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【発明の名称】 エアバッグ
【発明者】 【氏名】三科 丞司

【氏名】増田 泰士

【氏名】中西 亮輔

【要約】 【課題】パネル同士の縫合部からのガスリークを確実に防止することができ、しかも生産性にも優れたエアバッグを提供する。

【解決手段】エアバッグ10を構成する2枚のパネル1,2間の縁部同士がシリコーン系、ウレタン系などの弾性接着剤5で接着されると共に、縫い糸6A,6Bで縫合されている。内側の縫い糸6Aは外側の縫い糸6Bよりも細くてもよい。縫目がシーラントで覆われてもよい。パネル1,2がシリコーン系コーティングされているときには、弾性接着剤はシリコーン系のものが好ましく、ウレタン系コーティングされているときには、ウレタン系弾性接着剤が好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1のパネルと第2のパネルの縁部同士を結合手段によって結合してなるエアバッグにおいて、該結合手段は、糸による縫合と、弾性接着剤による接着とからなることを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】 請求項1において、弾性接着剤は200%以上の伸びを有するものであることを特徴とするエアバッグ。
【請求項3】 請求項1又は2において、該糸による縫合は、外周側の第1の縫合部と内周側の第2の縫合部とで構成され、該第2の縫合部の縫い糸は第1の縫合部の縫い糸よりも細いことを特徴とするエアバッグ。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記縁部のパネルの縫目がシーラントで覆われていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項において、該接着剤はシリコーン系接着剤又はウレタン系接着剤であることを特徴とするエアバッグ。
【請求項6】 請求項1ないし4のいずれか1項において、該第1及び第2のパネルの少なくとも一方がシリコーン系樹脂コーティングが施されており、前記接着剤がシリコーン系接着剤であることを特徴とするエアバッグ。
【請求項7】 請求項1ないし4のいずれか1項において、該第1及び第2のパネルの少なくとも一方がウレタン系樹脂コーティングが施されており、前記接着剤がウレタン系接着剤であることを特徴とするエアバッグ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両、航空機等の移動体に搭載されるエアバッグ装置のためのエアバッグに係り、特にパネル同士の縫合部からのガスリークを防止したエアバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】運転席用、助手席用、後席用、自動車サイド用などの自動車等の車両用エアバッグや、航空機用エアバッグとして複数枚のパネルを縫合して袋状としたものが用いられている。このエアバッグは、インフレータから供給されたガスによって膨張する。
【0003】特に、頭部保護用サイドエアバッグ(カーテンタイプ)やロールオーバー対応サイドエアバッグのように、内圧保持が困難なエアバッグにあっては、縫合部からのガスリークを高度に防止することが要求される。
【0004】このパネルの縫合部からのガスリークを防止するために、従来、図4(a)(エアバッグの斜視図)、(b)(図4(a)のB−B線に沿う断面の拡大図)に示す如く、パネル1’,2’の縫合部3’を覆うように、パネル1’,2’の縁部に沿ってシリコーンテープ4を貼り付けている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図4に示す従来のエアバッグでは、シリコーンテープ4をエアバッグの両面に貼着しなければならないために、作業数が多く、生産性が悪い。また、このエアバッグでは、エアバッグ内に高圧のガスが導入された場合、図4(b)の矢印Gで示されるように、パネル1’,2’の間からのガスがリークする可能性がある。そのため、このリークするガス量を考慮してインフレータからの供給ガス量を多くする必要があり、インフレータの容量が大きなものとなっている。
【0006】本発明は、パネル同士の縫合部からのガスリークを確実に防止することができ、しかも生産性にも優れたエアバッグを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のエアバッグは、第1のパネルと第2のパネルの縁部同士を結合手段によって結合してなるエアバッグにおいて、該結合手段は、糸による縫合と、弾性接着剤による接着とからなることを特徴とする。
