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【発明の名称】 車両用歩行者保護装置
【発明者】 【氏名】服部 勝彦

【要約】 【課題】車両との衝突時に車両のボンネット上等に跳ね上げた歩行者を、車両のブレーキング時に路面上に転落させないようにする。

【解決手段】歩行者9との衝突時に歩行者9の保護を図るように作動する歩行者保護バンパー1を設ける。歩行者保護バンパー1の作動に連動して作動するものであって歩行者9の脚部99をすくい上げるように作動するとともに、歩行者9の路面上への転落を防止するように作動する歩行者転落防止手段2を設ける。歩行者保護バンパー1のところに、歩行者保護バンパー1の作動にともなって変形をし、歩行者9からの衝突エネルギーを吸収するように作動する衝撃吸収バンパー3を設ける。歩行者9との衝突を検出するセンサ51、及びセンサ51からの信号を受けてエアバッグ状の歩行者転落防止手段2を展開させる制御手段5を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 歩行者の衝突を感知して作動するものであって、当該歩行者の脚部を上方にすくい上げるように作動するとともに、当該すくい上げられた歩行者の路面上への転落を防止するように作動する歩行者転落防止手段を設けるようにしたことを特徴とする車両用歩行者保護装置。
【請求項2】 請求項1記載の車両用歩行者保護装置において、上記歩行者転落防止手段を、エアバッグからなるものであって、当該エアバッグが路面に沿って前方へと偏平な形状に展開された状態において、当該エアバッグが車両の走行風によって形成される風圧にて上方に巻き上げられるようにした構成からなるものと、車両の先端部に設けられるものであって、上記歩行者が車両に衝突した際に、当該歩行者からの荷重を吸収するように作動するとともに当該歩行者の体を上方に持ち上げるように作動する歩行者保護バンパーと、からなるようにしたことを特徴とする車両用歩行者保護装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歩行者保護を目的とした装置に関するものであり、特に、車両が歩行者と接触(衝突)した場合に、当該歩行者をフロントフード(ボンネット)上等にすくい上げるように作動した状態において、当該歩行者が車両のブレーキング時に路面上等に落下(転落)するのを防止するようにした車両用歩行者保護装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用歩行者保護装置、特に転落防止装置としては、特開平8−258668号公報記載のものの如く、フロントフード上等に跳ね上げられた歩行者の車両進行方向(前方部)への転落を防止するようにしたものが挙げられる。このものは、車両が速い速度で衝突した場合、歩行者は、フロントバンパー等にてフロントフード(ボンネット)上に跳ね上げられるとともに、当該フロントフードに設けられたフードエアバッグにて受け止められるようになっているものである。そして、このフードエアバッグへの衝突を感知して、車体の最前端部に設けられた転落防止エアバッグが作動し、これによってフロントフード(ボンネット)上に跳ね上げられた歩行者の車両前方(車両進行方向)への転落が防止されるようになっているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両のブレーキング時に、フロントフード(ボンネット)上に跳ね上げられた歩行者がフロントフード(ボンネット)から滑り落ちるのを防止するためには、上記従来のもののような車体(車両)の前端部に設けられた上記転落防止エアバッグのような手段のみでは不十分である。すなわち、上半身のみがフロントフード上に在る状態であって脚部が車両の前方へ飛びだしているような状態においては、脚部を含めて体全体を支えるようにしないと、前方への転落を防止することはできない。また、従来のもののようにフードエッジ部で転落防止エアバッグが展開すると、衝突した歩行者の腹部を急激に圧迫し、腹部に傷害を引き起こすと言うおそれがある。このような問題点を解決するために、フロントフード(ボンネット)上にすくい上げられた歩行者の路面上への転落を防止するようにした車両用歩行者保護装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、車両用歩行者保護装置に関して、歩行者の衝突を感知して作動するものであって、当該歩行者の脚部を上方にすくい上げるように作動するとともに、当該すくい上げられた歩行者の路面上への転落を防止するように作動する歩行者転落防止手段を設けるようにした構成を採ることとした。
