することにより形成してもよい。
【0014】この第一膨張部12は、インフレータ取付孔11から流入するガスがエアバッグ10の周縁部に向かうように、エアバッグ10のインフレータ取付孔11の部位から周縁部に向けて分岐状に形成し、周縁部に向けて断面積が漸減するように形成してある。図1には、第一膨張部12が二股状に分岐した形態を、図2には、放射状に分岐した形態を示してある。
【0015】このように、第一膨張部12の断面積が周縁部に向けて漸減するように形成することにより、第一膨張部12内に流入するガスの流速が早くなって内圧が高まり、第一膨張部12の自立性をより高めることができ、第一膨張部12の周縁部までの展開を早めることができる。
【0016】第一膨張部12と第二膨張部13とは、その境界14に第一膨張部12内のガスが第二膨張部13に流入するように、ガス流入口15を設けることにより部分的に連通している。このガス流入口15は、境界14部において、部分的に縫製しない箇所を設けたり、部分的に溶着しない箇所を設けることにより形成すればよい。
【0017】第一膨張部12の容量は、第二膨張部13の容量より大きくしてある。このようにすると、第一膨張部12がエアバッグの容量の半分以上を占め、第一膨張部12の膨張時にエアバッグの中心部にあたかも太いガスの幹を形成するので、エアバッグ全体の重量に負けない自立性が働き、エアバッグを展開させることができる。また、エアバッグの容量の略半分で太いガスの幹が形成されるので、ガスを少ない量で有効に使用することができる。そして、乗員の接触により荷重が掛かっても、膨張展開した第一膨張部12は倒れにくく、安定性がある。
【0018】この第一膨張部12と第二膨張部13との容量の比率は、5:5ないし7:3となるようにすると、エアバッグ10は、第一膨張部12の膨張展開時に第二膨張部13の重量に負けて折れ曲がったり倒れたりすることがない。
【0019】かくして、インフレータ取付孔11を介して第一膨張部12に流入するガスはエアバッグ10の周縁部まで達し、エアバッグ10の必要展開形状を迅速に形成することができる。そして、第二膨張部13が第一膨張部12に連通可能なので、第一膨張部12の膨張後、引き続き第二膨張部13にガスが充填され、エアバッグ10が連続的に全体的に拡開することとなる。
【0020】図3ないし図6は、本発明に係るエアバッグの折り畳み過程を示す説明図であり、図3ないし図5において、(a)は斜視図、(b)は縦断面図を示してあり、図6は斜視図で示してある。なお、各図は説明の便宜上、エアバッグの厚さを省略して示してある。
【0021】まず、図3に示すように、インフレータ30を取り付けたエアバッグ10の両側部16,16を、インフレータ取付部の幅を目安として(この部位のエアバッグ10を中心部17とする)、断面S字状となるように反対側に折り畳む。次いで、図4に示すように、中心部17よりはみ出ている両側縁部18,18を、両側部16,16と反対方向に折り畳む。両側縁端部19,19が中心部17よりはみ出ているときには、図5に示すように、両側縁端部19,19を両側縁部18,18と反対方向に折り畳む。
【0022】このように折り畳んだエアバッグ10の上端部20を、基端部21に向けて、インフレータ取付部の幅を目安として、蛇腹状に折り畳む。このように折り畳んだエアバッグ10は、車両前後方向あるいは上下方向に配置される。
【0023】エアバッグ10をこのように折り畳むと、エアバッグ10の初期の展開方向、即ち、基端部21から上端部20方向にエアバッグ10が蛇腹に折り畳んであるので、初期の展開を早くすることができる。また、エアバッグ10を車両前後あるいは上下方向にS字状に折り畳むことで、乗員間に傾かせずに展開させることができ、乗員への加害性を抑えることができる。
【0024】なお、インフレータとして、デュアル方式のものを使用すると、エアバッグの膨張保持時間を延長することができる。また、エアバッグの縫製部をシーリングしたものを使用すると、エアバッグからのガス漏れを抑えることができ、エアバッグの膨張時間を早めることができると共に、膨張保持時間を延長することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求項1記載の発明は、ガス圧により最初に第一膨張部が迅速に膨張して展開形状を早期に形成するので、エアバッグの必要展開形状を早期に形成することができる。即ち、乗員が移動する前にエアバッグの略骨子となる第一膨張部が展開しており、エアバッグの突出による乗員への加害性を抑えることができる。請求項2記載の発明は、第一膨張部がインフレータ取付孔からバッグ周縁部に向けて分岐状に構成してあるので、周縁部までのガスの流入が早くなり、エアバッグの基本的な展開形状に早く展開することができる。請求項3記載の発明は、第一膨張部の断面積をバッグ周縁部に向けて漸減するように構成してあるので、周縁部までのガスの流入が更に早くなり、エアバッグの基本的な展開形状により早く展開することができる。請求項4記載の発明は、第一膨張部がエアバッグの容量の半分以上を占めており、早期に過半部を占める第一膨張部が膨張して自立し、ガスを少ない量で有効に使用することができると共に、乗員の接触により荷重が掛かっても倒れにくく、安定性がある。請求項5記載の発明は、エアバッグを上端部から基端部に向け蛇腹状に折り畳んであるので、エアバッグの初期展開方向と一致し、エアバッグを早く展開させることができる。それによって、乗員への加害性を抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
【出願日】 平成11年6月22日(1999.6.22)
【代理人】 【識別番号】100086357
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 陽一
【公開番号】 特開2001−1858(P2001−1858A)
【公開日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願番号】 特願平11−214115