【0008】この弾性接着剤は、伸びが200%以上、例えば200〜1000%程度のものであることが好ましい。このような弾性接着剤としては、具体的にはシリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、ニトリムゴム系接着剤、ポリサルファイド系接着剤などが例示される。シリコーン系接着剤としてはシリコーンRTV接着剤が好適である。
【0009】なお、エアバッグを構成するパネルとして、織布よりなる基布に対しガスリーク防止用のコーティングを施したものがある。このコーティングがシリコーン系コーティングである場合、上記の接着剤としてはシリコーン系接着剤が好ましく、コーティングがウレタン系である場合、接着剤はウレタン系接着剤が好ましい。
【0010】本発明のエアバッグでは、パネルの縁部における第1のパネルと第2のパネルとの当接面を縫合すると共に接着剤で接着したため、この部分からのガスリークが防止される。しかも、パネル同士を接着剤で張り合わせた後縫合するので、縫合時にパネルがずれることがなく、縫合作業性が良い。
【0011】本発明のエアバッグは、縫合部は、外周側の第1の縫合部と内周側の第2の縫合部とで構成し、第2の縫合部の縫い糸が第1の縫合部の縫い糸よりも細いことが好ましい。このような構成のエアバッグは、膨張時に、内周側の細い縫い糸がインフレータからの発生ガス圧で切れ、これによりガス圧のエネルギーが部分的に吸収される。従って、エアバッグの膨張時にパネルの外周側の第1縫合部の縫い糸に加えられる衝撃力が小さくなる。
【0012】本発明では、パネルの縫目をシーラントで覆うことにより、縫目からのガスリークが防止される。このシーラントとしてはシリコーン系又はウレタン系のものが好適である。パネルのコーティングがシリコーン系である場合、シーラントもシリコーン系のものが好ましく、パネルのコーティングがウレタン系のときにはウレタン系シーラントが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】図1(a)は本発明のエアバッグの実施の形態を示す斜視図であり、図1(b),(c)は図1(a)のB−B線に沿う断面の拡大図であり、特に図1(c)はエアバッグの膨張、展開時を示す。
【0015】なお、図1に示すエアバッグは、自動車サイド用のエアバッグであるが、本発明は、これに限らず、運転席用、助手席用、後席用などの自動車用エアバッグ、その他航空機用エアバッグにも適用できることは言うまでもない。
【0016】図1のエアバッグ10は、第1のパネル1と第2のパネル2とがその縁部同士が結合されることにより袋状に形成されたものである。この縁部の第1、第2のパネル1,2はシリコーン系、ウレタン系などの弾性接着剤5で接着されると共に、縫い糸6A,6Bによって縫合されている。
【0017】このようなエアバッグ10であれば、パネル1,2の縁部が縫合されると共に弾性接着剤5でシールされているため、ガスリークが防止される。エアバッグ10の膨張時には、図1(c)及び図2に示す如く、離反しようとするパネル1,2に追従して弾性接着剤5が伸びる。弾性接着剤5がパネル1,2に付着したまま伸びるので、パネル1,2間からのガスリークが防止される。
【0018】このような弾性接着剤5は、パネル1,2の縁部に沿って5〜15mmの幅(図1(b)のW)にわたって、0.01〜0.05g/cm2程度の塗布量で塗布するのが好ましい。
【0019】パネル1,2としては、合成樹脂の織布等が用いられる。このパネル1,2の内側面は、シリコーン系又はウレタン系のコーティングを施して目止めをしている。目止め用のコーティングがシリコーン系である場合には、弾性接着剤5としてシリコーン系接着剤を用い、コーティングがウレタン系である場合には、ウレタン系弾性接着剤を用いるのが好ましい。このように弾性接着剤とコーティングとの材質をマッチさせることにより、弾性接着剤5によるパネル1,2同士の接着強度が高いものとなる。
【0020】図1に示すエアバッグ10では、パネル1,2を2本の縫い糸6A,6Bを用いて、2重に縫製している。即ち、縁部の内周側を比較的細い縫い糸6Aで縫製して第2縫合部とし、外周側を比較的太い縫い糸6Bで縫製して第1縫合部としている。