【0005】このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては次のような作用を呈することとなる。すなわち、歩行者が車両に衝突すると、歩行者転落防止手段が作動して当該歩行者の脚部をすくい上げるように作動することとなるので、歩行者は車両の下方部へ巻き込まれることなく上方にすくい上げられ、フロントフード(ボンネット)上等に横たわるように持ち上げられることとなる。そして更に、このような状態において、車両がブレーキング状態に入ると、上記フロントフード(ボンネット)上に持ち上げられた歩行者は車両前方に滑り落ちて来ることとなるが、本発明のものにおいては、歩行者転落防止手段が車両(車体)の前方部であって前輪の横方向を含む周りに広く展開されるようになっているので、歩行者は、この歩行者転落防止手段にて受け止められ、路上への転落及び車体下方部等への引込まれ(巻込まれる)が防止されることとなる。
【0006】次に、請求項2記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記請求項1記載のものと同じである。すなわち、本発明のものにおいては、上記請求項1記載の車両用歩行者保護装置に関して、上記歩行者転落防止手段を、エアバッグからなるものであって、当該エアバッグが路面に沿って前方へと偏平な形状に展開された状態において、当該エアバッグが車両の走行風によって形成される風圧にて上方に巻き上げられるようにした構成からなるものと、車両の先端部に設けられるものであって、上記歩行者が車両に衝突した際に、当該歩行者からの荷重を吸収するように作動するとともに当該歩行者の体を上方に持ち上げるように作動する歩行者保護バンパーと、からなるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、車体(車両)の前方部へ展開したエアバッグ状の歩行者転落防止手段が、車両の走行風の作用を受けて上方に巻き上がり、車両のフロントフード(ボンネット)を包み込むようになる。その結果、フロントフード(ボンネット)上に持ち上げられた歩行者は、この巻き上げられた歩行者転落防止手段によって包み込まれることとなり、車両のブレーキング時において、車両(車体)の前方部等に滑り落ちる(転落する)のが防止されることとなる。更に、歩行者が歩行者保護バンパーのところに衝突すると、まず、歩行者保護バンパーは後方に傾くことによって歩行者からの衝突エネルギーを吸収する。これによって歩行者の受ける傷害を軽減化させるとともに、当該歩行者保護バンパーは当該歩行者を上方に持上げるように作動する。その結果、歩行者の、その足部(フット部)における接地荷重は減少することとなる。更に、歩行者保護バンパーによって歩行者の体が上方に持ち上げられ、これによって接地荷重が軽減化し、歩行者転落防止手段の車両前方への展開が容易になるとともに、歩行者の脚部傷害が軽減化されることとなる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図1ないし図7を基に説明する。本実施の形態に関するものの、その構成は、図1及び図2に示す如く、歩行者との衝突を感知して作動するものであって上記歩行者9の脚部99をすくい上げるように作動するとともに、上記歩行者9の路面上への転落を防止するように作動する歩行者転落防止手段2と、歩行者の衝突を検出するセンサ51と、当該センサ51からの信号を受けて、上記エアバッグ状の歩行者転落防止手段2を所定のタイミングで展開させるように制御作用を行なう制御手段5と、からなることを基本とするものである。このような構成からなるものにおいて、本実施の形態のものにおいては、車両(車体)の最前端部に設けられるものであって歩行者9との接触(衝突)時に、当該歩行者9の保護を図るように作動する歩行者保護バンパー1が設けられるようになっているものである。そして、上記歩行者保護バンパー1のところには、当該歩行者保護バンパー1の作動にともなって変形をし、これによって上記歩行者9からの衝突エネルギーを吸収するように作動する衝撃吸収手段を形成する衝撃吸収バンパー3が設けられるようになっているものである。なお、上記センサ51は、上記歩行者保護バンパー1のところ(図1,図2参照)または衝撃吸収バンパー3のところ(図5,図6参照)に設けられるようになっているものである。