【0021】このように、二重に縫製することにより、図2に示す如く、エアバッグ10の膨張、展開時において、内周側の細い縫い糸6Aがインフレータからのガスで切断され、これによりパネル1,2の結合部に引き剥し方向に加えられるガス圧のエネルギーが部分的に吸収される。従って、縫い糸6Bによる第1縫合部を押し広げようとする衝撃力が小さくなり、パネル1,2の結合部からのガスリークが一層確実に防止される。
【0022】この場合、内周側の比較的細い縫い糸6Aとしては、210〜420d(デニール)程度の縫い糸が好ましく、外周側の太い縫い糸6Bとしては、840〜1260d程度の縫い糸が好ましい。外周側の糸6Bによる第1縫合部はパネル1,2の縁部から10〜18mm程度の位置に設け、糸6Bと糸6Aとの間隔(図1(b)のd)は2〜5mm程度とするのが好ましい。
【0023】このような本発明のエアバッグ10は、パネル1,2の縫合予定部に弾性接着剤5を塗布した後両パネル1,2を貼り合わせ、その後縫い糸6A,6Bを用いて縫製することにより容易に製造することができる。この縫製に当っては、パネル1,2が弾性接着剤5で接着されているため、パネル1,2同士がずれることを防止することもでき、作業性が良好である。
【0024】なお、図1に示すエアバッグでは、2本の縫い糸を用いて縫合部を2重に縫製しているが、この縫製は1本の縫い糸を用いたものであっても良い。この場合においては、840〜1260d程度の縫い糸を用いて、パネルの縁部から10〜20mm程度内側の部分を縁部に沿って縫製すれば良い。
【0025】本発明では、図3に示すように、縫い糸6A,6Bの縫目を覆うようにパネル1,2の縁部にシリコーン系、ウレタン系などのシーラント7を付着させても良い。このシーラント7を設けることにより、縫い目からのガスリークが防止される。
【0026】図5〜7は自動車のドアの上方のルーフサイドメンバに沿って配置される乗員頭部保護用のエアバッグを示す。このエアバッグ20は、2枚のパネル21,22がシリコーン系、ウレタン系などの弾性接着剤26及び縫い糸23,24によって結合されたものである。このエアバッグ20は、自動車のAピラー又はCピラーに沿って配置されるガス導入部25を備えており、このガス導入部25の先端の開口25aを通ってガス発生器からのガスがエアバッグ20内に導入される。縫い糸23はパネル21,22の周縁部同士を縫合しており、縫い糸24はパネル21,22の中央部同士を縫合している。このエアバッグ20は、ルーフサイドからドア上部にかけて広がり、乗員の頭部を受け止める。このエアバッグ20は、膨張した際の厚み(図7(a)のT)を所定厚さに抑えるためにパネル21,22の中央部同士が縫い糸24によって縫合されている。
【0027】パネル21,22の周縁部における両パネル21,22の縫合形態は前記図1(b)と同じであり、図示は省略するが、両パネル21,22の周縁部同士がシリコーン系、ウレタン系などの弾性接着剤を介して接着されると共に2列の縫い糸によって縫合されている。この2列の縫い糸のうち内周側のものは外周側のものよりも細い。
【0028】パネル21,22の中央部にあっては、図7(b)に示すようにパネル21,22同士が弾性接着剤26で接着されると共に縫い糸24によって縫合されている。この縫い糸24は、細い縫い糸24Aと太い縫い糸24Bとからなる。縫い糸24Aは、縫い糸24Bに比べエアバッグ20の内部の室28に近接している。従って、バッグ20が膨張する場合、前記図2の場合と同じく細い縫い糸24Aが切断され、パネル21,22の結合部に対し加えられる引剥し方向のエネルギーが部分的に吸収される。この結果、縫い糸24Bによる縫合部に対し加えられる引剥し方向の衝撃力が小さくなる。
【0029】この図5〜7の実施の形態では、太さの異なる2列の糸24A,24Bを用いているが、縫い糸の列を1列だけ設けてもよい。
【0030】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のエアバッグによれば、パネル同士の結合部からのガスリークを確実に防止することができ、しかも生産性にも優れたエアバッグを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000108591
【氏名又は名称】タカタ株式会社
【出願日】 平成11年5月28日(1999.5.28)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開2001−1854(P2001−1854A)
【公開日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願番号】 特願平11−150106