【0008】このような基本構成から成るものにおいて、歩行者9の衝突を感知して作動する歩行者転落防止手段2は、エアバッグ状のものからなるものであって、図1及び図2に示す如く、歩行者9の脚部99、特に、その下端部の足の部分をすくい上げるように作動するようになっているものである。そして、その展開状態(形態)が、図3及び図4に示す如く、車両(車体)の前方部に展開する前端部21及び前輪の横方向まで広く拡がるように展開する拡幅部22からなるものである。これによって、フロントフード(ボンネット)8上に跳ね上げられた歩行者9の本フロントフード(ボンネット)8からの路面上への転落が防止されるようになっている。
【0009】更に、上記歩行者保護バンパー1は、図3に示す如く、全体的に門型の形態を有するものであり、車体の前端部であってその下方部に形成された支点(図1のO1 点)を中心にして回転運動可能なように取付けられるレバー部11と、当該レバー部11の上方部に設けられるものであって横バー状に形成されるガードバー部12と、から成ることを基本とするものである。そして、このような構成から成るものにおいて、上記レバー部11の中間部のところには、当該レバー部11の傾きに応じて変形をするとともに、これによって上記歩行者9との衝突エネルギーを吸収するように作動する衝撃吸収手段(衝撃吸収バンパー)3が設けられるようになっている。また、上記レバー部11の上記支点(O1 点)を間に挟んで上記衝撃吸収バンパー3の設けられる側とは反対の側(端部)には、当該端部への所定の荷重入力によって、当該端部の車体側部材への取付状態が外れるように形成されたヒューズ手段31が設けられるようになっている。
【0010】次に、エアバッグタイプの歩行者転落防止手段2を所定のタイミングで作動(展開)させる制御機構について説明する。このものは、図1に示す如く、歩行者保護バンパー1を形成するガードバー部12の一部に設けられるものであって歩行者9の接触(衝突)を検出するセンサ51と、当該センサ51からの信号を入力するとともに、上記歩行者転落防止手段2を形成するエアバッグを所定の形態に展開させるように制御作用を行なう制御手段5と、当該制御手段5からの制御信号に基づき上記エアバッグを所定のタイミングで展開させるインフレータ55と、からなるものである。このような構成からなるものにおいて、上記制御手段5は、演算手段(MPU)を主としたマイクロコンピュータからなるものである。
【0011】また、このような車両用歩行者保護装置についての、その変形例として、図5ないし図7に示すようなものが挙げられる。このものは、図1に示すような歩行者保護バンパー1を有しないものであって、例えば図5に示す如く、車両(車体)の前端部のところに衝撃吸収手段である衝撃吸収バンパー3が設けられるとともに、ここのところに、車両の衝突時における乗員保護用エアバッグ装置等を作動させるための衝突センサとは別に歩行者衝突検出用のセンサ51が設けられるようになっているものである。そして、この歩行者衝突検出用のセンサ51からの信号を受けて諸制御作用を行なう制御手段5は、乗員保護用エアバッグ装置の作動を制御する制御手段等と共用化した状態で設けられるようになっているものである。そして更に、この制御手段5からの制御信号(指令)を受けて作動するインフレータ55及び当該インフレータ55からのガス供給を受けて展開するエアバッグ(歩行者転落防止手段)2等が車体の前端部のところに設けられるようになっているものである。
【0012】なお、このものにおいては、エアバッグ状の歩行者転落防止手段2が、図6に示す如く、車体(車両)の前方部に所定の形態に展開すると、この状態においては、車両は可成りの速度で走行しているので、上記展開した歩行者転落防止手段(エアバッグ)2は、その走行風の風圧によって、図7に示す如く、その前端部21が上方に巻き上げられる。その結果、フロントフード(ボンネット)8を巻き込むように展開することとなり、フロントフード(ボンネット)8上に跳ね上げられた歩行者9は、上記巻き上げられたエアバッグ(歩行者転落防止手段)2にて包み込まれるようになる。従って、歩行者9は車両のブレーキング作用によって上記フロントフード(ボンネット)8上から滑り落ちたりするようなことがない。
【0013】次に、このような構成からなる本実施の形態のものについての、その作用等について説明する。まず、図1において、歩行者保護バンパー1を形成するガードバー部12のところに歩行者9が衝突をすると、支点(O1 点)を介して、上記ヒューズ手段31のところに所定の荷重が入力し、当該ヒューズ手段31のところが切れる。これによってレバー部11は支点(O1 点)を中心にして図2に示すように回転運動をする。これによって衝撃吸収手段である衝撃吸収バンパー3が変形をし、歩行者9からの衝突エネルギーを吸収する。一方、歩行者保護バンパー1のガードバー部12も、図2に示すように作動し、歩行者9を上方に持ち上げるよう、すなわち、歩行者9の接地荷重を減少させるように移動する。このような状態において、上記ガードバー部12に設けられたセンサ51にて歩行者9との接触状態が検出されると、制御手段5が作動してインフレータ55に点火信号を出力する(図1参照)。これによってエアバッグタイプの歩行者転落防止手段2が、図2に示すように展開する。その結果、歩行者9の脚部99はすくい上げられるような力を受けることとなり、歩行者9は、上記歩行者保護バンパー1の作動と相まって、車両のフロントフード(ボンネット)8上等に持ち上げられることとなる。
【0014】このようにフロントフード(ボンネット)8上に歩行者9が持ち上げられた状態において、車両にブレーキがかかると、歩行者9は、フロントフード(ボンネット)8上から下方に滑り落ちることとなる。しかしながら、本実施の形態のものにおいては、車両(車体)の前輪から前のところには、図3及び図4に示すようなエアバッグ状の歩行者転落防止手段2が大きく拡げられている(展開している)。従って、歩行者9はこの部分で受け止められることとなる。その結果、仮に車両がブレーキング状態に入ってフロントフード(ボンネット)8上から歩行者9が滑り落ちるようになったとしても、当該歩行者9は上記歩行者転落防止手段2のところで受け止められ、路面上等に落下(転落)するようなことが避けられる。
【0015】また、これらに加えて、車両(車体)の前方部に展開されたエアバッグ状の歩行者転落防止手段2は、図3及び図4に示す如く、エアマット状に大きく展開される(拡げられる)ものであるところから、車両の走行速度が速い状態にあるときには、走行風の影響により、エアバッグからなる歩行者転落防止手段2の、その前端部21のところが、上方に巻き上げられる。そして、フロントフード(ボンネット)8上に跳ね上げられた歩行者9は、本歩行者転落防止手段2にて包み込まれるようになる(図7参照)。その結果車両のブレーキング時においても、歩行者9がフロントフード(ボンネット)8から滑り落ちて路面上等に転落するというようなことが避けられる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、車両用歩行者保護装置に関して、歩行者が衝突した際に、当該歩行者の脚部を上方にすくい上げるように作動するとともに、当該すくい上げられた歩行者の路面上への転落を防止するように作動する歩行者転落防止手段を設けるようにした構成を採ることとしたので、歩行者転落防止手段の作用により、歩行者の膝部等の受ける傷害が軽減化されるようになった。これに加えて、更に、本発明のものにおいては、車両(車体)のフロントフード(ボンネット)上等に跳ね上げられた歩行者が車両のブレーキング時に、当該フロントフード(ボンネット)上から滑り落ちたりしたとしても大きく拡げられた歩行者転落防止手段の作用により、路面上等に転落するようなことが無くなった。
【0017】また、上記歩行者転落防止手段がエアバッグ状のものからなるものにおいては、大きく展開されたエアバッグ状のものが車両の走行風によって形成される風圧にて上方に巻き上げられるようになり、その巻き上げられたエアバッグ状の歩行者転落防止手段が車両のフロントフード(ボンネット)を包み込むようになるので、フロントフード(ボンネット)上に跳ね上げられた歩行者は、この巻き上げられた歩行者転落防止手段によって包み込まれることとなり、車両のブレーキング時において、車両(車体)の前方部等に滑り落ちる(転落する)のが防止されるようになった。更には、歩行者が衝突した際に当該歩行者からの荷重を吸収するように作動するとともに当該歩行者の体を上方に持ち上げるように作動する歩行者保護バンパーを車両の先端部のところに設けることによって、歩行者の衝突検出に加えて歩行者の1次衝突時の脚部の受ける傷害を大幅に軽減化することができるようになった。
【出願人】 【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
【出願日】 平成11年6月24日(1999.6.24)
【代理人】 【識別番号】100097607
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 覚
【公開番号】 特開2001−1852(P2001−1852A)
【公開日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願番号】 特願平11−178122